JPH0439748B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は磁気記録に用いられるヘツドドラム装
置に関するものである。

従来例の構成とその問題点 近年、ヘツドドラム装置はVTRの発展ととも
に幅広く使用され、特に今後は蒸着テープ或いは
金属粉末テープを用い、増々ベースフイルムが薄
くなり、それらのテープに合致したヘツドドラム
装置の開発が望まれている。

以下に従来のヘツドドラム装置について説明す
る。第１図は従来のヘツドドラム装置の概略図で
ある。１は固定の下ドラム、２は回転ドラム、３
は磁気記録ヘツド、４は突出し窓で、磁気記録ヘ
ツド３を回転ドラム２から突出させるものであ
る。５は回転ドラム２の円周面上に形成され溝、
６は磁気記録テープである。回転ドラム２は前記
下ドラム１に対し同軸上で高速で回転し、下ドラ
ム１と回転ドラム２の円周面上を磁気記録テープ
６を走行させ、磁気記録ヘツド３を用いて磁気記
録テープ６上に記録するものである。しかしなが
ら、高速で回転する回転ドラム２と磁気記録テー
プ６との間には空気層を生じる。特に、回転ドラ
ム２と磁気記録テープ６の当り始めの位置近傍に
おいては、この空気層が大きくなる。

第２図は前記磁気記録ヘツド３と磁気記録テー
プ６との接触力の実験結果を示す。横軸７は時
間、縦軸８は接触力である。時間に対する接触力
は曲線９になる。即ち、磁気記録ヘツド３の当り
始めにおいては接触力は小さく、時間の経過とと
もに接触力は増加し、磁気記録ヘツド３の当り終
了直前に最大になり、その後は急速に接触力は低
下する。接触力は磁気記録ヘツド３の摺動ノイズ
と関係があり、小さい方が良い。しかし、出力は
接触力の増加とともにある点まで増加するが、そ
の点以後は低下する。そのため、ある接触力にす
る必要がある。この接触力を平坦にするには、回
転ドラム２に形成された溝５の本数を増加させる
か、溝５の断面積を増加させれば良いが、回転ド
ラム２と磁気記録テープ６の空気層が減少し、摩
擦力が増加するため、回転ドラム２の回転負荷が
増加するという欠点がある。又、接触力を平坦に
するもう一つの手段として、磁気記録テープ６の
磁気記録ヘツド３への当り始めの張力を強くする
片張りを利用する方法がある。しかしながら、片
張りをすることにより磁気記録テープ６の理想的
な走行条件、即ち磁気記録テープ６の幅方向に均
等な応力を発生させ走行させる条件よりずれるこ
とになり、繰返し走行による磁気記録テープ６の
ワカメ状ダメージの発生及び片張りにより走行経
路が理想的な位置よりずれようとするためのガイ
ドポストフランジでの磁気記録テープ６の規制力
の増加による磁気記録テープ６のポストフランジ
での座屈による磁気記録テープ６のダメージの発
生の欠点があり、前述の蒸着テープ及び金属粉末
テープの薄いベースフイルムに対して特にこれら
の欠点が顕著に現われる。

発明の目的 本発明は上記従来の欠点を解消するもので、理
想的な走行条件で磁気記録ヘツドの磁気記録テー
プへの接触力の略一定、即ち磁気記録ヘツドの出
力の一定なヘツドドラム装置を提供することを目
的とする。

発明の構成 上記目的を達成するため、本発明のヘツドドラ
ム装置は、固定ドラムと、この固定ドラムに対し
同軸上で回転可能に取り付けられ磁気記録ヘツド
及び磁気記録ヘツド突出し窓を有する回転ドラム
とからなり、前記突出し窓近傍に、前記回転ドラ
ム外面より突出するとともに前記突出し窓のテー
プ入口側から出口側に連続した略円弧状の幅の狭
い突起を設けたものである。

また、本発明のヘツドドラム装置は、固定ドラ
ムと、この固定ドラムに対し同軸上で回転可能に
取り付けられ磁気記録ヘツド及び磁気記録ヘツド
突出し窓を有する回転ドラムとからなり、前記回
転ドラム外面より突出する略円弧状の幅の狭い突
起を前記突出し窓の左右に分割して設けたもので
ある。

実施例の説明 以下、本発明の実施例について、図面に基づい
て説明する。

第３図は本発明の第１実施例におけるヘツドド
ラム装置の回転ドラムを示すものである。本実施
例においては、回転ドラム２に磁気記録ヘツド３
の突出し窓４の上部に、回転ドラム２外面より突
出するとともに突出し窓４のテープ入口側から出
口側に連続した略円弧状の幅の狭い突起１２を設
けたものである。突起１２の突出し量は磁気記録
ヘツド３の突出し量より低くなつている。突起１
２の厚み幅は１mm以下に設定しており、この突起
１２と磁気記録テープ６との間に発生する空気層
１１は極く小さい。他の構成は従来例と同じであ
る。

