JPH04373190A - 歪量子井戸半導体レーザおよびその製造方法 - Google Patents
歪量子井戸半導体レーザおよびその製造方法Info
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- JPH04373190A JPH04373190A JP15140791A JP15140791A JPH04373190A JP H04373190 A JPH04373190 A JP H04373190A JP 15140791 A JP15140791 A JP 15140791A JP 15140791 A JP15140791 A JP 15140791A JP H04373190 A JPH04373190 A JP H04373190A
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Landscapes
- Semiconductor Lasers (AREA)
Abstract
(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。
め要約のデータは記録されません。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光ファイバー通信等に必
要な高性能の歪量子井戸半導体レーザおよびその製造方
法に関するものである。
要な高性能の歪量子井戸半導体レーザおよびその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、半導体レーザの特性向上を実
現するために、半導体レーザの活性層を量子井戸構造と
した単一量子井戸(SQW)レーザや多重量子井戸(M
QW)レーザに関する研究がおこなわれている。この量
子井戸層を有する半導体レーザは量子サイズ効果により
、通常のバルク型活性層にない良好な特性が期待できる
。例えば微分ゲインの増大・TM発光の低減等により低
しきい値で高効率・大出力動作が可能となり、緩和振動
周波数の増大・線幅増大係数の減少により高速応答・低
チャーピング化が得られる。
現するために、半導体レーザの活性層を量子井戸構造と
した単一量子井戸(SQW)レーザや多重量子井戸(M
QW)レーザに関する研究がおこなわれている。この量
子井戸層を有する半導体レーザは量子サイズ効果により
、通常のバルク型活性層にない良好な特性が期待できる
。例えば微分ゲインの増大・TM発光の低減等により低
しきい値で高効率・大出力動作が可能となり、緩和振動
周波数の増大・線幅増大係数の減少により高速応答・低
チャーピング化が得られる。
【0003】従来のMQWを用いた半導体レーザを図5
に示す。図5に示すようにこの半導体レーザはInP基
板上に、クラッド層を介して量子井戸層とその上にクラ
ッド層を持つメサを有している。そしてメサは電流ブロ
ック層で埋め込まれた構造になっている。この構造でI
nP基板上に成長させた膜はすべてInP基板に格子整
合する組成になっており、膜には歪が入らないようにな
っている。
に示す。図5に示すようにこの半導体レーザはInP基
板上に、クラッド層を介して量子井戸層とその上にクラ
ッド層を持つメサを有している。そしてメサは電流ブロ
ック層で埋め込まれた構造になっている。この構造でI
nP基板上に成長させた膜はすべてInP基板に格子整
合する組成になっており、膜には歪が入らないようにな
っている。
【0004】この歪を用いないInP系半導体レーザで
は オージェ効果により、期待されたほど低しきい値
化が図れないことが明かとなってきた。そこで、このオ
ージェ効果を低減するために量子井戸活性層領域に歪を
導入し、エネルギーバンド構造を大きく変化させて低し
きい値化が可能な、特性のよい歪量子井戸半導体レーザ
の研究が活発に行なわれている。[E.Yablono
vitchand E.O.Kane, J.Ligh
twaveTechnol.(シ゛ェイ ライトウエイ
フ゛ テクノロシ゛ー), LT−4, 504 (1
986)]図4に従来の歪量子井戸半導体レーザを示す
(第37回応用物理学会関連連合講演会30a−SA−
9)。31はSnドープInP基板、32はn−InP
クラッド層、33は厚み100nmの1.3μm波長組
成のノンドープInGaAsPバリア層、34は厚み4
nmで格子不整合率が0.6%程度のノンドープIn0
.62Ga0.38As歪井戸層、35は井戸数3の歪
量子井戸、36はp−InPクラッド層、37はp−I
nGaAsコンタクト層、38はp−n−p電流ブロッ
ク層、40はAu/Snよりなるn側電極、41はAu
/Znよりなるp側電極である。この構成は図5とほぼ
同じであるが、井戸層にInP基板より格子定数の大き
いノンドープIn0.62Ga0.38As層をもちい
て歪を導入し、歪井戸層としているところが異なる。
は オージェ効果により、期待されたほど低しきい値
化が図れないことが明かとなってきた。そこで、このオ
ージェ効果を低減するために量子井戸活性層領域に歪を
導入し、エネルギーバンド構造を大きく変化させて低し
きい値化が可能な、特性のよい歪量子井戸半導体レーザ
の研究が活発に行なわれている。[E.Yablono
vitchand E.O.Kane, J.Ligh
twaveTechnol.(シ゛ェイ ライトウエイ
フ゛ テクノロシ゛ー), LT−4, 504 (1
986)]図4に従来の歪量子井戸半導体レーザを示す
(第37回応用物理学会関連連合講演会30a−SA−
9)。31はSnドープInP基板、32はn−InP
クラッド層、33は厚み100nmの1.3μm波長組
成のノンドープInGaAsPバリア層、34は厚み4
nmで格子不整合率が0.6%程度のノンドープIn0
.62Ga0.38As歪井戸層、35は井戸数3の歪
量子井戸、36はp−InPクラッド層、37はp−I
nGaAsコンタクト層、38はp−n−p電流ブロッ
ク層、40はAu/Snよりなるn側電極、41はAu
/Znよりなるp側電極である。この構成は図5とほぼ
