JPH04286696A - 保護層付きカードおよびその製造方法 - Google Patents

保護層付きカードおよびその製造方法

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JPH04286696A
JPH04286696A JP3051566A JP5156691A JPH04286696A JP H04286696 A JPH04286696 A JP H04286696A JP 3051566 A JP3051566 A JP 3051566A JP 5156691 A JP5156691 A JP 5156691A JP H04286696 A JPH04286696 A JP H04286696A
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image
layer
card
resin
heat
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JP3051566A
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Kunihiro Koshizuka
国博 腰塚
Tomonori Kawamura
朋紀 河村
Atsushi Nakajima
厚志 仲島
Shigehiro Kitamura
繁寛 北村
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は画像を有する保護層付き
カードおよびその製造方法に関し、さらに詳しくは、画
像の偽造や変造を未然に防止するとともに、耐久性を著
しく向上させた保護付きカード、およびそれを無駄なく
効率的に得ることができる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】近年にお
いては、カードサイズの画像記録体が種々の分野で普及
するようになった。
【0003】たとえば、自動車免許証等の免許証類、身
分証明証、写真つき会員証、認証識別カード、写真つき
名刺等で代表される各種IDカード、テレホンカード、
オレンジカード等のプリペイドカード、キャッシュカー
ドなどのカード類、定期券あるいは電話ボックス内貼付
用チラシカード等のチラシカード、アニメやアイドルの
写真等のキャラクターカードなどが、それである。
【0004】これらは従来では黒色の単色印刷が多かっ
たが、近年ではむしろそれ以外の単色および多色のカラ
ー印刷のものが普通となってきており、また、画像表現
の豊かな写真画像(特に多色カラー写真画像)等のよう
な階調性画像を含むカードの需要が急速に増加してきて
いる。
【0005】ところで、従来から、文字、図形、記号、
写真、イラスト、バーコード等の各種の画像の印刷ある
いはそれらのコピー等の画像形成(記録)法として、電
子写真法、銀塩方式による写真形成、ドット印字法、イ
ンクジェットプリント法、レーザープリント法、熱転写
記録方式など各種の方式が知られている。
【0006】これらのうち、特に熱転写記録方式は、操
作や保守が容易で手軽に利用できること、画像が鮮明で
あること、カラー印刷ができること、装置の小型化や低
コスト化を達成することができることなど種々の利点を
有しているので、最近では、上記のカード類の画像形成
手段として、広く利用されるようになってきた。
【0007】この熱転写記録方式としては、従来より以
下の二種類が知られている。
【0008】すなわち、支持体上に熱溶融性インク層を
有する転写シートをレーザーあるいは感熱ヘッド等によ
りイメージワイズに加熱して、熱溶融性インク層を支持
体の熱転写記録用受像面に溶融転写することにより画像
を形成する熱溶融型転写方式と、昇華性色素(熱拡散性
色素を含むものとする。)を含むインク層を支持体上に
有するところの転写シ−トを上記と同様の手段で加熱し
て、支持体の熱転写記録用受像面上に前記昇華性色素を
拡散転写することにより画像を形成する昇華型熱転写方
式(熱拡散転写方式)との二種類である。
【0009】いずれの方式も、黒色や各種カラーの単色
画像はもとより、種々の多色画像を容易に形成すること
ができる。
【0010】これらのうち、昇華型熱転写方式は感熱ヘ
ッド等の熱的エネルギーの変化に応じて、昇華性色素の
転写量を変化させることができるので、画像の階調をコ
ントロールすることができるという利点を有している。
【0011】したがって、昇華型熱転写方式によると、
単色の場合はもとより、例えばシアン、マゼンタ、イエ
ローの重ね記録を行うことによって、種々の色調を有す
る多色カラー画像における色の濃淡に連続的な変化を持
たせることができ、その結果、表現力の豊かな美麗な画
像(階調性画像)を形成することができる。
【0012】これに対して、熱溶融型転写方式はそのよ
うな階調性画像を形成することが困難であるが、非階調
性画像を形成するにしては操作がより簡単であることな
どから、これも一般に広く利用されている。
【0013】つまり、熱転写方式により画像を形成する
場合、たとえば多色カラー写真画像等の写真画像をはじ
めとする階調性画像の形成については昇華型熱転写方式
が採用され、一方、通常の文字、図形、記号、コード等
の非階調性画像の形成については、より簡易な熱溶融型
転写方式が採用される。
【0014】ところで、画像を有するカードにおいては
、画像を保護し、耐久性等を向上させるために保護膜を
設ける必要性がしばしば生じる。
【0015】特に、昇華型熱転写方式により形成された
カラー画像等のような階調性画像を有するカードについ
ては、その画像を形成する昇華性色素の滲みや紫外線等
による変色を防止するために、何らかの保護処置を施す
ことが必要とされている。
【0016】また、特に自動車免許証等のIDカード類
の場合においては、高い耐久性を付与するだけでなく、
偽造・変造の防止に有効な保護膜を設ける技術が強く要
望されている。
【0017】自動車免許証について特に詳述すると、自
動車免許証には、自動車免許保持者の顔を表示する写真
が基材上に形成されると共に、免許取得年月日、自動車
免許の種類、免許の有効期間、免許保持者の姓名や生年
月日等の文字情報が支持体上に記載されている。
【0018】自動車免許証の性質上、免許保持者の顔写
真や種々の文字情報等は絶対に変造されたりしてはなら
ないものである。また、自動車免許証は特定の公的機関
のみから発行されるものであって、決してそれ以外のと
ころで自由に作成されたり、偽造されてはならないもの
である。このような事情から、自動車免許証に対してそ
の偽造および変造の防止が絶対的に要求されているので
ある。
【0019】そこで、前記カードにおける画像を保護す
る手法として、従来からラミネ−ト加工が一般に採用さ
れている。
【0020】すなわち、顔写真等のカラー画像や文字情
報を有する画像を形成したカードの表面に透明フィルム
をラミネートすることにより画像を保護しようとするも
のである。
【0021】この透明フィルムとしてはカードと同大の
サイズのものが用いられ、これをカードの画像形成面に
ラミネ−トするが、位置合わせを行なうときにカードと
透明フィルムとに互いにズレが生じ易い。また、このよ
うなズレはラミネ−ト時に加えた熱処理により透明フィ
ルムが膨張して生じることもある。
【0022】そのため熱処理した後に、ラミネートフィ
ルムのズレた余分の部分を裁断したり、型抜きをしたり
しているので、自動車免許発行所等の現場では大量の切
りゴミが生じるという問題点があった。
【0023】さらに重大なことに、このようなラミネ−
ト加工を施した自動車免許証は、ラミネ−トフィルムを
物理的に画像表面から剥離することができるので、偽造
や変造の行われる恐れがあると言う致命的な欠陥があっ
た。
【0024】また、熱昇華性染料や熱溶融性インクによ
って形成された画像上にトルエン、メチルエチルケトン
、シクロヘキサノンなどの有機溶剤に溶解性の樹脂溶液
を塗布、乾燥することによって積層された樹脂保護層の
場合、樹脂溶液の塗布時に前記染料、インクが塗布液中
に溶出して形成画像に滲み、ボケなどの不都合が生じて
いた。
【0025】本発明は上記事情を改善するためになされ
たものである。すなわち、本発明の目的は、画像の偽造
や変造を未然に防止するとともに、耐久性を著しく向上
させた保護層付きカード、およびそれを無駄なく効率的
に得ることができる製造方法を提供することにある。
【0026】
【前記課題を解決するための手段】前記目的を達成する
ための本発明の保護層付きカードは、受像層に画像を有
するカードの前記受像層面に、熱可塑性樹脂の水系エマ
ルジョンの乾燥物層を形成してなる保護層付きカードで
あり、また本発明の製造方法は、基材上に熱可塑性樹脂
の水系エマルジョンを塗布して、基材上に熱可塑性樹脂
の水系エマルジョンの乾燥物層を形成し、この乾燥物層
