JPH04309960A - 電子写真式平版印刷用原版 - Google Patents

電子写真式平版印刷用原版

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JPH04309960A
JPH04309960A JP7553291A JP7553291A JPH04309960A JP H04309960 A JPH04309960 A JP H04309960A JP 7553291 A JP7553291 A JP 7553291A JP 7553291 A JP7553291 A JP 7553291A JP H04309960 A JPH04309960 A JP H04309960A
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JP
Japan
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group
resin
monomer
layer
original plate
Prior art date
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Pending
Application number
JP7553291A
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English (en)
Inventor
Eiichi Kato
加藤栄一
Kiyosuke Kasai
笠井清資
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH04309960A publication Critical patent/JPH04309960A/ja
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真方式で製版さ
れる電子写真式平版印刷用原版に関するものであり、特
に、光導電層上に特定の性質を有する表面層を設けるよ
うにした電子写真式平版印刷用原版に関する。
【0002】
【従来の技術】現在ダイレクト製版用のオフセット原版
には多種のものが提案され且つ実用化されているが、中
でも導電性支持体上に酸化亜鉛のような光導電性粒子及
び結着樹脂を主成分とした光導電層を設けた感光体を通
常の電子写真工程を経て、感光体表面に親油性の高いト
ナー画像を形成し、続いて該表面をエッチ液と言われる
不感脂化液で処理し、非画像部分を選択的に親水化する
ことによってオフセット原版を得る技術が広く用いられ
ている。
【0003】良好な印刷物を得るには、先ずオフセット
原版に原画が忠実に複写されると共に、感光体表面が不
感脂化処理液となじみ易く、非画像部が充分に親水化さ
れると同時に耐水性を有し、更に印刷時に画像を有する
光導電層が離脱しないこと、及び湿し水とのなじみが良
く、印刷枚数が多くなっても汚れが発生しないように充
分に非画像部の親水性が保持されること等の性能を有す
る必要がある。
【0004】特に、オフセット原版としては、不感脂化
性の不充分さによる地汚れ発生が大きな問題であり、こ
れを改良するために不感脂化性を向上させる酸化亜鉛結
着用樹脂の開発が種々検討されており、例えば特公昭5
0−31011号、特開昭53−54027号、同54
−20735号、同57−202544号、同58−6
8046号明細書等に開示されている。しかしながらこ
れらの不感脂化性向上に高価があるとされる樹脂であっ
ても現実に評価してみると、地汚れ、耐刷力において未
だ満足できるものではない。一方、光導電性粒子として
有機光導電性化合物を用い、結着樹脂とともに光導電層
を砂目立てしたアルミニウム基板上に設けた電子写真体
を用いることもできる。
【0005】この種の原版を製版するには、上記と同様
に、通常の電子写真法により、感光層上にトナー画像を
形成した後、処理液で非画像部を溶解除去する。これに
より、非画像部分はアルミニウム基板となり、親水性と
なるものである。例えば、特公昭37−17162号、
同46−39405号、特開昭52−2437号、同5
6−107246号等に湿されるオキサジアゾール化合
物あるいはオキサゾール化合物をスチレン−無水マレイ
ン酸共重合体等のアルカリ可溶性樹脂で結着した感光層
を用いる場合、あるいは、特開昭55−105254号
、同55−16125号、同58−150953号、同
58−162961号明細書等に示されるフタロシアニ
ン系顔料あるいはアゾ顔料とアルカリ可溶性のフェノー
ル樹脂とから成る感光層を用いる場合等が知られている
【0006】しかし、この製版工程では非画像部の感光
層を溶解除去しなければならず大がかりな装置が必要と
なる上、時間がかかるため製版速度も遅くなる。更には
、処理液(前記の有機溶剤)としてエチレングリコール
、グリセリン、メタノール、エタノール等が用いられる
ため、この製版法によればコスト、安全性、公害、労働
衛生等に問題が残る。
【0007】更に、通常の電子写真感光体上に特定の樹
脂層を設けることにより製版が容易な非画像部表面親水
処理型の印刷版が作成する方法が特公昭45−5606
号に示されている。すなわち、電子写真感光層上にビニ
ルエーテル−無水マレイン酸共重合体およびこれと相溶
性の疎水性樹脂とからなる表面層を設けた印刷版が開示
されている。この層はトナー像形成後、非画像部をアル
カリで処理することにより酸無水環部分を加水開環する
ことにより親水化できる層(親水化可能層)である。こ
こで用いられているビニルエーテル−無水マレイン酸共
重合体は、開環して親水化された状態では水溶性となっ
てしまうため、たとえその他の親水性の樹脂と相溶した
状態で層が形成されていたとしても、その耐水性ははな
はだしく劣り、耐刷性はせいぜい500〜600枚が限
度であった。
【0008】更に、特開昭60−90343号、同60
−159756号、同61−217292号公報等では
、シリル化されたポリビニルアルコールを主成分とし、
且つ架橋剤を併用した表面層(親水化可能層)を設ける
方法が示されている。即ち、この層は、トナー像形成後
非画像部において、シリル化されたポリビニルアルコー
ルを加水分解処理して親水化するものである。又親水化
後の膜強度を保持するため、ポリビニルアルコールのシ
リル化度を調製し、残存水酸基を架橋剤を用いて架橋し
ている。
【0009】しかしながら、これらにより印刷物の地汚
れ性が改良され、耐刷枚数が向上すると記載されている
が、現実に評価してみると、特に地汚れにおいて未だ満
足できるものではない。また、シリル化ポリビニルアル
コールはポリビニルアルコールをシリル化剤で所望の割
合をシリル化することで製造しているが、高分子反応で
あることから安定して製造する事が難しい。更に親水化
ポリマーの化学構造が限定されているため、電子写真感
光体としての機能を疎外しないように、1)帯電性、2
)複写画像の品質(画像部の網点再現性・解像力、非画
像部の地カブリ等)、3)露光感度に対して該表面層が
影響しない様にする事が難しい等の問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そのため、本発明者等
は、以上の様な電子写真式平版印刷用原版の有する問題
点を改良するために、先に、表面層の主成分として分解
によりカルボキシル基を生成する官能基を含有した樹脂
を用いた電子写真式平版印刷用原版を提案した(特願昭
62−28345号)が、本発明は、この先願と同様の
樹脂を用いるが、先願のように表面層の樹脂成分(すな
わちマトリックス)としてではなく、マトリックス中に
粒子として分散させて用いることにより、以上の様な問
題点を解決するものである。
【0011】すなわち、本発明の目的は、原画に対して
忠実な複写画像を再現し、且つオフセット原版として全
面一様な地汚れはもちろん、点状の地汚れをも発生させ
ない、不感脂化性の優れた平版印刷原版を提供すること
である。
【0012】本発明の他の目的は、印刷において印刷枚
数が増加しても非画像部の親水性が充分保たれ地汚れが
発生しない、高耐刷力を有する平版印刷版が提供するも
のである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、導電性
支持体上に、少なくとも1層の光導電層を設け、更にそ
の最上層に表面層を設けてなる電子写真式平版印刷用原
版において、上記表面層中に、非水溶媒系分散樹脂粒子
(以下、分散樹脂粒子ともいう)を少なくとも1種含有
させた電子写真式平版印刷用原版によって達成される。 この分散樹脂粒子としては、非水溶媒中において、分解
により少なくとも1つのカルボキシル基を生成する官能
基を少なくとも1種含有する−官能性単量体(A)と、
ケイ素原子及び/又はフッ素原子を含有する置換基を含
み且つ該単量体(A)と共重合する一官能性単量体(B
)とを該非水溶媒に可溶性の分散安定用樹脂の存在下に
分散重合反応させることにより得られる共重合体樹脂粒
子から成るものである。
【0014】上記分散樹脂粒子は、好ましくは、高次の
網目構造を形成していることを特徴とする樹脂粒子であ
る。
【0015】又、上記分散安定用樹脂として、好ましく
は、高分子鎖中に下記一般式(1)で示される重合性二
重結合基部分を少なくとも1種含有していることを特徴
とする共重合体である。
【0016】
【化2】
【0017】まず、表面層中に分散される分散樹脂粒子
について更に詳しく説明する。
【0018】分散樹脂粒子における、分解して少なくと
も1個のカルボキシル基を生成する官能基(以下単に、
カルボキシル基生成官能基ともいう)について詳しく説
明する。
【0019】カルボキシル基生成官能基は、分解によっ
てカルボキシル基を生成するが、1つの官能基から生成
するカルボキシル基は1個でも2個以上でもよい。
【0020】本発明の1つの好ましい態様によれば、カ
ルボキシル基生成官能基含有樹脂は、一般式(2)〔−
COO−L1 〕で示される官能基を少なくとも1種含
有する樹脂である。
【0021】一般式(2)におけるL1 は、
【002
2】
【化3】
【0023】を表わす。
【0024】一般式(2)で示される官能基は、分解に
よってカルボキシル基を生成するものであり、以下更に
詳しく説明する。
【0025】L1 が
【0026】
【化4】
【0027】の場合において、P1 は水素原子、−C
N基、−CF3 基、−COR11基又は−COOR1
1基を表わす。但し、R11は炭素数1〜6のアルキル
基:例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチ
ル、ヘキシル等、炭素数7〜12の置換されてもよいア
ラルキル基、具体的にはベンジル、フェネチル、クロロ
ベンジル、メトキシベンジル、クロロフェネチル、メチ
ルフェネチル等)又は芳香族基(例えば置換基を含有し
てもよいフェニル基又はナフチル基、具体的にはフェニ
ル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メチルフェニ
ル、メトキシフェニル、アセチルフェニル、アセトアミ
ドフェニル、メトキシカルボニルフェニル、ナフチル等
)を表わす。
【0028】P2 は−CN基、−COR11基又は−
COOR11基を表わす。但し、R11は上記と同一の
記号を表わす。
【0029】L1 が
【0030】
【化5】
【0031】を表わす場合において、R1 、R2 は
互いに同じでも異なってもよく、好ましくは水素原子又
は置換されてもよい炭素数1〜12の直鎖状又は分枝状
アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、クロロ
メチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、トリフル
オロメチル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ヒ
ドロキシエチル、3−クロロプロピル等)を表し、Xは
好ましくは置換されてもよいフェニル基又はナフチル基
(例えばフェニル、メチルフェニル、クロロフェニル、
ジメチルフェニル、クロロメチルフェニル、ナフチル等
)を表し、Zは好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例
えば塩素原子、フッ素原子等)、トリハロメチル基(例
えばトリクロロメチル等)、炭素数1〜12の置換され
てもよい直鎖状又は分枝状アルキル基(例えばメチル、
クロロメチル、ジクロロメチル、エチル、プロピル、ブ
チル、ヘキシル、テトラフルオロエチル、オクチル、シ
アノエチル、クロロエチル等)、−CN、−CN2 、
−SO2 R1 ′〔R1 ′は脂肪族基(例えば炭素
数1〜12の置換されてもよいアルキル基:具体的には
メチル、エチル、プロピル、ブチル、クロロエチル、ベ
ンチル、オクチル等、炭素数7〜12の置換されてもよ
いアラルキル基:具体的にはベンジル、フェネチル、ク
ロロベンジル、メトキシベンジル、クロロフェネチル、
メチルフェネチル等)又は芳香族基(例えば置換基を含
有してもよいフェニル基又はナフチル基:具体的にはフ
ェニル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メチルフ
ェニル、メトキシフェニル、アセチルフェニル、アセト
アミドフェニル、メトキシカルボニルフェニル、ナフチ
ル等)を表わす〕、−COOR2 ′(R2 ′は上記
R1 ′と同義である)又は−O−R3 ′(R3 ′
は上記R1 ′と同義である)を表わす。n、mは0、
1又は2を表わす。
【0032】又、L1 が
【0033】
【化6】
【0034】を表わす場合において、R3 、R4 、
R5 は互いに同じでも異なっていてもよく、好ましく
は炭素数1〜18の置換されてもよい脂肪族基〔脂肪族
基はアルキル、アルケニル、アラルキル又は脂環式を示
し、置換基としては例えばハロゲン原子、−CN基、−
OH基、−O−Q′(Q′はアルキル基、アラルキル基
、脂環式基、アリール基を示す)等が挙げられる〕、炭
素数6〜18の置換されてもよい芳香族基(例えばフェ
ニル、トリル、クロロフェニル、メトキシフェニル、ア
