JPH0429814Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、シートクツシヨンの取付けられる
フレーム構造に関する。

〔従来技術〕

シートクツシヨンは、トリムカバーとスプリン
グとの間に、弾性材料よりなるパツドを充填して
構成される。そして、シートクツシヨンのトリム
カバーの端は、パツドを部分的に圧縮した状態
で、シートクツシヨン底面のクランプ片に連結さ
れる。他方、スプリングは、たとえば、シートを
横切る方向と平行に、シートフレーム間に張設さ
れ、スプリング端は、シートフレームのクランプ
片に連結される。

詳細にいうと、シートフレームは、内方に延び
たスプリング取付け面を持ち、クランプ片がスプ
リング取付け面に固定されている。そして、スプ
リング端をクランプ片に係止させることによつ
て、スプリング端は、スプリング取付け面に取付
けられる。

ところで、使用者がシートクツシヨンに着席す
ると、着席者の荷重によつて、パツドが、着席者
の尻形に対応した形状に変形する。なお、トリム
カバーも、パツドとともに、着席者の尻形に対応
して変形することはいうまでもない。そして、尻
形に変形したトリムカバーおよびパツドの表面、
いわゆる、尻形表面とシートフレームとの最短距
離は、ヒツプルームと称される。ヒツプルーム
は、図面上、たとえば、その最短距離を直径とす
る円で表現される。ヒツプルームが大きければ、
着席者のヒツプは、硬いシートフレームから十分
に離反して位置し、違和感が着席者に感じられな
い。つまり、ヒツプルームを大きくすれば、シー
トの掛心地性能が向上する。そのため、ヒツプル
ームを大きく設定することが望まれている。

〔従来技術の問題点〕

しかしながら、公知のシートクツシヨンのフレ
ーム構造１１０においては、第３図に示すよう
に、スプリング取付け面１１２は、ほぼ水平に設
けられている。特に、自動車のフロントシートの
ためのフレーム構造では、断面矩形のスライドレ
ールが、シートフレームの下方に取付けられるた
め、スライドの矩形断面に対応して、スプリング
取付け面は、通常、ほぼ水平に形成される。

このように、スプリング取付け面１１２がほぼ
水平に設けられると、大きなヒツプルーム１１６
を設定することが難しくなる。特に、スプリング
１１８は、その端１１９がスプリング取付け面１
１２上のクランプ１２０に取付けられるが、回転
不能に取付けられるものではない。そのため、使
用者が着席して、スプリングに大きな負荷が加わ
ると、スプリング端が回転し、クランプ片をこす
つて、異音を生じる傾向にある。従つて、スプリ
ング端１１９の回転防止のために、スプリング
は、スプリング取付け面１１２と平行に、つま
り、ほぼ水平に、一山分だけ内方にのばされる。
このように、スプリング端に隣接してスプリング
の水平部１２３を設けると、スプリング１１８は
シートフレームの内端１１３に接触することもな
く、スプリングとシートフレームの内端との接触
に起因する異音の発生が防止できる。しかし、ス
プリングの水平部１２３は、パツドの尻形表面１
１４に隣接して位置することとなり、パツド１２
１の最低厚さ１２２が、小さくなる。そのため、
着席者は、異物感を感じ、掛心地性能が悪化す
る。なお、パツドの最低厚さ１２２も、図面上、
たとえば、最低厚さを直径とする円で表現され
る。

〔考案の目的〕

この考案は、大きなヒツプルームを設定できる
シートクツシヨンのフレーム構造の提供を目的と
している。

〔考案の概略〕

この目的を達成するため、この考案によれば、
スプリング取付け面が、着席者の尻形形状に対応
して、傾斜して形成されている。

〔実施例〕

以下、図面を参照しながらこの考案の実施例に
ついて詳細に説明する。

第１図、第２図に示すように、この考案に係る
シートクツシヨンのフレーム構造１０において
は、スプリング取付け面１２が、着席者の尻形形
状（尻形表面）１４に対応して、内方に傾斜し
て、シートフレームの底面に形成されている。特
に、スプリング取付け面１２は、尻形形状１４と
同一形状に形成することが好ましい。このような
構成では、第３図と比較すると明らかなように、
ヒツプルーム１６は大きく設定できる。そのた
め、着席者は、硬いシートフレームから十分に離
反して着席でき、異物感から開放され、掛心地性
能が改善される。

