JPH0440042Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案の自動車のコンプレツサー等に用いられ
るPTFE単体シールのオイルシールより成る密封
装置に関する。

（従来の技術） 従来のこの種密封装置としては、例えば第２図
に示すようなオイルシールがある。斯かる従来例
において、１００は図中右方向の密封流体Ｆ側へ
延びるシールリツプ１０１を備えたPTFE（強化
プラスチツク）製のシールリングで、そのリツプ
先端１０１ａは回転軸Ｓ表面と接触してシール部
を形成している。１０２は該シールリング１００
の密封流体側側面に沿つて延びるゴム状弾性体製
のパツキンで、そのリツプ先端１０２ａも回転軸
Ｓ表面と接触している。１０３は上記パツキンの
基端側に埋設された金属製の内環である。

さらに、従来のオイルシールにおいては、上記
シールリング１００の大気側に平板状の補強リン
グ１０４が組付けられており、これ等のシールリ
ング１００、パツキン１０２及び補強リング１０
４の外周側は外筒１０５によつて一体的にかしめ
止めされている。１０７は外筒１０５に凹設した
嵌合溝１０６内に取付けられるＯリングで、ハウ
ジング１０８と該オイルシールユニツト間をシー
ルしている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上記した従来例にあつては、単
一の外筒１０５によつて三つの構成部品（シール
リング、パツキン及び補強リング）をかしめ止め
する構造になつていることから、かしめ止めの精
度如何によつてはオイルシールユニツトの外周側
における密封性能が左右され、場合によつてはオ
イルシールユニツトとハウジング間に漏れ不具合
を生じる等の欠点を有していた。このため、勢い
かしめ工程に製作時間を採られることとなり、製
品のコスト高を招くといつた問題点を生じてい
た。

さらに、従来例の上記した構造によると、オイ
ルシールユニツトとハウジング１０８間を密封す
るものとしてＯリング１０７の使用が不可欠であ
ることから、外筒１０５にＯリング１０７を装着
するための嵌合溝１０６を形成する際に、外筒の
曲げ加工を余儀なくされるばかりか、Ｏリングの
使用分だけ部品点数が増加するといつた問題を生
じていた。

更にまた、密封流体Ｆの圧力が上昇すると、Ｏ
リング１０７とハウジング１０８とにより形成し
たシール面から密封流体Ｆが漏れる虞れもあつ
た。

そこで、本考案は従来例の上記した問題点を解
決するためになされたもので、その目的とする処
は、簡易な方法でかしめ精度を高められるように
なし以つて密封性能の向上を図れるようにすると
共に、パツキンにＯリングの外周シール機能を営
なませることによつて部品点数の削減と加工工程
の簡素化を図ることにある。

更にまた、密封流体の高圧時におけるハウジン
グ側シール面のシール性を向上させることを目的
としている。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、この考案におい
ては、外筒と内環との間に回転軸に当接してシー
ル作用を営む単一のシールリングのみを挾持せし
め、また当該シールリングの密封流体側であつて
上記内環の内周側には略Ｕ字形の環状パツキンを
密封流体側に開口させて圧入せしめると共に、該
パツキンの外周端にはハウジング内面に密接せし
められるアウターシール部を形成して成り、アウ
ターシール部の内周側に、密封流体の圧力を受け
て該アウターシール部を外周側へ弾性変形させる
べく密封流体側に露出した受圧部を設けて構成さ
れている。

（作用） 以上の構成を有する本考案においては、回転軸
表面に当接してシール機能を営なむシールリング
単体のみを外筒と内環との間にかしめ止めによつ
て挾着させるものであり、単一部品をかしめ止め
する構造になつていることから、かしめ精度に狂
いを生じるおそれがなく、従つてハウジング側の
流体漏れやかしめ作業に長時間を要することもな
い。また外筒との間でシールシングを挾持する内
環の内周側に圧入されるパツキンにはアウターシ
ール部が一体的に設けられていることから、ハウ
ジングとの間にハウジング側シール面を形成で
き、従来例に見られるようなＯリングを別に用意
しなくても、ハウジング側のシールを確実に行な
える。

更に、密封流体の圧力が上昇して該圧力が受圧
部に加わると、アウターシール部が外周側へ弾性
変形するためハウジング側シール面の接面圧力が
高まる。

（実施例） 以下に、本考案を図示の実施例に基づいて説明
すると、本考案の第一実施例を示す第１図におい
て、１は図中右方向の密封流体Ｆ側に延びるシー
ルリツプ２を備えたPTFE（強化プラスチツク）
製のシールリングで、そのリツプ先端２ａは回転
軸表面と所定の圧力で接触して単体シール部を形
成する。３は上記シールリング１の密封流体Ｆ側
に配設された軸方向へ所定の幅を有する金属製の
内環で、該内環の大気側端部には半径方向内方へ
屈曲するフランジ３ａが設けられていて、前記シ
ールリング１の密封流体側側面に当接するように
なつている。４はシールリング１と内環３の外周
側に配置されてハウジング５内面に圧接せしめら
れる外筒で、この外筒４は密封流体側端部と大気
側端部にそれぞれ半径方向内方へ延びる短尺フラ
ンジ４ａと長尺フランジ４ｂとを一体的に備えて
おり、このうち短尺フランジ４ａは内環３の密封
流体側端部に当接せしめられるのに対して、反対
側の長尺フランジ４ｂはシールリング１の大気側
側面と全面接触する。従つて、シールリング１と
内環３とを凹所４ｃ内で保持する外筒４の密封流
体側端部４ａをかしめれば、シールリング１は内
環側のフランジ３ａと外筒側のフランジ４ｂとの
間に確実に装着される。

