JPH04350173A - クロメ−ト処理鋼板及びその製造方法 - Google Patents

クロメ−ト処理鋼板及びその製造方法

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JPH04350173A
JPH04350173A JP19863491A JP19863491A JPH04350173A JP H04350173 A JPH04350173 A JP H04350173A JP 19863491 A JP19863491 A JP 19863491A JP 19863491 A JP19863491 A JP 19863491A JP H04350173 A JPH04350173 A JP H04350173A
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chromium
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    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C22/00Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals
    • C23C22/73Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals characterised by the process

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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、そのままで上塗り塗
装を施すことが可能な程に優れた塗装密着性を有すると
共に、裸使用であっても十分に良好な耐食性を示すクロ
メ−ト処理鋼板、並びにその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来技術とその課題】従来、家電製品や自動車等の素
材として需要先へ納入された鋼板には“1次防錆的な見
地”からのクロメ−ト処理を施すのが一般的であったが
、近年、コストダウン指向の浸透に伴って次第に「クロ
メ−ト処理そのものによって1次防錆の域を超える良好
な耐食性や優れた外観色調等を付与しよう」との考えが
支配的になってきた。
【0003】そのため、“クロメ−ト液に関する様々な
工夫”や“新しい処理法の提案”が数多くなされてきた
が、中でも、鋼板にクロメ−ト液を塗布し水洗すること
なくそのまま乾燥する所謂「塗布型クロメ−ト処理」は
、クロム廃液処理の問題が少ない上に処理自体が簡単か
つ安価で、しかも適当な添加剤を添加することによって
種々の性能が確保できることから、一般に広く採用され
る手法の1つとなっている。
【0004】ところで、家電製品用や自動車用の鋼板に
は外面側のみを片面塗装して使用するものも少なくなく
、このような鋼板では「塗装反対面(非塗装面)につい
てはある程度の耐食性さえ確保されておれば良いが塗装
面には優れた上塗密着性が必要である」とされる場合が
多い。
【0005】そこで、上述の用途に供される鋼板に対し
ては次のような処理法が提案されている。 A) クロメ−ト処理を施してから更に樹脂コ−ティン
グする方法(特公昭49−4611号,特公昭60−3
3192号), B) クロメ−ト液中に樹脂を添加した処理液を用い、
これでコ−ティングを施す方法(特公昭60−2046
8号,特開昭61−28751号)。
【0006】しかし、上記各方法で処理された鋼板は溶
接性や脱脂性の点で問題があり、しかも樹脂を使用する
ためにコストアップとなるのを否めないことから、樹脂
を含まない無機系の皮膜形成処理が有利であると考えら
れた。
【0007】一方、鋼板の耐食性改善を主目的としたク
ロメ−ト処理法としては、次のものが例示される。 a) 6価クロムの一部を強制還元して難溶性のCr3
+を含有させた処理液を用いる塗布型クロメ−ト処理法
(特公昭53−32350号,特公昭54−37566
号等), b) シリカを添加したクロメ−ト液で処理することに
より耐食性の向上を図る方法(特公昭42−14050
号,特公昭60−18751号,特公昭61−5855
2号等) , c) 前記a)項, b)項に示す手法を組み合わせた
クロメ−ト処理法(特公昭61−1508号,特開平2
−141583号等)。 しかしながら、これらの方法は樹脂を用いる手段に比し
て溶接性,脱脂性或いはコストの面で優位であるものの
、上塗り塗装密着性の点では十分に満足できる結果が得
られないと言った問題を有していた。
【0008】このようなことから、本発明が目的とした
のは、更なる処理を施さなくても優れた上塗り塗装密着
性(1次,2次密着性を含む)を有していると同時に、
