JPH0430164B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、高均一磁界を得るように構成され
る超電導コイルのコイル巻線構造に関するもので
ある。

従来この種の装置として第１図に示すものがあ
つた。図中、１は主コイル、２は磁場補正コイ
ル、３はこれら両コイル１，２が巻回される巻
枠、４は高均一磁場領域を示す破線である。又、
図中に座標軸Ｚ−ｒも示した。ここで、主コイル
１とは主磁場を発生するコイルであり、コイルの
有限長に基づく大きな不均一磁場を補正するコイ
ル等も含むものとする。又、磁場補正コイル２は
シムコイルとも呼ばれるものである。

次に動作について説明する。主コイル１に時間
によつて変化しない定電流を流すと、高均一磁場
領域４に高均一磁場が発生する。磁場の均一度
（磁場の空間分布の均一性）を良くするためには、
高均一磁場領域４の寸法に較べて主コイル１の直
径及び長さを大きくしなければならない。しかし
ながら、主コイル１の電流密度分布が主コイル１
断面内で完全には一様にできないこと、主コイル
１を完全な円筒状にはできないこと、主コイル１
長さが有限であること等の理由により、主コイル
１のみが発生する磁場の均一度は一般にあまり良
くない。したがつて、磁場均一度を向上させるた
めに磁場補正コイル２が一般に用いられる。磁場
補正コイル２は円形コイル、鞍形コイル、矩形コ
イル等、種々の形状のコイル多数で構成されてお
り、高均一磁場領域４内の磁場分布に対応して、
磁場補正コイル２の発生する磁場を調整して、高
均一磁場領域４内の磁場均一度を向上させる。し
かしながら、主コイル１の発生する元の磁場の均
一度がある程度良くないと、磁場補正コイル２を
用いても磁場均一度の向上は困難である。次に、
主コイル１の電流密度の主コイル断面内の分布に
ついて述べる。

第２図は主コイル１の巻線に使用する超電導線
材の幅のバラツキΔWの実測値を示す曲線図であ
る。ここで、線材の断面寸法は１mmのオーダーで
あり、線材長はkmのオーダーである。線材の幅
のバラツキΔWの範囲は20μｍである。このバラ
ツキΔWは線材そのものの仕上げ精度、線材の電
気絶縁物の厚さの精度によつて決まる。第２図に
示した線材幅のバラツキは線材の製造技術からみ
てこれ以下にするのは困難な値である。又、線材
の厚さのバラツキも幅のバラツキと同様である。

幅にバラツキのある線材を主コイルに巻回した
時の状態を図式的に示したものが第３図である。
同図は１層の巻線断面のみを示している。１０は
コイル巻線であり、同図に示したようにＺ軸方向
の単位長当りの巻数が場所によつて異なる。各タ
ーンには同一電流が流れているから、Ｚ軸方向の
各場所によつて電流密度が異なることになる。
今、Ｚ方向に対する電流密度ｉ（ΔW）を次式で
定義する。

ｉ（ΔW）＝Ｉ／（ωo＋ΔW） ここで、 Ｉ＝主コイル電流値 ωo＝線材の基準幅 ΔW＝線材の幅のずれ 線材幅をωo＝１mm、線材の幅のずれをΔW＝
±5μｍとして電流密度を求めてみる。

ｉ（5μｍ）／ｉ（ｏ）１−５×10^-3 ｉ（−5μｍ）／ｉ（ｏ）１＋５×10^-3 即ち、第２図に線材幅の精度を示したような、
実用的に得られる超電導線を用いて主コイルを巻
回した場合、その電流密度は場所によつて基準値
（ｉ（ｏ））に対して５×10^-3の範囲で変動する。
主コイル１の発生する磁場は電流密度ｉに対応し
て変化するので、本コイルの発生する磁場も電流
密度の変動の故に基準磁場に対して10^-3程度のオ
ーダーで変動することになる。なお、線材の厚さ
のバラツキによつても同様のことが生じる。
NMR（核磁気共鳴）現象等に必要とされる高均
一磁界超電導コイルにおける磁場の均一度は試料
部分において10^-5以下であると言われている。従
つて、このような高均一磁界を実現するために
は、補正コイル２により、主コイル１の発生磁場
を補正する必要がある。

