JP5101271B2 - 表面処理鋼板 - Google Patents
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Description
また、特許文献2に開示されている方法では、高いエッチング性はない反面、化成皮膜はめっき皮膜との密着性に乏しいため、加工により皮膜が容易に剥離してしまう。
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、表面処理組成物や皮膜中に6価クロムを全く含まず、優れた耐食性と耐黒変性が得られる表面処理鋼板を提供することにある。
[1] 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、加水分解性チタン化合物、加水分解性チタン化合物の低縮合物、水酸化チタン、水酸化チタンの低縮合物の中から選ばれる少なくとも1種のチタン化合物を過酸化水素水と混合して得られるチタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して、酢酸ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケルの中から選ばれる1種又は2種以上のニッケル化合物(B)を0.01〜10質量部、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミン酸塩の中から選ばれる1種又は2種以上のアルミニウム化合物(C)を1〜100質量部、弗素含有化合物(D)を1〜800質量部、水溶性有機樹脂又は/及び水分散性有機樹脂(H)をチタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して30質量部超含有する表面処理組成物(I)を塗布し、乾燥させることにより形成された皮膜付着量が0.1〜3.0g/m2の表面処理皮膜を有することを特徴とする表面処理鋼板。
[3]上記[1]又は[2]の表面処理鋼板において、表面処理組成物(I)が、さらに、有機リン酸化合物(E)をチタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して1〜400質量部含有することを特徴とする表面処理鋼板。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの表面処理鋼板において、表面処理組成物(I)が、さらに、炭酸ジルコニウム化合物(G)をチタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して1〜400質量部含有することを特徴とする表面処理鋼板。
また、めっき鋼板としては、鋼板面に予めNiなどの薄目付めっきを施し、その上に上記のような各種めっきを施したものであってもよい。
めっき方法としては、電解法(水溶液中での電解又は非水溶媒中での電解)、溶融法、気相法のうち、実施可能ないずれの方法を採用することができる。
また、表面処理皮膜をめっき皮膜表面に形成した際に皮膜欠陥やムラが生じないようにするため、必要に応じて、予めめっき皮膜表面にアルカリ脱脂、溶剤脱脂、表面調整処理(アルカリ性の表面調整処理又は酸性の表面調整処理)などの処理を施しておくことができる。
また、電気亜鉛めっき鋼板を下地鋼板として用いる場合には、黒変を防止する目的で電気めっき浴に鉄族金属イオン(Niイオン,Coイオン,Feイオンの1種以上)を添加し、めっき皮膜中にこれらの金属を1ppm以上含有させておくことができる。この場合、めっき皮膜中の鉄族金属濃度の上限については特に限定はない。
なお、本発明では、亜鉛系めっき鋼板の中でも特に耐黒変性が劣位のZn−5mass%Al合金めっき鋼板であっても著しく耐黒変性が改善される。
このような表面処理皮膜を形成することによって優れた耐食性と耐黒変性が得られる理由は必ずしも明確ではないが、特定のチタン系水性液に特定の金属塩と水性樹脂を組合わせて複合添加した混合液が鋼板表面で乾燥する過程で、含有する金属イオンによる複合塩の形成と酸化チタン系の緻密な皮膜成分の析出により、高度のバリア性を有する皮膜が形成されるためであると考えられる。
前記加水分解性チタン化合物は、チタンに直接結合する加水分解性基を有するチタン化合物であって、水、水蒸気などの水分と反応することにより水酸化チタンを生成するものである。また、加水分解性チタン化合物は、チタンに結合する基の全てが加水分解性基であるものでもよいし、チタンに結合する基の一部が加水分解性基であるものでもよい。
前記加水分解性基としては、上記したように水分と反応することにより水酸化チタンを生成させるものであれば特に制限はないが、例えば、低級アルコキシル基やチタンと塩を形成する基(例えば、塩素などのハロゲン原子、水素原子、硫酸イオンなど)などが挙げられる。
加水分解性基として、チタンと塩を形成する基を有する加水分解性チタン化合物としては、塩化チタン、硫酸チタンなどが代表的なものとして挙げられる。