片面塗装した場合でも無塗装面(裸面)が1次防錆を超
える良好な耐食性を示し、かつ処理コストの安いクロメ
−ト処理鋼板を安定して提供することであった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成すべく鋭意行われた本発明者の研究によって完成され
たものであり、 「鋼板表面のクロメ−ト皮膜を、 〔水可溶性クロム/水不溶性クロム〕の比率: 30/
70〜0/100, クロメ−ト皮膜最表層におけるSi原子占有面積率:5
〜30%, クロム付着量:金属Cr換算で5〜100 mg/m2
 ,なる構成とすることにより、 優れた塗装密着性と
良好な耐食性とを兼備したクロメ−ト処理鋼板を実現し
た点」に特徴を有し、更には 「シリカを添加して 〔Cr6+/全Cr〕の比率: 0.3〜0.7 ,全
Cr濃度:5〜60g/l(リットル),〔SiO2 
/全Cr〕の比率: 0.5〜4.0に調整したCrO
3 を主成分とするクロメ−ト液を被処理鋼板の表面に
常法通りに塗布するか、 或いは該クロメ−ト液に超音
波振動を付加しながら被処理鋼板の表面に塗布し、 水
洗することなくそのまま最高到達板温が50〜250℃
の条件で乾燥することにより、 優れた塗装密着性と良
好な耐食性とを兼備した前記クロメ−ト処理鋼板を安定
かつ低コストで製造し得るようにした点」にも大きな特
徴を有している。
【0010】ここで、ベ−ス鋼板、即ちクロメ−ト処理
が施される被処理鋼板としては亜鉛又は亜鉛系合金めっ
き鋼板が好適である。また、クロメ−ト液に添加するシ
リカとしては、酸性領域で安定な“水分散型コロイダル
シリカ”或いは“粉末凝集シリカ”であって、1次平均
粒径が10〜50nmのものが好ましい。
【0011】なお、本発明において、クロメ−ト皮膜中
の 「水不溶性クロムに対する水可溶性クロムの比率」
, 「最表層におけるSi原子占有面積率」 及び 「
クロム付着量」 、並びにクロメ−ト液中の 「全Cr
量に対するCr6+量の比率」, 「全Cr濃度」 及
び 「全Cr量に対するSiO2 量の比率」 、更に
は乾燥時の最高到達板温を前記の如くに数値限定した理
由は次の通りである。
【0012】(a)  〔水可溶性クロム/水不溶性ク
ロム〕の比率 水可溶性クロムは吸湿性であるため塗装後に塗膜下に水
分を吸い込みやすく、2次密着ばかりか1次密着におい
ても塗装密着性を劣化する。そして、水不溶性クロム量
に対する水可溶性クロム量の比率が30/70を超えた
場合には所望の塗装密着性を確保できなくなる。従って
、クロメ−ト皮膜中における〔水可溶性クロム/水不溶
性クロム〕の比率は 30/70〜0/100 と定め
た。
【0013】なお、水不溶性クロム量が100%近くの
場合でも、オ−バ−ベ−クになると表面に存在する不活
性なCr, Si酸化物層が厚くなって塗装密着性が劣
化する傾向が認められる。また、シリカが添加されると
、水可溶性のCr6+がSiO2 表面に吸着してクロ
メ−ト皮膜中にある程度残留するようになるので水不溶
性クロム量が100%近くの場合でもCr6+のセルフ
ヒ−リング効果による耐食性向上効果が期待できるが、
水不溶性クロムが多い状態でオ−バ−ベ−クになるとこ
のセルフヒ−リング効果も期待できなくなり、耐食性(
特に加工後耐食性)の劣化が懸念されるようになる。こ
のような事情等を考慮すれば、〔水可溶性クロム/水不
溶性クロム〕の比率は 20/80〜5/95の範囲に
調整するのが好ましいと言える。
【0014】ところで、〔水可溶性クロム/水不溶性ク
ロム〕の比率を上記範囲に調整する手段としては、次の
2つの方法或いはこれらを組み合わせた方法を採用する
のが良い。 i)  予め、クロメ−ト液中に不溶性塩を形成しやす
いCr3+を存在させておく方法で、このためにはCr
O3 溶液中に多糖類,脂肪酸,アルコ−ル等の有機物
還元剤や過酸化水素等の還元剤を添加して成分調整する
のが良い。 ii) 焼付け温度を上げることにより、可溶性のCr
6+を不溶性のCr3+へ熱還元させる方法。
【0015】(b)  クロメ−ト皮膜最表層における
Si原子占有面積率 従来、シリカ(SiO2 )を添加したクロメ−ト皮膜
は「耐食性が良好であるものの塗装密着性が悪い」とさ
れているが、一方で「SiO2 粒子は表層にシラノ−
ル基(Si−OH)があるのでそのOH基が焼付塗料の
官能基と反応して塗装密着性を上げる」とも言われてい
る。
【0016】そこで、本発明者は種々の観点からこの点
に関する検討を行ったところ、 1) SiO2 を添加するとこのSiO2 粒子表面
に可溶性であるCr6+が吸着して保持されるが、これ
により良好な塗装密着性が劣化する。しかし、最表層で
のSiO2 量を多くするように図ると上記不都合が回
避される。即ち、最表層部のSiO2量が多くなるとシ
ラノ−ル基が多数存在することとなって塗装密着性が向
