JPH0428911B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、斜板式圧縮機に関し、特に、揺動板
の回転を阻止するための回転阻止機構の改良に関
する。

［従来の技術］ 従来、斜板の回転によつて揺動板を揺動させピ
ストンを往復動させるようにした斜板式圧縮機が
公知である。このような斜板式圧縮機において、
圧縮容量を変化させるために、斜板の駆動軸に対
する角度を可変とし、斜板の傾斜角を制御するこ
とによつて圧縮容量を制御できるようにした容量
可変圧縮機は例えば特開昭56−77578号に開示さ
れている。

この斜板式の圧縮容量可変圧縮機においては、
揺動板の回転を阻止する必要がある。このような
揺動板の従来の回転阻止機構は、第７図乃至第９
図に示すように、揺動板１の外周上の下部位置に
径方向に設けた孔３と、この孔３の中に配置され
た円柱状のブロツク５とを有している。孔３の開
口縁には、円弧状の対のカシメ片７が形成されて
いる。これらのカシメ片７をブロツク５の下端面
に向けて曲げておくことによつて、ブロツク５が
孔３の中に脱落不能に保持される。

ブロツク５には下端面から径方向に縦割り溝９
が形成されている。この縦割り溝９にはガイド板
１１の一側縁が嵌合されている。また、ブロツク
５は孔３の中で円周方向にも回転できる。こうし
て揺動板１の揺動運転を可能にしている。

このように、回転阻止機構では揺動板１の孔３
とカシメ片７とによつてブロツク５を保持する保
持装置を構成している。この保持装置によつて、
ブロツク５は揺動板１の径方向の脱落を阻止する
ように保持され、揺動板１の回転を阻止するもの
である。

さらに、第１０図乃至第１２図に示す回転阻止
機構では、円柱状のブロツク５の頭近くに径方向
に突出するようにピン１３が取付けられている。
一方揺動板１に形成されている径方向の孔３には
揺動板１の両面においても孔３の深さ方向に沿つ
て開口部３ａ，３ｂが形成されている。孔３の内
壁には、ブロツク５を挿入したときにピン１３の
先端を受げ入れる溝３ｃが形成されている。孔３
には溝３ｃが円周方向に沿つて形成されている。

ブロツク５の取り付けに際しては、ピン１３を
開口部３ａ，３ｂに位置させて、ブロツク５を孔
３内に挿入し、その後、ブロツク５を回転させる
とピン１３の先端が溝３ｃに係合される。こうし
てブロツク５は揺動板１の孔３の中に脱落不能に
保持される。

この回転阻止機構によると、ピン１３と溝３ｃ
とによつて保持装置が構成される。この回転阻止
機構においても、第７図に示した回転阻止機構と
同様に、縦割り溝９をガイド板１１に嵌合すれ
ば、揺動板１の回転が阻止される。

またこのブロツク５は、揺動板１の揺動に伴な
つて、溝３ｃに沿つてピン１３が摺動すること
で、揺動板１の揺動を許す。（特開昭63−205471
号公報参照） ［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、第７図に示した回転阻止機構の
保持装置は揺動板１のカシメ片７を曲げることに
よつて孔３中にブロツク５を保持してあるため、
ブロツク５とガイド板１１との嵌合状態もしくは
揺動板１とブロツク５との保持状態等に不具合が
生じた際に、孔３からブロツク５を取外そうとす
るとカシメ片７が変形してしまい、揺動板１も再
使用できなくなつてしまう。このように、ブロツ
ク５は分解が不可能なためにブロツク５を交換し
ようとすれば揺動板１をも同時に交換しなければ
ならないという問題がある。

また、第１０図に示した回転阻止機構において
は、溝３ｃの加工が困難であり、ピン１３と揺動
板１とが互いに線接触しているため、接触面積の
確保が難かしくそれらがガイド板１１を摺動する
際に、線接触部分に大きな力が加わり摩耗してし
まうという問題がある。それ故に本発明の課題
は、揺動板の回転を確実に阻止し、組立てや分解
が簡単にできる回転阻止機構を備えた斜板式圧縮
機を提供するものである。

