JPH0440587Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、例えば米飯、芋、パン菓子等の食品
の蒸成、殺菌或は冷凍品の解凍に用いて好適な高
温加熱式食品処理装置に関する。

（従来の技術） 従来、食品の蒸成、殺菌等を行うための食品処
理装置としては、器内の被処理食品を高湿下で過
熱することにより蒸成、殺菌等を行う所謂蒸し器
が広く知られている。この種の蒸し器は、器内に
吹き込む蒸気のみによつて器内及び被処理食品を
加温するものであり、大気圧で100℃の器内温度
を保持するためには多量の蒸気を器内に注入する
ように構成されている。

（考案が解決しようとする課題） このように、従来技術では加熱手段と加湿手段
とが単一の構成になつているため、器内湿度を高
めようとすると器内に湿り蒸気が充満することに
なる。そして湿り蒸気の一部が結露して水分過多
になり、被処理食品の表面が過度に湿潤して品質
が低下してしまうという欠点がある。

また、器外への放熱のために蒸し器の壁面に結
露が生じ易く、熱損失を招くと共に器機の腐食を
促進して耐久性を低下させるという欠点がある。

本考案は上述した従来技術の欠点に鑑みなされ
たもので、加熱手段と加湿手段とを別個に設ける
ことにより、水濡れのない良好な食品蒸成を行う
ことができると共に、食品の殺菌、解凍も行うこ
とができる多用途に使用可能な高温加熱式食品処
理装置を提供するものである。

（課題を解決するための手段） 上述した課題を解決するために構成された本考
案の手段は、底部、左、右壁部、後壁部及び天井
部を有し、前方が開口部になつたケーシングと、
該ケーシングに螺着され、前記開口部を開閉可能
に密閉するドアと、前記ケーシング内に前記壁部
に沿つて配設された蒸気配管組立体と、該蒸気配
管組立体に加熱蒸気を供給するための蒸気供給管
と、前記蒸気配管組立体に供給された加熱蒸気を
外部に排出するための加熱蒸気排出管と、被処理
食品を蒸成するため蒸成蒸気を前記ケーシング内
に供給するための蒸成蒸気吹込管と、前記ケーシ
ング内に供給された蒸成蒸気を外部に放出するた
めの蒸成蒸気放出管と、前記蒸気配管組立体の内
側に位置して前記ケーシング内に設置したトレイ
支持体とからなり、前記蒸気配管組立体を少なく
とも前記左、右壁部に沿つて前記ケーシング内上
部に配設され、一端側が前記蒸気供給管と接続さ
れる供給管接続部になると共に、他端側が閉塞部
になつた蒸気導入管と、該蒸気導入管と対向して
前記ケーシング内下部に配設され、一端側が閉塞
部になると共に、他端側が前記加熱蒸気排出管と
接続される排出管接続部になつた蒸気導出管と、
互いに横方向に離間して前記蒸気導入管と蒸気導
出管との間に接続された複数の連通管とから構成
したものからなる。

そして、前記蒸気配管組立体は前記ケーシング
の底部、左、右壁部及び後壁部に対向して配設す
るとよいし、前記蒸気導出管の排出管接続部に
は、該蒸気導出管を実質上封閉する蒸気トラツプ
を設けるとよい。

また、前記蒸気配管組立体を構成し、所定間隔
離間して隣接する前記複数の連通管の間に、多数
の管状伝熱体を軸方向に離間して嵌合固着すると
よい。

（作用） 上記蒸気配管組立体には加熱蒸気が供給され被
処理食品を収容したケーシング内を所定の温度に
まで加熱できる。この状態で、ケーシング内には
蒸成蒸気吹込管を介して蒸成蒸気が供給され、被
処理食品の蒸成が行われる。

ケーシング内の加熱作用と被処理食品の蒸成作
用は別個に制御することができるから、ケーシン
グ内は所望の湿度と温度に制御できる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づき詳述す
る。

図において１はケーシングを示し、該ケーシン
グ１は谷形状に凹陥し、中央に蒸気吹出口（図示
せず）が開口形成された底部２、該底部２の左、
右側縁から対抗して立ち上がつた右壁部３及び左
壁部４、底部２の後側縁から該左、右壁部３，４
と一体的に立ち上がつた後壁部５及び底部２に対
向して該各壁部３，４．５の上端に設けられ、中
央に蒸気吹出口（図示せず）が開口形成された山
形状の天井部６とによつて箱形に形成されてお
り、前方は開口部７になつている。そして、上記
ケーシング１は架台８上に支持されている。

