JP3544683B2 - 受像シートおよび受像シートの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、受像シートおよび受像シートの製造方法に関し、更に詳しくは、転写感度が高く、画像形成時の加熱によっても融着を起こすことのない受像シートおよびその受像シートを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
一般に感熱転写記録方式は、操作や保守が容易であること、装置の小型化、低コスト化が可能であること等の利点を有している。
【0003】
この感熱転写記録方式には、以下の二種類がある。
【0004】
すなわち、支持体上に溶融性インク層を有する転写シートをレーザーあるいはサーマルヘッドによりイメージワイズに加熱して、該溶融性インク層を感熱転写記録用受像シート上に溶融転写する方式と、支持体上に昇華性色素(熱拡散性色素)を含むインク層を有する感熱転写記録用インクシートを用いて、感熱転写記録用受像シートに前記熱拡散性色素を拡散転写する熱拡散転写方式との二種類である。
【0005】
これらのうち、熱拡散転写方式はサーマルヘッドの熱エネルギーの変化に応じて、色素の転写量を変化させて画像の階調をコントロールすることができるので、シアン、マゼンタ、イエローの重ね記録を行なうことによって、色の濃淡に連続的な変化を有するカラー画像が得られる方式として、近年注目されている。なお、この方式においては、熱エネルギーの印加はサーマルヘッドに限らず、赤外レーザー、通電ヘッド等によって行うことができる。
【0006】
しかしながら、これまでの熱拡散転写方式は、種々の問題点を抱えている。
【0007】
(1)たとえば、従来の感熱転写記録用受像シートでは、感熱転写時に、感熱転写記録用インクシートから移行してくる色素の定着性が必ずしも良好でない。
【0008】
また、形成された画像の耐熱保存性、耐光保存性も十分でなく、特に光りに晒したり高温環境下で長期間にわたって保存しておくと、色素が滲んだり色素のブリードアウトが生じて、画像形成時の鮮明な高品質の画像を維持することができない。
【0009】
さらには、この熱拡散転写方式においては、熱エネルギーの印加により昇華性色素を感熱転写記録用受像シートに移行させるのであるから、大量の熱エネルギーを印加しても十分な濃度の画像を感熱転写記録用受像シートに形成することができず、転写感度が低いという評価しか得られていなかった。また、転写感度を高めるために大量の熱エネルギーを感熱転写記録用インクシートに付加するのであるから、その熱によって感熱転写記録用受像シートが熱エネルギー印加手段たとえばサーマルヘッドに融着するという、致命的な問題点もある。
【0010】
そして、感熱転写記録用受像シートに昇華性色素による画像を首尾良く形成することができたとしても、形成された画像の光沢が強くて画像を観察するのに具合が悪いという問題もあった。
【0011】
なお、画像の耐熱保存性等を高めるために、画像を形成した感熱転写記録用受像シートに樹脂フィルムを接着層を介してラミネ−トしたり、あるいは単層構造の受像層に画像を有する感熱転写記録用受像シートに熱処理を施す対策が一部で行なわれているが、前者の場合では接着層に熱拡散性色素が移行してしまうという問題点が生じ、また後者の場合では十分な効果が得られないという問題点がある。
【0012】
(2) 従来の熱拡散転写方式においては、以下のような問題点もある。
【0013】
すなわち、感熱転写記録用受像シートに昇華性色素による画像を形成しても、感熱転写記録用受像シートにおける受像層中の画像が熱拡散の容易な昇華性色素で形成されているので、例えば画像を有する感熱転写記録用受像シートと合成樹脂製の他の部材と重ねておくと、時間の経過と共に、感熱転写記録用受像シートにおける画像が他の部材に移行してしまうという問題点である。
【0014】
(3) 一方、熱拡散転写方式の感熱転写記録用受像シートには、単層の受像層を有するものと受像層および他の層からなる二層構成を有するものとがある。
【0015】
従来、感熱転写記録用受像シートにおける単層の受像層はポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂等で形成されているのであるが、ポリオレフィン系樹脂で形成された受像層は、画像形成時に感熱転写記録用インクシートには融着しないが、受像層に形成された画像が熱により拡散し易いので画像の定着性が悪いという問題点がある。また、塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂などで形成された受像層は画像の定着性は良好であるものの、画像転写後の昇華性色素が受像層の表面近傍に多く分布しているので画像の劣化が著しく、長期保存に耐える画像を形成することができず、また、画像転写時の熱エネルギーによって感熱転写記録用インクシートあるいはサーマルヘッドと受像層とが融着を起こし易いという問題点もある。
【0016】
感熱転写記録用受像シートと感熱転写記録用インクシートとの融着を防止するために、受像層の表面に、離型性を発揮させるための滑性層を有する二層構成の感熱転写記録用受像シートにおいては、次のような問題点がある。
【0017】
すなわち、シリコンオイルを使用した滑性層を有する感熱転写記録用受像シートにおいては、感熱転写記録用受像シートの受像側表面に指紋が着き易く、また汚れ易い。カルナバワックス、マイクロクリスタリン、パラフィン、ミツロウ、ライスワックスなどのワックスを受像層に塗布した感熱転写記録用受像シートにおいては、単色の画像を形成するときには融着現象が生じず受像面の滑り性も良好であるが、複数の感熱転写記録用インクシートで多色の画像を形成しようとする場合に、1色目の画像形成時に感熱転写記録用インクシートのインク層表面に感熱転写記録用受像シートにおけるワックスが付着してしまうことにより、2色目の画像形成時にはワックスの除去された感熱転写記録用受像シートと感熱転写記録用インクシートとが融着してしまう。
【0018】
(4) 前述したように融着を防止するために、感熱転写記録用受像シートにおける受像層の表面に、ワックスなどの離型剤を含有する滑性層を設けたり、受像シート中に離型剤を添加したりする工夫がなされてきた。
【0019】
しかしながら、離型剤を使用すると、昇華性色素で形成した画像を有する表面を保護するための保護膜が接着し難くなり、その結果として支持体、画像を形成した層、画像を保護する保護膜を有するカードを満足に製造することができなくなり、たとえ見かけ上のカードを作成することができるとしても、保護膜と画像を形成した層との剥離が容易になり偽造・変造を簡単に行うことができるという重大な欠点を有することになる。
【0020】
そこで離型剤を含有した受像層あるいは離型剤を有する滑性層を有する受像層を有しつつ、接着性良く保護膜を設けるために、支持体上に形成される受像層の面積を必要最小限にするのが良いという、改良案が考えられる。
【0021】
実際上、支持体上に、昇華性色素による画像を形成するのに必要な最小限の面積をもって受像層を形成するという提案がある。
【0022】
しかしながら、支持体上に、支持体全面を被覆せず、支持体の一部の面積を被覆するように受像層を形成すると、そのような支持体と受像層とに大きな段差を生じることになってモノリシック性に著しく欠けるという新たな問題点を生じる。
【0023】
(5) 現在、自動車免許証等の免許証類をはじめ、身分証明証、写真付き会員証、認証識別カード、写真付き名刺等の多くの各種IDカードを初めとする画像記録体が普及してきている。
【0024】
