JPH0434070B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、鋼材等の金属を炉内をローラー搬送
により連続的に移送させることにより熱処理する
連続熱処理炉に関するもので、さらに詳しくはそ
の被熱物からの熱回収によつて省エネルギー化を
達成し得る熱回収式連続炉に関するものである。

連続熱処理炉において、熱交換室を設け、熱処
理室から抽出された高温の被熱物と、これから熱
処理しようとする常温の被熱物とをその熱交換室
に収容させて互いの熱を授受させることにより、
先行する被熱物の排熱を後続する被熱物を予熱す
るのに有効利用して省エネルギー化をなさしめる
ようにしたものはすでに知られている。ところが
従来のこの種の省エネルギー型連続炉は、被熱物
を炉内の高温加熱時にＵターンさせるか、或いは
被熱物から得た熱風を運ぶ長いダクトを設ける必
要があつた。即ち加熱帯を通つた高温の被熱物を
Ｕターンさせて熱交換帯に送るようにしなければ
ならないがそのように被熱物を高温時に方向転換
させることは転換搬送機構が複雑となり設備コス
トが高くなるばかりでなく被熱物に振動を与えて
傷を生じさせる虞れがあつたので採用が困難な場
合があつた。一方、特公昭53−44923号公報に示
された窯業用トンネルキルンでは、冷却帯と乾燥
帯とを長いダクトにより連通させフアンの回転に
より冷却帯の熱風を該ダクトを通して乾燥帯に送
給することで該乾燥帯に必要な熱源として冷却帯
の熱風を有効利用できるようにしているが、この
ように長いダクトを設けることは特に炉長が長い
場合に放熱が多くなるので好ましくなく、しかも
冷却帯の熱風を一方的に乾燥帯に送るだけであつ
たので、鋼材等の金属を熱処理しようとする炉に
おいては雰囲気ガスを無駄に消費させる欠点もあ
る。

本発明の熱回収式連続炉は、一端に装入口を有
し他端に抽出口を有した直線状の連続熱処理室
と、該熱処理室の抽出口に連なるように形成され
た熱交換室と、該熱交換室と前記熱交換室の装入
口との間を往復動する保温台車とよりなり、被熱
物を熱交換室に通して該被熱物を前記熱処理室か
ら抽出された高温の被熱物の排熱によつて予熱し
これをさらに前記保温台車に乗せて熱処理室の装
入口へ移送させることにより、予熱した被熱物の
温度低下を防ぎ排熱が効果的に利用できるように
して前記欠点を解消せんとするものである。

以下本発明の一実施例を図面と共に説明する。
連続熱処理室１は炉長が30メートル程の長尺のも
ので、２はその一端の装入口に設けられた装入
扉、３は他端の抽出口に設けられた抽出扉を示
す。該熱処理室１内は床部に搬送ローラ４が設け
られ、天井部にフアン５が設けられ、また熱源と
なるラジアントチユーブ６が床部および天井部に
配設されている。装入扉２の前方および後方には
夫々バージ室７，８が形成され、該パージ室７に
て雰囲気ガスの置換を行い熱処理室１内では被熱
物ｃを無酸化焼純できるようにしている。熱交換
室９は、熱処理室１から抽出された高温の被熱物
ｄが収容される直線状の放熱室９ａとこれから熱
処理しようとする被熱物ａが収容される直線状の
吸熱室９ｂとが隣接して平行に形成され、両室９
ａ，９ｂを相対する側壁の上下部においてダクト
１０，１１により連通させると共に、室９ａの天
井部にシロツコ型の循環フアン１２を設け、該循
環フアン１２を作動させることによつて該室内の
空気またはガスを矢印に示したように両室９ａ，
９ｂ間で循環動できるようにしている。１３は室
９ａの被熱物ｄを矢印の方向に移送する搬送ロー
ラ、１４は室９ｂの被熱物ａを矢印の方向に移送
する搬送ローラである。１５，１６は室９ａの装
入口および抽出口に設けられた扉、１７は抽出テ
ーブル、１８，１９は室９ｂの装入口および抽出
口に設けられた扉、２０は装入テーブルを示す。
２１，２１は吸熱室９ｂの抽出口から連なるよう
に熱処理室１と平行に敷設されたレール、２２は
該レール上を走行し得る保温台車で、該保温台車
は断熱壁によつて囲まれた保温室２３が形成さ
れ、該保温室の前記扉１９と相対する壁面および
その反対側壁面は開口していてそこに耐熱性のカ
ーテン２４ａ，２４ｂが開閉自在に設けられてい
る。即ち、保温室２３の開口上縁にカーテン２４
ａ，２４ｂの一辺を止着すると共に、保温室２３
の屋上にプーリ２５ａ，２５ａ，２５ｂ，２５ｂ
を両端に設けた巻取軸２６ａ，２６ｂを夫々軸支
し、該巻取軸２６ａ，２６ｂは夫々モータ２７
ａ，２７ｂの駆動で回転し得るように連繋し、該
各プーリに巻回したワイヤ２８ａ，２８ａ，２８
ｂ，２８ｂをカーテン２４ａ，２４ｂの下辺両端
部に結止し、該モータ２７ａ，２７ｂを駆動させ
てプーリを所定方向へ回転させワイヤを巻取或い
は巻戻することにより該カーテン２４ａ，２４ｂ
が第４図中仮想線で示したように巻上或いは垂下
し該保温室２３の開口を開閉できるようにしてい
る。なお２９はレール２０，２０と平行に設けら
れた給電用の導線、３０は保温台車２２に設けら
れた給電刷子で、該給電刷子から得られた電源は
前記カーテン２４ａ，２４ｂ開閉用のモータ２７
ａ，２７ｂに供給されるほか、該保温台車２２を
走行させるモータ（図示せず）の電源、および、
保温室２３内にて被熱物ｄを支持する搬送ローラ
３１を回転させるモータ（図示せず）の電源とし
て使用される。３２，３２は前記パージ室７の扉
３３前部と前記レール２１，２１の終端部間に敷
設したレールで、該レール３２，３２上に装入台
車３４が往復動自在に設けられている。即ち装入
台車３４は前記保温台車２２から受けた被熱物を
バージ室７に移動させるもので、保温台車２２と
相対する側面に開口３５が形成されているほかは
断熱壁によつて囲まれ、該開口３５から被熱物が
出入できるようにしている。