［課題を解決するための手段］ 本発明によれば複数のシリンダを備えたシリン
ダブロツクを有するハウジングと、該シリンダブ
ロツクに対向し駆動軸を支持するフロントエンド
プレートと、該シリンダブロツクとフロントエン
ドプレートとの間に形成されるクランク室内に配
置され前記駆動軸に連結された斜板と、該斜板の
回転によつて揺動し前記シリンダ内でピストンを
往復動させる揺動板と、該揺動板の回転を阻止す
る回転阻止機構とを含み、前記回転阻止機構は、
前記クランク室に固定したガイド板と、一面側か
ら軸方向に形成した縦割り溝を有する柱状ブロツ
クと、該柱状ブロツクを該縦割り溝が前記ガイド
板の一側縁に嵌合した状態で前記揺動板に保持さ
せた保持装置とを有する斜板式圧縮機において、
前記保持装置は、前記揺動板の外周面と前記柱状
ブロツクの反対面とのうち一方に設けためねじと
他方に備えられて該めねじにねじ込まれたおねじ
とを有していることを特徴とする斜板式圧縮機が
得られる。

［作用］ 上記構成によれば、シリンダブロツクとフロン
トエンドプレートとに支持されたガイド板に柱状
ブロツクの縦割り溝が嵌合し、この柱状ブロツク
は揺動板におねじとめねじとを備えた保持装置に
よつて保持されているので、揺動板の回転は、柱
状ブロツクを介して、ガイド板によつて阻止され
る。一方、揺動板の駆動軸方向の移動は、柱状ブ
ロツクがガイド板に沿つて揺動可能であり、回転
を防止されているため揺動板は揺動運動のみを行
う。

また、組立てに際しても、ハウジング内にガイ
ド板の一端をシリンダブロツクに取付け、一方、
揺動板の外周部に柱状ブロツクを脱落不能に保持
させ、この揺動板を、その柱状ブロツクの縦割り
溝をガイド板に嵌させながら、ハウジング内に組
込むことができる。その後他の部品を組込んだ
後、フロントエンドプレートをハウジング上に取
り付けることによつて組み立てが行なわれる。

さらに、分解は、組み立てと逆の作業によつて
行なわれ、柱状ブロツクをめねじから外すことに
よつて、他のブロツクとの交換も可能である。

［実施例］ 第１図は本発明の一実施例による斜板式圧縮機
を示している。この実施例においては、圧縮容量
を変化できる斜板式の容量可変圧縮機を一例とし
て説明をする。

第１図を参照して、この容量可変圧縮機はハウ
ジング２１とこのハウジング２１の一端に設けら
れたシリンダブロツク２３とを有している。シリ
ンダブロツク２３には複数（図では１つのみ示し
た）のシリンダ２５が形成されている。ハウジン
グ２１の他端はフロントエンドプレート２６で閉
塞されている。フロントエンドプレート２６とシ
リンダブロツク２３との間にはクランク室２７が
形成されている。

シリンダブロツク２３の端面上には、吸入孔２
９と吐出孔３１とを備えたバルブプレート３３を
介して、シリンダヘツド３５が設置されている。
シリンダヘツド３５は、吸入孔２９を介してシリ
ンダ２５と選択的に接続される吸入室３７と、吐
出孔３１を介してシリンダ２５に選択的に接続さ
れる吐出室３９とを有している。なお、４１，４
２はそれぞれ吸入弁、吐出弁を示す。シリンダヘ
ツド３５には、吸入室３７と吐出室３９へ接続さ
れた流体吸入口（図示せず）と排出口（図示せ
ず）とがそれぞれ設けられ、外部流体回路（図示
せず）に接続される。

駆動軸４３は、フロントエンドプレート２６の
外部からクランク室２７内に延在し、フロントエ
ンドプレート２６とシリンダブロツク２３に回転
可能に支持されている。

駆動軸４３にはロータ４４がピン４６によつて
固定されている。ロータ４３は駆動軸４３ととも
に回転可能とされている。ロータ４４には、斜板
４５がピン４７によつてヒンジ結合されている。
したがつて、斜板４５も駆動軸４３の回転によつ
て共に回転可能であり、かつヒンジ結合のために
駆動軸４３に対する傾斜角が可変となつている。

斜板４５のシリンダブロツク２３と対向する端
面上には、揺動板４９が回転可能に取り付けられ
ている。この揺動板４９の外周部にはピストンロ
ツド５１が球結合されている。ピストンロツド５
１の他端は、シリンダ２５内に摺動可能に設けた
ピストン５３が結合されている。

さらに第２図及び第３図をも参照して、揺動板
４９の外周上の下部位置には、径方向に孔５５が
設けられている。この孔５５の底面には、径方向
にめねじ５７が設けられている。孔５５の中には
柱状ブロツク５９が配置されている。柱状ブロツ
ク５９は一面側から径方向に後述するガイド板に
嵌合可能に形成された縦割り溝６１と、その反対
面、即ち他面側から径方向に突出して設けられて
いるおねじ６３とを有している。おねじをめねじ
５７に嵌め込むことによつて揺動板４９に柱状ブ
ロツク５９が保持される。ここで、おねじ６３と
めねじ５７とは合わせて保持装置を構成する。

