JPH0443427Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ この考案は、自動車等の車両のパネルを接合す
る際の組付け技術の分野に属する。

＜従来の技術＞ 一般に、自動車等の車両には各種のパネルが使
用され、その多くはスポツト溶接により対向する
パネル相互が接合されるようにされているが、接
合に際し接合面に対する風雨等の浸入を防止する
ためのスポツトシーラ等のシール材が使用されて
いる。

このようなスポツトシーラ等のシール材を介在
させて車両後部のクオータパネルとクオータイン
ナリヤパネルとをスポツト溶接したものとして、
第４図に示される構造が公知である。

当該第４図の構造においては、車両後部の水平
方向から垂直方向に断面Ｌ字型の強度を有する形
状にされて延在する１枚のクオータパネル１の内
外に各々シール材としてのスポツトシーラ２，３
を介して、垂直方向の１枚の同じく断面Ｌ字型の
クオータインナリヤパネル４、及び、水平方向の
１枚のロアバツクパネル５を接合して溶接されて
いる。

このように、クオータパネル１とクオータイン
ナリヤパネル４の基端部の重合部分の形状もスポ
ツトシーラ２が充分にシール機能を果たすよう断
面Ｌ字状等に屈曲成形されている。

又、見映えの悪い屈曲形成部はバンパ６により
覆われ、外側からは見えないようにされている。

ところが、クオータパネル１とクオータインナ
リヤパネル４の基端部の重合部分がバンパ６によ
り覆い隠されない場合においては第５，６図に示
す様に、パネルが車体外観を構成することから、
クオータパネル１の形状を滑らかにするためその
水平方向部分と垂直方向部分をコーナ部でスムー
スに湾曲させている。

＜考案が解決しようとする課題＞ ところで、一般にパネル相互は所定の治具を介
して高さ位置を規制し、相対的な水平方向移動に
より押し込み式に組付する態様が生産上も設備上
にも具合が良い。

特に、クオータパネル１とクオータインナパネ
ル４とを所定の治具を介して高さ位置を規制し、
水平方向に押し込んで組付する場合は第５図、第
６図に示される矢印の様に、車両幅方向に水平移
動してパネル相互を組付けすることが生産上、設
備上望ましい。

しかしながら、クオータパネル１とクオータイ
ンナリヤパネル４とを矢印に示される水平幅方向
に押し込んで組付する場合においては、組付方向
とクオータパネル１とクオータインナリヤパネル
４の合わせ面方向とのなす角αが小さくなる。

このため、クオータパネル１に対してクオータ
インナリヤパネル４を水平移動によつて矢印方向
へ押し込み式に組付ける際にクオータインナリヤ
パネル４がクオータパネル１に対してスポツトシ
ーラ２が削り取られる方向に押圧して接合され、
したがつて、削り取られる分だけ該スポツトシー
ラ２が多量に必要となる欠点があつた。

その結果、多量のスポツトシーラ２の塗布作
業、及び、その後の乾燥作業に時間がかかり、作
業がスムースになさ難い難点があり、結果的に作
業コストがかかる不利点があつた。

この考案の目的は、上述従来技術に基づく生産
設備上等の関係から相対的に水平移動式の組付に
よる車両のパネル組付体構造の問題点を解決すべ
き技術的課題とし、車体外観に悪影響を与えない
ように水平部から垂直部にかけてのサイズを設計
上大きく制限される形状のクオータパネルに対し
てクオータインナリヤパネルを確実に密着するこ
とが出来、上記サイズも充分にとれるようにし、
又、ロアバツクパネルとの水平移動式の組付け作
業も良好に行なえるようにして車両産業における
接合技術利用分野に益する優れた車両のパネル組
付体構造を提供せんとするものである。

＜課題を解決するための手段＞ 上述目的に沿い先述実用新案登録請求の範囲を
要旨とするこの考案の構成は前述課題を解決する
ために、車両後部のクオータパネルの水平方向か
ら垂直方向にかけてのスムースな湾曲したコーナ
部にその内側からクオータインナリヤパネルの下
側がシール材を介して相対的に水平移動押し込み
式に接合されている車両のパネル組付体構造であ
つて、１枚のクオータインナリヤパネルの下側が
クオータパネルの内側の上記シール材に向かつて
垂直部からオーバーハング状に突出した屈曲部を
連続的に形成され、該屈曲部に対応するクオータ
パネルとクオータインナリヤパネルとの接合部の
接合接線方向と該クオータインナリヤパネルの水
平移動の押し込み方向とのなす角が上記シール材
をクオータパネルとクオータインナリヤパネルと
の間の接合部に充填される角度にされる車両のパ
ネル組付体構造とした技術的手段を講じたもので
ある。