同じであるが、井戸層にInP基板より格子定数の大き
いノンドープIn0.62Ga0.38As層をもちい
て歪を導入し、歪井戸層としているところが異なる。
【0005】以上のように構成された従来の歪量子井戸
半導体レーザにおいて、電流をp側電極から導入し、p
−n−p電流ブロック層で挟窄したのち、歪量子井戸層
に注入する。歪量子井戸層は発振波長が1.55μmと
なるように設計されており、実際にも波長1.54μm
で発振した。
半導体レーザにおいて、電流をp側電極から導入し、p
−n−p電流ブロック層で挟窄したのち、歪量子井戸層
に注入する。歪量子井戸層は発振波長が1.55μmと
なるように設計されており、実際にも波長1.54μm
で発振した。
【0006】しかし、量子井戸に歪を導入することで期
待されていた低閾値化は実現されず、微分ゲインもあま
り向上しなかった。
待されていた低閾値化は実現されず、微分ゲインもあま
り向上しなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】歪量子井戸層は、圧縮
歪を導入したIn0.62Ga0.38As歪井戸層と
、歪を導入していないInGaAsP(λ=1.3μm
)バリア層をもちいているため、井戸層に歪を導入した
歪井戸層とバリア層の内部応力の作用反作用の関係から
井戸層に導入した歪の量は緩和され、バリア層には引張
り応力が発生することになる。すなわち、従来は圧縮歪
を緩和するために井戸層が広がろうとしてもバリア層が
存在するために広がれないと考えられてきたが、実際に
はバリア層は井戸層とともに広がり歪井戸層の歪が緩和
される。 その結果、歪井戸層に入ってほしい歪の量がバリア層で
緩和されてしまい、マイクロXMAなどを用いて結晶の
組成から推測される歪の量に対して、実際に歪井戸層に
存在してる歪の量は小さいことになる。
歪を導入したIn0.62Ga0.38As歪井戸層と
、歪を導入していないInGaAsP(λ=1.3μm
)バリア層をもちいているため、井戸層に歪を導入した
歪井戸層とバリア層の内部応力の作用反作用の関係から
井戸層に導入した歪の量は緩和され、バリア層には引張
り応力が発生することになる。すなわち、従来は圧縮歪
を緩和するために井戸層が広がろうとしてもバリア層が
存在するために広がれないと考えられてきたが、実際に
はバリア層は井戸層とともに広がり歪井戸層の歪が緩和
される。 その結果、歪井戸層に入ってほしい歪の量がバリア層で
緩和されてしまい、マイクロXMAなどを用いて結晶の
組成から推測される歪の量に対して、実際に歪井戸層に
存在してる歪の量は小さいことになる。
【0008】これをわかりやすく説明したのが図6とで
ある。図6に従来の歪井戸層を示す。図6(a)には、
InP基板61とバリア層62と井戸層63の格子定数
に対応した大きさを示している。すなわちInP61と
バリア層62の格子定数は等しく、井戸層63はそれよ
り大きい。バリア層62と井戸層63は連続に結晶格子
が結合しなくてはならないために図6(b)に示したよ
うに同じ大きさとなり、井戸層63は縮まった分だけ井
戸層内に圧縮応力を生ずることとなる。しかしながら、
井戸層63は元の大きさに広がろうとするために、バリ
ア層62は井戸層63に引きずられながら膨張する。そ
の結果、図6(c)に示したように井戸層が広がり、バ
リア層も井戸層と応力が釣りあうように膨張する。その
結果、井戸層63の圧縮応力は僅かに緩和されるものの
圧縮応力が存在し、バリア層62には膨張した分だけ引
張り応力が発生することとなる。
ある。図6に従来の歪井戸層を示す。図6(a)には、
InP基板61とバリア層62と井戸層63の格子定数
に対応した大きさを示している。すなわちInP61と
バリア層62の格子定数は等しく、井戸層63はそれよ
り大きい。バリア層62と井戸層63は連続に結晶格子
が結合しなくてはならないために図6(b)に示したよ
うに同じ大きさとなり、井戸層63は縮まった分だけ井
戸層内に圧縮応力を生ずることとなる。しかしながら、
井戸層63は元の大きさに広がろうとするために、バリ
ア層62は井戸層63に引きずられながら膨張する。そ
の結果、図6(c)に示したように井戸層が広がり、バ
リア層も井戸層と応力が釣りあうように膨張する。その
結果、井戸層63の圧縮応力は僅かに緩和されるものの
圧縮応力が存在し、バリア層62には膨張した分だけ引
張り応力が発生することとなる。
【0009】このように、井戸層に圧縮歪を導入しよう
とした場合、井戸層の組成をInPと格子整合する組成
からPL発光波長が長波長の組成になる。いま、井戸層
に歪を導入するべく井戸層にInPより格子定数の大き
いIn0.62Ga0.38Asを用いた場合、バルク
結晶を仮定した場合のPL発光波長は1.8μm程度と
なり、InPと格子整合するIn0.53Ga0.47
AsのPL発光波長1.67μmに対して長波長側にシ
フトしてしまう。 レーザの発振波長を1.55μmとするためにはIn0
.53Ga0.47Asを用いた場合には井戸層の幅が
5nm程度で良いが、In0.62Ga0.38Asを
用いた場合にはさらに量子シフトする必要があるため歪
井戸層の幅を3−4nmと薄くする必要がある。
とした場合、井戸層の組成をInPと格子整合する組成
からPL発光波長が長波長の組成になる。いま、井戸層
に歪を導入するべく井戸層にInPより格子定数の大き
いIn0.62Ga0.38Asを用いた場合、バルク
結晶を仮定した場合のPL発光波長は1.8μm程度と
なり、InPと格子整合するIn0.53Ga0.47
AsのPL発光波長1.67μmに対して長波長側にシ
フトしてしまう。 レーザの発振波長を1.55μmとするためにはIn0
.53Ga0.47Asを用いた場合には井戸層の幅が
5nm程度で良いが、In0.62Ga0.38Asを
用いた場合にはさらに量子シフトする必要があるため歪
井戸層の幅を3−4nmと薄くする必要がある。
【0010】このように井戸層を薄くすると、InP化
合物の1原子間隔は0.3nm程度であり、井戸層とバ
