JPH0445267Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、高速軸流型ガスレーザー発振器に関
し、レーザー管内のガスの流通量を増大して出力
の増大を図つたものである。

（従来技術及びその問題点） 一般にガスレーザーは連続発振が容易で且つ出
力光のコヒレンスが良いことが特徴であり、特に
炭酸ガスを用いたガスレーザーは大出力が得ら
れ、各種材料の切断、加工または溶接等に用いら
れているが、ガスレーザーの普及にともない、一
層の出力の増大が望まれている。また、ガスレー
ザーにおいては、一般にレーザー出力はレーザー
管内を流れるガスの単位時間当たりの流量に比例
する。従来においては、ガスレーザー発振器の出
力を増大させるため、放電管を軸方向に２個直列
となるように配置して放電総長さを倍増させるこ
とが行われている。

第４図は従来の高速軸流型ガスレーザー発振器
を示すもので、レーザー管１は外管２と内管３と
の２重構造になつており、内管３内はガス流路４
が形成されるとともに放電用の電極５ａ，５ｂが
設けられ、これら電極５ａ，５ｂの近傍にはガス
を給排するためのガス口６ａ，６ｂ，６ｃが設け
られ、また内管３と外管２との間は冷却水が流通
する冷却室７となつている。このレーザー発振器
は、中央の電極５ａ，５ａを高圧側に、両端の電
極５ｂ，５ｂを低圧側にそれぞれ接続し、これら
高圧側の電極５ａ，５ａと低圧側の電極５ｂ，５
ｂとの間でそれぞれ放電させるとともに、両端の
ガス口６ａ，６ｃからガスを供給し中央のガス口
６ｂから排出するようになつている。このガスレ
ーザー発振器では左右の２箇所で放電が行われ、
その結果放電の総長さが2Lとなり同図の左右い
ずれか半分のみの場合に比して約２倍の出力が得
られることとなる。このように、内管３をさらに
長くして多数の電極を順次配置して総放電長さを
長くすれば、出力はそれに応じてさらに増大する
が、レーザー管１全体の軸方向の外形寸法が増大
して装置が非常に大型化し、製造および取扱いが
困難となる。

また、内管３の内径を大きくしたり、供給側の
ガス口のガス圧を高めて内管３内を流れているガ
スの総流量を多くすることが考えられているが、
内管３の内径をあまり大きくするとレーザービー
ムがマルチモードとなつてしまつて好ましくな
く、またガス圧を増大するためにはガスを循環さ
せるためのブロワーの圧縮比に限界があつて容易
ではないという問題がある。

（問題点を解決するための技術的手段） 本考案は、上述の問題点に鑑みてなされたもの
で、レーザー管の長さ寸法を増大させることな
く、ガス圧を高めることなく、ガスレーザー発振
器の出力を増大できるようにしたもので、その技
術的手段は、ガス流路１７ａ，１７ｂ，１７ｃ，
１７ｄおよび複数個の放電用の電極１８ａ，１８
ｂ，１９ａ，１９ｂが軸心に沿つて設けられたレ
ーザー管１２を有する高速軸流型ガスレーザー発
振器において、前記ガス流路に連通しガスを給排
するためのガス口２４，２５，２６，２７，２８
が、前記電極の近傍と前記電極のうち互に異極に
充電される電極の中間とに設けら、各ガス口は前
記ガス流路の内径程度に径大となつていて、前記
電極の近傍のガス口２４，２６，２８が排出側ガ
ス口、前記電極の中間のガス口２５，２７が供給
側ガス口とされることを特徴とするものである。
尚、ここでガス口がガス流路の内径程度に径大と
は、ガス口の口径がガス流路の内径とほぼ同じ位
か、あるいはそれより若干大きい程度に径大であ
ることを意味する。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図において、ガスレーザー発振器１１は、
レーザー管１２の両端にミラー１３，１４が取付
けられてなつており、レーザー管１２は、石英や
硬質ガラスなどの高強度で熱膨脹率の小さいガラ
スまたはセラミツクなどを材料とし、外管１５と
内管１６との２重管構造に形成されている。内管
１６の内部は、軸方向のガス流路１７ａ，１７
ｂ，１７ｃ，１７ｄが形成されているとともに、
円筒状の放電用の電極１８ａ，１８ｂ，１９ａ，
１９ｂが設けられ、その電極端子２０…が電極端
子管２１…により支持されて導出されている。内
管１６と外管１５との間は、冷却水が流通する冷
却室２２となつており、そのための冷却水口２３
ａ，２３ｂが外管１５に設けられている。

