JPH0444931B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明は電子天びんに関する。

(ロ) 従来技術 一般に、高感度の電子天びんにおいては、微小
振動等の一時的外乱によつて表示値が大きく変動
する。従来、この変動を抑止することを目的とし
て、荷重検出部からの荷重検出データの多数個を
平均化して秤量値として表示する方法が採られて
いた。しかし、このような従来方法によれば、荷
重変化時における表示の応答速度が非常に遅くな
る欠点を有し、特に、一定量のはかり込み作業等
において、微少量づつ載せてゆく試料重量が、所
定の時間経過後にしか表示されないので極めて使
いにくく、その改善が望まれていた。

(ヘ) 目的 本発明は上記に鑑みてなされたもので、荷重検
出データから速やかにそのデータの状態を判別し
て、安定状態にあるときには多数個のデータを平
均化してその表示値の安定を計るとともに、変化
状態にあるときには少ないデータを平均化して
刻々と表示することによつて表示の応答性を向上
せしめ、更に荷重検出データの変化が外乱による
ものであるときにはこれを判別し、そのデータを
採用せずに平均化処理を行うことにより、外乱に
よる表示値の変動をも防止し得る電子天びんの提
供を目的とする。

(ニ) 構成 本発明の構成を、第１図に示す機能ブロツク図
に基づいて説明する。

データ記憶手段１は荷重検出部２からのデジタ
ル変換データを所定時間ごとにサンプリングして
記憶する。そのサンプリングごとにデータ差算出
手段３によつて、最新のサンプリングデータd₀と
その直前の所定個のデータd₁、…、d_iとの差がそ
れぞれ算出される。データ安定判別手段４は、そ
の算出された各データ差が、Ｒを当該電子天びん
の精密度、ｉ＋１を規定個数、d_kをd₁…d_iのいず
れかとしたとき、 ｜d₀−d_k｜≦Ｒ√_i＋１ ……(1) を全て満足したときにのみデータが安定状態、そ
れ以外はデータ変化中と判別する。データが変化
中と判断されたとき、第１のデータ平均化手段５
によつて、データサンプリングごとに最新の規定
個数（ｉ＋１個）のデータによる平均値W_pが算
出されて、表示手段６によつて刻々と表示され
る。データが安定状態にあると判断されたとき、
第２のデータ平均化手段７によつて、データサン
プリングごとにデータ数を上述の規定個数から順
次増加して平均値W_p′が算出され、その値が表示
手段６によつて表示される。外乱判別手段８は、
平均値W_p′の表示中に、すなわちデータが安定状
態にあると判断されているとき、上記(1)式を満足
しないデータd₀がサンプリングされると、そのデ
ータd₀は外乱によるものと判断するとともに、そ
のようなデータd₀が継続してサンプリングされ、
かつ、そのデータ差（d₀−d₁）が前回のデータ差
と同極性にある場合に限り、データは安定状態か
ら変化状態に移行したと判断する。データd₀が外
乱によるものと判断されたときには、外乱処理手
段によつて、そのデータd₀は採用されず前回デー
タサンプリング時に算出された平均値W_p′に置換
され、データ記憶手段１にはその値W_p′が新採取
データd₀として格納される。この場合、第２のデ
ータ平均化手段７による平均値W_p′の表示が継続
される。また、外乱判別手段８によりデータが安
定状態から変化状態へ移行したと判断されたとき
には、直ちに第１のデータ平均化手段５による平
均値W_pの表示に切換えられる。

(ホ) 実施例 本発明実施例を、以下、図面に基づいて説明す
る。

第２図は本発明実施例の構成を示すブロツク図
である。

受け皿上の荷重を検出する荷重検出部１１は、
その検出値を所定の微小時間、例えば0.2秒ごと
にデジタル変換して出力し、そのデジタル変換デ
ータは制御部１２にサンプリングされる。制御部
１２はマイクロコンピユータで構成され、各種演
算やプログラムの実行および各周辺装置の制御を
行うCPU１３、後述するプログラム等が書き込
まれたROM１４、および上述のサンプリングデ
ータや各種演算結果等を記憶したり、各種レジス
タとしてのエリアを備えたRAM１５等によつて
構成され、これらは互いにバスラインによつて接
続されている。制御部１２には、各種初期値等の
設定の為のテンキーや操作キー等を備えたキーボ
ード１６、制御部１２からの指令信号に基づく数
値等を表示する表示器１７が接続され、さらに秤
量データ等を外部に出力する為の出力ポートが設
けられている。