リア層との結晶界面に存在するテラスによる界面の乱れ
が2原子層程度であるとすれば各層の厚みは1.2nm
程度ばらつくことになる。井戸層の膜厚のばらつきは、
少なくとも20%以内におさめる必要があるため井戸層
の膜厚は5nm程度は必要ということになる。従って、
井戸層の組成をIn0.62Ga0.38Asとして圧
縮歪を導入し、井戸層の膜厚を3nm程度としてレーザ
を作製した場合には、膜厚のばらつきによりゲインピー
クの半値幅が広がり微分利得が減少し、歪量子井戸の効
果が充分に著せることができなくなる。
合物の1原子間隔は0.3nm程度であり、井戸層とバ
リア層との結晶界面に存在するテラスによる界面の乱れ
が2原子層程度であるとすれば各層の厚みは1.2nm
程度ばらつくことになる。井戸層の膜厚のばらつきは、
少なくとも20%以内におさめる必要があるため井戸層
の膜厚は5nm程度は必要ということになる。従って、
井戸層の組成をIn0.62Ga0.38Asとして圧
縮歪を導入し、井戸層の膜厚を3nm程度としてレーザ
を作製した場合には、膜厚のばらつきによりゲインピー
クの半値幅が広がり微分利得が減少し、歪量子井戸の効
果が充分に著せることができなくなる。
【0011】上記のように、歪量子井戸半導体レーザで
は、井戸層の膜厚をMOVPE法やMBE法の膜厚制御
の限界以下の膜厚ばらつきで制御する必要があるという
問題点を有していた。
は、井戸層の膜厚をMOVPE法やMBE法の膜厚制御
の限界以下の膜厚ばらつきで制御する必要があるという
問題点を有していた。
【0012】本発明は上記問題点に鑑み、井戸層の膜厚
が歪を導入しない場合と同程度である歪量子井戸半導体
レーザおよびその製造方法を提供するものである。
が歪を導入しない場合と同程度である歪量子井戸半導体
レーザおよびその製造方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに本発明の半導体レーザは、化合物半導体基板と、前
記化合物半導体基板上に歪量子井戸層を有し、前記歪量
子井戸層が前記化合物半導体基板より格子定数の小さい
バリア層と、前記バリア層より格子定数の大きい井戸層
を備えた歪量子井戸半導体レーザとするものである。
めに本発明の半導体レーザは、化合物半導体基板と、前
記化合物半導体基板上に歪量子井戸層を有し、前記歪量
子井戸層が前記化合物半導体基板より格子定数の小さい
バリア層と、前記バリア層より格子定数の大きい井戸層
を備えた歪量子井戸半導体レーザとするものである。
【0014】化合物半導体基板と、前記化合物半導体基
板上に歪量子井戸層を有し、前記歪量子井戸層が前記化
合物半導体基板より格子定数の小さいバリア層と、前記
化合物半導体基板と格子定数がほぼ等しい井戸層を備え
た歪量子井戸半導体レーザとするものである。
板上に歪量子井戸層を有し、前記歪量子井戸層が前記化
合物半導体基板より格子定数の小さいバリア層と、前記
化合物半導体基板と格子定数がほぼ等しい井戸層を備え
た歪量子井戸半導体レーザとするものである。
【0015】好ましくは化合物半導体基板と、バリア層
との間に格子定数が前記基板から前記バリア層に徐々に
変化するバッファ層を備えた歪量子井戸半導体レーザと
するものである。
との間に格子定数が前記基板から前記バリア層に徐々に
変化するバッファ層を備えた歪量子井戸半導体レーザと
するものである。
【0016】また、化合物半導体単結晶基板上に、前記
化合物半導体基板と同組成同伝導型を有する第1のクラ
ッド層と、前記化合物半導体基板と組成が異なり負の格
子不整合率を有するバッファ層と、前記バッファ層より
バンドギャップが小さく前記バッファ層に対して正の格
子不整合率を有する井戸層と前記バッファ層と井戸層を
1回以上交互に成長した量子井戸層と、前記結晶基板と
同組成反伝導型を有する第2のクラッド層を成長する工
程と、前記第2のクラッド層から前記第1のクラッド層
までをストライプ状にエッチングする工程と、前記スト
ライプ上に電流ブロック層を成長する工程を含む歪量子
井戸半導体レーザの製造方法とするものである。
化合物半導体基板と同組成同伝導型を有する第1のクラ
ッド層と、前記化合物半導体基板と組成が異なり負の格
子不整合率を有するバッファ層と、前記バッファ層より
バンドギャップが小さく前記バッファ層に対して正の格
子不整合率を有する井戸層と前記バッファ層と井戸層を
1回以上交互に成長した量子井戸層と、前記結晶基板と
同組成反伝導型を有する第2のクラッド層を成長する工
程と、前記第2のクラッド層から前記第1のクラッド層
までをストライプ状にエッチングする工程と、前記スト
ライプ上に電流ブロック層を成長する工程を含む歪量子
井戸半導体レーザの製造方法とするものである。
【0017】
【作用】図4に示すように従来の歪量子井戸半導体レー
ザでは、図6を用いて説明したように基板、バリア層よ
り格子定数の大きい井戸層を用いることによって、井戸
層に圧縮歪を導入しているのに対し、本発明では上記構
成によって基板、井戸層より格子定数の小さいバリア層
を用いてバリア層に生じる引張り歪の反作用として井戸
層に圧縮歪を導入するものである。これをわかりやすく
説明したものが図7である。
ザでは、図6を用いて説明したように基板、バリア層よ
り格子定数の大きい井戸層を用いることによって、井戸
層に圧縮歪を導入しているのに対し、本発明では上記構
成によって基板、井戸層より格子定数の小さいバリア層
を用いてバリア層に生じる引張り歪の反作用として井戸
層に圧縮歪を導入するものである。これをわかりやすく
説明したものが図7である。
【0018】図7に本発明の歪井戸層を示す。図7(a
)には、InP基板とバリア層と井戸層の格子定数に対
応した大きさを示している。すなわちInPと井戸層の
格子定数は等しく、バリア層の格子定数はそれより小さ
い。しかしながら、実際にはInP基板とバリア層と井
戸層は連続に結晶格子が結合しなくてはならないために
図7(b)に示したように平面方向の格子定数は同じ大
きさとなり、バリア層は広がった分だけバリア層内に引
