JPH04315507A - セラミック切削工具及びその製造方法 - Google Patents
セラミック切削工具及びその製造方法Info
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- JPH04315507A JPH04315507A JP3108365A JP10836591A JPH04315507A JP H04315507 A JPH04315507 A JP H04315507A JP 3108365 A JP3108365 A JP 3108365A JP 10836591 A JP10836591 A JP 10836591A JP H04315507 A JPH04315507 A JP H04315507A
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- zro2
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Landscapes
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Abstract
(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。
め要約のデータは記録されません。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐欠損性、耐摩耗性に優
れたセラミック切削工具及びその製造方法に関し、特に
、ねずみ鋳鉄やダクタイル鋳鉄等の鉄系の材料を良好に
切削することができるSiCウィスカー強化型のアルミ
ナ系切削工具及びその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】旋盤等
に用いるバイト先端部に取り付けられるチップを始めと
する各種切削工具として、一般に、ハイスと呼ばれる高
速度工具鋼やWC−Co系等の超硬合金からなるものが
使用されているが、最近では、Al2 O3 や、Al
2 O3 −TiC、Si3 N4 等のセラミックス
製の切削工具が開発され、一部使用されている。このよ
うなセラミック切削工具は、耐酸化性に富み、耐熱性も
良好で、高温で高強度であることから、特に高速切削用
の工具としての使用が目指されている。 【0003】しかしながら、Al2 O3 やAl2
O3 −TiC等のアルミナ系セラミックスの場合、耐
欠損性に劣る(靱性が小さい)欠点がある。また、Si
3 N4 系のセラミックスは鉄との反応性が高いため
、この種のセラミックスからなる切削工具は、鉄系の部
材を被削材とする場合には耐摩耗性が低下する欠点を有
する。このように、従来のセラミック切削工具の使用領
域は極めて限定されたものであり、改良の余地がある。 【0004】そこで、Al2 O3 系セラミックスか
らなる切削工具においては、その耐欠損性を改善するた
めに、Al2 O3 にZrO2 及び/又はSiCウ
ィスカーを添加して複合セラミックスとし、もって切削
工具の高靱化、高強度化を図る試みがなされており、一
部実用化されている。 【0005】たとえば米国特許第4218253号には
、Al2 O3 にZrO2 を添加し、高靱化、高強
度化を図ったセラミックスが開示されている。また、特
開昭61−174165号及び米国特許第496175
7号には、SiCウィスカー強化型Al2 O3 製の
切削工具が開示されている。さらに、特開平2−139
102号には、Al2 O3 −SiCウィスカー−Z
rO2からなるセラミック切削工具が開示されている。 このセラミック切削工具は、SiCウィスカーが27〜
35容量%、ZrO2 が3〜12容量%、残部実質的
にAl2 O3 からなるセラミックスから形成されて
いる。特に、SiCウィスカー等のウィスカーを導入し
た複合セラミックスの場合、超合金等の切削が難しい被
削材に適用することが目指されている。 【0006】しかしながら、本発明者らの研究によれば
、上述した各アルミナ系セラミック切削工具では、Ni
基超合金等の超合金を被削材とした場合には良好な切削
をすることができるが、ねずみ鋳鉄やダクタイル鋳鉄等
の鉄系の被削材には十分ではない。具体的には、上述し
たような従来のSiCウィスカー強化型アルミナ系切削
工具は、ねずみ鋳鉄やダクタイル鋳鉄等の鉄系材料を被
