JPH0440096Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は天井埋込型薄形空気調和機など天井取
付用空気調和機に係り、特に、渦気流の発生を防
止し得る仕切板構造に関する。

（従来の技術） 第４図に示すように２個のハウジング遠心型フ
アンのロータ６，６を所定間隔の下で軸平行させ
て同一方向の回転可能に配設し、その周囲に前記
ロータ６，６の軸と直交する方向の横断面が馬蹄
形をなすクロスフインコイル形熱交換器３を囲繞
させて設けた構造の空気調和機は比較的薄形であ
り、かつ、コンパクトな構造であつて、天井埋込
型に多用されている。

（考案が解決しようとする問題点） この空気調和機は、前述するようにロータ６，
６が同一方向に回転するために、ロータ６，６間
の最も間隔が狭い空所においては、第４図に図示
するように吹出し空気の流れは互いに反対方向に
なつて衝突する結果、ここで空気の乱れが生じて
渦気流となり、エネルギーの損失が可成り大きい
のと、騒音の発生につながるのが問題であつた。

そこで本考案は上述の問題点を解消することが
可能な構造の空気調和機を提案しようとして成さ
れたものであつて、渦気流を全然発することがな
い特有形状の仕切板を所定個所に設置してなる構
成とすることによつて空気流の乱れを少なくまた
は皆無にさせて所期目的を達成し得るに至つたの
である。

（問題点を解決するための手段） そこで本考案は実施例によつても明らかな如
く、２個の遠心型フアン２，２のロータ６，６を
所定間隔で軸平行させて同一方向の回転可能に配
設し、その周囲に、前記ロータ６，６の軸と直交
する方向の横断面が馬蹄形をなすクロスフインコ
イル形熱交換器３を囲繞させて設けると共に、２
個のロータ６，６に挟まれる中間位置に、相対向
する熱交換器３_A，３_C間に亘らせた仕切板５を設
けて天井取付用空気調和機を構成し、さらに前記
仕切板５は、両ロータ６，６の軸を結んで形成さ
れる面に直交する平面部を中央部に、曲面部を両
端部に夫々有する横断面Ｓ字状をなしているとと
もに、前記曲面部が、ロータ６，６の回転方向を
基準としてロータ羽根が近付く側では凹面で対面
し、遠去かる側では凸面で対面する弧面に形成さ
れていることを特徴とする。

（作用） 回転中のロータ６から略々接線方向に送り出さ
れる風は仕切板５の凹面をなす曲面部によつてス
ムースに方向転換され、しかも仕切板５が介在し
ていることによつて相手方のロータ６による気流
との干渉は無く、その結果、空気流の乱れが極め
て少なくなつて周囲の熱交換器３に流れ込み、か
くして運転音が静粛で熱交換効率の高い空気調和
機を提供し得る。

（実施例） 以下、本考案を添付図面にもとづいて説明す
る。

第１図、第２図は天井埋込型の空気調和機であ
つて、細長い直方体をなすケーシング１内には、
２個のハウジング遠心型フアン２，２とクロスフ
インコイル形熱交換器３とを収設しており、ま
た、ケーシング１の室内に臨む面となる下面は開
口部となつていて、この開口部を掩わせてグリル
４が取着されている。

遠心型フアン２は、ロータ６及び該ロータ６に
直結したモータ７からなり、モータ７をケーシン
グ１の上面板に取り付けた台座に固定して、２個
のロータ６，６をケーシング１の長手側中心線に
沿わせ、かつ所定間隔を存して軸平行させて設け
るとともに両ロータ６，６を同一方向に回転可能
となしている。

一方、クロスフインコイル形熱交換器（以下、
熱交換器と称する）３は、相対向する１対の直方
体状をなす直状部３_A，３_Cと、Ｕ字状に湾曲した
曲状部３_Bとを単一体又は接合により一体した複
合体で形成した熱交換器であつて、２個のロータ
６，６を囲ませた周囲に配設しており、全体とし
てロータ６，６の軸と直交する方向の横断面が馬
蹄形をなすと共に、前記直状部３_A，３_Cがロータ
６，６の軸を結んで形成される面に平行をなす配
置で固定されている。

前記グリル４は、長手方向の中央部に吸込グリ
ル８を、該吸込グリル８を挟み両側に吹出グリル
９，９を夫々開設していて、所定の個所に取付け
た状態では吸込グリル８が前記ロータ６，６の真
下に位置し、吹出グリル９，９は、熱交換器３の
反ロータ６，６側外面に臨む吹出空気通路の出口
に連通可能に位置するようになる。

