JPH04259329A - 打抜き性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

打抜き性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH04259329A
JPH04259329A JP4124591A JP4124591A JPH04259329A JP H04259329 A JPH04259329 A JP H04259329A JP 4124591 A JP4124591 A JP 4124591A JP 4124591 A JP4124591 A JP 4124591A JP H04259329 A JPH04259329 A JP H04259329A
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JP
Japan
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annealing
grain
steel sheet
atmosphere
oriented electrical
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JP4124591A
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English (en)
Inventor
Hiroyoshi Yashiki
裕義 屋鋪
Teruo Kaneko
金子 輝雄
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、煩雑な付加処理工程
を要することなく打抜き性の優れた方向性電磁鋼板を安
定製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来技術とその課題】方向性電磁鋼板は、発電機や変
圧器の鉄心材料,磁気シ−ルド材等として広く用いられ
ている磁性材料の1つであるが、その製造には一般的に
次のような手法が採用されている。即ち、まず、 4.
0%までSiを含有する鋼スラブを熱延後、熱延のまま
で或いは熱延板焼鈍してから1回又は中間焼鈍を挟んだ
2回以上の冷延を施して最終板厚とする。次に、これを
脱炭焼鈍して鋼板表面にSiO2 を含む酸化膜を生成
させ、続いてMgOを主成分とするスラリ−を焼鈍分離
剤として塗布し乾燥してコイルに巻取る。そして、この
巻取ったコイルに仕上げ焼鈍を施し、これによってゴス
方位を有する2次再結晶粒を発達させると共に、磁気特
性及び絶縁性向上のための“前記SiO2 とMgOの
反応によるグラス被膜”を形成させる。なお、この後、
必要に応じて絶縁コ−ティング液を塗布してから焼付熱
処理を行い、より強化された絶縁被覆を形成させる場合
も多い。
【0003】ところで、方向性電磁鋼板は鉄心として利
用される場合には金型での打抜きや剪断により所定形状
に加工し、これを積層して用いるのが通常である。例え
ばタ−ビン発電機の鉄心では、その容量にもよるが、1
0万〜20万枚の鉄心単板を必要としている。そして、
これら鉄心単板の打抜き面におけるカエリの高さは、当
該鉄心単板を積層した場合の鉄心端面の短絡による鉄損
増加を防止する上で出来るだけ低いことが要求される(
具体的には30μm以下にすることが重要と言われてい
る)。もっとも、鉄心組み立て作業を容易化するために
も上記カエリは小さい方が望ましいことは言うまでもな
い。
【0004】また、方向性電磁鋼板のグラス被膜はそれ
自体が絶縁被膜として作用する上、更にその上に必要に
応じて施される絶縁コ−ティングと共に鋼板に張力を与
えて鉄損を低下させる働きをも有しているが、このグラ
ス被膜は非常に硬質であるため打抜き作業における金型
摩耗の大きな原因となっている。このため、数千回に及
ぶ打抜きを行うと金型摩耗のためにカエリ高さが所定の
値を超えてしまい、金型の再研磨や新品との交換が必要
となって作業性の低下と鉄心製造コストの上昇を招くこ
ととなる。そこで、打抜き性改善のためにグラス被膜の
生成を抑制した方向性電磁鋼板の製造方法が種々提案さ
れてきた。
【0005】例えば、特開平2−107722号公報に
は、脱炭焼鈍後に鋼板表面のSiO2 を含む酸化膜を
除去した上でMgO系の焼鈍分離剤を塗布し、これによ
ってグラス被膜の生成を抑制しようとの提案が掲載され
ている。また、特開平2−107782号として、グラ
ス被膜の生成を抑制するためにMgOを主体とする焼鈍