次に、本発明実施例の作用を述べる。第３図は
本発明実施例のROM１４に書き込まれたデータ
処理用プログラムを示すフローチヤートである。

荷重検出部１１からのデジタル変換データは制
御部１２のRAM１５に取り込まれるが、RAM
１５では最大ｍ＋１個のデータを記憶するエリア
を有し、最新のデータd₀が到来するごとに最も古
いデータd_nが捨てられる（ST1、ST2）。最新の
データd₀が採取されると、そのデータd₀とその直
前に採取されたｉ個のデータd₁…d_iとの差がそれ
ぞれ算出される。この実施例ではｉ＝２としてお
り、差d₀−d₁およびd₀−d₂が算出され、これらが
前述した(1)式を満たしているかどうかの比較が行
なわれる（ST3、ST4）。なお(1)式には、あらか
じめキーボード１６からｉとＲを入力しておく。
すなわち、この実施例ではｉ＝２、この電子天び
んの精密度が0.3mgであるとすればＲ＝0.3が、あ
らかじめ入力されており、従つて(1)式右辺は約
0.52mgとなる。今、例えば受け皿上に荷重を載せ
ると、荷重検出部１１のステツプ応答の後、デー
タは時間とともにその荷重値に収束する。ST3、
ST4によりデータ差d₀−d₁およびd₀−d₂のいずれ
かが(1)式を満足しない間は、データは安定状態に
ないと判断され、規定個数ｉ＋１個（３個）のデ
ータd₀、d₁、d₂による平均値W_pが算出され
（ST8）、その値が表示器１７に刻々と表示される
（ST10、ST11）。やがてデータ差d₀−d₁およびd₀
−d₂のいずれもが(1)式を満足するに至れば、デー
タが安定状態に入つたと判断してデータサンプリ
ングごとにデータ数を規定個数ｉ＋１個から順次
増加して、ｉ＋１＋ｎ個のデータによる平均値
W_p′が算出され（ST13、ST14）、その値が表示
器１７に表示される（ST15、ST11）。なお、こ
の平均値W_p′算出の為のデータ数ｉ＋１＋ｎは、
RAM１５のデータ最大記憶個数ｍ＋１に達する
まで増加される（ST12）。また、このようにデー
タが安定状態にあると判断されると、安定フラグ
がセツトされる（ST15）。更に、ｎが増加してそ
の値があらかじめ設定された指定値に達したと
き、データは極めて安定状態にあるとして、例え
ば表示器１７の小数点や単位記号等を点滅させる
等の安定信号を発してその旨を報知する（ST16、
ST17）。

さて、このデータ安定状態において、サンプリ
ングされたデータd₀とその直前のデータd₁との差
が(1)式を満足しなかつたとき、ST3からST5を経
てST6へと進み、ここで極性メモリＳに既に極性
データが格納されているかが判断される。安定状
態における最初の(1)式を満足しないデータd₀の到
来時には、極性メモリＳにはデータが格納されて
いないので、このデータd₀は外乱による変化と見
做し、データd₀は採用されずその値は前回サンプ
リング時に算出された平均値W_p′、すなわち現時
点における表示値、に置き換えられてRAM１５
のd₀記憶エリアに格納され、同時にd₀−d₁の極性
が極性メモリＳに格納される（ST18）。更に、置
換後のデータd₀の値を用いて、平均値W_p′が算出
され（ST19）、表示器１７に表示される（ST19、
ST20）。そのようなデータの到来後に再び継続し
て(1)式を満たさないデータd₀が到来すれば（この
ときのd₁は前回のW_p′の値）、再びST3、ST5か
らST6へと進み、ここでは既に極性メモリＳにデ
ータが格納されているので、ST7に進む。ST7に
おいては、今回のd₀−d₁の極性が極性メモリＳに
格納された前回のd₀−d₁の極性と比較され、異極
性であるときには今回のデータd₀も前回同様外乱
によるものと判断され、ST18以下同様の処理が
実行される。ST7においてd₀−d₁の極性が前回の
極性と同極性と判断されたときに限り、データが
安定状態から変化状態に移行したと判断し、直ち
に規定個数ｉ＋１個（３個）のデータによる平均
値W_pを算出して表示器１７に表示するとともに
（ST8、ST10、ST11）、安定フラグをリセツト
し、小数点等を点滅等させる安定信号の発信を停
止し、また、ｎを０に、極性メモリＳの内容をリ
セツトする（ST9）。すなわち、データが安定状
態にあるときには、サンプリングデータd₀が(1)式
を満足しないときでも直ちにデータが変化状態と
なつたと判断せず、継続して(1)式を満足しないデ
ータd₀がサンプリングされ、しかもその変化方向
が所定の同一の向きへの変化であるときに限りデ
ータが変化状態に移行したと判断することによ
り、外乱によるデータ状態の誤判別を防止すると
ともに、外乱によるデータ変化は平均値W_p′算出
に影響を及ぼすことがない。

