JPH04272215A - ポリエステル繊維およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル繊維およびその製造方法

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JPH04272215A
JPH04272215A JP3034288A JP3428891A JPH04272215A JP H04272215 A JPH04272215 A JP H04272215A JP 3034288 A JP3034288 A JP 3034288A JP 3428891 A JP3428891 A JP 3428891A JP H04272215 A JPH04272215 A JP H04272215A
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克彦 望月
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近野 吉宏
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洋 高橋
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、きらきらとした独特な
光沢感、不透明感、ドライタッチ、しゃり感、張り・腰
、軽量感に優れ、さらに染色することによって霜降り調
の自然な色調を有する高級衣料用織編物に好適な多角形
中空断面のポリエステル繊維およびその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりポリエステル衣料用織編物に光
沢感やドライなタッチ、軽量感など高級感を付与せんと
して、異形断面繊維や中空繊維を用いることが数多く提
案されている。代表的な異形断面繊維としてはT、Y、
偏平などであり、中空断面繊維としては中空丸断面など
が挙げられる。これら異形断面繊維および中空断面繊維
使い織編物は、丸断面に比べ各々に特徴ある光沢感や風
合い、軽量感を有しており、衣料用途に好んで使われて
いる。さらに異形断面繊維の優れた風合い特性と、中空
断面繊維の軽量性の2つの特性を組み合わせた繊維がい
くつか提案されている。たとえば特公昭44−1892
3号公報には中空部を有する多角形断面繊維が提案され
ており、特公昭57−49650号公報には、田型中空
断面繊維が提案されている。しかしながらこれら異形断
面繊維はいずれも単成分紡糸によって製造するため、口
金から吐出後の冷却過程で表面張力の作用により繊維横
断面の頂点部が丸味を帯び、鋭利な部分を有する断面形
状が得られない。そのため光沢感やしゃり感などを必要
とする衣料分野においてはそれらの特徴が満足されるも
のではない。
【0003】また、最近では多様な要求の中で複合紡糸
技術を応用した頂点部が鋭利な異形断面繊維がいくつか
提案されている。たとえば特開昭56−159316号
公報には多層貼り合わせ状の複合糸の一方成分を加水分
解させて鋭いエッジをもたせた異形断面繊維を得る方法
が提案されているが、該公報に記載されている技術では
ドライタッチ等の風合いは優れているものの、凹凸を有
する断面形状では高級感のあるきらきらとした光沢は得
られず、さらに加水分解性の大きい成分を部分的に残し
ているために織編物を染色した後、染め斑がでやすいな
どの欠点をも有している。
【0004】また、特公昭58−4092号公報には、
麻調の異形中空太細繊維が提案されており、良好な霜降
り調を発するが、鋭い頂点部を持たないために、しゃり
感や張り・腰等の風合いが不足しており、清涼感素材と
しては好ましいものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術やそれらの組み合せでは達成できなかった、き
らきらとした独特な光沢感を有し、かつ、不透明感に優
れると共に、ワキシー感のないドライタッチ、しゃり感
、張り・腰、軽量感に優れ、さらに染色することによっ
て霜降り調の自然な色調を有する高級衣料用織編物に適
した繊維およびその製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的は、繊
維軸方向に断面積の変化を有しその太細比が1.2〜2
.2であり、中空率10〜40%の中空部を有する繊維
から構成され、その繊維横断面における頂点部の曲率半
径が下記範囲を満足し、かつ隣り合う頂点部間の辺部の
変動率が10%以下である三角形以上六角形以下の多角
形とすることを特徴とするポリエステル繊維。 r≦d0.5  ただし、r:繊維横断面の頂点部の曲率半径(μm)d
:単繊維繊度(デニール) である。