セトアミドフェニル、ナフチル等)又は−O−R4 ′
(R4 ′は置換されてもよい炭素数1〜12のアルキ
ル基、置換されてもよい炭素数2〜12のアルケニル基
、置換されてもよい炭素数7〜12のアラルキル基、炭
素数5〜18の置換されてもよい脂環式基、炭素数6〜
18の置換されてもよいアリール基を示す)を表わす。
【0035】MはSi、Ti、又はSnの各原子を表わ
し、より好ましくはSi原子を表わす。
【0036】又L1 が−N=CH−Q1 又は−CO
−Q2 を表わす場合においては、Q1 、Q2 は好
ましくは各々炭素数1〜18の置換されてもよい脂肪族
基(例えばアルキル、アルケニル、アラルキル、脂環式
を示し、置換基としては例えばハロゲン原子、CN基、
アルコキシ基等を挙げることができる)又は炭素数6〜
18の置換されてもよいアリール基(例えばフェニル、
メトキシフェニル、トリル、クロロフェニル、ナフチル
等)を表わす。
【0037】L1 が、
【0038】
【化7】
【0039】を表わす場合において、Y1 は酸素原子
又はイオウ原子を表わす。R6 、R7 、R8 は互
いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは水素原子
、置換されてもよい炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状
アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル
、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシ
ル、クロロエチル、メトキシエチル、メトキシプロピル
等)、置換されてもよい脂環式基(例えばシクロベンチ
ル、シクロヘキシル等)、置換されてもよい炭素数7〜
12のアラルキル基(例えばベンジル、フェネチル、ク
ロロベンジル、メトキシベンジル等)、置換されてもよ
い芳香族基(例えばフェニル、ナフチル、クロロフェニ
ル、トリル、メトキシフェニル、メトキシカルボニルフ
ェニル、ジクロロフェニル等)又は−O−R5 ′(R
5 ′は炭化水素基を表し、具体的には上記R6 、R
7 、R8 の炭化水素基と同一の置換基等を示す)を
表わす。
【0040】pは5又は6の整数を表わす。
【0041】L1 が、
【0042】
【化8】
【0043】を表わす場合において、Y2 は環状イミ
ド基を形成する有機残基を表わす。好ましくは、下記一
般式(3)又は(4)で示される有機残基を表わす。
【0044】
【化9】
【0045】一般式(3)中、R9 、R10は各々同
じでも異なってもよく、各々水素原子、ハロゲン原子(
例えば塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜18の置換
されてもよいアルキル基〔例えばメチル、エチル、プロ
ピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル
、ヘキサデシル、オクタデシル、2−クロロエチル、2
−メトキシエチル、2−シアノエチル、3−クロロプロ
ピル、2−(メタンスルホニル)エチル、2−(エトキ
シオキシ)エチル等〕、炭素数7〜12の置換されても
よいアラルキル基(例えばベンジル、フェネチル、3−
フェニルプロピル、メチルベンジル、ジメチルベンジル
、メトキシベンジル、クロロベンジル、ブロモベンジル
等)、炭素数3〜18の置換されてもよいアルケニル基
(例えばアリル、3−メチル−2−プロペニル、2−ヘ
キセニル、4−プロピル−2−ペンテニイル、12−オ
クタデセニル等)、−S−R6 ′(R6 ′は前記R
9 又はR10のアルキル基、アラルキル基、アルケニ
ル基と同一の内容を表わす)、置換されてもよいアリー
ル基(例えばフェニル、トリル、クロロフェニル、ブロ
モフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、エ
トキシカルボニルフェニル等)、又は−NHR7 ′(
R7 ′は前記R6 ′と同一の内容を表わす)を表わ
す。又、R9 とR10で環を形成する残基を表しても
よい〔例えば5〜6員環の単環(例えばシクロペンチル
環、シクロヘキシル環)、又は5〜6員環のビシクロ環
(例えばビシクロヘプタン環、ビシクロヘプチン環、ビ
シクロオクタン環、ビシクロオクテン環等)、更にはこ
れらの環は置換されてくてもよく、置換基としてはR9
 、R10で前記した内容と同一のものを含む〕。
【0046】qは2又は3の整数を表わす。
【0047】式(4)中、R11、R12は同一でも異
なってもよく、前記R9 、R10と同一の内容のもの
を表わす。更には、R11とR12は連続して芳香族環
を形成する例えばベンゼン環、ナフタレン環等の有機残
基を表してもよい。
【0048】本発明の好ましい他の1つの態様として、
一般式(5)〔−CO−L2 〕で示される官能基を少
なくとも1種含有する樹脂である。
【0049】一般式(5)におけるL2 は、
【005
0】
【化10】
【0051】を表わす。
【0052】但しR13、R14、R15、R16、R
17は各々水素原子又は脂肪族基を表わす。
【0053】脂肪族基としては、好ましくは前記R6 
、R7 、R8 と同一の内容を表わす。又、R14と
R15及びR16とR17は連結して縮合環を形成して
もよい有機残基を表わす。好ましくは5〜6員環の単環
(例えばシクロペンチル、シクロヘキシル等)、5員〜
12員環の芳香族基(例えばベンゼン、ナフタレン、チ
オフェン、ピロール、ピラン、キノリン等)等を表わす
【0054】更に、本発明の好ましい他の1つの態様と
して、下記一般式(6)で示されるオキサゾロン環を少
なくとも1種含有する樹脂である。
【0055】
【化11】
【0056】一般式(6)において、R18、R19は
互いに同じでも異なっていてもよく、各々水素原子、炭
化水素基を表わすか、又R18とR19とが一緒に環を
形成してもよい。
【0057】好ましくは、R18、R19は互いに同じ
でも異なってもよく、各々水素原子、置換されていても
よい炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状アルキル基(例
えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、2
−クロロエチル、2−メトキシエチル、2−メトキシカ
ルボニルエチル、3−ヒドロキシプロピル等)、置換さ
れていてもよい炭素数7〜12のアラルキル基(例えば
ベンジル、4−クロロベンジル、4−アセトアミドベン
ジル、フェネチル、4−メトキシベンジル等)、置換さ
れていてもよい炭素数2〜12のアルケニル基(例えば
エチレン、アリル、イソプロペニル、ブテニル、ヘキセ
ニル等)、置換されていてもよい5〜7員環の脂環式基
(たとえばはシクロペンチル、シクロヘキシル、クロロ
シクロヘキシル等)、置換されてもよい芳香族基(例え
ばフェニル、クロロフェニル、メトキシフェニル、アセ
トアミドフェニル、メチルフェニル、ジクロロフェニル
、ニトロフェニル、ナフチル、ブチルフェニル、ジメチ
ルフェニル等)を表わすか、又はR18とR19とが一
緒に環(例えばテトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキ
サメチレン等)を形成してもよい。
【0058】本発明の一般式(2)〜(6)で表される
官能基について具体的例を以下に述べる。但し、本発明
の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0059】
【化12】
【0060】
【化13】
【0061】
【化14】
【0062】
【化15】
【0063】
【化16】
【0064】以上の様な一般式(2)〜(6)の官能基
を含有する単量体(A)について更に具体的に述べると
、例えば下記一般式(7)で示される単量体が挙げられ
る。但し、これらの単量体に限定されるものではない。
【0065】
【化17】
【0066】芳香族基、又はヘテロ環基を示す〔但し、
d1 、d2 、d3 、d4 は各々水素原子、炭化
水素基、又は式(7)中の−〔Y′−W〕を表し、b1
 、b2 は同じでなっていてもよく、水素原子、炭化
水素基又は式(7)中の−〔Y′−W〕を表し、lは0
〜18の整数を示す〕。
【0067】Y′は結合基X′と結合基〔W〕を連結す
る、ヘテロ原子を介していてもよい炭素−炭素結合を表
し(ヘテロ原子としては酸素原子、イオウ原子、窒素原
子を示す)、例えば、
【0068】
【化18】
【0069】Wは式(2)〜(6)で表される官能基を
表わす。
【0070】a3 、a4 は、後述する式(1)中の
a1 、a2 と同一の内容を表わす。
【0071】以上の様な分解してカルボキシル基生成の
官能基含有の単量体(A)と共に共重合し得る、フッ素
原子及び/又はケイ素原子を少なくとも2個以上含有す
る置換基を含む一官能性単量体(B)について説明する
と、本発明の一官能性単量体(B)は、上記要件を満た
す化合物であればいずれでもよい。又、以下に具体的な
置換基の内容を説明するが、これらの化学構造に限定さ
れるものではない。
【0072】
【化19】
【0073】但し、R3 、R4 、R5 は、同じで
も異なってもよく、置換されていてもよい炭化水素基又
は−OR9 基(R9 は、R3 の炭化水素基と同一
の内容を表わす)を表わす。
【0074】R3 は、炭素数1〜18の置換されても
よいアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブ
チル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサ
デシル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、2,2
,2−トリフロロエチル、2−シアノエチル、3,3,
3−トリフロロプロピル、2−メトキシエチル、3−ブ
ロモプロピル、2−メトキシカルボニルエチル、2,2
,2,2’,2’,2’−ヘキサフロロイソプロピル等
)、炭素数4〜18の置換されていてもよいアルケニル
基(例えば2−メチル−1−プロペニル、2−ブテニル
、2−ペンテニル、3−メチル−2−ペンテニル、1−
ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、4−メ
チル−2−ヘキセニル等)、炭素数7〜12の置換され
ていてもよいアラルキル基(例えばベンジル、フェネチ
ル、3−フェニルプロピル、ナフチルメチル、2−ナフ
チルエチル、クロロベンジル、ブロモベンジル、メチル
ベンジル、エチルベンジル、メトキシベンジル、ジメチ
ルベンジル、ジメトキシベンジル等)、炭素数5〜8の
置換されていてもよい脂環式基(例えばシクロヘキシル
、2−シクロヘキシル、2−シクロペンチルエチル等)
又は炭素数6〜12の置換されていてもよい芳香族基(
例えばフェニル、ナフチル、トリル、キシリル、プロピ
ルフェニル、ブチルフェニル、オクチルフェニル、ドデ
シルフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、
ブトキシフェニル、デシルオキシフェニル、クロロフェ
ニル、ジクロロフェニル、ブロモフェニル、シアノフェ
ニル、アセチルフェニル、メトキテカルボニルフェニル
、エトキシカルボニルフェニル、ブトキシカルボニルフ
ェニル、アセトアミドフェニル、プロピオアミドフェニ
ル、ドデシロイルアミドフェニル等)が挙げられる。
【0075】−OR9 基において、R9 は、上記R
3の炭化水素基と同一の内容を表わす。R6 、R7 
、R8 は同じでも異なってもよく、R3 、R4 、
R5 と同一の記号の内容を表わす。
【0076】次に、以上の様なフッ素原子及び/又はケ
イ素原子を含有した置換基を有する一官能性単量体(B
)の具体例を以下に示す。しかし、本発明の範囲がこれ
らに限定されるものではない。
【0077】
【化20】
【0078】
【化21】
【0079】
【化22】
【0080】
【化23】
【0081】
【化24】
【0082】
【化25】
【0083】以上の様な極性基含有の単量体(A)及び
フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の単量体(B)と
ともに、これら以外の共重合し得る他の単量体を重合体
成分として含有してもよい。
【0084】他の単量体としては後記する一般式(8)
の繰り返し単位に相当する単量体あるいは該式(8)で
示される成分に相当する単量体と共重合するものが挙げ
られる。
【0085】該樹脂中の重合成分として、単量体(A)
の存在割合は30重量%以上好ましくは50重量%以上
であり、単量体(B)の存在割合は0.5重量%〜30
重量%、好ましくは1重量%〜20重量%である。他の
共重合し得る単量体を含有する場合は、多くても20重
量%以下である。
【0086】この非水溶媒に不溶性となる重合成分とし
て重要なことは、蒸留水に対する接触角で表される親水
性が50度以下を満足できるものであればよい。
【0087】次に、本発明の分散安定用樹脂について説
明する。
【0088】分散安定用樹脂は非水溶媒と溶媒和し可溶
性であることが重要であり、いわゆる非水系分散重合に
おける分散安定化作用を担うものであり、具体的には該
溶媒100重量部に対し、温度25℃において少なくと
も5重量%溶解するものであればよい。
【0089】該分散安定用樹脂の重量平均分子量は1×
103 〜5×105 であり、好ましくは2×103
 〜1×105 、特に好ましくは3×103 〜5×
104 である。該樹脂の重量平均分子量が1×103
 未満になると、生成した分散樹脂粒子の凝集が発生し
、平均粒径が揃った微粒子が得られなくなってしまう。 一方、5×105 を超えると、光導電層中に添加した
時に電子写真特性を満足しつつ保水性向上するという本
発明の効果が薄れてしまう。
【0090】本発明の分散安定用樹脂は、該非水溶媒に
可溶性の重合体であればいずれでもよいが、具体的には
、K.E.J.Barrett「Dispersion
  Polymerization  in  Org
anic  Media」JohnWiley  an