これらのIDカード、例えば、自動車免許証等のIDカードは、支持体の表面に、銀塩写真法により顔写真を形成すると共に、印刷法等により必要な情報を記載し、更にその表面に、これらの情報の保護・維持、あるいはIDカードの耐久性の向上等を目的として、紫外線硬化性樹脂を塗布し、これに紫外線を照射して形成する硬質の紫外線硬化保護層が設けられていた。これら従来のIDカードは、前記銀塩写真法等による顔写真の形成が、露光、現像、定着、漂白等の複雑な多段階の工程を有するので、大量にしかも迅速にIDカードを生産しなければならない現場においては、必ずしも適切ではない。
【0025】
このような事情の下、最近では、支持体の表面に、昇華性色素を含有する感熱転写記録用インクシートと感熱転写記録用受像シートとを用いる昇華型感熱転写記録方式により階調情報含有画像等、あるいは熱溶融型感熱転写記録用インクシートを用いる熱溶融型感熱転写記録方式により文字情報含有画像等の転写画像を形成した受像層を設けるようになり、銀塩写真法における操作の煩わしさの問題は解消され、簡便な操作で画像を形成することができるようになった。
【0026】
このようなIDカードは、偽造あるいは変造されないように作成されることが重要であるとして、画像を形成した受像層の表面に保護層が設けられる。しかしながら、前述したように、フルカラーの階調性転写画像を複数の感熱転写記録用インクシートで形成する場合、感熱転写記録用インクシートと受像層との剥離性を高めるために、受像層中に剥離剤が含有され、あるいは受像層の表面に剥離剤含有の滑性層が設けられているので、画像形成後の受像層と保護層との接着性が不良になり、受像層から保護層を剥離することによる偽造あるいは変造が容易に実行されるという懸念がある。
【0027】
この発明は前記事情に基づいてなされたものである。
【0028】
この発明の目的は、転写時に感熱転写記録用インクシートとの融着を生じず、転写感度が高く、しかも再転写(裏移り)の起こり難い転写画像を形成することのでき、かつ、高濃度の転写画像を形成することのできる受像シートおよびその受像シートの製造方法を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
(1) 支持体上に、上層とキレート形成性金属化合物を含有する下層とから形成される受像層を積層してなり、下層の厚みが上層の厚みよりも大きく、上層の厚みが0.03〜3.0μmであり、上層が、下層を形成するための下層形成用塗工液とは異なる溶剤を用いたポリオレフィン系樹脂含有溶剤系塗工液またはポリオレフィン系樹脂含有水系エマルジョン塗工液で形成されてなることを特徴とする受像シートであり、
(2) 上層が、ポリエチレン系樹脂および/またはポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする(1)に記載の受像シートであり、
(3) 支持体上に設けられた二層の受像層の内、上層の受像層をポリオレフィン系樹脂含有溶剤系塗工液またはポリオレフィン系樹脂含有水系エマルジョン塗工液で形成すると共に、キレート形成性金属化合物を含有する下層の受像層と上層の受像層とを異なる溶媒で調製された塗工液を塗工することにより形成し、かつ上層の受像層の膜厚が下層の受像層の膜厚よりも小さく、しかも上層の膜厚が0.03〜3.0μmになるように上層を形成することを特徴とする受像シートの製造方法であり、
(4) 下層が溶剤系塗工液で形成され、上層が水系エマルジョン塗工液で形成される(3)に記載の受像シートの製造方法である。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明について詳述する。
【0031】
この発明は、支持体上に、上層及び下層よりなる受像層を積層してなり、下層の厚みが上層の厚みよりも大きく、上層の厚みが0.03〜3.0μmであり、上層が、下層を形成するための下層形成用塗工液とは異なる溶剤を用いたポリオレフィン系樹脂含有溶剤系塗工液またはポリオレフィン系樹脂含有水系エマルジョン塗工液で形成されてなることを特徴とする受像シートである。
【0032】
(A)受像シート
この受像シートは支持体と、支持体上に積層された下層と上層とを有してなる。
【0033】
−支持体−
支持体としては、たとえば紙、コート紙、合成紙(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンもしくは、それらを紙またはポリエチレンテレフタレートやポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルムにはり合せた複合材料)、白色のポリエチレンテレフタレートベースフィルム、透明ポリエチレンテレフタレートベースフィルム、白色のポリ塩化ビニルベースフィルム、ポリオレフィン被覆紙等を挙げることができる。
【0034】
支持体の厚みは、通常20〜1,000μm、好ましくは50〜800μmである。
【0035】
この支持体の形態としては、長尺状であっても良いし又カード状であっても良い。この受像シートに画像を形成してなる画像記録体の用途に応じてこの支持体の形態が適宜に選択される。この受像シートをカード状にすると、この受像シートを用いて例えば自動車免許証等のIDカードを得ることができる。
【0036】
−下層−
この下層は、支持体上に積層された少なくとも二層の受像層の内支持体に近いほうの受像層を言う。そして、この下層は、熱可塑性樹脂、キレート形成性金属化合物及び各種の添加剤を含有することができる。
【0037】
1.熱可塑性樹脂
下層の形成成分である熱可塑性樹脂として、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、及びポリエステル系樹脂等を挙げることができる。ただし、本発明によって形成される画像につき、実際的要求(たとえば画像記録体であるIDカードに所定の耐熱性が要求されるなど)が存在するのであれば、そのような要求項目を満たすように熱可塑性樹脂の種類あるいは組み合わせを考慮することが必要になる。
【0038】
画像の耐熱性を例にすると、60℃以上の耐熱性が要求されるのであれば、熱拡散性色素のにじみを考慮して、Tgが60℃以上である熱可塑性樹脂を使用するのが好ましい。
【0039】
ポリ塩化ビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂のほかに塩化ビニル共重合体を挙げることができる。この塩化ビニル共重合体としては、塩化ビニルをモノマーユニットとして50モル%以上の割合で含有する塩化ビニルと他のコモノマーとの共重合体を挙げることができる。
【0040】
前記他のコモノマーとしては、たとえば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸のビニルエステル類、牛脂酸ビニルなどの脂肪酸のビニルエステル類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸もしくはメタアクリル酸およびそのアルキルエステル類、マレイン酸、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチルなどのマレイン酸およびそのアルキルエステル類、メチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、パルミチルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル等を挙げることができる。
【0041】
