JPH0439593Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は時計用ムーブメント、特に置き時計あ
るいは掛け時計などのクロツクに用いられる同期
モータ駆動される時計用ムーブメントの小型化に
関するものである。

［従来の技術］ 置き時計、掛け時計のクロツクも近年において
はほとんどが水晶時計化されており、水晶振動子
の高精度の発振作用を時間基準振動源としている
ので、極めて良好な時刻指示精度を保障し得る。

この種の水晶時計におけるムーブメントは電気
的なクロツクパルスにて時刻指示針を回転駆動す
るための構成を主とし、一般に、同期モータ部と
時計輪列部とに大別される。

一般の同期モータ部は水晶発振周波数を分周し
た高精度のクロツクパルスが印加されるステータ
コイル及びこのステータコイルの磁束をステータ
極に導くステータそして前記ステータ極内で回転
するロータとを含み、一方、時計輪列は前記ロー
タの回転を順次減速して時針、分針あるいは秒針
に伝える働きを有する。

従来の一般的な時計ムーブメント構成は、でき
るだけ全体の構成を時針軸の周囲に集めることが
考慮され、通常全体的なムーブメントの外形は略
円形あるいは略正方形となる。

このような時針軸を中心に各同期モータ及び時
計輪列を配置することによつて、従来のムーブメ
ントは掛け時計としてもあるいは置き時計用とし
ても自由に兼用可能であり、文字盤及び指示針そ
して化粧ケースを任意に着せ変えることによつて
単一種類の時計をムーブメントによつて複数種類
のクロツクに適用できるという利点がある。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、前述した従来のムーブメントで
は、時針軸の周囲に各部品を集めるために、どう
してもムーブメントの厚さが増大し、特に２階建
てあるいは３階建ての輪列配置によつて、ムーブ
メント厚の増大及び組立性の劣化という問題が生
じていた。

更に、従来のムーブメントでは、ある種のクロ
ツクに対してデザイン上十分な対応が困難である
という問題があつた。このような種類のクロツク
としては、例えば隠しムーブメントクロツクが有
り、このクロツクは時刻指示針の駆動機構が外部
からの目視によつて容易に知り得ない構成を有
し、クロツクのデザインに奇抜性あるいは謎解き
の面白さなどを加えることができ、これからのク
ロツクのデザイン分野に１つの新たなジヤンルを
築く可能性が高い。

従来のムーブメントは、前述したごとく、時刻
指示針の周囲に少なからぬ範囲で必ずムーブメン
トが存在するので、これらを全て隠蔽した外観デ
ザインを作ることが極めて困難であつた。

また、従来において、スケルトンクロツクの一
部にムーブメントをできるだけ隠そうというクロ
ツクが提案されているが、これによつても、十分
に満足ではるムーブメントを得ることはできなか
つた。

本考案は上記従来の課題に鑑みなされたもので
あり、その目的は、隠しムーブメントクロツクに
用いるために、ムーブメントの全体構成が小型で
かつ大きな駆動力を得て、更にムーブメント全体
ができるだけ目立たない構成とした新たな時計用
ムーブメントを提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案は、ムーブ
メントを構成する時刻指示輪列と一列に並んだ状
態で配列し、前記時刻指示輪列の先端に同軸に位
置する分針車と時針車の軸部に分針、時針を配設
し、分針、時針の周囲に十分な空きスペースを設
けたことを特徴とする。

［作用］ 従つて、本考案によれば、前記細長形状のムー
ブメントは従来の時刻指示軸の周囲に集めた円形
あるいは正方形状のムーブメントと異なり、時刻
指示軸の周囲には一方側を除いて他の十分に広い
周囲角度例えば200°以上の領域を空きスペースと
することができ、この部分を透明な文字盤その他
で覆うことにより、長い指示針を装着した時刻指
示軸は外部から見た場合にその駆動機構の構成が
予測不能となり、針のみが自然に回転するがごと
き奇抜なデザインを提供可能である。

