JPH05175601A - 多重量子井戸半導体レーザ - Google Patents

多重量子井戸半導体レーザ

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JPH05175601A
JPH05175601A JP35514991A JP35514991A JPH05175601A JP H05175601 A JPH05175601 A JP H05175601A JP 35514991 A JP35514991 A JP 35514991A JP 35514991 A JP35514991 A JP 35514991A JP H05175601 A JPH05175601 A JP H05175601A
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JP
Japan
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layer
well
inp
composition
well layer
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JP35514991A
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English (en)
Inventor
Shinzo Suzaki
慎三 須崎
Jii Rabikumaaru Kee
ケー・ジー・ラビクマール
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Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 井戸層をそれ程薄くすることなく効果的に井
戸層に圧縮歪みを導入して高効率化を図ったMQWレー
ザを提供することを目的とする。 【構成】 n型InP基板1に、n型InPバッファ層
2,n型InGaAsP導波路層3,i型活性層4,p
型InGaAsP導波路層5,p型InPクラッド層6
が積層形成され、活性層4はInx Ga1-x As井戸層
とIny Ga1-y Asz 1-z 障壁層が交互に積層され
たMQW構造であって、Inx Ga1-x As井戸層42
はInPより大きい格子定数を持つ組成が与えられ、I
y Ga1-y Asz 1-z 障壁層41はInPより小さ
い格子定数を持つ組成が与えられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低しきい値電流、高効
率化を図った多重量子井戸半導体レーザに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、多重量子井戸半導体レーザの研究
が盛んに行われている。多重量子井戸(Multi Quant
um Well ,MQW)は、井戸層とこれよりバンドギャ
ップの大きい障壁層とを電子の波長(10nm)以下の薄
い膜厚をもって交互に積層したもので、MQWレーザは
これを活性層として用いる。MQWレーザは、注入され
たキャリアが効果的に井戸層に閉じ込められるため、通
常のバルク型半導体レーザに比べて活性層での吸収損失
が小さく、したがって光出力の増大,しきい値電流の低
下といった利点を有する。しきい値電流や発振波長の温
度特性も向上する。
【0003】この様なMQWレーザに対して最近、その
活性層に歪みを導入して高出力化を図る提案がなされ、
注目されている。これは、井戸層を障壁層に対して故意
に格子不整合させた、いわゆる歪みMQW構造を活性層
に用いるものである。この歪みMQW構造の導入によ
り、微分利得の増大、非発光再結合による効率低下の抑
制といった効果が得られるためである。
【0004】その具体的な原理を図2を参照して説明す
ると、次の通りである。例えば、Inx Ga1-X As/
InP系のMQW構造では、無歪み状態で、Inx Ga
1-X As井戸層のバンド構造は図2(b) の状態にある。
重い正孔(HH)帯と軽い正孔(LH)帯は、波数ベク
トルk=0の点で縮退している。この様な井戸層の面内
方向に圧縮歪みを導入すると、重い正孔帯と軽い正孔帯
のエネルギー準位が低エネルギー側にシフトするが、重
い正孔帯の方がシフト量が大きい。この結果、図2(a)
に示すように重い正孔帯と軽い正孔帯のエネルギー準位
が分裂した状態、すなわち部分的に縮退が解けた状態が
得られる。
【0005】この様に井戸層に圧縮歪みを導入した状態
では、面内方向の重い正孔帯の正孔の有効質量が小さく