加水分解性基がチタンと塩を形成する基である加水分解性チタン化合物(例えば、塩化チタン、硫酸チタンなど)については、その加水分解性チタン化合物の水溶液とアンモニアや苛性ソーダなどのアルカリ溶液との反応により得られるオルトチタン酸(水酸化チタンゲル)も低縮合物として使用できる。
以上挙げた加水分解性チタン化合物、加水分解性チタン化合物の低縮合物、水酸化チタン、水酸化チタンの低縮合物は、1種又は2種以上を使用できるが、そのなかでも、上述した一般式で示される加水分解性チタン化合物であるテトラアルコキシチタンが特に好ましい。
(i)含水酸化チタンのゲル又はゾルに過酸化水素水を添加して得られるチタニルイオン過酸化水素錯体又はチタン酸(ペルオキソチタン水和物)水溶液(特開昭63−35419号公報、特開平1−224220号公報参照)。
このチタニア膜形成用液体を得る場合、チタンと塩を形成する基を有する塩化チタンや硫酸チタンの水溶液とアンモニアや苛性ソーダなどのアルカリ溶液とを反応させることによりオルトチタン酸と呼ばれる水酸化チタンゲルを沈殿させる。次いで、水を用いたデカンテーションによって水酸化チタンゲルを分離し、良く水洗し、さらに過酸化水素水を加え、余分な過酸化水素を分解除去することにより、黄色透明粘性液体を得ることができる。
このゾルはチタン原子以外に酸素原子と水素原子しか含まないので、乾燥や焼成によって酸化チタンに変化する場合、水と酸素しか発生しないため、ゾルゲル法や硫酸塩などの熱分解に必要な炭素成分やハロゲン成分の除去が必要でなく、低温でも比較的密度の高い酸化チタン膜を形成することができる。
チタン化合物として加水分解性チタン化合物及び/又はその低縮合物(以下、説明の便宜上「加水分解性チタン化合物a」という)を用いるチタン含有水性液(A)は、加水分解性チタン化合物aを過酸化水素水と反応温度1〜70℃で10分間〜20時間程度反応させることにより得ることができる。
表面処理組成物(I)を塗布した後の加熱温度としては、例えば200℃以下、特に150℃以下が好ましく、このような温度で加熱乾燥することにより、水酸基を若干含む非晶質(アモルファス)の酸化チタン含有皮膜が形成できる。
また、上記したような80℃以上の加熱処理又はオートクレーブ処理を経て得られた酸化チタン分散液をチタン含有水性液(A)として用いた場合、表面処理組成物(I)を塗布するだけで結晶性の酸化チタン含有皮膜が形成できるため、加熱処理できない材料のコーティング材として有用である。
前記酸化チタンゾルは、無定型チタニア微粒子又は/及びアナタース型チタニア微粒子が水(必要に応じて、例えばアルコール系、アルコールエーテル系などの水性有機溶剤を添加してもよい)に分散したゾルである。この酸化チタンゾルとしては、従来公知のものを使用することができ、例えば、(i)硫酸チタンや硫酸チタニルなどの含チタン溶液を加水分解して得られる酸化チタン凝集物、(ii)チタンアルコキシドなどの有機チタン化合物を加水分解して得られる酸化チタン凝集物、(iii)四塩化チタンなどのハロゲン化チタン溶液を加水分解又は中和して得られる酸化チタン凝集物、などの酸化チタン凝集物を水に分散した無定型チタニアゾル、或いは前記酸化チタン凝集物を焼成してアナタース型チタン微粒子とし、このものを水に分散したゾルを使用することができる。
チタン含有水性液(A1)の生成形態やその特性は、さきに述べた加水分解性チタン化合物aを用いたチタン含有水性液(A)と同様であるが、特に、酸化チタンゾルを使用することにより、合成時に一部縮合反応が起きて増粘するのが抑えられる。その理由は、縮合反応物が酸化チタンゾルの表面に吸着され、溶液状態での高分子化が抑えられるためであると考えられる。
表面処理組成物(I)を塗布した後の加熱温度としては、例えば200℃以下、特に150℃以下が好ましく、このような温度で加熱乾燥することにより、水酸基を若干含むアナタース型の酸化チタン含有皮膜が形成できる。
以上述べたように、チタン含有水性液(A)の中でも、加水分解性チタン化合物aを用いたチタン含有水性液(A)やチタン含有水性液(A1)は、貯蔵安定性、耐食性などに優れた性能を有するので、本発明ではこれらを使用することが特に好ましい。
チタン含有水性液(A)には、必要に応じて、他のゾルや顔料を添加分散させることもできる。例えば、添加物としては、市販の酸化チタンゾルや酸化チタン粉末、マイカ、タルク、シリカ、バリタ、クレーなどが挙げられ、これらの1種以上を添加することができる。
表面処理組成物(I)中でのチタン含有水性液(A)の含有量は、固形分で1〜100g/L、好ましくは5〜50g/Lとすることが、処理液の安定性などの点から好ましい。
ニッケル化合物(B)の配合量は、チタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜2質量部とする。チタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対するニッケル化合物(B)の配合量が0.01質量部未満では、耐黒変性の改善が十分でなく、一方、10質量部を超えると耐食性が劣化する。