＜作用＞ 而して、車両後部の１枚のクオータパネルの水
平部から垂直部にかけてのスムースな湾曲したコ
ーナ部に、内側から１枚のクオータインナリヤパ
ネルを、外側からは１枚のロアバツクパネルを
各々シール材を介して相対的に水平移動押し込み
式に重合して組付けする際に、該クオータパネル
の内側のコーナ部にシール材を塗布した後、該シ
ール材に向かつて形成されたクオータインナリヤ
パネルの垂直部から下部にかけて一体的連続的に
オーバーハング状に突出した屈曲部を該シール材
に押圧させて該クオータインナリヤパネルをクオ
ータパネルに重合させると、該クオータパネルと
の接合部に対応するクオータインナリヤパネルと
の接合部の接合接線方向と該クオータインナリヤ
パネルの押し込み方向とのなす角が上記シール材
をクオータパネルとクオータインナリヤパネルと
の間に均一に充填される角度にされていることか
ら、押圧されたシール材がクオータパネルとクオ
ータインナリヤパネルとの間に充分に均一に充填
されてクオータパネルの内側から削り取られるこ
ともなく、加えて、押出されたシール材はクオー
タインナリヤパネルの屈曲部の周面に回り込み、
確実なシールがなされ、併せてクオータパネルと
クオータインナリヤパネルの水平方向の間隔を広
くとれるようにしたものである。

＜実施例＞ 次に、この考案の１実施例を第４図を援用し、
第１，２，３図に基づいて説明すれば以下の通り
である。

尚、第５，６図以下の図面と同一態様部分につ
いては同一符号を用いて説明するものとする。

第１図に示す様に、車両（自動車）７の後部に
は、前方から所定に水平方向より垂直方向にスム
ースに湾曲して屈曲形成された１枚のクオータパ
ネル１′の端部に内側からは１枚のクオータイン
ナリヤパネル４′が外側からは１枚のロアバツク
パネル５が前述した生産上の都合から相対的に水
平移動押し込み式に接合されるようにされてい
る。

尚、８はリヤフロアである。

而して、クオータパネル１′は、その上部側の
第１図の−断面として第４図に示す様に、ほ
ぼ垂直方向に曲折されたクオータインナリヤパネ
ル４′に対してシール材としてのスポツトシーラ
２を充填出来る形状にスムースに湾曲して屈曲形
成され、又、該クオータパネル１′の外側に他の
スポツトシーラ３を介して重合されるロアバツク
パネル５とクオータインナリヤパネル４′とで挾
持され、スポツト溶接されている。

このようにして、各パネルの接合作業がなさ
れ、その後の乾燥工程を経た後、バンパ６が取り
付けられるが、クオータパネル１′はスポツトシ
ーラ２のシール機能を充分に果たすように、クオ
ータインナリヤパネル４′に沿つて湾曲形成して
も外観上何等問題は生じない。

そこで、クオータパネル１′のバンパ６の取付
部の下側に於いては、第１図−断面として第
２図に示す様に、該クオータパネル１′は車体７
の外観を構成するため、外側にスポツトシーラ３
を介して接合されるロアバツクパネル５と共に水
平方向から垂直方向にスムーズに湾曲形成され、
水平部分のサイズを充分大きくとられ、断面略Ｌ
型により強度も充分有するようにされている。

そして、該クオータパネル１′のコーナ部の１
部にスポツトシーラ２が予め所定量塗布介設さ
れ、該スポツトシーラ２が塗布された接合部９に
対して、垂直部から下部にかけて水平方向に突出
した屈曲部１０をオーバーハング状に一体的、且
つ、連続的に有するクオータインナリヤパネル
４′の該屈曲部１０が第３図矢印方向へ前述した
様に、水平移動押し込み式に押圧されて接合され
るように形成されている。

したがつて、該クオータインナリヤパネル４′
の屈曲部１０の上側平面部分はクオータパネル
１′に対し水平方向で充分な間隔を形成されて両
パネル１′，４′が接合されても車両構造上何等の
支障も生ぜず、クオータパネル１′の水平部分の
サイズを充分にとれる。

そして、他のスポツトシーラ３を介してクオー
タパネル１′の外側から接合されたロアバツクパ
ネル５と共に該クオータパネル１′とクオータイ
ンナリヤパネル４′がスポツト溶接される。

この間、車両７の幅方向としてのロアバツクパ
ネル５の長手方向（即ち、押し込み方向）と、上
記接合部９の接線方向とのなす角が、第２図に示
す様に、スポツトシーラ２を押圧状態でクオータ
パネル１′の接合部９とクオータインナリヤパネ
ル４′の屈曲部１０との間で被圧的に均一に充填
される充分大きな角度βとされ、このようにされ
ていることから、該クオータインナリヤパネル
４′をクオータパネル１′に矢印方向に押進して押
し込み式に組付ける場合にスポツトシーラ２が先
述在来態様の如く小さなα角によつて削り取られ
てシール性が低下するようなことはない。