d  Sons(1975年刊)、R.Dowpenc
o,D.P.Hart,Ind.Eng.Chem.P
rod.Res.Develop.12,(No.1)
、14(1973)、丹下豊吉、日本接着協会誌23(
1),26(1987)、D.J.Walbridge
,NATO.Adv.Study  Inst.Ser
.E.No.67,40(1983)、Y.Sasak
i  and  M.Yabuta,Proc,10t
h,Int.Conf.Org.Coat.Sci.T
echnol,10,263(1984)等の総説に引
例の各重合体が挙げられる。
【0091】例えばオレフィン重合体、変性オレフィン
重合体、スチレン−オレフィン共重合体、脂肪族カルボ
ン酸ビニルエステル共重合体、変性無水マレイン酸共重
合体、ポリエステル重合体、ポリエーテル重合体、メタ
クリレートホモ重合体、アクリレートホモ重合体、メタ
クリレート共重合体、アクリレート共重合体、アルキッ
ド樹脂等である。
【0092】より具体的には、本発明の分散安定用樹脂
の繰り返し単位として供される重合体成分としては、下
記一般式(8)で表される成分が挙げられる。
【0093】
【化26】
【0094】式(8)中X2 は後述する式(1)のV
0 と同一の内容を表し、詳細は式(1)のV0 の説
明に記載されている。
【0095】R21は炭素数1〜22の置換されてもよ
いアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、
ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、
オクタデシル、ドコサニル、2−(N,N−ジメチルア
ミノ)エチル、2−(N−モルホリノ)エチル、2−ク
ロロエチル、2−ブロモエチル、2−ヒドロキシエチル
、2−シアノエチル、2−(α−チエニル)エチル、2
−カルボキシエチル、2−メトキシカルボニルエチル、
2,3−エポキシプロピル、2,3−ジアセトキシプロ
ピル、3−クロロプロピル、4−エトキシカルボニルブ
チル等)、炭素数3〜22の置換されてもよいアルケニ
ル基(例えばアリル、ヘキセニル、オクテニル、ドセニ
ル、ドデセニル、トリデセニル、オクタデセニル、オレ
イル、リノレイル等)、炭素数7〜22の置換されても
よいアラルキル基(例えばベンジル、フェネチル、3−
フェニルプロピル、2−ナフチルメチル、2−(2’−
ナフチル)エチル、クロロベンジル、ブロモベンジル、
メチルベンジル、ジメチルベンジル、トリメチルベンジ
ル、メトキシベンジル、ジメトキシベンジル、ブチルベ
ンジル、メトキシカルボニルベンジル等)、炭素数4〜
12の置換されてもよい脂環式基(例えばシクロペンチ
ル、シクロヘキシル、シクロオクチル、アダマンチル、
クロロシクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、メトキ
シシクロヘキシル等)、炭素数6〜22の置換されても
よい芳香族基(例えばフェニル、トリル、キシリル、メ
シチル、ナフチル、アントラニル、クロロフェニル、ブ
ロモフェニル、ブチルフェニル、ヘキシルフェニル、オ
クチルフェニル、デシルフェニル、ドデシルフェニル、
メトキシフェニル、エトキシフェニル、オクチルオキシ
フェニル、エトキシカルボニルフェニル、アセチルフェ
ニル、ブトキシカルボニルフェニル、ブチルメチルフェ
ニル、N,N−ジブチルアミノフェニル、N−メチル−
N−ドデシルフェニル、チエニル、ヒラニル等)等が挙
げられる。
【0096】c1 、c2 は後述する式(1)中のa
1、a2 と同一の内容を表し、詳細は式(1)のa1
 、a2 の説明に記載される。
【0097】本発明の分散安定用樹脂中の重合体成分と
して、以上述べた成分とともに、他の重合体成分を含有
してもよい。
【0098】他の重合体成分としては、一般式(8)で
示される成分に相当する単量体と共重合するものであれ
ばいずれでもよく、相当する単量体としては、例えば、
α−オレフィン類、アクリロニトリル、メタクリロニト
リル、ビニル含有複素環類(複素環としては例えばピラ
ン環、ピロドリン環、イミダゾール環、ピリジン環等)
、ビニル基含有のカルボン酸類(例えばアクリル酸、メ
タクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸等)
、ビニル基含有のカルボキシアミド類(例えばアクリル
アミド、メタクリルアミド、クロトン酸アミド、イタコ
ン酸アミド、イタコン酸半アミド、イタコン酸ジアミド
等)等が挙げられる。
【0099】本発明の分散安定用樹脂において、一般式
(8)で示される重合体成分は、該樹脂の全重合体10
0重量部中30重量部以上、好ましくは50重量部以上
である。
【0100】又、本発明の分散安定用樹脂において、光
及び/又は熱硬化性官能基を該樹脂の全重合体100重
量部中30重量部以下好ましくは20重量部以下の範囲
で含有してもよい。
【0101】含有される光及び/又は熱硬化性官能基と
しては、重合性官能基以外のものが挙げられ、具体的に
、後述する粒子の架橋構造形成用の官能基が挙げられる
【0102】更には、本発明の分散安定用樹脂はその高
分子鎖中に下記の一般式(1)で示される重合性二重結
合基部分を少なくとも一種含有して成ることが好ましい
【0103】以下に、該重合性二重結合基部分について
説明する。
【0104】
【化27】
【0105】ここでR1 は水素原子のほか、好ましい
炭化水素基としては、炭素数1〜18の置換されてもよ
いアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、ヘプチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル
、ヘキサデシル、オクタデシル、2−クロロエチル、2
−ブロモエチル、2−シアノエチル、2−メトキシカル
ボニルエチル、2−メトキシエチル、3−ブロモプロピ
ル等)、炭素数4〜18の置換されてもよいアルケニル
基(例えば2−メチル−1−プロペニル、2−ブテニル
、2−ペンテニル、3−メチル−2−ペンテニル、1−
ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、4−メ
チル−2−ヘキセニル等)、炭素数7〜12の置換され
ていてもよいアラルキル基(例えばベンジル、フェネチ
ル、3−フェニルプロピル、ナフチルメチル、2−ナフ
チルエチル、クロロベンジル、ブロモベンジル、メチル
ベンジル、エチルベンジル、メトキシベンジル、ジメチ
ルベンジル、ジメトキシベンジル等)、炭素数5〜8の
置換されていてもよい脂環式基(例えばシクロヘキシル
、2−シクロヘキシルエチル、2−シクロペンチルエチ
ル等)、又は、炭素数6〜12の置換されていてもよい
芳香族基(例えばフェニル、ナフチル、トリル、キシリ
ル、プロピルフェニル、ブチルフェニル、オクチルフェ
ニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、エトキシ
フェニル、ブトキシフェニル、デシルオキシフェニル、
クロロフェニル、ジクロロフェニル、ブロモフェニル、
シアノフェニル、アセチルフェニル、メトキシカルボニ
ルフェニル、エトキシカルボニルフェニル、ブトキシカ
ルボニルフェニル、アセトアミドフェニル、プロピオア
ミドフェニル、ドデシロイルアミドフェニル等)が挙げ
られる。
【0106】V0 が
【0107】
【化28】
【0108】を表わす場合、ベンゼン環は置換基を有し
てしてもよい。置換基としては、ハロゲン原子(例えば
塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えばメチル、
エチル、プロピル、ブチル、クロロメチル、メトキシメ
チル等)、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、
プロピオキシ、ブトキシ等)等が挙げられる。
【0109】a1 及びa2 は、互いに同じでも異な
っていてもよく、好ましくは水素原子、ハロゲン原子(
例えば塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜
4のアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブ
チル等)、−COO−R2 基又は炭化水素を介した−
COOR2基(R2 は水素原子又は炭素数1〜18の
アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、脂環式基又
はアリール基を表し、これらは置換されていてもよく、
具体的には上記R1 について説明したものと同様の内
容を表わす)を表わす。
【0110】上記炭化水素を介した−COOR2 基に
おける炭化水素としては、メチレン基、エチレン基、プ
ロピレン基等が挙げられる。
【0111】
【化29】
【0112】即ち、一般式(1)で表される重合性二重
結合基含有部分として、具体的には
【0113】
【化30】
【0114】等が挙げられる。
【0115】これらの重合性二重結合基含有部分は高分
子鎖の主鎖に直接結合されるか又は任意の連結基で結合
されたものである。連結する基として具体的には二価の
有機残基であって、
【0116】
【化31】
【0117】二価の脂肪族基として、例えば、
【011
8】
【化32】
【0119】が挙げられる{e1 及びe2 は、互い
に同じでも異なってもよく、各々水素原子、ハロゲン原
子(例えばフッ素、塩素、臭素等)又は炭素数1〜12
のアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、クロ
ロメチル、ブロモメチル、ブチル、ヘキシル、オクチル
、ノニル、デシル等)を表わす。Qは−O−、−S−又
は−NR20−を表し、R20は炭素数1〜4のアルキ
ル基、−CH2 Cl又は−CH2 Brを表わす}。
【0120】二価の芳香族基としては、例えばベンゼン
環基、ナフタレン環基及び5又は6員の複素環基(複素
環を構成するヘテロ原子として、酸素原子、イオウ原子
、窒素原子から選ばれたヘテロ原子を少なくとも1種含
有する)が挙げられる。これらの芳香族基は置換基を有
していてもよく、例えばハロゲン原子(例えばフッ素、
塩素、臭素等)、炭素数1〜8のアルキル基(例えばメ
チル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル
等)、炭素数1〜6のアルコキシ基(例えばメトキシ、
エトキシ、プロピオキシ、ブトキシ等)が置換基の例と
して挙げられる。
【0121】複素環基としては、例えばフラン環、チオ
フェン環、ピリジン環、ピラジン環、ピペラジン環、テ
トラヒドロフラン環、ピロール環、テトラヒドロピラン
環、1,3−オキサゾリン環等が挙げられる。
【0122】以上のような重合性二重結合基含有部分は
、具体的には高分子鎖中にランダム結合されているか又
は高分子鎖の主鎖の片末端にのみ結合されている。好ま
しくは、高分子鎖主鎖の片末端にのみ重合性二重結合基
含有部分が結合された重合体(以下、一官能性重合体〔
M〕と略記する)が挙げられる。
【0123】上記一官能性重合体〔M〕の一般式(1)
で示される重合性二重結合基含有部分と、これに連結す
る有機残基で構成される部分の具体例として各々次のも
のが挙げられるが、これらに限定されるものではない。 但し、以下の各例において、P1 は−H、−CH3 
−、−CH2 COOCH3 、−Cl、−Br又は−
CNを示し、P2 は−H又は−CH3 を示し、Xは
−Cl又は−Brを示し、nは2〜12の整数を示し、
mは1〜4の整数を示す。
【0124】
【化33】
【0125】
【化34】
【0126】
【化35】
【0127】
【化36】
【0128】
【化37】
【0129】好ましくは本発明の分散安定用樹脂は重合
性二重結合基部分を高分子中の側鎖に含有するが、この
重合体の合成は従来公知の方法によって製造することが
できる。
【0130】例えば、(1)重合反応性の異なる重合性
二重結合基を分子化に2個含有した単量体を共重合させ
る方法、(2)分子中に、カルボキシル基、ヒドロキシ
ル基、アミノ基、エポキシ基等の反応性基を含有した一
官能性単量体を共重合させて高分子を得た後、この高分
子側鎖中の反応基と化学結合しうる他の反応性基を含有
した重合性二重結合基を含む有機低分子化合物との反応
を行う、いわゆる高分子反応によって導入する方法、等
が通常よく知られた方法として挙げられる。
【0131】上記(1)の方法として、例えば特開昭6
0−185962号公報に記載の方法等が挙げられる。
【0132】上記(2)の方法として、具体的には岩倉
義男、栗田恵輔「反応性高分子」講談社(1977年刊
)、小田良平「高分子ファインケミカル」講談社(19
76年刊行)、特開昭61−43757号公報、特願平
1−149305号として出願した明細書等に詳細に記
載されている。
【0133】例えば、下記表1のA群の官能基とB群の
官能基の組み合わせによる高分子反応が、通常よく知ら
れた方法として挙げられる。なお表1のR22,R23
は炭化水素基で、前出の一般式(1)におけるR1と同
一の内容を表わす。
【0134】
【表1】
【0135】本発明の分散安定用樹脂として更に好まし
い、重合性二重結合基部分を主鎖の片末端に含有する一
官能性重合体〔M〕は、従来公知の合成方法によって製
造することができる。例えば、イ)アニオン重合あるい
はカチオン重合によって得られるリビングポリマーの末
端に種々の試薬を反応させて一官能性重合体〔M〕を得
る、イオン重合法による方法、ロ)分子中にカルボキシ
ル基、ヒドロキシル基、アミノ基等の反応性基を含有し
た重合開始剤及び/又は連鎖移動剤を用いて、ラジカル
重合して得られる末端反応性基結合の重合体と種々の試
薬を反応させて一官能性重合体〔M〕を得るラジカル重
合法による方法、ハ)重付加あるいは重縮合反応により
得られた重合体に上記ラジカル重合法と同様にして、重
合性二重結合基を導入する重付加縮合法による方法等が
挙げられる。
【0136】具体的には、P.Dreyfuss  &
  R.P.Quirk,  Encycl.Poly
m.Sci.Eng.,7,551(1987)、P.
