JPH0428485B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 この発明は、連続的に供給される金属ワイヤー
を電極として被加工物を切断加工するワイヤーカ
ツト放電加工機に係り、特にそのワイヤーの断線
を検出する断線検出装置に関するものである。

従来技術 従来のこの種の装置としては、例えば特開昭53
−68496号公報に記載されているように、被加工
物を固定する加工テーブルの上方及び下方に設け
られた給電部より電極用ワイヤーに対し加工には
直接寄与しない微小電流を供給する電流源を設
け、その電流源によつて電極用ワイヤーに供給さ
れた微小電流の変化を検出するための電流検出装
置を設け、前記電極用ワイヤーの断線によつてそ
のワイヤーに供給された微小電流が零になること
を電流検出装置により検出して、電極用ワイヤー
の断線を電気的に検出するようにしたものが知ら
れている。

ところが、この従来の断線検出装置において
は、被加工物の上下の給電部に対し常に電流源か
ら微小電流が供給されるようになつているため、
放電加工用電源を上下両給電部と被加工物とに接
続して構成した場合には、ワイヤーの断線時に前
記電流源からの微小電流が加工用電源の給電線を
介し流れてしまい、電極用ワイヤーの断線状態を
的確に検出することができなくなるばかりでな
く、２つの電源回路を必要とする欠陥があつた。

発明の目的 この発明は、前記のような従来の断線検出装置
における欠陥を解消し、放電加工用電源回路１個
の電源にて放電加工と断線の検出を行い断線の検
出により放電加工を中止するワイヤーカツト放電
加工機を提供することを目的としている。

発明の構成 この発明は、前記の目的を達成するために、ワ
イヤーの案内通路に沿つて緊張されたワイヤーと
常に微小間隔を有する位置に固定配置された導電
性の検出片と、前記加工物とワイヤーとの間に配
設された放電加工用電源回路と、前記加工物と前
記検出片との間に配設されて常態では開路となつ
ており、ワイヤーの切断により緊張が解除された
ワイヤーが検出片に接触することにより閉路とな
り、前記放電加工用電源回路の電流が流れてワイ
ヤーの切断を検出する検出回路と、前記検出回路
の検出動作を感知し、前記放電加工用電源回路の
給電を断つて放電加工を中止するように制御する
作動制御回路とを設けたものである。

第一実施例 以下、この発明の第一実施例を第１図に従つて
詳細に説明する。

さて、この実施例のワイヤーカツト放電加工機
においては、フレーム１の一側に加工槽２が水平
方向の前後及び左右に移動可能に配置され、その
内部に加工液Ｌを満たした状態で被加工物Ｗを支
持できるようになつている。加工槽２の上方にお
いてフレーム１には上方アーム３が設けられ、そ
の下部には導電性のローラよりなる上方電極ガイ
ド４が上方アーム３に対し絶縁した状態で水平方
向の前後及び左右に図示しない駆動装置により移
動可能に支持されている。加工槽２の側壁を貫通
して被加工物Ｗの下方位置に水平に延びるよう
に、フレーム１の側部には下方アーム５が突設さ
れ、その先端には導電性のローラよりなる下方電
極ガイド６が下方アーム５に対し絶縁した状態で
支持されている。

前記フレーム１の上部には電極としての金属ワ
イヤー７を供給するための供給装置８が設けられ
るとともに、フレーム１の下部には電極用ワイヤ
ー７を巻取るための巻取装置９が設けられてい
る。そして、供給装置８から繰出される電極用ワ
イヤー７が案内ローラ１０，１１，１２、上方電
極ガイド４、下方電極ガイド６を通つて巻取装置
９に至る所定の案内通路に沿つて緊張状態で移行
され、両電極ガイド４，６間において被加工物Ｗ
上に連続的に供給されるようになつている。

前記電極用ワイヤー７と被加工物Ｗとの間には
放電加工用電源回路１３（以下電源回路１３と称
す）が接続され、そのワイヤー７と被加工物Ｗと
の間の加工間隙に繰返しパルス放電を発生させ
て、その放電エネルギーにより被加工物Ｗを切断
加工するようになつている。すなわち、前記電源
回路１３において直流電源１４の一方の端子には
電界効果トランジスタ１５のソース端子が接続さ
れ、そのゲート端子にはトランジスタ１５のスイ
ツチング動作を制御するためのスイツチング制御
回路１６が接続されている。

前記トランジスタ１５のソース端子と直流電源
１４の他方の端子との間には、トランジスタ１５
に対する電流の供給を安定化するためのコンデン
サ１７及び抵抗１８が接続されている。又、トラ
ンジスタ１５のドレイン端子と直流電源１４の他
方の端子との間には、トランジスタ１５のスイツ
チング動作に伴つて生じるリアクタンスを消去す
るためのダイオード１９及び抵抗２０が接続され
ている。そして、前記電極用ワイヤー７は上方電
極ガイド４を介してトランジスタ１５のドレイン
端子側に接続され、被加工物Ｗは直流電源１４の
端子側に接続されている。

