JPH0446774B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、左右一対の主フレームの前部にエン
ジンを防振支持するとともに、前記主フレームの
後端にミツシヨンケースを連結した農用トラクタ
に関する。

〔従来の技術〕

上記農用トラクタはエンジン振動が機体に伝達
されるのを制御するよう考慮されたものであつ
て、実公昭59−21939号公報に示されているよう
に、左右の主フレームを、その前側部分が後側部
分より高く位置するよう段違い状に構成し、エン
ジンを左右主フレームの間に入り込ませた状態で
主フレームの前側部分に防振機構を介して支持
し、かつ、エンジン後端に連結されたクラツチハ
ウジングを主フレーム後側部分に防振機構を介し
て支持することで、主クラツチハウジングを含め
たエンジン部全体を前後に大きいスパンをもつて
主フレームに安定的に防振支持するとともに、エ
ンジンの地上高を上げながら主フレームに対して
エンジンを安定よく支持するよう構成したものが
知られている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記従来構造では、主フレームに対してエンジ
ンを相対的に重心低く安定的に支持するために主
フレーム前半部分を高くして、ここにエンジンを
支持しているので、主フレーム前半部分はエンジ
ン支持個所が高くあればよく、主フレーム段差部
の形状には、特別な考慮は払われてはおらず、主
フレームの段差部が後下がりの緩傾斜に構成さ
れ、この後下がり傾斜部が側面視で前車輪の後半
部分と重複するように配置されていた。

ところで、農用トラクタにおいては、車体下腹
部の地上高を大きくとりながら車体重心を低くし
て安定性を高めたい要望の他に、畦際での車体方
向転換を行う杭地を小さくするために小回り旋回
できることが望まれるものであり、このためには
左右前車輪の間隔（トレツド）を大きくすること
なく前車輪を大きく操向できるようにすることが
必要とされているのであるが、上記従来構成では
前車輪が操向された場合、機体旋回内側に位置す
る前車輪の後部が機体側に近づいたとき、車輪の
後端部、つまり、キングピン軸心に対する半径の
大きい部分が主フレームにおける下がり緩傾斜の
段差部に接近することになり、これによつて車輪
切れ角の限度が規制されるものであり、農用トラ
クタに要求される状態を充分に発揮させられない
ものとなつていた。

本発明は、エンジン及び主クラツチハウジング
の主フレームへの搭載構造に合理的な改良を加え
ることで、左右主フレームの間隔を小さくして前
輪の切れ角を充分大きく設定することができる農
用トラクタを提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成するための本発明特徴構成は、
左右一対の主フレームの前部にエンジンを防振支
持するとともに、前記主フレームの後端にミツシ
ヨンケースを連結し、前記主フレームを、その前
半部分が後半部分より高く位置するよう段違い状
に形成し、前記エンジンを左右主フレーム間に入
り込ませた状態で主フレーム前半部分に防振機構
を介して支持し、エンジンの後端に連結した主ク
ラツチハウジングを主フレーム後半部分に防振機
構を介して支持した農用トラクタにおいて、 前記主フレームの段差前縁部を側面視において
操向自在な前車輪の後端近くに配設するととも
に、この段差前縁部を前車輪後端部の外形にほぼ
沿う急傾斜に設定してある点にある。

〔作用〕

上記構成によると、大径の主クラツチハウジン
グは、その最大径よりも小幅となる下半部分の側
部において主フレームの後半部分に支持されるの
で、段違い状の左右主フレームの間隔は小さいも
のとなり、前車輪の切れ角が大きく設定しやすく
なる。

しかも、前車輪が操向された際、機体旋回内側
の前車輪の後部が機体側に接近するが、キングピ
ン軸心に対して最も半径の大きい部分、つまり車
輪の後端部は操向に伴つて主フレームの急段差前
縁部位より前方に外れ、キングピン軸心に対して
半径の小さい車輪上部が主フレームの前半部分に
接近してゆくことになり、前車輪の後側部分が主
フレームに接当するまでの操向角は極めて大きく
なる。