なお、上述の実施例において、規定個数ｉ＋１
個のデータによる平均値W_pが算出され、刻々と
表示されているときには、すなわち、データが変
化中には、第４図ａ又はｂに示す如く、表示器１
７における表示桁の末位を他の桁と異なる表示を
行わしめることにより、その旨を報知するよう構
成すれば、作業者はデータの状態を既座に判断す
ることができ、作業性を向上することができる。
第４図ａでは末位桁１７ａをバー表示に、同図ｂ
では末位桁１７ｂを小さな０の表示にした例を示
している。また、上述の実施例における安定信号
による小数点等の点滅等も、別途表示器１７に安
定表示ランプ１７ｃを設けてこれを点灯させるよ
う構成してもよい。

また、上述の実施例ではRAM１５にd₀……d_n
のｍ＋１個のデータを記憶する場合について説明
したが、RAM１５にはd₀…d_iのｉ＋１個のデー
タを記憶させるとともに、最大ｍ＋１個のデータ
加算容量を有する加算レジスタを用意し、平均値
W_p′の算出は加算レジスタの内容をその加算回数
で除して求めるよう構成することもできる。

(ヘ) 効果 以上説明したように、本発明によれば、当該電
子天びんの精密度Ｒを基準として、最新のサンプ
リングデータd₀とその直前のｉ個のデータとの差
によつてデータ状態の判定を行つているので、理
論的に最も速やかにデータの安定判別を行うこと
ができ、安定状態においては多数のデータによる
平均値W_p′を表示して秤量値の安定を確保すると
ともに、変化状態においては速やかに少ないデー
タ数による平均値W_pを表示して表示の応答性を
向上させることができる。すなわち、データ安定
状態において、微少量の試料を追加したとき、デ
ータの変化は平均値との差ではなく、直前数個の
生のデータとの差で捕らえられるので、速やかに
変化状態への移行を際知することができ、表示の
安定確保と応答性向上を同時に達成することがで
きる。また、安定状態から逸脱した生データがサ
ンプリングされても、その状態が２回継続し、最
新の生データd₀とその直前の生データd₁との差
（d₀−d₁）が連続して同一極性にある場合に限つ
て変動状態への移行と判定し、１度だけの逸脱
や、あるいは２度の逸脱でも逆方向への逸脱では
これを外乱と判定するから、外乱と皿上荷重の変
動とを正確に、かつ、迅速に判別でき、生データ
を安定判別に用いるために生じる恐れのある誤判
定の危険性もない。

更に、変動の場合には直ちに平均個数を少なく
して表示の応答性を向上させるばかりでなく、外
乱の場合には該当のデータを平均値W_p′と置換す
るから、外乱があつても全く表示値が変化せず、
安定した表示が継続される。

また、データ変化中における表示を、表示の末
位桁を他と異る表示とすれば、作業者がその旨を
直ちに知ることができ作業性の向上に寄与すると
ころ大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の構成を示す機能ブロツク図、
第２図は本発明実施例の構成を示すブロツク図、
第３図はそのROMに書き込まれたデータ処理用
プログラムを示すフローチヤート、第４図ａ，ｂ
はそれぞれ本発明の他の実施例の表示器による表
示例である。 １１……荷重検出部、１２……制御部、１３…
…CPU、１４……ROM、１５……RAM、１６
……キーボード、１７……表示器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 荷重検出部からのデジタル変換データを所定
   時間ごとにサンプリングして記憶するデータ記憶
   手段と、上記サンプリングごとに最新のデータd₀
   とその直前の所定個(i)のデータd₁、…d_iとの差を
   それぞれ算出するデータ差算出手段と、そのデー
   タ差が全て下記の式を満足したときのみデータが
   安定状態にあると判断するデータ安定判別手段
   と、データが安定状態にないとき、データサンプ
   リングごとに最新の規定個数（ｉ＋１）のデータ
   による平均値W_pを算出する第１のデータ平均化
   手段と、データが安定状態にあるとき、データサ
   ンプリングごとに上記規定個数からデータ数を順
   次増加して平均値W_p′を算出する第２のデータ平
   均化手段と、データの安定状態において下記の式
   を満足しないデータd₀がサンプリングされたと
   き、そのデータd₀を外乱によるものと判断すると
   ともに、継続して下記の式を満足しないデータd₀
   がサンプリングされ、かつ、そのデータ差（d₀−
   d₁）が前回のデータ差（d₀−d₁）と同極性にある
   ときに限り、データが安定状態から逸脱したと判
   断する外乱判別手段と、データd₀が外乱によるも
   のと判断されたとき、そのデータd₀を前回サンプ
   リング時において算出された上記平均値W_p′に置
   換処理する外乱処理手段と、データの状態に応じ
   て算出された上記平均値W_p又はW_p′を表示する
   表示手段とを備えた電子天びん。 ｜d₀−d_k｜≦Ｒ√_i＋１ ここでＲ；当該電子天びんの精密度 d_k；d₁又は…又はd_i ２ 上記表示手段により上記平均値W_pが表示さ
   れているとき、その表示の末位桁を他の桁と異ら
   しめることにより、データが安定状態にない旨を
   報知し得るよう構成したことを特徴とする特許請
   求の範囲第１項記載の電子天びん。