JPH0446926Y2

JPH0446926Y2 -

Info

Publication number: JPH0446926Y2
Application number: JP1983051698U
Authority: JP
Priority date: 1983-04-07
Filing date: 1983-04-07
Publication date: 1992-11-05
Also published as: JPS59157823U

Description

【考案の詳細な説明】〔考案の技術分野〕本考案は枚葉輪転印刷機において給紙装置から
差板上へ送り出された紙をスイング装置で咥えて
印刷胴の爪に咥え替えさせたのち搬送するとき
に、紙の自由端部を案内する紙ガイド装置に関す
るものである。

〔従来技術〕

枚葉輪転印刷機による印刷作業において、給紙
装置の紙載台上に積載された紙は、サツカ装置で
１枚ずつ吸引されて搬送され、搬送された紙は、
先端を上下の給紙ローラで捕捉されて給紙ベルト
間へ送り込まれたのち搬送されて差板上へ送り出
される。差板上の紙は、見当装置で正確に規制さ
れた紙端をスイング装置の爪で咥えられ、スイン
グ装置の揺動で搬送されたのち圧胴の爪に咥え替
えられて圧胴の回転によりその周面に巻き付けら
れる。このあと爪の咥え替えによつて搬送される
紙には、ゴム胴と圧胴との間で印刷が施され、印
刷された紙は排紙チエーンで搬送されたのち咥え
から解放されて排紙装置の紙載台上に積載され
る。

このようにして行なわれる印刷動作のうち、差
板上からスイング装置を経て圧胴の周面に巻き付
けられる間の紙の挙動において従来次のような問
題が発生していた。すなわち、スイング装置の爪
で前端を咥えられた差板上の紙はスイング装置の
揺動によつて搬送されたのち圧胴の爪に咥え替え
られて搬送され、この搬送間、スイング装置は次
の紙を咥えるために爪が差板上方に位置するまで
逆方向に揺動する。このとき先行する紙の後半部
は未だ差板と圧胴との間にあり、紙尻の一部はな
お差板上面に摺接して搬送中である。したがつて
紙端のみを咥えられてそれ以外は非保持であるこ
の紙には、差板側へ戻るスイング装置が周辺の空
気を掻き分けることによつて発生する乱流が作用
し、これで下方へあおられてばたつくために傷つ
いたりしわになつたりするばかりでなく、差板の
尖鋭端に風で圧接されて切れたりするという欠点
があつた。これは近年印刷速度の高速化に伴なつ
て今までは無視できたスイング装置の往復運動に
よる空気の流れの影響が大きくなり、このような
傷害の発生が増大している。

〔考案の概要〕

本考案は以上のような点に鑑みなされるもの
で、差板と印刷胴周面との間に、スイング装置に
よる搬送紙の走行軌跡に沿うように円弧状に形成
された複数個の案内板を、スイング装置の複数個
の爪の位置と紙幅方向に位相を違えて差板から突
設することにより、紙の搬送を安定させてばたつ
き等による障害の発生防止を計つた枚葉輪転印刷
機の紙ガイド装置を提供するものである。以下、
本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。

〔実施例〕

第１図および第２図は本考案に係る枚葉輪転印
刷機の紙ガイド装置の実施例を示し、第１図はこ
れを実施した差板とスイング装置近傍の側面図、
第２図は差板の全長の半分を示す平面図である。
図において印刷機には、印刷機を積載する紙載台
と、積載紙を上層から１枚ずつ吸引して上下の給
紙ローラ間に捕捉させるサツカ装置等を備えた図
示しない給紙装置が設けられており、その給紙ロ
ーラから前方へ延びるフイーダボードの前端部に
は、最大給紙幅よりもやゝ長い板状に形成された
差板１がやゝ傾斜して固定されている。第２図に
おいて鎖線Ｌは長手方向であつて紙幅方向の中心
線を示しており、これを中心にして左右ほゞ対称
に形成されている。そして給紙ローラで送り出さ
れた紙２は、給紙ベルトによりフイーダボード上
を搬送されたのち差板１上へ排出される。差板１
の前端縁には、多数の切欠き３，４等が設けられ
ており、これには図示しない前当てや熊手等が差
板１の下方から揺動してきて係入し、紙２の前端
を当接させて位置規制するように構成されてい
る。また差板１の前方には、咥え爪装置を備え、
図に矢印Ａで示す方向に回転する印刷胴として圧
胴５が配設されており、差板１と圧胴５との間の
上方には、全体を符号６で示すスイング装置が設
けられている。スイング装置６は管状に形成され
たスイング軸７を備えており、このスイング軸７
の両端部は左右のフレームにそれぞれ回転自在に
軸支された左右一対の軸受に軸支されている。そ
してこの軸受は図に２点鎖線８で示したフレーム
による軸支部の軸芯Ｆと、スイング軸７を軸支す
る内周円の軸芯F₁とを図に符号ｔで示すように
偏心されており、左右の軸受の同期回転によりス
イング軸７の軸心F₁が符号Ｓで示す軌跡で偏心
周回するように構成されている。またスイング軸
７の軸端部には図示しないカム機構が設けられて
おり、前記スイング軸用軸受の１回転中に鎖線S₁
と鎖線S₂との間で１往復して揺動するように構成
されている。このようにして偏心運動と揺動とが
合成された運動をするスイング軸７には、複数個
のブラケツト９が軸方向に並列して割締固定され
ており、その下方揺動端部間には圧胴５とほゞ同
長の爪軸１０が、スイング軸７と平行に回動自在
に軸架されている。１１は爪軸１０の軸受部潤滑
用グリスニツプルを装着するためのねじ孔であ
る。爪軸１０には複数個の爪ホルダ１２が軸方向
に所定の間隔をおいて並列に割締固定されてお
り、各爪ホルダ１２には爪１３が２又部をピン１
４によつて回動自在に枢着されている。１５は爪
１３に螺着されてピン１４の切込みと係合しピン
１４が爪１３から抜けるのを阻止するストツパで
ある。そして爪１３と爪ホルダ１２との間には、
爪１３に第１図の反時計方向への回動力を付勢す
る爪ばね１６が弾発力が調節できるように装着さ
れている。一方、各ブラケツト９の下側平面に固
定されたバー受金具１７には、爪軸１０とほゞ同
長の爪台バー１８が固定されており、この爪台バ
ー１８の下端部に各爪１３と対応してボルト１９
で固定された複数個の爪台ホルダ２０には、爪１
３との間で紙２を咥え替える爪台２１が固着され
ている。そして、前記爪軸１０の軸端部には、図
示してないがこれを正逆方向に往復回動させる開
閉カム機構が設けられており、これが所定のタイ
ミングで作動することにより、爪ホルダ１２が爪
軸１０とともに往復回動して爪１３の爪先が爪台
２１に対して開閉するように構成されている。