さらに、前記コモノマーとして、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、スチレン、クロロスチレン、イタコン酸およびそのアルキルエステル類、クロトン酸およびそのアルキルエステル類、ジクロロエチレン、トリフロロエチレンなどの他ハロゲン化オレフィン類、シクロペンテン等のシクロオレフィン類、アコニット酸エステル類、ビニルベンゾエート、ベンゾイルビニルエーテル等を挙げることができる。
【0042】
塩化ビニル共重合体は、ブロック共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体、ランダム共重合体の何れであっても良い。また、場合によっては、シリコン化合物などの剥離機能を有するものとの共重合体であっても良い。
【0043】
前記セルロース系樹脂としてはエチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース等を挙げることができる。
【0044】
前記ポリビニルアセタール系樹脂としては、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール等を挙げることができる。
【0045】
前記ポリエステル系樹脂としては、特開昭58−188695号公報、特開昭62−244696号公報に記載されている化合物を挙げることができる。また、ポリカーボネート系樹脂もバインダーとして使用することができ、たとえば、特開昭62−169694号公報に記載の各種の化合物を使用することができる。
【0046】
下層の形成成分である熱可塑性樹脂はバインダーとして機能することができ、前記熱可塑性樹脂としては、前記熱可塑性樹脂以外に、例えばポリ塩化ビニリデン系樹脂、あるいはポリエチレン樹脂、エチレン−エチルアクリレート樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂などのエチレン共重合体、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリビニルピロリドン、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリパラバン酸、三酢酸セルロース、スチレンアクリレート樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、尿素樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂およびポリスチレン樹脂などを挙げることができる。
【0047】
これらの樹脂は一種を単独に用いることもできるし、二種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0048】
上記各種の熱可塑性樹脂は新たに合成して使用しても良いが、市販品を使用することもできる。
【0049】
いずれにしても、物性面から見ると、熱可塑性樹脂としては、特にガラス転移点(Tg)が−20〜150℃の範囲にある樹脂、特に30〜150℃の範囲にある樹脂が好ましく、また分子量の点から言うと、Mwが2,000〜100,000の範囲にある樹脂が好ましい。
【0050】
なお、受像層の形成に際しては、上述した各種の熱可塑性樹脂はその反応活性点を利用して(反応活性点が無い場合はそれを樹脂に付与する。)、放射線、熱、湿気、触媒等により架橋もしくは硬化しても良い。
【0051】
その場合には、エポキシ、アクリルの如き放射線活性モノマーや、イソシアネートの如き架橋剤を用いることができる。
【0052】
上記の熱可塑性樹脂において、色素の受容能力に優れる樹脂としては、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリエチレンおよびその共重合体などのポリオレフィン系樹脂、エチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。
【0053】
しかしながら、上記の区分は樹脂そのものの優劣であり、共重合体の場合には、共重合させるモノマーの種類やモノマー比あるいは共重合体の変性のさせ方により大きく変わる。
【0054】
2.キレート形成性金属化合物
下層の形成成分としてキレート形成性金属化合物を挙げることができる。キレート形成性金属化合物が下層に含有されていると、このキレート形成性金属化合物とキレートを形成する昇華性色素による画像が上層に形成されると、上層に存在する昇華性色素が下層に迅速に拡散し、昇華性色素とキレート形成性金属化合物とキレートを速やかに形成するので、画像の定着性が向上し、又画像を有する受像層に他の受像シート等を重ねて放置しておいても、他の受像シート等に色移り等を生じなくなる。
【0055】
前記キレート形成性金属含有化合物を構成する金属イオンとしては、例えば周期律表の第I〜第VIII族に属する2価および多価の金属が挙げられるが、中でもAl、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、Sn、Ti、Zn等が好ましく、特にNi、Cu、Co、Cr、Zn等が好ましい。これらの金属イオンを含有する化合物としては、該金属の無機または有機の塩および該金属の錯体が好ましい。具体例を挙げると、Ni2+、Cu2+、Co2+、Cr2+およびZn2+を含有した下記一般式で表される錯体が好ましく用いられる。
{M(Q1 )k (Q2 )m (Q3 )n }p+ p(L− )
ただし、式中Mは金属イオンを表し、Q1 、Q2 、Q3 は各々Mで表される金属イオンと配位結合可能な配位化合物を表し、これらの配位化合物としては例えば「キレート化学(5)(南江堂)」に記載されている配位化合物から選択することができる。特に好ましくは、金属と配位結合する少なくとも一個のアミノ基を有する配位化合物を挙げることができ、更に具体的には、エチレンジアミンおよびその誘導体、グリシンアミドおよびその誘導体、ピコリンアミドおよびその誘導体が挙げられる。
【0056】
Lは錯体を形成しうる対アニオンであり、Cr、SO4 、ClO4 等の無機化合物アニオンやベンゼンスルホン酸誘導体、アルキルスルホン酸誘導体等の有機化合物アニオンが挙げられるが、特に好ましくはテトラフェニルホウ素アニオンおよびその誘導体、ならびにアルキルベンゼンスルホン酸アニオンおよびその誘導体である。
【0057】
kは1、2または3の整数を表し、mは1、2または0を表し、nは1または0を表すが、これらは前記一般式で表される錯体が4座配位か、6座配位かによって決定されるか、あるいはQ1 、Q2 、Q3 の配位子の数によって決定される。pは1、2または3を表す。
【0058】
この種のキレート形成性金属含有化合物としては、米国特許第4,987,049号明細書に例示されたものを挙げることができる。
【0059】
前記キレート形成性金属含有化合物を添加する場合、その添加量は上層に対して、0.5〜20g/m2 が好ましく、1〜15g/m2 がより好ましい。
【0060】
3.添加剤
下層の形成成分である添加剤としては、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤、フィラー(無機微粒子、有機樹脂粒子)、顔料を添加しても良い。また増感剤として可塑剤、熱溶剤などを挙げることができる。
【0061】
前記酸化防止剤としては、特開昭59−182785号公報、同60−130735号公報、特開平1−127387号公報等に記載の酸化防止剤、および写真その他の画像記録材料における画像耐久性を改善するものとして公知の化合物を挙げることができる。