張り応力を生ずることとなる。しかしながら、バリア層
は元の大きさに縮まろうとするために、井戸層はバリア
層に引きずられながら収縮する。その結果、図7(c)
に示したようにバリア層が縮まり、井戸層もバリア層と
応力が釣りあうように収縮する。その結果、バリア層の
引張り応力は緩和され、井戸層には収縮した分だけ圧縮
応力が発生することとなる。
)には、InP基板とバリア層と井戸層の格子定数に対
応した大きさを示している。すなわちInPと井戸層の
格子定数は等しく、バリア層の格子定数はそれより小さ
い。しかしながら、実際にはInP基板とバリア層と井
戸層は連続に結晶格子が結合しなくてはならないために
図7(b)に示したように平面方向の格子定数は同じ大
きさとなり、バリア層は広がった分だけバリア層内に引
張り応力を生ずることとなる。しかしながら、バリア層
は元の大きさに縮まろうとするために、井戸層はバリア
層に引きずられながら収縮する。その結果、図7(c)
に示したようにバリア層が縮まり、井戸層もバリア層と
応力が釣りあうように収縮する。その結果、バリア層の
引張り応力は緩和され、井戸層には収縮した分だけ圧縮
応力が発生することとなる。
【0019】つぎにバリア層の引張り歪が井戸層に導入
されることを式により説明する。図7のバリア層の格子
不整合をΔa、剛性率をYb、結晶の膜厚をLbとした
場合、バリア層に発生する応力Fbは(1)式で、歪エ
ネルギーEbは(2)式で示される。
されることを式により説明する。図7のバリア層の格子
不整合をΔa、剛性率をYb、結晶の膜厚をLbとした
場合、バリア層に発生する応力Fbは(1)式で、歪エ
ネルギーEbは(2)式で示される。
【0020】
Fb=Δa*Yb
(1) Eb=Lb*
Fb=Lb*Δa*Yb
(2) バリア層は引張り応力を緩和するために
収縮した場合、バリア層と隣接して接合している井戸層
も同時に収縮するため井戸層内に圧縮応力が発生する。 即ち、バリア層がΔb収縮した場合、バリア層内のエネ
ルギーは(3)式で示される。
(1) Eb=Lb*
Fb=Lb*Δa*Yb
(2) バリア層は引張り応力を緩和するために
収縮した場合、バリア層と隣接して接合している井戸層
も同時に収縮するため井戸層内に圧縮応力が発生する。 即ち、バリア層がΔb収縮した場合、バリア層内のエネ
ルギーは(3)式で示される。
【0021】
Eb=Lb*(Δa−Δb)
*Yb (3)一
方、井戸層もバリア層の収縮量と等しくΔb収縮するた
め、井戸層の格子不整合率をΔb、剛性率をYw、結晶
の膜厚をLwとした場合の井戸層に発生する歪エネルギ
ーEwは(4)式で示される。
*Yb (3)一
方、井戸層もバリア層の収縮量と等しくΔb収縮するた
め、井戸層の格子不整合率をΔb、剛性率をYw、結晶
の膜厚をLwとした場合の井戸層に発生する歪エネルギ
ーEwは(4)式で示される。
【0022】
Ew=Lw*Δb*Yw
(4)バリア層内の歪エネルギーEbと井戸層内の歪
エネルギーEwはつりあうことより(5)式がなりたつ
。
(4)バリア層内の歪エネルギーEbと井戸層内の歪
エネルギーEwはつりあうことより(5)式がなりたつ
。
【0023】
Lb*(Δa−Δb)*Yb
=Lw*Δb*Yw (5)井戸層の格子の
不整合Δbをは(5)式を変形して(6)式となる。
=Lw*Δb*Yw (5)井戸層の格子の
不整合Δbをは(5)式を変形して(6)式となる。
【0024】
Δb=Δa*(Lb/(Lb
+Lw))*Yb/Yw (6)井戸層の組成をIn
0.53Ga0.47As(InPに格子整合)、膜厚
Lwを5nmとし、バリア層の組成をIn0.58Ga
0.42As0.63P0.37、膜厚Lbを10nm
とした場合、剛性率はIn0.53Ga0.47Asと
In0.58Ga0.42As0.63P0.37とほ
ぼ同様であるためYb=Yaとなる。井戸層に対するバ
リア層の格子不整合率はΔa=3%である。以上を(6
)式に代入すると、 InP基板に対する井戸層の格
子不整合 :Δb= 2%圧縮歪
InP基板に対するバリア層の格子不整合:Δa−Δb
=1%引張り歪となり、バリア層の格子不整合率3パー
セントのうち2パーセントが井戸層に導入されることが
証明された。
+Lw))*Yb/Yw (6)井戸層の組成をIn
0.53Ga0.47As(InPに格子整合)、膜厚
Lwを5nmとし、バリア層の組成をIn0.58Ga
0.42As0.63P0.37、膜厚Lbを10nm
とした場合、剛性率はIn0.53Ga0.47Asと
In0.58Ga0.42As0.63P0.37とほ
ぼ同様であるためYb=Yaとなる。井戸層に対するバ
リア層の格子不整合率はΔa=3%である。以上を(6
)式に代入すると、 InP基板に対する井戸層の格
子不整合 :Δb= 2%圧縮歪
InP基板に対するバリア層の格子不整合:Δa−Δb
=1%引張り歪となり、バリア層の格子不整合率3パー
セントのうち2パーセントが井戸層に導入されることが
証明された。
【0025】次に歪を3パーセント導入するためにバリ
ア層の組成をIn0.58Ga0.42As0.63P
0.37としたがこの理由を以下に示す。
ア層の組成をIn0.58Ga0.42As0.63P
0.37としたがこの理由を以下に示す。
【0026】バリア層に3%程度の歪を導入する場合に
はバリア層の組成をGa(x)In(1−x)As(y
)P(1−y)とした場合に、(7)式のようにxを変
化させればよいこととなる。
はバリア層の組成をGa(x)In(1−x)As(y
)P(1−y)とした場合に、(7)式のようにxを変
化させればよいこととなる。
【0027】
x=0.47y−0.37
(7
)バリア層のバンドギャップEgはGa(x)In(1
−x)As(y)P(1−y)とした場合に(8)式の
ように計算される。
(7
)バリア層のバンドギャップEgはGa(x)In(1
−x)As(y)P(1−y)とした場合に(8)式の
ように計算される。
【0028】
Eg=1.35+0.672x−1.091y+0
.758x2+0.101y2−0.157xy−0.