削材とした場合、耐欠損性については十分なレベルに達
してはいるが、耐摩耗性に劣る。これは、鉄系の被削材
とSiCウィスカーとが反応しやすいためであると思わ
れる。 【0007】したがって、本発明の目的は、ねずみ鋳鉄
やダクタイル鋳鉄等の鉄系の被削材にも十分に対応する
ことができる耐摩耗性の良好なSiCウィスカー強化型
アルミナ系切削工具、及びその製造方法を提供すること
である。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者等は、SiCウィスカーとZrO2
の量を適切に規定すれば、耐欠損性及び強度の低下をき
たすことなく耐摩耗性を向上することができ、もって靱
性、強度、硬度にバランスがよい切削工具とすることが
できることを発見した。また、そのような切削工具の製
造においては、SiCウィスカーとZrO2 とAl2
O3 を特定量配合した原料粉に対して、加圧条件、
温度条件を特定の範囲に制御して加圧焼結すれば、セラ
ミックスを緻密化することができ、もって靱性、強度、
硬度にバランスがよい切削工具とすることができること
を発見した。本発明は以上の発見に基づくものである。 【0009】すなわち、Al2 O3 、SiCウィス
カー及びZrO2 からなる本発明のセラミック切削工
具は、SiCウィスカーが7〜27容量%で、ZrO2
が1〜3容量%で、残部実質的にAl2 O3 から
なることを特徴とする。 【0010】また、本発明のセラミック切削工具の製造
方法は、セラミック切削工具中のSiCウィスカーの量
が7〜27容量%で、ZrO2 の量が1〜3容量%で
、残部実質的にAl2 O3 となるように、Al2
O3 粉末と、SiCウィスカーと、ZrO2 粉末と
を混合して原料粉末とし、前記原料粉末に対し、150
0〜1650℃で、150〜500kg/cm2 の圧
力で、30分〜5時間の加圧焼結を行なうことを特徴と
する。 【0011】以下本発明を詳細に説明する。 【0012】本発明の切削工具は、SiCウィスカーが
7〜27容量%で、ZrO2 が1〜3容量%で、残部
実質的にAl2 O3 からなる複合セラミックスから
形成される。 SiCウィスカーの量が7容量%未満では強度が十分と
はならず、ダクタイル鋳鉄等の鉄系材料の切削には適さ
ない。また、27容量%を超す量のSiCウィスカーを
配合すると、相対的にAl2 O3 の量が不足し、耐
摩耗性が低下する。また、SiCウィスカーと鉄系被削
材との反応が起こる可能性がある。 【0013】用いるSiCウィスカーとしては、平均直
径が0.2〜1.0μmで、平均長さが100μm以下
のものがよい。好ましくは、平均直径が0.3〜0.8
μmで、平均長さが30μm程度のものを用いる。 【0014】ZrO2 をAl2 O3 に添加すると
一般に靱性や強度が向上するが、一方、硬度を低下させ
る。本発明においては、ZrO2 の添加は靱性や強度
の向上に主眼があるのではなく、焼結性の改善(具体的
にはAl2 O3 系セラミックスの焼結温度を引き下
げること)によりAl2 O3 マトリックスの微細化
を達成することにある。ZrO2 が1容量%未満では
この効果を得ることができず、一方、3容量%を超す量
のZrO2 を加えると焼結体の硬度が低下してしまう
ので、ZrO2 の添加量を1〜3容量%とする。Zr
O2 を1〜3容量%となるように配合することにより
、ZrO2 がない場合の焼結温度より100℃程度低
い温度で焼結を行うことができ、マトリックス相のAl
2 O3 の粒成長を起こすことなく、微細なセラミッ
ク組織とすることが可能となる。 【0015】マトリックスの基本となるAl2 O3
は、微細な組織であることが好ましい。具体的には、平
均粒径が2μm以下であるのが好ましい。平均粒径が2
μmを超す焼結体であると、耐摩耗性の低下が著しい。 なお、マトリックスとなるAl2 O3 の平均粒径を
2μm以下に抑えるのは、上述した量のZrO2 をA
l2 O3 中に添加し、後述する製造方法により焼結
すればよい。 【0016】次に、Al2 O3 −SiCウィスカー
−ZrO2 複合セラミックスの製造方法について説明
する。 【0017】まず、原料となるAl2 O3 粉、Zr
O2 粉、及びSiCウィスカーを所定量取り、これを
混合する。Al2 O3 粉としては平均粒径が0.3
〜1μm程度のものを用いるのがよい。この混合はボー
ルミル等により十分に(たとえば48時間以上)行うの