【0007】以下本発明を詳細に説明する。本発明の繊
維は、各単繊維が繊維軸方向への断面積の変化を有し、
その太細比が1.2〜2.2でなければならない。太細
比が1.2未満であると、本来その断面積の違いによっ
て生じる自然なムラ感がほとんどないため、通常のポリ
エステル繊維とあまり変わらない風合しか得られないか
らである。一方太細比が2.2を越えると繊維の取扱い
などの面から問題の出る場合も多く、また複屈折率との
関係からも十分な強度を持つ繊維を作り得ない。好まし
くは太細比は1.3〜2.0であり、さらに好ましくは
1.4〜1.8である。なお、本発明でいう繊維の太細
比とは繊維軸方向における太い部分と細い部分の中空部
を含む横断面積の比(太繊度部/細繊度部)であり、任
意の20箇所を測定した平均値を用いて計算した値であ
る。
【0008】また、本発明の繊維は、中空率が10〜4
0%の範囲でなければならない。中空率が10%未満と
なると、軽量感素材としての効果が低下するばかりでな
く、不透明感も損なわれてしまう。また中空率が40%
を越えると形状保持性が著しく低下してしまうので、製
織以降の工程で中空部が潰れて断面が変形してしまい本
発明の目的を達成することができなくなる。以上述べた
理由により、最適な中空率は20〜35%の範囲である
【0009】次に、本発明の繊維の横断面における頂点
部の曲率半径と辺部の変動率について図をもって詳細に
説明する。図1は本発明の繊維の断面形状を説明するた
めの繊維の横断面図であり、1は繊維、2は中空部、3
は頂点部、4は辺部からなる四角形中空断面繊維である
。まず、本発明の繊維の横断面における頂点部3の曲率
半径rはd0.5 μm以下とする必要がある。例えば
単繊維繊度dが1デニールならば頂点部3の曲率半径r
は1.0μm以下であり、3デニールならば約1.7μ
m以下である。曲率半径rがd0.5 μmを越える、
なだらかな頂点部によって構成される断面形状ではドラ
イタッチやしゃり感を十分に発揮することができないか
らである。好ましくは頂点部の曲率半径rが(d/2)
0.5 μm以下であり、さらに好ましくは(d/3)
0.5 μm以下である。
【0010】次に、本発明においては隣り合う頂点部間
の辺部の変動率が重要である。図1において、隣り合う
頂点部3間の各辺部に基準線Lを引く。基準線Lは、L
によって形成される辺部の凹部と凸部とを加えた面積を
最小とするように引く。この時各辺部において基準線L
と最も離れた点をTとし、TとLとの距離をtとする。 一方Tが存在する辺部に対応する基準線Lにおいて、隣
り合う基準線Lとの交点間の長さをsとしたときに、そ
の繊維の横断面における辺部の変動率を下記式により定
める。 変動率(%)=(t/s)×100 本発明の繊維の横断面において、隣り合う頂点部間の辺
部の前記変動率は10%以下でなくてはならない。前記
変動率は光沢感や表面タッチと密接な関係があり、変動
率が10%を越える辺を有する断面形状では、きらきら
とした独特の光沢が発現しない。変動率は好ましくは8
%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。
【0011】図2は本発明の繊維の断面形状の例を示す
横断面図である。図2の(a)は三角形、図2の(b)
は四角形、図2の(c)は五角形、図2の(d)は六角
形の例である。本発明の効果を発揮するためには三角形
以上六角形以下の多角形断面である必要がある。七角形
以上の多角形断面となると、横断面における頂点部が鋭
利でないものとなるために、本発明の目的であるドライ
タッチやしゃり感を満足することができない。また、前
記した特性をより発揮するためには五角形以下がより好
ましい。
【0012】次に本発明の繊維の製造方法の具体例につ
いて詳細に説明する。本発明の繊維の製造にあたっては
、まず外層、内層部からなる中空複合繊維を得、しかる
後該複合繊維の外層部を溶解除去する。本発明に用いら
れる前記複合繊維の外層成分は、ポリエチレンテレフタ
レートに5−ソジュームスルホイソフタル酸成分を1.
5モル%以上共重合する必要がある。これは内層成分の
ポリエチレンテレフタレートをそのまま残し、外層成分
のみを溶解除去するために、内層成分と外層成分との間
に溶解速度差をもたせる必要があるからである。この際
に外層成分のみを溶解するための溶剤としてはアルカリ
溶液(たとえば水酸化ナトリウム熱水溶液)を使用する
のであるが、共重合量が1.5モル%未満であると、内
層成分とのアルカリ溶液に対する溶解速度差が小さいた
めに、内層部の頂点部分が溶解して丸まってしまい、本
発明の目的とする断面形状が得られない。共重合率は好
ましくは2.0モル%以上であり、より好ましくは3.
