JPH0448079Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は防滴および防水性を有する圧電スピー
カに関する。

（従来技術） 従来、この種の圧電スピーカとしては、たとえ
ば第２図に示すように、底部に穴１ａを有する皿
状のフレーム１内に、リング状の弾性支持体２を
接着剤３にて接着し、この弾性支持体２に、発音
体４の振動板５の周縁部を接着剤３により接着し
たものが周知である。上記発音体４は、その振動
板５の一つの主面に圧電素子６が貼着され、この
圧電素子６に形成された電極６ａおよび振動板５
に夫々リード線７および８が半田付けされてなる
ものである。これらリード線７および８に電気信
号が印加されると、上記圧電素子６が屈曲振動
し、振動板５を駆動して音を発生させる。

ところで、上記のような構成を有する圧電スピ
ーカでは、弾性支持体２とフレーム１との接着お
よび弾性支持体２と発音体４の振動板５との接着
を完全なものとするのは困難であつた。このた
め、フレーム１の穴１ａから、弾性支持体２とフ
レーム１との接着部分および弾性支持体２と発音
体４の振動板５の接着部分を通して、フレーム１
の外からフレーム１の内部に水が侵入するという
問題があり、第２図の圧電スピーカは防水性およ
び防滴性に劣るという問題があつた。また、第２
図の圧電スピーカでは、フレーム１内に発音体４
の圧電素子が露出しているので、耐環境性も低い
という問題があつた。

防滴および防水性を有する圧電スピーカとして
は、上記したものの他に、具体的には図示しない
が、樹脂フイルムに第２図の圧電スピーカと同様
の発音体を直接、接着し、その上からさらにいま
一つの樹脂フイルムを被せて２枚の樹脂フイルム
をその周縁部にて相互に接着したものも周知であ
る。

このような構成を有するものでは、圧電スピー
カの発音体が、厚みの薄い柔軟性を有する樹脂フ
イルムに接着されているので、発音体の制動特性
が悪く、高o（oは共振周波数）、高Ｑとなり、
周波数特性の山谷が大きく、平坦性が悪いという
問題があつた。

（考案の目的） 本考案の目的は、周波数特性の広帯域化および
平坦化を図つた防滴、防水型の圧電スピーカを提
供することである。

（考案の構成） このため、本考案は、圧電素子が接着されてな
る発音体の振動板がその一側の主表面の周縁部お
よび他側の主表面の周縁部に夫々リング状の第１
弾性支持体および第２弾性支持体の各一つの面が
接着されるとともに、これら第１弾性支持体およ
び第２弾性支持体の各いま一つの面が第１成形フ
イルムおよび第２成形フイルムの各凹部の開口に
対向する凹部底面に夫々接着され、上記第１成形
フイルムおよび第２成形フイルムはその周縁部に
て相互に接着されていることを特徴としている。
上記発音体は第１成形フイルムと第２成形フイル
ムとの間に封止され、かつ、第１弾性支持体と第
２弾性支持体により、弾性的に支持される。

（考案の効果） 本考案によれば、第１成形フイルムと第２成形
フイルムとがその周縁部にて熱溶着されているの
で、発音体が第１成形フイルムと第２成形フイル
ムとの間に封止され、防滴性および防水性の良好
な圧電スピーカを得ることができる。また、本考
案によれば、第１および第２成形フイルムの凹部
内にて発音体が第１および第２弾性支持体により
弾性支持されているので、発音体にその両主面側
から対称に第１および第２の弾性支持体より制動
が加えられ、発音体が低oで低Ｑとなり、平坦
な周波数特性を有する圧電スピーカを得ることが
できる。さらに、本考案によれば、発音体は直
接、第１および第２の成形フイルムに接触もしく
は接着されていないので、音響インピーダンスが
低下し、空気とのマツチングが良くなり、効率の
高い圧電スピーカを得ることができる。

（実施例） 以下、添付の図面を参照して本考案の実施例を
説明する。

本考案に係る圧電スピーカの一実施例の縦断面
を第１図に示す。

上記圧電スピーカは、全体の厚みが1.8mm程度
のもので発音体１１と、リング形状を有する第１
弾性支持体１２および第２弾性支持体１３と、こ
れら第１弾性支持体１２および第２弾性支持体１
３を夫々収容する凹部１４ａおよび１５ａが一体
に形成されてなる樹脂製の第１成形フイルム１４
および第２成形フイルム１５とからなる。

上記発音体１１は、第２図において説明した圧
電スピーカの発音体４と同じ構成を有するもので
あつて、厚さが約50μｍで直径が30〜50mmφの振
動板１６と、その一つの主面に貼着されてなる圧
電素子１７とからなる。この圧電素子１７は上記
振動板１６とは反対側の面に電極１７ａが形成さ
れている。

上記発音体１１を弾性支持する第１弾性支持体
１２および第２弾性支持体１３はいずれも、厚み
が0.8mm程度のもので発泡ポリウレタンや発泡ポ
リエチレン等の材料をリング状に成形してなるも
のである。上記第１弾性支持体１２は、その両面
に粘着剤層１２ａおよび１２ｂが夫々形成されて
いる。また、上記第２弾性支持体１３も、その両
面に粘着剤層１３ａおよび１３ｂが夫々形成され
ている。

