JPH0427153B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、２本の糸（yarn）の端をより継ぎ
する方法及び装置に関する。詳細には、遠心
（centrifugal）室内の糸の端を少なくとも１個の
空気ジエツトによりより継ぐための準備
（preparation）を行ない、少なくとも１個の他の
空気ジエツトによりより継ぎ（splice）を行なう
方法及び装置に関する。

従来技術及びその問題点 例えば、糸の巻取処理中に２本の糸の端を接続
する必要が生じた場合には、より継ぎにより接続
することが知られている。このより継ぎを行なう
ためには、糸の端は管状の遠心室内に置かれ、少
なくとも１つの空気ジエツトに曝される。糸の端
の繊維は、密接に接続され、強固な接続が形成さ
れる。このより継ぎに於いては、接続部から糸の
端を突出させることなく、更に接続部の横断面を
糸の横断面より大きくすることなく元の糸と同じ
強度を達成することが肝要である。このような遠
心室として各種のもの（例えば、西ドイツ国特許
公開第3049426号）がある。

実際の使用に適する、質的に満足される糸の端
のより継ぎを得るために第一に必要なことの１つ
は、より継ぎされる糸の端の横断面を減少させる
ことである。この減少は、プラツシングアウト
（brushing out）、より戻し、ブローイングアウト
（blowing out）等の作業により行なわれる。こ
の糸の端の横断面の減少によつて、糸の端と元の
糸との密接な混合が行なわれる。しかし、このた
めの条件として、このようにして準備される糸の
端は長過ぎてはならないことが必要である。何故
ならば、糸の端が長過ぎると、実際のより継ぎ処
理の部分外まで延伸して、継ぐべき糸に巻きつく
からである。

例えば、西ドイツ国特許公開公報第2945504号
に示されているような遠心室では、糸の端の準備
は遠心室の外で行なわれ、より継ぎの良好な接続
要件を満たしていない。このため、糸の端を充分
に短く保つことができない。この欠点は糸の端を
引き戻すことにより解消されるのは明白である
が、糸を引き戻すためには複雑な装置を必要とす
る。このように、遠心室の外で準備を行なう糸継
装置の場合、より継ぎのために準備された糸の端
をより継ぎ装置に引き戻す必要がある。

問題を解決する為の手段 本発明の目的は、より継ぎの準備のために糸の
端を不要な長さに亘つてより解く必要を無くし、
且つ簡易で低コストで済むより継ぎ方法及び装置
を提供することにある。

前記目的は、遠心室内において２本の糸の端を
少なくとも１個の第１の空気ジエツトによりより
継ぐための準備をなし、少なくとも１個の第２の
空気ジエツトによりより継ぎを行なう方法にし
て、前記第１の空気ジエツトは遠心室の端面の近
傍の該室内に於いて加圧又は真空によつて生ずる
ものであることを特徴とする２本の糸の端をより
継ぎする方法により達成される。

更に、前記目的は、遠心室内において２本の糸
の端を少なくとも１個の第１の空気ジエツトによ
りより継ぐための準備をなし、少なくとも１個の
第２の空気ジエツトによりより継ぐための装置で
あつて、前記遠心室の軸線方向中央部において軸
線と直角に配置された前記第２の空気ジエツトの
ための少なくとも１個のより継ぎノズルと、前記
遠心室の端面近傍の該室内に開口している加圧又
は吸引により前記第１の空気ジエツトを生じさせ
るのための少なくとも１個の準備ノズルとを備え
ていることを特徴とする２本の糸の端をより継ぎ
する装置により達成される。

実施例 以下、本発明の実施例につき、添付図面を参照
しつつ説明する。

第１図は本発明の実施例に係る装置の遠心室の
側面図である。ケーシング１は、固定ケース部２
と可動ケース部３とを備えている。２個のケース
部２，３の間の接合面４には、筒状の凹部形状と
された遠心室５が配されている。該遠心室は、ケ
ーシング１の長手方向全体に亘つて延びており、
端面６，７で開口している。第１図に於いては、
接合面４は、遠心室５を対称に分割する面として
設けられているが、該面以外を通る他の面とする
ことも可能である。

第１図に示されている遠心室５は小室により形
成されており、該小室の形状は第４図及び第５図
に示されている。

第４図及び第５図には、２個の交差する円錐台
状の貫通孔の中心線である交差している２本の軸
線８，９が示されている。該孔には互いに反対方
向にテーパーが設けられており、固定ケース部２
及び可動ケース部３の両方に於いて仕切部１０，
１１をそれぞれ形成している。該仕切部は、孔の
軸線８，９が交差している区域に於いては設けら
れていない。これらの交差している２個の孔によ
り２個の小室が形成され、一方の小室１２は２個
の大きな径の部分を有しており、他方の小室１３
は孔の小さな径の部分を有している。