がよい。 【0018】また、この混合粉に、MgO、Y2 O3
、NiO等の酸化物を焼結助剤として添加してもよい
。 【0019】なお、原料となるZrO2 として、Y2
O3 、CaO、HfO2 等で部分的に安定化した
ものを用いてもよい。 【0020】次に、得られた混合粉を乾燥後、所望の形
状の型に入れ、150〜500kg/cm2 の圧力を
加えながら、1500〜1650℃で、30分〜5時間
の加圧焼結を行う。 【0021】圧力が150kg/cm2 未満の焼結で
は、切削工具として実用に耐えるほどには緻密化しない
。また、圧力を500kg/cm2 を超えても効果に
差がでないので上限を500kg/cm2 とする。 【0022】一方、焼結温度については、1500℃未
満とするとセラミックスの緻密化が達成できない。また
、1650℃を超す温度で焼結すると、Al2 O3
が粒成長してしまい、微細な結晶構造を達成することが
できず、その結果、耐摩耗性が低下する。このように、
本発明の方法では、焼結を比較的低い温度で行うことが
重要であり、これによってセラミックス中のAl2 O
3 の平均粒径を好ましくは2μm以下に抑える。 【0023】また、焼結時間を30分未満とすると、セ
ラミックスの緻密化が達成できない。一方、5時間を超
す焼結時間とすると、Al2 O3が粒成長してしまい
、耐摩耗性が低下する。 【0024】次いで、得られた焼結体を公知の方法によ
り研削加工して、目的の切削工具を作製する。 【0025】 【実施例】以下の具体的実施例により、本発明をさらに
詳細に説明する。 【0026】実施例1 α−Al2 O3 (平均粒径が1μm以下)が83容
量%、Y2 O3 を2モル%含有する部分安定化Zr
O2が2容量%、SiCウィスカー(平均直径0.7μ
m、平均長さ30μm)が15容量%となるように配合
した混合粉を、ボールミルで96時間湿式混合し、これ
を乾燥させた。 【0027】得られた混合粉を用い、アルゴンガス気流
中、450kg/cm2 の圧力をかけながら1600
℃で1時間加圧焼結し、90φ×6mmの焼結体を得た
。 【0028】得られた焼結体から、型番SNGN120
408の形状の切削チップを切出し、研削加工した。 【0029】上記で得た切削チップを用い、以下に示す
切削条件(切削条件1)で切削試験を行った。 【0030】切削条件1 被削材 :FCD70 切削速度 :200m/分 送り :0.3mm/回転 切り込み :1.5mm 切削剤 :使用せず 【0031】5分間の切削後の逃げ面摩耗幅を測定した
ところ、0.13mmであった。 【0032】さらにこの切削チップについて、下記の切
削条件2で切削試験を行い、逃げ面摩耗幅を測定した。 逃げ面摩耗幅は0.13mmであった。 【0033】切削条件2 被削材 :FC30 切削速度 :350m/分 送り :0.3mm/回転 切り込み :2mm チップ型番:SNGN120408 カッター :DNF4160R(一枚刃にて試験を行
った) 切削剤 :使用せず 切削時間 :30分 【0034】比較例1、2 比較のために、市販のAl2 O3 −SiCウィスカ
ーセラミック切削工具(グリーンリーフ社のWG300
:比較例1)及び市販のAl2 O3 −SiCウィス
カー−ZrO2 セラミック切削工具(住友電工(株)
製WX120:比較例2)について実施例1と同様の方
法で切削試験を行った。比較例1及び比較例2の切削チ
ップの逃げ面摩耗幅はそれぞれ0.33mm及び0.2
8mmであった。 【0035】実施例2、3及び比較例3〜6Al2 O
3 、SiCウィスカー、及びZrO2 の配合量を表
1に示すようにした以外は、実施例1と同様にしてAl
2 O3 −SiCウィスカー−ZrO2 複合セラミ
ックスからなる切削チップを作製した。 【0036】得られた切削チップについて、実施例1に
おける切削条件2で切削試験を行い、逃げ面摩耗幅を測
定した。結果を表1に合わせて示す。なお、上記した実
施例1の切削条件2による切削試験の結果も表1に合わ
せて示す。 【0037】切削条件2 被削材 :FC30 切削速度 :350m/分 送り :0.3mm/回転 切り込み :1.5mm 切削剤 :使用せず 【0038】
表1
SiC
逃げ面
Al2 O3 ウィスカ
ー ZrO2 摩耗幅
例No. (容量%) (容量%
) (容量%) (mm) 実
施例1 83 15
2 0.