0モル%以上である。一方、前記共重合率が高すぎると
複合繊維の強度が著しく低下するばかりでなく、熱水に
対する溶解性が増大し、製造工程で単繊維間膠着が発生
する等の欠点を有するため、好ましくは共重合率は6.
0モル%以下である。
【0013】また、前記外層成分は、極限粘度[η]を
0.34以上とする必要がある。外層成分の極限粘度[
η]が低すぎると、紡糸時の糸切れなど製糸性が低下す
るばかりでなく、できても高次加工で糸切れが発生しや
すいためである。
【0014】本発明に用いられる複合繊維の内層成分で
あるポリエチレンテレフタレートは、極限粘度[η]が
0.70以上でなければならない。後に述べるように、
本発明の繊維においては中空部が布帛の風合向上に大き
な役割を果している。この中空部を形成させる段階で、
より高い中空率を得るためには紡糸の段階でのポリマの
溶融粘度を高くする必要がある。さらに、本発明の繊維
を製造する過程においては布帛の状態で高率の減量加工
を施すのであるが、この段階で布帛の強力低下が著しい
ため引裂強力が低いという問題がある。そのため外層部
を溶出した後でも実用上問題とならない引裂強力を維持
するために、内層部の極限粘度[η]を高くしておく必
要がある。以上前記した2つの理由により、極限粘度[
η]が0.70以上である必要があり、好ましくは0.
72以上であり、さらに好ましくは0.75以上である
。また、極限粘度[η]が高すぎると紡糸段階で圧力損
失が高い等、種々の問題が発生するので、極限粘度[η
]は1.0以下が好ましい。
【0015】以上述べたような内層成分と外層成分から
なる2種のポリマをそれぞれ別々に溶融、計量し、中空
の複合繊維を得る。図3は本発明で好ましく用いられる
複合口金装置の要部縦断面図である。図4は本発明に使
用される口金孔形状の例を示す口金の下面図である。図
5は図4の口金孔形状を説明するための口金の下面図で
ある。図3〜5において、5は上部導入板、6は下部導
入板、7は口金、8はスリットである。内層成分のポリ
マAが上部導入板5から導入され、外層成分のポリマB
が下部導入板6から導入され、口金7で内外層の複合流
となりスリット8から吐出する。
【0016】このように、2種のポリマを内外層複合流
としてスリット8より吐出するのであるが、本発明にお
いては該内層成分の溶融粘度を外層成分の1.2倍以上
6倍以下とする必要がある。内層成分の溶融粘度を外層
成分よりも高くすることにより、各スリットから吐出さ
れたポリマの複合流はスリットの内側方向に曲がり、両
端が相互に衝突・融着を起こして接合し、内層部の断面
形状が多角形である中空断面の複合繊維を形成するので
ある。
【0017】ところで、各スリットから吐出した複合ポ
リマ流を確実に衝突・融着させ、かつ目的とする鋭利な
断面形状の内層部を安定して製造するためには、内・外
層成分の溶融粘度を適正化する必要がある。内層成分の
溶融粘度が外層成分の溶融粘度の1.2倍未満では、外
層成分を溶出した後に得られる繊維の横断面における辺
部が弧状に膨らんでしまい、頂点部も丸みを帯びてしま
うために、ドライタッチや張り・腰に欠け、光沢感もに
ぶいものとなってしまう。さらに、本発明の繊維の横断
面における頂点部をより鋭利にし、かつ辺部の直線性を
向上させるためには、内層成分の溶融粘度を外層成分の