上する,2) ただ、SiO2 の粒径や添加量、更に
はCr付着量等によってはクロメ−ト皮膜最表層のSi
O2 にシラノ−ル基が出ず、逆に塗装密着性の劣化を
来たす場合もある,との事実を確認することができた。 このため、更に検討を重ねて次の結論を得たのである。
【0017】SiO2 添加によって塗装密着性が改善
されるが、その場合でもクロメ−ト皮膜最表層における
Si原子占有面積率(以降“Si占有率”と称す)が5
%に達しないとSiO2 添加による一層の塗装密着性
改善効果は確保できない。一方、Si占有率が30%を
超えた場合には表層に硬いシリコン皮膜が形成され、ク
ロメ−ト皮膜全体が凝集破壊を起こしやすくなって塗装
密着性が劣化する。なお、Si占有率はX線光電子分析
装置にてクロメ−ト皮膜の表層組成比率を調べることで
測定することができる。
【0018】(c)  クロム付着量 クロム付着量が5 mg/m2 未満であると、鋼板表
面を完全にクロメ−ト皮膜でカバ−することができずに
ベ−ス鋼板面(亜鉛めっき鋼板であると亜鉛或いは亜鉛
酸化物層)が一部剥き出しになって耐食性の劣化を招い
たり、クロメ−ト皮膜が薄すぎてSiO2 粒子を保持
し切れずに塗装密着性を劣化したりする。一方、クロム
付着量が100 mg/m2 を超えた場合にはクロメ
−ト皮膜内の凝集破壊を起こしやすくなり(特にクロメ
−ト皮膜中にSiO2 粒子が存在すると皮膜が固くな
って一段と凝集破壊を起こしやすくなる)、このため塗
装密着性は劣化する。 従って、クロム付着量は5〜100 mg/m2 と定
めたが、出来れば10〜70 mg/m2 に調整する
のが好ましい。
【0019】(d)  クロメ−ト液中の〔Cr6+/
全Cr〕の比率 クロメ−ト処理に適用するクロメ−ト液中の〔Cr6+
/全Cr〕比率が 0.3未満では、不溶性のCr3+
が多すぎてクロメ−ト液の安定性が劣化する。一方、〔
Cr6+/全Cr〕比率が 0.7を上回ると可溶性の
Cr6+が多すぎて、熱還元によってもクロメ−ト皮膜
における〔水可溶性クロム/水不溶性クロム〕の比率を
 30/70〜0/100の範囲内に収めることが困難
となる。また、Cr6+が多すぎるとSiO2 粒子が
凝集しやすく、液安定性の面でも問題がある。従って、
適用するクロメ−ト液は、液中の〔Cr6+/全Cr〕
の比率を 0.3〜0.7 とするのが好ましい。
【0020】(e)  クロメ−ト液中の全Cr濃度ク
ロメ−ト処理に適用するクロメ−ト液中の全Cr濃度が
5g/L 未満では目標Cr付着量5mg/m2 以上
を確保することが困難であり、一方、全Cr濃度が60
g/L を超えるとCr付着量を目標たる100mg/
m2 以下に抑えることが困難となるばかりか、Cr6
+が多すぎてSiO2 粒子が凝集しやすくなるなど液
安定性の面でも問題となる懸念が出てくる。従って、ク
ロメ−ト液中の全Cr濃度は5〜60g/L に調整す
るのが良い。
【0021】(f)  クロメ−ト液中における〔Si
O2 /全Cr〕の比率 クロメ−ト処理に適用するクロメ−ト液中の〔SiO2
 /全Cr〕比率が 0.5未満であると、目標Si占
有率5%以上を確保することが困難になる。一方、〔S
iO2 /全Cr〕比率が4.0以上であるとSi占有
率が30%を超える可能性があり、しかもSiO2 量
が多すぎてSiO2 粒子が凝集しやすくなるなど液安
定性の面でも問題となる。従って、クロメ−ト液中にお
ける〔SiO2 /全Cr〕の比率は 0.5〜4.0
と定めた。
【0022】なお、クロメ−ト液中に添加するシリカは
前述したSi占有率さえ確保できるものであれば特にそ
の種類には関係ないが、液中への分散性や液安定性の面
からすれば、酸性領域で安定な“水分散型コロイダルシ
リカ”又は“粉末凝集シリカ”が好適である。
【0023】また、添加するシリカの粒径はクロメ−ト
処理鋼板の性能に少なからぬ影響を及ぼす。例えば、シ
リカの1次平均粒径が10nm以下であるとクロメ−ト
皮膜がSiO2 粒子をカバ−してしまい、表層にSi
O2 粒子が存在しにくくなってSi占有率5%を確保
するのが難しくなる。一方、シリカの1次平均粒径が5
0nmを超えるとSi占有率が30%を超える傾向を見
せるばかりか、SiO2 粒子径が大きすぎるとロ−ル
塗布等の場合には鋼板とロ−ル間のせん断によりSiO
2 粒子が剥落するようになり、クロメ−ト皮膜にSi
O2粒子を保持させるのが難しくなって塗装密着性の劣
化を招く恐れが出てくる。そのため、添加するシリカは
1次平均粒径が10〜50nmのものとするのが望まし
い。使用シリカの具体例としては、例えばコロイダルシ
リカではスノ−テックスシリ−ズ〔商品名:日産化学株
式会社〕,粉末シリカではエアロジル〔商品名:デグサ
社〕等が挙げられる。
【0024】ところで、本発明に係わるクロメ−ト液中
には、更なる耐食性の向上を目指してリン酸,硫酸,硝
酸等の無機酸を添加して良いことは言うまでもない。そ