本考案によれば、前記細長形状のムーブメント
は実際のデザイン配置において、予想以上にデザ
インの自由度を生じさせ、その効果は極めて多大
である。

［実施例］ 以下図面に基づいて本考案の好適な実施例を説
明する。

第１，２図には本考案の実施例が示され、同期
モータ部及び時刻輪列は二分割された下ケース１
０及び上ケース１２間に収納配置されている。

実施例において、両ケース１０，１２は第２図
で示されるようにそれ自体細長形状を有し、その
縦軸が後述するステータ中心軸１００と一致して
おり、また本実施例における時計輪列は全て前記
ステータ中心軸１００の延長線上に一列に整列配
置されている。

ケース１０，１２内において同期モータ部は図
の左半部に収納されており、縦長コ字状のステー
タ１４を含み、高透磁率材から成るステータ１４
は互いに並行に伸張した２個の脚１４ａ，１４ｂ
を含み、両脚の間を通るステータ中心軸１００が
前記ケース１０，１２の縦軸と一致するように配
置されている。

前記ステータ１４の一方の脚１４ａにはボビン
１６が嵌合固定されており、このボビン１６には
ステータコイル１８が巻回されており、周知のご
とく、図示していない時計駆動回路から通常１Hz
の同期駆動パルスが供給され、ステータ１４に所
望の駆動磁束を生起させる。

実施例において、ステータ１４は両脚長を十分
に取り、この一方の脚１４ａにステータコイル１
８を長手方向に沿つていつぱいに巻回したことに
より、ステータコイル１８は十分な巻き数を有
し、これによつて、ステータ１４にはムーブメン
トの大きさに比して十分な大きな磁束が生じ、長
い時刻指示針を十分に駆動するだけの駆動力を提
供可能である。

前記ボビン１６には一対の係合爪２０ａ，２０
ｂが一体に成型されており、両係合爪２０を端子
板２２に係合することによつて、ステータ１４及
びステータコイル１８を端子板２２にしつかりと
固定保持し、また両係合爪２０の先端とボビン１
６の一端とで両ケース１０，１２間にしつかりと
挟まれその固定位置を定めることができる。

前記端子板２２の一端には、第２図で示される
ごとく、少なくとも２個の端子部２２ａ，２２ｂ
が設けられており、これら両端子部２２ａ，２２
ｂがケース１０，１２の開口部１１から外部に露
出し、これによつて他のモータ駆動回路あるいは
電源との電気的接続を単純なコネクタによつて容
易に行うことが可能となる。

前記ステータ１４の両脚１４ａ，１４ｂにはそ
の一部にステータ極１４ｃ，１４ｄが設けられて
おり、これらステータ極１４ｃ，１４ｄは第２図
に示されるごとく、円弧状に切欠かれた形状を有
する。

前記ステータ極１４ｃ，１４ｄの内方にはロー
タ２４が配置され、実施例において、ロータ２４
はロータカナ２６及びこのロータカナ２６に一体
に形成された磁石受２８、そして前記磁石受２８
に接着固定されたロータ磁石３０を含む。ロータ
カナ２６及び磁石受２８は両ケース１０，１２に
回転自在に軸支されており、任意極数に着磁され
たロータ磁石３０が前記ステータ極１４ｃ，１４
ｄ内で回転することができる。実施例において、
前記ロータ２４は下ケース１０の突軸２５及び上
ケース１２の受軸２７とによつて回転可能に支持
されている。従つて、ステータ１４のステータコ
イル１８に所定のパルス信号を供給することによ
つて、ステータ極１４ｃ，１４ｄの磁束によつ
て、ロータ３０が電磁駆動されることとなる。

以上のようにして、ケース１０，１２内には同
期モータ部が形成され、ロータ２４の通常間欠送
りあるいは必要に応じた連続送り回転が得られ
る。そして、このロータ２４の回転は時計輪列を
介して時刻指示針に伝達される。