外管１５には、ガス流路１７に連通する５個の
ガス口２４，２５，２６，２７，２８が設けられ
ている。両端のガス口２４，２８は、レーザー管
１２の端部室２９ａ，２９ｂを介して内管１６の
両端部に、中央のガス口２６は内管１６中央部に
連通している。他のガス口２５，２７は、左側の
一対の電極１８ａ，１８ｂおよび右側の一対の電
極１９ａ，１９ｂのそれぞれ中央において内管１
６に連通しており、結局、各ガス口２４，２５，
２６，２７，２８の間はガス流路１７ａ，１７
ｂ，１７ｃ，１７ｄによつて連通している。これ
らのガス口２４〜２８は、ガスの流通が円滑に行
われるよう充分径大に、具体的には第１図からも
明らかなように前記ガス流路の内径と同じ位かあ
るいはそれより若干大きい程度に径大となつてお
り、そしてこれらのガス口２４〜２８のうちガス
口２５，２７が供給用ガス口とされ、ガス口２
４，２６，２８が排出用ガス口とされる。また第
２図および第３図に拡大して一例を示すように、
各ガス口には先端部にコバールなどからなる円筒
管２９が溶着され、この円筒管２９に取付用の穴
３０ａを有したフランジ３０がはんだ付けされて
いる。

上述のように構成されたガスレーザー発振器１
１においては、例えば、中央の電極１８ａ，１９
ａを高圧側に、両端の電極１８ｂ，１９ｂを低圧
側に充電してそれぞれ放電させるとともに、ガス
口２５，２７からガスを供給し、ガス口２４、２
６、２８から排出するようにして使用する。ガス
口２５，２７から流入したガスは、４つのガス流
路１７ａ，１７ｂ，１７ｃ、１７ｄを分かれて流
通し、ガス口２４、２６、２８から流出するた
め、内管１６内を流れているガスの総流量が４倍
以上になり、出力が非常に増大する。すなわち、
同一圧力のガスを内管１６の端から端まで流通さ
せる場合と比較すると、有効面積が約４倍とな
り、且つ流路長が約４分の１となつて流路抵抗が
低くなる分だけ流速が速くなり、結局、ガスを供
給する側の圧力変動などを考慮しても優に４倍以
上のガス流量を得ることができるのである。これ
を第４図のものと比較すると、両レーザー管１，
１１の長さおよび外径を同一とした場合でも、有
効面積は約２倍、流路長が約２分の１となり、優
に２倍以上のガス流量を得ることができるのであ
る。

ガス口２４〜２８はガス流路１７ａ〜１７ｄ径
と同じかあるいはそれ以上の径大となつており、
しかも１つのガス口２５から流入したガスはガス
流路１７ａ，１７ｂ両端の２つのガス口２４，２
６から排出し、また同様に１つのガス口２７から
流入したガスはガス流路１７ｃ，１７ｄ両端の２
つのガス口２６，２８から流出するようになつて
いるために、ガスの流通が非常に良好となる。

上述の実施例において、ガスの流通を良くする
ために、排出側のガス口２４，２６，２８を特に
径大にしておくことが好ましい。実施例のレーザ
ー管１２は、内管１６内に４個の電極１８ａ，１
８ｂ，１９ａ，１９ｂを設けたものであるが、２
個の電極１８ａ，１８ｂのみのもの、つまり第１
図における左半分のものによつて構成したもので
もよく、また逆に電極をさらに増加した構成のも
のでもよい。ガス口２４…はレーザー管１２の軸
方向と直角方向に開口しているが、ガス口２４…
をエルボウ状にして軸方向と平行方向に開口する
ようにしてもよく、またガス口２４…に沿面距離
を長くして絶縁性を良くするためにじやばら状に
形成した波状管部を設けてもよい。

（考案の効果） 本考案は、ガス口を電極の近傍と互いに異極に
充電される電極の中間とに設けたことにより、レ
ーザー管内を流れるガスの総流量を増大させるこ
とができ、これによつてレーザー管の寸法やガス
圧を増加させることなくガスレーザー発振器の出
力を増大させることができ、しかも本考案による
と、構造が簡単で容易に実施することが可能であ
る。

更に本考案によれば、各ガス口はガス流路の内
径程度に径大となつていて、電極の近傍のガス口
が排出側ガス口、電極の中間のガス口が供給側ガ
ス口とされているため、ガス流路を流れるガスの
流量を、ガス供給圧力を高めることなくして容易
に増大させることができると共に、ガス流路内に
おけるガスの流通を良好にすることができ、これ
によつてレーザー発振器の出力を増大させること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示すガスレーザー発
振器を模式的に示す図、第２図は第１図の−
線を矢視断面した拡大図、第３図は第２図の矢
視図、第４図は従来のガスレーザー発振器を示す
図でる。 １１……ガスレーザー発振器（高速軸流型ガス
レーザー発振器）、１２……レーザー管、１７ａ，
１７ｂ，１７ｃ，１７ｄ……ガス流路、１８ａ，
１８ｂ，１９ａ，１９ｂ……電極、２４，２６，
２８……排出側ガス口、２５，２７……供給側ガ
ス口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ガス流路および複数個の放電用の電極が軸心に
   沿つて設けられたレーザー管を有する高速軸流型
   ガスレーザー発振器において、前記ガス流路に連
   通しガスを給排するためのガス口が、前記電極の
   近傍と前記電極のうち互に異極に充電される電極
   の中間とに設けられ、各ガス口は前記ガス流路の
   内径程度に径大となつていて、前記電極の近傍の
   ガス口が排出側ガス口、前記電極の中間のガス口
   が供給側ガス口とされていることを特徴とする高
   速軸流型ガスレーザー発振器。