して、被処理鋼板面にクロメ−ト液を塗布する手段とし
ては周知のシャワ−リンガ−絞り方式,エア−ナイフ絞
り方式、ロ−ルコ−ト方式,静電塗布方式等の何れの方
法を採用しても良く、格別な規制はない。また、乾燥方
式も特に規制はなく、オ−ブン乾燥,電磁誘導加熱,ブ
ロア−乾燥等の何れによっても差支えはない。
【0025】しかし、クロメ−ト液としてSiO2 粒
子のような酸化物微粒子を添加したものでは、クロメ−
ト液中に存在するCr6+やCr3+の影響、或いは耐
食性向上を目的として必要により添加されるZr,Ba
,V,Ni,Co,Mo等が水溶液中に多価陽イオンと
なって存在したり、造膜剤として必要により添加される
PO43− やSO32− のような陰イオンが存在す
る場合にはそれらの影響により、前記酸化物微粒子の粒
径が経時的に増大して粒子の粗大凝集化,処理液のゲル
化が起きる恐れがある。
【0026】なお、クロメ−ト液中の酸化物粒子径が変
動するということは製品性能に影響を及ぼすクロメ−ト
皮膜中の酸化物微粒子径が変動することであって、製品
性能が経時的にバラツキを生じる原因となり品質管理上
問題となる。また、クロメ−ト液中で酸化物微粒子の凝
集,ゲル化が起きると、シャワ−スプレ−,浸漬後リン
ガ−ロ−ルで絞るロ−ル絞り,ロ−ルコ−ティング等の
ようにノズル内やロ−ル・鋼板間、或いはロ−ル・ロ−
ル間でクロメ−ト液に剪断力がかかるような作業では酸
化物微粒子を均一に安定して鋼板上に載せることができ
ず、場合によっては酸化物粒子の粗大凝集化によりクロ
メ−ト皮膜中に全く酸化物粒子が保持されずに製品性能
を劣化させる事態も生じ、塗工安定性からも問題となる
【0027】クロメ−ト液中で酸化物微粒子が凝集を起
こしやすい理由としては、「水溶液中では酸化物微粒子
は表層に水和物層が存在し電気的に極性を持つためにそ
の反発力で分散しているが、 例えばクロメ−ト中のC
r6+等の金属多価イオンが微粒子表面に特異吸着を起
こすと酸化物微粒子表面電位が下がるために電気的反発
力を失い微粒子間で凝集が起こっていく。 そして、 
この際に多価イオンを介しているためにファン・デル・
ワ−ルス力のみの凝集とは異なって強い結合力で凝集が
起こり、 最終的に沈澱或いはゲル化が起きる」ためで
あると考えられる。
【0028】このように、酸化物微粒子を添加したクロ
メ−ト液では、調合直後のものを使用する場合には目標
とする被膜性能が得られるが、時間の経過に影響されな
いで何時までも安定した製品性能を得る上では大きな懸
念がある。従って、SiO2 粒子のような酸化物微粒
子を添加したクロメ−ト液では前記問題を解消するため
に該酸化物微粒子の均一分散を図ることも重要となるが
、タンク内での循環攪拌や攪拌子を用いる機械的攪拌方
法では経時安定的に酸化物微粒子の均一分散状態を確保
することは困難である。
【0029】しかるに、上述のような酸化物微粒子を添
加したクロメ−ト液であっても、クロメ−ト処理に際し
て超音波振動を付与しながらクロメ−ト処理液の塗布を
行うと、クロメ−ト液中での酸化物微粒子の安定した均
一分散が確保され、微細な酸化物微粒子が均一に保持さ
れた高性能のクロメ−ト皮膜を安定して形成させること
が可能になる。しかも、上記超音波振動の付与を実施す
ると、一旦クロメ−ト液の経時劣化により凝集した酸化
物微粒子を添加直後の1次粒子径近くにまで再分散させ
ることもできるで、クロメ−ト液の調整時からクロメ−
ト処理時までの液の管理も極めて容易となる。
【0030】この際、付加する超音波の周波数としては
15〜100kHzで十分である。ここで、該周波数が
15kHz未満であると振動音が可聴域に入るために騒
音が大きくなり、一方、100kHzを超える周波数を
付加するには製作が困難な大きな振動子を必要とする上
、設備費が高くなるので何れも好ましくない。超音波の
出力については使用タンク内全般で攪拌がなされる程度
で良く、付加時間はクロメ−ト液濃度,液pH,添加す
る酸化物種,添加濃度,使用液温等に応じて所望の酸化
物分散状態が得られる値を決定すれば良い。この際、酸
化物微粒子の粒子変動を考慮すると、塗布期間中は連続
的に超音波振動を付加し続けることが好ましいと言える
【0031】超音波振動の付加手段としては、“超音波
振動子を直接クロメ−ト液収容タンク中に浸漬する方法
”, ”タンク下部や側壁に超音波振動子を取付ける方
法”或いは“循環パイプの途中に超音波振動子を取付け
る方法”等が採用できる。また、必要により攪拌子によ
る機械的攪拌と組み合わせても良い。特に、多少底部に
沈澱を起こすような分散性の悪い酸化物微粒子添加クロ
メ−ト液を使用する場合には、予め機械攪拌にて底部凝
集物を巻き上げ、それから超音波振動にて酸化物粒子を
細粒化させるように両手段を組み合わせると、効果的に
短時間で再分散均一化が行えるので好ましい。
【0032】なお、図1乃至図3は、それぞれクロメ−