次に、ワイヤーの断線検出装置について詳細に
説明する。

さて、前記電極用ワイヤー７の案内通路におい
て、一対の案内ローラ１１と１２の間及び下方電
極ガイド６と巻取装置９との間には導電性金属材
の筒状体よりなる検出片２１，２２がフレーム１
に対して絶縁した状態でそれぞれ配設され、それ
らの検出片２１，２２内に電極用ワイヤー７が常
には微小間隙を有する状態で挿通されている。両
検出片２１，２２と前記被加工物Ｗとの間には発
光ダイオード２３及び抵抗２４よりなる検出回路
２５が接続され、この検出回路２５は常態におい
て開路となつている。そして、被加工物Ｗに対す
る放電加工位置等で電極用ワイヤー７が断線して
緊張状態から解除された時、そのワイヤー７が検
出片２１，２２に接触して、前記電源回路１３か
ら被加工物Ｗ、検出回路２５、検出片２１，２２
及びワイヤー７を通つて電源回路１３に至る閉回
路が形成され、発光ダイオード２３が発光するよ
うになつている。

一方、前記電源回路１３のスイツチング制御回
路１６には作動制御回路２６が接続され、この作
動制御回路２６に基づきスイツチング制御回路１
６を介してトランジスタ１５のスイツチング動作
が制御され、放電加工の始動や停止が行われるよ
うになつている。作動制御回路２６には抵抗２７
を介して所定の基準電圧が印加されているフオト
トランジスタ２８が接続され、このフオトトラン
ジスタ２８が光フアイバーケーブル２９を介して
前記発光ダイオード２３の光を感知して作動され
た時、作動制御回路２６の制御に基づき電源回路
１３からの給電が断たれて、放電加工が停止され
るようになつている。

従つて、この実施例のワイヤーカツト放電加工
機において、その放電加工時に電極用ワイヤー７
が断線すると、そのワイヤー７が緊張状態から解
除されて検出片２１，２２に接触し、電源回路１
３から検出回路２５に電流が流れて発光ダイオー
ド２３が光発する。それにより、光フアイバーケ
ーブル２９を介してフオトトランジスタ２８が作
動され、作動制御回路２６の制御に基づき電源回
路１３からの給電が断たれて放電加工が停止され
る。このように、放電加工時における電極用ワイ
ヤー７の断線を的確に検出して、放電加工動作を
直ちに停止させることができる。

又、本願発明では、ワイヤーカツト放電加工機
が、ワイヤー７と被加工物Ｗとの間に電源１３か
ら電圧を印加して放電を行うことによつて加工を
行うものであるということを利用して、断線した
ワイヤー７が前記検出片２１，２２に接触する
と、その検出片２１，２２に接続された検出回路
２５が前記電源１３に接続されて閉回路を形成
し、その回路を流れる電流によつて検出回路２５
がワイヤー７の断線を検出するようにしたので、
これら装置全体の構成を非常にコンパクトなもの
とすることができる。

第二実施例 次に、この発明の第二実施例を第２，３図に従
つて説明すると、この実施例は特に検出回路２５
等の構成において前記第一実施例と相違してい
る。

すなわち、この実施例の検出回路２５は、上下
両電極ガイド４，６に接続された検出用電源３
０、その電源３０と上方検出片２１との間に接続
された発光ダイオード３１Ａと抵抗３２Ａと断線
検出用リレーCR１のリレースイツチCR１−１、
前記電源３０と下方検出片２２との間に接続され
た発光ダイオード３１Ｂと抵抗３２Ｂと断線検出
用リレーCR１のリレースイツチCR１−２より構
成されている。又、この実施例では作動制御回路
２６に対し抵抗３３Ａ，３３Ｂを介して所定の基
準電圧が印加された一対のフオトトランジスタ３
４Ａ，３４Ｂが接続され、各発光ダイオード３１
Ａ，３１Ｂの光を独立した一対の光フアイバーケ
ーブル３５Ａ，３５Ｂを介して受けるようになつ
ている。又、前記断線検出用リレーCR１は放電
加工時において作動制御回路２６の制御に基づき
励磁され、それによつて両リレースイツチCR１
−１，CR１−２が閉じられるようになつている。

さらに、この実施例においては前記検出回路２
５の両リレースイツチCR１−１，CR１−２と抵
抗３２Ａ，３２Ｂとの接続点間に、電極用ワイヤ
ー７の垂直出しを行うためのワイヤー位置検知回
路３６が接続されている。この検知回路３６は、
位置検知用リレーCR２の一対のリレースイツチ
CR２−１，CR２−２と、水平面内において第３
図のＸ方向及びＹ方向に移動される加工物支持台
（図示しない）上に配置されたワイヤー位置検知
装置３７とより構成されている。そして、この検
知装置３７には同図に示すように上下一対の検知
板３８，３９が設けられ、それらの検知板３８，
３９の先端には一対の直交する垂直面よりなる検
知面３８ａ，３８ｂ，３９ａ，３９ｂが形成され
ている。