このように構成された熱回収式連続炉では、装
入テーブル２０から吸熱室９ｂに装入された被熱
物ａが放熱室９ａの被熱物ｄの排熱を受けて予熱
される。続いて該被熱物ａは扉１９、カーテン２
４ａを開けて保温台車２２の保温室２３中に入れ
られる。そして該保持台車２２はレール２１，２
１上を矢印に示したように走行して装入台車３４
と対向させられ、該被熱物を装入台車３４に移し
替える。該装入台車３４はパージ室７と相対する
ように矢印に示したように移動し扉３３を開けて
その被熱物をパージ室７に装入する。パージ室７
にて雰囲気ガスが置換され熱処理室１に送られ所
定の高温度に加熱。均熱される。さらに該被熱物
はパージ室８を経て室９ａに移送されここで放熱
してから抽出テーブル１７に抽出される。

このように本考案の熱回収式連続炉は、放熱室
と吸熱室とを隣接状に形成し両室を側壁の上下部
にてダクトにより連通し両室の空気またはガスを
該ダクトを通して循環動させるようにしたので、
空気またはガスを無駄に排棄することなく連続熱
処理室から抽出された高温の被熱物の排熱を新た
に熱処理しようとする被熱物を予熱するのに有効
利用できる。そして予熱された被熱物を保温台車
に載せて連続熱処理室の装入口へ移送するように
して、炉内で被熱物を方向転換しないでもよいよ
うになつたので、高温時に狭い炉内で方向転換を
しなければならなかつた従来の炉において発生し
た種々の搬送トラブル或いは複雑な方向転換設備
によるコスト高等の欠点が解消される。しかも本
発明では熱交換室と保温台車を追加的に設けなけ
れば既存の設備に対しても比較的安い設備コスト
で省エネルギー化が達成できるようになるなど有
益な効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示したもので、第１
図は平面図、第２図は第１図の−線断面図、
第３図は第１図の−線断面図、第４図は第２
図の−線断面図である。 １……連続熱処理室、９……熱交換室、９ａ…
…放熱室、９ｂ……吸熱室、１０，１１……ダク
ト、１２……循環フアン、１３，１４……搬送ロ
ーラ、２２……保温台車、２３……保温室、ａ〜
ｄ……被熱物。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一端に装入口を有し他端に抽出口を有し被熱
   物を該装入口から抽出口に移送する搬送ローラが
   床部に設けられた長尺の連続熱処理室と、該連続
   熱処理室と直線状に連なり該連続熱処理室から抽
   出された高温の被熱物が移送されると放熱室とこ
   れから熱処理しようとする被熱物が移送される吸
   熱室とが隣接して平行に形成され該放熱室と吸熱
   室の相対する側壁の上下部を夫々ダクトにより連
   通し両室の空気またはガスを該ダクトを通して循
   環動させる循環フアンを設けてなる熱交換室と、
   断熱壁によつて囲われた保温室が形成され前記吸
   熱室の抽出口と前記連続熱処理室の装入口との間
   を往復動する保温台車とよりなり、被熱物を前記
   吸熱室に通して該被熱物を前記連続熱処理室から
   抽出された高温の被熱物の排熱によつて予熱しこ
   れをさらに前記保温台車に乗せて連続熱処理室の
   装入口へ移送させるようにしたことを特徴とする
   熱回収式連続炉。