312x2y+0.109xy2
(8)バリア層の組成を波長λg=1.3μmとした場
合には(7)式および(8)式よりx=0.9、y=1
.0となる。その結果次のような利点を有する。 (a)井戸層に歪を直接導入しないため組成のずれによ
る発振波長の長波長シフトの補正のための井戸層を薄膜
化する必要が無い。 (b)歪の緩和機構を考慮しているために設計通りの歪
を導入できる。 (c)バリア層に引張り歪を導入した結果、バンド構造
が変化しホール濃度の高い軽いホールのエネルギーレベ
ルが重いホールのエネルギーレベルに対して低エネルギ
ー側にシフトするためにホールの注入効率が増大し、微
分利得が向上される。 (d)同一のバンドギャップEgを有するGa(x)I
n(1−x)As(y)P(1−y)4元系結晶におい
て、xが大きい程In0.53Ga0.47Asに対す
る導伝帯でのエネルギーバンドギャップの不連続ΔEv
が小さくなる。その結果、ホールの注入効率が増大し、
微分利得が向上する。 (e)バリア層の膜厚を変化させることで井戸層に導入
できる歪の量を容易に変化でき、かつホールの注入効率
などの他の物理現象が変化しないために歪の効果を容易
に分離し検討できる。 (f)歪量子井戸層を図5に示したように埋め込み構造
とした場合に、井戸層の結晶成長方向の歪量が小さく、
埋め込み界面での結晶性の乱れが緩和できる。 (g)InP単結晶基板から歪量子井戸層のバリア層に
至るまでの間に、格子定数が徐々に変化してそれぞれの
結晶に格子整合するバッファ層を導入することで歪量子
井戸内部における歪量の分布を抑制することができる利
点を有する。
.758x2+0.101y2−0.157xy−0.
312x2y+0.109xy2
(8)バリア層の組成を波長λg=1.3μmとした場
合には(7)式および(8)式よりx=0.9、y=1
.0となる。その結果次のような利点を有する。 (a)井戸層に歪を直接導入しないため組成のずれによ
る発振波長の長波長シフトの補正のための井戸層を薄膜
化する必要が無い。 (b)歪の緩和機構を考慮しているために設計通りの歪
を導入できる。 (c)バリア層に引張り歪を導入した結果、バンド構造
が変化しホール濃度の高い軽いホールのエネルギーレベ
ルが重いホールのエネルギーレベルに対して低エネルギ
ー側にシフトするためにホールの注入効率が増大し、微
分利得が向上される。 (d)同一のバンドギャップEgを有するGa(x)I
n(1−x)As(y)P(1−y)4元系結晶におい
て、xが大きい程In0.53Ga0.47Asに対す
る導伝帯でのエネルギーバンドギャップの不連続ΔEv
が小さくなる。その結果、ホールの注入効率が増大し、
微分利得が向上する。 (e)バリア層の膜厚を変化させることで井戸層に導入
できる歪の量を容易に変化でき、かつホールの注入効率
などの他の物理現象が変化しないために歪の効果を容易
に分離し検討できる。 (f)歪量子井戸層を図5に示したように埋め込み構造
とした場合に、井戸層の結晶成長方向の歪量が小さく、
埋め込み界面での結晶性の乱れが緩和できる。 (g)InP単結晶基板から歪量子井戸層のバリア層に
至るまでの間に、格子定数が徐々に変化してそれぞれの
結晶に格子整合するバッファ層を導入することで歪量子
井戸内部における歪量の分布を抑制することができる利
点を有する。
【0029】
【実施例】従来の歪量子井戸半導体レーザは、基板、バ
リア層より格子定数の大きな井戸層を用いて井戸層に直
接圧縮歪を導入していたが、本実施例ではいずれも基板
、井戸層より格子定数の小さいバリア層を用いてバリア
層に引張り歪を導入し、その反作用で井戸層に圧縮歪を
導入している点が特徴である。
リア層より格子定数の大きな井戸層を用いて井戸層に直
接圧縮歪を導入していたが、本実施例ではいずれも基板
、井戸層より格子定数の小さいバリア層を用いてバリア
層に引張り歪を導入し、その反作用で井戸層に圧縮歪を
導入している点が特徴である。
【0030】以下本発明の歪量子井戸半導体レーザにつ
いて、以下図面を参照しながら説明する。
いて、以下図面を参照しながら説明する。
【0031】図1は本発明の第1の実施例における歪量
子井戸半導体レーザの構造図を示すものである。図1に
おいて、1はSnドープInP基板、2はn−InPク
ラッド層、3は厚み100nmのノンドープIn0.5
8Ga0.42As0.63P0.37バリア層、4は
厚み5nmのノンドープIn0.53Ga0.47As
井戸層、5は井戸数5の歪量子井戸、6はp−InPク
ラッド層、7はp−In0.53Ga0.47Asコン
タクト層、8はp−n−p電流ブロック層、10はAu
/Snよりなるn側電極、11はAu/Znよりなるp
側電極である。
子井戸半導体レーザの構造図を示すものである。図1に
おいて、1はSnドープInP基板、2はn−InPク
ラッド層、3は厚み100nmのノンドープIn0.5
8Ga0.42As0.63P0.37バリア層、4は
厚み5nmのノンドープIn0.53Ga0.47As
井戸層、5は井戸数5の歪量子井戸、6はp−InPク
ラッド層、7はp−In0.53Ga0.47Asコン
タクト層、8はp−n−p電流ブロック層、10はAu
/Snよりなるn側電極、11はAu/Znよりなるp
側電極である。
【0032】この図においてその構成は図4で示したも
のとほぼ同様である。図4と異なる本実施例の特徴は歪
量子井戸層がノンドープIn0.58Ga0.42As
0.63P0.37バリア層と、ノンドープIn0.5
3Ga0.47As井戸層で構成され、バリア層に引張
り歪が導入され、その反作用で井戸層に歪が導入されて
いるところである。
のとほぼ同様である。図4と異なる本実施例の特徴は歪
量子井戸層がノンドープIn0.58Ga0.42As
0.63P0.37バリア層と、ノンドープIn0.5
3Ga0.47As井戸層で構成され、バリア層に引張
り歪が導入され、その反作用で井戸層に歪が導入されて
いるところである。
【0033】以上のように構成されたこの実施例の歪量
子井戸半導体レーザ装置の動作は従来のレーザ装置と同
様であるので説明を省略する。
子井戸半導体レーザ装置の動作は従来のレーザ装置と同
様であるので説明を省略する。
【0034】歪量子井戸はバリア層3と井戸層4の5層
構造よりなり、バリア層には1%の引張り歪が存在し、
井戸層には2%の圧縮歪が存在している。井戸層の膜厚
は井戸層の組成において1.55μmの発光波長が得ら
れるよう5nmに設定した。本実施例に示したレーザを
作製して諸特性を評価した結果、発振閾値電流は7mA
となり同一構造で無歪の場合の18mAに対して40%
に低減された。これは、歪効果によりオージェ効果が抑
制されしきい値電流が低下したためと考えられる。また
、スロープ効率は0.25W/Aとなり、図5で説明し
た同一構造で無歪の場合の0.15W/Aに対して1.