F.Rempp,  E.Franta,  Adv.
Polym.Sci.,58,1(1984)、V.P
ercec,  Appl.Poly.Sci.,28
5,95(1984)、R.Asami,M.Taka
ri,Macromol.Chem.Suppl.,1
2,163(1985)、P.Rempp.,et  
al,Macromol.Chem.Suppl.,8
,3(1984)、川上雄資,化学工業,38,56(
1987)、山下雄也、高分子,31,988(198
2)、小林四郎,高分子,30,625(1981)、
東村敏延,日本接着協会誌,18,536(1982)
、伊藤浩一、高分子加工,35,262(1986)、
東貴四郎,津田隆,機能材料,1987,No.10,
5等の総説及びそれに引例の文献・特許等に記載の方法
に従って合成することができる。
【0137】以上の如き一官能性重合体〔M〕の合成方
法として更に具体的には、ラジカル重合性単量体に相当
する繰り返し単位を含有する重合体〔M〕は、特開平2
−67563号公報、特願昭63−64970、特願平
1−206989、同1−69011各号として出願の
明細書等に記載されており、又、ポリエステル構造又は
ポリエーテル構造を繰り返し単位として含有する重合体
〔M〕は、特願平1−56379、同1−58989、
同1−56380各号として出願の明細書等に各々記載
されている方法と同様にして得られる。
【0138】本発明の分散樹脂粒子は、以上説明した様
に、極性基含有の一官能性単量体(A)、ケイ素原子及
び/又はフッ素原子含有の一官能性単量体(B)を上記
分散安定用樹脂の存在下で分散重合させて得られる共重
合体樹脂粒子である。
【0139】更に、本発明の分散樹脂粒子が網目構造を
有する場合は、上記した極性基含有一官能性単量体(A
)及びフッ素原子及び/又はケイ素原子を含有の一官能
性単量体(B)を重合体成分〔重合体成分(A)と略記
する〕として成る重合体の重合体間が橋架けされており
、高次の網目構造を形成している。
【0140】すなわち、本発明の分散樹脂粒子は、重合
体成分(A)から構成される非水分散溶媒に不溶な部分
と、該溶媒に可溶とする重合体とで構成される、非水系
ラテックスであり、網目構造を有する場合は、この該溶
媒に不溶な部分を形成している重合体成分(A)の分子
間が橋架けされているものである。
【0141】これにより、網目樹脂粒子は水に対して難
溶性あるいは不溶性となったものである。具体的には、
該樹脂の水への溶解性は、80重量%以下好ましくは5
0重量%以下である。
【0142】架橋方法は、従来公知の架橋方法によって
行うことができる。即ち、(イ)該重合体成分(A)を
含有する重合体を種々の架橋剤あるいは硬化剤によって
架橋する方法、(ロ)該重合体成分(A)に相当する単
量体を少なくとも含有させて重合反応を行う際に、重合
性官能基を2個以上含有する多官能性単量体あるいは多
官能性オリゴマーを共存させることにより分子間に網目
構造を形成する方法、及び(ハ)該重合体成分(A)と
反応性基を含有する成分を含む重合体類とを重合反応あ
るいは高分子反応によって架橋させる方法等の方法によ
って行うことができる。
【0143】上記(イ)の方法の架橋剤としては、通常
架橋剤として用いられる化合物を挙げることができる。 具体的には、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブッ
ク」大成社刊(1981年)、高分子学会編「高分子デ
ータハンドブック基礎編」培風館(1986年)等に記
載されている化合物を用いることができる。
【0144】例えば、有機シラン系化合物(例えば、ビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルトリエトキシシラン、r−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン等のシラカップリング剤等)、
ポリイソシアナート系化合物(例えば、トルイレンジイ
ソシアナート、o−トルイレンジイソシアナート、ジフ
ェニルメタンジイソシアナート、トリフェニルメタント
リイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルイソシア
ナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロン
ジイソシアナート、高分子ポリイソシアナート等)、ポ
リオール系化合物(例えば、1,4−ブタンジオール、
ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレ
ングリコール、1,1,1−トリメチロールプロパン等
)、ポリアミン系化合物(例えば、エチレンジアミン、
γ−ヒドロキシプロピル化エチレンジアミン、フェニレ
ンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N−アミノエチ
ルピペラジン、変性脂肪族ポリアミン類等)、ポリエポ
キシ基含有化合物及びエポキシ樹脂(例えば、垣内弘編
著「新エポキシ樹脂」昭晃堂(1985年刊)、橋本邦
之編著「エポキシ樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊
)等に記載された化合物類)、メラミン樹脂(例えば、
三輪一郎、松永英夫編著「ユリア・メラミン樹脂」日刊
工業新聞社(1969年刊)等に記載された化合物類)
、ポリ(メタ)アクリレート系化合物(例えば、大河原
信、三枝武夫、東村敏延編「オリゴマー」講談社(19
76年刊)、大森英三「機能性アクリル系樹脂」テクノ
システム(1985年刊)等に記載された化合物類が挙
げられ、具体的には、ポリエチレングリコールジアクリ
レート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,
6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロール
プロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールポリ
アクリレート、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテ
ルジアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びこ
れらのメタクリレート体等がある。
【0145】又、上記(ロ)の方法で共存させる重合性
官能基を2個以上含有する多官能性単量体〔多官能性単
量体(D)とも称する〕あるいは多官能性オリゴマーの
重合性官能基としては、具体的には
【0146】
【化38】
【0147】等を挙げることができる。これらの重合性
官能基の同一のものあるいは異なったものを2個以上有
した単量体あるいはオリゴマーであればよい。
【0148】重合性官能基を2個以上有した単量体の具
体例は、例えば同一の重合性官能基を有する単量体ある
いはオリゴマーとして、ジビニルベンゼン、トリビニル
ベンゼン等のスチレン誘導体:多価アルコール(例えば
、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエ
チレングリコール、ポリエチレングリコール#200、
#400、#600、1,3−ブチレングリコール、ネ
オペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリ
メチロールエタン、ペンタエリスリトールなど)、又は
ポリヒドロキシフェノール(例えばヒドロキノン、レゾ
ルシン、カテコールおよびそれらの誘導体)のメタクリ
ル酸、アクリル酸又はクロトン酸のエステル類、ビニル
エーテル類又はアリルエーテル類:二塩基酸(例えばマ
ロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン
酸、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等)のビニルエ
ステル類、アリルエステル類、ビニルアミド類又はアリ
ルアミド類:ポリアミン(例えばエチレンジアミン、1
,3−プロピレンジアミン、1,4−ブチレンジアミン
等)とビニル基を含有するカルボン酸(例えば、メタク
リル酸、アクリル酸、クロトン酸、アリル酢酸等)との
縮合体などが挙げられる。
【0149】又、異なる重合性官能基を有する単量体あ
るいはオリゴマーとしては、例えば、ビニル基を含有す
るカルボン酸(例えばメタクリル酸、アクリル酸、メタ
クリロイル酢酸、アクリロイル酢酸、メタクリロイルプ
ロピオン酸、アクリロイルプロピオン酸、イタコニロイ
ル酢酸、イタコニロイルプロピオン酸、カルボン酸無水
物等)とアルコール又はアミンの反応体(例えばアリル
オキシカルボニルプロピオン酸、アリルオキシカルボニ
ル酢酸、2−アリルオキシカルボニル安息香酸、アリル
アミノカルボニルプロピオン酸等)等のビニル基を含有
したエステル誘導体又はアミド誘導体(例えばメタクリ
ル酸ビニル、アクリル酸ビニル、イタコン酸ビニル、メ
タクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコン酸アリ
ル、メタクリロイル酢酸ビニル、メタクリロイルプロピ
オン酸ビニル、メタクリロイルプロピオン酸アリル、メ
タクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルエステル、ア
クリル酸ビニルオキシカルボニルメチルオキシカルボニ
ルエチレンエステル、N−アリルアクリルアミド、N−
アリルメタクリルアミド、N−アリルイタコン酸アミド
、メタクリロイルプロピオン酸アリルアミド等)又はア
ミノアルコール類(例えばアミノエタノール、1−アミ
ノプロパノール、1−アミノブタノール、1−アミノヘ
キサノール、2−アミノブタノール等)とビニル基を含
有したカルボン酸との縮合体などが挙げられる。
【0150】本発明に用いられる2個以上の重合性官能
基を有する単量体あるいはオリゴマーは、単量体(A)
及び(A)と共存する他の単量体との総量に対して10
モル%以下、好ましくは5モル%以下用いて重合し、樹
脂を形成する。
【0151】更には、上記(ハ)の方法の高分子間の反
応性基同士の反応により化学結合を形成し高分子間の橋
架けを行う場合には、通常の有機低分子化合物の反応と
同様に行うことができる。具体的には、分散安定用樹脂
の合成法において記載したと同様の方法に従って合成す
ることができる。
【0152】分散重合において、粒子の粒径が揃った単
分散性の粒子が得られること及び0.5μm以下の微小
粒子が得られ易いこと等から、網目構造形成の方法とし
ては、多官能性単量体を用いる(ロ)の方法が好ましい
【0153】以上の如く、本発明の網目分散樹脂粒子は
、極性基を含有する繰り返し単位と、フッ素原子及び/
又はケイ素原子含有置換基を有する繰り返し単位とを含
む重合体成分と、該非水溶媒に可溶性の重合体成分とを
含有し、且つ分子鎖間が高次に橋架けされた構造を有す
る重合体の粒子である。
【0154】非水溶媒系分散樹脂粒子の製造に用いられ
る非水溶媒としては、沸点200℃以下の有機溶媒であ
ればいずれでもよく、それは単独であるいは2種以上を
混合して使用してもよい。
【0155】この有機溶媒の具体例は、メタノール、エ
タノール、プロパノール、ブタノール、フッ化アルコー
ル、ベンジルアルコール等のアルコール類、アセトン、
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチルケト
ン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のカルボン酸エ
ステル類、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、ト
リデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の炭素数
6〜14の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチレ
ンクロリド、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、ク
ロロホルム、メチルクロロホルム、ジクロロプロパン、
トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等が挙げら
れる。ただし、以上述べた化合物例に限定されるもので
はない。
【0156】これらの非水溶媒系で分散樹脂粒子を分散
重合法で合成することにより、樹脂粒子の平均粒子径は
容易に1μm以下となり、しかも粒子径の分布が非常に
狭く且つ単分散の粒子とすることができる。
【0157】具体的には、K.E.J.Barrett
  「Dispersion  Polymeriza
tion  in  Organic  Media」
John  Wiley(1975年)、村田耕一郎、
高分子加工、23、20(1974)、松本恒隆、丹下
豊吉、日本接着協会誌9、183(1973)、丹下豊
吉、日本接着協会誌23、26(1987)、D.J.
