JPH0435452Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、階段手摺に手摺子を組み付ける取付
構造に係り、とくに、傾斜角度の異なつた階段で
あつても、階段に沿つて立設した支柱間に、取付
角度を自由に調節して容易に装着することができ
る階段手摺における手摺子の取付構造に関するも
のである。

［従来の技術］ 一般に、建築物の階段部には昇降時の安全のた
めに、階段に沿つて支柱を立設し、手摺が架設さ
れているが、この手摺の装着のために、従来は、
ステンレス等の金属部材を蝶番状に形成し、階段
の現場の角度に対応させることが行われている。
しかし、そのような手摺において、多数の手摺子
を取付けるには、手摺子の上下の端面を階段の傾
斜角度に合わせて切り揃えたのち、手摺の側面か
ら上下の桟の間に建込み、上下ともねじ１本で止
めるようにしている。

一般の手摺にあつては、第５図に示すように、
手摺体１は、親柱または中柱の支柱２に、上桟
３、下桟４を架設し、その間に支柱の間隔を割り
付けた複数の手摺子５を垂直に立てるか、手摺子
５を先付けした上桟３、下桟４の組立体を支柱２
に組み付けるが、かたは手摺体１を先組して支柱
２によつて階段に取付けるようにしており、その
取付には取付金具６を使用し、笠木３１を取付け
て仕上げしている。

［考案が解決しようとする問題点］ 階段の傾斜は大凡の範囲内にあるが、設置場所
によつて角度に相違があり、金属部品の先組みで
製作される手摺体と、現地施工の階段との間に
は、精度の差によつて多少の角度の差が発生する
ことは避けられない。また一般に、部品の切断等
の製作精度は1°単位までであるから、各部品間の
取り合いには、常に現地合せの再加工が必要であ
る。

また、手摺子が上下１本のねじで取付けられる
こと、清掃の際などに回転を起こす惧れがあり、
ことに、断面が四角形である場合に、側面が手摺
体の面と食い違い、取り合い部に隙間を生じて、
著しく美観を損なう。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、上記のような現状に鑑み、各種の問
題点を解決することを目的として開発されたもの
であり、階段における角度調整を改善するため
に、手摺子の上桟および下桟への合理的な取付構
造を提供するものである。本考案の階段手摺の手
摺子の取付構造は、手摺子の上下の端部が、上桟
および下桟に斜めに取り合う部分に可撓性の座板
を介在させ、微小な角度の差を吸収させることを
要旨とするものである。そして、本考案は、可撓
性の座板を弾性体で構成し、板体の中央部分より
も両側部分をより軟質に構成すると共に、取付ボ
ルトを挿通する透孔を設けてあることを特徴とす
るものであり、これによつて、手摺子と上桟なら
びに下桟との取り合い角度の微妙な差異を吸収し
て、階段および手摺の角度の調整に対応すること
に成功したものである。

［実施例］ 本考案の手摺子の取付構造を実施例を示す図面
に基づいて詳細に説明する。第１図は階段手摺の
昇降方向から見た断面図、第２図は側面図であ
る。第５図の参照番号は該当部分について共通に
してある。第１図、第２図において、笠木３１の
下面には上桟３を添え、両端部において蝶番型の
取付金具６で固定してあり、下桟４は下向きのコ
字形に形成されており、上記の上桟３と下桟４と
の間には、手摺子５が通常の間隔で取付けられて
いる。下桟４は階段のささら桁の上面を形成する
場合と、支柱２間に取付金具６を使用して架設さ
れる場合とがある。５１は取付ボルト、５２は角
度（三角）座金であり、取付ボルト５１は、通
常、手摺子５の内部に設けたタツピンホール５３
を利用するように、タツピンねじを使用して手摺
子５を固定している。タツピンねじ５１は上下２
本ずつ使用し、角度座金５２にも２個の透孔を設
けて、手摺子５が上桟３に対して回転しないよう
にしてある。