なり、したがってレーザの発振しきい値が低くなり、発
振効率が向上する。伝導帯への遷移(オージェ非発光再
結合)による発光効率の低下も抑制される。またバンド
ギャップ・エネルギーEg は小さくなるので、波長が長
波長側にシフトする。更に、重い正孔が支配的なTEモ
ードでの選択的な発振が得られるようになる。
【0006】逆に、井戸層に引っ張り歪みを導入する
と、重い正孔帯と軽い正孔帯のエネルギー準位は高エネ
ルギー側にシフトするが、このときも重い正孔帯の方が
シフト量が大きく、バンド構造は図2(c) の状態にな
る。この状態では発振波長は短波長側にシフトする。ま
た軽い正孔帯が支配的なTMモードでの発振が大きくな
り、偏波無依存になりやすい。
【0007】以上から、井戸層に圧縮歪みを導入した歪
みMQWを活性層として用いることによって、MQWレ
ーザの高効率化が図られることになる。Inx Ga1-X
As/InP系のMQWで、InP障壁層に格子整合す
るするInx Ga1-x As井戸層の組成は、x=0.5
3である。Inx Ga1-x As井戸層に圧縮歪みを導入
するためには、Gaに比べて原子半径の大きいInの組
成比xを大きくして、例えばIn0.58Ga0.42Asとす
ればよい。これにより井戸層には0.2〜2%程度の圧
縮歪みが入る。
【0008】ところで、In0.53Ga0.47Asバルク結
晶の組成波長は1.65μm であるが、この組成の10
〜20nmの薄い井戸層を持つMQWでは、量子効果によ
って発振波長は短波長側にシフトする。この波長シフト
量は、井戸層が薄ければ薄いほど大きい。一方、Inx
Ga1-X As層は圧縮歪みを導入するためにInリッチ
にすると、その組成波長が長波長側にシフトする。従っ
て、高効率化のためにInX Ga1-X As井戸層に圧縮
歪みを導入したときに、無歪みの場合と同等の量子効果
を発揮させるためには、Inx Ga1-x As井戸層をよ
り薄くしなければならない。具体的に、無歪み状態で井
戸層厚10nm程度の場合、これに圧縮歪みを与えてかつ
無歪みの場合と同じ発振波長を得るためには、井戸層を
5〜6nm程度まで薄くすることが必要になる。
【0009】しかしながら、井戸層の厚みをこの様に薄
くすることは、膜厚の制御性,均一性,界面の急峻性の
劣化をもたらし、従ってMQWレーザでのキャリア閉込
め効果や光閉込め効果が低下する。このことは、MQW
レーザの高効率化を阻害し、また光ファイバ等とのカッ
プリング性能が悪くなることを意味する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、MQW
レーザにおいて、所望の量子効果を維持しながら、井戸
層に圧縮歪みを導入して高効率化を図ることが望まれ
る。そのために井戸層を極めて薄いものにしようとする
と、膜厚の制御性,界面の急峻性の劣化により、結果的
にMQWレーザの高効率化が困難になり、また外部との
カップリング性能も劣化するという問題が生じる。
【0011】本発明は、この様な事情を考慮してなされ
たもので、井戸層をそれ程薄くすることなく効果的に井
戸層に圧縮歪みを導入して高効率化を図ったMQWレー
ザを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、井戸層とこれ
よりバンドギャップの大きい障壁層が交互に積層された
多重量子井戸からなる活性層を持つMQWレーザにおい
て、無歪み状態で前記多重量子井戸が所望の組成波長を
得るに必要な格子定数を持つ組成に対して、井戸層には
圧縮歪みが入る組成が与えられ、障壁層には引っ張り歪
みが入る組成が与えられていることを特徴とする。
【0013】具体的に例えば、Inx Ga1-x As井戸
層とIny Ga1-y Asz 1-z 障壁層が交互に積層さ
れた多重量子井戸からなる活性層を持つMQWレーザで
は、Inx Ga1-x As井戸層にはInPより大きい格
子定数を持つ組成を与え、Iny Ga1-y Asz 1-z
障壁層にはInPより小さい格子定数を持つ組成を与え
る。
【0014】
【作用】本発明によれば、井戸層のみの組成選択によっ
て必要な圧縮歪みを導入する代りに、井戸層には圧縮歪
みが入り、障壁層には引っ張り歪みが入るようにそれぞ
れの組成を選択することにより、結果的に高効率化に必
要な実効的な圧縮歪みを井戸層に導入することができ
る。そしてこの様にすれば、井戸層に大きな組成変化を
与えることによる発振波長のずれがなくなり、したがっ
て発振波長を所望の値に設定するために井戸層を更に薄
くするという必要がなくなり、MQW構造での膜厚の制