の表面に、支持体上の受像層に画像を有するカードの受
像層面を重ね、加熱加圧処理により前記受像層面とそれ
に接触する乾燥物層とを接着し、その後、画像形成面に
前記水系エマルジョンの乾燥物層を被覆したまま前記カ
ードを前記基材から剥離する、あるいは支持体上の受像
層に昇華型熱転写及び/又は溶融型熱転写によって形成
された画像を有するカードの前記受像層面に熱可塑性樹
脂の水系エマルジョンを塗布後、乾燥させることによっ
て熱可塑性樹脂の乾燥物層を形成することを特徴とする
保護層付きカードの製造方法である。
【0027】[1]感熱転写記録用受像シ−ト感熱転写
記録用受像シ−トは支持体上に受像層を形成してなる。
【0028】また、支持体が受像性を有する場合は、こ
の支持体を受像層にすることもできる。本発明に用いる
画像を有するカードは、後述するように、画像を形成し
たカードサイズの感熱転写記録用受像シートそのものか
、あるいは画像を形成した長尺または幅広の感熱転写記
録用受像シートをカードサイズに裁断して得られるもの
である。
【0029】−支持体− 上記支持体としては、たとえば紙、コート紙、および合
成紙(ポリプロピレン、 ポリスチレンもしくは、それ
らを紙とはり合せた複合材料)等の各種紙類、白色また
は透明の塩化ビニル系樹脂シート、ポリエチレンテレフ
タレートベースフィルム、ポリエチレンテレフタレート
ベースフィルム、ポリエチレンナフタレートベースフィ
ルム、 ポリカーボネートベースフィルム等の各種プラ
スチックフィルムないしシート、各種の金属で形成され
たフィルムないしシート、各種のセラミックス類で形成
されたフィルムないしシート等を挙げることができる。
【0030】支持体中には、後の工程で形成される画像
の鮮明性を高めるために、白色顔料たとえばチタンホワ
イト、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シ
リカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム等が添加されて
いるのが好ましい。
【0031】この場合、白色顔料の支持体中の含有量は
、通常1.0  〜50.0重量%である。
【0032】支持体上に受像層を形成するときには、そ
の支持体の厚みは通常20〜300μm、好ましくは3
0〜300μmである。また、支持体を受像層そのもの
にするときには、その支持体の厚みは通常50〜2,0
00μm、好ましくは100〜1,000μmである。 この支持体にはエンボス加工、サイン、ICメモリー、
光メモリー、磁気記録層、他の印刷等を設けておくのが
好ましい。
【0033】−受像層− 支持体の表面に受像層を形成する場合のその受像層は、
バインダーと各種の添加剤とで形成することができる。 場合によってはバインダーのみから形成することもでき
る。
【0034】1.バインダー 本発明では、受像層用のバインダーは、通常、塩化ビニ
ル系樹脂で形成され、たとえば受像層自体が支持体であ
るような場合あるいは受像層にある程度の機械的強度を
持たせる場合は塩化ビニル系樹脂と耐熱性樹脂とで形成
される。
【0035】前記塩化ビニル系樹脂としては、ポリ塩化
ビニル樹脂と塩化ビニル共重合体とを挙げることができ
る。
【0036】この塩化ビニル共重合体としては、塩化ビ
ニルをモノマーユニットとして50モル%以上の割合で
含有する塩化ビニルと他のコモノマーとの共重合体を挙
げることができる。
【0037】前記他のコモノマーとしては、たとえば酢
酸ビニル、プロピレン酸ビニル、やし酸ビニル、牛脂酸
ビニルなどの脂肪酸のビニルエステル類、アクリル酸、
メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタアクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキ
シエチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリ
ル酸もしくはメタアクリル酸およびそのアルキルエステ
ル類、マレイン酸、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジ
ブチル、マレイン酸ジオクチルなどのマレイン酸および
そのアルキルアルキルエステル類、メチルビニルエーテ
ル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ラウリルビニ
ルエーテル、パルミチルビニルエーテル、ステアリルビ
ニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル等を挙げる
ことができる。さらに、前記コモノマーとして、エチレ
ン、プロピレン、アクリロニトリル、メタアクリロニト
リル、スチレン、クロロスチレン、イタコン酸およびそ
のアルキルエステル類、クロトン酸およびそのアルキル
エステル類、ジクロロエチレン、トリフロロエチレンな
どの他ハロゲン化オレフィン類、シクロペンテン等のシ
クロオレフィン類、アコニット酸エステル類、ビニルベ
ンゾエート、ベンゾイルビニルエーテル等を挙げること
ができる。
【0038】塩化ビニル共重合体は、ブロック共重合体
、グラフト共重合体、交互共重合体、ランダム共重合体
の何れであっても良い。
【0039】次に、前記耐熱性樹脂としては耐熱性がよ
く、極度に軟化点あるいはガラス転移点(Tg)の低い
樹脂でなく、前記塩化ビニル系樹脂と適度に相溶し、実
質的に無色であればその範囲を問わない。ここで言う「
耐熱性」とは耐熱保存した場合に樹脂そのものが黄変な
どの着色を起こさず、物理的強度が極端に劣化しないこ
とを指す。
【0040】前記耐熱性樹脂は軟化点が50〜200℃
、特にTgが80〜150℃であるのが好ましい。
【0041】軟化点が50℃未満であると、色素の転写
を行う際、インクシートと融着を起こすことがあるので
好ましくない。軟化点が200℃を越えると受像層の感
度が低下し好ましくない。
【0042】上記条件を満たす耐熱性樹脂としてはフェ
ノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ケトン樹脂な
どがあげられるが、中でも尿素アルデヒド樹脂、ケトン
樹脂が特に好ましい。
【0043】尿素アルデヒド樹脂は尿素とアルデヒド類
(主としてホルムアルデヒド)との縮合により得られる
ものであり、ケトン樹脂はケトンとホルムアルデヒドと
の縮合反応によって得られる。原料ケトンにより種々の
樹脂が知られているが、本発明ではそれらのいずれも用
いることができる。
【0044】上記原料ケトンとしては、たとえばメチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノ
ン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどが
ある。容易に入手することのできる尿素アルデヒド樹脂
を挙げると、たとえばラロパールA81、ラロパールA
101(BASF社製)などが、ケトン樹脂としてはラ
ロパールK80(BASF社製)などがある。上記各種
の耐熱性樹脂の分子量は特に規制をうけない。
【0045】本発明においては、受像層のバインダーと
して塩化ビニル系樹脂、耐熱性樹脂をそれぞれ複数種併
用することも可能である。また、上記バインダー以外の
バインダーも本特許の目的を損なわない程度に添加して
も良い。
【0046】2.添加剤 受像層には、剥離剤、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定
剤、フィラー(無機微粒子、有機樹脂粒子)、顔料を添
加しても良い。また増感剤として可塑剤、熱溶剤などを
添加しても良い。
【0047】剥離剤は、後述する昇華型感熱転写用イン
クシートと受像層との剥離性を向上させることができる
【0048】このような剥離剤としては、シリコーンオ
イル(シリコーン樹脂と称されるものも含む。);ポリ
エチレンワックス、アミドワックス、テフロンパウダー
等の固型ワックス類;弗素系、燐酸エステル系の界面活
性剤等が挙げられ、中でもシリコーンオイルが好ましい
【0049】このシリコーンオイルは、単に添加するタ
イプ(単純添加型)と、硬化もしくは反応させるタイプ
(硬化反応型)とがある。
【0050】単純添加型の場合には、バインダーとの相
溶性を向上させるために、変性シリコーンオイルを使用
するのが好ましい。
【0051】変性シリコーンオイルとしては、ポリエス
テル変性シリコン樹脂(もしくは、シリコン変性ポリエ
ステル樹脂)、アクリル変性シリコン樹脂(もしくは、
シリコン変性アクリル樹脂)、ウレタン変性シリコン樹
脂(もしくは、シリコン変性ウレタン樹脂)、セルロー
ス変性シリコン樹脂(もしくは、シリコン変性セルロー
ス樹脂)、アルキッド変性シリコン樹脂(もしくは、シ
リコン変性アルキッド樹脂)、エポキシ変性シリコン樹
