JPH04325055A - 油脂代替品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は新規な低カロリー油脂代
替品に関する。

【０００２】

【従来の技術】油脂は揚げ物，焼き物，炒め物等の加熱
調理に使用した場合、加熱媒体として重要な機能を示す
。また、加熱調理に限らず、ドレッシング等の生食にお
いても、油脂は被調理品に油脂独特のこく味とうま味を
付与し、食品の風味の向上に欠く事の出来ない食材であ
る。

【０００３】油脂は無論、これらの調理機能や、風味付
与の機能以外でも栄養素としての働きがあり、カロリー
源や生体膜の構成成分，必須脂肪酸としての生体機能調
節など生命の維持に必須であることは言うまでもないこ
とである。

【０００４】しかし、近年では油脂の栄養的観点からは
、カロリー源としてその過剰摂取が問題として取り上げ
られることが多くなった。カロリーの過剰摂取による肥
満は成人病の危険因子であり、特に油調理品が若い世代
に好まれる傾向があるため、この世代での肥満の問題も
最近では問題になっている。

【０００５】油脂類は、蛋白質や糖類の１グラム当たり
４ｋｃａｌに対して９ｋｃａｌと高い熱量を有している
。従って、油脂類の摂取量を調節することはカロリーコ
ントロールに有効な手段であると言える。しかし、前述
の如く油脂類は栄養素として以外にも調理において重要
な機能を有しているため、単に油脂類の摂取制限を行う
と、食生活の形態そのものまで大きく影響を及ぼしかね
ない。

【０００６】これらのことから、近年では油脂類の調理
機能と風味を有し、カロリー価の低いいわゆる油脂代替
品の開発が盛んに行われるようになってきた。

【０００７】油脂代替品の開発の流れは大きく分けて２
種類に大別される。その１つは、天然物由来の澱粉，デ
キストリン，蛋白質あるいはそれらの加工品を、油脂の
一部または全部と置換する方法で、これらの油脂代替品
は主にマーガリン，ドレッシング，マヨネーズといった
生食用の油脂食品分野に用いられており、一部の油脂代
替品は既に実際の食品へ利用されているものもある。し
かし、これらの油脂代替品は、加熱時には変性や凝固の
問題があり、用途は上記の如きものに限定されている。

【０００８】もう一つの流れは、油脂に類似した物性の
化学合成品を用いる場合で、米国特許第３６００１８６
号には蔗糖の脂肪酸ポリエステルが、特開平１−２６１
３５２号公報には蔗糖などの複合ポリオールエステルが
、また特開昭６４−８５０４０号公報にはベヘン酸を含
むトリグリセリドなどが開示されている。

【０００９】これらの油脂代替品において、それらのカ
ロリーが低い理由としては、当該物質の構造あるいは結
合様式が、生体内においてリパーゼによる加水分解を受
けにくいものであるため代謝が行われにくいことと、加
水分解が起きても融点が高いため、体内への取り込みが
行われにくいことをあげている。

【００１０】しかし、前者の機構によって低カロリーと
する場合は、体内で全く消化されないため、そのままの
形で排泄され、肛門漏出を引き起こすとされている。ま
た、後者では融点が高いため、液状油の物性を維持出来
ないという問題がある。前者の肛門漏出を防止する目的
で、やはり融点の高い脂肪酸等を結合させる方法（特開
昭６３−２２２６７１号公報）や、高融点物質を混合す
る方法（特開昭６４−３４２４５号公報）なども試みら
れているが、これらも物性面での問題が未解決であるこ
とは変わりない。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】先にも述べたように、
油脂に望まれる機能はカロリー源，風味，食感，調理機
能，安定性等多数あるが、今まで開発されてきた油脂代
替品は用途が限定されていたり、油脂としての物性や風
味といった食品として重要な部分が欠落していたり、さ
らには肛門漏出といった問題までが見られるものまであ
った。

【００１２】食品としての油脂の代替品である以上、そ
の物性，用途および機能，食感や風味、そして食用に供
して問題がないものであることが要求されるのは言うま
でもないことである。

【００１３】本発明の目的は、低カロリーでありながら
、油脂に要求される風味や食感および加熱媒体としての
機能を具備し、かつ肛門漏出の問題がない油脂代替品を
提供することにある。

【００１４】

【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
重ねた結果、ある種の分枝脂肪酸から構成されるトリグ
リセリドは、通常のトリグリセリドにくらべ、体内で加
水分解が起きても分解により生成したその分枝脂肪酸は
体内に吸収されにくいため低カロリー性を示し、なおか
つ、この物質は食用油脂としての望ましい機能を有し、
さらに肛門漏出の問題も起きないことを見出した。