  Walbridge、NATO.Adv.stud
y.Inst.Ser.E.  No.67、40(1
983)、英国特許第893429、同934038各
号明細書、米国特許第1122397、同390041
2、同4606989各号明細書、特開昭60−179
751、同60−185963各号公報等にその方法が
開示されている。
【0158】本発明の分散樹脂は、単量体(A)及び単
量体(B)と分散安定用樹脂の少なくとも各々1種以上
から成り、網目構造を形成する場合には必要に応じて多
官能性単量体(D)を共存させて成り、いずれにしても
重要な事は、これら単量体から合成された樹脂が該非水
溶媒に不溶であれば、所望の分散樹脂を得ることができ
る。より具体的には、不溶化する単量体(A)及び単量
体(B)に対して、分散安定用樹脂を1〜50重量%使
用することが好ましく、さらに好ましくは2〜30重量
%である。又該樹脂粒子の分子量は104 〜106 
であり、好ましくは104 〜5×105 である。
【0159】以上の如き本発明で用いられる分散樹脂粒
子を製造するには、一般に、単量体(A)、単量体(B
)、分散安定用樹脂、更には、多官能性単量体(D)と
を非水溶媒中で過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロ
ニトリル、ブチルリチウム等の重合開始剤の存在下に加
熱重合させればよい。具体的には、(イ)単量体(A)
、単量体(B)、分散安定用樹脂及び多官能性単量体(
D)の混合溶媒中に重合開始剤を添加する方法、(ロ)
非水溶媒中に、上記重合性化合物及び重合開始剤の混合
物を滴下又は任意に添加する方法等があり、これらに限
定されずいかなる方法を用いても製造することができる
【0160】重合性化合物の総量は非水溶媒100重量
部に対して5〜80重量部程度であり、好ましくは10
〜50重量部である。
【0161】重合開始剤の量は、重合性化合物の総量の
0.1〜5重量%である。又、重合温度は30〜180
℃程度であり、好ましくは40〜120℃である。反応
時間は1〜15時間が好ましい。
【0162】以上の如くして本発明により製造された非
水系分散樹脂は、微細でかつ粒度分布が均一な粒子とな
る。
【0163】本発明の分散樹脂粒子を含有する表面層の
他の主要な成分として該樹脂粒子の結着するマトリック
ス樹脂が挙げられる。この結着樹脂は、従来公知の電子
写真感光体の表面層用樹脂あるいは電子写真感光層用結
着樹脂のいずれでもよい。
【0164】供される樹脂の分子量は、好ましくは10
3 〜106 、より好ましくは5×103 〜5×1
05 である。又この樹脂のガラス転移点は好ましくは
−10℃〜120℃、より好ましくは0℃〜85℃であ
る。
【0165】例えば、アルキッド樹脂、酢酸ビニル樹脂
、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、アク
リル樹脂等があげられ、具体的には、栗田隆治・石渡次
郎、高分子、第17巻、第278頁(1968年)、宮
本晴視、武井秀彦、イメージング、1973(No.8
)第9頁等の総説引例の公知材料等が挙げられる。
【0166】好ましくは、無機光導電体として光導電性
酸化亜鉛を用いる電子写真感光体の結着樹脂として知ら
れるメタクリレートを重合体成分として含有するランダ
ム共重合体群がその1つとして挙げられる。例えば特公
昭50−2242号、特公昭50−31011号、特開
昭50−98324号、特開昭50−98325号、特
公昭54−13977号、特公昭59−35013号、
特開昭54−20735号、特開昭57−202544
号等に記載の樹脂が挙げられる。
【0167】更に重量平均分子量が2万以下でメタクリ
レートと酸性分含有モノマーとのランダム共重合体と重
量平均分子量3万以上の他の樹脂又は、熱及び/又は光
で硬化する化合物との組み合わせで構成される結着樹脂
(例えば特開昭63−220148号、特開昭63−2
20149号、特開平2−34860号、特開平2−4
0660号、特開平2−53064号、特開平1−10
2573号等)を併用してもよく、あるいは重量平均分
子量が2万以下でメタクリレート成分含有の重合体であ
り且つその重合体主鎖の片末端に酸性基を含有して成る
重合体と、重量平均分子量3万以上の他の樹脂又は熱及
び/又は光で硬化する化合物との組み合わせで構成され
る結着樹脂(例えば特開平1−169455号、同1−
280761号、同1−214865号、同2−874
号、特願昭63−221485号、特願昭63−220
442号、特願昭63−220441号等)を併用して
もよい。
【0168】また、表面層自体の強度、電子写真感光層
との接着性あるいは電子写真特性等の改善のために、前
記した本発明の樹脂粒子やマトリックス樹脂以外の樹脂
を添加したり、可塑剤等を添加してもよい。
【0169】架橋剤としては、通常用いられる有機過酸
化物、金属セッケン、有機シラン、ポリウレタンの如き
架橋剤、エポキシ樹脂の如き硬化剤等を用いることがで
きる。具体的には、山下晋三・金子東助編「架橋剤ハン
ドブック」大成社(1981年)等に記載されている。
【0170】更に、親水化可能な表面層は、トナー現像
時の現像特性、トナー像の接着性あるいは親水化処理後
の保水性などを向上させる目的で、その表面が機械的に
マット化されていたり、層にマット剤が含有されていて
もよい。マット剤としては、二酸化珪素、酸化亜鉛、酸
化チタン、酸化ジルコニウム、ガラス粒子、アルミナ、
クレーなどの充填剤や、ポリメチルメタアクリレート、
ポリスチレン、フェノール樹脂などの重合体粒子などが
例示できる。
【0171】該表面層を構成する場合に重要な事は、前
記の如く、不感脂化処理後非画像部が充分に親水性に変
化することである。
【0172】即ち、この親水性は、例えば、水に対する
接触角を測定することによって確認することができる。 不感脂化処理を行う以前の表面層(親水化可能層)の表
面の水に対する接触角は約60°〜120°であるが、
不感脂化処理後はそれは約5°〜20°にまで低下し、
水に非常によく濡れるようになる。このため、印刷版は
親油性トナーからなる画像部と高度に親水性の非画像部
とをその表面に形成していることになる。したがって、
不感脂化処理後の表面層が水との接触角で20度以下に
なる様にすればよい。
【0173】本発明においては、従来のものに比べその
親水性が更に良好である点で特に優れている。
【0174】本発明に用いられる電子写真感光層(光導
電層)には、無機の光導電性化合物、有機の光導電性化
合物を問わず、あらゆる光導電性物質が使用できる。
【0175】無機光導電性物質としては、例えば、酸化
亜鉛、酸化チタン、硫化亜鉛、セレン、セレン合金、硫
化カドミウム、セレン化カドミウム、シリコンなどがあ
げられ、これらは結着性樹脂とともに光導電層を形成し
てもよいし、また、蒸着あるいはスパッタリング等によ
り単独で光導電層を形成してもよい。有機の光導電性物
質としては、例えば高分子のものでは、以下の(1)〜
(5)のものを挙げることができる。
【0176】(1)特公昭34−10966号公報記載
のポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、(2)特
公昭43−18674号公報、特公昭43−19192
号公報記載のポリビニルピレン、ポリビニルアントラセ
ン、ポリ−2−ビニル−4−(4’−ジメチルアミノフ
ェニル)−5−フェニル−オキサゾール、ポリ−3−ビ
ニル−N−エチルカルバゾールなどのビニル重合体、(
3)特公昭43−19193号公報記載のポリアセナフ
チレン、ポリインデン、アセナフチレンとスチレンの共
重合体などのような重合体、(4)特公昭56−139
40号公報などに記載のピレン−ホルムアルデヒド樹脂
、ブロムピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバ
ゾール−ホルムアルデヒド樹脂などの縮合樹脂、(5)
特開昭56−90833号、同56−161550号公
報に記載された各種のトリフェニルメタンポリマー。ま
た低分子のものでは例えば以下の(6)〜(18)のも
のを挙げることができる(6)米国特許第311219
7号明細書などに記載されたいるトリアゾール誘導体、
(7)米国特許第3189447号明細書などに記載さ
れているオキサジアゾール誘導体、(8)特公昭37−
16096号公報などに記載されているイミダゾール誘
導体、(9)米国特許第3615402号、同第382
0989号、同3542544号、特公昭45−555
号、特公昭51−10983号、特開昭51−9322
4号、特開昭55−17105号、特開昭56−414
8号、特開昭55−108667号、特開昭55−15
6953号、特開昭56−36656号明細書、公報な
どに記載のポリアリールアルカン誘導体、(10)米国
特許第3180729号、同第4278746号、特開
昭55−88064号、特開昭55−88065号、特
開昭49−105537号、特開昭55−51086号
、特開昭56−80051号、特開昭56−88141
号、特開昭57−45545号、特開昭54−1126
37号、特開昭55−74546号明細書、公報などに
記載されているピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導
体、(11)米国特許第3615404号明細書、特公
昭51−10105号、特開昭54−83435号、特
開昭54−110836号、特開昭54−119925
号、特公昭46−3712号、特公昭47−28336
号明細書、公報などに記載されているフェニレンジアミ
ン誘導体、(12)米国特許第3567450号、特公
昭49−35702号、西独国特許(DAS)1110
518号、米国特許第3180703号、米国特許第3
240597号、米国特許第3658520号、米国特
許第4232103号、米国特許第4175961号、
米国特許第4012376号、特開昭55−14425
0号、特開昭56−119132号、特公昭39−27
577号、特開昭56−22437号明細書、公報など
に記載されているアリールアミン誘導体、(13)米国
特許第3526501号明細書記載のアミノ置換カルコ
ン誘導体、(14)米国特許第3542546号明細書
などに記載のN,N−ビカルバジル誘導体、(15)米
国特許第3257203号明細書などに記載のオキサゾ
ール誘導体、(16)特開昭56−46234号公報な
どに記載のスチリルアントラセン誘導体、(17)特開
昭54−110837号公報などに記載されているフル
オレノン誘導体、(18)米国特許第3717462号
、特開昭54−59143号、特開昭55−52063
号、特開昭55−52064号、特開昭55−4676
0号、特開昭55−85495号、特開昭57−113
50号、特開昭57−148749号各明細書、公報な
どに開示されているヒドラゾン誘導体。
【0177】これらの光導電性物質は、場合により2種
類以上併用することもできる。
【0178】これらの光導電性物質の中では、ポリ−N
−ビニルカルバゾール;トリ−p−トリルアミンおよび
トリフェニルアミンなどの如きトリアリールアミン;4
,4’−ビス(ジエチルアミン)−2,2’−ジメチル
トリフェニルメタンなどの如きポリアリールメタン;お
よび3−(4−ジメチルアミノフェニル)−1,5’ジ
フェニル−2−ピラゾリンなどの如きピラゾリン誘導体
で代表される不飽和の複素環含有化合物等が好ましく用
いられる。
【0179】組み合わせ得る結合剤としては、従来知ら
れている全てのものが利用できる。代表的なものは塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合物、スチレン−ブタジエン共
重合物、スチレン−ブチルメタクリレート共重合物、ポ
リメタクリレート、ポリアクリレート、ポリ酢酸ビニル
、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂、シリコーン
樹脂、エポキシ樹脂、エポキシエステル樹脂、ポリエス
テル樹脂等である。また、水性のアクリルエマルジョン
、アクリルエステルエマルジョンと組み合わせることも
可能である。
【0180】結合剤として有用な特定の重合体物質の例
については、リサーチ・ディスクロージャー(Rese
arch  Disclosure)、109巻、61
−67頁の「電子写真要素、材料および方法」という題