固定ケース部２には、盲孔１５を有する接続部
１４が配されている。盲孔１５は遠心室５の区域
まで延伸しており、より継ぎ（splicing）ノズル
１６（第４図参照）及び準備ノズル（第２図及び
第４図参照）に作用する圧縮空気を供給するため
に用いられる。接続部１４は、固定ケース部２を
図外の取付座に取り付けるために使用される。

より継ぎノズル１６の軸は、接合面４と直角を
なすように配置され、準備ノズル１７の軸は接合
面１４と鋭角をなすように配置されている。第２
図に、圧縮空気源１８及び制御システム１９を略
図的に示す。制御システム１９からの２本のライ
ン２０，２１により圧縮空気が供給される。一方
はより継ぎノズル１６に作用するために供給パイ
プ２２に圧縮空気を送り、他方は準備ノズルに作
用するために供給パイフ２２及び盲孔１５により
形成された環状部２３内に圧縮空気を送るもので
ある。より継ぎノズル１６，１７への圧縮空気
を、異なつた圧力、異なつた期間及び異なつた順
序で送りたい場合は、ライン２１の代わりに、第
２の独立した圧縮空気源２４及び制御システム２
５を設け、点線で示されたライン２６を介してパ
イプ２２に圧縮空気を供給することができる。従
つて、糸の端の準備とより継ぎの工程とを任意に
組合せることが可能である。

圧縮空気の代わりに真空による吸引を用いても
糸の端の準備をすることができる。この場合に
は、第２図に於いて点線で示された別のライン２
７，２８が設けられる。ライン２７，２８上の矢
印は吸引又は真空操作の方向を示している。

以下、前記遠心室を用いて２本の糸の端をより
継ぎする方法につき説明する。

可動ケース部３を取り除いて遠心室５の上面を
開放し、より継ぐべき２本の糸を、糸の端が準備
ノズル１７の作用領域内に配されるように挿入す
る。可動ケース部３を接合面４上に置いて遠心室
５の上面を閉鎖する。糸の端は端面６，７の近傍
で切断され、圧力媒体が所定順序で導入される。
準備ノズル１７から流入する圧縮空気ジエツトに
より糸の端はブローイングアウト、分離又はプラ
ツシングアウトされ、一方、より継ぎノズル１６
の圧縮空気ジエツトにより糸の端のより継ぎ
（splicing）が行なわれる。再度、可動ケース部
３を取り除いて前記遠心室の上面を開放し、より
継ぎされた糸が排出される。

上記実施例の他に多くの変更例が可能である。
遠心室は必ずしも２個の交差した円錐台状の孔と
する必要はなく、西ドイツ国特許公開第3049426
号に示されているように、並置された孔としても
よい。この場合、遠心室の各孔には少なくとも１
つの準備ノズルが配されていなければならない。
捩れ又は回転運動を糸の端の長手方向の空気の運
動に重畳することができ、それにより糸のよりが
戻るように選択をなし得るため、準備ノズル１７
を幾らか偏心的に配することができる。準備ノズ
ル１７の角度は広い範囲から選択することがで
き、２個の準備ノズル１７は遠心室の軸線方向に
並んで同じ又は異なつた角度で配置することがで
きる。糸の端の準備を真空で行なう場合には、準
備ノズル１７の軸線は接合面４に対して直角とす
ることができる。

より継ぎノズル１６も異なつた配置とすること
ができる。より継ぎノズル１６は、準備ノズル１
７と同様に、遠心室５の中央面に対して略対称に
配置されるが、一方の小室のみに配してもよく、
又両方の小室に配してもよい。また、１個のより
継ぎノズルのみを設けるようにすることもでき
る。

準備ノズル１７のための他の圧縮空気源２４が
設けられる場合は、糸の端は任意の態様で処理さ
れ得る。このことは、より継ぎノズルの場合にも
当てはまる。

遠心室５の形状は必ずしも円錐台状の孔とする
必要はなく、楕円又は多角形の断面形状とするこ
ともできる。更に、該遠心室を仕切部なしで構成
することも可能であり、この場合は、糸の端のブ
ローイングアウトを防止するために、準備ノズル
１７は真空操作とするのが好ましい。

可動ケース部を用いない場合は、遠心室５の軸
線方向に沿う上面に糸の端を挿入するためのスロ
ツトを設けてもよい。例えば、第１図に示された
ような構成の場合には、スロツトは交差したもの
とされ得る。

