JPH0428247Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、車両のガルウイング式ウインドウ
の改良に関する。

［従来技術］ 車体の上面から側面にかけて開口を形成すると
ともに、この開口に略合致し、かつ閉鎖位置で車
体外面と略面一となるウインドウパネルの上縁を
ヒンジにより前記車体開口縁に回動可能に枢着し
たガルウイング式ウインドウは知られている。

このガルウイング式ウインドウにおいて、十分
な開放感を得るにはウインドウパネルの開き角度
を大きくすればよい訳であるが、開き角度が大き
いと外部への突出量が増し、特に車両にあつては
安全上好ましくない。

そこで、従来はウインドウパネルのヒンジ部を
着脱構造として、十分な開放感を得たい場合には
ウインドウパネルを取外しできるようにしたもの
が提案されている。

しかしながら、車内からウインドウパネルの着
脱を行なうことは容易ではなく、またこれを車外
から行なうにしても全高の高い車両には適用でき
ない。そして、いずれにしてもウインドウパネル
の着脱は車両を停止させて行なう必要があるため
使用性が悪く、かつ取外したウインドウパネルの
格納のための専用のスペースを必要とする欠点が
あつた。

なお、従来から閉鎖位置でルーフ面と略面一と
なり、かつ開放位置ではルーフ下部もしくはルー
フ上にスライド移動してルーフに形成した開口を
開閉可能としたスライド式サンルーフがあるが、
これらのスライド式サンルーフは概して構造が複
雑であり、これを車体の上面から側面にかけて形
成された開口に適用することは困難である。

［考案が解決しようとする問題点］ この考案は上述の欠点に鑑みてなされたもの
で、ガルウイング式ウインドウの構造、動作に着
目し、従来のようにウインドウパネルを着脱する
のでなく、ガルウイングして車体外面から突出し
た状態のウインドウパネルをそのままスライド移
動可能とすることにより、構造を複雑にすること
なく、ウインドウパネルの開閉操作を走行中でも
簡単に行なえ、かつウインドウパネルの格納スペ
ースを不要とした車両のガルウイング式ウインド
ウを提供することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するために講じた手段は第１
図、第２図に示すように、ガルウイング式ウイン
ドウのウインドウパネル２上縁に設けられたヒン
ジ３を車体１の上部開口縁１１に沿つてスライド
可能に支持する一方、ウインドウパネル２の下縁
に対応する車体１の下部開口縁１２にはウインド
ウパネル２をガルウイングさせると同時に、ガル
ウイングして車体１外面から突出した状態のウイ
ンドウパネル２を前記ヒンジ３と協働してスライ
ド開閉させる開閉機構５を備えたことである。

［作用］ 第１図ａに示す閉鎖位置では、ウインドウパネ
ル２は車体１外面と略面一となつている。

車内を換気したい場合には、第１図ｂに示すよ
うに、開閉機構５によつてウインドウパネル２を
上縁のヒンジ３を支点として所定角度ガルウイン
グさせる。これにより車体開口１０が一部開放さ
れ、車内外が連通するので車内の換気ができる。

さらに、十分な開放感を得たい場合には、第１
図ｃに示すように、ガルウイングして車体１外面
から突出した状態のウインドウパネル２をそのま
まの状態で開閉機構５によつてスライド移動させ
る。これによつて車体開口１０は大きく開放さ
れ、十分な開放感が得られる。

この開閉操作は走行中でも車内から簡単に行な
うことができ、また開閉機構５を電動化すれば運
転席での開閉操作も可能である。

［実施例］ 以下、この考案の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。

第１図、第２図において、自動車のルーフ１に
は上面から側面にかけて開口１０が形成され、こ
の開口１０にはこれに略合致する形状で、かつ閉
鎖位置でルーフ１外面と略面一となるガラス製の
ウインドウパネル２が開閉自在に設けられてい
る。すなわち、ウインドウパネル２の上縁にはウ
インドウパネル２を上下方向に回動可能になすヒ
ンジ３，３のヒンジヒメール３１，３１が固着さ
れ、このヒンジヒメール３１，３１とヒンジピン
３２，３２で連結されたヒンジメール３３，３３
はルーフ１の上部開口縁１１に沿つて前後方向に
配設されたアウタガイドレール４内にスライド可
能に保持されている。これにより、ウインドウパ
ネル２はヒンジ３，３のヒンジピン３２，３２を
中心にガルウイングするとともに、ガルウイング
してルーフ１外面から突出した状態ではさらにア
ウタガイドレール４に沿つて前後方向にスライド
可能になされる。

