JPH0440596Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 この考案は、内容液をヒータによつて加熱沸騰
させることができる電気ポツトに於ける、内容液
の注出と、内容液の加熱沸騰時の蒸気の放出とを
切換える切換弁を強固にシールする沸騰型電気ポ
ツトのシール構造に関する。

(ロ) 従来技術 上述の沸騰型電気ポツトの内容液を注出する場
合、第３図に示すように、容器本体２と気密連通
するエアーポンプ１４を押圧して、加圧空気を容
器本体２内に吹込み、この加圧空気で内容液を外
部に注出するように構成する。

また、内容液を加熱沸騰させる場合、例えば、
容器本体２内と連通する蒸気放出路２５ｂを設け
て、沸騰により発生する蒸気を大気に放出して湯
温上昇による内圧上昇を防止することが必要であ
る。

そして、これらの両作用には、エアーポンプ１
４と容器本体２との間に形成した通気孔２５ａを
兼用しており、該通気孔２５ａは、上述のエアー
ポンプ１４から空気を吹込む吹込孔１８ａ、及び
外部に連通する蒸気放出路２５ｂの下方に形成し
ている。

したがつて、上述の内容液を外部に注出する際
には、エアーポンプ１４から吹込孔１８ａを通過
した空気が、容器本体２内を充分に加圧するよう
に、蒸気放出路２５ｂを閉塞する必要がある。ま
た、一方、加熱沸騰時には、蒸気放出路２５ｂを
開放する必要がある。

そして、従来、沸騰型電気ポツトでは、弾性部
材より形成され、吹込孔１８ａの周縁にシールし
た切換弁２４で、両作用に共通の通路となる通気
孔２５ａを開口、閉口することによつて、蒸気放
出路２５ｂの閉塞、及び開放を行つていた。

そして、その切換弁２４の吹込孔１８ａの周縁
１８ｂに対するシールは、高周波溶着で行つてい
た。

(ハ) 考案が解決しようとする問題点 しかし、上述のように、エアーポンプ１４の作
動時及び非作動時に、シール部分を基端にその形
状を変えて通気孔２５ａを開口、閉口する切換弁
２４を、高周波溶着によつてシールしたのでは、
エアーポンプ作動時が加圧を要することからも、
また、常時蒸気に晒されることからも、そのシー
ル状態は明らかに悪化しやすいもので、シールが
外れることがあつた。

この切換弁２４のシールが外れた場合、エアー
ポンプ１４からの加圧空気が通気孔２５ａを通過
せずに、外れたシール部分から逃げ出してしま
い、どのようにエアーポンプを作動させても内容
液を注出することはできず、最早、ポツトとして
の通常の利用ができない。

この考案は、上述のような問題点を考慮して、
切換弁２４のシールを簡単な構造によつて強固に
する沸騰型電気ポツトのシール構造の提供を目的
とする。

(ニ) 問題点を解決するための手段 この考案は、ヒータによつて内容液を加熱沸騰
するタンクと、該タンクの上方でポンプ下板によ
つて支持され、該ポンプ下板の吹込孔からタンク
内に空気を送り込むエアーポンプと、該エアーポ
ンプとタンクとの間に介在し、上記吹込孔とタン
クとを連通する通気孔、及びタンクと大気とを連
通しタンク内の蒸気を大気に放出する蒸気放出路
とを有する筒状体と、該筒状体に包囲され、上部
が上記ポンプ下板裏面の吹込孔外周に位置し、下
部が上記エアポンプの作動時に上記通気孔を開口
し、蒸気放出路を閉塞する切換弁とを設けた沸騰
型電気ポツトであつて、前記筒状体の上端に弁挾
持部を形成し、該弁挾持部で前記切換弁上部の外
縁を上記ポンプ下板に挾持固定した沸騰型電気ポ
ツトのシール構造であることを特徴とする。

(ホ) 作用 この考案の沸騰型電気ポツトのシール構造は、
エアーポンプの作動によつて切換弁の上部周縁に
エアー圧が作用しても、これを筒状体の弁挾持部
による挾持によつてシール性を保持する。

(ヘ) 考案の効果 上述のように、この考案によれば、切換弁を積
極的に挾持固定するので、従来のような溶着によ
る固定と異なり、そのシール状態は強固となり、
不測に外れたりして加圧空気の洩れ等が発生する
ことはなく、長期間ポンプの機能を損うことなく
使用できる。

