JP2910621B2 - 潤滑性と導電性に優れた表面処理鋼板 - Google Patents

潤滑性と導電性に優れた表面処理鋼板

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JP2910621B2 JP7140551A JP14055195A JP2910621B2 JP 2910621 B2 JP2910621 B2 JP 2910621B2 JP 7140551 A JP7140551 A JP 7140551A JP 14055195 A JP14055195 A JP 14055195A JP 2910621 B2 JP2910621 B2 JP 2910621B2
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    • C23C28/30Coatings combining at least one metallic layer and at least one inorganic non-metallic layer

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、めっき鋼板、特に亜鉛
系めっき鋼板の表面に導電性と潤滑性を兼ね備えた耐食
クロメート皮膜を有する表面処理鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】家電および電子・電気機器等の分野にお
いては、めっき鋼板の上にクロメート皮膜を形成した表
面処理鋼板が、その優れた耐食性により広く使用されて
いる。このような用途にあっては、鋼板に電磁波シール
ド性が要求される場合が多く、またアース性が必要な用
途もあって、表面処理鋼板の導電性能は重要な特性の一
つである。
【0003】一方、近年、環境保護のためにプレス油等
の脱脂に用いる有機溶剤の規制が行われている。そこ
で、鋼板表面に潤滑性皮膜を形成することにより鋼板自
身に潤滑性を付与し、プレス油の塗布をせずに成形を行
うことができる表面処理鋼板が開発されている。
【0004】例えば、特開平4−320837号公報には、め
っき鋼板上に下層のクロメート層を設け、その上層とし
て親水性樹脂とフッ素樹脂からなる樹脂中にシリカを分
散させた、有機−無機複合皮膜を形成した、潤滑性に優
れた表面処理鋼板が開示されている。特開平5−77357
号公報には、上層皮膜をワックスまたはフッ素樹脂から
なる潤滑剤粒子を樹脂中に分散させた樹脂皮膜から形成
した、同様の表面処理鋼板が開示されている。これらの
表面処理鋼板はいずれも高度な潤滑性能を有するが、有
機樹脂系の導電性を持たない上層皮膜が表面を完全に覆
うため、この皮膜が薄膜であっても導電性能の低下は避
けられない。さらに、めっき鋼板上にクロメート層と潤
滑樹脂皮膜を別個の工程で形成するため、処理工程数が
多く、コストが高くなる。
【0005】特開昭63−114635号公報および特開平1−
130762号公報には、めっき鋼板上にクロメート処理を施
した後、水分散性の有機樹脂エマルジョンを静電スプレ
ーにより表面に分散塗布し、樹脂の不連続皮膜を形成す
ることからなる、導電性の表面処理鋼板の製造方法が開
示されている。この方法では樹脂が表面を完全には覆わ
ないため、導電性は確保されるが、このエマルジョン樹
脂皮膜では耐指紋性は付与されても、潤滑性能は不十分
である。さらに、上記と同様に、クロメート皮膜と樹脂
皮膜の2層を別工程で形成するため、処理工程数が多
く、コストが高くなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のような状況下に
あって、特に家電および電子・電気機器の分野において
は、潤滑性能と導電性を兼ね備えた表面処理鋼板が要請
されている。
【0007】本発明の目的は、この要請に応えて、潤滑
性と導電性の両方に優れ、必要な場合には成形後に容易
に塗装できる表面処理鋼板を提供することである。本発
明の別の目的は、めっき鋼板を母材として、1工程の処
理で (即ち、1層の皮膜形成により) 安価に製造するこ
とができる、潤滑性と導電性に優れた表面処理鋼板を提
供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、クロメー
ト処理液中にシリカに加えて水分散性樹脂と有機潤滑剤
とを含有させることにより、クロメートの持つ防食性能
を損なわずに、めっき鋼板のクロメート処理だけで潤滑