7倍に向上した。これは、伝導帯におけるバンドの不連
続ΔEvが低減されたためにホールの注入効率が上昇し
、バンドフィリングの効果が緩和されるために量子井戸
層の層数を5ペアまで低減でき、量子井戸内部での光の
内部損失が減少できたためと考えられる。
構造よりなり、バリア層には1%の引張り歪が存在し、
井戸層には2%の圧縮歪が存在している。井戸層の膜厚
は井戸層の組成において1.55μmの発光波長が得ら
れるよう5nmに設定した。本実施例に示したレーザを
作製して諸特性を評価した結果、発振閾値電流は7mA
となり同一構造で無歪の場合の18mAに対して40%
に低減された。これは、歪効果によりオージェ効果が抑
制されしきい値電流が低下したためと考えられる。また
、スロープ効率は0.25W/Aとなり、図5で説明し
た同一構造で無歪の場合の0.15W/Aに対して1.
7倍に向上した。これは、伝導帯におけるバンドの不連
続ΔEvが低減されたためにホールの注入効率が上昇し
、バンドフィリングの効果が緩和されるために量子井戸
層の層数を5ペアまで低減でき、量子井戸内部での光の
内部損失が減少できたためと考えられる。
【0035】さらに、半導体レーザの動作速度を規制す
る緩和振動周波数はfr=10GHz/mWとなり、同
一構造で無歪の場合の6GHzに対して1.7倍に向上
した。これは、伝導帯のバンド構造が分裂しホールの存
在確立の高い軽いホールがバリア層内部に重いホールと
して供給されたためにホールの寿命τpが減少したため
と考えられる。
る緩和振動周波数はfr=10GHz/mWとなり、同
一構造で無歪の場合の6GHzに対して1.7倍に向上
した。これは、伝導帯のバンド構造が分裂しホールの存
在確立の高い軽いホールがバリア層内部に重いホールと
して供給されたためにホールの寿命τpが減少したため
と考えられる。
【0036】加えて、無歪の場合の井戸層の厚みが2n
mであるのにたいして、本実施例の歪井戸層の厚みは5
nmであるために井戸層とバリア層との間の界面の不均
一性に基づく膜厚の変動の影響を受けにくく歩留まりが
高くかつ特性の安定したレーザを容易に作製することが
可能となる。
mであるのにたいして、本実施例の歪井戸層の厚みは5
nmであるために井戸層とバリア層との間の界面の不均
一性に基づく膜厚の変動の影響を受けにくく歩留まりが
高くかつ特性の安定したレーザを容易に作製することが
可能となる。
【0037】以下本発明の第2の実施例について図面を
参照しながら説明する。図2は本発明の第2の実施例の
歪量子井戸半導体レーザの構造図を示すものである。図
2において、1はSnドープInP基板、2はn−In
Pクラッド層、12は格子定数をInPからIn0.1
Ga0.9Asへと徐々に変化させたバッファ層、3は
厚み100nmのノンドープIn0.58Ga0.42
As0.63P0.37バリア層、4は厚み5nmのノ
ンドープIn0.53Ga0.47As井戸層、5は井
戸数5の歪量子井戸、6はp−InPクラッド層、7は
p−In0.53Ga0.47Asコンタクト層、8は
p−n−p電流ブロック層、10はAu/Snよりなる
n側電極、11はAu/Znよりなるp側電極である。
参照しながら説明する。図2は本発明の第2の実施例の
歪量子井戸半導体レーザの構造図を示すものである。図
2において、1はSnドープInP基板、2はn−In
Pクラッド層、12は格子定数をInPからIn0.1
Ga0.9Asへと徐々に変化させたバッファ層、3は
厚み100nmのノンドープIn0.58Ga0.42
As0.63P0.37バリア層、4は厚み5nmのノ
ンドープIn0.53Ga0.47As井戸層、5は井
戸数5の歪量子井戸、6はp−InPクラッド層、7は
p−In0.53Ga0.47Asコンタクト層、8は
p−n−p電流ブロック層、10はAu/Snよりなる
n側電極、11はAu/Znよりなるp側電極である。
【0038】この図においてその構成は第1の実施例で
示したものとほぼ同様である。第1の実施例と異なる本
実施例の特徴はInP基板からIn0.58Ga0.4
2As0.63P0.37へと徐々に変化させたバッフ
ァ層12を用いているところである。
示したものとほぼ同様である。第1の実施例と異なる本
実施例の特徴はInP基板からIn0.58Ga0.4
2As0.63P0.37へと徐々に変化させたバッフ
ァ層12を用いているところである。
【0039】以上のように構成されたこの実施例の歪量
子井戸半導体レーザ装置の動作は従来のレーザ装置と同
様であるので説明を省略する。
子井戸半導体レーザ装置の動作は従来のレーザ装置と同
様であるので説明を省略する。
【0040】歪量子井戸はバリア層3と井戸層4の5層
構造よりなり、バリア層には1%の引張り歪が存在し、
井戸層には2%の圧縮歪が存在している。井戸層の膜厚
は井戸層の組成において1.55μmの発光波長が得ら
れるよう5nmに設定した。バッファ層12はInP基
板1からバリア層3にかけてInP層とバリア層とを順
次16nm(InP)、4nm(ハ゛リア)、12nm
(InP)、8nm(ハ゛リア)、8nm(InP)、
12nm(ハ゛リア)、4nm(InP)、16nm(
ハ゛リア)とそれぞれの膜厚を変化させながら積層する
ことにより量子井戸構造を構成するバリア層の歪が結晶
基板により大きく緩和されるのを防止することができる
。実際、本実施例に示したレーザを作製して諸特性を評
価した結果、発振閾値電流は7mAとなり同一構造で無
歪の場合の18mAに対して40%に低減された。また
、スロープ効率は0.3W/Aとなり、同一構造で無歪
の場合の0.15W/Aに対して2倍に向上した。これ
は、伝導帯におけるバンドの不連続ΔEvが低減されそ
の低下の度合が均一であったためと考えられる。緩和振
動周波数frは10GHzであった。
構造よりなり、バリア層には1%の引張り歪が存在し、
井戸層には2%の圧縮歪が存在している。井戸層の膜厚
は井戸層の組成において1.55μmの発光波長が得ら
れるよう5nmに設定した。バッファ層12はInP基
板1からバリア層3にかけてInP層とバリア層とを順
次16nm(InP)、4nm(ハ゛リア)、12nm
(InP)、8nm(ハ゛リア)、8nm(InP)、
12nm(ハ゛リア)、4nm(InP)、16nm(
ハ゛リア)とそれぞれの膜厚を変化させながら積層する
ことにより量子井戸構造を構成するバリア層の歪が結晶
基板により大きく緩和されるのを防止することができる
。実際、本実施例に示したレーザを作製して諸特性を評
価した結果、発振閾値電流は7mAとなり同一構造で無
歪の場合の18mAに対して40%に低減された。また
、スロープ効率は0.3W/Aとなり、同一構造で無歪
の場合の0.15W/Aに対して2倍に向上した。これ
は、伝導帯におけるバンドの不連続ΔEvが低減されそ
の低下の度合が均一であったためと考えられる。緩和振
動周波数frは10GHzであった。
【0041】図3は本発明の実施例における歪量子井戸
半導体レーザの製造方法を示す工程断面図である。Sn
ドープInP基板1上にMOVPE法を用いて膜厚0.