しかも、その構造は、沸騰型電気ポツトに不可
欠な蒸気放出路を有した筒状体の上端に形成した
弁挾持部によつているため、特別の構造を設ける
ことなく簡単なので、製造に手間が掛からず、ま
た、従来の高周波溶着に比べ安価で行える。

(ト) 実施例 この考案の一実施例を以下図面に基づいて詳述
する。

図面は沸騰型電気ポツトの内容液の注出、又は
蒸気の放出のいずれかに切換える切換弁のシール
構造を示している。

まず、沸騰型電気ポツトの全体から説明する
と、第１図に示すように、この電気ポツト１は、
容器本体２の内部にタンク３を内装し、このタン
ク３の上端に口金部４を形成している。

上述のタンク３は、下方外周壁に装着したヒー
タ５の加熱により内容液を熱湯化し、このタンク
３底面に接続した注出管６を介して内容液を外部
に注出する。

前述の口金部４には、後部側に蓋体７を回転軸
８で回動可能に枢着し、前部側に左右一対で互い
が内面側に突出する係止片４ａ，４ａを形成して
いる。

上述の蓋体７は、前部側に常時スプリング９で
外方向に付勢された左右一対のロツクボタン１
０，１０を出没可能に設け、この各ロツクボタン
１０，１０の下方に形成された各フツク１０ａ，
１０ａが前述の各係止片４ａ，４ａと係合するこ
とにより、前述の口金部４と蓋体７とを開放不可
に係合すると共に、前述のタンク３の上端開口部
を、蓋体７下面の気密蓋１１に嵌着係合したシー
ルリング１２により気密化する。

この蓋体７の係合解除は、各ロツクボタン１
０，１０を押圧することで、各係止片４ａ，４ａ
と各フツク１０ａ，１０ａが離脱され開放可能と
なる。

上述の蓋体７は、上面中央部にガイド孔７ａを
貫通形成し、このガイド孔７ａにプツシュ１３を
上下動可能に係合している。

また、このプツシュ１３の内面中央部にポンプ
押圧部１３ａを一体的に形成して、後述するエア
ーポンプ１４の吸気弁１５上部に当接している。

前述のエアーポンプ１４は、例えば軟質の合成
樹脂で上下方向へ伸縮可能な筒状のベローズ１６
を形成し、このベローズ１６の上端開口縁にポン
プ上板１７を、下端開口縁にポンプ下板１８をそ
れぞれ高周波溶着で一体的に溶着して、その内部
を気密室空間に形成すると共に、このポンプ上板
１７とポンプ下板１８間にスプリング１９を内設
して、エアーポンプ１４を常時膨張する方向に付
勢している。

前述のポンプ上板１７の中央部には、作動具装
着管１７ａが下方に向かって垂設され、この作動
具装着管１７ａの上方側には、前述の吸気弁１５
が上下動可能であつて、且つ下端に形成したスト
ツパ片１５ａ，１５ａで上動を規制した状態に係
合し、そして、作動具装着管１７ａの下方側に
は、弁材２０を嵌着固定した作動具２１が上下動
可能であつて、且つ上端に形成したフランジ部２
１ａで下動を規制した状態に係合すると共に、こ
の吸気弁１５と作動具２１間にスプリング２２を
介設して、吸気弁１５を上方向へ、作動具２１を
下方向へ相互が離間する方向に常時付勢してい
る。

前述の弁材２０は、三層の円筒状に形成して周
壁に通気溝２０ａを形成すると共に、前述のポン
プ下板１８の中央部に開口した吹込孔１８ａに貫
通して上下動可能に設け、上段部に前述の作動具
２１を嵌着固定している。

上述の弁材２０には、中段部に円板状の蒸気止
弁２３を嵌着固定して、この弁材２０が上方に位
置するとき、すなわち前述のプツシュ１３が押圧
されない状態の注出休止時には、ポンプ下板１８
の裏面側より、蒸気止弁２３を吹込孔１８ａの周
面に圧接してエアーポンプ１４内に蒸気が侵入す
るのを閉塞する。

