JPH0443715B2

JPH0443715B2 -

Info

Publication number: JPH0443715B2
Application number: JP58145056A
Authority: JP
Inventors: Hirohisa Seto; Akihiro Yanai; Minoru Nishihara
Original assignee: Sumitomo Metal Industries Ltd
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 1983-08-10
Filing date: 1983-08-10
Publication date: 1992-07-17
Also published as: JPS6038068A

Description

【発明の詳細な説明】

産業上の利用分野本発明は、特定の樹脂エマルジヨンを特定量含
有する処理液を使用して、電磁鋼板上に、打抜
性、溶接性に優れた絶縁皮膜を形成する方法に関
する。従来技術電磁鋼板の絶縁皮膜は、大きく分けて、クロム
酸塩系の無機質皮膜と、アクリル樹脂、酢酸ビニ
ル樹脂等を用いた有機質皮膜の２種類に大別され
る。前者の無機質皮膜は、高温での変質が少く、焼
付性、溶接性も良いが、潤滑性が悪く、ダイスで
打抜く場合にダイス摩耗が激しく、直ぐにかえり
が大きく発生し、ダイスをひんぱんに取換える必
要がある。後者の有機質皮膜は、これと逆で、ダ
イス打抜性は良いが、溶接性が劣り、耐熱性も充
分ではない欠点がある。そこで最近は、無機質皮膜を形成した上に、更
に有機質皮膜を形成させる二重皮膜性、或いは、
クロム酸塩、リン酸塩の混合溶液に有機樹脂エマ
ルジヨンを添加した混合溶液を使用して、一度で
塗布、焼付を行う複合皮膜法が行われるようにな
り、種々の特許出願がなされている。しかし、二層皮膜法は上層が樹脂であるため打
抜性は良好であるが、塗布、焼付を２回行うため
コストが高くなる欠点があり、また複合皮膜法で
形成した皮膜は、無機質と有機質の混合物である
ので、打抜性を改善するには少くとも20％程度
（焼付皮膜重量比）の樹脂分を混合する必要があ
るが、その場合には溶接性が犠牲となり、結局溶
接性、打抜性共に若干劣つている。即ち、打抜
性、溶接性、耐熱性等すべて良好で、安価な皮膜
は未だ得られていないのが現状である。発明の目的本発明者らは従来品の上記問題点を改善すべく
研究した結果、従来のクロム酸系溶液に特にフツ
素樹脂又はポリエチレン樹脂の１種或いは２種の
樹脂エマルジヨンを混合した処理液を用いた場合
には、１回の塗布、焼付により形成した皮膜が、
表面層に樹脂分が浮上し、下層部にクロム濃度が
高い、二層状態の焼付皮膜となることを見出し、
本発明を完成したものである。即ち、本発明は、１回の塗布、焼付によつて、
従来品に比して打抜性、溶接性共に、著しく優れ
た絶縁皮膜を提供するものである。発明の構成本発明は、従来のクロム酸系溶液に、焼付皮膜
重量の５〜40wt％に相当する樹脂分を有する、
特にフツ素樹脂又はポリエチレン樹脂の一種或い
は二種の樹脂エマルジヨンを混合した型式の処理
液を用いて、電磁鋼板に１回の塗布、焼付によつ
て絶縁皮膜を形成する方法である。フツ素樹脂、
ポリエチレン樹脂は、ともに非極性で溶解度パラ
メーターの小さい物質であり、その為、鋼板及び
クロメーター皮膜との濡れ性が悪い。一方、クロ
メート皮膜は鋼板との塗れ性が良く、クロメート
皮膜が下層に、樹脂が上層に分離しがちで、皮膜
表面のクロム強度が大巾に低下する。従つて、表
面は樹脂分が非常に多くなり打抜性は向上する。
また、樹脂分が表面に集る結果、樹脂分の多い皮
膜層が薄くなり、溶接性も改善される。フツ素樹脂、ポリエチレン樹脂の各エマルジヨ
ンは、単独又は併用して使用することも可能であ
るが、他の非極性エマルジヨンに比べて、特に分
離傾向が大きいので、アクリル樹脂、ポリ塩化ビ
ニル、酢酸ビニル等の他の樹脂を耐食性向上等の
目的で少量加えても、本発明の効果を損なうもの
ではない。樹脂エマルジヨンの量を５〜40wt％
に限定したのは、５％以下では、相対的に打抜性
に、また、40％以上では、溶接性に影響が見ら
れ、５〜40％の範囲が実験的に両方の性質が最も
良好な範囲であるからである。次に、本発明で使用する処理液に含有されるそ
の他の各成分について記載する。クロム化合物および２価又は３価金属の水酸化
物又は酸化物は、公知のクロム酸系溶液で使用し
ているものであり、皮膜の耐食性、耐熱性を高め
るクロム化合物としては、CrO₃、K₂Cr₂O₇
CaCr₂O₇、Na₂Cr₂O₇、MgCr₂O₇等が、また、液
の安定性及び造膜性を高める水酸化物としては、
Ca（OH）₂、Mg（OH）₂、Zn（OH）₂、Al（OH）₃等
が、さらに酸化物としては、CaO、MgO、ZnO、
NiO、H₃BO₃等があげられる。本発明においても、これらの化合物を、それぞ
れ単独で、又は２種以上組合せて使用できる。リン酸又はリン酸塩としては、H₃PO₄、
K₃PO₄、K₂HPO₄、KH₂PO₄、CaHPO₄、Ca
（H₂PO₄）₂等があげられる。これらの化合物は、
皮膜の密着性向上のために、単独で又は２種以上
組合せて使用できる。また、Al又はAl化合物は、
皮膜の耐焼付性を向上するもので、１種又は２種
以上用いることができる。次に実施例によつて、本発明をさらに具体的に
説明する。実施例１クロメート液(A)と、樹脂エマルジヨン(B)(C)(D)を
下記のように調整した。クロメート液(A) 溶液1000ｇ中に、CrO₃133ｇ、Ca（OH）₂60ｇ、
H₃PO₄58.8ｇ、エチレングリコール（焼付直前に
添加）40ｇを含有する。フツ素樹脂エマルジヨン(B) 固形分60％、粒径0.1μ〜1.0μ ポリエチレンエマルジヨン(C) 固形分20％、粒径1.0μ以下アクリルエマルジヨン(D) 固形分50％ (A)1000ｇに、(B)、(C)、(D)、をそれぞれ表１に示
す量加え、処理液を得た。この処理液をロールコ
ーターにより鋼板に塗布し、電気炉で焼付を行つ
た。（板温、300〜320℃）焼付皮膜重量に対する
樹脂のwt％は20％と５％で、膜圧は0.5〜1.0μ（付
着量は約３ｇ／m²）であつた。このようにして形成された皮膜について、二層
化の判定を行つた。ESCAによる表面分析を行な
い、表面に存在するCr量を測定した。さらに、
各皮膜の打抜性を比較した。これらの結果を表１
に示す。表１より、フツ素樹脂エマルジヨン、ポリエチ
レン樹脂エマルジヨンを使用した本発明の方法に
よれば、クロメート皮膜が分離し、アクリル樹脂
エマルジヨンを使用した従来法と比較して、遥か
に優れた打抜性を有することがわかる。