従来の高均一磁界超電導コイルは以上のように
寸法にバラツキのある線材で巻回されているの
で、主コイル１断面内の電流密度の分布が均一で
なく、主コイル１の発生磁場の均一度が低下する
ので、補正コイルによる磁場の補正量が大であ
り、補正コイルが大形化すると共に補正が困難で
あるという欠点があつた。

この発明は上記のような従来のものの欠点を除
去するためになされたもので、主コイルを同一巻
数毎のブロツクに複数分割し、主コイルの線材断
面寸法のバラツキによつて生じる各ブロツク毎の
隙間には詰物を充填することにより、高均一磁界
を容易に発生できる超電導コイルを提供すること
を目的としている。

以下、この発明の一実施例を図について説明す
る。第４図において、５は主コイル１を同一巻数
毎に分割されたブロツク、６はこのブロツク５間
に形成される隙間に充填される詰物である。同図
は主コイル１の巻線の１層分を示している。ここ
で、コイルは長さｌのブロツクに分割されてい
る。また詰物６の長さはΔlで表わしている。１
つのブロツク内の巻数は一定である。従つて、詰
物６の長Δlは線材の幅のバラツキによつて変化
する。この様に巻回すると、１つのブロツク当り
で見たコイルの電流密度ｉは一定になり、Ｚ軸方
向の場所によつて変化しない。ブロツクの長さｌ
をコイルの半径Ｒに比べて十分小さくし、更に、
詰め物の長さΔlをブロツクの長さｌに比べて十
分小さくすれば、主コイル１の巻線断面内の電流
密度の分布はほぼ一様と看做すことができる。そ
の結果、発生磁場の均一度が向上する。ここで、
十分小さいということは10分の１以下である。な
お、ｌ／ＲおよびΔl／ｌの値は小さい程、磁場
均一度の点では望ましいが、巻線作業性、磁場均
一度の改善度合から決めればよい。このように、
主コイル１巻線断面内の電流密度分布を均一化す
ることにより、主コイル１の発生する磁場の均一
度を１桁以上向上させることが可能である。従つ
て、補正コイルによる磁場の補正量は少なくてす
むので補正コイルの小形化が可能となり、場合に
よつては補正コイルが不用になる。

第５図は本発明の他の実施例を示すものであ
る。詰め物６をｒ方向に入れることにより、主コ
イル１の巻線内の電流密度の分布をｒ方向で均一
化している。この例においても前述と同様に、主
コイル１の発生磁場の均一度が向上する。

以上のように、この発明によれば主コイルを同
一巻数毎のブロツクに複数分割し、主コイルの線
材断面寸法のバラツキによつて生じる各ブロツク
毎の隙間には詰物を充填したことにより、主コイ
ルの発生する磁場の均一度を容易に向上すること
が可能な超電導コイルを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の高均一磁界超電導コイルを示す
断面図、第２図は一般に得られる超電導線の幅の
バラツキを示すグラフ図、第３図は第１図におけ
る従来の高均一磁界超電導コイルの主コイルの１
層分の巻線を示す断面図、第４図はこの発明の一
実施例における超電導コイルの主コイルの１層分
の巻線を示す断面図、第５図はこの発明の他の実
施例を示す主コイルの断面図である。 １……主コイル、５……ブロツク、６……詰
物、尚、各図中同一符号は同一又は相当部を示
す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 主コイルを同一巻数毎のブロツクに複数分割
   し、上記主コイルの線材断面寸法のバラツキによ
   つて生じる上記各ブロツク毎の隙間には、詰め物
   を充填したことを特徴とする起電導コイル。 ２ 各ブロツクは主コイルの軸方向に分割されて
   いることを特徴とする特許請求の範囲第１項記載
   の超電導コイル。 ３ 各ブロツクは主コイルの半径方向に分割され
   ていることを特徴とする特許請求の範囲第１項記
   載の超電導コイル。 ４ 主コイルの径および長さ寸法に対して、各ブ
   ロツクのその寸法は十分に小さく形成されている
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項ないし第
   ３項のいずれかに記載の超電導コイル。 ５ 各ブロツクの寸法に対して、各詰め物の寸法
   は十分に小さく形成されていることを特徴とする
   特許請求の範囲第４項記載の超電導コイル。