次に６は前記シールリング１の密封流体Ｆ側で
あつて内環の内周側に圧入される略Ｕ字形の断面
形状を有するゴム状弾性体製の環状パツキンで、
密封流体Ｆ側に開口せしめられている。而してこ
のパツキン６の内周側端部に形成されたリツプ先
端６ａは回転軸表面と当接して補助シール機能を
営なむと共に、反対側の外周側端部には前記外筒
４を乗り越えてハウジング５内面に当接するアウ
ターシール部６ｂが形成されており、該アウター
シール部６ｂの外径はハウジング５の内径より大
きく設定されている。さらに略Ｕ字形断面のパツ
キン６はその中央部に密封流体Ｆ側に開口する凹
所６ｃを備えており、該凹所６ｃに臨むアウター
シール部６ｂの内周面側には、密封流体Ｆ側に露
出した受圧部としてのテーパ面６ｄを形成してあ
る。テーパ面６ｄは密封流体Ｆ側に向けて拡径し
ている。

以上のように本考案においては、単一のシール
リング１をかしめ止めする構造になつていること
から、かしめ精度に狂いを生じるおそれがなく、
従つてハウジング５側の流体漏れはないし、かし
め作業に長時間を要することもない。また外筒４
との間でシールリング１を挟持する内環３の内周
側に圧入されるパツキン６にはアウターシール部
６ｂを一体的に設けてハウジング５との間にハウ
ジング側シール面を形成している。従つて、従来
例に見られるようなＯリングを別途用意せずにハ
ウジング５側のシールを確実に行なえ、部品点数
の削減、曲げ加工省略によるコスト低減を実現で
きる。

更に、密封流体Ｆの圧力が上昇して該圧力Ｐが
テーパ面６ｄに加わると、アウターシール部６ｂ
が外周側へ弾性変形するためハウジング側シール
面の接面圧力が高まる。従つて、密封流体Ｆの高
圧時におけるハウジング側シール面のシール性が
向上する。なお７はパツキン６の凹所６ｃ内に圧
入され半径方向外方側のパツキン内面と当接する
金属製の補強環で、パツキンの屈曲端から上記テ
ーパ面６ｄの手前まで延びている。

（考案の効果） 本考案は以上の構成及び作用から成るもので、
回転軸表面に当接してシール機能を営なむシール
リング単体のみを外筒と内環との間にかしめ止め
によつて挾着させるものであり、単一部品をかし
め止めする構造になつていることから、かしめ精
度に狂いを生じるおそれがなく、従つてハウジン
グ側の流体漏れやかしめ作業に長時間を要してコ
スト高を招くといつたこともない。また外筒との
間でシールリングを挾持する内環の内周側に圧入
されるパツキンにはアウターシール部が一体的に
設けられ、ハウジングとの間にハウジング側シー
ル面を形成していることから、従来例に見られる
ようなＯリングを別に用意しなくても、ハウジン
グ側のシールを確実に行なえ、さらにＯリング装
着用の嵌合溝を外筒側に形成する曲げ加工が不要
となるばかりか、Ｏリングの使用を省略して部品
点数を削減し得るのでコストの低減に役立つ。更
に、密封流体の圧力が上昇して該圧力が受圧部に
加わると、アウターシール部が外周側へ弾性変形
するためハウジング側シール面の接面圧力が高ま
る。従つて、密封流体の高圧時におけるハウジン
グ側シール面のシール性が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案に係る密封装置の一
実施例を示すもので、第１図は同密封装置の要部
断面図、第２図は従来のオイルシールを示す要部
断面図である。 符号の説明、１……シールリング、３……内
環、４……外筒、５……ハウジング、６……パツ
キン、６ｂ……アウターシール部、Ｆ……密封流
体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外筒と内環との間に回転軸に当接してシール作
   用を営む単一のシールリングのみを挾持せしめ、
   また当該シールリングの密封流体側であつて上記
   内環の内周側には略Ｕ字形の環状パツキンを密封
   流体側に開口させて圧入せしめると共に、該パツ
   キンの外周端にはハウジング内面に密接せしめら
   れるアウターシール部を形成して成り、アウター
   シール部の内周側に、密封流体の圧力を受けて該
   アウターシール部を外周側へ弾性変形させるべく
   密封流体側に露出した受圧部を設けたことを特徴
   とする密封装置。