1.5倍以上にすることがより好ましい。また内層成分
の溶融粘度が外層成分の6倍を越えた場合は、口金直下
でのポリマ複合流の衝突・融着が不安定となり、その結
果、複合異常を起こして経時的に断面が変動するために
、目的とする多角形中空断面形状の繊維を得ることがで
きなくなる。さらに安定した生産を行うためには内層成
分の溶融粘度を外層成分の溶融粘度の5倍以下にするこ
とが好ましく、4倍以下がより好ましい。
【0018】ここで、最終的に吐出する口金孔の形状を
、図4の(b)の4分割のスリットからなる口金孔を例
示する図5で説明する。スリット8の曲率半径hは、口
金孔中心Qからスリット中央部P(スリットの長さxお
よび幅wにおける中間点)までの距離(以下、口金孔半
径iと呼ぶ)の0.8〜1.2倍である環状配置である
ことが好ましい。これは、スリットの形状を前記した範
囲内とすると複合繊維の段階でみれば、横断面の外周形
状は円形状となり、例えば製編織後に外層成分を溶解除
去する場合、製編職時に複合繊維がマルチフィラメント
の中でランダムな配置になりやすくなり、そのため外層
成分を溶解した後に繊維の横断面が多角形になっても編
織物の中でランダムな状態で配置されており、編織物に
も自然な風合いを与えるからである。
【0019】なお、前記した4分割のスリットは、好ま
しくは図4の(b)および図5に示すように、同一孔形
状で同一寸法である4個のスリットを点対称状に配置し
、3分割ならば図4の(a)に示すように3個のスリッ
トを、5分割ならば図4の(c)に示すように5個のス
リットを、6分割ならば図4の(d)に示すように6個
のスリットを点対称状に配置する。
【0020】また、単孔を構成するスリット数は3個以
上6個以下であることが必須である。多角形中空断面繊
維の頂点部および辺部の数は、単孔を構成するスリット
の数に等しく、3分割であれば三角形中空断面繊維とな
り6分割であれば六角形中空断面繊維となるからである
。したがって、単孔を構成するスリット数がこの範囲で
なければ、本発明の目的とする多角形中空断面繊維が得
られない。
【0021】また、前記したように2種のポリマは各ス
リットにおいて、内外層2層状態で吐出される。吐出す
る際の内層部の複合比率は、辺部の変動率を所望の範囲
とし、なおかつ頂点部を鋭利にするために40重量%以
上、75重量%以下とすることが必要である。好ましく
は内層部の複合比率は45〜65重量%の範囲である。
【0022】また、紡糸される際の紡糸速度については
、1800〜3500m/分であることが好ましい。 この紡糸速度については実施例においてその効果を明確
に述べるが、紡糸速度が1800m/分未満であると低
倍率延伸をして太細繊維とした後の太い部分、つまり未
延伸部分における配向度が低いため編織物にしてからの
仕上げ工程、または染色工程などで結晶化することによ
って繊維のもろさがでてくるため、外力によって容易に
破壊を起こし実用上の使用がむずかしい。一方紡糸速度
が3500m/分を越えると、低倍率延伸を行っても太
い部分と細い部分との太細比が小さいために、目的とす
る太細比の繊維を得ることが困難である。
【0023】また、前記した方法によって得られた複合
繊維を下記の延伸倍率で延伸する必要がある。 延伸倍率=1+(定張力伸長域伸度×K)/1000.