ト液貯蔵循環タンク(1) 内のクロメ−ト液をクロメ
−ト液スプレ−ゾ−ン(2) にて被処理鋼板(3) 
の表面にスプレ−してクロメ−ト処理する際に、クロメ
−ト液へ超音波振動を付加して酸化物微粒子の微細均一
分散化を図る手法を説明したものであるが、図1はクロ
メ−ト液貯蔵循環タンク(1) 内で超音波振動板(4
) を浸漬して超音波振動装置(5) からの振動を付
与する方法を、また図2はクロメ−ト液貯蔵循環タンク
(1) の外側に直接超音波振動装置(5) を直接接
触配置して振動を付与する方法を、そして図3はクロメ
−ト液循環パイプに超音波振動装置(5) を直接付設
しして振動を付与する方法を示している。また、この例
では、酸化物微粒子の分散効率を高めるためにクロメ−
ト液貯蔵循環タンク(1) 内での機械的攪拌を実施で
きるよう、何れもクロメ−ト液貯蔵循環タンク(1) 
内に攪拌子(インペラ−)(6) が設置されている。
【0033】ところで、一見類似しているかに思える技
術として、クロメ−ト処理の際に被処理鋼板を浸漬した
クロメ−ト液に超音波振動を加え、そのキャビテ−ショ
ンを利用して液の反応性を上げる“反応型クロメ−ト処
理法”が知られているが(例えば特開昭61−1478
84号公報参照)、これは塗布型クロメ−トに適用でき
るものではなく、しかも本発明に係わる酸化物微粒子の
分散性を改善するための技術でないことは明らかである
【0034】(g)  乾燥時の最高到達板温SiO2
 添加によりクロメ−ト皮膜中のCr6+が多くなるた
め、クロメ−ト皮膜中の可溶性Cr量を増やす結果とな
る。これを防止するためには、従来の如き単なる水分を
飛ばすような乾燥ではなく、加熱温度を強化して熱還元
力を上げた乾燥を行う必要がある。そして、この場合の
最高到達温度が板温基準で50℃未満であると〔水可溶
性クロム/水不溶性クロム〕の比率を30/70 以下
とするのが困難であり、一方、該最高到達温度が250
℃を超えると〔水可溶性クロム/水不溶性クロム〕の比
率0/100 を達成できるが、オ−バ−ベ−クのため
にクロメ−ト皮膜表面のシラノ−ル基中のOH基が減少
して酸化皮膜層が厚くなり、塗装密着性が劣化する。従
って、乾燥時の最高到達板温は50〜250℃と定めた
【0035】以下、本発明を実施例により更に具体的に
説明する。
【実施例】
実施例  1 片面塗装鋼板を想定して被処理鋼板に下記条件でクロメ
−ト処理を施し、得られたクロメ−ト処理鋼板の塗装密
着性と裸面の耐食性を調査した。
【0036】被処理鋼板…電気亜鉛めっき鋼板(めっき
目付量:20g/m2 ), クロメ−ト液…CrO3 =50g/l (全Cr濃度
:26g/l), Cr6+/全Cr=0.5 (還元剤はエチレングリコ
−ル使用),SiO2 /全Cr=2.0 (SiO2
 として粒径10〜20nmの酸性安定コロイダルシリ
カと粉末シリカを使用),塗布方法…上記クロメ−ト液
を希釈したものを用い、Cr付着量が3〜150mg/
m2 となるよう回転塗布した。なお、この時のSi占
有率を測定した結果、2〜40%の幅で振れていた。 焼付条件…オ−ブン設定温度を変化させ(焼付時間は6
0秒で一定)、〔水可溶性Cr/不溶性Cr〕の比率が
 50/50〜0/100 の各種条件になるよう調整
した。
【0037】なお、塗装密着性については、メラミンア
ルキッド系塗料の1コ−ト1ベ−ク処理(片面塗装,塗
膜厚:25ミクロン,焼付条件:125℃で25分)を
施した後、その1次密着性(塗装焼付後にそのまま評価
)並びに2次密着性(塗装焼付後、 沸水に2時間浸漬
したものについての評価)で評価したが、評価方法は、
何れの場合も1mm角にゴバン目をけがいてエリクセン
5mm張出し後にテ−プ剥離を行い、その剥離状況を目
視判定する手法によった。
【0038】また、評価結果は ◎:剥離なし, ○:かすかに剥離あり, △:半分剥離あり, ×:剥離大, ××:全面剥離, で表示することとした(目標性能は◎及び○の評価結果
に該当)。
【0039】そして、クロメ−ト処理鋼板の裸面(無塗
装面)における耐食性はJIS Z2371に規定され
る塩水噴霧試験で評価した(目標性能は錆が5%発生す
るまでの時間:72時間以上である)。
【0040】ところで、Cr量については、蛍光X線分
析にて沸水2時間浸漬前後のCr量を測定し、全Cr量
=浸漬前のCr量, 水不溶性Cr量=浸漬後のCr量, 水可溶性Cr量=全Cr量−不溶性Cr量で表される値
として把握した(なお、 試験としては最高で沸水6時
間まで浸漬したが、 2時間以降は不溶性Cr量の変化
がなかったため沸水浸漬時間は2時間とした)。
【0041】Si占有率(クロメ−ト皮膜最表層のSi
原子占有面積率)については、極表層の皮膜分析に適し
たX線光電子分析装置(XPS)を使用し、最表層原子
を定量することにより求めた。
【0042】さて、上記調査結果のうち、まずCr付着