従つて、このワイヤーカツト放電加工機におい
て、断線検出用リレーCR１の励磁に基づきリレ
ースイツチCR１−１，CR１−２が閉じられた状
態の放電加工中に、電極用ワイヤー７が断線して
検出片２１，２２に接触すると、発光ダイオード
３１Ａ，３１Ｂが発光してフオトトランジスタ３
４Ａ，３４Ｂが作動され、作動制御回路２６の制
御に基づき電源回路１３からの給電が断たれて、
放電加工が停止される。従つて、この第二実施例
においても前記第一実施例と同様に、電極用ワイ
ヤー７の断線を的確に検出して、加工動作を直ち
に停止させることができる。

又、このワイヤーカツト放電加工機の加工開始
前において、上下両電極ガイド４，６間の電極用
ワイヤー７の垂直出しを行う場合には、位置検知
用リレーCR２の励磁によりリレースイツチCR２
−１，CR２−２が閉じられた状態で、まず、ワ
イヤー位置検知装置３７上の検知板３８，３９の
一方の検知面３８ａ，３９ａが電極用ワイヤー７
と対応するように、その検知装置３７を所定検知
位置に配置するとともに、上方電極ガイド４を移
動させてワイヤー７の上部側が上方の検知面３８
ａに近接するようにそのワイヤー７を下方電極ガ
イド６を中心にわずかに傾動させる。引続き、検
出装置３７を第３図の矢印Ｘ方向へ移動させ、そ
れにともないワイヤー７が両検知板３８，３９の
検知面３８ａ，３９ａに接触すると、ワイヤー７
を介して検知回路３６に電流が流れて両発光ダイ
オード３１Ａ，３１Ｂが発光され、フオトトラン
ジスタ３４Ａ，３４Ｂの作動により作動制御回路
２６に所定の信号が出力される。それにより検知
装置３７の移動が停止される。次に、上方電極ガ
イド４が検知装置３７より離れる方向へ移動さ
れ、ワイヤー７が上方検知面３８ａからわずかに
離れると、発光ダイオード３１Ａの消灯によりそ
れが検知され、作動制御回路２６の作用により上
方電極ガイド４の移動が停止される。従つて、こ
の状態においては、ワイヤー７はＸ方向において
ほぼ垂直である。

次に、両検知板３８，３９の他方の検知面３８
ｂ，３９ｂをワイヤー７と対応させた後に、Ｙ方
向において前記と同様な作業を行うことにより、
検出装置３７及び上方電極ガイド４がＸ方向移動
と同様な対応にてＹ方向へ移動され、ワイヤー７
をＹ方向においてほぼ垂直にすることができる。
このようにして、上下両電極ガイド４，６間にお
ける電極用ワイヤー７の垂直出しを容易に行うこ
とができる。

なお、この発明は前記両実施例の構成に限定さ
れるものではなく、この発明の趣旨から逸脱しな
い範囲で各部の構成を任意に変更して具体化する
ことも可能である。

発明の効果 以上詳述したようにこの発明は、電源回路の電
源を検出回路が共有し、放電加工時において電極
用の金属ワイヤーが断線した際に金属ワイヤーが
検出片に接触して検出回路を閉回路とし電源開路
の電流を流して断線を検出し、制御回路によつて
放電加工を停止させるようにしたので、断線の検
出を迅速確実に検知して放電加工の停止を直ちに
行い得るばかりでなく、電気回路の構成が簡単に
なり又装置全体をコンパクトにすることができる
という優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の第一実施例を示すワイヤー
カツト放電加工機のブロツク図、第２図は第二実
施例を示す放電加工機のブロツク図、第３図は第
二実施例の放電加工機におけるワイヤー位置検知
装置を拡大して示す斜視図である。 ２は加工槽、７は電極用ワイヤー、１３は放電
加工用電源回路、２１，２２は検出片、２５は検
出回路、Ｗは被加工物である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 連続的に供給される金属ワイヤー７を電極と
   して、被加工物Ｗを切断加工するワイヤーカツト
   放電加工機において、 前記ワイヤー７の案内通路に沿つて緊張された
   ワイヤー７と常に微少間隔を有する位置に固定配
   置された導電性の検出片２１，２２と、 前記加工物Ｗとワイヤー７との間に配設された
   放電加工用電源回路１３と、 前記加工物Ｗと前記検出片２１，２２との間に
   配設されて常態では開路となつており、ワイヤー
   ７の切断により緊張が解除されたワイヤーが検出
   片２１，２２に接触することにより閉路となり、
   前記放電加工用電源回路１３の電流が流れてワイ
   ヤー７の切断を検出する検出回路２５と、 前記検出回路２５の検出動作を感知し、前記放
   電加工用電源回路１３の給電を断つて放電加工を
   中止するように制御する作動制御回路２６とを設
   けたことを特徴とするワイヤーカツト放電加工
   機。 ２ 前記検出片２１，２２は前記ワイヤー７が挿
   通された金属製の筒状体であることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項に記載のワイヤーカツト放
   電加工機。