９は蝶番１０，１０を介してケーシング１に取
着され、前記開口部７を開閉可能に閉塞するドア
を示す。該ドア９はケーシング１に設けたロツク
レバー１１を回動操作することにより、開口部７
の口縁に沿つてケーシング１に設けたパツキン
（図示せず）に圧接され、蒸気の漏出を防止する
ようになつている。

１２はケーシング１内を高温に保つための蒸気
配管組立体を示し、該蒸気配管組立体１２は縦型
組立体１３と後述する横型組立体２０とから構成
されている。１４は前記縦型組立体１３を構成す
る蒸気導入管で、該蒸気導入管１４は右側管部１
４Ａ、後側管部１４Ｂ及び１４Ｃによつて平面略
形に形成されている。そして、該蒸気導入管１
４は左、右壁部３，４及び後壁部５に沿つてケー
シング１内の上部に配設されており、その一端側
は供給管接続部１４Ｄになり、他端側は閉塞部１
４Ｅになつている。

一方、１５は蒸気導出管で、該蒸気導出管１５
は右側管部１５Ａ、後側管部１５Ｂ及び左側管部
１５Ｃによつて平面略形に形成されている。そ
して、該蒸気導出管１５は左、右壁部３，４及び
後壁部５に沿つてケーシング１内下部に蒸気導入
管１４と対向するように配設され、その一端側は
閉塞部１５Ｄになり、他端側は排出管接続部１５
Ｅになつている。１６は該排出管接続部１５Ｅに
接続された加熱蒸気排出管を示し、該加熱蒸気排
出管１６の先端には蒸気トラツプ１７が設けられ
ている。

次に、１８，１８、……は前記蒸気導入管１４
と蒸気導出管１５とに上、下の軸端側がそれぞれ
接続された複数の連通管で、該連通管１８，１
８、……はケーシング１の各壁部３，４，５に沿
つて鉛直に、かつ、蒸気導入管１４及び蒸気導入
管１５の軸方向に沿つて互いに所定間隔離間した
状態で列設されている。

１９，１９、……は伝熱面積を増大してケーシ
ング１内の加温を効果的に行うための管状伝熱体
で、該各管状伝熱体１９は軸方向両端側が開口し
た中空の短管からなつている。そして、各管状伝
熱体１９は互いに軸方向に離間した状態で隣接す
る一対の連通管１８，１８の間に鉛直状に嵌合さ
れ、その外周面が連通管１８の外周面と溶接手段
によつて固着されている。

かくして、本実施例の縦型組立体１３は、一端
側が供給管接続部１４Ｄになり、他端側が閉塞部
１４Ｅになつて平面略形の蒸気導入管１４と、
一端側が閉塞部１５Ｄになり、他端側が排出管接
続部１５Ｅになつた平面略形の蒸気導出管１５
と、該蒸気導入管１４と蒸気導出管１５との間に
所定間隔離間して鉛直状態に接続された複数の連
通管１８，１８、……と、軸方向に所定間隔離間
して連通管１８，１８、……の間に鉛直状に嵌着
された多数の管状伝熱体１９，１９、……とから
構成されており、ケーシング１の右壁部３、後壁
部５及び左壁部４に沿つた状態で立設されてい
る。

一方、２０は前記縦型組立体１３の下方に位置
してケーシング１内に設けられた横型組立体を示
し、該横型組立体２０は、蒸気導出管１５と連通
した蒸気導入倒置管２１及び蒸気導出倒置管２２
と、該各倒置管２１，２２間に接続された複数の
連通倒置管２３，２３、……と、該連通倒置管２
３，２３、……間に嵌着された多数の管状伝熱体
２４，２４、……とから構成されている。

２５は上述した蒸気配管組立体１２に加熱媒体
としての蒸気を供給するための蒸気供給管を示
す。該蒸気供給管２５は基端側がボイラーなどの
蒸気発生器（図示せず）に接続され、先端側が蒸
気導入管１４の供給管接続部１４Ｄと接続されて
おり、途中には圧力計２６、ストレーナ２７、電
磁式流量調節弁２８がそれぞれ設けられている。

２９はケーシング１内に被処理食品蒸成用の蒸
気を吹き込むための蒸成蒸気吹込管を示し、該蒸
成蒸気吹込管２９の一端側２９Ａは前記蒸気供給
管２５の途中に接続され、他端側２９Ｂはケーシ
ング１の蒸気吹込口と接続されており、その途中
には手動式と電磁式の流量調節弁３０，３１がそ
れぞれ設けられている。３２は蒸気が被処理食品
Ａに直接かかるのを防止するためのバツフル板
で、該バツフル板３２は蒸気吹込口と横型組立体
２０との間に位置してケーシング１に内設されて
いる。