量が30 mg/m2 で一定の時(Si占有率=10
%)の〔水可溶性Cr/水不溶性Cr〕比率と塗装密着
性との関係を整理して図4に示した。この図4からも、
〔水可溶性Cr/水不溶性Cr〕の比率が 30/70
〜0/100 の時に塗装密着性が良好であることを確
認できる。
【0043】次いで、Cr付着量と塗装密着性との関係
を図5に(この時の〔水可溶性Cr/水不溶性Cr〕比
は 20/80〜5/95であった)、Cr付着量と耐
食性との関係を図6に、Si占有率と塗装密着性との関
係を図7に、それぞれ整理して示す。図5及び図6から
は、Cr付着量が金属Cr換算で100mg/m2 を
超えると塗装密着性が不十分となり、逆にCr付着量が
5mg/m2 未満では耐食性が不十分となることを確
認できる。図7からは、Si占有率が5〜30%であれ
ば良好な塗料密着性が確保されることを確認できる。
【0044】実施例  2 片面塗装鋼板を想定して被処理鋼板に下記条件でクロメ
−ト処理を施したが、この際に使用したクロメ−ト液の
安定性と、得られたクロメ−ト処理鋼板の組成及び性能
を調査した。
【0045】被処理鋼板…電気亜鉛めっき鋼板(目付量
:20g/m2 ), 電気亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板(目付量:20g/
m2 ,Ni含有率:12wt%), 溶融亜鉛めっき鋼板(目付量:60g/m2 ),溶融
亜鉛−鉄合金めっき鋼板(目付量:45g/m2 , 
Fe含有率:9wt%), クロメ−ト液…表1に示す種々のCr濃度,Cr6+/
全Cr,SiO2 量(この時の使用シリカは1次平均
粒径10〜20nmのコロイダルシリカに統一)のクロ
メ−ト液を調合し、使用した。 塗布方法…表1に示す各クロメ−ト液を各種被処理鋼板
面に表2の組み合わせで回転塗布した。 焼付条件…オ−ブン設定温度を変化させ(焼付時間は6
0秒で一定)、最高到達板温を40〜350℃の各種条
件になるよう調整した。
【0046】なお、クロメ−ト液の安定性は、調整3日
後の処理液における沈澱物の有無,液の増粘(ゲル化)
を目視判定することによって評価した。また、塗装密着
性,耐食性については実施例1と同様に調査・評価した
【0047】さて、まずクロメ−ト液の安定性を調査し
た結果を前記表1に併せて示す。表1に示される結果か
らも、クロメ−ト液中における〔Cr6+/全Cr〕の
比率が0.3 未満では沈澱物が形成され、また〔Cr
6+/全Cr〕の比率が 0.7を超えると液がゲル化
することが確認できる。更に、全Cr濃度が60g/l
 を超えた場合も液がゲル化を起こすことが明らかであ
る。
【0048】
【表1】
【0049】次に、得られたクロメ−ト処理鋼板におけ
るクロメ−ト皮膜内容並びにその性能を整理して表2に
示す。
【0050】
【表2】
【0051】表2に示される結果からも、本発明で規定
する条件を満たす場合には塗装密着性,耐食性とも良好
な結果を示すクロメ−ト処理鋼板が得られることを確認
できる。
【0052】参考例  1 片面塗装鋼板を想定して被処理鋼板に下記条件でクロメ
−ト処理を施したが、その際に使用したシリカの粒径と
得られたクロメ−ト皮膜のSi占有率との関係、並びに
シリカの粒径と得られたクロメ−ト処理鋼板の塗装密着
性との関係を調査した。
【0053】ベ−ス鋼板…電気亜鉛めっき鋼板(目付量
:20g/m2 ), クロメ−ト液…CrO3 =20g/l (全Cr濃度
:10.4g/l), Cr6+/全Cr=0.5 (還元剤はエチレングリコ
−ル使用)SiO2 /全Cr=2.0 (SiO2 
として粒径7〜80nmの粉末シリカを使用), 塗布方法…上記クロメ−ト液を使用し、Cr付着量が1
5mg/m2となるように回転塗布とロ−ル絞り塗布を
行った。 焼付条件…オ−ブン設定温度:120℃,焼付時間:6
0秒とし、最高到達温度:90℃に設定(この時の〔水
可溶性Cr/不溶性Cr〕比率は20/80〜5/95
の範囲内であった)。なお、塗装密着性,Si占有率は
実施例1におけると同様に調査・評価した。
【0054】さて、このようにして得られた「シリカ平
均粒径とSi占有率との関係」を図8に、また「シリカ
平均粒径と塗装密着性との関係」を図9に示す。図8に
示される結果からも、クロメ−トの塗布方法に関係なく
、シリカ平均粒径が10nm未満であるとSi占有率が
5%以下になって塗装密着性が不良になる傾向のあるこ
とが窺える。更に、図9に示される結果からは、回転塗
布方式の場合にはシリカ平均粒径が50nmよりも大き
くなるとSi占有率が30%を超えて塗装密着性が劣化
し、またロ−ル絞り方式の場合には平均粒径が50nm
以上よりも大きくなると逆にSi占有率が5%を下回っ
て塗装密着性の不良を招く傾向のあることが窺える。こ
れらの結果からも、クロメ−ト液に添加するシリカは平
