JPH0440918Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はスイング装置の爪でくわえられて差板
上から印刷胴の周面へ向つて搬送される紙を添接
させて案内する枚葉輪転印刷機の紙ガイド装置に
関するものである。

〔従来の技術〕

枚葉印刷機による印刷作業において、給紙装置
の紙積台上に積載された紙は、サツカ装置で１枚
ずつ吸引されて搬送され、上下の紙送りローラに
捕捉されてフイーダボード上へ送り出されたの
ち、さらに差板上へ送り出され、先端の当てに当
接することにより、見当を揃えられて停止する。
ここへスイング装置の爪が揺動してきて紙の先端
をくわえ、揺動によりこの紙を搬送して印刷胴外
周部の爪にくわえ替えさせる。くわえ替え後、ス
イング装置の爪は逆方向に揺動して次の紙をくわ
える位置へ復帰する。

このような印刷胴への紙の供給動作のうち、ス
イング装置の爪による紙の搬送、くわえ替え動作
においては、スイング装置の爪が印刷胴への紙の
くわえ替えを終つて元の位置へ復帰する揺動の復
路において、この爪と、搬送中の先行紙の紙尻部
とがすれ違い、爪が周辺の空気を掻き分けながら
走行することにより乱流が生じる。この結果、搬
送中の紙がこの乱流であおられてばたつくために
傷ついたりしわになつたりするばかりでなく、差
板の尖鋭端に風で圧接されて切れたりするという
問題があつた。これは近年印刷速度の高速化に伴
なつてスイング装置の軽量化が計られていること
によつてますます空気抵抗が大きくなり、このよ
うな災害の発生が増大している。

そこで、本出願人は、実開昭59−157823号公報
に開示されている紙ガイド装置を提案した。この
装置は、円弧状の紙ガイドを、差板先端部に一端
を固定して紙の搬送径路に沿うように延設したも
のであつて、スイング装置の爪でくわえられて搬
送される紙は、くわえ端以外の箇所をこの紙ガイ
ドに摺接させて案内される。

〔考案が解決しようとする問題点〕

このように構成されていることにより、搬送紙
が紙ガイドで案内されるので、ばたつきが少なく
なるが、紙が複数個の板状紙ガイドに摺接しなが
ら搬送されるので傷つき易く、また搬送紙を案内
させるために紙ガイドを胴周面から離間させる
と、スイング装置の爪が次の紙をくわえに戻ると
きに先行紙を引つ掛けることがあり、特にスイン
グ装置を差板の下方に設けた下スイング式の場
合、紙ガイドの自由端がふらつき易いので、紙を
引つ掛けることが多かつた。

〔問題点を解決するための手段〕

このような問題点を解決するために本考案で
は、印刷胴の周面に近接してこれと平行するガイ
ド支軸に、円弧形帯板状に形成された複数個の紙
ガイドの一端を固定して軸方向に並設し、その他
端を差板の先端に臨ませるとともに、複数個のこ
ろを各紙ガイドの円弧面に沿つて並設し、かつガ
イド支軸を回動させてすべての紙ガイドを一斉に
所定の角度だけ正逆方向に回動させる駆動機構を
設けた。

〔作用〕

紙ガイドをその円弧面が胴周面から離間するよ
うに回動させてスイング装置の爪を前進方向に回
動させると、紙はこの爪でくわえられて搬送さ
れ、紙のくわえ端以外の箇所はころを転動させな
がら移動し、印刷胴の爪にくわえ替えられて搬送
される。紙を放したスイング装置の爪は、次の紙
をくわえるために後退方向へ戻るが、このとき後
退開始に先立ち、紙ガイドが逆方向に回動してそ
のころが胴周面にほぼ対接されるように回動する
ので、先行する紙は胴周面ところとに挾持されて
搬送され、スイング装置の爪はこの紙に触れるこ
となく回動して元の位置へ戻る。

〔実施例〕

第１図および第２図は本考案に係る紙ガイド装
置の実施例を示し、第１図はその側面図、第２図
は同じく一部破断展開平面図である。図におい
て、左右のフレーム１を連結する角ステー２に
は、複数個のブラケツト３が固定されており、機
幅いつぱいの長尺板状に形成された差板４は、こ
のブラケツト３の上端部に固定されやや傾斜して
架設されている。差板４の後方には、フイーダボ
ード５が支架されており、給紙装置のサツカで１
枚ずつくわえられた紙は、図に符号６で示すよう
に矢印Ａ方向からフイーダボード５を経て差板４
上へ送り出されてくる。差板４の先端面には当軸
７を中心にして揺動するアームに支持された図示
しない前当てが対接しており、送り出されてくる
紙４を停止させて見当を揃えるように構成されて
いる。なお、前当ては、アームの回動によつて差
板４先端の斜め下方へ所定のタイミングで退去す
る。