名の下に記載されている。
【0181】一般に、本発明に用いられる光導電性粗成
物に存在させる結合剤の量は変更可能である。代表的に
は結合剤の有用な量は、光導電性と結合剤の混合物の全
量に対して、約10ないし約90重量%の範囲内である
【0182】更に、分光増感剤として従来公知の化合物
を添加することができる。例えば、キサンテン系色素、
トリフェニルメタン系色素、アジン系色素、フタロシア
ニン系色素(含金属)、ポリメチン系色素等が挙げられ
、具体的には、宮本晴視、武井秀彦編、「イメージング
」1973(No.8),2;C.J.Young,R
.C.A.Reciew  15,469(1954)
;清田航平等、電気通信学会論文誌  J63−C(N
o.2)、97(1980);原崎勇次等、工業化学雑
誌、66、78及び188(1963);谷忠昭、日本
写真学会誌、35、208(1972);Resear
ch  Disclosure,1982年216,1
17〜118;総合技術資料集「最近の光導電材料と感
光体の開発・実用化」日本科学情報 (株)出版部刊(
1986年)等の総説引例の公知材料等があげられる。
【0183】光導電層は、一層から形成されていてもよ
いが、二層以上の多層から形成されていてもよい。
【0184】多層である場合には、例えば、前記の無機
光導電体またはフタロシアニン顔料、アゾ顔料などの有
機顔料及び必要により加えられる結着性樹脂からなる電
荷発生層と、前記した高分子化合物や低分子化合物及び
結着性樹脂からなる電荷搬送層とを積層した、所謂、機
能分離型の光導電性層の形態のものが考えられる。
【0185】本発明に用いられる光導電層は、通常用い
られる公知の支持体上に設けることができる。一般に言
って電子写真感光層の支持体は、導電性であることが好
ましく、導電性支持体としては、従来と全く同様、例え
ば、金属、紙、プラスチックシート等の基体に低抵抗性
物質を含浸させるなどして導電処理したもの、基体の裏
面(感光層を設ける面と反対面)に導電性を付与し、更
にはカール防止を図る等の目的で少なくとも1層以上を
コートしたもの、前記支持体の表面に耐水性接着層を設
けたもの、前記支持体の表面層に必要に応じて少なくと
も1層以上のプレコート層が設けられたもの、アルミニ
ウム等を蒸着した基体化プラスチックを紙にラミネート
したもの等が使用できる。
【0186】具体的に、導電性基体あるいは導電化材料
の例として、坂本幸男「電子写真」14(No.1),
p.2〜11(1975);森賀弘之「入門特殊紙の化
学」高分子刊行会(1975)、M.F.Hoover
,J.Macromol.Sci.Chem.,A−4
(6),第1327〜1417頁(1970)等に記載
されているもの等を用いる。
【0187】適当な支持体上の光導電性粗成物の塗布厚
は、広く変えることができる。普通は、約10ミクロン
から約300ミクロン(但し、乾燥前)の範囲内で塗布
することができる。乾燥前の塗布厚の好ましい範囲は、
約50ミクロンないし約150ミクロンの範囲内である
ことがわかった。しかし、この範囲をはずれても有益な
結果を得ることができる。この塗布物を乾燥させた場合
の厚さは、約1ミクロンから約50ミクロンの範囲内で
あればよい。
【0188】本発明の親水化可能な表面層の厚さは10
μm以下であり、特にカールソンプロセス用としては0
.1〜5μmであることが好ましい。
【0189】5μmより厚いと、平版印刷用原版の電子
写真用感光体としての感度の低下や残留電位が高くなる
といった不都合が生じ得る。
【0190】実際に本発明の平版印刷用原版を作るには
、一般的に、まず常法に従って導電性支持体上に電子写
真感光層(光導電層)を形成する。次いで、この層の上
に、本発明の樹脂、更には必要により前記した添加剤等
を沸点が200℃以下の揮発性炭化水素溶剤に溶解又は
分散し、これを塗布・乾燥することによって製造するこ
とができる。用いる有機溶剤としては、具体的にはとく
にジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエ
タン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパンまたはト
リクロロエタンなどの如き、炭素数1〜3のハロゲン化
炭化水素が好ましい。その他クロロベンゼン、トルエン
、キシレンまたはベンゼンなどの如き芳香族炭化水素、
アセトンまたは2−ブタノン等の如きケトン類、テトラ
ヒドロフランなどの如きエーテルおよびメチレンクロリ
ドなど、塗布用組成物に用いられる各種の溶剤および上
記溶剤の混合物も使用可能である。
【0191】以上の如くして得られた原版を、通常の電
子写真法に従って該原版上にトナー像を形成する。これ
を不感脂化処理液(例えば、酸性又はアルカリ性の水溶
液あるいは還元剤を溶解した水溶液など)で処理して非
画像部を親水性に変えることにより印刷版を得ることが
できる。
【0192】このように、本発明における親水化可能層
を用いれば、従来公知のあらゆる電子写真感光体が、高
品質の平版印刷用原版として使用が可能となる。親水化
可能層は、親水処理後、高い親水性と耐水性が両立する
皮膜であり、また、トナー画像との接着性も極めて良好
で、したがって得られた平版印刷用原版は地汚れの発生
が非常に抑制されるとともに、高い耐刷性を有する。
【0193】さらに、本発明の印刷版は電子写真感光層
本来の感度をほとんどそのまま維持することができるの
で、従来の電子写真製版用の印刷原版に比べ飛躍的に高
感度な印刷原版が得られる。また、従来はひとつの層で
光導電性と親水化が可能であるという性質を持たねばな
らないため、酸化亜鉛など限られた材料しか使用できな
かったが、本発明の印刷原版では光導電層と親水化可能
層に機能が分離しているので、光導電層の選択の範囲が
広がり、したがって、たとえば長波長光領域に高感度な
材料を選択すれば、従来不可能であったHe−Neレー
ザーや半導体レーザーにより書き込みが可能となる。
【0194】また、本発明の印刷原版では、非画像部の
親水化が、親水化処理液に数秒間浸漬するだけでできる
ので、小型、簡易な装置で製版が可能となる。
【0195】本発明の平版印刷用原版用いた印刷物の作
製は、上記した構成から成る電子写真用原版に常法によ
り複写画像を形成後、非画像部を不感脂化処理する事で
作製される。本発明の分解により親水性基を生成する官
能基含有の本発明の樹脂を不感脂化する(即ち親水性の
発現)方法としては、処理液を通すことで加水分解する
方法レドックス反応で分解する方法あるいは光照射して
分解する方法が挙げられる。
【0196】該処理液は所定のpHに調節するpH調整
剤を含有する水溶液であり、設定するpHは、本発明の
親水性基生成官能基の種類によって異なり、pH1〜1
3まで適宜用いることができる。
【0197】更に、他の化合物を含有してもよく、例え
ば水に可溶性の有機溶媒を水100重量部中に1〜50
重量部含有してもよい。このような水に可溶性の有機溶
媒としては、例えばアルコール類(メタノール、エタノ
ール、プロパノール、プロパギルアルコール、ベンジル
アルコール、フェネチルアルコール等)、ケトン類(ア
セトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等)、エ
ーテル類(ジオキサン、トリオキサン、テトラヒドロフ
ラン、エチレングリコール、プロピレングリコール、エ
チレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリ
コールモノメチルエーテル、テトラヒドロピラン等)、
アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド等)エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸エチ
ル等)等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を混合
して用いてもよい。
【0198】また、界面活性剤を水100重量部中に0
.1〜20重量部含有してもよい。界面活性剤としては
、従来公知のアニオン性、カチオン性あるいはノニオン
性の各界面活性剤が挙げられる。例えば、堀口博「新界
面活性剤」三共出版 (株)、(1975年刊)、小田
良平、寺村一広「界面活性剤の合成とその応用」槙書店
(1980年刊)等に記載される化合物を用いることが
できる。
【0199】本発明の範囲は、上記した具体的化合物例
に限定されるものではない。
【0200】処理の条件は、温度15℃〜60℃で浸漬
時間は10秒〜5分間が好ましい。本発明の樹脂中の特
定の官能基を光照射で分解する方法としては、製版にお
けるトナー画像を得た後のいずれかの間で「化学的活性
光線」で光照射する行程を入れる様にすればよい。即ち
、電子写真現像後、トナー画像の定着時に定着を兼ねて
光照射を行ってもよいし、或いは従来公知の他の定着法
、例えば加熱定着、圧力定着、溶剤定着などにより定着
した後、光照射を行うものである。
【0201】本発明に用いられる「化学的活性光線」と
しては、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線、
γ線、α線などいずれでもよいが、好ましくは紫外線が
挙げられる。より好ましくは波長310nmから波長5
00nmの範囲での光線を発しうるものが好ましく、一
般には高圧あるいは超高圧の水銀ランプ等が用いられる
。光照射の処理は通常5cm〜50cmの距離から10
秒〜10分間の照射で充分に行うことができる。
【0202】
【作用】本発明は、光導電層を有し且つ電子写真感光体
の最上層に表面層を設けたもので、該表面層の非画像部
を不感脂化処理することで親水化し印刷用原版として用
いる電子写真式製版システム用の原版を提供するもので
ある。
【0203】本発明において、分解により少なくとも1
つのカルボキシル基を生成する官能基を少なくとも1種
含有し、またその少なくとも一部分が架橋されている樹
脂粒子は、表面層に該表面層のマトリックスである結着
樹脂とは別個にかつ粒子として分散していること及び該
樹脂粒子は、フッ素原子及び/又はケイ素原子を少なく
とも1ケ含有する共重合成分を含有していることが重要
である。
【0204】これにより本発明による平版印刷用原版は
、原画に対して忠実な複写画像を再現し、非画像部の親
水性が良好であるため地汚れも発生せず、更に非画像部
親水性の持続力向上により耐刷力が優れているという利
点を有する。
【0205】平版印刷用原版としては、非画像部の表面
部分が充分に親水化されている事が重要であるのに対し
て、前記の分解反応により親水性基を生成する型の公知
の樹脂は、表面層の全体に均一に分散されたものである
。従って、該公知の樹脂において表面を充分に親水化す
るためには表面層全体に且つ多くの存在割合で親水性基
生成官能基が存在して初めて印刷可能な親水化状態にな
る。
【0206】しかし、本発明の表面層では、供される樹
脂粒子は、フッ素原子及び/又はケイ素原子を少なくと
も1ケ含有する共重合成分を含有することから、表面層
の表面部分に濃縮して存在することができる。この事に
より加水分解反応、レドックス反応による分解反応ある
いは光分解反応等の不感脂化処理で親水基を発現した本
発明の粒子は表面部分に存在することになり有効に表面
層の親水性を発現する、と同時に、粒子自身の保水性に
よりその効果が向上し、更には架橋構造を有する粒子で
は、吸水能を有することから、保水性より高められる。
【0207】他方、本発明の粒子は、親油性である分散
安定用樹脂を結合していることから、表面層の結着樹脂
等と相互作用しており、不感脂化処理で親水性に変換し
た粒子の流出を抑制する効果を発揮する。
【0208】更には、該分散安定用樹脂中に共重合成分
として架橋性基を含有する場合には、表面層の中で互い
に架橋するあるいは結着樹脂と架橋する等の作用により
、粒子の固定がより充分になされる効果を発揮する。
【0209】以下、本発明における分散安定用樹脂、及
び樹脂粒子の製造例を説明する。
【0210】分散安定用樹脂の製造例1:〔P−1〕ド
デシルメタクリレート100g、グリシジルメタクリレ
ート3g及びトルエン200gの混合溶液を、窒素気流
下撹拌しながら、温度75℃に加温した。2,2’−ア
ゾビスイソブチロニトリル(略称A.I.B.N.)1
.0gを加え4時間撹拌し、更にA.I.B.N.  