本考案では、手摺子５と上桟３ならびに下桟４
との取付け部分に、可撓性座板１０を設けてあ
る。すなわち、可撓性座板１０は、前記のタツピ
ンねじ５１、角度座金５２とタツピンホール５３
と組合せて使用する部材で、手摺子５の上端５４
および下端５５と、上桟３および下桟４との間
に、それぞれ介在させるものである。可撓性座板
１０は、第３図に詳細に示すように、手摺子５の
水平断面に従う形状で、硬質ゴムの板体であり、
一方の中心方向に２個のボルト挿通孔１１を有
し、この透孔１１，１１を含む中央部分１２をよ
り硬質に、両側の部分１３，１３は比較的軟質に
形成してある。この可撓性座板１０は、軟質部分
１３を上桟３の上下方向に向けて使用するから、
第４図に例示するように、各挿通孔１１を大略階
段の勾配に合わせて傾斜させ、またはその径の大
きめにしておくことができる。角度座金５２は、
タツピンねじの頭部で兼ねるようにして省略する
ことができる。

［作用］ 本考案の手摺子の取付構造の作用を、施工方法
に基づいて説明する。手摺子１の組み立ては、前
記したように、任意の順序によつて先組みするこ
とができる。現地組み立ての場合には、まず支柱
２を立設し、蝶番型の取付金具６を使用して上桟
３、下桟４を架設する。ついで、支柱間に割り付
けられた複数の手摺子５を、上桟３と下桟４との
間に垂直に取付ける。このとき、手摺子５の上端
５４と下端５５には、それぞれ可撓性座板１０を
あてがい、下桟４１の下方から２本のタツピンね
じ５１を係着し、タツピンホール５３に捻じ込ん
で締め付け固定する。ついで、その保持のもと
で、上桟３の上方からタツピンねじ５１を捻じこ
み、上端５４を上桟３に固定する。手摺子５は、
２本のタツピンねじ５１と可撓性座板１０の中央
部分１２の構成によつて両側部分１３を上桟３の
方向に向け、可撓性座板１０は、上下両側の軟質
の部分１３において現実の階段の角度に合致して
なじみがよく、手摺子５の端部に隙間を生ずるよ
うなことがなく、もちろん、回転も生じない。

［考案の効果］ 本考案は、階段に沿つて立設した支柱間に架設
される手摺の手摺子の取付構造において、取付装
置は手摺子の上下端部を上桟、下桟に固着する取
付ボルトと可撓性座板とからなり、該可撓性座板
は、硬質弾性体からなる板体の中央部分よりも両
側部分をより軟質に構成すると共に、取付ボルト
の挿通孔を設けたものであるから、手摺子を上下
端部において上桟および下桟に取付けるに際し、
笠木等の傾斜面と手摺子の端面との間に微小な角
度の差があつても、可撓性座板の弾性による締め
付けによつて吸収され、取り合い部に隙間を生ず
ることなく、従つて、比較的軟質にした両端部分
は上桟、下桟になじみよく密着して座板の機能を
満足する。また、中心部はより硬質であつて、挿
通される取付けボルトと挿通孔との間に多少の角
度があつても、挿通孔を斜設し、または大径にす
ることによつて、なんら支障を生じない。よつ
て、本考案の手摺子の取付構造によれば、各部品
の再製作、現場の再加工などの手数が省け、工事
の省力化が可能であるばかりでなく、完成した手
摺の外観にも隙間などの欠陥を生ずることがない
から、階段手摺の手摺子の取付構造として優れた
実用的効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の手摺子の取付構造の実施例を示
し、第１図は階段手摺の昇降方向から見た断面
図、第２図は側面図、第３図は可撓性座板の詳細
図、第４図は可撓性座板の他の実施例を示す断面
図であり、第５図は一般の階段における手摺の説
明図である。 １……手摺子、２……支柱、３……上桟、４…
…下桟、５……手摺子、６……笠木の取付装置、
１０……可撓性座板、１１……挿通孔、１２……
中央部分、１３……両側部分、３１……笠木、５
１……取付ボルト、タツピンねじ、５２……角度
座金、５３……タツピンホール、５４……上端、
５５……下端。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 階段に沿つて立設した支柱間に架設される手摺
   の手摺子の取付構造において、手摺子の上下端部
   を上桟および下桟に可撓性座板を介して螺着する
   に、前記可撓性座板は、取付ボルト挿通孔を有す
   る硬質部とその両側の軟質部とで構成したことを
   特徴とする階段手摺の手摺子の取付構造。