さらに、下段部には軟質の合成樹脂で形成した
伸縮可能な切換弁２４を嵌着固定して、弁材２０
が下方に位置するとき、すなわち前述のプツシュ
１３が押圧された状態の液注出時には、第２図に
示すように、下部に配設した筒状体２５の通気孔
２５ａ周面に圧接して、前述のタンク３とエアー
ポンプ１４とを気密連通させ、エアーポンプ１４
よりの加圧空気を前述の通気孔２５ａを介してタ
ンク３内に吹込ませ、タンク３内の内容液を注出
管６を介して外部に注出する。

ここで、冒頭で述べたシール構造について説明
する。前述の筒状体２５は、上面を開放して円筒
状に形成し、上端周縁は、凸条を形成して弁挾持
部２５ｃとしている。そして、この弁挾持部２５
ｃをポンプ下板１８の吹込孔１８ａ外周に位置さ
せる切換弁２４の外縁２４ａに当接すると共に、
前述の気密蓋１１をポンプ下板１８のリブ１８ｃ
にねじ止めして、上述の筒状体２５の下端に設け
たシールパツキン２６を上方へ向けて押圧しなが
ら固定することで、上端の弁挾持部２５ｃで切換
弁２４の外縁２４ａを挾持固定してシールし、前
述の容器本体２とエアーポンプ１４間を気密連通
させている。

上述の筒状体２５の一側部には蒸気放出路２５
ｂを一体的に圧設して、筒状体２５内に流入した
蒸気を外部に誘導すると共に、蒸気放出路２５ｂ
に配設した沸騰サーモスタツト２７に蒸気を吹付
けて、この蒸気温により内容液の沸騰を検知しヒ
ータ５の加熱を制御する。

このように構成した沸騰型電気ポツト１のシー
ル構造は、上述のように、沸騰型電気ポツト１に
不可欠な蒸気放出路２５ｂを有した筒状体２５の
上端の弁挾持部２５ｃによつて、積極的に切換弁
２４の外縁を挾持して、ポンプ下板１８に対して
気密状態を保つてシールする。

したがつて、従来のような溶着による固定と異
なり、そのシール状態は強固となつて、エアーポ
ンプ１４によるエアー圧により不測に外れたりし
て加圧空気の洩れ等が発生することはなく、長期
間ポンプの機能を損うことなく使用できる。

しかも、その構造は、沸騰型電気ポツト１に不
可欠な蒸気放出路２５ｂを有した筒状体２５の上
端に形成した弁挾持部２５ｃによつているため、
特別の構造を設けることなく簡単な構造でよいの
で、製造に手間が掛からず、また、安価で行え
る。

なお、この考案は、上述の実施例に限ることな
く、例えば、先の実施例では筒状体２５上端の弁
挾持部２５ｃを気密蓋１１のねじ止めで間接的に
位置固定して、切換弁２４のシールを行つたが、
筒状体２５をポンプ下板１８に対して直接的に固
定して切換弁２４のシールを行うもよい。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示し、第１図は沸
騰型電気ポツトの縦断面図、第２図は沸騰型電気
ポツトの注出動作を示す要部縦断面図、第３図は
従来例を示す要部縦断面図である。 １……沸騰型電気ポツト、２……容器本体、３
……タンク、１４……エアーポンプ、１８……ポ
ンプ下板、１８ａ……吹込孔、２４……切換弁、
２５……筒状体、２５ｂ……蒸気放出路、２５ｃ
……弁挾持部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ヒータによつて内容液を加熱沸騰するタンク
   と、該タンクの上方でポンプ下板によつて支持さ
   れ、該ポンプ下板の吹込孔からタンク内に空気を
   送り込むエアーポンプと、該エアーポンプとタン
   クとの間に介在し、上記吹込孔とタンクとを連通
   する通気孔、及びタンクと大気とを連通しタンク
   内の蒸気を大気に放出する蒸気放出路とを有する
   筒状体と、該筒状体に包囲され、上部が上記ポン
   プ下板裏面の吹込孔外周に位置し、下部が上記エ
   アポンプの作動時に上記通気孔を開口し、蒸気放
   出路を閉塞する切換弁とを設けた沸騰型電気ポツ
   トであつて、前記筒状体の上端に弁挾持部を形成
   し、該弁挾持部で前記切換弁上部の外縁を上記ポ
   ンプ下板に挾持固定した沸騰型電気ポツトのシー
   ル構造。