本実施例において、時計輪列は前記ロータ２４
のロータカナ２６と噛み合う第１減速車とこの第
１減速車から時刻指示針に回転を伝達する時刻指
示輪列とに分けられ少なくとも前記第１減速車は
ステータ中心軸１００上に置かれる。

第１減速車３２は下ケース１０の突軸３４及び
上ケース１２の突軸３６によつて回転可能に支持
されており、前記ロータカナ２６と噛み合うとと
もに一体に設けられた減速カナ３２ａが後述する
時刻指示輪列と噛み合う。

本実施例において、第１減速車３２はその軸が
第２図に示されるごとくステータ中心軸１００上
にあり、更に実施例においては、この中心軸は前
記ステータ１４の両脚１４ａ，１４ｂの間の開口
に配置され、減速カナ３２ａはステータ極１４
ｃ，１４ｄの先端開口部に臨んだ位置に配置され
ている。従つて、本実施例においては、第１減速
車３２を軸支するためにいずれかのステータ脚１
４ａ，１４ｂに貫通孔を設けるなどの必要がな
く、両脚開口を利用してコンパクトな配置を得る
ことができる。

前記第１減速カナ３２ａは更に４番車３８と噛
み合い、この４番車３８の４番カナ３８ａは３番
車４０と噛み合い、更に３番カナ４０ａは分針車
４２と噛み合う。そして、分針車４２に対してス
リツプ可能に所定の摩擦力を保つて嵌合している
分針カナ４４には分針４６が嵌合固定されてい
る。

前記４番車３８はその中心透孔が上ケース１２
に設けられた突軸４８によつて支持されており、
前記突軸４８は下ケース１０に設けられた突軸５
０と係合している。

一方、３番車４０は両ケース１０，１２に軸支
された日の裏軸５２によつて回転可能に軸支され
ており、この日の裏軸５２には後述する日の裏車
５４が強固に固定されている。

更に、前記分針車４２及び分針カナ４４は上ケ
ース１２に植立固定された分針パイプ受５６によ
つて回転可能に軸支されている。

前記分針カナ４４は前記日の裏車５４と噛み合
い、また日の裏カナ５８は前記分針カナ４４によ
つて回転可能に軸支されている時針車６０と噛み
合い、該時針車６０と一体の時針軸６２には時針
６４が係合固定されている。

以上のごとく、本考案においては、時計指示輪
列が前記第１減速車３２と係合する４番車３８及
びこれに順次連結する３番車４０、分針車４２、
日の裏車５４そして時針車６０を含み、実施例の
これら時刻指示指示輪列はいずれもステータ中心
軸１００の延長線上に一列に並んだ配置されてい
ることを特徴とする。

以上のごとく、本実施例によれば、ロータ２４
及び第１減速車３２から前述した時刻指示輪列に
よつて時針６４及び分針４６に回転駆動力が確実
に伝達され、所望の時刻指示作用を得ることがで
きる。

前記実施例において、前記日の裏車５２には上
ケース１２側において時刻修正つまみ６６が固定
されており、つまみ６６の回転によつて日の裏車
５４及び日の裏カナ５８を回転させ、これに伴つ
て分針カナ４４及び時針車６０を任意の修正位置
に回転駆動することができる。このとき、前記分
針カナ４４と分針車４２とは両者間のスリツプ機
構によつてスリツプし、同期モータ部に悪影響を
与えることはない。

以上のごとく、本考案の実施例によれば、同期
モータ部のステータは縦長コ字状ステータから成
り、そのステータ中心軸上に少なくとも同期モー
タ部のロータ及び第１減速車を配置し、更に前記
ステータ中心軸延長線上に時刻指示輪列を一直線
に配置したことにより、全体として細長形状の小
型ムーブメントを得ることができ、前記同期モー
タ部の大きな駆動力によつて長い時刻指示針を回
転駆動できるとともに、前記細長状のムーブメン
トは時計の外装構造を形成する際にデザインの多
用性を著しく広げられ、特に隠しムーブメントと
して前記細長形状のムーブメントが極めて有益で
ある。