本発明では、特に耐黒変性と耐食性の両立の点から、ニッケル化合物(B)とアルミニウム化合物(C)の配合比B/Cを固形分の質量比で1/1〜1/100、好ましくは1/5〜1/50とすることが望ましい。
弗素含有化合物(D)の配合量は、チタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して1〜800質量部、好ましくは50〜500質量部とする。チタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対する弗素含有化合物(D)の配合量が1質量部未満では、貯蔵安定性、耐食性、耐水付着性などの改善が十分でなく、一方、800質量部を超えると耐黒変性が劣化する。
これらのなかでも特に、水溶性又は水分散性のアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びエポキシ系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の有機樹脂を用いることが表面処理組成物の貯蔵安定性の面から好ましく、また特に、水溶性又は水分散性のアクリル系樹脂を主成分として用いることが、表面処理組成物の貯蔵安定性と塗膜性能とのバランスの面から好ましい。
前記親水性の基を有する重合体は、例えば、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、ポリオキシアルキレン基などの親水性の基を有する不飽和単量体、必要に応じて、さらにその他の不飽和単量体を重合させることにより得ることができる。
水溶性又は水分散性アクリル樹脂は、耐食性などの点からスチレンを共重合してなるものが好ましく、全不飽和単量体中のスチレンの量は10〜60質量%、特に15〜50質量%であることが好ましい。また、共重合して得られるアクリル樹脂のTg(ガラス転移点)は30〜80℃、特に40〜70℃であることが、得られる皮膜の強靭性などの点から好ましい。
前記アミノ基含有不飽和単量体などのような含窒素不飽和単量体としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの含窒素アルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの重合性アミド類;2−ビニルピリジン、1−ビニル−2−ピロリドン、4−ビニルピリジンなどの芳香族含窒素モノマー;アリルアミンなどが挙げられる。
以上挙げた不飽和単量体は、1種又は2種以上を用いることができる。なお、本願の記載において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタアクリレート」を意味する。
(1)ポリウレタンポリマーの側鎖又は末端に水酸基、アミノ基、カルボキシル基などのイオン性基を導入することにより親水性を付与し、自己乳化により水中に分散又は溶解する方法。
(2)反応の完結したポリウレタンポリマー又は末端イソシアネート基をオキシム、アルコール、フェノール、メルカプタン、アミン、重亜硫酸ソーダなどのブロック剤でブロックしたポリウレタンポリマーを乳化剤と機械的剪断力を用いて強制的に水中に分散する方法。さらに、末端イソシアネート基を持つウレタンポリマーを水、乳化剤及び鎖伸長剤と混合し、機械的剪断力を用いて分散化と高分子量化を同時に行う方法。
(3)ポリウレタン主原料のポリオールとしてポリエチレングリコールのごとき水溶性ポリオールを使用し、水に可溶なポリウレタンとして水中に分散又は溶解する方法。
なお、ポリウレタン系樹脂は、上述した分散又は溶解方法のうち異なる方法で得られたものを混合して用いることもできる。
ポリウレタン系樹脂の市販品としては、ハイドランHW−330、同HW−340、同HW−350(いずれも商品名,大日本インキ化学工業社製)、スーパーフレックス100、同150、同E−2500、同F−3438D(いずれも商品名,第一工業製薬社製)などを挙げることができる。
このように水溶性有機樹脂又は/及び水分散性有機樹脂(H)の配合量を高めることにより特に高度な耐食性が得られるのは、表面処理皮膜の主成分である無機成分の微細な隙間を有機樹脂が埋めることによりバインダー効果が発現し、その結果、高度のバリア性を有する皮膜が形成されるためであると考えられる。
前記有機リン酸化合物(E)としては、例えば、1−ヒドロキシメタン−1,1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシプロパン−1,1−ジホスホン酸などのヒドロキシル基含有有機亜リン酸;2−ヒドロキシホスホノ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸などのカルボキシル基含有有機亜リン酸、及びこれらの塩などが好適なものとして挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