【００１５】本発明はこのような知見に基づいて完成さ
れたもので、主鎖の炭素数が１２〜２２であって、少な
くとも５位，９位，１３位にアルキル基が導入された分
枝脂肪酸を構成脂肪酸とするトリグリセリドの１種また
は２種以上を含有してなる油脂代替品である。

【００１６】上記のトリグリセリドを例示すれば、炭素
数１４の直鎖脂肪酸であるミリスチン酸のカルボキシル
基末端の炭素から数えて５，９，１３位の位置にメチル
基が導入された５，９，１３−トリメチル−ミリスチン
酸がグリセリンと結合してなるトリグリセリドである。

【００１７】本発明のトリグリセリドを構成する脂肪酸
は融点が低く、従って、このトリグリセリドも物性的に
通常の液状油脂となんら変わらず、風味，調理機能も良
好なものである。またこのトリグリセリドを摂取した場
合、リパーゼにより加水分解が起きても、腸管からの吸
収性が低いためエネルギーとして利用されず、低カロリ
ー性を有しており、また肛門漏出の現象も見られない。

【００１８】本発明において、前記の分枝脂肪酸あるい
はそのトリグリセリドの製造法は特に限定されず、公知
の化学合成あるいは酵素反応を用いることができる。

【００１９】

【実施例】

実施例１ ファルネソール（ｆａｒｎｅｓｏｌ．（ＣＨ３　）　２
　Ｃ＝ＣＨＣＨ２　ＣＨ２　Ｃ（ＣＨ３　）＝ＣＨＣＨ
２　ＣＨ２　Ｃ（ＣＨ３　）＝ＣＨＣＨ２　ＯＨ）をニ
ッケル触媒を用いて水添し、水添ファルネソールを得た
。この水添ファルネソールに赤リン，ヨウ素を加え加熱
攪拌し、ヨウ化物とした。さらにマロン酸ジエチル，ナ
トリウムエチラートを加え還流加熱し、ジカルボン酸を
抽出し、さらに加熱を続け、５，９，１３−トリメチル
−ミリスチン酸を得た。このものにグリセロールとｐ−
トルエンスルホン酸を加え加熱し、トリグリセリド化し
、フロリジルカラムで精製し、５，９，１３−トリメチ
ル−ミリスチン酸トリグリセリドを得た。

【００２０】実施例２および比較例１ ４週齢ＳＤ系ラットを使用し、市販固形飼料で予備飼育
した後、表１の組成の実験食を２週間制限食法で投与し
た。実験食で１０日間飼育後、２日間の糞を採取し、凍
結乾燥後、Ｆｏｌｃｈ　の方法で糞中の脂質を抽出し、
総脂質量を測定した。消化吸収率を下記の数式１から求
めた結果を表２に示す。

【００２１】

【数１】

【００２２】

【表１】

【００２３】

【表２】

【００２４】また糞中の脂質含量とその組成について分
析した結果を表３に示した。

【００２５】

【表３】

【００２６】表２に示すように、５，９，１３−トリメ
チル−ミリスチン酸トリグリセリドを投与した群（実施
例２）の吸収率はサフラワー油飼育群（比較例１）の９
９％に対し、６９％と低かった。また、表３に示すよう
に糞中の脂質組成では、５，９，１３−トリメチル−ミ
リスチン酸トリグリセリド投与群では遊離脂肪酸含量が
有意に高く、これはトリグリセリドの加水分解は起こっ
たものの、吸収が起きなかったことを示している。また
、５，９，１３−トリメチル−ミリスチン酸トリグリセ
リドを投与した群のラットに肛門漏出は観察されなかっ
た。

【００２７】

【発明の効果】本発明の油脂代替品は通常のトリグリセ
リドと異なり、体内で加水分解が起きても分解により生
成した脂肪酸が体内に吸収されにくいため、低カロリー
性を示し、しかもこの油脂代替品は、油脂に要求される
風味，食感および加熱媒体としての機能を具備し、かつ
肛門漏出が起きないという利点がある。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　主鎖の炭素数が１２〜２２であって、
   少なくとも５，９，１３位にアルキル基が導入された分
   枝脂肪酸を構成脂肪酸とするトリグリセリドの１種また
   は２種以上を含有してなる油脂代替品。
2. 【請求項２】　　５，９，１３−トリメチル−ミリスチ
   ン酸を構成脂肪酸とするトリグリセリドの１種または２
   種以上を含有してなる油脂代替品。