本考案において特徴的なことは、更に、前記時
刻指示輪列の最先端、実施例においては分針車４
２及び時針車６０にそれぞれ分針４６及び時針６
４が固定されていることであり、このように時刻
指示輪列に時刻指示針を固定することによつて、
第２図のＡで示される領域には時刻指示軸周囲に
他の輪列あるいはムーブメント機構が配置されず
空きスペースとして利用することが可能となる。
この空き領域Ａは本考案の場合200°以上の角度で
十分なスペースとすることができ、従来のごとく
時刻指示軸の周囲にたくさんの輪列を配列するム
ーブメントと異なり、時計のデザインを著しく多
様化可能である。

第３図には前述した本考案が適用された置時計
を示し、支持台７０に固定された支柱７２に表示
板７４が固定され、この表示板７４は実施例にお
いて枠７６にて縁取りされた透明板から成る。

本実施例において、時計用ムーブメントは全て
前記支柱７２内に収納され、該支柱から時針６
４、分針４６が突出している。

従つて、このような時計外観からは、使用者は
時計針軸の周囲がほとんど透明板によつて取囲ま
れており、単に支柱７２が時刻指示針を支持する
もののみとして受け取られ、ムーブメントの存在
を認識することができない極めてユニークな外観
デザインを達成することができる。

第４図は本考案の他の実施例が示され、時計用
ムーブメント内部に電池及び駆動制御回路も内蔵
したことを特徴とする。第４図におけるケース８
４内には前記ステータ中心軸１００の延長線上に
電池８６及び駆動制御回路８８が設けられ、細長
状ムーブメント内に全ての必要な構成を組込むこ
とができ、例えば第５図に示されるごとく支持台
７０に固定された支柱７２の内部に前記電池及び
回路を含んだ時計用ムーブメントを組込むことが
でき、その周囲の透明板７４は装飾用に用いて駆
動機構が全て隠蔽された隠しムーブメントクロツ
クを得ることが可能となる。

［考案の効果］ 以上説明したように、本考案によれば、時刻指
示輪列を一列に並んだ状態で配置し、その先端車
に時刻指示針を固定したことにより、クロツクと
して組込むんだときに、時計駆動部をできるだけ
隠した奇抜な外観デザインを可能とし、針のみが
自然に回転するごとき奇抜なデザインを提供で
き、さらには、時刻指示輪列の先端に位置する分
針車と時針車の軸部の周囲を空きスペースとして
利用できるので、時計のデザインを多様化するこ
とが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る時計用ムーブメントの好
適な実施例を示す縦断面図、第２図は第１図の
−線断面図、第３図は第１実施例の使用状態を
示すクロツクの全体構成図、第４図は本考案の他
の実施例を示す要部断面図、第５図は第４図に示
した実施例のクロツクに適用した状態を示す外観
構成図である。 １０……下ケース、１２……上ケース、１４…
…ステータ、１４ａ，１４ｂ……脚、１４ｃ，１
４ｄ……ステータ極、１８……ステータコイル、
２４……ロータ、３２……第１減速車、３８……
４番車、４０……３番車、４２……分針車、４４
……分針カナ、４６……分針、５４……日の裏
車、６０……時針車、６４……時針、１００……
ステータ中心軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ２本の並伸した並行脚を有し両脚間のステータ
   中心軸を挟んで前記両脚の先端がステータ極とし
   て対向し一方の脚にはステータコイルが巻回され
   た縦長コ字状ステータと、前記ステータ極間に挿
   入され前記ステータを保持するケースに回転自在
   に軸支されたロータと、ステータ中心軸上に設け
   られ前記ロータのロータカナと噛合する第１減速
   車と、前記第１減速車に噛合した時刻指示輪列
   と、を含み、前記時刻指示輪列は一列に並んだ状
   態でケースに軸支され、前記時刻指示輪列の先端
   に同軸に位置する分針車と時針車を日の裏車を介
   して作動連結させ、分針車の軸部に分針を設ける
   とともに時針車の軸部に時針を設けてなることを
   特徴とする時計用ムーブメント。