5μmのn−InPクラッド層2、膜厚10nmのノン
ドープIn0.58Ga0.42As0.63P0.3
7バリア層3および膜厚4nmのIn0.53Ga0.
47As歪井戸層4を繰り返し成長し井戸数5とした歪
量子井戸5、さらにp−InPクラッド層6を連続的に
成長する結晶成長工程(図3a)の後、メサ状にエッチ
ングするメサエッチング工程(図3b)、電流ブロック
層8およびコンタクト層7をLPE成長する埋め込み成
長工程(図3c)、n側電極10とp側電極11を蒸着
により形成する電極蒸着工程(図3d)よりなる。
半導体レーザの製造方法を示す工程断面図である。Sn
ドープInP基板1上にMOVPE法を用いて膜厚0.
5μmのn−InPクラッド層2、膜厚10nmのノン
ドープIn0.58Ga0.42As0.63P0.3
7バリア層3および膜厚4nmのIn0.53Ga0.
47As歪井戸層4を繰り返し成長し井戸数5とした歪
量子井戸5、さらにp−InPクラッド層6を連続的に
成長する結晶成長工程(図3a)の後、メサ状にエッチ
ングするメサエッチング工程(図3b)、電流ブロック
層8およびコンタクト層7をLPE成長する埋め込み成
長工程(図3c)、n側電極10とp側電極11を蒸着
により形成する電極蒸着工程(図3d)よりなる。
【0042】以上のように作製されたこの実施例の歪量
子井戸半導体レーザのバリア層3の結晶成長条件を以下
に説明する。
子井戸半導体レーザのバリア層3の結晶成長条件を以下
に説明する。
【0043】
TMI =2.0×10−4mol/minTMG
=1.8×10−4mol/minAsH3 =1.
0×10−3mol/min全流量 =5リッター/
min 成長温度=640℃ 上記の成長条件で成長された膜厚10nmのIn0.5
8Ga0.42As0.63P0.37結晶を100n
mのInP層で挟んだ層数50ペアーの歪量子井戸構造
を作製して格子定数を測定した結果−3%の格子不整合
率を有しており、かつPL波長は1.25μmとなった
。さらに、InP基板上に膜厚5nmのIn0.53G
a0.47As結晶を膜厚10nmのIn0.58Ga
0.42As0.63P0.37結晶で挟んだ層数50
ペアーの歪量子井戸構造を作製して格子定数を測定した
結果InP基板に対して−1%と2%の格子不整合率を
有しており、かつPL波長は1.55μmとなった。
=1.8×10−4mol/minAsH3 =1.
0×10−3mol/min全流量 =5リッター/
min 成長温度=640℃ 上記の成長条件で成長された膜厚10nmのIn0.5
8Ga0.42As0.63P0.37結晶を100n
mのInP層で挟んだ層数50ペアーの歪量子井戸構造
を作製して格子定数を測定した結果−3%の格子不整合
率を有しており、かつPL波長は1.25μmとなった
。さらに、InP基板上に膜厚5nmのIn0.53G
a0.47As結晶を膜厚10nmのIn0.58Ga
0.42As0.63P0.37結晶で挟んだ層数50
ペアーの歪量子井戸構造を作製して格子定数を測定した
結果InP基板に対して−1%と2%の格子不整合率を
有しており、かつPL波長は1.55μmとなった。
【0044】なお、実施例において、バリア層に引張り
歪を導入する手段として組成がIn0.58Ga0.4
2As0.63P0.37の結晶を用いたがその他の結
晶例えば、In0.1Ga0.9As、GaAS系、Z
nSeS系、InAlAs系、AlGaAs系InGa
AlAsP系であっても引張り歪が導入されればよい。 また、実施例では井戸層に歪を導入していないがバリア
層の影響で圧縮歪が導入されればその他の組成例えば圧
縮歪が導入されるIn0.6Ga0.4Asなど、およ
び他の結晶系例えばGaAs系、ZnSeS系、InA
lAs系、AlGaAs系InGaAlAsP系であっ
てもよい。レーザ構造をDHレーザとしたが、DFBレ
ーザ、DBRレーザなど付加価値の高いレーザへの適応
が可能である。また、活性層の構造をPBHタイプとし
たが、その他の構造でもよい。さらに本実施例では歪超
格子構造をレーザに適応したが、導波路、受光素子等へ
の適応が可能である。また、結晶基板よりバッファ層に
かけての格子定数を徐々に変化させる手段においては内
部に欠陥を発生しない方法であれば他の方法であっても
よい。
歪を導入する手段として組成がIn0.58Ga0.4
2As0.63P0.37の結晶を用いたがその他の結
晶例えば、In0.1Ga0.9As、GaAS系、Z
nSeS系、InAlAs系、AlGaAs系InGa
AlAsP系であっても引張り歪が導入されればよい。 また、実施例では井戸層に歪を導入していないがバリア
層の影響で圧縮歪が導入されればその他の組成例えば圧
縮歪が導入されるIn0.6Ga0.4Asなど、およ
び他の結晶系例えばGaAs系、ZnSeS系、InA
lAs系、AlGaAs系InGaAlAsP系であっ
てもよい。レーザ構造をDHレーザとしたが、DFBレ
ーザ、DBRレーザなど付加価値の高いレーザへの適応
が可能である。また、活性層の構造をPBHタイプとし
たが、その他の構造でもよい。さらに本実施例では歪超
格子構造をレーザに適応したが、導波路、受光素子等へ
の適応が可能である。また、結晶基板よりバッファ層に
かけての格子定数を徐々に変化させる手段においては内
部に欠陥を発生しない方法であれば他の方法であっても
よい。
【0045】また、実施例ではInP系化合物半導体と
したが、GaAs、ZnSe、CdTe等他の半導体材
料でもよい。結晶成長方法はMOVPE法としたが、ガ
スソースMBE、MOMBE法のみならず、エルビウム
などの不純物元素を添加する場合ハイドライドVPE法
など他の成長方法を用いてもよい。
したが、GaAs、ZnSe、CdTe等他の半導体材