均粒径が10〜50nmのものを使用するのが望ましい
と考えられる。
【0055】実施例  3 まず、酸化物微粒子添加クロメ−ト液の分散状態変化を
把握するため、 無水クロム酸(CrO3 )=25g/l ,Cr6+
/全Cr=0.5 (グリセリンを還元剤として使用し
部分還元する), 水分散SiO2 ゾル=固形分重量で100g/l(1
次粒径が10〜20mμの水分散SiO2 ゾルを添加
)なる組成のクロメ−ト液を調整し、レ−ザ−ビ−ム散
乱法によるクロメ−ト液中の粒子径変化を室温中に放置
した状態で経時的に調査した。
【0056】この結果を図10に示す。図10からも、
放置時間が長くなるとクロメ−ト液中の平均粒子径が大
きくなっていることが明らかで、酸化物微粒子が粗大化
していることが分かる。そして、これを放置しておくと
最終的にはゲル化してしまった。
【0057】そこで、これとは別に、前記と同様の酸化
物微粒子添加クロメ−ト液を作ると共に、これから種々
の時間を経過した時点で採取した各“経時液”を用い、
次に示す条件で攪拌を行った時の“クロメ−ト液中の平
均粒子径”を測定して、その結果を図10に併せて示し
た。 (イ) インペラ−による機械攪拌 [条件] 容量:3l,回転数:500rpm ,回転
時間:30分。 (ロ) 超音波振動による攪拌 [条件] 振動付加手法:振動子をクロメ−ト液中に浸
漬して振動付加, 容量:3l,振動数:18kHz,超音波出力:400
W, 振動時間:30分。
【0058】図10に示す結果を総合的に検討すると、
クロメ−ト液の攪拌を行わない場合に比較して機械的攪
拌を実施すると平均粒子径が減少するものの、クロメ−
ト液を調合した初期状態の粒子径にまでは回復していな
いことが分かる。これに対し、超音波振動を付与したも
のは経時劣化液であってもほヾ液の調合初期における粒
子径にまで回復しており、超音波振動を付与することが
酸化物微粒子の再分散に有効な手段であることが確認で
きる。
【0059】次に、前記クロメ−ト液を用い、それぞれ
、 1) 各“経時液”を攪拌しない場合, 2) 各
“経時液”を機械的に攪拌した場合,3) 各“経時液
”に超音波振動を付与した場合,についてクロメ−ト処
理を行い、該クロメ−ト処理製品性能を比較した。なお
、この時のクロメ−ト処理は以下の条件で実施した。 被処理鋼板…電気亜鉛めっき鋼板(めっき目付量:20
g/m2 ), クロメ−ト液塗布条件…サンプルクロメ−ト液に浸漬後
、ロ−ル絞り塗布実施(抑え圧:5kg/cm2,ロ−
ルゴム硬度:50°,絞りスピ−ド:10m/min)
,乾燥条件…オ−ブン乾燥(設定温度:200℃,乾燥
時間:30秒,最高到達板温:70℃)。
【0060】ここで、「耐食性」の調査は、得られたク
ロメ−ト処理鋼板を無塗装でJIS Z2371に規定
される塩水噴霧試験に付し、白錆発生面積率が5%以上
となる時間を測定する手法によった。
【0061】また、「塗装密着性」の調査は、メラミン
アルキッド系塗料の1コ−ト1ベ−ク処理(塗膜厚:2
5μm,焼付条件:最高到達温度150℃で20分)を
施した後、1mm角にゴバン目をけがいてからテ−プ剥
離を行い、その剥離状況を目視判定する手法によった。 この判定結果は、 ○:剥離なし, △:部分的に剥離発生, ×:全面剥離発生, で表示することとした。
【0062】更に、「クロメ−ト皮膜におけるSiO2
 付着量」の調査も行ったが、この調査はクロメ−ト液
中のSiO2 が鋼板クロメ−ト皮膜中に十分転写され
ているかを見るため(ロ−ル絞り塗布時に経時的に粗大
化したSiO2 粒子が剥落し鋼板上に十分転写されな
いことが考えられるため)に実施したものであり、蛍光
X線法にてSiO2 付着量を測定した。これらの結果
を図11乃至図13に示す。
【0063】図11に示される結果からは、無攪拌,機
械的攪拌後のクロメ−ト液で処理した場合、経時時間が
長いクロメ−ト液を使用すると調合初期液の場合に比べ
て耐食性が劣化していくが、超音波攪拌後のクロメ−ト
液で処理した場合には調合初期液であっても経時液であ
っても耐食性劣化が殆ど認められず、超音波振動を付加
してクロメ−ト液中のSiO2 再分散性を向上させる
と経時安定して良好な耐食性が得られることを確認でき
る。
【0064】また、図12に示される結果からは、無攪
拌,機械的攪拌後のクロメ−ト液で処理した場合、経時
時間が長いクロメ−ト液を使用すると調合初期液の場合
に比べて或る放置時間を境に急激に塗装密着性が劣化す
ることが分かる。これに対し、超音波攪拌後のクロメ−
ト液で処理した場合にはこのような急激な塗装密着性劣
化は認められず、調合初期液であっても経時液であって
も塗装密着性が劣化しないことが明らかであるから、超
音波振動を付加してクロメ−ト液中のSiO2 再分散
性を向上させると経時安定して、良好な塗装密着性が得
られることを確認できる。
【0065】更に、図13に示される結果からは、経時