一方、３３は前記蒸成蒸気吹込管２９を介して
ケーシング内に供給された蒸成蒸気を外部に放出
するための蒸成蒸気放出管を示し、該放出管３３
は天井部６の蒸気放出口に接続されている。

次に、３４は蒸気配管組立体１２の内側に位置
してケーシング１内に設けられたトレイ支持体を
示し、該トレイ支持体３４はケーシング１内の
左、右に位置して立設された前後各一対の右側支
柱３４Ａ，３４Ａ及び左側支柱３４Ｂ，３４Ｂ
と、該各一対の支柱３４Ａ，３４Ａ，３４Ｂ，３
４Ｂ間に水平に架設された複数段の支持レール３
４Ｃ，３４Ｃ、……とから構成されており、同じ
高さに位置する左右の一対の支持レール３４Ｃ，
３４Ｃ間に被処理食品Ａを収容したトレイＢを挿
脱可能に支持するようになつている。

更に、３５は温度調節器、タイマー、ブザー、
スイツチ等を備えた制御ボツクスで、該制御ボツ
クス３５はケーシング１内の内側上部に設けた制
御用温度計３６及び前記電磁式流量調節弁２８，
３１と信号線３７，３８，３９をそれぞれ介して
接続されている。

なお、図中４０はケーシング１の底部２に設け
られたドレン排出部、４１はケーシング１の正面
上方の視認し易い位置に設けられたケーシング内
温度計をそれぞれ示す。

本実施例は上述の構成からなるが、次にその作
動について説明する。

まず、被処理食品Ａを収容したトレイＢをトレ
イ支持体３４の支持レー３４Ｃ，３４Ｃ上に乗
せ、ドア９を閉めてロツクレバー１１，１１によ
りケーシング１内を気密にロツクする。

次に、制御ボツクス３５の温度調節器、タイマ
ーなどを操作して、被処理食品Ａに応じた蒸成条
件を設定し、始動スイツチを操作する。これによ
り電磁式流量調節弁２８が開弁し、蒸気発生器か
らの蒸気が蒸気供給管２５を介して蒸気配管組立
体１２の蒸気導入管１４に流入する。この蒸気配
管組立体１２は蒸気によつて全体が加熱され、ケ
ーシング１内を所望の設定温度に保つためのヒー
タ、つまり全体がパネルヒータの様な働きを行
う。

そして、蒸気配管組立体１２に加圧蒸気を供給
することにより、ケーシング１内の温度を飽和温
度以上に保ち、結露を防止することができる。例
えば、圧力２Kg／cm²Ｇの蒸気の飽和温度は約133
℃であるから、ケーシング１内の温度を100℃以
上に保つことが可能である。このようにして蒸気
配管組立体１２を加熱した後の蒸気は、加熱蒸気
排出管１６、蒸気トラツプ１７を介して外部に排
出される。

一方、蒸気発生器により生成された蒸気の一部
は蒸成蒸気として蒸気供給管２５から蒸成蒸気吹
込管２９、蒸気吹込口を介してケーシング１内に
供給される。ケーシング１内の湿度は流量調節弁
３０の開度を調整し、ケーシング１内に供給され
る蒸気量を制御することにより行われる。そし
て、被処理食品Ａを蒸成した後蒸気は蒸成蒸気放
出管３３を介して外部に放出される。

上述した蒸成工程におけるケーシング１内の温
度制御は、制御用温度計３６から送られてきた温
度データと温度調節器により予め設定しておいた
設定温度とを比較し、開閉信号を電磁式流量制御
弁２８に送つて該流量制御弁２８を開閉動作さ
せ、蒸気量を調節することによつて行う。そして
タイマーによつて蒸成時間をカウントし、ブザー
によつて蒸成時間経過を作業者に知らせる。

叙上の如く本実施例によれば、蒸気配管組立体
１２を縦型組立体１３及び横型組立体２０によつ
て構成したから、ケーシング１内を速やかに所望
温度にまで昇温できるし、加熱温度の上限を高く
設定することができる。また、蒸気導出管１５に
続く蒸気排出管１６の先端には蒸気トラツプ１７
を設けたから、蒸気の排出又は再利用を容易に行
うことができる。

更に、蒸気配管組立体１２の連通管１８，１
８、……間には多数の管状伝熱体１９，１９、…
…を嵌着したから、伝熱面積を著しく増大するこ
とができ、高い熱効率を得ることができる。ま
た、管状伝熱体１９はその軸線が鉛直状態のとき
には結露の水滴が滞留することはないし、倒置状
態のときには水滴は外周面を伝わつて下方に流れ
るから、公知の伝熱フインと比較して極めて水切
れが良い。従つて単に伝熱面積を拡大するだけで
なく、連通管１８内部の温度低下を防止すること
もできる。