0.5gを加え4時間撹拌した。次に、この反応混合物
にメタアクリル酸5g、N,N−ジメチルドデシルアミ
ン0.1g、t−ブチルハイドロキノン0.5gを加え
、温度110℃にて、8時間撹拌した。
【0211】冷却後、メタノール2リットル中に再沈し
、やや褐色気味の油状物を捕集後、乾燥した。収量73
gで重量平均分子量(Mw)3.6×104 であった
【0212】
【化39】
【0213】分散安定用樹脂の製造例2:〔P−2〕2
−エチルヘキシルメタクリレート100g、トルエン1
50g及びイソプロパノール50gの混合溶液を、窒素
気流下撹拌しながら温度75℃に加温した。2,2’−
アゾビス(4−シアノ吉草酸)(略称A.C.V.)2
g加え4時間反応し、更にA.C.V.  0.8gを
加えて4時間反応した。冷却後、メリノール2リットル
中に再沈し、油状物を捕集し乾燥した。
【0214】得られた油状物50g、2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート6g、テトラヒドロフラン150g
の混合物を溶解し、これにジシクロヘキシルカルボジイ
ミド(D.C.C.)8g、4−(N,N−ジメチルア
ミノ)ピリジン0.2g及び塩化メチレン20gの混合
溶液を温度25〜30℃で滴下し、更にそのまま4時間
撹拌した。
【0215】次にこの反応混合物にギ酸5gを加え1時
間撹拌した。析出した不溶物を濾別した後、濾液をメタ
ノール1リットル中に再沈し油状物を濾集した。更に、
この油状物をテトラヒドロフラン200gに溶解し、不
溶物を濾別後再びメタノール1リットル中に再沈し、油
状物を捕集し乾燥した。収量32gでMw4.2×10
4 であった。
【0216】
【化40】
【0217】分散安定用樹脂の製造例3:〔P−3〕ブ
チルメタクリレート100g、チオグリコール酸3g及
びトルエン200gの混合溶液を、窒素気流下撹拌しな
がら、温度70℃に加温した。A.I.B.N.を1.
0gを加え8時間反応した。次にこの反応溶液にグリシ
ジルメタクリレート8g、N,N−ジメチルドデシルア
ミン1.0g及びt−ブチルハイドロキノン0.5gを
加え、温度100℃にて、12時間撹拌した。冷却後こ
の反応溶液をメタノール2リットル中に再沈し、油状物
を82g得た。重合体の数平均分子量は7.6×103
 であった。
【0218】
【化41】
【0219】分散安定用樹脂の製造例4:〔P−4〕ヘ
キシルメタクリレート100g,2−メルカプトエタノ
ール2g、テトラヒドロフラン200gの混合溶液を、
窒素気流下撹拌しながら温度60℃に加温した。これに
2,2’−アゾビス(イソバレロニトリル)(略称:A
.I.V.N.)1.0gを加え4時間反応し、更にA
.I.V.N.0.5gを加え3時間反応した。 反応物を温度25℃に冷却後、この反応物にメタクリル
酸5gを加え、撹拌下にD.C.C.10.5g、4−
(N,N−ジメチルアミノピリジン)0.2g及び塩化
メチレン20gの混合溶液を1時間で滴下した。
【0220】更に温度25〜30℃でそのまま4時間撹
拌した後、これに85%ギ酸10gを加え1時間撹拌し
た。
【0221】析出した不溶物を濾別後、濾液をメタノー
ル1.5リットル中に再沈し、油状物を補修した。更に
、この油状物をテトラヒドロフラン200gに溶解し、
不溶物を濾別後、再びメタノール1リットル中に再沈し
、油状物を補修し乾燥した。収量56gでMw  8×
103 であった。
【0222】
【化42】
【0223】分散安定用樹脂の製造例5〜9:〔P−5
〜P−9〕 樹脂の製造例4において、ヘキシルメタクリレート及び
メタクリル酸の代わりに下記表の各化合物を用いた他は
、製造例4と同様に操作して各分散安定用樹脂を製造し
た。得られた重合体のMwは7×103 〜8×103
の範囲であった。
【0224】
【表2】
【0225】樹脂粒子の製造例1:〔L−1〕分散安定
用樹脂〔P−4〕10g及びn−オクタン200gの混
合溶液を窒素気流下撹拌しながら温度60℃に加温した
。これに下記単量体〔A−1〕47g、下記単量体〔B
−1〕3g、エチレングリコールジメタクリレート5g
、A.I.V.N;0.5g及びn−オクタン200g
の混合溶液を2時間で滴下し、そのまま2時間反応した
。更に、A.I.V.N.0.3gを加え2時間反応し
た。
【0226】冷却後、200メッシュのナイロン布を通
して白色分散物を得た。平均粒径0.18μmのラテッ
クスであった。(:CAPA−500(堀場製作所 (
株)製)で粒径測定)。
【0227】
【化43】
【0228】樹脂粒子の製造例2〜11:〔L−2〕−
〔L−11〕 樹脂粒子の製造例1において、単量体〔A−1〕及び〔
B−1〕の代わりに下記表の各単量体に代えた他は、製
造例1と同様にして樹脂粒子を製造した。
【0229】各粒子の平均粒径は0.15〜0.30μ
mの範囲内であった。
【0230】
【表3】
【0231】
【表4】
【0232】
【表5】
【0233】樹脂粒子の製造例12:〔L−12〕分散
安定用樹脂AA−6〔東亜合成 (株)製マクロモノマ
ー:メチルメタクリレートを繰り返し単位とするマクロ
モノマー:Mw1.5×104 〕7.5g及びメチル
エチルケトン133gの混合溶液を窒素気流下撹拌しな
がら60℃に加温した。これに下記単量体〔A−12〕
45g、下記単量体〔B−11〕5g、ジエチレングリ
コールジメタクリレート5g、A.I.V.N.  0
.5g及びメチルエチルケトン150gの混合溶液を1
時間で滴下し、更にA.I.V.N.  0.25gを
加えて2時間反応させた。
【0234】冷却後、200メッシュのナイロン布を通
して得られた分散物の平均粒径は0.25μmであった
【0235】
【化44】
【0236】樹脂粒子の製造例13:〔L−13〕分散
安定用樹脂〔P−5〕7.5g及びメチルエチルケトン
200gの混合溶液を窒素気流下・撹拌しながら60℃
に加温した。これに単量体〔A−12〕22g,単量体
〔B−7〕3g、アクリルアミド15g、A.I.V.