一方、ウインドウパネル２の下縁に対応するル
ーフ１の下部開口縁１２にはウインドウパネル２
をガルウイングさせると同時に、ガルウイングし
てルーフ１外面から突出した状態のウインドウパ
ネル２を前記ヒンジ３，３と協働してスライド開
閉させる開閉機構５が設けられている。

また、これら上部開口縁１１、下部開口縁１２
を含む開口縁全周には閉鎖位置でウインドウパネ
ル２と当接してシール作用をなすシール材６が装
着されている。

開閉機構５の構成を第３図、第４図により説明
すると、ルーフ１の下部開口縁１２には内側にル
ーフサイドレール１３が位置し、このルーフサイ
ドレール１３にインナガイドレール５１が前記ア
ウタガイドレール４と平行に固定配置されてい
る。インナガイドレール５１は直線状の第１のガ
イド溝５１１と、この第１のガイド溝５１１の上
側に位置し、第１のガイド溝と平行で前端のみ第
１のガイド溝５１１に対して拡開する方向にカム
状に傾斜した第２のガイド溝５１２とを有し、第
１のガイド溝５１１にシユー５２がスライド可能
に嵌合している。また、ガイドレール５１の下部
には第３のガイド溝５１３が第１のガイド溝５１
１と平行に形成され、この第３のガイド溝５１３
内に駆動ケーブル５３が移動可能に配設されると
ともに、駆動ケーブル５３に前記シユー５２が接
続されている。

ウインドウパネル２を支持する支持部材５４
は、一端部がウインドウパネル２の下縁前端にボ
ールジヨイント５５を介して連結されるととも
に、他端部が軸５６により前記シユー５２に枢着
され、かつ他端部から略Ｌ字状に延出する延出端
５４１に突設したピン５４２が前記インナガイド
レール５１の第２のガイド溝５１２に係合してい
る。

延出端５４１のピン５４２が第２のガイド溝５
１２のカム状部５１２ａの頂部に位置している
時、支持部材５４は水平位置にあり、ウインドウ
パネル２との連結点Ａは最下位置にある（第３図
実線）。この位置はウインドウパネル２の閉鎖位
置に相当する。

今、この状態で図示しない駆動装置により駆動
ケーブル５３を介してシユー５２をインナガイド
レール５１の第１のガイド溝５１１に沿つて図示
右方（後方）にスライド移動させると、支持部材
５４もシユー５２に連行されて移動するのである
が、延出端５４１のピン５４２が第２のガイド溝
５１２のカム状部５１２ａを移動の間、支持部材
５４はカム状部５１２ａに案内されて軸５６を支
点に図示反時計方向に回動起立しながら移動す
る。この結果、支持部材５４とウインドウパネル
２との連結点Ａは上方に垂直に移動することにな
る（第３図二点鎖線）。もちろん、連結点Ａをこ
のように垂直に移動させるためには、厳密には第
２のガイド溝５１２のカム状部５１２ａをあらか
じめそのように形成しておく必要がある。これに
より、ウインドウパネル２をヒンジ３，３のヒン
ジピン３２，３２を中心にガルウイングさせるこ
とができる。なお、この時のウインドウパネル２
と支持部材５４との相対的角度変化はボールジヨ
イント５５により吸収され、円滑にガルウイング
する。また、ガルウイングした状態では第２図に
二点鎖線で示すように、ウインドウパネル２はル
ーフ１の外面から外方に突出してルーフ１の外面
との間にスライドのために必要なクリアランスｃ
が形成される。