更に、本実施例のケーシング１は天井部６を山
型に形成したから、天井部６で生じた結露水は壁
面に沿わせて左、右壁部３，４側に流出させるこ
とができ、被処理食品Ａに水滴が落下するのを防
止できる。そして水滴は左、右壁部３，４を伝わ
つて流れ落ちる間に輻射熱を受けて再び蒸気にな
る。

なお、本実施例では採用しなかつたがケーシン
グ１を断熱材によつて保温することにより、熱損
失を低減させるように構成してもよい。また、本
実施例では蒸気吹込管２９をケーシング１の底部
２側に接続し、蒸気放出管３３を天井部６側に接
続したが、該吹込管２９、放出管３３の位置を
上、下逆に配管してもよい。

（考案の効果） 本考案は以上詳述した如くであつて、ケーシン
グ内の加熱手段と加湿手段とを個別に構成したか
ら下記の諸効果を奏する。

ケーシング１内を飽和温度以上に保つことが
できるから、結露を防止できると共に、被処理
食品の表面の過度の湿潤を防止できる結果、水
濡れのない良質な食品を蒸成できる。

ケーシング内を低湿度で高温の状態に設定で
きるから、食品の殺菌、冷凍品の解凍、更には
食品の焼成等の多様な用途に使用することがで
きる。

上記項と同じ理由からケーシング内面に水
滴が付着するのを防止できるし、付着した水滴
は速やかに蒸発させることができるから、蒸気
の有効利用、蒸気消費量の低減を図ることがで
きるし、器機の腐食を防止して耐久性を向上さ
せることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係る高温加熱式食品
処理装置の外観斜視図、第２図はドアを開いて高
温加熱式食品処理装置の内部構造を示す正面図、
第３図は第２図中の−矢示方向断面図、第４
図は蒸気配管組立体の全体構成を示す斜視図、第
５図は実施例装置における蒸気の流れを示した系
路図である。 １……ケーシング、７……開口部、９……ド
ア、１２……蒸気配管組立体、１４……蒸気導入
管、１５……蒸気導出管、１６……蒸気排出管、
１８……連通管、２１……蒸気導入倒置管、２２
……蒸気導出倒置管、２３……連通倒置管、２５
……蒸気供給管、２９……蒸成蒸気吹込管、３３
……蒸成蒸気放出管、３４……トレイ支持体、Ａ
……被処理食品、Ｂ……トレイ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 底部、左、右壁部、後壁部及び天井部を有
   し、前方が開口部になつたケーシングと、該ケ
   ーシングに螺着され、前記開口部を開閉可能に
   密閉するドアと、前記ケーシング内に前記壁部
   に沿つて配設された蒸気配管組立体と、該蒸気
   配管組立体に加熱蒸気を供給するための蒸気供
   給管と、前記蒸気配管組立体に供給された加熱
   蒸気を外部に排出するための加熱蒸気排出管
   と、被処理食品を蒸成するための蒸成蒸気を前
   記ケーシング内に供給するための蒸成蒸気吹込
   管と、前記ケーシング内に供給された蒸成蒸気
   を外部に放出するための蒸成蒸気放出管と、前
   記蒸気配管組立体の内側に位置して前記ケーシ
   ング内に設置したトレイ支持体とからなり、前
   記蒸気配管組立体を少なくとも前記左、右壁部
   に沿つて前記ケーシング内上部に配設され、一
   端側が前記蒸気供給管と接続される供給管接続
   部になると共に、他端側が閉塞部になつた蒸気
   導入管と、該蒸気導入管と対向して前記ケーシ
   ング内下部に配設され、一端側が閉塞部になる
   と共に、他端側が前記加熱蒸気排出管と接続さ
   れる排出管接続部になつた蒸気導出管と、互い
   に横方向に離間して前記蒸気導入管と蒸気導出
   管との間に接続された複数の連通管とから構成
   してなる高温加熱式食品処理装置。 (2) 前記蒸気配管組立体を前記ケーシングの底
   部、左、右壁部及び後壁部に対向して配設した
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲１項
   記載の高温加熱式食品処理装置。 (3) 前記蒸気導出管の排出管接続部側には、該蒸
   気導出管を実質上封閉する蒸気トラツプを設け
   たことを特徴とする実用新案登録請求の範囲１
   項記載の高温加熱式食品処理装置。 (4) 前記蒸気配管組立体を構成し、所定間隔離間
   して隣接する前記複数の連通管の間に、多数の
   管状伝熱体を軸方向に離間して嵌合固着したこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲１項記
   載の高温加熱式食品処理装置。