JPH0434239Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は多機能吹付け施工装置に関するもので
ある。

（従来の技術） 土木工事たとえばトンネル工事のごときにおい
ては、ボーリングマシン類による掘削の進展に伴
ない、切羽に支保工を建込み、モルタル類を吹付
けて壁面にライニング層を形成し、岩盤にロツク
ボルトを建込みなどの一連の作業が行われる。

このような各作業を行う場合、従来では、支保
工の建込み、吹付け施工、およびロツクボルトの
建込みの各工程ごとに独立した機材や機器を切羽
に搬入し、ひとつの工程が終わるごとに前工程で
使用した機器や機材を搬出する方法が採られてい
た。

（本考案が解決しようとする問題点） しかしながら、このような方法では、各工程ご
とに使用する機器や機材を狭いトンネル内で移動
させ、各種準備操作を実施しなければならないた
め、作業に手間と時間がかかり、工事の能率が悪
くなるという問題があつた。

ことに、トンネル工事には湧水がつきまとい、
軟弱地盤等にあつては、支保工とモルタルの吹付
けとを時間をおかずに実施することが望まれる
が、従来ではこの要求に答えることが難しく、冠
水などの重大事故が生じる危険があつた。

また、各機器が別個の走行機構やベースを必要
とするので、機器コストが高くなるとともに、狭
いトンネル内に不必要な場所をとり、ボーリング
マシンなどの移動が円滑さを欠くという問題があ
つた。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、前記のような従来の問題点を解消
し、単一のコンパクトな構造により、支保工の建
込み、吹付けライニング、ロツクボルトの建込み
などの各作業をきわめて円滑かつ能率よく実施す
ることができる装置を提供しようとするもので、
その特徴とするところは、走行機構に設けられた
ベースの端部域に、支保工などのクランプ手段を
先端に備えた複数の伸縮ブームとこれら伸縮ブー
ムの間にあつて先端に作業用バスケツトを備えた
伸縮ブームを配設するとともに、前記伸縮ブーム
より後方には、２種の吹付け機と、前記両吹付け
機の少なくとも一方に吹付け資料を供給する手段
と、吹付け資料に混和剤を添加する手段と、用液
供給手段とを搭載したことにある。

（実施例） 以下本考案の実施例を添付図面に基いて説明す
る。

第１図ないし第４図は、本考案に係る多機能吹
付け施工装置の一例を示すもので、１は走行機構
で、クローラ、タイヤ、車輪などの走行部を有
し、油圧、ジーゼル、電気など任意の駆動源によ
りトンネル内を移動できるようになつている。

２は走行機構の上に設けられたベースで、好し
くは、走行機構に対し水平旋回自在となつてい
る。

３，３は前記ベースの前部に配設された複数の
伸縮ブームで、基端部を起伏用シリンダ３１によ
り支持されるとともに、ベースそれ自体またはこ
れに設けた旋回用シリンダ３２により水平方向旋
回できるようになつている。そして伸縮ブームは
入子式シリンダのような伸縮部３３が設けられ、
先端にはクランプ手段３４が連結されている。こ
のクランプ手段３４は、固定あご３４１と移動シ
リンダ３４０で作動される可動あご３４２を備え
ていて、それら固定あごと可動あご間に支保材を
挟持するようになつている。

４は前記伸縮ブーム３，３間のベース上に設け
られた伸縮ブームで、さきの伸縮ブーム３，３と
同様に、起伏用シリンダ４１、旋回用シリンダ４
２および入子式シリンダのような伸縮部４３を備
え、水平、上下の各移動と、長さ方向の移動が自
在となつている。そして、この伸縮ブーム４の先
端には、作業用足場４４が連結され、調整シリン
ダ４５により伸縮ブームに対する角度が可変とな
つている。