有機リン酸化合物(E)の配合量は、チタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して1〜400質量部、特に20〜300質量部とすることが耐水付着性などの点から好ましい。有機リン酸化合物(E)の配合量が、チタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して400質量部を超えると、耐水付着性が劣るため好ましくない。
バナジン酸化合物(F)の配合量は、チタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して、1〜400質量部、特に10〜400質量部とすることが、皮膜をアルカリ脱脂した後の耐食性などの点から好ましい。バナジン酸化合物(F)の配合量が、チタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して400質量部を超えると、アルカリ脱脂した後の耐食性が劣るため好ましくない。
炭酸ジルコニウム化合物(G)の配合量は、チタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して、1〜400質量部、特に10〜400質量部とすることが、皮膜をアルカリ脱脂した後の耐食性などの点から好ましい。炭酸ジルコニウム化合物(G)の配合量が、チタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して400質量部を超えると、アルカリ脱脂した後の耐食性が劣るため好ましくない。
また、表面処理組成物(I)は、必要に応じて、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール系溶剤、プロピレングリコール系溶剤などの親水性溶剤で希釈して使用することができる。
表面処理組成物(I)により形成される表面処理皮膜の付着量は、0.1〜3.0g/m2、好ましくは0.3〜2.0g/m2とする。皮膜付着量が0.1g/m2未満では耐食性が劣り、一方、3.0g/m2を超えると、湿潤環境下での皮膜の含水量が無視できなくなり、耐黒変性が却って低下するほか、ロールフォーミングやプレス加工の際にロールや金型に皮膜が付着し、プレス後外観が劣る。
また、チタン含有水性液(A)や表面処理組成物(I)には、さらに必要に応じて、さきに挙げたような他の添加成分を含有させてもよい。
塗布した表面処理組成物(処理液)の乾燥温度は60〜200℃程度とすることが好ましい。乾燥温度が60℃未満では、皮膜形成が不十分となり耐食性などが劣った皮膜となる。一方、200℃を超える板温で乾燥させても、乾燥温度に見合う耐食性の向上効果は得られず、却って耐食性が低下してしまう場合がある。これは、熱により皮膜にクラックが生じるためであると考えられる。
[チタン含有水性液(A)の製造]
・製造例1(チタン含有水性液T1)
四塩化チタン60%溶液5ccを蒸留水で500ccとした溶液にアンモニア水(1:9)を滴下し、水酸化チタンを沈殿させた。蒸留水で洗浄後、過酸化水素水30%溶液を10cc加えてかき混ぜ、チタンを含む黄色半透明の粘性のあるチタン含有水性液T1を得た。
・製造例2(チタン含有水性液T2)
テトラiso−プロポキシチタン10質量部とiso−プロパノール10質量部の混合物を30%過酸化水素水10質量部と脱イオン水100質量部の混合物中に20℃で1時間かけて撹拌しながら滴下した。その後25℃で2時間熟成し、黄色透明の少し粘性のあるチタン含有水性液T2を得た。
・製造例3(チタン含有水性液T3)
製造例2で使用したテトラiso−プロポキシチタンの代わりにテトラn−ブトキシチタンを使用した以外は製造例2と同様の製造条件で、チタン含有水性液T3を得た。
製造例2で使用したテトラiso−プロポキシチタンの代わりにテトラiso−プロポキシチタンの3量体を使用した以外は製造例2と同様の製造条件で、チタン含有水性液T4を得た。
・製造例5(チタン含有水性液T5)
製造例2に対して過酸化水素水を3倍量用い、50℃で1時間かけて滴下し、さらに60℃で3時間熟成した以外は製造例2と同様の製造条件で、チタン含有水性液T5を得た。
・製造例6(チタン含有水性液T6)
製造例3で製造したチタン含有水性液T3を、さらに95℃で6時間加熱処理することにより、白黄色の半透明なチタン含有水性液T6を得た。
・製造例7(チタン含有水性液T7)
テトラiso−プロポキシチタン10質量部とiso−プロパノール10質量部の混合物を、「TKS−203」(商品名,テイカ社製,酸化チタンゾル)5質量部(固形分)、30%過酸化水素水10質量部及び脱イオン水100質量部の混合物中に10℃で1時間かけて撹拌しながら滴下した。その後10℃で24時間熟成し、黄色透明の少し粘性のあるチタン含有水性液T7を得た。
B1:酢酸ニッケル
B2:硝酸ニッケル
B3:硫酸ニッケル
[アルミニウム化合物(C)]
C1:硝酸アルミニウム
C2:酢酸アルミニウム
C3:アルミニウムアセチルアセトナート
[弗素含有化合物(D)]
D1:ジルコン弗化アンモニウム
D2:ジルコン弗化水素酸
D3:ジルコン弗化ナトリウム