脂(もしくは、シリコン変性エポキシ樹脂)などを挙げ
ることができる。
【0052】すなわち、主鎖中にポリシロキサン樹脂を
含有し、ブロック状にポリエステルを共重合せしめてな
るポリエステル変性シリコン樹脂、ポリエステル主鎖に
結合する側鎖としてジメチルポリシロキサン部分を有す
るシリコン変性ポリエステル樹脂、ジメチルポリシロキ
サンとポリエステルとのブロック共重合体、交互共重合
体、グラフト共重合体、ランダム共重合体等も、変性シ
リコーンオイルまたは樹脂として使用することができる
【0053】特に、本発明においては、ポリエステル変
性シリコン樹脂を添加することが好ましい。
【0054】代表的なポリエステル変性シリコン樹脂と
しては、たとえばジオールと二塩基酸との共重合体もし
くはカプロラクトンの開環重合体であるポリエステルと
ジメチルポリシロキサンとのブロック共重合体(ジメチ
ルポリシロキサンの両末端または片末端が上記ポリエス
テル部分でブロックされている、あるいは逆に上記ポリ
エステルがジメチルポリシロキサンでブロックされてい
る共重合体を含む。)、あるいは上記ポリエステルを主
鎖として側鎖に(ジメチル)ポリシロキサンを結合せし
めてなる共重合体を挙げることができる。
【0055】これらの単純添加型のシリコーンオイルの
添加量は、その種類に応じて様々に変化することがある
から一律に決定することができないが、一般的にいうと
、通常、受像層におけるバインダーに対して0.0〜2
0.0重量%である。
【0056】硬化反応型のシリコーンオイルとしては、
反応硬化型、光硬化型、触媒硬化型等が挙げられる。
【0057】反応硬化型シリコーンオイルとしては、ア
ミノ変性シリコーンオイルとエポキシ変性シリコーンオ
イルとを反応硬化させたものがある。
【0058】また、触媒硬化型あるいは光硬化型シリコ
ーンオイルとしてはKS−705F−PS、KS−70
5F−PS−1、KS−770−PL−3[いずれも触
媒硬化型シリコーンオイル:信越化学工業(株)製]、
KS−720、KS−774−PL−3[いずれも光硬
化型シリコーンオイル:信越化学工業(株)製]等が挙
げられる。
【0059】これら硬化型シリコーンオイルの添加量は
受像層用バインダーの0.0〜20.0重量%が好まし
い。
【0060】また、 昇華型感熱転写用インクシートと
受像層との剥離性に問題なく、 受像層中への剥離剤の
添加が水系エマルジョンの塗布性に影響を及ぼすような
場合には、 剥離剤を実質的に含有させないことが好ま
しい。 なお、受像層の表面の一部に、上記剥離剤を適当な溶媒
に溶解あるいは分散させて塗布した後、乾燥させる等に
よって剥離剤層を設けることもできる。
【0061】次に、前記酸化防止剤としては、特開昭5
9−182785、同60−130735、特開平1−
127387等に記載の酸化防止剤、および写真その他
の画像記録材料における画像耐久性を改善するものとし
て公知の化合物を挙げることができる。
【0062】前記UV吸収剤および光安定剤としては、
特開昭59−158287号、同63−74686号、
同63−145089号、同59−196292号、同
62−229594号、63−122596号、同61
−283595号、特開平1−204788号などの公
報に記載の化合物、および写真その他の画像記録材料に
おける画像耐久性を改善するものとして公知の化合物を
挙げることができる。前記フィラーとしては、無機微粒
子や有機樹脂粒子を挙げることができる。この無機微粒
子としてはシリカゲル、炭酸カルシウム、酸化チタン、
酸性白土、活性白土、アルミナ等を挙げることができ、
有機微粒子としてはフッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒
子、アクリル樹脂粒子、シリコン樹脂粒子等の樹脂粒子
を挙げることができる。これらの無機・有機樹脂粒子は
比重により異なるが、0.1〜70重量%の添加が好ま
しい。
【0063】前記顔料としては、代表例としてチタンホ
ワイト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シ
リカ、タルク、クレー、カオリン、活性白土、酸性白土
などを挙げることができる。
【0064】前記可塑剤としてはフタル酸エステル類(
例えばフタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸
ジオクチル、フタル酸ジデシルなど)、トリメリット酸
エステル類(例えばトリメリット酸オクチルエステル、
トリメリット酸イソノニルエステル、トリメリット酸イ
ソデソルエステルなど)、ピロメリット酸オクチルエス
テルなどのピロメリット酸エステル類、アジピン酸エス
テル類(アジピン酸ジオクチル、アジピン酸メチルラウ
リル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸
エチルラウリルなど)、その他オレイン酸エステル類、
コハク酸エステル類、マレイン酸エステル類、セバチン
酸エステル類、クエン酸エステル類、エポキシ化大豆油
、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸エポキシ
類、さらには、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジ
ルなどの正リン酸エステル類、トリフェニルホスファイ
ト、トリス・トリデシルホスファイト、ジブチル・ハイ
ドロジエン・ホスファイトなどの亜燐酸エステル類、エ
チルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチ
ルグリコレートなどのグリコールエステル類などがあげ
られる。
【0065】なお、本発明では、添加剤全体の添加量は
、通常、受像層におけるバインダーに対して0.1〜5
0重量%の範囲である。
【0066】−筆記層− 前記支持体の受像層形成面とは反対側の表面に、筆記層
を形成しても良い。
【0067】筆記層とは、例えば文字印刷などにより、
書誌的事項を記載できるように構成したものである。
【0068】特に、本発明のカードを自動車免許証等の
IDカードとする場合には、筆記層を設けることが好ま
しい。筆記層を形成しておくと、そのIDカードに種々
の情報を筆記することができて便利だからである。
【0069】筆記層は印刷する場合に印刷インクをはじ
くことなく、また、滲むことなく、したがって、印刷イ
ンクののりが良好であり、スタンプインクののりが良く
、その場合もインクが速く乾き、滲まず、摩擦などによ
ってもインクが落ちないことが好ましい。
【0070】このような筆記層の形成手段としては、例
えば無機粉状物質を混入した層を形成する手段があり、
例えば多孔質シリカとゼラチンを用いて筆記層を形成す
ることができる。
【0071】あるいは、炭酸カルシウム、タルク、けい
そう土、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機微細粉末を
熱可塑性樹脂(ポリエチレン等のポリオレフィン類や、
各種共重合体など任意である)のフィルムに含有させ、
このフィルムを積層することにより筆記層を形成するこ
とができる。
【0072】筆記層の厚みは通常、5〜300μmであ
り、好ましくは10〜200μmである。
【0073】[2]感熱転写記録用受像シートの製造感
熱転写記録用受像シートは、受像層を形成する成分を溶
媒に分散あるいは溶解してなる受像層用塗工液を調製し
、その受像層用塗工液を支持体の表面に塗布し、乾燥す
る塗工法によって製造することができる。
【0074】また、前記受像層を形成する成分を有する
混合物を溶融押出し、支持体の表面にラミネートするラ
ミネート法等によっても製造することができる。
【0075】前記塗工法に用いる溶媒としては、水、ア
ルコール、メチルエチルケトン、トルエン、ジオキサン
、シクロヘキサノンなど、従来から公知の溶媒を挙げる
ことができる。
【0076】前記ラミネート法を採用するときには、共
押出法を採用することもできる。
【0077】受像層は、支持体の表面全面に渡って形成
されていても良いし、また支持体の表面の一部に形成さ
れていても良い。
【0078】支持体の表面に形成される受像層の厚みは
、一般に2〜50μm、好ましくは3〜20μm程度で
ある。
【0079】一方、受像層が自己支持性であるが故に受
像層そのものが支持体である場合には、受像層の厚みは
60〜200μm、好ましくは90μm〜150μm程
度である。
【0080】なお、本発明に用いる感熱転写記録用受像
シートにおいては、感熱転写記録用インクシートのイン
ク層との融着防止をより効果的にするため、受像層の表
面に剥離剤(前記シリコン樹脂、変性シリコン樹脂、シ
リコンオイル膜またはその硬化体)を含有する剥離層が
さらに積層されていても良い。
【0081】この剥離層の厚みは、通常0.03〜2.