【0062】
前記UV吸収剤および光安定剤としては、特開昭59−158287号公報、同63−74686号公報、同63−145089号公報、同59−196292号公報、同62−229594号公報、63−122596号公報、同61−283595号公報、特開平1−204788号公報などに記載の化合物、および写真その他の画像記録材料における画像耐久性を改善するものとして公知の化合物を挙げることができる。
【0063】
前記フィラーとしては、無機微粒子や有機樹脂粒子を挙げることができる。
【0064】
この無機微粒子としてはシリカゲル、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸性白土、活性白土、アルミナ等を挙げることができ、有機微粒子としてはフッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコン樹脂粒子等の樹脂粒子を挙げることができる。これらの無機・有機樹脂粒子は比重により異なるが、0〜30重量%の添加が好ましい。
【0065】
前記顔料としては、代表例としてチタンホワイト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、カオリン、活性白土、酸性白土などを挙げることができる。
【0066】
前記可塑剤としては、常温で液体および固体のいずれの形態であっても良く、ステアリン酸あるいはベヘン酸などの高級脂肪酸、などの高級脂肪族アルコールおよびその誘導体、などのノニオン系界面活性剤、フタル酸エステル類、トリメリット酸エステル類、アジピン酸エステル類、その他飽和あるいは不飽和カルボン酸エステル類、クエン酸エステル類、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸エポキシ類、正リン酸エステル類、亜燐酸エステル類、グリコールエステル類などがあげられる。これら例示物の外に、この発明においては、ポリエチレンワックス、アミドワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、密蝋、モンタンワックス、合成ビニルワックス(例えば商品名「ヘキストV」などを挙げることができる。)などの天然ワックスあるいは合成ワックスを、可塑剤として例示することができる。
【0067】
−上層−
上層は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含有する。受像層が単層である場合に、その受像層の主成分がポリオレフィンであるときには、画像転写時に感熱転写記録用インクシートとの融着を生じることがない反面、画像の定着が悪い。一方、受像層が単層である場合に、その受像層の主成分がポリ塩化ビニル系樹脂等であるときには、画像の定着性が良好ではあるけれど、転写後の画像形成成分の色素の分布が受像層表面に多くて、それが故に画像の劣化を生じ易い。
【0068】
ところが、受像層を上層及び下層の二層構成とし、しかも下層の主たる熱可塑性樹脂がポリ塩化ビニル系樹脂等である場合に、上層の主たる熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であるときには、この受像層に転写された画像の定着性が良好になると共に感熱転写記録用インクシートとの融着を生じることもない。
【0069】
又、このような優れた技術的効果は、後述する受像シートにおける受像層の形成方法によっても達成される。
【0070】
1.ポリオレフィン系樹脂
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を挙げることができる。ポリエチレン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、エチレンとプロピレン以外の他のα−オレフィンとの共重合体、変性ポリエチレン等を挙げることができる。
【0071】
ポリエチレン系樹脂の中でも、エチレンアクリル酸変性ポリエチレン、ウレタン変性ポリエチレン、パラフィン変性ポリエチレン、低分子ポリエチレンが好ましく、特にエチレンアクリル酸変性ポリエチレン、低分子ポリエチレンが好ましい。
【0072】
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、プロピレンとエチレン以外の他のα−オレフィンとの共重合体、変性ポリプロピレン等を挙げることができる。
【0073】
ポリプロピレン系樹脂の中でも、低分子ポリプロピレンが好ましい
この発明においては、これらのポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂の好ましい分子量としては、重量平均分子量として500〜15,000、特に好ましくは1,000〜10,000を挙げることができる。
【0074】
ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とはいずれかのみを使用しても良 いし、またポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とを混用しても良い。
【0075】
この発明においては、前記ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂は、その一部がウレタン変性されていても良い。
【0076】
その1例としてはエチレンアクリル酸系樹脂のカルボキシル基の末端をウレタン変性したものなどが挙げられる。導入されるウレタン樹脂の割合としては、ウレタン変性物中の、好ましくは70%以下、特に好ましくは、50%以下、更に好ましくは1%以下である。
【0077】
前記ポリオレフィン系樹脂としては、前記ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂の外に、軟化点100℃以上のポリプロピレンワックス及びポリエチレンワックス、ナトリウムアイオノマー、シリカ変性エチレン−アクリル酸樹脂などを挙げることができる。
【0078】
これらの中でも好ましいのは、分子量1,500以上の低密度、中密度あるいは高密度のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等である。
【0079】
2.熱可塑性樹脂
この上層には、前記ポリオレフィン系樹脂の外に必要に応じて熱可塑性樹脂を含有させることもできる。熱可塑性樹脂の具体例としては、前記下層の含有される熱可塑性樹脂と同様である。
【0080】
3.添加剤
受像層における上層には、剥離剤、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤、フィラー(無機微粒子、有機樹脂粒子)、顔料を添加しても良い。また増感剤として可塑剤、熱溶剤などを添加しても良い。
【0081】
剥離剤は、感熱転写記録用インクシートと受像シートとの剥離性を向上させる。
【0082】
このような剥離剤としては、シリコーンオイル(シリコーン樹脂と称されるものも含む。);ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロンパウダー等の固型ワックス類;弗素系、燐酸エステル系の界面活性剤等が挙げられ、中でもシリコーンオイルが好ましい。 このシリコーンオイルは、単に添加するタイプ(単純添加型)と、硬化もしくは反応させるタイプ(硬化反応型)とがある。
【0083】