また、クランク室２７の下部には駆動軸４３と
平行にガイド板６５が配置されており、このガイ
ド板６５の上縁から、柱状ブロツク５９の縦割り
溝６１が嵌合されている。なお、ガイド板６５の
上縁は、図示のように下向きに凸の円弧形状６７
となつている。ガイド板６５はクランク室２７内
で両端をフロントエンドプレート２６とシレンダ
ブロツク２３とにそれぞれ支持されている。

柱状ブロツク５９は揺動板４９のめねじ５７に
規定寸法にねじ込み嵌合されている。即ち、柱状
ブロツク５９が斜板４５の傾斜角度に対応して回
転できる範囲の寸法に嵌合されている。また、柱
状ブロツク５９は斜板４５の回転に伴なつてガイ
ド板６５の長手方向とは異なる向きに揺動板４９
が揺動する動きを許容するために、おねじ６３が
めねじ５７に対して回転できる範囲にねじ込み嵌
合されている。この結果、揺動板４９の揺動は柱
状ブロツク５９の周方向の回転によつて許容され
る。

このようにして、揺動板４９は柱状ブロツク５
９と、ガイド板６５とによつて回転が阻止され
る。

シリンダブロツク２３とバルブプレート３３と
には、クランク室２７と吸入室３７とを連通する
ための連通孔６９が形成されている。この連通孔
６９の途中には、感圧室７１が形成されている。
この感圧室７１内にはベローズ弁７３が設けられ
ている。ベローズ弁７３は感圧室７１内に導入さ
れたクランク室２７内の圧力が所定値（ベローズ
内圧力）より高くなると、弁を開き吸入室３７と
クランク室２７とを連通させ、クランク室２７内
の圧力を低下させるものである。

なお、クランク室２７の圧力が高いと、ピスト
ン５３の下死点位置が上死点の方向へずれ、ピス
トン５３のストロークが小さくなる。即ち、斜板
４５及び揺動板４９の駆動軸４３に対する傾斜角
が小さくなる（即ち、直角に近くなる）。この状
態では、圧縮容量は小さくなる。逆に、クランク
室２７の内圧が低いときには、ピストン５３の背
圧が小さいので、上記の逆の理由で、ピストン５
３のストロークが大となり、斜板４５及び揺動板
４９の傾斜角は大となり、圧縮容量は大となる。

以下、第１図の容量可変圧縮機の動作を説明す
る。

まず、駆動軸４３を、外部駆動源（図示せず）
で回転すると、ロータ４４および斜板４５は一緒
に回転する。ところが、揺動板４９は斜板４５の
端面に回転可能に設置されているとともに、揺動
板４９に設けた柱状ブロツク５９がガイド板６５
に嵌合されているので、揺動板４９は回転を阻止
される。このため回転する斜板４５の斜面に往動
して揺動することになる。即ち、ピストンロツド
５１は、軸方向に往復動することになり、これに
より、ピストン５３がシリンダ２５内で往復動す
る。このとき、柱状ブロツク５９は、ガイド板６
５の円弧形状６７に沿つて往復動する。

この容量可変圧縮機の組み立てに際しては、特
に回転阻止機構の組み立ては、シリンダブロツク
２３の下部の孔７５へガイド板６５の先端部を挿
入するようにしてクランク室２７に配置する。そ
してガイド板６５の上部に柱状ブロツク５９を嵌
合するようにして、柱状ブロツク５９を保持した
揺動板４９と斜板４５との組合せ体をハウジング
２１内に挿入する。その後、他の部品をハウジン
グ２１内へ組込んだ後、その上からフロントエン
ドプレート２６を、その孔７７へガイド板６５の
他端が入るようにしてハウジング２１へ取付ける
ことによつて行われる。即ち、柱状ブロツク５９
は、揺動板４９へ脱落不能に取付けられているの
で、ガイド板６５をハウジング２１内へ組込んだ
後、揺動板４９を組込む際、柱状ブロツク５９の
脱落の心配をせずに組込むことができ、組み立て
が容易である。

また、分解作業は組み立てと逆の作業によつて
達成さされる。この際、柱状ブロツク５９も揺動
板４９への嵌め込みと逆にめねじ５７からおねじ
６３を取外せばよく、分解が容易である。

第４図乃至第６図は、柱状ブロツク５９を揺動
板４９に保持させるために保持装置の他の実施例
を示している。

第４図乃至第６図において、この柱状ブロツク
５９は一面側から軸方向に縦割り溝６１と、他面
側に軸方向にめねじ７９とを有している。揺動板
４９のめねじ５７には、一側面から軸方向に六角
穴もしくはすり割り溝等を形成したおねじ８１が
嵌め込まれている。このおねじ８１、それぞれの
めねじ５７，７９とによつて保持装置を構成す
る。