13 実施例2 78
20 2
0.17 実施例3 73
25 2
0.20 比較例3 9
3 5
2 4分で欠損比較例4
68 30
2 0.32 比
較例5 75 25
0 0.
36 比較例6 70
25 5
0.30 【0039】実施例4、5及び比較
例7〜12表2に示す条件の加圧焼結とした以外は、実
施例1と同様にして(実施例1と同一の組成で)切削チ
ップを作製した。 【0040】得られた切削チップについて、実施例1に
おける切削条件1と同一の条件で切削試験を行い、逃げ
面摩耗幅を測定した。結果を表2に合わせて示す。 【0041】
表2 加圧
焼結 加圧焼結 加圧焼結
逃げ面
温度 圧力
時間 摩耗幅 例No.
(℃) (kg/cm
2 ) (時) (mm) 実
施例4 1620 45
0 1 0.15実
施例5 1550 45
0 1 0.12比
較例7 1400 45
0 1 2分で欠損
比較例8 1800 4
50 1 0.45
比較例9 1600 4
50 0.25 0.39比較例
10 1600 450
7 0.42比較例1
1 1600 100
1 3分で欠損比較例1
2 1600 600
1 0.19【0042
】実施例6〜10、比較例13〜16実施例1〜5で得
た切削チップ(その順に実施例6〜10)、及び比較例
4、5、8及び10で得た切削チップ(その順に比較例
13〜16)について、以下の条件(切削条件3)でさ
らに切削試験を行った。結果を表3に示す。また、各切
削チップについて、走査電子顕微鏡によりAl2 O3
マトリックスの組織を観察し、平均粒径を測定した。 その結果を表3に合わせて示す。 【0043】切削条件3 被削材 :FC25 切削速度 :300m/分 送り :0.4mm/回転 切り込み :1.5mm チップ型番:SNGN120408 ホルダー :FN11R−44A 切削剤 :使用せず 切削時間 :10分 【0044】
表3
逃げ面摩耗幅 Al2 O3
例No. (mm
) 平均粒径(μm)
実施例6 0.11
1.2
実施例7 0.13
0.9 実施
例8 0.18 1
.5 実施例9
0.15 1.5
実施例10
0.13 0.8
比較例13 0.2
9 2.1
比較例14 0.41
4.2
比較例15 0.39
3.5 比較例16
0.28 2.3【004
5】 【発明の効果】以上説明した通り、本発明による切削工
具は耐欠損性及び耐摩耗性ともに優れている。本発明に
よる切削工具は、超合金のみならず、ねずみ鋳鉄やダク
タイル鋳鉄等の鉄系材料をも良好に切削することができ
る。 【0046】本発明による切削工具は、各種切削用チッ
プ、ドリル等に好適である。
れたセラミック切削工具及びその製造方法に関し、特に
、ねずみ鋳鉄やダクタイル鋳鉄等の鉄系の材料を良好に
切削することができるSiCウィスカー強化型のアルミ
ナ系切削工具及びその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】旋盤等
に用いるバイト先端部に取り付けられるチップを始めと
する各種切削工具として、一般に、ハイスと呼ばれる高
速度工具鋼やWC−Co系等の超硬合金からなるものが
使用されているが、最近では、Al2 O3 や、Al
2 O3 −TiC、Si3 N4 等のセラミックス
製の切削工具が開発され、一部使用されている。このよ
うなセラミック切削工具は、耐酸化性に富み、耐熱性も
良好で、高温で高強度であることから、特に高速切削用
の工具としての使用が目指されている。 【0003】しかしながら、Al2 O3 やAl2
O3 −TiC等のアルミナ系セラミックスの場合、耐
欠損性に劣る(靱性が小さい)欠点がある。また、Si
3 N4 系のセラミックスは鉄との反応性が高いため