単純添加型の場合には、エチレン−アクリル酸エステル共重合体もしくはエチレン−アクリル酸共重合体との相溶性を向上させるために、変性シリコーンオイル(例えばポリエステル変性シリコン樹脂、ウレタン変性シリコン樹脂、アクリル変性シリコン樹脂等)を使用するのが好ましい。
【0084】
これらの単純添加型のシリコーンオイルの添加量は、その種類に応じて様々に変化することがあるから一律に決定することができないが、一般的にいうと、通常、受像層用バインダーに対して0.1〜50重量%であり、好ましくは0.5〜20重量%である。
【0085】
硬化反応型のシリコーンオイルとしては、反応硬化型(たとえばアミノ変性シリコーンオイルとエポキシ変性シリコーンオイルとを反応硬化させたもの等)、光硬化型、触媒硬化型等が挙げられる。
【0086】
これら硬化型シリコーンオイルの添加量は受像層用バインダーの0.5〜30重量%が好ましい。
【0087】
なお、受像層の表面の一部に、上記剥離剤を適当な溶媒に溶解あるいは分散させて塗布した後、乾燥させる等によって剥離剤層を設けることもできる。
【0088】
前記酸化防止剤としては、特開昭59−182785号公報、同60−130735号公報、特開平1−127387号公報等に記載の酸化防止剤、および写真その他の画像記録材料における画像耐久性を改善するものとして公知の化合物を挙げることができる。
【0089】
前記UV吸収剤および光安定剤としては、特開昭59−158287号公報、同63−74686号公報、同63−145089号公報、同59−196292号公報、同62−229594号公報、63−122596号公報、同61−283595号公報、特開平1−204788号公報などに記載の化合物、および写真その他の画像記録材料における画像耐久性を改善するものとして公知の化合物を挙げることができる。
【0090】
前記フィラーとしては、無機微粒子や有機樹脂粒子を挙げることができる。
【0091】
この無機微粒子としてはシリカゲル、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸性白土、活性白土、アルミナ等を挙げることができ、有機微粒子としてはフッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコン樹脂粒子等の樹脂粒子を挙げることができる。これらの無機・有機樹脂粒子は比重により異なるが、0〜30重量%の添加が好ましい。
【0092】
前記顔料としては、代表例としてチタンホワイト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、カオリン、活性白土、酸性白土などを挙げることができる。
【0093】
前記可塑剤としては、常温で液体及び固体のいずれの形態であっても良く、ステアリン酸あるいはベヘン酸などの高級脂肪酸、高級脂肪族アルコール及びその誘導体、ノニオン系界面活性剤、フタル酸エステル類、トリメリット酸エステル類、アジピン酸エステル類、その他飽和あるいは不飽和カルボン酸エステル類、クエン酸エステル類、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸エポキシ類、正リン酸エステル類、亜燐酸エステル類、グリコールエステル類などがあげられる。これら例示物の外に、この発明においては、ポリエチレンワックス、アミドワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、密蝋、モンタンワックス、合成ビニルワックス(例えば商品名「ヘキストV」などを挙げることができる。)などの天然ワックスあるいは合成ワックスを、可塑剤として例示することができる。
【0094】
−上層及び下層の厚み−
この発明の受像シートにおいて重要なことは、下層の厚みが上層の厚みよりも大きく、しかも上層の厚みが0.03〜3.0μmであり、好ましくは0.10〜2.0μmである。下層の厚みは、この条件を満たす限りにおいて例えば0.10〜20μmの範囲から任意に選定される。下層の厚みが上層の厚みよりも大きいと、上層の厚みが前記範囲よりも小さいと離型性等の本発明の目的とする効果が発現しにくく、また前期範囲よりも大きいと感熱転写印字後、上層中に残留する色素が多くなりこれが定着性の低下につながるため好ましくない。
【0095】
下層の厚みが前記範囲にあると、色素の定着性が良く、下層が感熱転写印字時にクッション層となるため転写濃度が高い。この範囲よりも大きくてもあまり利点はなく、塗布、乾燥に時間を要するため効率が悪い。
【0096】
−その他の層−
受像層と支持体との間に断熱性、バリアー性、クッション性、接着性等の性質を付与する目的として中間層を設けてもよい。
【0097】
また、受像層の表面には感熱転写記録用インクシートと受像シートとの融着防止等を目的にして、オーバーコート層が積層されていても良い。
【0098】
さらに、受像層と反対の面(支持体面)に帯電防止やカール防止等を目的としてバッキング層を設けてもよい。
【0099】
(B)受像シートの製造
本発明の受像シートは、支持体上に少なくとも上層及び下層の二層からなる受像層を有する受像シートを製造するにあたり、上層を形成するための上層形成用塗工液と下層を形成するための下層形成用塗工液とを異なる溶媒で調製し、上層の厚みが0.01〜3.0μmの厚みになるように、しかも上層の厚みが下層の厚みよりも大きくなるように、ポリオレフィン系樹脂含有溶剤系塗工液またはポリオレフィン系樹脂含有水系エマルジョン塗工液で形成することによって製造することができる。
【0100】
以下に、下層の形成及び上層の形成の順に説明する。
【0101】
−下層の形成−
支持体上に下層を形成するには下層形成用塗工液を塗布するのが良い。この下層形成用塗工液の溶剤としては有機溶剤でも水であっても良い。有機溶剤としては、アルコール類(例えばエタノール、プロパノール、ブタノール)、セロソルブ類(例えばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ)、芳香族類(例えばトルエン、キシレン、クロルベンゼン)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン)、エステル系溶剤(たとえば酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、エーテル類(例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン)、塩素系溶剤(例えばクロロホルム、トリクロルエチレン)等を挙げることができる。
【0102】
下層形成用塗工液は、上記溶媒中に下層の形成成分を含有する。各形成成分の下層形成用塗工液中での含有量は、その形成成分の種類、組み合わせなどによって適宜に決定される。
【0103】
好ましい下層形成用塗工液は、有機溶剤中に、樹脂成分として、ポリ塩化ビニル系樹脂、エトセル、ポリビニルブチラール樹脂、またはポリエステル樹脂を分散ないし溶解してなる。
【0104】
下層形成用塗工液の塗工には、従来から公知のグラビアロールによる塗布法、押し出し塗布法、ワイヤーバー塗布法、ロール塗布法等を採用することができる。
【0105】
−上層の形成−
上層は、支持体上の下層の表面に、上層形成用塗工液としてポリオレフィン系樹脂含有溶剤系塗工液またはポリオレフィン系樹脂含有水系エマルジョン塗工液を塗布することにより、形成することができる。
【0106】
この発明で重要なことは、下層形成用塗工液における溶剤と上層形成用塗工液における溶剤とを異ならせることである。溶剤が異なると、上層形成用塗工液を下層表面に塗布するときに下層に上層形成成分が混じらず、下層と上層との界面が明確になるから、下層に添加した物質が塗布溶剤を介して上層に移行することによる悪影響を防ぐことができ、また上層と下層のバインダーの混合による離型性の低下を防止できるという利点がある。