５，６は前記伸縮ブーム３，３，４より後方の
ベース上に配置された吹付機で、本実施例では、
乾式吹付機５と、湿式吹付機６とを用いている。

乾式吹付機５は図示するものではロータタイプ
となつており、第４図で示すように、ホツパ５１
と、ホツパ５１の下にあつて上下をゴム盤により
シールされながら回転するロータ５２と、ロータ
５２に配された筒状ポケツト５３の上部に通じる
エア吹込部５４と、これに対応する筒状ポケツト
下に設けられた吐出部５５とを備え、ホツパ５１
に装入された吹付け資料を筒状ポケツト５３に順
次充填し、当該筒状ポケツトが吐出部５５に到つ
てときにエア吹込部５４からのエアにより吐出部
から気送を行うようになつている。

湿式吹付機６は、図示するものでは、スクイー
ズ式ポンプを用いており、第３図のように、ケー
シング６１の内壁にそうように配された可縮管６
２と、可縮管６２と接するローラ６３と、これを
回転する機構６４とからなつており、可縮管６２
に装入された湿状資料をローラの回転により長さ
方向に圧偏し、吐出口６５から濃密圧送するよう
になつている。

吹付機は図示するような構限らないのは勿論で
あり、たとえば、ピストン式のもの、スネークチ
ユウブ式のもの、圧力タンク式のものなど任意で
ある。

７は前記吹付機５，６の少なくとも一方に吹付
資料を供給する手段で、本実施例ではベルトコン
ベアを用い、これを支持部材７１や吊部材７２に
よりベース上に斜状に配している。

そして、図示するものでは、ベルトコンベアの
適所にフレームなどを利用して急結剤などの混和
剤添加手段８を搭載している。この混和剤添加装
置８は、収容タンク８１と、これの下の開放底部
に回転自在に位置された短ベルトコンベア８２と
を備えていて、収容タンク８１の前部には切出し
用開口８２′が欠設されている。吹付資料供給手
段はスクリユー筒であつてもよいのは勿論であ
る。

９は前記吹付機５，６の近傍に設置されたミキ
サーで、セメントや骨材を強制かくはんして吹付
け資料を作るためのもので、図示するものでは、
第１のかくはん羽根９１を内蔵したホツパ９０
と、該ホツパ９０に設けた落下口９２と連通した
テーパ筒状の混練タンク９３と、混練タンクに内
挿された第２のかくはん羽根９４とを備えてい
る。このミキサーの吐出部９５は連絡管９６によ
り前記吹付機６または５、あるいは吹付資料供給
手段７に接続可能となつている。ミキサー９は、
吹付資料供給手段７が、かくはん羽根を設けたス
クリユー筒であるような場合は、これで代用する
ことができる。

１０はベース２に設置した用液供給手段で、水
タンク１１と水ポンプ１２とを備えていてる。水
ポンプ１２はその吐出口１３が前記ミキサー９に
到り、また、外方に面して吐出口１３′が設けら
れ、この吐出口１３′を利用してホース１６を接
続し、切羽面や、吹付用搬送管１４の適所たとえ
ば吹付ノズル１５やその近傍、もしくは吹付用搬
送管１４の中間に介在した添加部に導かれるよう
になつている。

なお、ベース上にはエアコンプレツサまたはこ
れと接続するレシーバタンクが設置されることも
ある。その他、図面において、１７は洗浄用高圧
ポンプである。

（作用） 次に本考案装置の使用状態と作用を説明する。

本考案装置はボーリングマシンにより掘削がな
された切羽に走行機構１により搬入され、まず水
ポンプ１２により高圧水をホース１６で導いて散
水することによりボーリングマシンによる掘削粉
塵が押えられる。

一方、吹付資料は与めミキサー９で混練される
かまたは他所で混練され、吹付機５または６に装
入される。湿式吹付けの場合は、ミキサー９に水
が添加され湿状資料となり、湿式吹付機６に装入
され、ここから濃密搬送され吹付けノズル位置ま
で搬送され圧縮エア添加により高速噴射される。
または、搬送管路の途中でエア添加されることに
より気流搬送に移行されて吹付けられる。乾状資
料の場合は、吹付機５に投入されることにより、
ロータ等で定量的に切出され、エアにより気流搬
送される。