料でもよい。結晶成長方法はMOVPE法としたが、ガ
スソースMBE、MOMBE法のみならず、エルビウム
などの不純物元素を添加する場合ハイドライドVPE法
など他の成長方法を用いてもよい。
【0046】また、実施例では歪量子井戸半導体レーザ
の構造と製造方法を示したが、この構造および製造方法
で作製した半導体レーザの歪量子井戸の部分を光導波路
として用いることができるため、光導波路としての機能
もあわせもつものである。
の構造と製造方法を示したが、この構造および製造方法
で作製した半導体レーザの歪量子井戸の部分を光導波路
として用いることができるため、光導波路としての機能
もあわせもつものである。
【0047】
【発明の効果】以上のように本発明はバリア層に引張り
歪を設けることにより井戸層に歪を導入でき、低閾値、
高スロープ効率、高動作速度、低歪の歪量子井戸半導体
レーザを実現することができる。
歪を設けることにより井戸層に歪を導入でき、低閾値、
高スロープ効率、高動作速度、低歪の歪量子井戸半導体
レーザを実現することができる。
【図1】本発明の第1の実施例における歪量子井戸半導
体レーザの構成断面図である。
体レーザの構成断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例における歪量子井戸半導
体レーザの構成断面図である。
体レーザの構成断面図である。
【図3】本発明の第3の実施例における歪量子井戸半導
体レーザの製造方法を示す工程断面図である。
体レーザの製造方法を示す工程断面図である。
【図4】従来の歪量子井戸半導体レーザの構成断面図で
ある。
ある。
【図5】従来の多重量子井戸半導体レーザの構成断面図
である。
である。
【図6】従来の井戸層に圧縮歪を導入する過程を説明す
るための図である。
るための図である。
【図7】本発明の井戸層に圧縮歪を導入する過程を説明
するための図である。
するための図である。
1 SnドープInP基板
2 n−InPクラッド層、
3 InGaAsPバリア層
4 InGaAs井戸層、
5 歪量子井戸、
6 p−InPクラッド層
7 p−InGaAsコンタクト層
8 p−n−p電流ブロック層、
10 Au/Snよりなるn側電極
11 Au/Znよりなるp側電極
12 バッファ層
Claims (4)
- 【請求項1】 化合物半導体基板と、前記化合物半導
体基板上に歪量子井戸層を有し、前記歪量子井戸層が前
記化合物半導体基板より格子定数の小さいバリア層と、
前記バリア層より格子定数の大きい井戸層を備えたこと
を特徴とする歪量子井戸半導体レーザ。 - 【請求項2】 化合物半導体基板と、前記化合物半導
体基板上に歪量子井戸層を有し、前記歪量子井戸層が前
記化合物半導体基板より格子定数の小さいバリア層と、
前記化合物半導体基板と格子定数がほぼ等しい井戸層を
備えたことを特徴とする歪量子井戸半導体レーザ。 - 【請求項3】 化合物半導体基板と、バリア層との間
に格子定数が前記基板から前記バリア層に徐々に変化す
るバッファ層を備えたことを特徴とする請求項1記載の
歪量子井戸半導体レーザ。 - 【請求項4】 化合物半導体基板上に、前記化合物半
導体基板と同組成同伝導型を有する第1のクラッド層と
、前記化合物半導体基板と組成が異なり負の格子不整合
率を有するバッファ層と、前記バッファ層よりバンドギ
ャップが小さく前記バッファ層に対して正の格子不整合
率を有する井戸層と前記バッファ層と井戸層を1回以上
交互に成長した量子井戸層と、前記結晶基板と同組成反
伝導型を有する第2のクラッド層を成長する工程と、前
記第2のクラッド層から前記第1のクラッド層までをス
トライプ状にエッチングする工程と、前記ストライプ上
に電流ブロック層を成長する工程を含むことを特徴とす
る歪量子井戸半導体レーザの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15140791A JPH04373190A (ja) | 1991-06-24 | 1991-06-24 | 歪量子井戸半導体レーザおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15140791A JPH04373190A (ja) | 1991-06-24 | 1991-06-24 | 歪量子井戸半導体レーザおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04373190A true JPH04373190A (ja) | 1992-12-25 |
Family
ID=15517924
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15140791A Pending JPH04373190A (ja) | 1991-06-24 | 1991-06-24 | 歪量子井戸半導体レーザおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH04373190A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05175601A (ja) * | 1991-12-20 | 1993-07-13 | Fujikura Ltd | 多重量子井戸半導体レーザ |
Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
1991
- 1991-06-24 JP JP15140791A patent/JPH04373190A/ja active Pending
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