6≦K≦1.2 ここで、係数Kが0.6未満の延伸倍率をとると低配向
の未延伸部分が多く存在するために編織物を染色した後
に濃染部分がほとんどを占め、本発明の目的とする自然
な色調のものが得られない。一方、係数Kが1.2を越
える延伸倍率をとると太い部分がほとんど存在しなくな
るため染色した後に霜降り調の色調が発現しなくなり、
本発明の目的を達成することができない。なお、前記し
た定張力伸長域伸度とは低速引張り試験機において測定
した値であり、図6の張力−伸長曲線における測定開始
点Mからネッキング伸長が完了する点Nまでの伸度(%
)を示す。
【0024】また、前記した方法によって得られた複合
太細繊維をその後の適当な工程で該外層成分を溶剤処理
により溶出し、内層成分を残留せしめることにより図4
の(a)、(b)、(c)および(d)の口金を用いた
場合には、各々図2の(a)、(b)、(c)および(
d)に示すような多角形中空断面繊維を得ることができ
る。この際の溶剤としてはアルカリ溶液が好ましく使用
され、特に好ましくは水酸化ナトリウム熱水溶液である
。またこの処理はいずれの工程でも構わないが、生産の
安定性から製織、製編後とすることが好ましい。
【0025】
【実施例】以下実施例により本発明をより詳細に説明す
る。なお実施例中の各特性値は次の方法で求めた。 A.中空率 試料となる原糸を4重量%水酸化ナトリウム熱水溶液に
て処理して外層部を溶解除去した後の断面写真から、下
記式にて中空率を算出した。 中空率(%)=中空部の断面積/中空部を含む繊維断面
積×100 B.外層成分溶出後の強度 試料となる原糸を4重量%水酸化ナトリウム熱水溶液に
て処理して外層部を溶解除去した後、オリエンテック社
製テンシロンUCT−100にて引張り試験を行い、外
層部を溶出した後の繊度で強度を算出した。 (外層部溶出後の強度)=(引張り強力)/(内層部の
繊度)(g/d) C.定張力伸長域伸度 試料となる未延伸糸をオリエンテック社製テンシロンU
CT−100にて引張り試験を行い、測定開始点Mから
ネッキング伸長が完了する点Nまでの伸度(%)を定張
力伸長域伸度(%)として測定した。 D.風合特性(清涼感、光沢感、軽量感、色調)各項目
とも、試料を基準試料との一対比較による官能試験を実
施し、4段階評価した。そしてそれらを総合評価して、
「極めてすぐれている」は◎、「すぐれている」は○、
「劣っている」は△、「極めて劣っている」は×で表わ
した。なお、基準試料には通常定番品種として用いられ
ている試料原糸と同一繊度、同一フィラメント数のY断
面ポリエステル繊維を試料と同様の製織、加工を施した
ものを用い、これを「劣っている」とした。 E.溶融粘度 溶融粘度は宝工業株式会社製メルトインデクサ―タイプ
MX−101−Bにより、紡糸温度と同温度でずり速度
30( 1/SEC )において測定した値である。
【0026】実施例1 内層成分として極限粘度[η]が0.72のポリエチレ
ンテレフタレ―トを、外層成分として極限粘度[η]が
0.42で、5−ソジュームスルホイソフタル酸成分を
3.2モル%共重合した変性ポリエステルを用い、通常
の複合紡糸機により紡糸温度295℃で図3に示す芯鞘
複合口金を用いて、図4の(b)に示す口金孔中心から
スリット中央部までの距離iが0.6mmでありかつス
リットの曲率半径hが0.6mmである環状の4分割ス
リット中空孔より、内層部の複合比率を60重量%で吐
出し、紡糸速度2500m/分で巻取った。内層成分、
外層成分の各々の単独ポリマの溶融粘度は4200po
ise 、1600poise であり、粘度の比は約
2.6倍であった。また、定張力伸長域伸度は78%で
あった。この未延伸糸を通常の延伸機により延伸温度8
0℃、延伸倍率1.7倍で延伸して得たマルチフィラメ
ント複合繊維を経糸、及び緯糸として製織し、98℃で
リラックス精練、180℃で中間セットした後、4重量
%水酸化ナトリウム98℃熱水溶液で処理し、外層成分
を溶出して75デニール36フィラメントとし、170
℃で仕上げセットすることで羽二重を得た。
【0027】得られた試料についてそれぞれ官能評価を
実施した結果、これまでの異形断面ポリエステル繊維使
いの織物では達成できなかった風合いであり、いずれの
風合い特性も極めて優れたものであった。結果は表1お
よび表2に記した。
【0028】実施例2 内層部の複合比率を75重量%とし、紡糸速度を180