劣化液を使用しロ−ル絞りで処理した時のクロメ−ト皮
膜中へのSiO2 付着量の変化状況が分かるが、無攪
拌,機械的攪拌後のクロメ−ト液で処理した場合には或
る放置時間を境に急激にSiO2 付着量が減少してお
り、この放置時間は塗装密着性劣化時間と一致している
ことが確認される。これは、クロメ−ト液中に粗大Si
O2 粒子が成長するとロ−ル絞りの際にこれが剥落し
、良好な塗装密着性の確保に必要な十分量のSiO2 
が鋼板上に転写されて付着しないためと考えられる。
【0066】従って、上記試験結果から、ロ−ル・鋼板
間でクロメ−ト液に剪断力がかかるロ−ル絞り方式、或
いはロ−ル・ロ−ル間でクロメ−ト液に剪断力がかかる
ロ−ルコ−ト方式等では、クロメ−ト液中に粗大凝集S
iO2 粒子が生成すると鋼板上に十分転写されずに製
品性能の劣化が著しくなるが、この場合でもクロメ−ト
液に超音波振動を付加してSiO2 粒子の再分散を図
ると粗大凝集SiO2 粒子は再び微細に均一分散する
こととなり、経時液を適用したロ−ル絞り方式やロ−ル
コ−ト方式等によるクロメ−ト処理においても良好な製
品性能を安定して確保できるようになることが分かる。
【0067】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれば
、優れた上塗り塗装密着性を有し、かつ無塗装でも良好
な耐食性を示すところの、片面塗装用としても十分満足
できるクロメ−ト処理鋼板をコスト安く提供することが
可能になる上、処理液の経時劣化に影響されることなく
、また格別な設備変更を要することもなく高品質処理品
を安定提供できるようになるなど、産業上極めて有用な
効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クロメ−ト液へ超音波振動を付加する手法の1
例に関する説明図である。
【図2】クロメ−ト液へ超音波振動を付加する手法の別
例に関する説明図である。
【図3】クロメ−ト液へ超音波振動を付加する手法の更
なる別例の説明図である。
【図4】クロメ−ト皮膜の〔水可溶性クロム/水不溶性
クロム〕比率と塗装密着性との関係を示すグラフである
【図5】クロメ−ト皮膜のクロム付着量と塗装密着性と
の関係を示すグラフである。
【図6】クロメ−ト皮膜のクロム付着量と耐食性との関
係を示すグラフである。
【図7】クロメ−ト皮膜のSi占有率(最表層における
Si原子占有面積率)と塗装密着性との関係を示すグラ
フである。
【図8】シリカ平均粒径と塗装密着性との関係を示すグ
ラフである。
【図9】シリカ平均粒径とSi占有率との関係を示すグ
ラフである。
【図10】クロメ−ト処理液の放置時間と液中酸化物の
平均粒子径との関係を示すグラフである。
【図11】使用クロメ−ト処理液の経時日数と耐食性と
の関係を示すグラフである。
【図12】使用クロメ−ト処理液の経時日数と塗装密着
性との関係を示すグラフである。
【図13】使用クロメ−ト処理液の経時日数とクロメ−
ト皮膜へのSiO2 付着量の関係を示すグラフである
【符号の説明】
1  クロメ−ト液貯蔵循環タンク 2  クロメ−ト液スプレ−ゾ−ン 3  被処理鋼板 4  振動板 5  超音波振動装置 6  攪拌子(インペラ−)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  表面に、 〔水可溶性クロム/水不溶性クロム〕の比率: 30/
    70〜0/100, クロメ−ト皮膜最表層におけるSi原子占有面積率:5
    〜30%, クロム付着量:金属Cr換算で5〜100 mg/m2
     ,であるクロメ−ト皮膜を有して成ることを特徴とす
    る、塗装密着性に優れたクロメ−ト処理鋼板。
  2. 【請求項2】  シリカを添加して 〔Cr6+/全Cr〕の比率: 0.3〜0.7 ,全
    Cr濃度:5〜60g/l, 〔SiO2 /全Cr〕の比率: 0.5〜4.0,に
    調整したCrO3 を主成分とするクロメ−ト液を被処
    理鋼板の表面に塗布し、水洗することなく最高到達板温
    が50〜250℃の条件で乾燥することを特徴とする、
    請求項1に記載の塗装密着性に優れたクロメ−ト処理鋼
    板の製造方法。
  3. 【請求項3】  シリカを添加して 〔Cr6+/全Cr〕の比率: 0.3〜0.7 ,全
    Cr濃度:5〜60g/l, 〔SiO2 /全Cr〕の比率: 0.5〜4.0,に
    調整したCrO3 を主成分とするクロメ−ト液を、該
    液に超音波振動を付加しながら被処理鋼板の表面に塗布
    し、水洗することなく最高到達板温が50〜250℃の
    条件で乾燥することを特徴とする、請求項1に記載の塗
    装密着性に優れたクロメ−ト処理鋼板の製造方法。
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