0μmである。
【0082】また、感熱転写記録用受像シートには、支
持体と受像層との間にクッション層あるいはバリヤー層
を設けることもできる。
【0083】クッション層を設けると、ノイズが少なく
て、画像情報に対応した画像を再現性良く転写記録する
ことができる。
【0084】クッション層を構成する材質としては例え
ばウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレン系樹脂、ブタ
ジエンラバー、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0085】クッション層の厚さは通常、1〜50μm
、好ましくは3〜30μmである。
【0086】バリヤー層を設けると色素の支持体への拡
散が防げ、支持体内での色素の滲みなどを防止すること
ができる。バリヤー層を構成する材質としては例えばゼ
ラチン、カゼインなどの親水性バインダー、Tgの高い
ポリマーなどが挙げられる。 [2]昇華型熱転写記録用インクシート昇華型熱転写記
録用インクシートは、支持体とその上に形成された昇華
性色素含有インク層とで構成することができる。
【0087】−昇華性色素含有インク層−上記昇華性色
素含有インク層は、基本的に昇華性色素とバインダーと
を含有する。
【0088】1.昇華性色素 昇華性色素としてはシアン色素、マゼンタ色素、イエロ
ー色素を挙げることができる。
【0089】前記シアン色素としては、特開昭59−7
8896号公報、同59−227948号公報、同60
−24966号公報、同60−53563号公報、同6
0−130735号公報、同60−131292号公報
、同60−239289号公報、同61−19396号
公報、同61−22993号公報、同61−31292
号公報、同61−31467号公報、同61−3599
4号公報、同61−49893号公報、同61−148
269号公報、同62−191191号公報、同63−
91288号公報、同63−91287号公報、同63
−290793号公報などに記載されているナフトキノ
ン系色素、アントラキノン系色素、アゾメチン系色素等
が挙げられる。
【0090】前記マゼンタ色素としては、特開昭59−
78896号公報、特開昭60−30392号公報、特
開昭60−30394号公報、特開昭60−25359
5号公報、特開昭61−262190号公報、特開昭6
3−5992号公報、特開昭63−205288号公報
、特開昭64−159号、特開昭64−63194号公
報等の各公報に記載されているアントラキノン系色素、
アゾ色素、アゾメチン系色素等が挙げられる。
【0091】イエロー色素としては、特開昭59−78
896号公報、特開昭60−27594号公報、特開昭
60−31560号公報、特開昭60−53565号公
報、特開昭61−12394号公報、特開昭63−12
2594号公報等の各公報に記載されているメチン系色
素、アゾ系色素、キノフタロン系色素、アントライソチ
アゾール系色素が挙げられる。
【0092】また、昇華性色素として特に好ましいのは
、開鎖型または閉鎖型の活性メチレン基を有する化合物
をp−フェニレンジアミン誘導体の酸化体またはp−ア
ミノフェノール誘導体の酸化体とのカップリング反応に
より得られるアゾメチン色素およびフェノールまたはナ
フトール誘導体またはp−フェニレンジアミン誘導体の
酸化体またはp−アミノフェノール誘導体の酸化体のと
のカップリング反応により得られるインドアニリン色素
である。
【0093】昇華性色素含有インク層に含有される昇華
性色素は、形成しようとする画像が単色であるならば、
イエロー色素、マゼンタ色素、およびシアン色素の何れ
であっても良い。
【0094】また、形成しようとする画像の色調によっ
ては、前記三種の色素のいずれか二種以上もしくは他の
昇華性色素を含んでいても良い。
【0095】前記昇華性色素の使用量は、通常、支持体
1m2 当たり0.1〜20g、好ましくは0.2〜5
gである。
【0096】2.バインダ− 昇華性色素含有インク層用のバインダーとしてはエチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒド
ロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロ
ース等のセルロース系樹脂;ポリビニルアルコール、ポ
リビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニ
ルピロリドン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリア
クリルアミド、ポリビニルアセトアセタール、スチレン
樹脂、スチレン共重合体樹脂、ポリアクリル酸エステル
、ポリアクリル酸、アクリル酸共重合体などのビニル系
樹脂、ゴム系樹脂、アイオノマー樹脂、オレフィン系樹
脂等が挙げられる。
【0097】これらの樹脂のうちでも耐酸性の優れたポ
リビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタールある
いはセルロース系樹脂が好ましい。
【0098】前記各種のバインダーは、その一種を単独
で使用することもできるし、またその二種以上を併用す
ることもできる。
【0099】バインダーと前記昇華性色素との重量比は
、1:10〜10:1が好ましく、2:8〜8:2の範
囲が特に好ましい。
【0100】3.その他の任意成分 さらに前記昇華性色素含有インク層には、本発明の目的
を阻害しない範囲で各種の添加剤を添加することができ
る。
【0101】その添加剤としては、シリコン樹脂、シリ
コンオイル(反応硬化タイプも可)、シリコン変性樹脂
、フッ素樹脂、界面活性剤、およびワックス類等の剥離
性化合物、金属微粉末、シリカゲル、金属酸化物、カー
ボンブラック、および樹脂微粉末等のフィラー、バイン
ダー成分と反応可能な硬化剤(たとえばイソシアネート
類やアクリル類やエポキシ類等の放射線活性化合物)な
どを挙げることができる。
【0102】さらにまた、添加剤として転写を促進する
ための熱溶融性物質、たとえばワックスや高級脂肪酸エ
ステルなどの、特開昭59−106997号公報に記載
の化合物を挙げることができる。
【0103】−支持体− 昇華型熱転写記録用インクシートの支持体としては、寸
法安定性がよく、感熱ヘッドでの記録の際の熱に耐える
ものならば、何でもよいが、コンデンサー紙、グラシン
紙のような薄葉紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレンナフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート
、ポリサルフォン、ポリビニルアルコールセロファン、
ポリスチレンのような耐熱性のプラスチックフィルムを
用いることができる。
【0104】支持体の厚さは、2〜10μmが好ましく
、また支持体にはバインダーとの接着性の改良や色素の
支持体側への転写、染着を防止する目的で下引層を有し
ていてもよい。
【0105】さらに支持体の裏面(昇華性色素含有イン
ク層と反対側)には、ヘッドが支持体に融着やスティッ
キング、シワの発生するのを防止する目的でスティッキ
ング防止層を設けてもよい。
【0106】このスティッキング防止層の厚みは通常、
0.1〜1μmである。
【0107】支持体の形状については特に制限がなく、
たとえば広幅のシートやフィルム、細幅のテープやカー
ドなど任意の形状がある。
【0108】[4]昇華型熱転写記録用インクシートの
製造 昇華型熱転写記録用インクシートは、昇華性色素含有イ
ンク層を形成する前記各種の成分を溶媒に分散ないし溶
解して昇華性色素含有インク層形成用塗工液を調製し、
これを支持体の表面に塗工し、乾燥することにより製造
することができる。
【0109】なお、前記バインダーは、一種または二種
以上を溶媒に溶解もしくはラテックス状に分散させて用
いる。
【0110】前記溶媒としては、水、アルコール類(例
えばエタノール、プロパノール)、セロソルブ類(例え
ばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ)、芳香族類(
例えばトルエン、キシレン、クロルベンゼン)、ケトン
類(例えばアセトン、メチルエチルケトン)、エステル
系溶剤(たとえば酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、エー
テル類(例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン)、塩
素系溶剤(例えばクロロホルム、トリクロルエチレン)
等が挙げられる。
【0111】前記塗工には、従来から公知のグラビアロ
ールによる面順次塗り別け塗布法、押し出し塗布法、ワ
イヤーバー塗布法、ロール塗布法等を採用することがで
きる。
【0112】昇華性色素含有インク層は、支持体の表面
の全面あるいは一部の表面に、単色の昇華性色素を含有