0m/分、延伸倍率を2.1倍とした以外は、実施例1
と同様の条件で実施した。得られた試料の結果を表1お
よび表2に記した。実施例2の試料は、適度なしゃり感
、張り・腰、光沢感と軽量感を兼ね備えた点で従来品よ
りよいものであり、染色後の色調が自然な霜降状でとて
も良いものであった。
【0029】実施例3 紡糸速度を3500m/分とし、延伸倍率を1.3倍と
した以外は実施例1と同様の条件で実施した。得られた
試料の結果を表1および表2に記した。実施例3の試料
は、いずれの風合い特性も優れたものであった。また、
染色後の色調も従来品よりは良いものであった。
【0030】比較例1 内層部の複合比率を90重量%とした以外は実施例1と
同様の条件で実施した。得られた試料の結果を表1およ
び表2に記した。得られた試料は、断面外周の辺部が内
側に弧状に膨らんでしまい、頂点部も丸みを帯びたため
に実施例1の試料に比べしゃり感や張り・腰がなく、ま
た光沢感も劣るものだった。
【0031】比較例2 紡糸速度を1500m/分とし、延伸倍率を2.1倍と
した以外は実施例1と同様の条件で実施した。得られた
試料の結果を表1および表2に記した。得られた試料は
太細比が2.3と大きく、太部の配向度が低いためにリ
ラックス精練の段階でもろくなり、実用に耐えるもので
はなかった。
【0032】比較例3 紡糸速度を4000m/分とし、延伸倍率を1.2倍と
した以外は実施例1と同様の条件で実施した。得られた
試料の結果を表1および表2に記した。得られた試料は
太細比が1.15と小さく、染色後の色調も通常のポリ
エステル繊維とあまり変わらないものであった。
【0033】比較例4 内層成分の極限粘度[η]を0.60とし、外層成分の
極限粘度[η]を0.28とした以外は実施例1と同様
の条件で実施した。得られた結果を比較例4として表1
および表2に記した。中空率が5%である比較例4の試
料は、しゃり感はあるものの張り・腰がなく、光沢感、
不透明感、軽量感ともに従来品より劣るものであった。
【0034】比較例5 内層部の複合比率を35重量%とした以外は、実施例1
と同様の条件で実施した。得られた結果を比較例5とし
て表1および表2に記した。中空率が43%である比較
例5の試料は、染色工程でフィブリル化が織物全面に発
生してしまい、実施例1に比べていずれの風合いも劣る
ものとなってしまった。
【0035】比較例6、比較例7 延伸倍率を1.35倍および2.1倍とした以外は、実
施例1と同様の条件で実施した。得られた試料の結果を
表1および表2に記した。比較例6の試料は、しゃり感
、張り・腰など清涼感に優れたものであったが、未延伸
部分の割合が高いために染色後の色調が全体的に濃色化
傾向を示し、あまり良いものではなかった。また比較例
7の試料は未延伸部分がほとんど存在しないために、染
色後の色調は通常のポリエステル繊維とあまり変わらな
いものであった。
【0036】実施例4、実施例5、実施例6外層成分の
ポリマ組成および重合度を変更した以外は、実施例1と
同様の条件で実施した。得られた結果を表1および表2
に記した。5−ソジュームスルホイソフタル酸成分を1
.8モル%共重合したポリエチレンテレフタレートを外
層成分とした実施例4の試料と、内層成分の外層成分に
対する粘度の比が1.2倍である実施例5の試料は共に
、しゃり感、張り・腰など清涼感があり、きらきらとし
た光沢感、軽量感などの特性も優れたものであった。さ
らに内層成分の外層成分に対する粘度の比が6倍である
実施例6の試料はしゃり感に優れたものであった。
【0037】比較例8、比較例9、比較例10外層成分
のポリマ組成および重合度を変更した以外は実施例1と
同様の条件で実施した。得られた結果を表1および表2
に記した。5−ソジュームスルホイソフタル酸成分を1
.2モル%共重合したポリエチレンテレフタレートを外
層成分とした比較例8の試料は、製織後の4重量%水酸
化ナトリウム98℃熱水溶液処理により外層部を完全に
溶解した結果、内層部断面の頂点部も減量されたために
頂点部が丸みを帯びてしまい、しゃり感ばかりでなく、
張り・腰も劣るものであった。また、内層成分の外層成
分に対する粘度比を1.1倍とした比較例9の試料は内
層部断面の辺部が内側方向に弧状に膨らみ、断面周形状
の変動率が15%と高いためにしゃり感がなく、にぶい
光沢感で風合いの劣るものであった。また、粘度比が6
