JPH0222524Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、往復動軸を軸封するために用いられ
るスリツパーシールに関する。

〔従来の技術〕

機器ハウジングの軸孔と、該軸孔内に往復動自
在に遊挿された軸との間に装着され、機器内に封
入された液体の漏洩を阻止するスリツパーシール
として、従来から、第４図に示すようなものが用
いられている。

すなわちこの種のスリツパーシールは、四フツ
化エチレン樹脂材等にて製せられ、外周面に環状
凹部ｂが形成されてなるシールリングａが、前記
環状凹部ｂに外挿嵌着されたゴム材製Ｏリングｃ
を介して、静止側であるハウジングｄの軸孔d′に
形成された環状の角溝ｅ内に装着され、該シール
リングａの内周面a′がハウジング軸孔d′内に往復
動自在に遊挿された軸ｆの外周面f′に対して密着
摺接し、機内油等密封流体Ａの機外への漏出を阻
止するものである。Ｏリングｃは角溝ｅの周面
e′およびシールリングａの環状凹部ｂに対して適
当な締め代をもつて圧接し、シール面を形成して
いる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、上記従来のスリツパーシールは、殊に
高圧条件下においては、第５図に示すようにＯリ
ングｃが密封流体Ａの圧力により、シールリング
ａの環状凹部ｂから角溝ｅ内における大気Ｂ側空
間へはみ出すごとく変形するため、該変形が繰り
返されるとはみ出し部c′において疲労による損傷
が生じ易くなる。また該はみ出し部c′はシールリ
ングａ外周面に乗り上げるごとくなるため、その
内径側における緊締力が増大してシールリング内
周面a′の軸外周面f′に対する面圧Ｐはその極大部
が大気Ｂ側へ偏つて分布し、その最大値MPも非
常に大きなものとなり、したがつて軸ｆの作動を
阻害し易いという問題をも有している。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、以上の問題点に鑑み、Ｏリングを大
気側からバツクアツプしてはみ出しを防止せんと
するもので、ハウジング内周に形成された環状溝
の、大気側壁面の内径側に、前記シールリングの
大気側の鍔部を受け入れ支承する段部を、また前
記大気側壁面の外径側に、前記鍔部が前記段部に
支承された状態において前記Ｏリングをその大気
側かつ外径側の面と嵌合して支承するアール部を
形成したものである。

〔作 用〕

したがつて、上記構成によれば、密封流体の圧
力によつてＯリングとシールリングの組立体は環
状溝の大気側壁面に押し付けられ、シールリング
の大気側の鍔部が大気側壁面内径側の段部に受け
入れ支承されると同時に、Ｏリングがその大気側
に臨む面のうちの外径側において大気側壁面外径
側のアール部に圧接嵌合して支承される。そして
この時、Ｏリングの外径側が前記アール部に圧接
嵌合することによる該Ｏリングの径方向反力がシ
ールリングおよび軸への適当な緊迫力として作用
する。

〔実施例〕

つぎに、本考案スリツパーシールの具体的な構
成ならびに作用を、図示した一実施例にもとづい
て説明する。

第１図はハウジング１の一部の断面を示し、２
は軸孔、３は該軸孔２に形成された環状溝で、第
２図は前記環状溝３に装着される密封要素４の断
面を示し、５は外周面にＯリング装着用の環状凹
部６が形成されるとともに、該環状凹部６の大気
側（図上左側）に、密封流体側（図上右側）に比
較して外径の鍔部７が形成されてなる四フツ化エ
チレン樹脂製シールリング、８は前記環状凹部６
に外挿嵌着されたゴム材製Ｏリングである。前記
ハウジング１の環状溝３は、その大気側（図上左
側）壁面９が、シールリング５とＯリング８の組
立体である密封要素４の後背（図上左側）部分の
断面形状と対応する断面形状を呈しており、すな
わち該壁面８は、シールリング５の鍔部７と対応
する段部９ａと、Ｏリング８と対応するアール部
９ｂとよりなる。

第３図は上記構成の本実施例スリツパーシール
の使用状態を示すもので、ハウジング１の環状溝
３内に装着された密封要素４は、Ｏリング８が、
環状溝３の周面３′に対して適当な締め代をもつ
て圧接するとともに、シールリング５の内周面
５′が、ハウジング軸孔２内に遊挿されて往復作
動する軸１０の外周面１０′に対して密着摺接し、
機内油等密封流体Ａの機外（図上左側）への漏出
を阻止している。前記環状溝３の壁面９は、既述
のとうり、密封要素４の後背部分と対応する形状
を呈しているため、密封流体Ａの圧力により押し
付けれる密封要素４に、シールリング５の大気側
の鍔部が前記段部９ａに受け入れれられて支承さ
れ、Ｏリング８がその大気側に臨む面のうちの外
径側において前記アール部９ｂに圧接嵌合して支
承される。そして前記圧力により軸方向に圧縮変
形を受けて外径側が前記アール部９ｂおよび周面
３′に圧接したＯリング８の径方向への反力がシ
ールリング５および軸１０への適当な緊迫力とな
り、かつＯリング８のはみ出し等過大な変形は防
止される。また、シールリング５の鍔部７が外径
であり、該鍔部７の外周面と環状溝３の周面３′
との距離Ｌが小さいため、軸１０の往復作動に伴
なつてＯリング８に作用する摩擦力および密封流
体Ａの圧力等により、該Ｏリング８の転動もしく
は摺動して前記鍔部７外周面に乗り上がるような
こともない。したがつてシールリング内周面５′
と軸外周面１０′の接触面圧Ｐは面にわたつて平
均化され、該面圧Ｐの最大値MPも小さく抑えら
れる。

〔考案の効果〕

本考案のスリツパーシールは、上記実施例で明
らかなように、ハウジングの環状溝およびシール
リングを、Ｏリングをバツクアツプする形状とし
たことにより、シールリングの環状凹部からのＯ
リングのはみ出しや乗り上げ等を防止して、該Ｏ
リングの耐久性を向上せしめるとともに、流体圧
力により軸方向に圧縮されるＯリングの径方向へ
の変形がシールリングおよび軸への適当な緊迫力
となつてシール性を向上させ、しかもシールリン
グへの偏荷重を防止するので軸の作動阻害を解消
できるといつた優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案スリツパーシール
の一実施例を示す半裁断面図、第３図は同使用状
態を示す半裁断面図、第４図および第５図は従来
のスリツパーシールの使用状態を示す半裁断面図
である。 １……ハウジング、２……軸孔、３……環状
溝、４……密封要素、５……シールリング、６…
…環状凹部、７……鍔部、８……Ｏリング、９…
…大気側壁面、９ａ……段部、９ｂ……アール
部、１０……軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外周面にゴム材製のＯリングの内径側と嵌合す
   る環状凹部が形成されるとともに該環状凹部の大
   気側で前記外周面が適宜大径になるシールリング
   を、ハウジングの内周に形成された環状溝内に前
   記Ｏリングを介して軸方向移動自在に嵌装し、該
   シールリングの内周面を、往復作動する軸の外周
   面と摺接させたスリツパーシールであつて、前記
   環状溝の大気側壁面の内径側に、前記シールリン
   グの大気側の鍔部を受け入れ支承する段部を、ま
   た前記大気側壁面の外径側に、前記鍔部が前記段
   部に支承された状態において前記Ｏリングをその
   大気側かつ外径側の面と嵌合して支承するアール
   部を形成したことを特徴とするスリツパーシー
   ル。