〔発明の効果〕

従つて、本発明によれば、段違い形状の主フレ
ームに合理的にエンジン及び大径の主クラツチハ
ウジングを搭載支持することで左右主フレームの
間隔を小さくして、前車輪の操向スペースを大き
くとるとことができるのみならず、主フレームの
段差部の位置及び形状を操向前車輪に対応して合
理的に設定することで、前車輪が主フレームの高
い前半部分と接当干渉して前車輪操向角が規制さ
れることを回避して、前車輪のトレツドを大きく
することなく、大きい前車輪操向角を得て、もつ
て農用トラクタに要求される性能を満足させるこ
とができるようになつた。

〔実施例〕

第４図に本発明に係る農用トラクタの全体側面
が、又、第１図にエンジン搭載部の側面が夫々示
されている。

第４図に示すように、機体前後向き姿勢の左右
一対の主フレーム１の前部に、エンジン２及びこ
れの後部に直結した大径の主クラツチハウジング
３をエンジン２側の防振ゴム（防振機構）４と主
クラツチハウジング３側の防振ゴム４とを介して
搭載するとともに、主フレーム１の後部に設けら
れたブラケツト１７に、伝動軸１５と球継手１６
でエンジン２に伝動連結されたミツシヨンケース
５をボルト１８連結し、更に、この主クラツチハ
ウジング３とミツシヨンケース５の間に上方に、
左右に亘つて一連に偏平なデツキ６を配設した運
転部７を有する機体を、前記ミツシヨンケース５
の後端に設けられたデフ機構８に連結された後車
輪９とミツシヨンケース５の前端から延出された
ドライブシヤフト１０の延出端に設けられたデフ
機構１１に連結された前車輪１２とで支持し、機
体後端には耕耘装置等の作業機を昇降駆動するリ
フトアーム１３を備えてある。

第１図乃至第３図に示すように、前記主フレー
ム１を角パイプで形成し、前半部分１Ａ後半部分
１Ｂとをその接合部で上下に積層し、前半部分１
Ａ上面が後半部分１Ｂ上面より高く位置する急段
差の段違い状に構成するとともに、この左右主フ
レーム１，１の内側面の間隔を、エンジン２の下
半部の横幅よりも大きく、かつ、主クラツチハウ
ジング３の最大径よりも小さく設定してある。

また、主フレーム１の段差前縁部Ａを機体側面
視において前車輪１２の後端近くに位置させると
ともに、この段差前縁部Ａを前車輪１２後端部の
外形にほぼ沿う急傾斜に設定してある。

そして、エンジン２を左右主フレーム１，１間
に入り込ませた状態で主フレーム前半部分１Ａに
エンジン２の前端側部位を防振ゴム４を介して搭
載支持するとともに、主クラツチハウジング３の
下部を左右フレーム１，１間に入り込ませた状態
で、主クラツチハウジング３の下半部分における
左右側部を、主フレーム後半部分１Ｂに防振ゴム
４を介して支持してある。

尚、図中１９は左右一対のフレーム１，１に亘
つて、架渡した筒フレームであつて、前記主フレ
ーム１，１の補強部材としての機能を有するとと
もに、左右後車輪９，９への操向用ブレーキ操作
軸（図示せず）を挿通支承する支持部材に兼用構
成されている。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る農用トラクタの実施例を示
し、第１図は全体側面図、第２図は第１図−
線断面図、第３図は第１図−線断面図、第４
図は農用トラクタの側面図である。 １……主フレーム、１Ａ……主フレーム前半部
分、１Ｂ……主フレーム後半部分、２……エンジ
ン、３……主クラツチハウジング、４……防振機
構、５……ミツシヨンケース、１２……前車輪、
Ａ……段差前縁部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 左右一対の主フレーム１の前部にエンジン２
   を防振支持するとともに、前記主フレーム１の後
   端にミツシヨンケース５を連結し、前記主フレー
   ム１を、その前半部分１Ａが後半部分１Ｂより高
   く位置するよう段違い状に形成し、前記エンジン
   ２を左右主フレーム１間に入り込ませた状態で主
   フレーム前半部分１Ａに防振機構４を介して支持
   し、エンジン２の後端に連結した主クラツチハウ
   ジング３を主フレーム後半部分１Ｂに防振機構４
   を介して支持した農用トラクタにおいて、 前記主フレーム１の段差前端部Ａを側面視にお
   いて操向自在な前車輪１２の後端近くに配設する
   とともに、この段差前縁部Ａを前車輪１２後端部
   の外形にほぼ沿う急傾斜に設定してある農用トラ
   クタ。