【表】

【表】実施例２クロム化合物、水酸化物、リン酸塩、樹脂エマ
ルジヨンの種類と量等を変えた処理液の実施例
（No.１〜No.５）と比較例（No.６〜No.９）について、
打抜性と溶接性を試験した。その結果を表２に示
す。表２から明らかなように、本発明のであるNo.１
〜No.５においては打抜性、溶接性共に良好である
が、フツ素樹脂、ポリエチレン樹脂分が焼付皮膜
重量の５〜40wt％の範囲を外れた場合には、No.
６では樹脂分が多過ぎて溶接性が劣り、またNo.７
〜No.９では、打抜性、溶接性共にやや劣る。発明の効果フツ素樹脂エマルジヨン又はポリエチレン樹脂
エマルジヨンを所定量含有した処理液による焼付
皮膜は、従来法の複合皮膜法の場合に比し、打抜
性において２〜４倍に向上し、同時に、溶接性も
優れたものが得られる。

【表】

Claims

【特許請求の範囲】１無水クロム酸、重クロム酸塩等のクロム化合
物と、２価又は３価金属の水酸化物又は酸化物
と、焼付皮膜重量の５〜40wt％に相当する樹脂
分を有するフツ素樹脂又はポリエチレン樹脂の一
種或いは二種の樹脂エマルジヨンとを含有する処
理液を、電磁鋼板に塗布、焼付することを特徴と
する絶縁皮膜形成法。２無水クロム酸、重クロム酸塩等のクロム化合
物と、２価又は３価金属の水酸化物又は酸化物
と、焼付皮膜重量の５〜40wt％に相当する樹脂
分を有する、フツ素樹脂又はポリエチレン樹脂の
１種或いは二種の樹脂エマルジヨンと、リン酸又
はリン酸塩とを含有する処理液を、電磁鋼板に塗
布、焼付することを特徴とする絶縁皮膜形成法。３無水クロム酸、重クロム酸塩等のクロム化合
物と、２価又は３価金属の水酸化物又は酸化物
と、焼付皮膜重量の、５〜40wt％に相当する樹
脂分を有する、フツ素樹脂又はポリエチレン樹脂
の一種或いは二種の樹脂エマルジヨンと、Al又
はAl化合物とを含有する処理液を、電磁鋼板に
塗布、焼付することを特徴とする絶縁皮膜形成
法。４無水クロム酸、重クロム酸塩等のクロム化合
物と、２価又は３価金属の水酸化物又は酸化物
と、焼付皮膜重量の５〜40wt％に相当する樹脂
分を有する、フツ素樹脂又はポリエチレン樹脂の
一種或いは二種の樹脂エマルジヨンと、リン酸又
はリン酸塩と、Al又はAl化合物とを含有する処
理液を、電磁鋼板に塗布、焼付することを特徴と
する絶縁皮膜形成法。