する層として形成されても良いし、また、バインダーと
イエロー色素とを含有するイエロー昇華性色素含有イン
ク層、バインダーとマゼンタ色素とを含有するマゼンタ
昇華性色素含有インク層およびバインダーとシアン色素
とを含有するシアン昇華性色素含有インク層が、平面方
向に沿って一定の繰り返しで支持体の表面の全面あるい
は一部の表面に形成されていても良い。
【0113】かくして形成された昇華性色素含有インク
層の膜厚は、通常、0.2〜10μmであり、好ましく
は、0.3〜3μmである。
【0114】昇華型熱転写記録用インクシートには、パ
ーフォレーションを形成したり、あるいは色相の異なる
区域の位置を検出するための検知マークなどを設けるこ
とによって、使用時の便を図ることもできる。
【0115】なお、昇華型熱転写記録用インクシートは
、支持体とその上に形成されたインク層とからなる構成
に限られず、昇華性色素含有インク層の表面にその他の
層が形成されていても良い。
【0116】例えば、感熱転写記録用受像シートとの融
着や昇華性色素の裏移り(ブロッキング)を防止する目
的でオーバーコート層を設けても良い。
【0117】[5]画像の形成法 画像を形成するには、昇華型熱転写記録用インクシート
の昇華性色素含有インク層と感熱転写記録用受像シート
の受像層とを重ねあわせ、昇華性色素含有インク層と受
像層とにイメージワイズに熱エネルギーを与える。
【0118】昇華性色素含有インク層中の昇華性色素は
、与えられた熱エネルギーに応じた量だけ気化あるいは
昇華し、受像層側に移行し、受容される。その結果、受
像層に画像が形成される。この画像は、受像層面の全面
に形成されていても、部分的に形成されていてもよい。
【0119】前記熱エネルギーを与える熱源としては、
サーマルヘッドが一般的であるが、このほかにレーザー
光、赤外線フラッシュ、熱ペンなどの公知のものを使用
することができる。
【0120】熱エネルギーを与える熱源としてサーマル
ヘッドを用いるときは、サーマルヘッドに印加する電圧
あるいはパルス巾を変調することにより、与える熱エネ
ルギーを連続的にあるいは多段階に変化させることがで
きる。
【0121】熱エネルギーを与える熱源としてレーザー
光を用いるときは、レーザー光の光量や照射面積を変化
させることにより与える熱エネルギーを変化させること
ができる。
【0122】この場合、レーザー光を吸収し易くするた
め、レーザー光吸収材料(例えば、半導体レーザーの場
合、カーボンブラックや赤外線吸収物質など)を昇華性
色素含有インク層中、もしくは昇華性色素含有インク層
近傍に存在せしめるとよい。
【0123】なお、レーザー光を用いるときは昇華型熱
転写記録用インクシートと感熱転写記録用受像シートと
を充分に密着させて行なうとよい。
【0124】音響光学素子を内蔵したドットジェネレー
ターを用いれば網点の大小に応じた熱エネルギーを与え
ることもできる。
【0125】熱エネルギーを与える熱源として赤外線フ
ラッシュランプを用いるときは、レーザー光を用いる場
合と同様に、加熱を黒色などの着色層を介して行なうと
よい。
【0126】あるいは黒色などの、画像の濃淡を連続的
に表現したパターンあるいは網点パターンを介して加熱
を行なってもよいし、また一面の黒色などの着色層と前
記のパターンのネガに相当するネガパターンを組み合わ
せて加熱を行なってもよい。
【0127】熱エネルギーの与え方としては昇華型熱転
写記録用インクシート側から行なっても、支持体側から
行なっても、或いは両側から行なってもよいが、熱エネ
ルギーの有効利用を優先させるなら、昇華型熱転写記録
用インクシート側から行なうのが望ましい。
【0128】上記昇華型熱転写記録方式により、感熱転
写記録用受像シートの受像層に一色の画像を記録するこ
とができるが、下記の方法によると、各色の掛け合せか
らなるカラー写真調のカラー画像を得ることもできる。
【0129】たとえばイエロー、マゼンタ、シアンおよ
び必要に応じて黒色の感熱転写記録用感熱シートを順次
取り換えて、各色に応じた熱転写を行なうと、各色のか
けあわせからなるカラー写真調のカラー画像を得ること
もできる。
【0130】また、次の方法も有効である。
【0131】すなわち、上記の各色の昇華型熱転写記録
用インクシートを用いるかわりに、予め各色に塗り分け
て形成した区域を有する昇華型熱転写記録用インクシー
トを用いるのである。
【0132】そして、まずイエローの区域を用いてイエ
ローの分色画像を熱転写し、次にマゼンタの区域を用い
てマゼンタの分色画像を熱転写し、以下、順次に繰り返
すことによりイエロー、マゼンタ、シアン、及び必要に
より黒色の分色画像をこの順に熱転写する方法を採る。
【0133】[6]熱溶融性インクシート熱溶融性イン
クシートは、支持体上に熱溶融性インク層を積層してな
る。なお、この熱溶融性インクシートは、その特性を損
なわない範囲内で他の層を有していても良い。たとえば
、前記熱溶融性インク層と支持体との間に剥離層が設け
られていても良く、またこの剥離層と支持体との間に中
間層などが積層されていてもよく、また、最外層にイン
ク保護層を設けるなど前記熱溶融性インク層の上に他の
層が積層されていても良い。さらに、前記剥離層や熱溶
融性インク層は、必要に応じて、多層構造にされていて
もよい。
【0134】次に、この熱溶融性インクシートの構成に
ついて、支持体、熱溶融性インク層の順に説明する。
【0135】−支持体− 熱溶融性インクシートにおける支持体は、良好な耐熱強
度を有するとともに寸法安定性の高いことが望ましい。
【0136】その材料としては、たとえば、普通紙、コ
ンデンサー紙、ラミネート紙およびコート紙等の紙類;
ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチ
レン、ポリプロピレンおよびポリイミド等の樹脂フィル
ム類;紙と樹脂フィルムとの複合体ならびにアルミ箔等
の金属シートなどがいずれも好適に使用される。
【0137】支持体の厚みは、通常、30μm以下、好
ましくは2〜30μmの範囲内である。支持体の厚みが
30μmを超えると、熱伝導性が劣化して、印字品質の
低下を招くことがある。
【0138】なお、この熱溶融性インクシートにおいて
、支持体の裏面側の構成については任意であり、たとえ
ばスティッキング防止層等のバッキング層を設けても良
い。
【0139】−熱溶融性インク層− 熱溶融性インク層は、熱溶融性化合物、熱可塑性樹脂お
よび着色剤等から構成される。
【0140】1.熱溶融性化合物 前記熱溶融性化合物としては、通常この種の熱溶融性イ
ンクシートの熱溶融性インク層に使用されるものを任意
に使用することができ、具体的には、たとえば、ポリス
チレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂
の低分子量物、カルナバロウ、木ロウ、キャンデリンワ
ックス、ライスワックス、オウリキュリーロウおよびエ
スパルロウ等の植物系ワックス類;蜜ロウ、昆虫ロウ、
セラックロウおよび鯨ロウ等の動物系ワックス類;パラ
フィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリ
エチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス
、エステルワックスおよび酸化ワックス等の石油ロウ;
ならびにモンタンロウ、オゾケライトおよびセレシンワ
ックス等の鉱物系ワックス類等の各種のワックス類を挙
げることができ、さらにこれらのワックス類の他に、ロ
ジン、水添ロジン、重合ロジン、ロジン変性グリセリン
、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性ポリエステル
樹脂、ロジン変性フェノ−ル樹脂およびエステルガム等
のロジン誘導体、ならびにフェノ−ル樹脂、テルペン樹
脂、ケトン樹脂、シクロペンタジエン樹脂および芳香族
炭化水素樹脂などを挙げることができる。
【0141】なお、これらの熱溶融性化合物は、分子量
が通常、10,000以下、特に、5,000以下で、
融点もしくは軟化点が50〜150℃の範囲にあるもの
が好ましい。
【0142】前記熱溶融性化合物は、一種単独で使用し
てもよいし、二種以上を組合せて用いてもよい。
【0143】2.熱可塑性樹脂 前記熱溶融性インク層の成分として使用される前記熱可
塑性樹脂としては、通常この種の熱溶融性インクシート
の熱溶融性インク層に使用されるものなど各種のものが
使用可能であり、たとえば、エチレン系共重合体、ポリ
アミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポ
リオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、およびセルロー
ス系樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、特