【0107】
ポリオレフィン系樹脂含有溶剤系塗工液は、有機溶剤中にポリオレフィン系樹脂を含有する。このポリオレフィン系樹脂については、「(A)受像シート」の欄で説明したのと同様である。ポリオレフィン系樹脂は有機溶剤中に分散しているのが好ましく、分散するポリオレフィン系樹脂の平均粒径3.0μm以下であるのが好ましい。ポリオレフィン系樹脂含有水系エマルジョン塗工液は、ポリオレフィン系樹脂をエマルジョン状態で水中に分散してなる。この場合の、分散するポリオレフィン系樹脂の平均粒径3.0μm以下であるのが好ましい。
【0108】
好ましい上層形成用塗工液は、下層形成用塗工液が有機溶媒系の塗工液であるときには、ポリオレフィン系樹脂含有水系エマルジョン系塗工液である。
【0109】
上層形成用塗工液の塗工には、従来から公知のグラビアロールによる塗布法、押し出し塗布法、ワイヤーバー塗布法、ロール塗布法等を採用することができる。
【0110】
この場合、上層の膜厚を均一にするために、水系エマルジョン塗工液中の固形分の平均分散粒径を、少なくとも3μm以下、好ましくは2μm以下にすることが好ましい。固形分の分散は、上層の形成成分と水もしくは有機溶媒との混合物に機械的剪断力を加えることにより、あるいはアンモニウム塩やアルカリ金属塩含有の界面活性剤、公知のノニオン系界面活性剤(たとえばポリオキシエチレン系界面活性剤など)の分散剤で分散することにより、調製することができる。もっとも、分散方法については上記方法に限定されるものではない。
【0111】
(C)感熱転写記録用インクシート
感熱転写記録用インクシートは、基本的に支持体上にインク層を積層してなる。
【0112】
−支持体−
本発明に用いられる支持体としては、寸法安定性がよく、感熱ヘッドでの記録の際の熱に耐えるものならば、何でもよいが、コンデンサー紙、グラシン紙のような薄葉紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリビニルアルコール、セロファン、ポリスチレンのような耐熱性のプラスチックフィルムを用いることができる。
【0113】
支持体の厚さは、2〜10μmが好ましい。支持体の形状については特に制限がなく、たとえば広幅のシートやフィルム、細幅のテープやカードなど任意の形状がある。
【0114】
−インク層−
上記インク層は、必須成分として熱拡散性色素とバインダーとを含有する。
【0115】
1.熱拡散性色素
熱拡散性色素としてはシアン色素、マゼンタ色素、イエロー色素を挙げることができる。
【0116】
前記シアン色素としては、特開昭59−78896号、同59−227948号、同60−24966号、同60−53563号、同60−130735号、同60−131292号、同60−239289号、同61−19396号、同61−22993号、同61−31292号、同61−31467号、同61−35994号、同61−49893号、同61−148269号、同62−191191号、同63−91288号、同63−91287号、同63−290793号等の各公報に記載されているナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、アゾメチン系色素等が挙げられる。
【0117】
マゼンタ色素としては、特開昭59− 78896号、特開昭60−30392号、特開昭60−30394号、特開昭60−253595号、特開昭61−262190号、特開昭63−5992号、特開昭63−205288号、特開昭64−159号、特開昭64−63194号等の各公報に記載されているアントラキノン系色素、アゾ色素、アゾメチン系色素等が挙げられる。
【0118】
イエロー色素としては、特開昭59−78896号、特開昭60−27594号、特開昭60−31560号、特開昭60−53565号、特開昭61−12394号、特開昭63−122594号等の各公報に記載されているメチン系色素、アゾ系色素、キノフタロン系色素、アントライソチアゾール系色素が挙げられる。
【0119】
また、熱拡散性色素として特に好ましいのは、開鎖型または閉鎖型の活性メチレン基を有する化合物を、p−フェニレンジアミン誘導体の酸化体またはp−アミノフェノール誘導体の酸化体とのカップリング反応により得られるアゾメチン色素およびフェノールまたはナフトール誘導体またはp−フェニレンジアミン誘導体の酸化体またはp−アミノフェノール誘導体の酸化体とのカップリング反応により得られるインドアニリン色素である。
【0120】
インク層に含有される熱拡散性色素は、形成しようとする画像が単色であるならば、イエロー色素、マゼンタ色素、およびシアン色素の何れであっても良い。
【0121】
また、形成しようとする画像の色調によっては、前記三種の色素のいずれか二種以上もしくは他の熱拡散性色素を含んでいても良い。
【0122】
前記熱拡散性色素の使用量は、通常、支持体1m2 当たり0.1〜5g、好ましくは0.2〜2gである。
【0123】
2. バインダー
インク層のバインダーとしてはセルロース付加化合物、セルロースエステル、セルロースエーテル等のセルロース系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、スチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系エステル、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸共重合体などのビニル系樹脂、ゴム系樹脂、アイオノマー樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0124】
これらの樹脂のうちでも保存性の優れたポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタールあるいはセルロース系樹脂が好ましい。
【0125】
前記各種のバインダーは、その一種を単独で使用することもできるし、またその二種以上を併用することもできる。
【0126】
バインダーと前記熱拡散性色素との重量比は、1:10〜10:1が好ましく、2:8〜7:3の範囲が特に好ましい。
【0127】
3. その他の任意成分
さらに前記インク層には、各種の添加剤を適宜に添加することができる。
【0128】
その添加剤としては、シリコン樹脂、シリコンオイル(反応硬化タイプも可)、シリコン変性樹脂、フッ素樹脂、界面活性剤、およびワックス類等の剥離性化合物、金属微粉末、シリカゲル、金属酸化物、カーボンブラック、および樹脂微粉末等のフィラー、バインダー成分と反応可能な硬化剤(たとえばイソシアネート類やアクリル類やエポキシ類等の放射線活性化合物)などを挙げることができる。
【0129】
さらにまた、添加剤として転写を促進するための熱溶融性物質、たとえばワックスや高級脂肪酸エステルなどの、特開昭59−106997号公報記載の化合物を挙げることができる。
【0130】
−その他の層−
なお、感熱転写記録用インクシートは、支持体とインク層とからなる二層構成に限られず、その他の層が形成されていても良い。
【0131】
例えば、感熱転写記録用受像シートとの融着や熱拡散性色素の裏移り(ブロッキング)を防止する目的で、インク層の表面にオーバーコート層を設けても良い。
【0132】
また支持体にはバインダーとの接着性の改良や色素の支持体側への転写、染着を防止する目的で下引層を有していてもよい。
【0133】