延出端５４１のピン５４２が第２のガイド溝５
１２の水平部５１２ｂに到達すると、支持部材５
４のそれ以上の回動が規制される。したがつて、
この状態でさらにシユー５２を右方にスライド移
動させると、支持部材５４は起立位置を保持した
ままシユー５２に連行されて移動する。これによ
り、ウインドウパネル２をガルウイングした状態
でアウタガイドレール４に沿つてスライドさせる
ことができる。

また、逆にシユー５２を左方にスライド移動さ
せれば、前述と逆の作動により支持部材５４を水
平位置すなわちウインドウパネル２の閉鎖位置に
復帰させることができる。閉鎖位置では第２図に
示すようにウインドウパネル２はルーフ１の外面
と略面一となり、かつシール材６と当接してルー
フ１の開口縁とウインドウパネルとがシールされ
る。

なお、上述の実施例ではルーフ１の上面から側
面にかけて開口１０を形成したものについて説明
したが、この開口１０はルーフ１からクオータに
かけて形成されたものであつても良く、またアウ
タガイドレール４は必ずしもヒンジピン３２の外
側にある必要はなく、ヒンジピン３２の内側に配
置することもできる。その他、この考案の要旨を
変更しない範囲において種々の変形は可能であ
る。

［考案の効果］ 以上のように、この考案によれば、ウインドウ
パネルのガルウイング量を必要以上に大きくする
ことなしに車体開口を大きく開放できて十分な開
放感が得られるとともに、ウインドウパネルの開
閉操作を走行中でも車内から簡単に行なえ、かつ
車内にウインドウパネルの格納スペースを確保す
る必要がない。また、ガルウイングして車体外面
から突出した状態のウインドウパネルをスライド
開閉させるようにしたので、従来のスライド式サ
ンルーフのようにサンルーフ両側に昇降機構を設
けるものに比べ、構造を著しく簡略化し得るとと
もに、閉鎖位置でのシールが確実である。

さらに、ガイドレール、シユー、支持部材およ
び駆動手段で構成した開閉機構は、簡単な構造で
ウインドウパネルのガルウイングとスライド作動
を連続的に行なうことができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１
図はこの考案のガルウイング式ウインドウの作動
を説明するための全体斜視図、第２図は第１図の
−線に沿う拡大横断面図、第３図は開閉機構
の正面図、第４図は第３図の−線に沿う断面
図である。 １……ルーフ（車体）、１０……開口、１１…
…上部開口縁、１２……下部開口縁、２……ウイ
ンドウパネル、３……ヒンジ、４……アウタガイ
ドレール、５……開閉機構、５１……インナガイ
ドレール、５１１……第１のガイド溝、５１２…
…第２のガイド溝、５２……シユー、５３……駆
動ケーブル、５４……支持部材、５４１……延出
端、５５……ボールジヨイント。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体の上面から側面にかけて開口を形成すると
   ともに、この開口に略合致し、かつ閉鎖位置で車
   体外面と略面一となるウインドウパネルの上縁を
   ヒンジにより前記車体開口縁に回動可能に枢着し
   たガルウイング式ウインドウにおいて、前記ヒン
   ジを車体開口縁に沿つてスライド可能に支持する
   一方、ウインドウパネルの下縁に対応する車体開
   口縁にはウインドパネルをガルウイングさせると
   同時にガルウイングして車体外面から突出した状
   態のウンドウパネルを前記ヒンジと協働してスラ
   イド開閉させる開閉機構を備え、該開閉機構は、
   車体開口縁に沿つて固定配置され、直線状の第１
   のガイド溝、およびこの第１のガイド溝と平行で
   始端のみ第１のガイド溝に対して傾斜した第２の
   ガイド溝を有するガイドレールと、ガイドレール
   の第１のガイド溝にスライド可能に嵌合されたシ
   ユーと、ウインドウパネルに一端部が連結される
   とともに、他端部が前記シユーに枢着され、かつ
   他端部から略Ｌ字状に延出する延出端が前記ガイ
   ドレールの第２ガイド溝に移動可能に係合された
   支持部材と、前記シユーをガイドレールの第１の
   ガイド溝に沿つて駆動する手段とで構成されてい
   る車両のガルウイング式ウインドウ。