性と導電性を備えた表面処理鋼板を得ることができるこ
とを見出した。
【0009】ここに、本発明は、めっき鋼板の表面にCr
換算付着量で5〜120 mg/m2 のクロメート皮膜を有する
表面処理鋼板であって、前記クロメート皮膜中に、SiO2
/Crの重量比が5以下となる量の平均粒径5〜100 nmの
シリカと、全有機物固形分/Crの重量比が 0.1〜10の範
囲内となる量の水分散性樹脂およびワックス系潤滑剤か
らなる有機物とが存在し、該水分散性樹脂が前記シリカ
に吸着し、さらに該水分散性樹脂に前記ワックス系潤滑
剤が吸着して分散しており、かつ導電性のクロメート系
マトリックス相が連続相として存在することを特徴とす
る導電性と潤滑性に優れた表面処理鋼板である。
【0010】
【作用】以下、本発明を詳細に説明する。母材めっき鋼板 本発明の母材めっき鋼板の種類は特に制限されず、アル
ミニウムめっき鋼板、アルミニウム合金めっき鋼板など
も使用できるが、通常は亜鉛めっき鋼板と亜鉛合金めっ
き鋼板 (例、Zn−Ni、Zn−FeまたはZn−Co合金めっき鋼
板等) を含む亜鉛系めっき鋼板である。亜鉛系めっき鋼
板は、溶融めっき鋼板、電気めっき鋼板、合金化溶融亜
鉛めっき鋼板のいずれであってもよい。また、気相めっ
き等の特殊なめっき鋼板も母材として使用できる。
【0011】めっき鋼板のめっき付着量は、耐食性の確
保に十分であって、かつ成形性を低下させないように選
択することが好ましい。通常、めっき付着量は1g/m2
上、特に5g/m2以上であり、上限は成形性およびコスト
を考慮すると、電気めっきの場合は40g/m2以下、溶融め
っきの場合は 150g/m2以下とすることが好ましい。
【0012】クロメート皮膜 クロメート皮膜は、めっきの一次防錆能力向上、白錆発
生の抑制、耐指紋性の向上、めっき外観向上、電着塗装
性あるいは塗料密着性の向上などの作用を発揮させるた
めに、従来より各種のめっき鋼板、特に亜鉛系めっき鋼
板に施されてきた。クロメート皮膜はイオン性であるた
め、付着量が過大でなければめっき鋼板の導電性に著し
い悪影響を及ぼさない。
【0013】本発明でも、めっき鋼板上にクロメート皮
膜を形成することでこのような作用を発揮させることが
できるが、本発明では、これらの作用に加えて、クロメ
ート皮膜中にシリカと水分散性樹脂と潤滑剤とを分散さ
せることにより、クロメート皮膜に潤滑性能を付与し、
クロメート皮膜を潤滑皮膜としても利用した点に特徴が
ある。このために、使用するクロメート処理液に、シリ
カ微粒子と水分散性樹脂と潤滑剤とを添加して分散させ
ておく。
【0014】クロメート皮膜の付着量はCr換算付着量で
5〜120 g/m2とする。Cr付着量が5mg/m2 未満では一般
に一次防錆能力が低下し、ユーザーが使用する前に表面
処理鋼板の下地 (めっき皮膜) の腐食が発生してしまう
ことがある。また、Cr付着量が120 mg/m2 より多くなる
と、膜厚増加により導電性や成形性が低下する。諸性能
を考慮するとCr付着量は20〜60 mg/m2の範囲内が好まし
い。
【0015】クロメート皮膜中に存在させるシリカとし
ては、従来より知られているように、コロイド粒径のシ
リカ (コロイドシリカ) を使用する。シリカは、水性系
であるクロメート処理液への分散性に優れたシリカゾル
(水性シリカ、湿式シリカともいう) の使用が好ましい
が、ヒュームドシリカ (気相シリカ、乾式シリカともい
う) も使用できる。
【0016】クロメート皮膜にシリカを添加すると、一
般にめっき鋼板の耐食性が向上することはよく知られて
いる。この効果に加えて、本発明では、シリカの添加に
より、クロメート処理液中に共存する水分散性樹脂がシ
リカ微粒子に吸着され、樹脂の分散性が安定化するとい
う別の効果も発揮される。
【0017】本発明で用いるシリカは、平均粒径 (平均
一次粒子径) が5〜100 nmのものが好ましい。シリカの
平均粒径が5nm未満であると、共存する水分散性樹脂が
シリカゾルに吸着することができず、この樹脂の分散性
が劣化する。また、100 nmより平均粒径が大きくなる
と、シリカ微粒子1個当たりに吸着する水分散性樹脂の
粒数が増加し、やはり樹脂の分散性が劣化する。シリカ
のより好ましい平均粒径は10〜50 nm である。
【0018】クロメート処理液へのシリカの添加量は、
SiO2/Crの重量比が5以下となる量とする。この量は形
成されたクロメート皮膜中においても変化しないので、
クロメート皮膜中におけるSiO2/Crの重量比も5以下と