一方、差板４の斜め上方には、印刷胴としての
渡し胴８が左右のフレーム１に軸受９を介して回
転自在に軸支されていて、その外周切欠き８ａ内
に胴の全長にわたつて軸架された回動自在な爪軸
１０上には、軸端部のカム機構で開閉する複数個
の爪１１が並設されており、その開閉により爪台
１２との間で紙６をくわえるように構成されてい
る。なお、渡し胴８は図に矢印Ｂで示す方向に回
転する。また、差板４の下方には、スイング装置
１３のアーム軸１４が左右のフレーム１間に回動
自在に軸架されており、このアーム軸１４上に
は、複数個のアーム１５が並列して割締め固定さ
れている。１６はアーム軸１４とほぼ同長に形成
された爪軸であつてアーム１５の遊端部間に回動
自在に軸架されており、この爪軸１６上には、複
数個の爪ホルダ１７が円周方向へ同位相で割締め
固定されている。各爪ホルダ１７の遊端部には、
爪１８が装置されており、この爪１８は爪軸１６
の軸端部に設けたカム機構による爪軸１６の回動
で開閉し、アーム１５に爪台バー１９を介して固
定された爪台２０との間で紙６をくわえるように
構成されている。そして、アーム１５が前述した
ようにカム機構によるアーム軸１４の回動で図に
実線と鎖線とで示す間を往復回動し、実線位置に
おいて爪１８の開閉で紙６をくわえ斜め下方へ搬
送するように構成されている。この搬送途中で爪
１８と爪１１とが対向して開閉することにより紙
６が爪１８から爪１１にくわえ替えられ、爪１８
はくわえ替え後鎖線位置まで周回したのち、同軌
跡上を実線位置へ復帰する。

２１は渡し胴８の下方に位置して左右のフレー
ム１に軸受２２を介して回動自在に軸架されたガ
イド支軸であつて、これには複数個の紙ガイド２
３の基端部が止めねじ２４で固定されて軸線方向
に並設されており、この紙ガイド２３は、平面か
ら見て帯板状に形成されて差板４の先端に自由端
を臨ませている。この紙ガイド２３は、ガイド支
軸２１からほぼ直線状に渡し胴８の周面に向つた
のち、紙６の搬送径路に沿つた円弧状に形成され
て差板４の先端に達している。そして、各紙ガイ
ド２３には、枢軸方向を胴軸と平行させた複数個
のころ２５が円弧面に沿つて回動自在に枢着され
ており、搬送される紙６を添接させて摺動抵抗を
軽減するように構成されている。さらに、この紙
ガイド２３には、これを図の実線位置と鎖線位置
との間で揺動させるカム機構が付設されている。
すなわち、前記ガイド支軸２１の一端には、遊端
部にカムフオロア２６が枢着されたカムレバー２
７が割締め固定されており、一方、渡し胴８の端
軸８ｂには、一部に小径部２８ａを有する外周カ
ム面を備えたカム２８が、カムフオロア２６を外
周カム面に対接させて固定されている。２９はフ
レーム１側のスタツド３０とカムレバー２７との
間にばね軸３１を介して介装された圧縮コイルば
ねであつて、カムフオロア２６をカム２８のカム
面に圧接させる方向の回動力をカムレバー２７に
付与しており、渡し胴８とともにカム２８が回転
することにより、カム面と圧縮コイルばね２９と
の協働により、紙ガイド２３が所定のタイミング
で所定角度だけ揺動するように構成されている。
そしてこの揺動タイミングは紙６が差板４上で停
止中ならびに爪１８が紙６をくわえて搬送中は胴
周面から離間した実線位置にあり、スイング装置
１３の爪１８が鎖線位置から実線位置へ向う復路
においてのみ、カムフオロア２６が小径部２８ａ
に対接し、紙ガイド２３が胴周面に添接して爪１
８の復路軌跡から退避するように構成されてい
る。３２は角ステー３３に支持され紙ガイド２３
に続いて搬送紙を案内する複数個の紙ガイドであ
る。