揺動板４９のめねじ５７に嵌め込まれたおねじ
８１は揺動板４９の孔５５の底面から、めねじ５
７の軸方向の寸法分（第４図に示すＡ寸法）が突
出している。このおねじ８１は、揺動板４９の外
側面からカシメ治具８３によつて軸心方向にカシ
メ固定されている。即ち、おねじ８１は揺動板４
９に対して廻り止めされている。このおねじ８１
の突出部分には柱状ブロツク５９のめねじ７９を
嵌め込み揺動板４９のめねじ５７に規定寸法まで
嵌め込む。こうして、柱状ブロツク５９は揺動板
４９の孔５５中に脱落不能に保持される。

なお、実施例においては容量可変圧縮機につい
て説明したが、これに限らず、容量固定圧縮機に
おいても同様に実施例できるものである。

［発明の効果］ 以上実施例により説明したように本発明の容量
可変圧縮機によれば、揺動板の回転阻止機構をク
ランク室に配置したガイド板と、このガイド板の
側縁側から嵌合する縦割り溝を有する柱状ブロツ
クを揺動板の外周部に脱落不能に保持させたの
で、このガイド板と柱状ブロツクとの嵌合によ
り、揺動板の回転が確実に阻止される。

また、組み立てに際しても、予め柱状ブロツク
を揺動板に保持させ、ガイド板をハウジング内に
取付けた後、柱状ブロツクの縦割り溝をガイド板
に嵌合させながら揺動板をハウジング内に組込む
ことができるので、部品の脱落等の心配なく、簡
単に組み立てを行なうことができる。

さらに、保持装置は揺動板の外周面と柱状ブロ
ツクの反対面とのうち、一方に設けためねじと、
他方に備えられて、めねじにねじ込まれたおねじ
とによつて構成されているため、斜板角度に対応
した角度に回転できる範囲に柱状ブロツクを規定
寸法で嵌め込みができ、揺動板の揺動に対しても
柱状ブロツクの周方向の回転によつて許容でき
る。

また、回転阻止機構に不具合があつた際には保
持装置のねじの嵌合を外すことによつて分解が容
易にでき、保持装置はねじ込みにより嵌合されて
いるので、回転による摩耗もきわめて少ないとい
う利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例による斜板式の容量
可変圧縮機を示す断面図、第２図は第１図の回転
阻止機構の分解図、第３図は第２図の揺動板の底
面図、第４図は回転阻止機構の保持装置の他の実
施例を示す断面図、第５図は第４図の止めネジを
示す側面図、第６図は第４図の柱状ブロツクを示
す断面図、第７図は従来の回転阻止機構の断面
図、第８図は第７図の底面図、第９図は第７図の
ブロツクを示す斜視図、第１０図は回転阻止機構
の他の従来例を示す断面図、第１１図は第１０図
の底面図、第１２図は第１０図のブロツク及びピ
ンを示す斜視図である。 １……揺動板、３……孔、５……ブロツク、９
……縦割り溝、１１……ガイド板、１３……ピ
ン、２１……ハウジング、２３……シリンダブロ
ツク、２５……シリンダ、２９……吸入孔、３１
……吐出孔、４３……駆動軸、４４……ロータ、
４９……揺動板、５７……めねじ、５９……柱状
ブロツク、６１……縦割り溝、６３……おねじ、
７９……めねじ、８１……おねじ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 複数のシリンダを備えたシリンダブロツクを
   有するハウジングと、該シリンダブロツクに対向
   し駆動軸を支持するフロントエンドプレートと、
   該シリンダブロツクとフロントエンドプレートと
   の間に形成されるクランク室内に配置され前記駆
   動軸に連結された斜板と、該斜板の回転によつて
   揺動し前記シリンダ内でピストンを往復動させる
   揺動板と、該揺動板の回転を阻止する回転阻止機
   構とを含み、前記回転阻止機構は、前記クランク
   室に固定したガイド板と、一面側から軸方向に形
   成した縦割り溝を有する柱状ブロツクと、該柱状
   ブロツクを該縦割り溝が前記ガイド板の一側縁に
   嵌合した状態で前記揺動板に保持させた保持装置
   とを有する斜板式圧縮機において、前記保持装置
   は、前記揺動板の外周面と前記柱状ブロツクの反
   対面とのうち一方に設けためねじと他方に備えら
   れて該めねじにねじ込まれたおねじとを有してい
   ることを特徴とする斜板式圧縮機。