御性,界面の急峻性を維持することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。図1は、
一実施例にかかるInGaAs/InP系MQWの断面
構造とそのMQW部の拡大構造を示している。図示のよ
うにこのMQWレーザは、n型InP基板1上に、n型
InPバッファ層2、n型InGaAsP導波路層3、
アンドープ(i型)MQWからなる活性層4、p型In
GaAsP導波路層5およびp型InPクラッド層6が
順次積層されて構成されている。これらの各層は、MB
E法またはMOCVD法によりエピタキシャル成長させ
る。
【0016】活性層4は、拡大して示したように、i型
Iny Ga1-y Asz 1-z 障壁層41とi型Inx
1-x As井戸層42が交互に、例えば3〜5対積層形
成されたMQW構造を有する。ここで、Inx Ga1-x
As井戸層42の組成比xは、InPの格子定数(すな
わち、In0.53Ga0.47Asの格子定数)をaとしたと
きに、これからの格子定数のずれΔa/aが+0.1〜
+1.0[%]となるように、設定されている。これ
は、InP層上に成長させた時に僅かに圧縮歪みが入る
組成である。一方、Iny Ga1-y Asz 1-z 障壁層
41の組成比y,zは、Δa/aが−0.2〜−2.0
[%]となるように設定されている。これはInP層上
に成長させた時に引っ張り歪みが入る組成である。
【0017】この実施例の構成とすれば、井戸層をそれ
程Inリッチにすることなく、MQWの井戸層に実効的
に大きな圧縮歪みが入った状態が得られる。換言すれ
ば、発振波長の大きなシフトを伴うことなく、圧縮歪み
を導入してMQWレーザの高出力化を図ることができ
る。そして発振波長のシフトが小さいから、所望の発振
波長を得るために井戸層を極端に薄くするといった必要
がなくなり、MQW部の膜厚の制御性,界面の急峻性の
劣化を防止することができる。
【0018】本発明は上記実施例に限られない。例え
ば、基板1をp型InPとすることも出来る。この場合
には、InPバッファ層2をp型、その上のInGaA
sP導波路層3をp型、活性層4上のInGaAsP導
波路層5をn型、InPクラッド層6をn型とすればよ
い。また本発明は、InGaAs/InP系以外の材料
系によるMQWレーザにも同様に適用することが可能で
ある。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、大
きな発振波長シフトを伴うことなく、したがって井戸層
の厚みを極端に薄くすることなく、MQW構造に所望の
歪みを導入してMQWレーザの高出力化を図ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係るMQWレーザの構成を
示す図である。
【図2】 歪みによるバンド構造の変化を示す図であ
る。
【符号の説明】
1…n型InP基板、2…n型InPバッファ層、3…
n型InGaAsP導波路層、4…MQW活性層、41
…i型Iny Ga1-y Asz 1-z 障壁層、42…i型
Inx Ga1-x As井戸層、5…p型InGaAs導波
路層、6…p型InPクラッド層。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 井戸層とこれよりバンドギャップの大き
    い障壁層が交互に積層された多重量子井戸からなる活性
    層を持つ多重量子井戸半導体レーザにおいて、無歪み状
    態で前記多重量子井戸が所望の組成波長を得るに必要な
    格子定数を持つ組成に対して、井戸層には圧縮歪みが入
    る組成が与えられ、障壁層には引っ張り歪みが入る組成
    が与えられていることを特徴とする多重量子井戸半導体
    レーザ。
  2. 【請求項2】 第1導電型のInP基板と、このInP
    基板上に形成されたInX Ga1-X As井戸層とIny
    Ga1-y Asz 1-z 障壁層が交互に積層された多重量
    子井戸からなる活性層と、この活性層上に形成された第
    2導電型のInPクラッド層とを有する多重量子井戸半
    導体レーザにおいて、前記InX Ga1-X As井戸層は
    InPより大きい格子定数を持つ組成が与えられ、前記
    Iny Ga1-y Asz 1-z 障壁層はInPより小さい
    格子定数を持つ組成が与えられていることを特徴とする
    多重量子井戸半導体レーザ。
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