以上のように構成された紙ガイド装置の動作を
説明する。印刷作業が開始されると、渡し胴８が
矢印Ｂ方向へ回転するとともに、ガイド支軸１４
が渡し胴８の１回転につき１回往復回動する。そ
して給紙装置によつて紙６が１枚ずつ差板４上へ
送り込まれてきて前当てに当つて停止することに
より印刷見当が揃えられる。このときスイング装
置１３の爪１８が図の実線位置にあつてカム機構
で開閉するので紙６の先端は爪１８でくわえられ
る。そして、この状態から前当てが差板４の先端
から退去し、アーム軸１４が図の反時計方向へ回
動するので、紙６がくわえ端以外の箇所に紙ガイ
ド２３のころ２５を添接させながら搬送される。
このとき紙ガイド２３は胴周面から離れた実線位
置にあり、紙６が容易に通過するし、紙６がころ
２５を転動させながら搬送されるので、摺接抵抗
が小さい。渡し胴８の爪１１と、スイング装置１
３の爪１８とが対向して開閉すると、紙６のくわ
え替えが行なわれる。このあと紙６は爪１１にく
わえられて渡し胴８の周面に添接しながら搬送さ
れる。爪１８が鎖線位置に達し、次の紙４をくわ
えるために折返して復路の移動が開始されると、
カムフオロア２６にカム２８の小径部２６ａが対
向するので、カムレバー２７が圧縮コイルばな２
９の弾発力で鎖線位置へ揺動し、紙ガイド２３は
胴周面へ近接するように鎖線位置へ揺動する。こ
のとき搬送される紙４の紙尻は紙ガイド２３上を
通過しているが、紙ガイド２３が爪１８の回動軌
跡から退避しているので、復路における爪１８が
紙４を引掛けることがない。爪１８が実線位置へ
復帰すると、紙ガイド２３も実線位置へ復帰し、
次の紙のくわえ態勢になる。一方、渡し胴８の爪
１１にくわえられて搬送された紙４には、次の圧
胴とゴム胴との間を通過するときに印刷が施され
る。

〔考案の効果〕

以上の説明により明らかなように本考案によれ
ば枚葉輪転印刷機の紙ガイド装置において、印刷
胴の周面に近接してこれと平行するガイド支軸
に、円弧形帯板状に形成された複数個の紙ガイド
の一端を固定して軸方向に並設し、その他端を差
板の先端に臨ませるとともに、複数個のころを各
紙ガイドの円弧面に沿つて並設し、かつガイド支
軸を回動させてすべての紙ガイドを一斉に所定の
角度だけ正逆方向に回動させる駆動機構を設けた
ことにより、スイング爪が紙をくわえて搬送する
径路においては紙ガイドが胴周面から離間してお
り、紙はこの胴周面と紙ガイドとのすき間を、こ
ろに添接してこれを回動させながら搬送されるの
で、紙はばたついたり摺接抵抗による汚れや傷つ
きが発生したりすることがなく、きわめて安定し
た状態で搬送され損紙の発生量が減少する。ま
た、スイング爪が紙を放したのち次の紙をくわえ
に戻る復路においては、紙ガイドがスイング爪の
回動軌跡から退避しているので、爪が紙ガイド上
の紙を引つ掛けることがなく、紙が傷ついたり破
れたりすることがなく、損紙の発生量がさらに減
少する。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案に係る紙ガイド装
置の実施例を示し、第１図はその側面図、第２図
は同じく一部破断展開平面図である。 ４……差板、６……紙、８……渡し胴、１１…
…爪、１３……スイング装置、１４……アーム
軸、１５……アーム、１８……爪、２１……ガイ
ド支軸、２３……紙ガイド、２５……ころ、２６
……カムフオロア、２７……カムレバー、２８…
…カム、２８ａ……小径部、２９……圧縮コイル
ばね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 差板上の紙の先端をくわえて搬送し印刷胴の爪
   にくわえ替えさせるスイング装置を備えた枚葉輪
   転印刷機において、前記印刷胴の周面近傍にこれ
   と平行して回動自在に軸架されたガイド支軸と、
   このガイド支軸の軸線方向から見て前記紙の搬送
   径路に沿うように円弧状に形成されて一端を前記
   ガイド支軸に固定され自由端を前記差板の先端に
   臨ませて並列する複数個の帯板状紙ガイドと、こ
   の紙ガイドの円弧面に沿つて並設され前記印刷胴
   と軸線が平行な複数個の回動自在なころと、この
   ころを前記印刷胴の周面に接離させるように前記
   ガイド支軸を介して前記紙ガイドを所定の角度だ
   け正逆方向に回動させる駆動機構とを設けたこと
   を特徴とする枚葉輪転印刷機の紙ガイド装置。