可動ケース部３上面には凹部２９及び中央穴３
０が備えられている。凹部２９は、可動ケース部
３を固定ケース部２との接合面４に圧着するバネ
のためのものであり、中央穴３０は、図外の作動
装置との取付のために使用されるものである。第
１図に示すように、可動ケース部３には案内リブ
３１及び掛止ウエブ３２が設けられており、掛止
ウエブ３２により可動ケース部３と固定ケース部
２との相対的な位置決めが行なわれる。

発明の効果 本発明の方法においては、第１の空気ジエツト
によるより継ぎの準備と、第２の空気ジエツトに
よるより継ぎとが１つの遠心室内において行なわ
れる。したがつて、より継ぎをすべき糸の端を一
旦遠心室内に挿入すれば、より継ぎ準備として第
１の空気ジエツトにより解きほぐされた糸の端
は、丁度その長さに亘つて第２の空気ジエツトに
よりより継がれることとなる。このため、必要以
上の解きほぐしにより糸継箇所以外への巻付きが
生じるのが防止される。すなわち、解かれた糸を
所定長さまで引き戻してより継ぎ長さを適正化す
るための複雑な装置を必要とせず、簡易で低コス
トのより継ぎを行なうことができる。

本発明装置は、遠心室の軸線方向中央部に第２
の空気ジエツトのためのより継ぎノズルを設け、
遠心室の端面近傍に第１の空気ジエツトのための
準備ノズルを設けるという構成をとることによ
り、上記方法の実施可能とし、上記効果を達成す
るものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の１実施例を示すものであり、第
１図は遠心室の側面図、第２図は第１図の−
線に沿う断面図、第３図は第１図の−線に沿
う断面図、第４図は第２図の矢印方向から視た
固定ケース部の平面図、第５図は第３図の矢印
方向から視た可動ケース部の平面図である。 ２……固定ケース部、３……可動ケース部、４
……接合面、５……遠心室、６，７……端面、
８，９……軸線、１０，１１……仕切部、１２，
１３……小室、１５……盲孔、１６……より継ぎ
ノズル、１７……準備ノズル、２０，２１，２６
……ライン。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 遠心室内において２本の糸の端を少なくとも
   １個の第１の空気ジエツトによりより継ぐための
   準備をなし、少なくとも１個の第２の空気ジエツ
   トによりより継ぎを行なう方法にして、前記第１
   の空気ジエツトは遠心室の端面の近傍の該室内に
   於いて加圧又は真空によつて生ずるものであるこ
   とを特徴とする２本の糸の端をより継ぎする方
   法。 ２ 前記第１の空気ジエツトは、遠心室の軸線に
   対して鋭角をなして生じさせられることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項に記載の方法。 ３ 糸の端は、２個の小室を有する遠心室内で準
   備され、必要に応じて一方の小室内又はそれぞれ
   が一方の小室内で準備され、準備された糸の端は
   両方の小室内でより継ぎされることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項又は第２項に記載の方法。 ４ 糸の端の準備及びより継ぎが、同時に、他は
   連続して、異なつた時間で、間隔を置いて等の任
   意の順序及び任意の時間で、任意の強度の前記第
   １及び第２の空気ジエツトでもつて行なわれるこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項又は第２項
   に記載の方法。 ５ 前記第１の空気ジエツトは、糸の端のよりを
   解くための回転又は捩りをなすように行なわれる
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項又は第２
   項に記載の方法。 ６ 遠心室内において２本の糸の端を少なくとも
   １個の第１の空気ジエツトによりより継ぐための
   準備をなし、少なくとも１個の第２の空気ジエツ
   トによりより継ぐための装置であつて、前記遠心
   室の軸線方向中央部において軸線と直角に配置さ
   れた前記第２の空気ジエツトのための少なくとも
   １個のより継ぎノズルと、前記遠心室の端面近傍
   の該室内に開口している加圧又は吸引により前記
   第１の空気ジエツトを生じさせるのための少なく
   とも１個の準備ノズルとを備えていることを特徴
   とする２本の糸の端をより継ぎする装置。 ７ 前記遠心室が、交差した又は並列の軸線を有
   した２個の小室を備え、該２個の小室は、該小室
   間に設けられた少なくとも１個の仕切部を経て前
   記軸線に沿つて相互に連通しており、少なくとも
   一方の小室内には準備ノズルが設けられているこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第６項に記載の装
   置。 ８ 前記遠心室は、全体が固定ケース部及び可動
   ケース部を有するケーシングによつて囲繞され、
   これらケース部どおしの接合面により分離され得
   ることを特徴とする特許請求の範囲第６項又は第
   ７項に記載の装置。 ９ 前記遠心室の上面に、糸の端を挿入するため
   の少なくとも１個の挿入スロツトが設けられ、該
   スロツトは前記遠心室の軸線方向に沿つて延び該
   遠心室に通じていることを特徴とする特許請求の
   範囲第６項に記載の装置。