実施例においては、フレーム構造１０は、前
部、後部、両側部の４個のセクシヨンから矩形形
状に構成され、両側部のスプリング取付け面１２
が、尻形形状１４に対応して、傾斜して形成され
ている。しかし、両側部だけでなく、前部、後部
のスプリング取付け面も、必要に応じて、尻形形
状１４に対応した形状に形成してもよい。

また、スプリング取付け面１２が、傾斜して形
成されると、スプリング１８は、その端をスプリ
ング取付け面１２と水平に折曲してスプリング取
付け面に取付けられ、折曲点より内方では水平に
配設されて尻形形状と平行に配設できる。スプリ
ング端１９は、クランプ片２０に回転可能に取付
けられているにも拘らず、スプリングの端部１３
は、スプリング取付け面１２と平行にのびている
ため、スプリング端の回転が防止される。そのた
め、スプリング端１９の回転に起因する異音の発
生が防止される。また、スプリング１８は、シー
トフレームの内端１３に接触しにくくなり、異音
の発生が回避される。更に、このような構成にお
いては、尻形表面１４とスプリング１８との最低
距離、つまり、パツド２１の最低厚さ２２が大き
く設定でき、この点からも、異物感が除かれ、掛
心地性能が改善される。ところで、トリムカバー
上に配設したボタンを下方に牽引して、トリムカ
バーに花形の模様を浮き出し、それによつて、美
麗な装飾感を与えるシートが知られている。この
ようなシートにおいては、深みのある花形模様を
浮き出させるように、パツド表面に凹所を設ける
ことが多い。

しかし、パツド表面の凹所が、パツドの最低厚
さの位置と一致すると、パツドの最低厚さが減少
し、掛心地性能が悪化する。そのため、パツド表
面の凹所が、パツドの最低厚さの位置と一致いな
いように設定する必要があり、設計上煩雑とな
る。

これに対して、この考案によれば、十分なパツ
ドの最低厚さが得られる。そのため、たとえ、パ
ツド表面の凹所が、パツドの最低厚さの位置と一
致しても、なおも、かなりの大きさのパツドの最
低厚さが確保される。従つて、パツド表面の凹所
の位置が、比較的自由に設定できる。また、花形
模様の浮き出し用凹所以外に、種々の溝等が、パ
ツド表面に設定でき、美麗な装飾感が、トリムカ
バー表面に容易に付加される。

上述した実施例は、この考案を説明するための
ものであり、この考案を何等限定するものでな
く、この考案の技術範囲内で変形、改造等の施さ
れたものも全てこの考案に包含されることはいう
までもない。

〔考案の効果〕

上記のように、この考案によれば、大きなヒツ
プルームが設定され、掛心地性能が改善される。

また、スプリングも、尻形表面と平行に設定で
きるため、スプリング端の回転や、スプリングと
シートフレームの内端との接触に起因する異音の
発生が防止される。更に、十分なパツドの最低厚
さが得られ、この点からも、掛心地性能が改善さ
れる。

加えて、ボタンと併用される花形模様の浮き出
し用凹所や、他の種々の溝等が、比較的自由に設
定できるため、美麗な装飾感が、トリムカバー表
面に容易に付加される。

【図面の簡単な説明】

第１図は、第２図の線−に沿つた、この考
案に係るシートクツシヨンのフレーム構造の部分
横断面図、第２図は、表面にスプリングの張設さ
れた、この考案に係るシートクツシヨンのフレー
ム構造の斜視図、第３図は、第１図に類似する、
公知のシートクツシヨンのフレーム構造の部分横
断面図である。 １０……シートクツシヨンのフレーム構造、１
２……スプリング取付け面、１４……尻形形状
（尻形表面）、１６……ヒツプルーム、１８……ス
プリング、１９……スプリング端、２０……クラ
ンプ片、２２……パツドの最低厚さ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 パツドの積載されるスプリングの両端が、略矩
   形形状のシートフレームの取付け面のクランプ片
   に取付けられて、スプリングが、シートフレーム
   間に張設されるシートクツシヨンのフレーム構造
   において、 取付け面が、着座者の尻形形状に対応して内方
   に傾斜してシートフレームの底面に形成され、 スプリング端が、取付け面に平行に折曲されて
   取付け面上のクランプ片に取付けられるととも
   に、折曲点より内方では、スプリングは水平に張
   設されていることを特徴とするシートクツシヨン
   のフレーム構造。