第４図は第１実施例における動作説明図であ
る。回転ドラム２の回転により磁気記録テープ６
と回転ドラム２との間に空気層１１を発生してい
る。この空気層１１は一般的には磁気記録ヘツド
３の当り始めでは大きく、終了間際では最小にな
る。しかしながら、突起１２があるため、この突
起１２と磁気記録テープ６との接触面における空
気層１１は殆んど発生せず、常に磁気記録テープ
６と突起１２とは接触するか或いは殆んど接触に
近い状態になり、磁気記録ヘツド３の磁気記録テ
ープ６に対する突出しは略一定になり、安定した
磁気記録ヘツド３の接触が可能となる。

このように、突起１２と磁気記録テープ６の間
には空気層１１の発生はほとんどなく、磁気記録
ヘツド３の磁気記録テープ６への突出し量は略一
定になり、安定した磁気記録ヘツド３の出力が得
られるものである。以上のように突起１２の幅を
狭く略円弧状にするため、突起１２の磁気記録テ
ープ６への接触力を小さくできてテープ走行負荷
を小さくできるという利点がある。

第５図は第２実施例を示すものである。本実施
例においては、突起１３を突出し窓４の左右に設
け、夫々を突出し窓４で分割された略円弧状と
し、突起１３の厚み幅は１mm以下にしている。第
６図は第２実施例における動作説明図である。回
転ドラム２と磁気記録テープ６の間には空気層１
１が存在する。しかしながら、磁気記録テープ６
と突起１３の間の空気層の発生は殆んどなく、磁
気記録ヘツド３の磁気記録テープ６への突出しは
略一定になり、安定した磁気記録ヘツド３の出力
が得られる。以上のように、磁気記録ヘツド３の
左右に突起１３を設けることにより、突起１３間
内に磁気記録ヘツド３を配置することができ、突
起１３の突出により突出し窓４部で磁気記録テー
プの張力が増加する効果もあり、より安定した接
触状態が得られる。

ところで以上述べた実施例において、突起１
２，１３の突出量を空気層１１の厚さ以上とする
ことも可能で、これにより磁気記録テープ６に対
し突起１２，１３が常に接触するため、全く空気
層１１の影響がなく、且つ突起１２，１３により
突出し窓４近傍での磁気記録テープ６の張力を増
加することが可能となり、安定した磁気記録テー
プ６と磁気記録ヘツド３の接触並びに出力が得ら
れる。

発明の効果 以上のように本発明によれば、略円弧状の幅の
狭い突起を設けたことにより、特に、磁気記録ヘ
ツドと磁気記録テープの当り始めに磁気記録ヘツ
ドと磁気記録テープの間に空気が侵入しようとす
るのを防止することができて磁気記録ヘツドと磁
気記録テープの接触および出力を安定化させるこ
とができ、かつ、磁気記録テープの走行負荷を小
さく抑えることができるとともに、テープ走行を
スムーズにしてテープダメージの発生をなくすこ
とができ、その実用的効果は大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のヘツドドラム装置の概略図、第
２図は磁気記録ヘツドと磁気記録テープの接触力
を示すグラフ、第３図〜第６図は本発明の実施例
を示し、第３図は第１実施例における要部斜視
図、第４図は第１実施例の動作説明図、第５図は
第２実施例における要部斜視図、第６図は第２実
施例の動作説明図である。 １……下ドラム、２……回転ドラム、３……磁
気記録ヘツド、４……突出し窓、６……磁気記録
テープ、１１……空気層、１２，１３……突起。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 固定ドラムと、この固定ドラムに対し同軸上
   で回転可能に取り付けられ磁気記録ヘツド及び磁
   気記録ヘツド突出し窓を有する回転ドラムとから
   なり、前記突出し窓近傍に、前記回転ドラム外面
   より突出するとともに前記突出し窓のテープ入口
   側から出口側に連続した略円弧状の幅の狭い突起
   を設けたヘツドドラム装置。 ２ 固定ドラムと、この固定ドラムに対し同軸上
   で回転可能に取り付けられ磁気記録ヘツド及び磁
   気記録ヘツド突出し窓を有する回転ドラムとから
   なり、前記回転ドラム外面より突出する略円弧状
   の幅の狭い突起を前記突出し窓の左右に分割して
   設けたヘツドドラム装置。 ３ 突起を回転ドラムと磁気記録テープ間に発生
   する空気層厚さ以上に突出させた特許請求の範囲
   第１項又は第２項記載のヘツドドラム装置。