上述の構成を有する空気調和機は、ロータ６，
６を駆動し、熱交換器３に冷媒又はブラインを流
通させて冷房運転を行わせると、吸込グリル８か
ら吸込んだ室内空気は遠心型フアン２，２のロー
タ６，６によつて周囲の熱交換器３に吹き当てら
れる結果、冷却されてその外面側の吹出空気通路
を経、吹出グリル９，９から室内に向け冷風とな
つて送出され、この流通過程を繰り返すことによ
つて冷房が行われる。

この場合、前述する如く、ロータ６，６の間の
空所で乱流が生じるのを防止するために、ロータ
６の軸に直交する方向の断面がＳ字状をなす仕切
板５を所定個所に介設せしめている。

上記仕切板５は、図示する如く２個のロータ
６，６に挟まれる中間位置に相対向する熱交換器
３の直状部３_A，３_C間に亘らせて設けるが、平面
部を中央部分に、その両側の端部分に曲面部を連
ねて有する形態をなして、前記平面部を両ロータ
６，６の軸を結んで形成される面に対して直交
し、かつ両軸間距離を２分する中心位置に合致さ
せて配設せしめている。

しかして前記両曲面部は、ロータ６，６の同一
回転方向を基準として特定した条件の曲面に形成
してなるものであつて、回転するロータ６の羽根
が近付く側では凹面で対面し、遠去かる側では凸
面で対面する如き弧面に形成し、例えばロータ６
の軸を中心とした円の一部に相当する如き円弧面
などが好適である。

叙上の構造になる仕切板５を設けたことによつ
て、互いに向き合う方向となつてロータ６，６か
ら遠心方向に吹出す流動空気は、仕切板５が介在
するために衝突することがなくて乱流が少なくな
ることは当然であり、さらに回転するロータ６の
羽根が近付く側における仕切板５は凹面の曲面部
と平面部とが連なつていて遠心型フアンのハウジ
ング形状に相似していることから、流動空気に対
して抵抗増とならなくむしろ誘導作用をなしてス
ムースに流動作用の方向変換を行う。

かくして気流は乱流が存在せずにスムースな遠
心流となるために送風効率が高くなると同時に送
風音が低下し静粛運転が可能である。

なお、第３図に送風音低減特性を示してなる如
く、本考案に係るＳ字状仕切板５を設けたものに
対して、平面部のみからなる仕切板を設けたも
の、仕切板を全然有しないものを参考として、
各々についての送風音（オーバオール値）の周波
数−デシベル特性を夫々順に線イ，ロ，ハで表わ
して比較示した結果から明らかなように、仕切板
を有しないものに比較して125Hz域では1.5デシベ
ル、500Hz域では2.5デシベルの減衰効果が奏され
ていることが判然としている。

かくして低周波乃至中周波の領域での運転音が
下がつたことから、静粛感は十分満たされるもの
である。

（考案の効果） 本考案は断面Ｓ字状をなす仕切板５をロータ
６，６間に介在したことによつて、２基のフアン
から送出される風の衝突がなくなり、渦の発生を
防止し得るのと、仕切板５によつて流動空気が抵
抗なく極めてスムースに送り出されることとなつ
て、エネルギー損失が軽減され、送風効率は向上
する。

さらに運転時の騒音（送風音）が一段と小さく
なつてきたことにより、病院、事務所等静粛性が
強く要求される場所での利用が推進される。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の実施例に係る立面
図及び第１図における−線矢視図である。第
３図は音周波数と音デシベルとの関係を本考案例
と従来例との比較により示す特性図、第４図は従
来の空気調和機の例の略示構造図である。 ２……遠心型フアン、３……クロスフインコイ
ル形熱交換器、５……仕切板、６……ロータ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ２個の遠心型フアン２，２のロータ６，６を所
   定間隔で軸平行させて同一方向の回転可能に配設
   し、その周囲に、前記ロータ６，６の軸と直交す
   る方向の横断面が馬蹄形をなすクロスフインコイ
   ル形熱交換器３を囲繞させて設けると共に、２個
   のロータ６，６に挟まれる中間位置に、相対向す
   る熱交換器３_A，３_C間に亘らせた仕切板５を設け
   てなり、前記仕切板５は、両ロータ６，６の軸を
   結んで形成される面に直交する平面部を中央部
   に、曲面部を両端部に夫々有する横断面Ｓ字状を
   なしているとともに、前記曲面部が、ロータ６，
   ６の回転方向を基準としてロータ羽根が近付く側
   では凹面で対面し、遠去かる側では凸面で対面す
   る弧面に形成されていることを特徴とする天井取
   付用空気調和機。