一方、前記差板１の前端部には、複数個（本実
施例では６個）の案内板２２がボルト２３によつ
て差板１の裏面から固定されている。この案内板
２２は、差板１の前端近傍から圧胴５との咥え替
え点へ向かつて円弧運動する爪１３の周回軌跡す
なわち紙２の走行軌跡に沿うように円弧状に形成
されており、その先端は圧胴５の周面に近接して
いる。また案内板２２は、本実施例では幅15mm程
度に形成されていて爪１３と干渉しないようにこ
れと差板１の長手方向へ位相を違えて配設されて
いる。

以上のように構成されたスイング装置ならびに
紙ガイド装置の動作を説明する。差板１上へ送り
込まれた紙２が差板１の仕込み３，４と係合する
前当等で前端を規制されて停止すると、第１図の
位置で開いている爪１３が閉じて爪台２１との間
で紙２の前端部を咥える。このときの咥え圧は爪
ばね１６のばね圧による。この状態でスイング軸
７の軸受が回動を続けかつ揺動用のカム機構が働
くと、スイング軸７が偏心運動しながらブラケツ
ト９が第１図の時計方向へ揺動して紙２を搬送す
る。爪１３が次第に増速されながら周回して点Ｐ
に達すると、開閉カム機構により爪１３が開閉す
ると同時に、爪１３と軸方向に位相を異にする圧
胴５の爪が開閉し、紙２は圧胴５の爪に咥え替え
られて圧胴５の回転とともにその周面に巻き付け
られる。爪１３は咥え替え後さらに周回を続けて
点P₁に達すると揺動カム機構が逆方向に働くの
で、爪１３は点P₁で瞬間停止後ブラケツト９と
ともに反時計方向に周回して差板１近傍の紙咥え
位置へ戻る。この帰路はスイング軸７の偏心運動
により爪１３が往路よりも圧胴５から離れた軌跡
を通つて戻る。爪１３が戻るとき、先程圧胴５の
爪に咥え替えられて搬送される紙２の後半部はな
お差板１と圧胴５との間および差板１上を通過中
であり、この紙２が爪１３、爪ホルダ１２等の周
回による空気抵抗で発生する乱流によつてあおら
れる。しかしながら本装置においては、案内板２
２を設けたことにより、走行する紙２が案内板２
２で支承され、これに摺接して走行するので、案
内板２２よりも下方へふくらんだり垂れ下がつた
りすることがなく、たいらな状態で搬送される。
搬送された紙２には圧胴５とゴム胴との間で印刷
が施され、印刷された紙２は排紙装置で排紙され
る。紙咥え位置へ戻つたスイング装置６はこのあ
と前記動作を繰返して印刷作業が続けられる。

なお、本実施例では案内板２２を６個設けた例
を示し、通常はこれで充分目的が達成できるが、
薄紙の場合にはさらに個数を増やすことが望まし
い。

〔考案の効果〕

以上の説明により明かなように、本考案によれ
ば枚葉輪転印刷機の差板と印刷胴周面との間に、
スイング装置による搬送紙の走行軌跡に沿うよう
に円弧状に形成された複数個の案内板を、スイン
グ装置の複数個の爪の位置と紙方向に位相を違え
て差板から突設することにより、スイング装置の
爪が差板方向へ戻るときの空気抵抗による乱流な
どで紙があおられても、紙は案内板に押し付けら
れこれより下方へふくらんだり垂れ下つたりする
ことがないので、きわめてたいらな安定した状態
で搬送されて、傷ついたりしわになつたりするこ
とがなく、損紙の発生量を大幅に減少させること
ができるとともに、印刷物の品質が向上する。ま
た、爪と爪との間に分割して複数個設けたので、
爪と干渉することがなく、紙の下面におけるエア
の通りがよいので、紙が案内板でこすられて汚れ
たり傷ついたりすることがない。また、この案内
板を設けるのに既設の差板がそのまゝ利用できる
から、ステーなどを必要としないという実用上の
利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案に係る枚葉輪転印
刷機の紙ガイド装置の実施例を示し、第１図はこ
れを実施した差板とスイング装置近傍の側面図、
第２図は差板の全長の半分を示す平面図である。１……差板、２……紙、５……圧胴、６……ス
イング装置、１３……爪、２２……案内板。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

差板１の先端と印刷胴５の周面との間に、スイ
ング装置６で咥えられて走行する紙２の軌跡に沿
うように円弧状に形成された複数個の案内板２２
を、スイング装置６の複数個の爪１３の位置と紙
幅方向に位相を違えかつ爪１３の先端間に位置す
るように差板１から突設したことを特徴とする枚
葉輪転印刷機の紙ガイド装置。