なる。シリカを添加しないと、シリカ添加による耐食性
の向上効果が得られず、耐食性が不十分となる上、上記
の水分散性樹脂の分散安定化効果も得ることができなく
なる。
【0019】シリカの添加量を増加していくと、SiO2
Cr重量比が5となるまでは、耐食性の向上が認められる
が、それを超えると耐食性の向上がそれ以上は得られな
くなる上、処理液のコスト高に加えて、液のゲル化も起
こり易くなるので、シリカ添加量を上記のように定め
る。液安定性や表面処理鋼板の耐食性を考慮すると、好
ましいシリカ添加量はSiO2/Cr重量比で2〜4の範囲で
ある。
【0020】上述したように、クロメート処理液には、
シリカに加えて、水分散性樹脂とワックス系潤滑剤とを
添加する。ワックス系潤滑剤には水酸基等の親水基を有
するものも存在するが、このような親水基を持たない非
親水性のワックスも少なくない。非親水性のワックスで
あっても、他の樹脂との吸着は可能である。そのため、
ワックス系潤滑剤を水分散性樹脂と一緒に、シリカを含
有するクロメート処理液中に添加する。その結果、前述
したように水分散性樹脂がシリカに吸着して液中に分散
し、さらにこの分散した水分散性樹脂にワックス系潤滑
剤が吸着することによってこの潤滑剤が液中に分散す
る。このような作用により、非親水性のワックス系潤滑
剤であっても水性系のクロメート処理液中に均一分散さ
せることができる。
【0021】このクロメート処理液をめっき鋼板表面に
塗布してクロメート皮膜を形成すると、図1に示すよう
に、導電性を持たない潤滑性の樹脂粒子 (水分散性樹脂
粒子表面に潤滑剤が吸着したもの) が、クロメート皮膜
の全体に実質的に均一に分散している。従って、絶縁性
の樹脂粒子の隙間に導電性のクロメート系マトリックス
相が連続相として残り、導電性が確保される。また、表
面に露出した樹脂粒子に吸着している潤滑剤により、ク
ロメート皮膜に潤滑性が付与される。この潤滑剤が吸着
した樹脂粒子はミクロンオーダーの微細な粒子であるの
で、クロメート皮膜の全体に一様に潤滑性が付与され
る。
【0022】これに対し、従来技術のように、クロメー
ト皮膜の上に潤滑剤を含有する樹脂皮膜を形成すると、
2回の処理工程が必要である上、この樹脂皮膜が連続皮
膜である場合には、この表面の樹脂皮膜が絶縁層とな
り、導電性が大きく阻害される。樹脂皮膜が静電スプレ
ーにより形成された不連続層である場合には、導電性は
確保されるが、不連続樹脂層の1個当たりの大きさが、
本発明の樹脂粒子に比べれば著しく大きいので、微視的
には表面全体に一様に潤滑性を発揮させにくい。しか
も、このような不連続塗装は制御が困難で、また塗膜が
プレス成形により剥離し易いので、金型の清浄化が煩雑
になる。
【0023】水分散性樹脂とワックス系潤滑剤の合計量
は、樹脂および潤滑剤の均一分散性と導電性、潤滑性を
考慮して、この2種類の有機物の合計固形分 (全有機物
固形分) /Crの重量比が 0.1〜10、好ましくは、0.4 〜
5の範囲内となる量とする。この重量比が0.1 未満で
は、樹脂と潤滑剤の均一分散が困難であり、また潤滑性
も不十分となる。一方、この重量比が10を超えると、絶
縁性の樹脂粒子がクロメート皮膜中に密に存在するよう
になって、導電性の隙間が少なくなり、表面処理鋼板の
導電性が著しく劣化する。
【0024】クロメート皮膜に十分な潤滑効果を付与す
るには、水分散性樹脂とワックス系潤滑剤の固形分基準
の合計量(全有機物固形分)中の少なくとも3重量%を
潤滑剤(固形分)が占め、かつ潤滑剤固形分/Crの重量
比が1/50以上であることが好ましい。より好ましく
は、潤滑剤が全有機物固形分の5重量%以上を占め、か
つ潤滑剤/Crの重量比が1/20以上である。全有機物固
形分中の潤滑剤の割合の上限は特に規定されず、例えば
全有機物固形分の約99%が潤滑剤、残りが水分散性樹脂
であってもよい。
【0025】水分散性樹脂は、シリカ含有クロメート処
理液中で安定に均一分散させることができるものであれ
ば特に制限されない。本発明で使用するのに適した水分
散性樹脂には、アクリルスチレン系、ポリエステル系、
アクリル系、およびウレタン系の水分散性樹脂(エマル
ジョン樹脂)がある。これらの樹脂は、シリカ含有クロ
メート処理液中での分散安定性に優れ、かつワックス系
潤滑剤粒子の吸着による均一分散性も良好である。水分
散性樹脂は1種もしくは2種以上を使用することができ
る。
【0026】ワックス系潤滑剤の種類も特に制限され
ず、天然ワックスと合成ワックスの一方または両方を使