、この種のセラミックスからなる切削工具は、鉄系の部
材を被削材とする場合には耐摩耗性が低下する欠点を有
する。このように、従来のセラミック切削工具の使用領
域は極めて限定されたものであり、改良の余地がある。 【0004】そこで、Al2 O3 系セラミックスか
らなる切削工具においては、その耐欠損性を改善するた
めに、Al2 O3 にZrO2 及び/又はSiCウ
ィスカーを添加して複合セラミックスとし、もって切削
工具の高靱化、高強度化を図る試みがなされており、一
部実用化されている。 【0005】たとえば米国特許第4218253号には
、Al2 O3 にZrO2 を添加し、高靱化、高強
度化を図ったセラミックスが開示されている。また、特
開昭61−174165号及び米国特許第496175
7号には、SiCウィスカー強化型Al2 O3 製の
切削工具が開示されている。さらに、特開平2−139
102号には、Al2 O3 −SiCウィスカー−Z
rO2からなるセラミック切削工具が開示されている。 このセラミック切削工具は、SiCウィスカーが27〜
35容量%、ZrO2 が3〜12容量%、残部実質的
にAl2 O3 からなるセラミックスから形成されて
いる。特に、SiCウィスカー等のウィスカーを導入し
た複合セラミックスの場合、超合金等の切削が難しい被
削材に適用することが目指されている。 【0006】しかしながら、本発明者らの研究によれば
、上述した各アルミナ系セラミック切削工具では、Ni
基超合金等の超合金を被削材とした場合には良好な切削
をすることができるが、ねずみ鋳鉄やダクタイル鋳鉄等
の鉄系の被削材には十分ではない。具体的には、上述し
たような従来のSiCウィスカー強化型アルミナ系切削
工具は、ねずみ鋳鉄やダクタイル鋳鉄等の鉄系材料を被
削材とした場合、耐欠損性については十分なレベルに達
してはいるが、耐摩耗性に劣る。これは、鉄系の被削材
とSiCウィスカーとが反応しやすいためであると思わ
れる。 【0007】したがって、本発明の目的は、ねずみ鋳鉄
やダクタイル鋳鉄等の鉄系の被削材にも十分に対応する
ことができる耐摩耗性の良好なSiCウィスカー強化型
アルミナ系切削工具、及びその製造方法を提供すること
である。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者等は、SiCウィスカーとZrO2
の量を適切に規定すれば、耐欠損性及び強度の低下をき
たすことなく耐摩耗性を向上することができ、もって靱
性、強度、硬度にバランスがよい切削工具とすることが
できることを発見した。また、そのような切削工具の製
造においては、SiCウィスカーとZrO2 とAl2
O3 を特定量配合した原料粉に対して、加圧条件、
温度条件を特定の範囲に制御して加圧焼結すれば、セラ
ミックスを緻密化することができ、もって靱性、強度、
硬度にバランスがよい切削工具とすることができること
を発見した。本発明は以上の発見に基づくものである。 【0009】すなわち、Al2 O3 、SiCウィス
カー及びZrO2 からなる本発明のセラミック切削工
具は、SiCウィスカーが7〜27容量%で、ZrO2
が1〜3容量%で、残部実質的にAl2 O3 から
なることを特徴とする。 【0010】また、本発明のセラミック切削工具の製造
方法は、セラミック切削工具中のSiCウィスカーの量
が7〜27容量%で、ZrO2 の量が1〜3容量%で
、残部実質的にAl2 O3 となるように、Al2
O3 粉末と、SiCウィスカーと、ZrO2 粉末と
を混合して原料粉末とし、前記原料粉末に対し、150
0〜1650℃で、150〜500kg/cm2 の圧
力で、30分〜5時間の加圧焼結を行なうことを特徴と
する。 【0011】以下本発明を詳細に説明する。 【0012】本発明の切削工具は、SiCウィスカーが