D4:ジルコン弗化カリウム
E1:1−ヒドロキシメタン−1,1−ジホスホン酸
E2:1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸
[バナジン酸化合物(F)]
F1:メタバナジン酸アンモニウム
F2:メタバナジン酸ナトリウム
[炭酸ジルコニウム化合物(G)]
G1:炭酸ジルコニウムアンモニウム
G2:炭酸ジルコニウムナトリウム
[水溶性又は水分散性有機樹脂(H)]
H1:スーパーフレックスE−2500(商品名,第一工業製薬社製,水性ポリウレタン樹脂)
H2:バイロナールMD−1100(商品名,東洋紡績社製,水性ポリエステル樹脂)
H3:アデカレジンEM−0718(商品名,(株)ADEKA製,水性エポキシ樹脂)
上記したチタン含有生成液(A)と成分(B)〜(H)を適宜配合した表面処理組成物をめっき鋼板表面に塗布し、所定の乾燥温度にて5秒間乾燥して供試材とした。これら供試材について、下記の試験方法により耐食性及び耐黒変性を評価した。その結果を、各供試材に適用した表面処理組成物の組成及びその塗装条件とともに、表2〜表5に示す。
端部と裏面をテープシールした供試材に対してJIS−Z−2371の塩水噴霧試験を行い、白錆発生面積率が5%となる試験時間を測定した。その評価基準は以下のとおりである。
◎:240時間以上
○:144時間以上、240時間未満
△:72時間以上、144時間未満
×:72時間未満
(2)耐黒変性
供試材を温度80℃、相対湿度95%RH雰囲気に制御された恒温恒湿機に24時間静置した際の外観変化を目視評価した。その評価基準は以下のとおりである。
○:ほとんど変化なし
△:若干の変化あり
×:顕著な変化あり
*1 表1に記載のめっき鋼板No.1〜9
*2 明細書本文に記載のチタン含有水性液T1〜T7
*3 明細書本文に記載のニッケル化合物B1〜B3
*4 明細書本文に記載のアルミニウム化合物C1〜C3
*5 明細書本文に記載の弗素含有化合物D1〜D4
*6 明細書本文に記載の有機リン酸化合物E1,E2
*7 明細書本文に記載のバナジン酸化合物F1,F2
*8 明細書本文に記載の炭酸ジルコニウム化合物G1,G2
*9 明細書本文に記載の水溶性又は水分散性有機樹脂H1〜H3
*10 表面処理組成物(水性処理液)1リットル中の固形分質量(g)
Claims (5)
- 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、加水分解性チタン化合物、加水分解性チタン化合物の低縮合物、水酸化チタン、水酸化チタンの低縮合物の中から選ばれる少なくとも1種のチタン化合物を過酸化水素水と混合して得られるチタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して、酢酸ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケルの中から選ばれる1種又は2種以上のニッケル化合物(B)を0.01〜10質量部、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミン酸塩の中から選ばれる1種又は2種以上のアルミニウム化合物(C)を1〜100質量部、弗素含有化合物(D)を1〜800質量部、水溶性有機樹脂又は/及び水分散性有機樹脂(H)をチタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して30質量部超含有する表面処理組成物(I)を塗布し、乾燥させることにより形成された皮膜付着量が0.1〜3.0g/m2の表面処理皮膜を有することを特徴とする表面処理鋼板。
- 弗素含有化合物(D)が、ジルコン弗化アンモニウム、ジルコン弗化水素酸の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理鋼板。
- 表面処理組成物(I)が、さらに、有機リン酸化合物(E)をチタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して1〜400質量部含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理鋼板。
- 表面処理組成物(I)が、さらに、バナジン酸化合物(F)をチタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して1〜400質量部含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理鋼板。
- 表面処理組成物(I)が、さらに、炭酸ジルコニウム化合物(G)をチタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して1〜400質量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理鋼板。
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