上記第１弾性支持体１２は、その一つの面に形
成された接着剤層１２ａにて、発音体１１の振動
板１６の一つの主面の周縁部に、上記振動板１６
と同心に接着される。同様に、上記第２弾性支持
体１３は、その一つの面に形成された接着剤層１
３ａにて、発音体１１の振動板１６のいま一つの
主面の周縁部に、上記振動板１６と同心に接着さ
れる。

一方、第１成形フイルム１４および第２成形フ
イルム１５はいずれも厚みが0.1mm程度のポリエ
ステル、ポリカーボネートもしくはポリイミド等
の樹脂フイルムからなる。第１成形フイルム１４
の凹部１４ａは、上記樹脂フイルムをその中心か
ら周縁近傍に到る領域を、一側から他側に押出し
成形したものである。第２成形フイルム１５の凹
部１５ａも同様にして形成される。

上記発音体１１の振動板１６に接着された第１
弾性支持体１２および第２弾性支持体１３は、上
記第１成形フイルム１４および第２成形フイルム
１５の凹部１４ａおよび１５ａ内に夫々収容され
る。そして、第１弾性支持体１２はその他面の粘
着剤層１２ｂにより第１成形フイルム１４の凹部
１４ａの底面に接着され、また、第２弾性支持体
１３はその他面の粘着剤層１３ｂにより第２成形
フイルム１５の凹部１５ａの底面に接着される。
上記第１成形フイルム１４および第２成形フイル
ム１５は、その周縁部にて相互に熱溶着される。

なお、この熱溶着時に、発音体１１の圧電素子
１７の電極１７ａに半田付けされたリード線１８
および発音体１１の振動板１６に半田付けされた
リード線１９はいずれも、上記第１成形フイルム
１４と第２成形フイルム１５との熱溶着面の間か
ら外部に引き出される。

このような構成であれば、発音体１１は、第１
成形フイルム１４と第２成形フイルム１５とがそ
の周縁部にて相互に熱溶着されるので、発音体１
１は第１成形フイルム１４の凹部１４ａおよび第
２成形フイルム１５の凹部１５ａ内にて、第１成
形フイルム１４と第２成形フイルム１５との間に
封止される。よつて、第１図の圧電スピーカは、
水の中につかつても、あるいは水滴がかかつて
も、水が上記凹部１４ａおよび１５ａの内部に侵
入することはない。

また、発音体１１は、その振動板１６がその両
主面の周縁部にて、振動板１６の両側から対称に
第１および第２の弾性支持体より制動が加えられ
るので、発音体１１は低oで低Ｑとなる。これ
により、第１図の圧電スピーカの周波数特性は平
坦になる。

さらに、発音体１１は第１成形フイルム１４お
よび第２成形フイルム１５と接触することなく支
持されているので、音響インピーダンスが低下
し、空気とのマツチングがよくなり、圧電スピー
カの効率がよくなる。

なお、第１図の圧電スピーカは、その外形が発
音体１１の振動板１６に関して対称な形状を有し
ているので、その取付の方向性がない。

また、第１成形フイルム１４および第２成形フ
イルム１５は夫々凹部１４ａおよび１５ａを有し
ているので、これら第１成形フイルム１４および
第２成形フイルム１５をその周縁部にて相互に熱
溶着するとき、この周縁部にしわや変形が生じる
のが抑えられる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る圧電スピーカの一実施例
の縦断面図、第２図は従来の圧電スピーカの縦断
面図である。 １１……発音体、１２……第１弾性支持体、１
３……第２弾性支持体、１２ａ，１２ｂ，１３
ａ，１３ｂ……粘着剤層、１４……第１成形フイ
ルム、１５……第２成形フイルム、１４ａ，１５
ａ……凹部、１６……振動板、１７……圧電素
子。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 振動板にこの振動板を駆動する圧電素子が接着
   されてなる発音体と、 この発音体の上記振動板の一側の主面の周縁部
   に一つの面にて接着されてなるリング状の第１弾
   性支持体と、 上記振動板の他側の主面の周縁部に一つの面が
   接着されてなるリング状の第２弾性支持体と、 樹脂フイルムの中心からその周縁近傍に到る領
   域を上記樹脂フイルムの一側から他側に向かつて
   押出し成形してなる上記第１弾性支持体を収容す
   る凹部を有する第１成形フイルムと、 いま一つの樹脂フイルムの中心からその周縁近
   傍に到る領域を上記樹脂フイルムの一側から他側
   に向かつて押出し成形してなる上記第２弾性支持
   体を収容する凹部を有する樹脂製の第２成形フイ
   ルムとからなり、 上記第１弾性支持体および第２弾性支持体の各
   いま一つの面が上記第１成形フイルムおよび第２
   成形フイルムの各凹部の開口に対向する凹部底面
   に夫々接着されるとともに、上記第１成形フイル
   ムおよび第２成形フイルムはその周縁部にて相互
   に溶着されていることを特徴とする圧電スピー
   カ。