用できる。有機系の固形潤滑剤としてフッ素樹脂粉末も
知られているが、本発明においてフッ素樹脂粉末を潤滑
剤として利用すると、クロメート皮膜の塗装性(塗膜密
着性)が非常に低下し、プレス成形後に塗装されること
が多い家電用途には不適当となる。そのため、潤滑剤と
しては、クロメート皮膜の塗装性に著しい悪影響を及ぼ
さないワックス系潤滑剤を使用する。
【0027】ワックス系潤滑剤は、平均粒径が 0.1〜10
μmの範囲内のものが好ましい。図1に示したように、
クロメート皮膜の最表面に露出した潤滑剤が摺動部材と
接触することで潤滑効果が発揮される。潤滑剤の平均粒
径が 0.1μm未満であると、最表面に露出する潤滑剤の
割合が減少し、潤滑性能が不十分となり易い。一方、潤
滑剤の平均粒径が10μmより大きくなると、水分散性樹
脂による吸着が少なくなり、クロメート処理液中の潤滑
剤の均一分散性が低下する。
【0028】本発明のクロメート皮膜は、クロメート処
理液中にシリカと水分散性樹脂とワックス系潤滑剤を添
加して分散させる以外は、従来の塗布型クロメート皮膜
と同様の手法で、めっき鋼板表面に形成することができ
る。基本となるクロメート処理液は、6価クロム化合物
(例、クロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩など)を含
有していればよく、組成は特に制限されない。造膜性を
高めるために、6価クロムの一部を還元した部分還元型
クロメート処理液も使用できる。また、クロメート液
は、上述した必須成分以外に、塗布型クロメート液に添
加可能な各種添加剤を含有しうる。このような添加剤と
しては、シランカップリング剤、界面活性剤、リン酸、
フッ素化合物、増粘剤などが挙げられる。
【0029】クロメート処理液の塗布には、浸漬、ロー
ル塗布、噴霧、カーテンフロー塗布などの各種の塗布手
段を利用できる。その後、一般に加熱して塗膜を乾燥さ
せ、クロメート皮膜を形成する。この乾燥は、クロメー
ト皮膜中に含有させた水分散性樹脂およびワックス系潤
滑剤の融点または軟化点を超えない温度で行うことが好
ましく、通常は50〜100 ℃程度が普通である。こうし
て、シリカと水分散性樹脂とワックス系潤滑剤が全体に
均一に分散して分布するクロメート皮膜がめっき鋼板の
表面に形成される。
【0030】このクロメート皮膜は、クロメート皮膜に
要求される耐食性を始めとする性能を保持し、かつ有機
物が皮膜中に存在するにもかかわらず十分な導電性を備
えているので、電磁波シールド性やアース性が要求され
る用途に適している。同時に、このクロメート皮膜は、
皮膜表面に露出したワックス系潤滑剤により潤滑性も備
えており、プレス油を塗布せずにプレス成形が可能であ
る。また、必要であれば、成形後に塗装して、クロメー
ト皮膜に良好に密着した塗膜を形成することができる。
この時、電磁波シールドやアースの目的で導電性を確保
したい場合には、導電性塗料を塗装することが好まし
い。
【0031】
【実施例】本発明を実施例により具体的に説明する。実
施例中、%は特に指定のない限り重量%である。下記a
〜cの3種類の両面亜鉛系めっき鋼板(カッコ内は片面
当たりのめっき付着量)を供試材として、表1に示す割
合でシリカ、水分散性樹脂、およびワックス系潤滑剤を
添加したクロメート処理液で処理した。
【0032】供試めっき鋼板(供試材) A:電気Znめっき鋼板(20g/m2) B:電気Zn−12%Ni合金めっき鋼板(20g/m2) C:溶融Znめっき鋼板(60g/m2) D:合金化溶融Znめっき(Fe10%) 鋼板(60g/m2) E:溶融Zn−55%Alめっき鋼板(70g/m2) F:電気Zn−1%Coめっき鋼板(20g/m2) 使用したクロメート処理液は、全Cr量の50%がCr3+に還
元されている市販の部分還元型クロメート処理液であっ
た。添加成分は、シリカがシリカゾル、ワックス系潤滑
剤が合成ポリエチレンワックスまたは天然ワックス、水
分散性樹脂がアクリルスチレン系 (旭化成製ポリトロン
F2000 、固形分46%) 、ポリエステル系(東洋紡製バイ
ロナールMD1200、固形分34%) 、アクリル系 (ヘキスト
合成社製モビニール700 、固形分47%) またはウレタン
系 (大日本インキ製ハイドランAP-20 、固形分30%) で
あった。シリカおよびワックス系潤滑剤の平均粒径は表
1に示す通りであった。
【0033】クロメート処理は、供試めっき鋼板をクロ
メート処理液に浸漬し、遠心分離により余分な処理液を
