JPH0431740Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 イ 産業上の利用分野 本考案は、ラツピング配線用のリード線を巻き
つけるためにプリント基板のスルーホールに立設
される、いわゆるラツピングポスト等、基板のス
ルーホールに圧入固定される端子ピンに関するも
のである。

ロ 従来の技術 この種のラツピングポストは第４図に示すよう
に、導電材料よりなる一定長のピン棒１の中間部
に幅広のスルーホール圧入部２を設け、この圧入
部２をプリント基板３のスルーホール４に圧入し
て固定するものであるが、この圧入部２の断面形
状が単純な長方形の場合には、スルーホール４の
寸法のバラツキのために、圧入部２が緩くて抜け
易かつたり、あるいは堅くて圧入できなかつたり
するという問題点があつた。その対策として第５
図ａに示すように、圧入部２の中央にピンの長さ
方向に割り込み５を入れて、左右の部材２ａ，２
ｂが、第５図ｂに示すように互いに段差を形成す
るように塑性変形させたものが従来試みられてい
る。この方法によれば、圧入部２が弾性変形して
スルーホール４の寸法誤差を吸収できるが、圧入
時スルーホールに対して２点接触となり、剛性が
小さいため圧入時変形し易く、またこのような断
面形状の加工が可能なためには、ピンが或る程度
太いことが必要で、プリント回路の高密度化によ
るスルーホール径の小径化に充分対応できなかつ
た。この他に圧入部の断面形として、第６図に示
すように断面が全体としてＨ形で、フランジ間の
ウエブ２ｃがＶ形となつたものが提供されている
が、これはプレス加工が複雑でプレスのパンチが
欠損し易いという問題点があつた。さらに第７図
に示すように断面形がＣ形のものがあるが、凹部
２ｄが底拡がりのためプレス加工がむつかしく、
圧入後端子にトルクが働くとスルーホールに対し
て回転してしまうという問題点があつた。

ハ 考案が解決しようとする問題点 本考案は、スルーホールへの圧入部が弾性変形
することによりスルーホールの寸法のバラツキを
吸収できるようにしたラツピングポスト等の端子
ピンにおいて、プレス加工が容易で、剛性が大な
るため圧入時に変形しにくく、スルーホールへの
接触信頼性が良く、したがつて耐トルク特性も向
上し、製作容易なために小径のスルーホールにも
向くように製作しうる端子ピンを提供することを
目的とする。

ニ 問題点を解決するための手段 本考案端子ピンは、第１図、第２図に示すよう
に導電材料よりなるピン棒１の中間部に、底が平
らなＶ字形で両側部の肉厚が略一様な形の断面を
有し、底部６外面に凹条７があつて凹条両側がレ
ール条凸条８となつた圧入部２が形成されてお
り、スルーホール４への同圧入部の圧入に際して
Ｖ字形断面を構成しているアーム部９の端部の外
面１０とレール条凸条８が同ホール内面に圧接し
うるように構成されている。

ホ 作用 本考案による端子ピンは、圧入部２のスルーホ
ール４への圧入時には、アーム部９が互に近づく
方向に弾性変形することによりスルーホールの径
のバラツキを吸収でき、圧入完了後は、第３図に
示すようにアーム部９の端部外面１０と、レール
状凸条８の計４個所がホール内面に圧接するの
で、回転トルクに対する係止力が大となり、容易
にピンが回転しない。そしてレール状凸条８、ア
ーム部９等があつて曲げねじれ剛性が向上するた
め圧入作業においてピンが圧入部２で曲ることが
ない。また断面がＶ字形でかつ単純であるからプ
レス加工による製作が容易である。

ヘ 実施例 本考案の一実施例を第１図乃至第２図によつて
詳述する。１は燐青銅のような導電ばね材料より
なる断面角形のピン棒で、このピン棒１の中間部
に幅広のスルーホール圧入部２が形成されてい
る。圧入部２は、全体とし舟形を呈しており、中
央横断面形が低の平らなＶ字形で、底部６の外面
に圧入部２の長手方向に沿つて凹条７が形成され
ており、同凹条７の両側にはレール状突条８が盛
上つている。９は底部６の両側より逆ハの字形に
延出したＶ字形断面を構成するアーム部で全面に
わたつて、同肉厚になつている。このアーム部９
の端部外面１０と、前記レール状凸条８は、圧入
部２のスルーホール４への圧入時、必ずホール内
面に圧接するようになつている。１１はアーム部
９，９間の幅広の凹溝である。

ト 効果 本考案は以上のごときものであつて、圧入部の
断面形が略々Ｖ字形であるから、圧入時に容易に
弾性変形してスルーホールの寸法誤差を吸収で
き、底部外側の凹条、アーム部間の凹溝が開口部
で広く内奥で狭い形となしうるために成形加工が
容易であり、したがつて小スルーホールに対応す
る小径のものも量産することができ、また圧入に
際してはレール条凸条等があるために剛性が大で
不容易な曲げや捩れにも変形し難く、そしてアー
ム部は肉厚が一定であるために変形による応力が
均一に分散して応力集中によるアーム部の破損が
生ずることなく、さらにホール内においてはアー
ム部端部の外面とレール条凸条の４個所がホール
内面に圧接するのでピンのぐらつきを生ぜず、電
気的接触性が向上すると共に、端子ピンに巻着け
たリード線等から働くトルクに対しても容易に回
転しない等の利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の平面図、第２図は
要部の拡大Ａ−Ａ断面図、第３図はスルーホール
へ要部を圧入した状態での横断面図、第４図は従
来例の使用状態での斜視図、第５図ａ，ｂはそれ
ぞれ別の従来例の要部の斜視図と同要部の拡大断
面図、第６図は他の従来例の要部の断面図、第７
図はさらに他の従来例の要部の断面図である。 図中、１……ピン棒、２……圧入部、４……ス
ルーホール、７……凹条、８……レール状凸条、
９……アーム部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 導電材料よりなるピン棒の中間部に、底部外面
   に凹条があつて凹条両側がレール状凸条となり、
   底部両側より逆八の字形に肉厚一定のアーム部が
   延出した平底Ｖ字形断面の圧入部が形成されてお
   り、上記底部中央が上記アーム部よりも肉厚であ
   つて、スルーホールへの同圧入部の圧入にさいし
   てアーム部端部の外面とレール状凸条が同ホール
   内に圧接しうるようになつている端子ピン。