7〜27容量%で、ZrO2 が1〜3容量%で、残部
実質的にAl2 O3 からなる複合セラミックスから
形成される。 SiCウィスカーの量が7容量%未満では強度が十分と
はならず、ダクタイル鋳鉄等の鉄系材料の切削には適さ
ない。また、27容量%を超す量のSiCウィスカーを
配合すると、相対的にAl2 O3 の量が不足し、耐
摩耗性が低下する。また、SiCウィスカーと鉄系被削
材との反応が起こる可能性がある。 【0013】用いるSiCウィスカーとしては、平均直
径が0.2〜1.0μmで、平均長さが100μm以下
のものがよい。好ましくは、平均直径が0.3〜0.8
μmで、平均長さが30μm程度のものを用いる。 【0014】ZrO2 をAl2 O3 に添加すると
一般に靱性や強度が向上するが、一方、硬度を低下させ
る。本発明においては、ZrO2 の添加は靱性や強度
の向上に主眼があるのではなく、焼結性の改善(具体的
にはAl2 O3 系セラミックスの焼結温度を引き下
げること)によりAl2 O3 マトリックスの微細化
を達成することにある。ZrO2 が1容量%未満では
この効果を得ることができず、一方、3容量%を超す量
のZrO2 を加えると焼結体の硬度が低下してしまう
ので、ZrO2 の添加量を1〜3容量%とする。Zr
O2 を1〜3容量%となるように配合することにより
、ZrO2 がない場合の焼結温度より100℃程度低
い温度で焼結を行うことができ、マトリックス相のAl
2 O3 の粒成長を起こすことなく、微細なセラミッ
ク組織とすることが可能となる。 【0015】マトリックスの基本となるAl2 O3
は、微細な組織であることが好ましい。具体的には、平
均粒径が2μm以下であるのが好ましい。平均粒径が2
μmを超す焼結体であると、耐摩耗性の低下が著しい。 なお、マトリックスとなるAl2 O3 の平均粒径を
2μm以下に抑えるのは、上述した量のZrO2 をA
l2 O3 中に添加し、後述する製造方法により焼結
すればよい。 【0016】次に、Al2 O3 −SiCウィスカー
−ZrO2 複合セラミックスの製造方法について説明
する。 【0017】まず、原料となるAl2 O3 粉、Zr
O2 粉、及びSiCウィスカーを所定量取り、これを
混合する。Al2 O3 粉としては平均粒径が0.3
〜1μm程度のものを用いるのがよい。この混合はボー
ルミル等により十分に(たとえば48時間以上)行うの
がよい。 【0018】また、この混合粉に、MgO、Y2 O3
、NiO等の酸化物を焼結助剤として添加してもよい
。 【0019】なお、原料となるZrO2 として、Y2
O3 、CaO、HfO2 等で部分的に安定化した
ものを用いてもよい。 【0020】次に、得られた混合粉を乾燥後、所望の形
状の型に入れ、150〜500kg/cm2 の圧力を
加えながら、1500〜1650℃で、30分〜5時間
の加圧焼結を行う。 【0021】圧力が150kg/cm2 未満の焼結で
は、切削工具として実用に耐えるほどには緻密化しない
。また、圧力を500kg/cm2 を超えても効果に
差がでないので上限を500kg/cm2 とする。 【0022】一方、焼結温度については、1500℃未
満とするとセラミックスの緻密化が達成できない。また
、1650℃を超す温度で焼結すると、Al2 O3
が粒成長してしまい、微細な結晶構造を達成することが
できず、その結果、耐摩耗性が低下する。このように、
本発明の方法では、焼結を比較的低い温度で行うことが
重要であり、これによってセラミックス中のAl2 O
3 の平均粒径を好ましくは2μm以下に抑える。 【0023】また、焼結時間を30分未満とすると、セ
ラミックスの緻密化が達成できない。一方、5時間を超
す焼結時間とすると、Al2 O3が粒成長してしまい