分離剤の中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属の硫化
物,多硫化物,水酸化物,硝酸塩,リン酸塩,炭酸塩等
を配合することが提案されている。更に、特開平2−2
28481号公報には、焼鈍分離剤を上下2層に分け、
下層としてMgOにアルカリ金属又はアルカリ土類金属
の塩化物を配合した焼鈍分離剤を塗布し、そして上層と
しては撥水剤で処理したアルミナを主成分とする焼鈍分
離剤の粉体粒子を静電粉体塗装方式により付着させてか
ら仕上げ焼鈍を行うことによってグラス被膜の無い方向
性電磁鋼板を得ようとの提案が見られる。
【0006】しかしながら、上記各提案になる方法には
、一方で次のような問題点が指摘されるものであった。 即ち、前記特開平2−107722号として提案された
方法では、脱炭焼鈍後にSiO2 を含む酸化膜を除去
する工程が増えるばかりか、この酸化膜除去工程の付加
が製品歩留の低下につながってしまう。一方、前記特開
平2−107782号或いは特開平2−228481号
として提案された方法では、何れもグラス被膜の生成は
抑制されるものの脱炭焼鈍時に生成する“SiO2 を
含む酸化膜”を除去できないと言う問題がある。つまり
、このSiO2 を含む酸化膜自体も打抜き時の金型の
摩耗を促進するため、結局は打抜き性の改善効果は十分
とは言えないことになる。しかも、アルカリ金属等の添
加が必要であったり、焼鈍分離剤を上下2層に別けて塗
布すると言うような複雑な焼鈍分離剤の塗布工程が必要
となり、製造コストの上昇を避けられない手法であった
【0007】なお、これらとは別に、本発明者等は先に
「極低炭素の微量Al添加鋼熱延板を用い、 二次再結
晶を起こさせる仕上げ焼鈍の前の“一次再結晶のための
焼鈍”を一般的な脱炭焼鈍とせずに非脱炭雰囲気で行う
方向性電磁鋼板の製造方法」を提案しているが(特開平
1−119644号)、この方法では脱炭焼鈍を行わな
いのでSiO2 を含む鋼板表層の酸化膜は殆ど生成し
ない。 従って、その後の仕上げ焼鈍でもグラス被膜の生成は抑
制され、打抜き性の良好な方向性電磁鋼板が得られるこ
とになる。しかし、その後も続けられた本発明者等の研
究により、上記方法においても焼鈍分離剤の種類や塗布
方法によっては仕上げ焼鈍時にSiO2 を含む酸化膜
が生成したり不均一で薄いグラス被膜が生成し、十分に
満足できる打抜き性を安定して確保できない場合のある
ことが判明した。
【0008】このようなことから、本発明が目的とした
のは、新たな付加工程を要することなく打抜き性が飛躍
的に改善された方向性電磁鋼板の製造手段を確立するこ
とであった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記目的を
達成すべく、特に、脱炭焼鈍を行わないためにSiO2
 を含む酸化膜が形成する機会の少ない前記特開平1−
119644号として提案した方向性電磁鋼板の製造法
に着目し、それでも生じがちなSiO2 を含む酸化膜
やグラス被膜を安定して抑制し得る手段を求めて研究を
続けた結果、次のような事実が判明した。
【00010】(a)  上記特開平1−119644
号として提案した方向性電磁鋼板の製造法であっても、
焼鈍分離剤の付与手法として「スラリ−状の酸化物を塗
布する」と言う方向性電磁鋼板の製造工程で一般に採用
されている方法を適用したのでは、その後のスラリ−の
乾燥工程や仕上げ焼鈍時に鋼板表面の酸化が生じやすく
、酸化膜等の生成を安定して防止することはできない,
(b)  これに対し、焼鈍分離剤として水分を極力含
まない乾燥した酸化物粉体を用いるとその後の鋼板面の
酸化は極力防止される,(c)  ただ、このような乾
式の焼鈍分離剤を鋼板面に塗布するのは非常に困難と考
えられたが、静電粉体塗装方式を適用した場合には良好
な作業性の下で十分に満足できる効果を挙げることがで
きる,(d)  なお、焼鈍分離剤の種類としては、一
般的なMgOでは吸水性が強く、例え高温焼成したマグ
ネシアクリンカ−を用いたとしても鋼板表層部に極く薄
い酸化膜があるだけでグラス被膜を生成する可能性があ
るのに対して、アルミナ粉を使用すると、吸水性が小さ
く鋼板との反応もないため酸化膜やグラス被膜を生成す
る懸念は十分に払拭される,(e)  しかし、焼鈍分
離剤としてアルミナ粉を用いる場合には、所望磁気特性
の確保と静電粉体塗装性の観点からその粒度を特定範囲
に調整することが必要である。
【00011】本発明は、上記知見時効等を基にして完
成されたものであり、 「C:0.01%以下(以降、 成分割合を表す%は重
量%とする), Si:1.5 〜3.0 %以下,    Mn:1.