除去した後、100 ℃で1分間乾燥することにより行っ
た。生成したクロメート皮膜のCr付着量は表2に示す通
りであった。この付着量は遠心分離の程度により調整し
た。得られた表面処理鋼板の導電性と潤滑性を下記のよ
うに試験した。試験結果を表2に併せて示す。
【0034】
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】表2からわかるように、適量のシリカと水
分散性樹脂とワックス系潤滑剤とを添加したクロメート
処理液で処理した本発明例の表面処理鋼板は、いずれも
導電性、潤滑性および耐食性の評点が合格であり、導電
性と潤滑性を兼ね備えていることが判明した。
【0038】これに対し、シリカの添加を省略した処理
液No.1を使用した比較例では、クロメート付着量が十分
であり、しかも樹脂添加があるにもかかわらず、所定の
耐食性が得られなかった。また、シリカの添加量が過大
であった処理液No.3を使用した比較例では導電性が低下
した。シリカ径が微細すぎた処理液No.4、或いは粗大す
ぎた処理液No.7を使用した比較例では、いずれも水分散
性樹脂の分散性が劣り、耐食性が劣化した。全有機物/
Crの比率が小さすぎた処理液No.8を使用した比較例では
潤滑性が不十分となり、この比率が大きすぎた処理液N
o.22 を使用した比較例では導電性が不十分となった。
また、クロメート皮膜の付着量が少なすぎた比較例では
耐食性と潤滑性を得ることができず、多すぎた比較例で
は導電性を得ることができなかった。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、めっき鋼板に1回の塗
布作業を施すだけで、潤滑性と導電性に優れた表面処理
鋼板を安価に効率よく得ることができる。この表面処理
鋼板は、プレス油を塗布せずに成形でき、プレス油の塗
布に起因する環境問題を避けることができる。また、そ
の優れた導電性により、この表面処理鋼板は電磁波シー
ルド性やアース性が要求される用途に十分に使用できる
ので、家電や電子・電気機器用の鋼板として特に有用で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面処理鋼板の模式的説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂東 誠治 和歌山市湊1850番地 住友金属工業株式 会社和歌山製鉄所内 (72)発明者 吉川 幸宏 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友 金属工業株式会社内 (72)発明者 丸 俊一 大阪市城東区鴨野西4丁目1番24号 朝 日化学工業株式会社研究所内 (72)発明者 木屋 敏夫 大阪市城東区鴨野西4丁目1番24号 朝 日化学工業株式会社研究所内 (56)参考文献 特開 平6−93461(JP,A) 特開 平6−192850(JP,A) 特開 平3−219086(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 22/00 - 22/86 C23C 28/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 めっき鋼板の表面にCr換算付着量で5〜
    120 mg/m2 のクロメート皮膜を有する表面処理鋼板であ
    って、前記クロメート皮膜中に、SiO2/Crの重量比が5
    以下となる量の平均粒径5〜100 nmのシリカと、全有機
    物固形分/Crの重量比が 0.1〜10の範囲内となる量の水
    分散性樹脂およびワックス系潤滑剤からなる有機物とが
    存在し、該水分散性樹脂が前記シリカに吸着し、さらに
    該水分散性樹脂に前記ワックス系潤滑剤が吸着して分散
    しており、かつ導電性のクロメート系マトリックス相が
    連続相として存在することを特徴とする、導電性と潤滑
    性に優れた表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】 前記潤滑剤の平均粒径が 0.1〜10μmで
    ある、請求項1記載の表面処理鋼板。
  3. 【請求項3】 前記潤滑剤が全有機物固形分の3重量%
    以上を占め、かつ潤滑剤固形分/Crの重量比が1/50以
    上である、請求項1または2記載の表面処理鋼板。
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