又、クオータインナリヤパネル４′の屈曲部１
０により水平方向に押し込みされるスポツトシー
ラ２が第２図に示す様に、クオータインナリヤパ
ネル４′側に回り込むため、シールがより確実に
なされることになる。

更に、第２図に示す様に、クオータインナリヤ
パネル４′とクオータパネル１′の接合部９にスポ
ツトシーラ２の充填部１１を積極的に均一な介在
状態になるように形成させれば、より一層シール
性を向上出来る。

そして、クオータインナリヤパネル４′の下部
にオーバーハング状の屈曲部１０が連続的一体的
に形成されることから、該クオータインナリヤパ
ネル４′が１枚板で形成されても強度的に充分と
なり、シーラ２の充填状態も均一になる。

尚、この考案の実施態様は上述実施例で限られ
るものでないことは勿論であり、例えば、クオー
タパネルやクオータインナリヤパネルのシール材
の塗布部に対して所謂しぼ加工を施す等種々の態
様が採用可能である。

＜考案の効果＞ 以上、この考案によれば、基本的に、車両の外
観を構成するがために、その形状が制約を受ける
１枚のクオータパネルに対して、１枚のクオータ
インナリヤパネルを相対的な水平移動押し込み方
式により確実に組付けることは勿論のこと、両者
間に介装されるシール材により充分に確実なシー
ルが行ない得る優れた効果がある。

又、クオータインナリヤパネルがクオータパネ
ル内側のシール材に向かつて垂直部から下部にか
けて連続的、一体的にオーバーハング状の突出し
た屈曲部を有することにより、両パネルを接合し
た際に押圧されるシール材がクオータインナリヤ
パネルの屈曲部、及び、クオータパネルの接合部
に均一な充填状態にされることにより充分に確実
なシールが行なえるという優れた効果がある。

更に、クオータインナリヤパネルの屈曲部に対
応するクオータパネルとの接合部の接合接線と、
押し込み幅方向とのなす角がシール材を両パネル
間に均一に充填される大きな角度にされることに
より、クオータインナリヤパネルをクオータパネ
ルに押し込んで組付ける際にシール材が削り取ら
れることがなく、設計通りに均一充填状態にされ
ることからシール効果が低下せず、その分シール
材の量も少なく出来るという優れた効果がある。

そして、組付ける際にシール材がクオータイン
ナリヤパネルの屈曲部の上側に回り込んでシール
性をより確実にする効果がある。

更に、クオータインナリヤパネルの屈曲部とク
オータパネルの接合部と接線と押し込み方向の角
度を大きくすることによつてシール材の量をより
少なくすることが出来ることからコストダウンに
つながるという利点もある。

そして、クオータインナリヤパネルの垂直部か
ら下部にかけてオーバーハング状の突出した屈曲
部を連続的、一体的に形成することにより１枚の
クオータインナリヤパネルでありながらその下部
の強度を充分大きくし、又、クオータパネルのク
オータインナリヤパネルに対する水平方向の距離
を充分大きくとれ、車両組付等に支障をきたさな
いという効果もある。

加えて、組付け作業性も良く、シール材も少量
ですむためコストダウンが図れるメリツトもあ
る。

そして、パネルの相対的な水平方向移動押し込
み式の組付が可能であることから生産設備の空間
的容積を大きくとらずに済むことになり、設備コ
ストの低減が図れる利点があり、他の設備との干
渉性が少く、作業性も良くなるという利点が向上
出来る。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図は、この考案の１実施例を示し、第
１図は、車両後部の部分斜視図、第２図は第１図
−断面図、第３図は第２図の組付け状態を示
す断面図、第４図は従来及びこの考案の実施例を
示す第１図−断面図、第５図は従来技術の第
２図相当断面図、第６図は他の従来技術の第３図
相当断面図である。 １……車両、１′……クオータパネル、４′……
クオータインナリヤパネル、２……シール材、１
０……屈曲部、９……接合部、β……圧接角。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車両後部のクオータパネルの水平方向から垂直
   方向にかけてのスムースに湾曲したコーナ部にそ
   の内側からクオータインナリヤパネルの下側がシ
   ール材を介して相対的に水平移動押し込み式に接
   合されている車両のパネル組付体構造において、
   １枚のクオータインナリヤパネルの下側がクオー
   タパネルの内側の上記シール材に向かつて垂直部
   からオーバーハング状に突出した屈曲部を連続的
   に形成され、該屈曲部に対応するクオータパネル
   とクオータインナリヤパネルとの接合部の接合接
   線方向とクオータインナリヤパネルの下部の水平
   移動の押し込み方向とのなす角が上記シール材を
   クオーターパネルとクオータインナリヤパネルと
   の間の接合部に均一に充填される角度にされてい
   ることを特徴とする車両のパネル組付体構造。