に、エチレン系共重合体などが好適に使用される。
【0144】このエチレン系共重合体としては、たとえ
ば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチル
アクリレート樹脂、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイ
ン酸樹脂、エチレン−アクリル酸樹脂、エチレン−メタ
クリル酸樹脂、エチレンーαオレフィン共重合体などを
挙げることができる。これら各種のエチレン系共重合体
の中でも、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
エチルアクリレート樹脂、およびエチレン−エチルアク
リレート−無水マレイン酸樹脂等のエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体もしくはエチレン−酢酸ビニル系共重合体お
よびエチレン−エチルアクリレート樹脂もしくはエチレ
ン−エチルアクリレート系樹脂が好ましい。
【0145】また、これら各種のエチレン系共重合体は
、エチレン単位以外のコモノマ−単位の含量が、35重
量%以上であるものが好ましい。
【0146】このような特定の組成を有する、前記エチ
レン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン−酢酸ビニル系
共重合体および/またはエチレン−エチルアクリレート
樹脂等のエチレン−エチルアクリレート系樹脂を前記熱
溶融性インク層の熱可塑性樹脂もしくはその主成分とし
て用いることによって、表面平滑度の低い基材に対して
もより一層の接着力の向上を図ることができ、画像形成
後における画像の高い定着性を実現することができる。
【0147】また、前記熱可塑性樹脂は、そのメルトイ
ンデックス(MI値)が、通常、2〜1,500の範囲
、好ましくは20〜500の範囲にあるものが好ましい
。前記MI値が前記の範囲にある熱可塑性樹脂を使用す
ることにより、被転写媒体に対する熱溶融性インク層の
接着力をより一層充分なものとすることができるからで
ある。なお、前記熱可塑性樹脂は、一種単独で使用して
もよいし、二種以上を併用してもよい。
【0148】3.着色剤 前記熱溶融性インク層の成分として使用される前記着色
剤としては、通常この種の熱溶融性インクシートの熱溶
融性インク層に使用されるものを制限なく使用すること
ができ、たとえば、無機顔料、有機顔料等の顔料、なら
びに有機染料等の染料を挙げることができる。
【0149】前記無機顔料としては、たとえば、二酸化
チタン、カーボンブラック、酸化亜鉛、プルシアンブル
ー、硫化カドミウム、酸化鉄ならびに鉛、亜鉛、バリウ
ムおよびカルシウムのクロム酸塩などが挙げられる。
【0150】前記有機顔料としては、たとえば、アゾ系
、チオインジゴ系、アントラキノン系、アントアンスロ
ン系、トリフェンジオキサジン系の顔料、バット染料顔
料、フタロシアニン顔料、たとえば銅フタロシアニンお
よびその誘導体ならびにキナクリドン顔料などが挙げら
れる。
【0151】前記染料としては、たとえば、酸性染料、
直接染料、分散染料、油溶性染料、含金属油溶性染料な
どが挙げられる。
【0152】なお、これら各種の着色剤は、一種単独で
使用してもよいし、必要に応じて、二種以上を併用して
もよい。
【0153】4.配合割合 前記熱溶融性インク層における前記熱溶融性化合物成分
の割合としては、前記熱溶融性インク層を構成する全成
分に対して、通常、20〜80重量%、好ましくは30
〜70重量%の範囲とするのが適当である。この熱溶融
性化合物成分の含有割合があまり少なすぎると、細かな
文字等を印字できないことがあり、一方、あまり多すぎ
ると、地汚れなどの弊害が生じることがある。
【0154】前記熱溶融性インク層における前記熱可塑
性樹脂の割合としては、前記熱溶融性インク層を構成す
る全成分に対して、通常、5〜40重量%、好ましくは
10〜30重量%の範囲とするのが適当である。この熱
可塑性樹脂の含量割合があまり少なすぎると、低平滑度
の紙にきれいに印字できないことがあり、一方、あまり
多すぎると、高温でブロッキングしやすくなるなどの弊
害が生じることがある。
【0155】前記熱溶融性インク層における前記着色剤
の割合としては、前記熱溶融性インク層を構成する全成
分に対して、通常、5〜30重量%、好ましくは10〜
25重量%の範囲とするのが適当である。この着色剤の
含量割合があまり少なすぎると、転写画像が薄くなった
り、かすれたりして熱溶融性インクシート本来の目的を
十分に果たすことができなくなることがあり、一方、あ
まり多すぎると、熱溶融性インク層の被転写媒体に対す
る定着性が不十分となるなどの弊害が生じることがある
【0156】なお、前記熱溶融性インク層には、必要に
応じてこの発明の目的を阻害しない範囲で、上記以外の
他の添加成分を適宜添加することができる。
【0157】たとえば、この熱溶融性インク層には、フ
ッ素系界面活性剤を含有させても良い。フッ素系界面活
性剤の含有により、前記インク層のブロッキング現象を
防止することができる。
【0158】前記熱溶融性インク層の膜厚は、通常、0
.6〜5.0μmであり、特に1.0〜4.0μmであ
るのが好ましい。
【0159】[7]熱溶融性インクシートの製造この熱
溶融性インク層は、形成成分を有機溶媒に分散あるいは
溶解して支持体上に塗布する方法(有機溶剤法)、加熱
により熱可塑性樹脂などを軟化あるいは溶融状態にして
支持体上に塗布する方法(ホットメルト塗布法)などを
採用して塗設されていても良いが、形成成分を水や有機
溶媒に分散もしくは溶解させたエマルジョン、もしくは
溶液などを用いて支持体上に塗工されてなるのが好まし
い。
【0160】前記熱溶融性インク層の塗設に用いる塗工
液中の層形成成分の合計の含有率は、通常は、5〜50
重量%の範囲内に設定される。
【0161】また、塗布方法は、通常の方法を利用して
行なうことができる。塗布方法の例としては、ワイヤー
バーを用いた方法、スクイズコート法およびグラビアコ
ート法などを挙げることができる。
【0162】また、熱溶融性インク層は、少なくとも一
層で設けられていることが必要であるが、たとえば着色
剤の種類および含有率、あるいは熱可塑性樹脂と熱溶融
性化合物との配合比率などの異なる二層以上の熱溶融性
インク層を積層して構成してもよい。
【0163】[8]画像の形成 前記熱溶融性インクシートを用いる熱溶融型転写方法は
、通常の感熱転写記録方法と異なるものではないが、熱
源として最も典型的な熱ヘッドを使用する場合を例にし
て説明する。
【0164】まず、熱溶融性インクシートの熱溶融性イ
ンク層と感熱転写記録用受像シートの受像面とを密着さ
せ、必要に応じてさらに感熱転写記録用受像シートの背
面からプラテンによって熱パルスを与えつつ、熱ヘッド
によって熱パルスを与え、所望の印字ないし転写パター
ンに対応する熱溶融性インク層を局部的に加熱する。
【0165】熱溶融性インク層の被加熱部は、その温度
が上昇し、速やかに軟化して感熱転写記録用受像シート
の受像層面に転写される。その結果、受像層面の全面ま
たは一部の面に画像が形成される。
【0166】以上のようにして、熱溶融型転写方式およ
び昇華型熱転写方式から画像を形成した感熱転写記録用
受像シートを得ることができる。そして、この感熱転写
記録用受像シートが初めからカードサイズであれば、そ
のまま画像を有するカードとして用いることができ、ま
た感熱転写記録用受像シートが長尺または幅広であれば
、これをカードサイズに裁断することにより、画像を有
するカードを得ることができる。
【0167】[9]保護層、水系エマルジョン本発明で
は、画像を有する前記カードの画像形成面に保護層を設
ける。そして、この保護層が、熱可塑性樹脂の水系エマ
ルジョンの乾燥物から形成されることが重要である。こ
のような熱処理乾燥物層は、互いに接着した熱可塑性樹
脂の粒子で構成され、 受像層とは強固に接着するので
剥離の恐れがなく、偽造や変造される心配がない上、画
像形成面の保護層としての機能を十二分に発揮すること
ができる。
【0168】上記熱可塑性樹脂の好適な例としては、塩
化ビニル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂やエ
チレン、酢酸ビニル、塩化ビニルを単位とした共重合体
、ポリエステル樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリオレフ
ィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ニトリルゴム樹脂、スチ
レン樹脂、スチレンアクリル共重合体樹脂、アクリル酸
エステル樹脂、酢酸ビニルアクリル共重合体樹脂、スチ
レン−ブタジエン系樹脂などがあり、特開昭63−19
3886号公報の第4頁右上欄第16行から第5頁左上
欄第18行までに記載の熱可塑性樹脂を挙げることがで