さらに支持体の裏面(インク層と反対側)には、走行安定性、耐熱性、帯電防止等の目的でバッキング層を設けてもよい。
【0134】
このオーバーコート層、下引層およびバッキング層の厚みは通常、0.1〜1μmである。
【0135】
−感熱転写記録用インクシートの製造−
感熱転写記録用インクシートは、インク層を形成する前記各種の成分を溶媒に分散ないし溶解してなるインク層形成用塗工液を調製し、これを支持体の表面に塗工し、乾燥することにより製造することができる。
【0136】
なお、前記バインダーは、一種または二種以上を溶媒に溶解もしくはラテックス状に分散させて用いる。
【0137】
前記溶媒としては、水、エタノール、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサン、酢酸ノルマルブチルなどを挙げることができる。
【0138】
前記塗工には、従来から公知のグラビアロールによる面順次塗り別け塗布法、押し出し塗布法、ワイヤーバー塗布法、ロール塗布法等を採用することができる。
【0139】
インク層は、支持体の表面の全面あるいは一部の表面に、単色の熱拡散性色素を含有する層として形成されても良いし、また、バインダーとイエロー色素とを含有するイエローインク層、バインダーとマゼンタ色素とを含有するマゼンタインク層およびバインダーとシアン色素とを含有するシアンインク層が、平面方向に沿って一定の繰り返しで支持体の表面の全面あるいは一部の表面に形成されていても良い。
【0140】
また、平面方向に沿って配列された前記三層のインク層に加えて、黒色画像形成物質を含む黒色インク層が、介在していても良い。
【0141】
なお、黒色インク層については、拡散転写型でも溶融転写型でも、鮮明な画像が得られる。
【0142】
かくして形成されたインク層の膜厚は、通常、0.2〜10μmであり、好ましくは、0.3〜3μmである。
【0143】
なお、感熱転写記録用インクシートに、パーフォレーションを形成したり、あるいは色相の異なる区域の位置を検出するための検知マークなどを設けることによって、使用時の便を図ることもできる。
【0144】
(D) 熱転写記録方法
画像を形成するには、感熱転写記録用インクシートのインク層と受像シートの受像層とを重ねあわせ、インク層と受像層との界面にイメージワイズに熱エネルギーを与える。
【0145】
インク層中の熱拡散性色素は、この画像形成時に加えられた熱エネルギーに応じた量だけ気化あるいは昇華し、受像層側に移行され受容される結果、受像層に画像が形成される。
【0146】
前記熱処理の手段としては公知の手段が用いられ、たとえば通常よく用いられるヒ−トロ−ル、ホットスタンプ以外に画像形成時に用いられる後述の熱源、すなわちサ−マルヘッド、レ−ザ−光、赤外線フラッシュ、熱ペンなども用いることができる。
【0147】
この発明においては、最終的には、受像層における下層側に色素を拡散させるのであるから、十分に上層の受像層に熱エネルギーが供給される必要がある。熱処理時の加熱は、上層表面側、支持体側あるいはその両側からのいずれであってもよいが、効率的な熱処理をすることが必要である。
【0148】
前記熱処理の加熱温度、および加熱時間は熱源によって異なるが、後述の画像を記録する際に用いる熱源はいずれも使用でき、通常の画像記録を行う範囲内で熱処理を行うことができる。
【0149】
前記熱処理にヒートロールを用いる場合の加熱温度は、通常、70〜200℃、好ましくは100〜150℃の範囲であり、またその搬送速度は、通常、0.01〜20mm/秒、好ましくは0.05〜5mm/秒である。また、前記熱処理にホットスタンプを用いる場合の加熱温度は、通常、50〜200℃、好ましくは80〜150℃の範囲で、圧力としては、通常、0.05〜20Kg/cm2 、好ましくは0.5〜5Kg/cm2 、また加熱時間は、通常0.1〜20秒、好ましくは0.5〜10秒である。
【0150】
ところで、前記画像形成時に加える熱エネルギーを与える熱源としては、サーマルヘッドが一般的であるが、このほかにレーザー光、赤外線フラッシュ、熱ペンなどの公知のものを使用することができる。
【0151】
上記サーマルヘッドを用いるときは、サーマルヘッドに印加する電圧あるいはパルス巾を変調することにより、与える熱エネルギーを連続的にあるいは多段階に変化させることができる。
【0152】
前記レーザー光を用いるときは、レーザー光の光量や照射面積を変化させることにより与える熱エネルギーを変化させることができる。
【0153】
この場合、レーザー光を吸収し易くするため、レーザー光吸収材料(例えば、半導体レーザーの場合、カーボンブラックや近赤外線吸収物質など)をインク層中、もしくはインク層近傍に存在せしめるとよい。
【0154】
なお、レーザー光を用いるときは感熱転写記録用インクシートと受像シートとを充分に密着させて行なうとよい。
【0155】
音響光学素子を内蔵したドットジェネレーターを用いれば網点の大小に応じた熱エネルギーを与えることもできる。
【0156】
前記赤外線フラッシュランプを用いるときは、レーザー光を用いる場合と同様に、加熱を黒色あるいは赤外線吸収物質を含有するの着色層を介して行なうとよい。
【0157】
あるいは黒色などの、画像の濃淡を連続的に表現したパターンあるいは網点パターンを介して加熱を行なってもよいし、また一面の黒色などの着色層と前記のパターンのネガに相当するネガパターンを組み合わせて加熱を行なってもよい。画像形成時の熱エネルギーの与え方としては、感熱転写記録用インクシート側から行なっても、受像シート側から行なっても、或いは両側から行なってもよいが、熱エネルギーの有効利用を優先させるなら、感熱転写記録用インクシート側から行なうのが望ましい。
【0158】
以上の熱転写記録により、受像シートの受像層に一色の画像を記録することができるが、下記の方法によると、各色の掛け合せからなるカラー写真調のカラー画像を得ることもできる。
【0159】
たとえばイエロー、マゼンタ、シアンおよび必要に応じて黒色の感熱転写記録用感熱シートを順次取り換えて、各色に応じた熱転写を行なうと、各色のかけあわせからなるカラー写真調のカラー画像を得ることもできる。
【0160】
それから、次の方法も有効である。
【0161】
すなわち、上記のように各色の感熱転写記録用インクシートを用いるかわりに、予め各色に塗り分けて形成した区域を有する感熱転写記録用インクシートを用いるのである。
【0162】
そして、まずイエローの区域を用いてイエローの分色画像を熱転写し、次にマゼンタの区域を用いてマゼンタの分色画像を熱転写し、以下、順次に繰り返すことによりイエロー、マゼンタ、シアン、及び必要により黒色の分色画像と順に熱転写する方法を採る。
【0163】
この方法でも、カラー写真調のカラー画像を得ることが可能であるが、さらに好都合なことに、この方法には前記のような感熱転写記録用感熱シートの交換が不要になるという利点がある。
【0164】
また、前記熱処理をサーマルヘッドで行う場合に、上記記載のように予め各色に塗り分けて形成した区域を有する感熱転写記録用インクシートにインク層を付していない領域をさらに設けておくと、熱処理するために別のシートを用意するという問題がなくなる。
【0165】
この発明に係る受像シートに感熱転写記録用インクシートを用いて画像を転写した場合、転写感度が良好であり、画像の定着性が良好であり、重ねて画像を形成しても感熱転写記録用インクシートの融着を生じることがない。