N  0.5g及びメチルエチルケトン220gの混合
溶液を2時間で滴下し、更に、そのまま1時間反応させ
た。
【0237】更に、A.I.V.N.  0.25gを
加え、2時間反応した後、冷却し、200メッシュナイ
ロン布を通して得られた分散物の平均粒径は0.28μ
mであった。
【0238】樹脂粒子の製造例14:〔L−14〕単量
体〔A−11〕42.5g、単量体〔B−8〕7.5g
、エチレングリコールジアクリレート3g、分散安定用
樹脂〔P−7〕10g、及びメチルエチルケトン360
g の混合溶液を窒素気流下、温度60℃に加温した。 A.I.V.N  0.5を加え、2時間反応させ、更
にA.I.V.N.0.3gを加えて2時間反応させた
。冷却後200メッシュナイロン布を通して得られた分
散物の平均粒径は0.15μmであった。
【0239】樹脂粒子の製造例15〜25:〔L−15
〜L−25〕 樹脂粒子の製造例14において、エチレングリコールジ
アクリレート3gに代えて、下記表の多官能性化合物を
用いた他は製造例14と同様にして樹脂粒子〔L−15
〕〜〔L−25〕を製造した。各粒子とも重合率は95
〜98%で平均粒径は0.15〜0.25μmであった
【0240】
【表6】
【0241】樹脂粒子の製造例26〜31:〔L−26
〜L−31〕 樹脂粒子の製造例12において、分散安定用樹脂AA−
6の代わりに、下記表の各分散安定用樹脂を用いた他は
、製造例12と同様にして、各粒子を製造した。各粒子
の平均粒径は0.20〜0.25μmの範囲であった。
【0242】
【表7】
【0243】樹脂粒子の製造例32〜35:〔L−32
〜L−35〕 樹脂粒子の製造例13において、単量体〔A−12〕、
アクリルアミド及び反応溶媒:メチルエチルケトンの代
わりに下記表の各々の化合物を用いた他は、製造例13
と同様にして各粒子を製造した。各粒子の平均粒径は0
.15〜0.30μmの範囲であった。
【0244】
【表8】
【0245】
【表9】
【0246】
【実施例1】下記構造の結着樹脂〔B−1〕40g、光
導電性酸化亜鉛200g、ウラニン0.03g、ローズ
ベンガル0.06g、テトラブロムフェノールブル−0
.02g、無水マレイン酸0.20g及びトルエン30
0gの混合物を、ボールミル中で4時間分散した。この
感光層形成用分散物を導電処理した紙に乾燥付着量が2
0g/m2 となるようにワイヤーバーで塗布し、10
0℃で30秒間乾燥して、電子写真感光材料を作製した
【0247】
【化45】
【0248】この感光体表面上に、樹脂粒子〔L−14
〕0.6g(固形分量として)下記構造の樹脂〔B′−
1〕6重量%及び無水フタル酸0.01重量%を含有す
るトルエン分散物をドクターブレードで塗布後、120
℃で1時間加熱して約2μmの表面層を形成した。
【0249】ついで暗所で、20℃、65%RHの条件
下で24時間放置することにより電子写真感光材料を作
製した。
【0250】
【化46】
【0251】
【比較例1】実施例1の表面層形成用塗布物において、
樹脂粒子〔L−14〕0.6重量%の代わりに下記構造
の樹脂〔R−1〕0.6重量%を用いた他は、実施例1
と同様にして電子写真感光材料を作製した。
【0252】
【化47】
【0253】
【比較例2】比較用樹脂粒子の製造:LR−1樹脂粒子
の製造例14において、単量体〔B−8〕7.5gを除
いた他は、製造例14と同様にして、粒子を製造した。
【0254】粒子の平均粒径は0.18μmであった。
【0255】比較用感光体の製造 実施例1において、樹脂粒子〔L−14〕0.6重量%
の代わりに、上記樹脂粒子〔LR−1〕0.6重量%(
固形分量として)を用いた他は、実施例1と同様に操作
して感光体を作成した。
【0256】これらの感光材料の皮膜性(表面の平滑度
)、撮像性、光導電層の不感脂化性(不感脂化処理後の
光導電層の水との接触角で表わす)及び印刷性を調べた
。印刷性は、全自動製版機ELP404V(富士写真フ
イルム (株)製)に現像剤ELP−Tを用いて、露光
・現像処理して画像を形成し、不感脂化処理をして得ら
れた平版印刷板を用いて調べた。(なお印刷機にはハマ
ダスター (株)製ハマダスター800SX型を用いた
)。
【0257】以上の結果をまとめて、下表に示す。
【0258】
【表10】
【0259】表に記した評価項目の実施の態様は以下の
通りである。
【0260】注1)光導電層の平滑性:得られた感光材
料を、ベック平滑度試験機(熊谷理工 (株)製)を用
い、空気容量1ccの条件にて、その平滑度(sec/
cc)を測定した。
【0261】注2)撮像性:各感光材料及び全自動製版
機ELP404V(富士写真フイルム (株)製)を1
昼夜常温・常湿(20℃、65%)に放置した後、製版
して複写画像を形成し、得られた複写原版の画像(カブ
リ、画像の画質)を目視で観察する(これをA)とする
)。複写画像の画質Bは、製版を高温・高湿(30℃、
80%)で行う他は、前記Aと同様の方法で試験する。
【0262】注3)保水性:各感光材料を下記処方の不
感脂化処理液:E−1中に、3分間浸漬した後水洗し、
これをオフセット印刷機(桜井製作所 (株)オリバー
52型)にかけ、湿し水として上記E−1を50倍に希
釈した溶液を用いて、印刷し、刷り出しから50枚目の
印刷物の地汚れの有無を目視で評価した。
【0263】   不感脂化処理液  E−1     ・  モノエタノールアミン        
                65g    ・ 
 ニューマールB4SN(日本乳化剤 (株)製)  
20g    ・  ベンジルアルコール      
                    80gを蒸
留水で全量を1リットルとし水酸化カリウムでpH10
.5に調整した。
【0264】注4)耐刷性:各感光材料を上記注2)と
同条件で製版して、トナー画像を形成し、上記注3)と
同条件で不感脂化処理し、これをオフセットマスターと
して上記注3)と同条件で印刷し、印刷物の非画像部の
地汚れ及び画像部の画質に問題が生じないで印刷できる
枚数を示す(印刷枚数が多い程、耐刷性が良好なことを
表わす)。
【0265】本発明の感光材料比較例1及び比較例2と
もに、撮像性は良好であった。
【0266】次に、不感脂化処理したオフセットマスタ
ー原版として親水化の程度を調べてみると、本発明の原
版は親水化が充分なされ、保水性が良好で且つ製版後の
印刷物の地汚れ、画像部の画質も良好で5千枚の印刷が
可能であった。しかし、比較例1及び比較例2は、保水
性が充分でなく、このことで印刷画質も、地汚れが顕著
で原版としては不適なものであった。
【0267】このことは、比較例1、及び比較例2では
、表面層全体に親水基を発現する重合体成分を含む、樹
脂又は樹脂粒子が均一に分散されているため、少ない使
用量では、保水性を発揮することができず、本発明の原
版では、単量体(B)を共重合した粒子とすることで、
表面層の表面層部分に充分に濃縮され有効な保水性を示
したと推定される。
【0268】以上のことより、本発明の原版のみが良好
な性能を示すことが確認された。
【0269】
【実施例2〜19】実施例1において分散樹脂粒子L−
14の代わりに、下記表の本発明の各樹脂粒子〔L〕を
用いた他は、実施例1と同様にして各感光材料を作製し
た。
【0270】撮像性及び印刷特性を実施例1と同様に操
作して評価した。
【0271】
【表11】
【0272】各感光材料とも、撮像性、印刷特性ともに
、実施例1とほぼ同等の特性を示し、良好な結果であっ
た。
【0273】
【実施例20】有機光導電性物質として4,4’−ビス
(ジエチルアミノ)−2,2’−ジメチルトリフェニル
メタン5g、ビスフェノールAのポリカーボネート(G
E社製、商品名  レキサン121)5g、下記構造式
の分光増感色素(1)40mg、化学増感剤として下記
構造式のアニリド化合物(A)0.2gを、メチレンク
ロライド30mlとエチレンクロライド30mlとの混
合物に溶解し、感光液とした。
【0274】
【化48】
【0275】
【化49】
【0276】この感光液を、ワイヤーラウンドロッドを
用いて導電性透明支持体(100μmのポリエチレンテ
レフタレート支持体上に、酸化インジウムの蒸着膜を有
する。表面抵抗103 Ω)上に塗布して約4μmの感
光層を有する有機薄膜を得た。この感光体の表面に、樹
脂粒子L−27の0.8重量%(固形分量として)、下
記構造の樹脂〔B−2〕4重量%、無水フタル酸0.0
1重量%、及び2−クロロフェノール0.005重量%
を含有するトルエン溶液をドクターブレードで塗布後1
00℃で20秒間乾燥後、更に130℃で1時間加熱し
て約2μmの表面層を形成した。ついで暗所で20℃、
65%RHの条件下で24時間放置することにより電子
写真感光材料を作製した。
【0277】
【化50】
【0278】この感光材料を下記処方で調製した不感脂
化処理液(E−2)に3分間浸して不感脂化処理した。
【0279】   不感脂化処理液(E−2)   ・  モノエタノールアミン          
              52g  ・  ニュー
マールB4SN(日本乳化剤 (株)製)  10g 
 ・  メチルエチルケトン            
              80gこれらを蒸留水に
溶解し水酸化ナトリウムでpH10.0に調整し、全量
1.0リットルとした。
【0280】これに蒸留水2μlの水滴を乗せ、形成さ
れた水との接触角をゴニオメーターで測定したところ1
0°以下であった。尚、不感脂化処理前の接触角は95
°であり、明らかに本感光材料の表面層が非常に良好に
親水化されたことを示す。
【0281】又、この不感脂化処理した原版を、実施例
1の注4)の条件で印刷し、印刷物の地汚れを見た所、
汚れは認められなかった。
【0282】一方、この電子写真感光材料を、負荷電性
の液体現像剤を用いて全自動製版機ELP404V(富
士写真フィルム (株)製)で製版して、トナー画像を
形成し、上記と同条件で不感脂化処理しこれをオフセッ
トマスターとして湿し水として、上記E−2を水で50
倍に希釈した溶液を用いて、オフセット印刷機(桜井製
作所 (株)製、52型)にかけ上質紙上に印刷した。
【0283】印刷物の非画像部の地汚れ及び画像部の画
質に問題を生じないで印刷できる枚数は、5,000枚
であった。
【0284】更に、この感光材料を(45℃、75%R
H)の環境条件下に3週間放置した後全く同様の処理を
行ったが、経時前と全く変わらなかった。
【0285】
【実施例21】下記構造式のビスアゾ顔料5g、テトラ
ヒドロフラン95g及び樹脂〔B−3〕0.8重量%及
び樹脂〔B−4〕4.2重量%のテトラヒドロフラン溶
液30gの混合物をボールミルで充分に粉砕した。次い
で、この混合物を取り出し、撹拌下、テトラヒドロフラ
ン520gを加えた。この分散物をワイヤーラウンドロ
ッドを用いて実施例1で用いた導電性透明支持体上に塗
布して約0.7μmの電荷発生層を形成した。
【0286】
【化51】
【0287】次に、下記構造式のヒドラゾン化合物20
g、ポリカーボネート樹脂(GE社製、商品名レキサン
121)20g及びテトラヒドロフラン160gの混合
溶液をワイヤーラウンロッドを用いて上記電荷発生層の
上に塗布して約18μmの電荷輸送層を形成し、2層か
ら成る感光層を有する電子写真感光体を得た。
【0288】
【化52】
【0289】この感光体上に、実施例20で用いた表面
層形成用分散物において、樹脂粒子L−27,98重量
%の代わりに樹脂粒子〔L−35〕1.0重量%を用い
た他は、実施例20と同様にして表面層を形成し、電子
写真感光材料を作製した。
【0290】これを実施例1と同様に、全自動製版機E
LP404VでELP−T  トナーを用いて製版した
ところ、得られたオフセット印刷用のマスター用原版の
濃度は1.0以上で画質は鮮明であった。
【0291】更に、下記処方で調製した不感脂化処理液
(E−3)中にこの製版後のマスター用原版を30秒間
浸した後水洗して、不感脂化処理をした。
【0292】不感脂化処理液(E−3)・  ホウ酸 
               55g・  ベンジル
アルコール    80gこれらを蒸留水に溶解し、全
量で1.0リットルとし更に水酸化ナトリウムでこの液
かpH11.0となる様に調製した。非画像部の蒸留水
での接触角は10°以下で充分に親水化されていた。
【0293】このオフセット印刷用原版を印刷機で印刷
したところ、5千枚印刷後の印刷物は非画像部のカブリ
がなく、画像も鮮明であった。
【0294】
【実施例22〜33】実施例21の表面層形成用粗成物
において、樹脂粒子〔L−35〕1重量%の代わりに、
下記表の樹脂粒子を各々1重量%用いた他は、実施例1
7と同様にして各感光材料を作製した。
【0295】
【表12】
【0296】各感光材料を実施例21と同様にして各特
性を調べた所、撮像性は良好であった。又、保水性も良
好で実際に製版後の原版での耐刷性でも5千枚以上の印
刷が可能であった。
【0297】
【発明の効果】本発明の電子写真式平版印刷用原版は、
静電特性(特に暗電荷保持性及び光感度)に優れ、原画
に対して忠実な複写画像を再現し、且つオフセット原版
として全面一様な地汚れは勿論、点状の地汚れをも発生
させない、不感脂化性の優れた平版印刷用原版であり、
又、複写画像形成時の環境が低温・低湿あるいは高温・
高湿のように変動する場合でも、鮮明で良質な画像を有
するものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  導電性支持体上に、少なくとも1層の
    光導電層を設け、更にその最上層に表面層を設けてなる
    電子写真式平版印刷用原版において、前記表面層中に、
    下記の非水溶媒系分散樹脂粒子を少なくとも1種含有す
    ることを特徴とする電子写真式平版印刷用原版。非水溶
    媒系分散樹脂粒子;非水溶媒中において、分解により少
    なくとも1つのカルボキシル基を生成する官能基を少な
    くとも1種含有する一官能性単量体(A)とケイ素原子
    及び/又はフッ素原子を含有する置換基を含み、且つ該
    単量体(A)と共重合する一官能性単量体(B)とを、
    該非水溶媒に可溶性の分散安定用樹脂の存在下に分散重
    合反応させることにより得られる共重合体樹脂粒子。
  2. 【請求項2】  上記非水溶媒系分散樹脂粒子が高次の
    網目構造を形成していることを特徴とする請求項1記載
    の電子写真式平版印刷用原版。
  3. 【請求項3】  上記分散安定用樹脂が、高分子鎖中に
    下記一般式(1)で示される重合性二重結合基部分を少
    なくとも1種含有していることを特徴とする請求項1記
    載の電子写真式平版印刷用原版。 【化1】
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