、耐摩耗性が低下する。 【0024】次いで、得られた焼結体を公知の方法によ
り研削加工して、目的の切削工具を作製する。 【0025】 【実施例】以下の具体的実施例により、本発明をさらに
詳細に説明する。 【0026】実施例1 α−Al2 O3 (平均粒径が1μm以下)が83容
量%、Y2 O3 を2モル%含有する部分安定化Zr
O2が2容量%、SiCウィスカー(平均直径0.7μ
m、平均長さ30μm)が15容量%となるように配合
した混合粉を、ボールミルで96時間湿式混合し、これ
を乾燥させた。 【0027】得られた混合粉を用い、アルゴンガス気流
中、450kg/cm2 の圧力をかけながら1600
℃で1時間加圧焼結し、90φ×6mmの焼結体を得た
。 【0028】得られた焼結体から、型番SNGN120
408の形状の切削チップを切出し、研削加工した。 【0029】上記で得た切削チップを用い、以下に示す
切削条件(切削条件1)で切削試験を行った。 【0030】切削条件1 被削材 :FCD70 切削速度 :200m/分 送り :0.3mm/回転 切り込み :1.5mm 切削剤 :使用せず 【0031】5分間の切削後の逃げ面摩耗幅を測定した
ところ、0.13mmであった。 【0032】さらにこの切削チップについて、下記の切
削条件2で切削試験を行い、逃げ面摩耗幅を測定した。 逃げ面摩耗幅は0.13mmであった。 【0033】切削条件2 被削材 :FC30 切削速度 :350m/分 送り :0.3mm/回転 切り込み :2mm チップ型番:SNGN120408 カッター :DNF4160R(一枚刃にて試験を行
った) 切削剤 :使用せず 切削時間 :30分 【0034】比較例1、2 比較のために、市販のAl2 O3 −SiCウィスカ
ーセラミック切削工具(グリーンリーフ社のWG300
:比較例1)及び市販のAl2 O3 −SiCウィス
カー−ZrO2 セラミック切削工具(住友電工(株)
製WX120:比較例2)について実施例1と同様の方
法で切削試験を行った。比較例1及び比較例2の切削チ
ップの逃げ面摩耗幅はそれぞれ0.33mm及び0.2
8mmであった。 【0035】実施例2、3及び比較例3〜6Al2 O
3 、SiCウィスカー、及びZrO2 の配合量を表
1に示すようにした以外は、実施例1と同様にしてAl
2 O3 −SiCウィスカー−ZrO2 複合セラミ
ックスからなる切削チップを作製した。 【0036】得られた切削チップについて、実施例1に
おける切削条件2で切削試験を行い、逃げ面摩耗幅を測
定した。結果を表1に合わせて示す。なお、上記した実
施例1の切削条件2による切削試験の結果も表1に合わ
せて示す。 【0037】切削条件2 被削材 :FC30 切削速度 :350m/分 送り :0.3mm/回転 切り込み :1.5mm 切削剤 :使用せず 【0038】
表1
SiC
逃げ面
Al2 O3 ウィスカ
ー ZrO2 摩耗幅
例No. (容量%) (容量%
) (容量%) (mm) 実
施例1 83 15
2 0.
13 実施例2 78
20 2
0.17 実施例3 73
25 2
0.20 比較例3 9
3 5
2 4分で欠損比較例4
68 30
2 0.32 比
較例5 75 25
0 0.
36 比較例6 70
25 5
0.30 【0039】実施例4、5及び比較
例7〜12表2に示す条件の加圧焼結とした以外は、実
施例1と同様にして(実施例1と同一の組成で)切削チ
ップを作製した。 【0040】得られた切削チップについて、実施例1に
おける切削条件1と同一の条件で切削試験を行い、逃げ
面摩耗幅を測定した。結果を表2に合わせて示す。 【0041】
表2 加圧
焼結 加圧焼結 加圧焼結
逃げ面
温度 圧力
時間 摩耗幅 例No.