きる。その他に、この水系エマルジョンは、特開昭63
−193886号公報の第4頁左上欄第5行から同頁右
上欄第14行までに記載の熱溶融性物質を含有していて
も良い。また、この水系エマルジョンは、特開昭63−
193886号公報の第5頁左下欄第4行から同頁右下
欄第19行までに記載された内容でもって、調製するこ
とができる。
【0169】本発明の水系エマルジョンに用いられる樹
脂のガラス転移温度は、保護層形成後の表面のべたつき
が無いように0℃以上であることが好ましい。
【0170】本発明に用いる熱可塑性樹脂の水系エマル
ジョンは、上記熱可塑性樹脂の一種または二種以上を公
知の分散装置等を用いて水に分散させることにより得ら
れる。
【0171】本発明の水系エマルジョン中の樹脂固形分
濃度は、塗布性、乾燥性を考慮して通常5〜70重量%
、好ましくは、10〜60%である。
【0172】本発明においては、前記熱可塑性樹脂の分
散性を向上させる目的でメタノール、エタノ−ル、イソ
プロピルアルコール、等のアルコール類や、エチルセロ
ソルブ、ターシャリーブチルセロソルブなどを少量添加
しても良い。添加量は、好ましくは、0〜30重量%、
より好ましくは0〜20重量%である。
【0173】また、この分散を加熱下に行なうと、水系
エマルジョンを形成する粒子の平均粒子径を小さくする
ことができ、全体として均一な保護層を形成することが
できる。この場合の加熱温度は、50〜140℃の範囲
内で、分散している熱可塑性樹脂に合わせて適宜に設定
することができる。
【0174】加える水の量は、通常の範囲内であればよ
く、通常は、得られる水系エマルジョン中の熱可塑性樹
脂の含有率が5〜50重量%の範囲内になるようにする
【0175】上記水系エマルジョンには、界面活性剤を
添加することができる。
【0176】界面活性剤としては通常のものの他、フッ
素系界面活性剤を使用することができる。界面活性剤は
、上記水系エマルジョンの調製前に熱可塑性樹脂に添加
しても、得られた水系エマルジョンに添加してもよい。
【0177】この界面活性剤によって、支持体に対する
水系エマルジョンの親和性が向上し、塗布の際の所謂「
はじき」を効果的に防止することができる。なお、フッ
素系界面活性剤を用いる場合、フッ素系界面活性剤の含
有率は、保護層の全固形分に対して通常は、0.05〜
3重量%、好ましくは0.1〜2重量%の範囲内にある
【0178】本発明で用いる水系エマルジョンは、さら
に、ポリアクリル酸ナトリウムのような増粘剤(例、ポ
リアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリ
ビニルアルコール、水溶性ポリウレタン、水溶性アクリ
ル、水溶性ポリエステルおよび水溶性ポリアミドのよう
な水溶性ポリマー)、保護層の表面のすべり性を向上さ
せる物質(例、コロイダルシリカ)を含有していてもよ
い。
【0179】なお、この水系エマルジョンから乾燥物層
を得る方法については、「保護層付きカードの製造方法
」の項で説明する。
【0180】[10]保護層付きカードの製造方法本発
明の保護層付きカードの製造方法を、図示する一実施態
様に基いて説明する。
【0181】図1において、1は基材の一例であるポリ
エチレンテレフタレートのシートであり、ロール状に巻
回されている。このロ−ル1aから、ポリエチレンテレ
フタレートのシート1を連続的または不連続的に一方向
に送り出す。
【0182】前記基材としては耐熱性に富み、かつ良好
な耐水性を備えている限りにおいて広範囲のプラスチッ
クを用いることができる。その好適な具体例を挙げると
、たとえば前記ポリエチレンテレフタレートの他にも、
ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ
エチレンナフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート
、ポリサルフォン、ポリビニルアルコールセロファン、
コンデンサー紙、グラシン紙などがある。基材の形態は
、一般的にはシートまたはフィルムなどが挙げられる。 基材の厚みについては、特に限定はない。
【0183】送り出したポリエチレンテレフタレートの
シート1の表面に、第一段階として熱可塑性樹脂の水系
エマルジョン2を、たとえばノズル2aを用いて塗布す
る。この熱可塑性樹脂としては、前述したようにたとえ
ばポリ塩化ビニル等が用いられる。上記水系エマルジョ
ンの塗布方法としては、たとえばワイヤーバーコータ、
 ダブルロールコータ、 スリットコータ、 エアナイ
フコータ、 スライドホッパーまたはスプレー吹き付け
など公知の方法を採用することができる。前記水系エマ
ルジョンの塗布厚みは、通常、後記乾燥物層の厚みが0
.5〜50μmの範囲内になるよう調整することが好ま
しい。
【0184】次に第二段階として、水系エマルジョンの
層を乾燥する。
【0185】この乾燥は自然乾燥であっても、熱風、 
赤外線ヒーター、ヒートローラー、 ホットプレートな
ど公知の乾燥機を用いる強制乾燥であってもよい。この
乾燥によって水系エマルジョンから大部分の水が除去さ
れる。
【0186】続いて第三段階として、前記乾燥によって
得られた水系エマルジョンの乾燥物層の上に、受像層に
画像を形成したカード3の受像層面3aを重ねる。
【0187】続いて、第四段階として上記受像層面3a
を加熱手段4で加熱処理する。
【0188】この加熱処理は、上記乾燥物層の表層部に
含まれる熱可塑性樹脂の粒子を融着させ、乾燥物層を受
像層に接着させるために行なわれる。この加熱は通常、
樹脂の融点近傍またはそれ以上の温度で行ない樹脂粒子
を融解させ造膜させることが好ましい。
【0189】上記加熱処理はカード3の背面から行なっ
てもポリエチレンテレフタレートのシート1の背面から
行なっても良い。この加熱手段4としては特に制約はな
く、公知の加熱手段を用いることができるが、たとえば
ヒートロ−ラ4aでカード3をポリエチレンテレフタレ
ートのシート1の表面に押圧しながら、加熱を行なうこ
とが好ましい。
【0190】このように加熱したのちは、最終段階とし
てカード3をポリエチレンテレフタレートのシート1か
ら剥離する。
【0191】この際、カード3の画像形成面3aには熱
可塑性樹脂の粒子からなる膜状の乾燥物層2bが付着形
成されているので、カード3を剥離するときは、カード
3の周縁とカード3の外側の水系エマルジョンの乾燥物
層との切れが良い。
【0192】また、 前記シートと樹脂乾燥物層の間に
は、 樹脂層の転写性を高めるために、ワックスなどの
公知の剥離層を設けても良い。したがって、本発明によ
ると、カードの受像層面にこれと同じ面積をもって前記
水系エマルジョンの乾燥物層を形成することができるの
で、従来技術と違って余分な部分の裁断工程などは不必
要であり、切りゴミなどは生じない。つまり、本発明の
製造方法によると、保護層付きカードを無駄なく効率的
に製造することができる。
【0193】本発明の保護層付きカードの製造方法のそ
の他の方式として、図2のように受像層に画像を形成し
たカード3の受像層面に直接前記水系エマルジョンをワ
イヤーバーコータ、 ダブルロールコータ、 スリット
コータ、 エアナイフコータ、 スライドホッパーまた
はスプレー吹き付けなど公知の方法で塗布した後に乾燥
することにより、保護層を形成する方法がある。この場
合は、水系エマルジョン乾燥物を転写するための基材を
必要としないため、さらなる廃棄物の低減を図ることが
できる。
【0194】
【実施例】次に、実施例と比較例を挙げて本発明をさら
に具体的に説明する。なお、以下において「部」は「重
量部」を表わす。
【0195】(実施例1〜11、比較例1〜3)(1)
 次のようにしてカードサイズの受像シートが製造され
た。すなわち、厚み450μmの硬質白色塩化ビニルシ
ートの両面に厚み150μmの硬質透明塩化ビニルシー
トを熱溶着することによって得られたところの、厚みが
750μmである幅広の白色塩化ビニルシートに、次の
組成を有する受像層用塗工液をワイヤーバー  法によ
り塗工し、溶剤を乾燥除去することにより厚み4.0μ
mの受像層を形成した。
【0196】   受像層用塗工液の組成     塩化ビニル系樹脂(積水化学 エスメティカV
 1330E)・・・・・・9.9部    溶剤  
        (メチルエチルケトン/シクロヘキサ
ノン=8/2)  ・・・・・90.0部    シリ
コン樹脂   (離型剤  信越化学X−24−830
0)・・・・・・0.1部。
【0197】次いで、受像層とは反対側の支持体表面に
、下記の組成を有する筆記層用塗工液を塗布し、乾燥す
ることにより、厚み40μmの筆記層を形成した。
【0198】かくして得られた幅広の受像シートを裁断
することにより縦横54.0mm×85.0mmのカー
ドサイズの受像シートが得られた。
【0199】次いで、受像層とは、反対の支持体表面に
、下記の組成を有する筆記層用塗工液を塗布し、乾燥す