この発明に係る受像シートは、他の部材による擦過、他の樹脂製品の重ね合わせによって、上層の画像が拡散してその輪郭が滲んだり、あるいは他の製品に画像が転写されて上層における画像が薄くなってしまうなどが起こらないようにするために、画像層上に表面保護層を設けても良い。表面保護層はカード全面又はその一部に設けてもよく、特に制限がない。
【0166】
【実施例】
例1〜5は請求項1に記載の発明の実施例であり、例6〜9は比較例である。
【0167】
支持体として厚み6μmのポリエチレンテレフタレートフィルム[東レ(株)製 ルミラー6CF531]の耐熱保護層の裏面に、下記組成のインク層形成用塗工液をワイヤーバーコーティング法により、乾燥後の厚みが1μmになるように塗布、乾燥することにより感熱転写記録用インクシートを得た。
【0168】
インク層形成用塗工液;
分散染料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.0部
{日本化薬(株)製、カヤセットブルー136}
ポリビニルブチラール・・・・・・・・・・・・・・・4.0部
{積水化学工業(株)製、エスレックBX− 1}
メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・ 82部
シクロヘキサノン・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10部。
【0169】
次に、支持体として厚み150μmの合成紙{商品名ユポFPG−150;王子油化合成紙(株)製}を用い、この上にワイヤーバー塗工法により、下記の下層形成用塗工液を用いて表1に示す厚みの下層を形成し、下層の表面の一部を被覆するように、下記の上層形成用塗工液を用いて表1に示す厚みの上層を形成することにより、受像シートを製造した。
下層形成用塗工液;
《例1、2、5、6、7》
ポリビニルブチラール樹脂・・・・・・・・・・・・・6.0部
{積水化学工業(株)製、エスレックBX − 1}
キレート形成性金属含有化合物・・・・・・・・・・・4.0部
{表2の脚注に示された化合物MS−1}
溶媒(混合溶媒系)
メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・80部
酢酸n−ブチル・・・・・・・・・・・・・・・・・10部
《例3、4》
ポリビニルブチラール樹脂・・・・・・・・・・・・・7.0部
{積水化学工業(株)製、エスレックBX − 1}
キレート形成性金属含有化合物・・・・・・・・・・・3.0部
{表2の脚注に示されたMS−2}
溶媒(混合溶媒系)
メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・80部
酢酸n−ブチル・・・・・・・・・・・・・・・・・10部
《例8、9》
ポリビニルブチラール樹脂・・・・・・・・・・・・・10部
{積水化学工業(株)製、エスレックBX − 1}
溶媒(混合溶媒系)
メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・80部
酢酸n−ブチル・・・・・・・・・・・・・・・・・10部
上層形成用塗工液;
《例1、2》
ポリプロピレン系ワックスエマルジョン
(30%固形分)・・・・・・・・・・・・・・・・・33部
{東邦化学工業(株)製、ハイテックE433N}
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67部
《例3、4、5》
上層形成用塗工液;
ポリエチレン系ワックスエマルジョン
(35%固形分)・・・・・・・・・・・・・・・・・・30部
{東邦化学工業(株)製、ハイテックE1000}
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70部
《例6、7、8、9》
上層形成用塗工液;
ポリエステル系樹脂エマルジョン
(35%固形分)・・・・・・・・・・・・・・・・・・30部
{東洋紡績(株)製、バイロナールMD−1200}
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70部
次に、前記感熱転写記録用インクシートと上記受像シートとを、前者のインク層表面と後者の受像層表面とが接するように重ねあわせ、感熱転写記録用インクシートの支持体側よりサーマルヘッドを用いて出力0.4W/ドット、パルス幅10msec、ドット密度6ドット/mmの条件で加熱することにより、3cm×3cmの正方形の画像記録を行なった。
【0170】
画像記録後、受像層に画像を有する感熱転写記録用受像シ−トをヒ−トロ−ル(加熱温度130℃)に通して搬送速度1cm/秒で支持体側から熱処理した。
【0171】
受像層表面の融着防止性、感度及び光沢について、下記の基準で評価した。結果を表1に示す。
【0172】
融着防止性:画像記録後のインクシートと受像シートを剥離角120度で剥離するのに要する力を(株)大場計器製作所製、丸型バネ式テンションゲージにて測定した。
【0173】
◎・・・・ 5g/3cm以下
〇・・・・ 6〜20g/3cm
△・・・・21〜50g/3cm
×・・・・50g/3cm以上。
【0174】
感度:コニカ(株)製PDA−65にてレッド光反射濃度を測定した。
【0175】
◎・・・・2.0以上
〇・・・・1.6〜1.9
△・・・・1.0〜1.5
×・・・・1.0以下。
【0176】
光沢;日本電色工業(株)製 グロスメーターで45度の光沢度を測定した。
【0177】
◎・・・・30%以下
〇・・・・31〜45%
△・・・・46〜60%
×・・・・61%以上。
【0178】
定着性;上記印字済み受像層と印字を行っていない受像層同志を対面させ環境温度60℃、押し圧力30g/m2、保存期間48時間の条件で保存後の画像の転写状況を目視確認した。
【0179】
◎・・・・全く転写みられず
〇・・・・かすかに転写のあとがみられた
△・・・・反射濃度0.1〜0.4以上転写
×・・・・反射濃度0.4以上転写。
【0180】
【表1】
【0181】
【化1】
【0182】
【発明の効果】
本発明に係る発明は、転写時に感熱転写記録用インクシートとの融着を生じず、しかも転写感度が高く、したがって高濃度の転写画像を形成することのできる受像シート及びその製造方法を提供することができる。
Claims (4)
- 支持体上に、上層とキレート形成性金属化合物を含有する下層とから形成される受像層を積層してなり、下層の厚みが上層の厚みよりも大きく、上層の厚みが0.03〜3.0μmであり、上層が、下層を形成するための下層形成用塗工液とは異なる溶剤を用いたポリオレフィン系樹脂含有溶剤系塗工液またはポリオレフィン系樹脂含有水系エマルジョン塗工液で形成されてなることを特徴とする受像シート。
- 上層が、ポリエチレン系樹脂および/またはポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする前記請求項1に記載の受像シート。
- 支持体上に設けられた二層の受像層の内、上層の受像層をポリオレフィン系樹脂含有溶剤系塗工液またはポリオレフィン系樹脂含有水系エマルジョン塗工液で形成すると共に、キレート形成性金属化合物を含有する下層の受像層と上層の受像層とを異なる溶媒で調製された塗工液を塗工することにより形成し、かつ上層の受像層の膜厚が下層の受像層の膜厚よりも小さく、しかも上層の膜厚が0.03〜3.0μmになるように上層を形成することを特徴とする受像シートの製造方法。
- 下層が溶剤系塗工液で形成され、上層が水系エマルジョン塗工液で形成される前記請求項3に記載の受像シートの製造方法。
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