(℃) (kg/cm
2 ) (時) (mm) 実
施例4 1620 45
0 1 0.15実
施例5 1550 45
0 1 0.12比
較例7 1400 45
0 1 2分で欠損
比較例8 1800 4
50 1 0.45
比較例9 1600 4
50 0.25 0.39比較例
10 1600 450
7 0.42比較例1
1 1600 100
1 3分で欠損比較例1
2 1600 600
1 0.19【0042
】実施例6〜10、比較例13〜16実施例1〜5で得
た切削チップ(その順に実施例6〜10)、及び比較例
4、5、8及び10で得た切削チップ(その順に比較例
13〜16)について、以下の条件(切削条件3)でさ
らに切削試験を行った。結果を表3に示す。また、各切
削チップについて、走査電子顕微鏡によりAl2 O3
マトリックスの組織を観察し、平均粒径を測定した。 その結果を表3に合わせて示す。 【0043】切削条件3 被削材 :FC25 切削速度 :300m/分 送り :0.4mm/回転 切り込み :1.5mm チップ型番:SNGN120408 ホルダー :FN11R−44A 切削剤 :使用せず 切削時間 :10分 【0044】
表3
逃げ面摩耗幅 Al2 O3
例No. (mm
) 平均粒径(μm)
実施例6 0.11
1.2
実施例7 0.13
0.9 実施
例8 0.18 1
.5 実施例9
0.15 1.5
実施例10
0.13 0.8
比較例13 0.2
9 2.1
比較例14 0.41
4.2
比較例15 0.39
3.5 比較例16
0.28 2.3【004
5】 【発明の効果】以上説明した通り、本発明による切削工
具は耐欠損性及び耐摩耗性ともに優れている。本発明に
よる切削工具は、超合金のみならず、ねずみ鋳鉄やダク
タイル鋳鉄等の鉄系材料をも良好に切削することができ
る。 【0046】本発明による切削工具は、各種切削用チッ
プ、ドリル等に好適である。
Claims (3)
- 【請求項1】 Al2 O3 、SiCウィスカー、
及びZrO2 からなるセラミック切削工具において、
SiCウィスカーが7〜27容量%、ZrO2 が1〜
3容量%、及び残部実質的にAl2 O3 であること
を特徴とするセラミック切削工具。 - 【請求項2】 請求項1に記載のセラミック切削工具
において、マトリックスを形成するAl2 O3 の平
均粒径が2.0μm以下であることを特徴とするセラミ
ック切削工具。 - 【請求項3】 Al2 O3 、SiCウィスカー、
及びZrO2 からなるセラミック切削工具を製造する
方法において、前記セラミック切削工具中のSiCウィ
スカーの量が7〜27容量%で、ZrO2 の量が1〜
3容量%で、残部実質的にAl2 O3 となるように
、Al2 O3 粉末と、SiCウィスカーと、ZrO
2 粉末とを混合して原料粉末とし、前記原料粉末に対
し、1500〜1650℃で、150〜500kg/c
m2 の圧力で、30分〜5時間の加圧焼結を行なうこ
とを特徴とするセラミック切削工具の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3108365A JPH04315507A (ja) | 1991-04-12 | 1991-04-12 | セラミック切削工具及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3108365A JPH04315507A (ja) | 1991-04-12 | 1991-04-12 | セラミック切削工具及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04315507A true JPH04315507A (ja) | 1992-11-06 |
Family
ID=14482912
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3108365A Pending JPH04315507A (ja) | 1991-04-12 | 1991-04-12 | セラミック切削工具及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH04315507A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004338080A (ja) * | 2003-01-28 | 2004-12-02 | Sandvik Ab | 切削工具用インサート及びその製造方法 |
-
1991
- 1991-04-12 JP JP3108365A patent/JPH04315507A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004338080A (ja) * | 2003-01-28 | 2004-12-02 | Sandvik Ab | 切削工具用インサート及びその製造方法 |
JP4624690B2 (ja) * | 2003-01-28 | 2011-02-02 | サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ | 切削工具用インサート及びその製造方法 |
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