ることにより厚み40μmの筆記層を形成した。かくし
て得られた、 幅広の受像シートを裁断することにより
、 縦横54.0×85.0mmのカードサイズの受像
シートが得られた。 筆記層用塗工液の組成 コロイダルシリカ・・・・・・2.5重量部ゼラチン・
・・・・・・・・・7.0重量部硬膜剤・・・・・・・
・・・・0.5重量部水・・・・・・・・・・・・90
.0重量部。
【0200】(2) 昇華型熱転写記録用インクシート
を以下のようにして製造した。
【0201】支持体として厚さ6μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルムのコロナ処理された表面に、下記
組成のインク層形成用塗工液をワイヤーバーコーティン
グ法により、乾燥後の厚みが1μmになるように塗布、
乾燥するとともに、コロナ処理されていない裏面にシリ
コーンオイル(X−41、4003A、信越シリコーン
(株)製)をスポイトで1、2滴垂らして全面に広げ、
背面処理コートを行なってイエロー、マゼンタ、シアン
の各色を有する三種の感熱転写記録用インクシートを得
た。
【0202】         インク層形成用塗工液  分散染料     1.イエロー[MS Yellow ,三井東
圧化学(株)製]・・・・3部    2.マゼンタ[
MS Magenta,三井東圧化学(株)製]・・・
・5部    3.シアン[カヤセットフル ー136
 ,日本化薬(株)]・・・・・・4部  ポリビニル
ブチラール・・・・・・・・・・・・・・・・・各5部
  [重合度1700、Tg85.0℃、アセタール 
   化度64モル%、アセチル基3モル%以下、  
  商品名BX−1:積水化学工業株製]  ポリエス
テル変性シリコーン・・・・・・・・・・・・・・各0
.4部  [信越化学工業株製:商品名X−24−83
10]  トルエン・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・各40部  メチルエチルケトン・・・・
・・・・・・・・・・・・・各40部  ジオキサン・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・各10部。
【0203】(3) 熱溶融性インク層と透明保護層と
を有するシートを以下のようにして製造した。すなわち
、厚み4.5μmのポリエチレンテレフタレートシート
の表面における片側に熱溶融性インク層用塗工液をワイ
ヤーバー 法により塗工し、乾燥することにより厚み1
.2μmの熱溶融性インク層を形成した。また、前記の
ようにして熱溶融性インク層を形成したシートの表面に
おける未塗工部分に、下記の組成を有する透明保護層用
塗工液をワイヤーバー 法により塗工し、乾燥すること
により厚み3.0μmの透明保護層を形成した。すなわ
ち、前記ポリエチレンテレフタレートシートの片面に熱
溶融性インク層と透明保護層とが区分けして形成された
。このポリエチレンテレフタレートシートの前記熱溶融
性インク層とは反対側の面に、以下の組成を有するアン
チスティッキング層用塗工液を塗布することにより、厚
み0.6μmのアンチスティッキング層を形成した。
【0204】   熱溶融性インク層用塗工液の組成   カルナバワックス・・・・・・・・・・・・   
               2部  エチレン−酢
酸ビニル共重合体(三井テ゛ュホ゜ンケミカル EV−
40Y )                    
                  ・・・・・・・
・・    1部  カーボンブラック・・・・・・・
・                        
  5部  フェノール樹脂(荒川化学  タマノル5
10)・・・・      12部  メチルエチルケ
トン・・・・・・・・・・・            
    80部。
【0205】(4) 次のようにして画像記録体を製造
した。すなわち、受像シートにおける受像層と昇華型熱
転写記録用インクシートの昇華性色素含有層とを重ね合
わせ、昇華型熱転写記録用インクシート側からサーマル
ヘッドを用いて出力0.23W/ドット、パルス幅0.
3〜4.5msec、ドット密度16ドット/mmの条
件で加熱することにより、画像に階調性のある人物顔画
像を形成した。
【0206】次いで、熱溶融性インク層を重ね、熱溶融
性インク層にはサーマルヘッドを用いて出力0.5W/
ドット、パルス幅1.0msec、ドット密度16ドッ
ト/mmの条件で加熱することにより、文字情報を転写
した。
【0207】−保護層付きカードの製造工程−前記人物
写真画像、文字画像を前記受像シートに形成したカード
上にワイヤーバー法を用いて、固形分濃度が20%とな
るように濃度調整された表1に示す水系エマルジョン樹
脂を塗布後、 乾燥機中で140℃、2分間乾燥するこ
とによりカード表面に乾燥後の厚さが8μmとなるよう
に樹脂保護層を形成した。また、比較例として表面保護
層を設けなかった試料を比較例1、水系エマルジョン樹
脂保護層の代わりにポリエステル系樹脂( バイロン2
00 、三井デュポンケミカル(株)製) のメチルエ
チルケトン/トルエン(1:1)溶液を同様にして塗布
、乾燥した試料を比較例2、 水系エマルジョン樹脂保
護層の代わりに市販のいわゆるパウチフィルム( 日本
GBC (株)製、厚さ100μm)を簡易ラミネータ
ー( 富士プラスチック機械株式会社製 LPC170
)を用い140℃で熱圧着した試料を比較例3とした。
【0208】
【表1】
【0209】こうして得られた上記各試料の作成後の品
質と、改竄の容易性(100  ℃雰囲気下での保護層
の剥離、記載事項の書き換え)を比較した。結果を表2
に示した。
【0210】
【表2】
【0211】次に、実施例1〜11でもちいた水系エマ
ルジョン樹脂を、厚さ25μmの透明ポリエチレンテレ
フタレートフィルム上にワイヤーバー法を用いてカルナ
バワックスを0.3μm塗布された保護層転写シートに
、 スプレー法を用いて乾燥時の膜厚が、10μmとな
る様に塗布後、120℃の熱風で70秒間乾燥した転写
フィルムを前記画像を形成したカードと密着させ、表面
温度が140℃のヒートローラーを用いて熱圧着し、 
剥離することによって、 樹脂保護層のみを転写した各
試料についても同様に、 品質、 偽変造防止性を評価
したところ、 全く同様な結果が得られた。このように
本発明では、カード作製時に転写画像品質を損なうこと
なく表面保護が可能であり、カード表面を保護するエマ
ルジョン樹脂が乾燥時に軟化することによって強い造膜
強度と接着強度が得られるため、 画像記録表面での界
面剥離が極めて困難であり優れた偽変造防止性を発揮す
る。
【0212】
【発明の効果】本発明の保護層付きカードは、その保護
層が熱可塑性樹脂の水系エマルジョンの乾燥物層で形成
されるので、画像の偽造や変造を未然に防止するととも
に、耐久性を著しく向上させた保護層付きカードである
【0213】また、本発明の製造方法は、上記特長を備
えた保護層付きカードを無駄なく効率的に製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の保護層付きカードの一製造工程を示し
たフロ−チャートである。
【図2】本発明の保護層付きカードの他の製造工程を示
したフロ−チャートである。
【符合の説明】
1    ポリエチレンテレフタレートシート(基材)
2    熱可塑性樹脂の水系エマルジョン3    
カード 3a    受像層面 4    加熱手段

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  支持体上の受像層に昇華型熱転写及び
    /又は溶融型熱転写によって形成された画像を有するカ
    ードの前記受像層面に熱可塑性樹脂の水系エマルジョン
    の乾燥物層が形成されてなることを特徴とする保護層付
    きカード。
  2. 【請求項2】  基材上に熱可塑性樹脂の水系エマルジ
    ョンを塗布乾燥して、熱可塑性樹脂の水系エマルジョン
    の乾燥物層を形成し、この乾燥物層の表面と、支持体上
    の受像層に昇華型熱転写及び/又は溶融型熱転写によっ
    て形成された画像を有するカードの受像層面を重ね、加
    熱加圧処理により前記受像層面とそれに接触する乾燥物
    層とを接着し、その後、前記受像層面に前記水系エマル
    ジョンの乾燥物層を被覆したまま前記カードを前記基材
    から剥離することを特徴とする保護層付きカードの製造
    方法。
  3. 【請求項3】  支持体上の受像層に昇華型熱転写及び
    /又は溶融型熱転写によって形成された画像を有するカ
    ードの前記受像層面に熱可塑性樹脂の水系エマルジョン
    を塗布後、乾燥させることによって熱可塑性樹脂の乾燥
    物層を形成することを特徴とする保護層付きカードの製
    造方法。
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