いずれの場合も、吹付け施工に際しては、伸縮
ブーム３，３を下降状態に保ち、中間の伸縮ブー
ム４の作業用バスケツト４４に要員と吹付けノズ
ル１５を乗せ、旋回用シリンダ４２、起伏用シリ
ンダ１および伸縮部４３を作動させるものであ
り、これにより、切羽壁面の適正な位置に吹付け
ノズルが配され、トンネル上半および下半に迅速
にライニングが施される。

次いで伸縮ブーム４を下降させ、これの両側に
ある伸縮ブーム３，３先端のクランプ手段３４に
支保材を配し、固定と可動の両あご３４１，３４
２により支保工を挟持し、旋回用シリンダ３１，
起伏用シリンダ３２、伸縮部３３を作動させて切
羽上半部に移動させ、それとともに前記中間の伸
縮ブーム４を同様に上昇させて作業用バスケツト
４４を接近させるもので、これにより、支保材の
連結溶接、金網張りなどの操作が簡便に行われ、
短時間に建込みが完了する。

次いでさきに述べた方法で、吹付機５または６
を作動しながら中間の伸縮ブーム４を移動させる
ことにより、作業用バスケツト４４を用いて上
半、下半の２次吹付が行われる。

このようにして、吹付けが完了したところで、
中間伸縮ブーム４にロツクボルトを運び、作業用
バスケツト４４を上昇させることで簡単にさつ孔
が行われ、かつ吹付機６作業用バスケツト４４を
使用することにより上半、および下半のモルタル
注入およびロツクボルト押込が連続して行われ
る。

以上のようにして切羽の施工に必要な各作業が
終り、適宜、洗浄用高圧ポンプ１７で洗浄が行わ
れ、作業用バスケツト４４は上半の計測等の足場
として使用される。

（効果） 以上説明した本考案によるときには、走行機構
１に設けられたベース２の端部域に、支保工など
のクランプ手段３４を先端に備えた複数の伸縮ブ
ーム３，３とこれら伸縮ブーム３，３の間にあつ
て先端に作業用バスケツト４４を備えた伸縮ブー
ム４を配設するだけでなく、前記伸縮ブームより
後方には、２種の吹付け機５，６と、前記両吹付
け機の少なくとも一方に吹付け資料を供給する手
段７と、吹付け資料に混和剤を添加する手段８
と、用液供給手段１０とを搭載したので、いちい
ち各作業に応じた専用の装置をトンネル内に搬出
入する必要なく、単一のコンパクトで安価な装置
により、掘削粉塵の沈静化、モルタルの吹付け、
支保工の建込み、ロツクボルトの建込みの各一連
の作業を容易に行うことができ、ことに一次、二
次の吹付けに際し、湧水が突発的に生じた場合に
も、現場の状況に即するように資料を調製しかつ
吹付け方式を自在に切換えて吹付けることでき、
またロツクボルト建込みのための資料注入も簡便
に行えるなどのすぐれた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る多機能吹付け施工装置の
一実施例を示す側面図、第２図は同じくその平面
図、第３図は第２図における湿式吹付機とミキサ
ーの断面図、第４図は同じく乾式吹付機の断面図
である。 １……走行機構、２……ベース、３，４……伸
縮ブーム、５，６……吹付機、７……吹付資料供
給手段、９……ミキサー、１０……用液供給手
段、３４……クランプ手段、４４……作業用バス
ケツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 走行機構１に設けられたベース２の端部域に、
   支保工などのクランプ手段３４を先端に備えた複
   数の伸縮ブーム３，３とこれら伸縮ブーム３，３
   の間にあつて先端に作業用バスケツト４４を備え
   た伸縮ブーム４を配設するとともに、前記伸縮ブ
   ームより後方には、２種の吹付け機５，６と、前
   記両吹付け機の少なくとも一方に吹付け資料を供
   給する手段７と、吹付け資料に混和剤を添加する
   手段８と、用液供給手段１０とを搭載したことを
   特徴とする多機能吹付け施工装置。