.5倍である比較例10は紡糸時に複合異常を生じ、製
糸性も悪いために試料を得ることができなかった。
【0038】実施例7 吐出する口金が図4の(a)に示す口金孔中心からスリ
ット中央部までの距離iが0.6mmでありかつスリッ
トの曲率半径hが0.6mmであるスリットで構成され
た3分割中空孔である以外は実施例1と同様の条件で実
施した。得られた結果を表1および表2に記した。試料
は図2の(a)に示す断面形状をしており、きらきらと
した独特の光沢感が実施例1の試料に比較してさらに高
いほか、しゃり感、張り・腰、不透明感に優れたもので
あった。
【0039】実施例8 吐出する口金が図4の(d)に示す口金孔中心からスリ
ット中央部までの距離iが0.6mmでありかつスリッ
トの曲率半径hが0.6mmであるスリットで構成され
た6分割の中空孔である以外は実施例1と同様の条件で
実施した。得られた結果を表1および表2に記した。試
料は図2の(d)に示す断面形状をしており、光沢感、
不透明感、張り・腰、は良好であり、またしゃり感とと
もにソフトな風合いで好ましいものであった。
【0040】比較例11 吐出する口金が口金孔中心からスリット中央部までの距
離iが0.6mmでありかつスリットの曲率半径hが0
.6mmであるスリットで構成された7分割の中空孔で
ある以外は実施例1と同様の条件で実施した。得られた
結果を表1および表2に記した。比較例11の試料は七
角形断面の中空繊維であったが、しゃり感、張り・腰な
ど清涼感に乏しく特徴のないものであった。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】本発明は、従来技術では達成し得なかっ
た鋭い頂点部をもち、かつ中空率の高い多角形状の中空
断面を有するポリエステル太細繊維およびその製造方法
に関するものである。本発明の繊維はきらきらとした独
特な光沢感、不透明感、さらにはドライタッチ、しゃり
感、張り・腰、軽量感、染色後の色調に優れた特性を有
しており、これまでの異形断面繊維では得ることができ
なかった衣料用の清涼感素材として最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】  本発明の繊維の断面形状を説明するための
繊維の横断面図である。
【図2】  本発明の繊維の断面形状の例を示す横断面
図である。
【図3】  本発明で用いられる複合口金装置の一例を
示す要部縦断面図である。
【図4】  本発明に使用される口金孔形状の例を示す
口金の下面図である。
【図5】  図4の孔形状を説明するための口金の下面
図である。
【図6】  本発明における定張力伸長域伸度を説明す
るための未延伸糸の張力−伸長曲線を示すグラフである

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  繊維軸方向に断面積の変化を有しその
    太細比が1.2〜2.2であり、中空率10〜40%の
    中空部を有する繊維から構成され、その繊維横断面にお
    ける頂点部の曲率半径が下記範囲を満足し、かつ隣り合
    う頂点部間の辺部の変動率が10%以下である三角形以
    上六角形以下の多角形とすることを特徴とするポリエス
    テル繊維。 r≦d0.5  r:繊維横断面の頂点部の曲率半径(μm)d:単繊維
    繊度(デニール)
  2. 【請求項2】  極限粘度[η]が0.34以上で、5
    −ソジュームスルホイソフタル酸成分を1.5モル%以
    上共重合したポリエチレンテレフタレートを外層成分と
    し、極限粘度[η]が0.70以上で、溶融粘度が外層
    成分の1.2倍以上6倍以下のポリエチレンテレフタレ
    ートを内層成分として、内層部の複合比率が40重量%
    以上75重量%以下の内外層複合流を、3分割以上6分
    割以下のスリットで構成された環状の口金孔より吐出さ
    せ、口金直下でポリマ複合流を接合させて巻き取った中
    空断面の複合繊維を下記範囲の延伸倍率にて延伸した後
    、外層成分を溶剤で溶出し、多角形中空断面とすること
    を特徴とするポリエステル繊維の製造方法。 延伸倍率=1+(定張力伸長域伸度×K)/1000.
    6≦K≦1.2
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