0 〜3.0 %,    S:0.01%以下, 酸可溶性Al:0.003 〜0.015 %,   
 N:0.001 〜0.010 % を含むと共に残部がFe及び不可避的不純物より成る鋼
スラブを熱延後、これに熱延のままで或いは熱延板焼鈍
してから1回又は中間焼鈍を挟んだ2回以上の冷延を施
し、 次いで非脱炭雰囲気での連続焼鈍と焼鈍分離剤を
塗布してからの仕上げ焼鈍を実施して方向性電磁鋼板を
製造するに当り、 前記仕上げ焼鈍を a) 使用する焼鈍分離剤:80%以上が粒子径3〜1
00μmの範囲内であるアルミナ粉, b) 焼鈍分離剤の塗布方法:静電的塗布,c) 焼鈍
雰囲気:少なくとも二次再結晶が完了するまではN2 
を含有する雰囲気中, なる条件下で行うことによって、 良好な磁気特性を有
することは勿論のこと、 優れた打抜き性をも示す方向
性電磁鋼板を高能率で安定製造し得るようにした点」に
大きな特徴を有している。
【00012】このように、本発明は、打抜き性が飛躍
的に向上した方向性電磁鋼板を製造するため、仕上げ焼
鈍前の焼鈍を被脱炭雰囲気での連続焼鈍とした特定成分
組成の鋼板表面に“80%以上が粒子径3〜100μm
であるアルミナ粉”を焼鈍分離剤として静電的に付着さ
せ、その後二次再結晶が完了するまでN2 含有雰囲気
中で仕上げ焼鈍を行うことを骨子としたものであるが、
本発明において“鋼スラブの組成”, ”焼鈍分離剤の
種類とその塗布方法” 、及び ”仕上げ焼鈍条件” 
等の処理条件を前記の如くに限定した理由をその作用と
共に説明する。
【00013】
【作用】(A)  鋼スラブの組成 C 方向性電磁鋼板を製造する場合、従来は良好な二次再結
晶を発生させるための金属組織形成のために或る程度の
Cが必要であるとされていた。このため、最終製品の磁
気特性劣化や仕上げ焼鈍での二次再結晶を生じ難くする
Cの悪影響を排除すべく、仕上げ焼鈍前に脱炭焼鈍を施
す必要があった。しかし、打抜き性改善のために酸化膜
の生成を極力抑制することを狙った本発明では、仕上げ
焼鈍前の焼鈍は非脱炭焼鈍とする必要がある。それ故、
この場合には製鋼段階での脱炭が必要で、仕上げ焼鈍で
の二次再結晶や最終製品での磁気時効に悪影響のでない
0.01%以下にCを低下しておくことが必要である。
【00014】Si Siは磁気特性に大きく影響する元素であって、一般に
含有量が増すにつれて鋼板の比抵抗が上がって渦電流損
は低下し、結果として鉄損が低減する。そして、Si含
有量が 1.5%未満では鉄損を低下する効果が乏しく
、一方、 3.0%を超えて含有させると二次再結晶が
不安定になるほか、加工性が低下して冷延が困難となる
。従って、Si含有量は 1.5〜3.0 %と定めた
【00015】Mn 本発明対象材のような高Siの極低C鋼ではMnはα−
γ変態を生じさせるのに有効な元素であり、変態の発生
が熱延鋼板の微細で均質な組織の生成を促進する。そし
て、この結果、仕上げ焼鈍においてゴス方位への集積度
の高い二次再結晶が安定して発生するようになる。また
、Mnの添加は、二次再結晶を発生させるのに必要な一
次再結晶粒の粒成長抑制効果を持つ析出物(通常“イン
ヒビタ−”と呼ばれている)の分散状態を適正化するの
にも有効である。しかし、Si含有量が本発明対象材レ
ベルの場合には、Mn含有量が 1.0%未満であると
変態の発生やインヒビタ−の適正分散が不十分であり、
一方、 3.0%を超えると冷延が困難になることから
、Mn含有量は1.0〜3.0 %とした。
【00016】S SはMnと共にインヒビタ−となるMnSを形成する元
素である。しかし、本発明ではインヒビタ−として“A
lN”, ”(Al, Si)N”, ”Mnを含む窒
化物” を主要なものとして利用することを狙っており
、一般の方向性電磁鋼板のようにMnSを主要なインヒ
ビタ−として使わないのでSを多量に添加する必要はな
い。しかも、本発明では最終の仕上げ焼鈍で焼鈍分離剤
として脱硫効果の無いアルミナを用いるので、MnSが
多量に存在すると、むしろ最終製品での鉄損劣化の原因
になる。従って、S含有量は 0.010%以下に抑え
るべきである。
【00017】酸可溶性Al(sol.Al)Alは、
主要なインヒビタ−であるAlNや(Al, Si)N
を形成する重要な元素である。そして、Al含有量がs
ol.Alとして 0.003%未満では十分なインヒ
ビタ−効果が得られず、一方、 0.015%を超えて
含有させるとインヒビタ−量が多くなり過ぎる上、その
分散状態が不適切で安定した二次再結晶が生じなくなる
。従って、sol.Al含有量を 0.003〜 0.
015%と定めた。
【00018】N Nもインヒビタ−となる窒化物を形成するために必要な
元素である。そして、N含有量が0.001 %未満で
は所望のインヒビタ−効果が得られず、一方、 0.0
10%を超えてNを含有させてもその効果は飽和するこ
とから、N含有量は 0.001〜0.010 %と定
めた。
【00019】(B)  熱延板焼鈍,中間焼鈍これら
の焼鈍は従来から行われてきた方向性電磁鋼板の製造工
程で適用されているものと特に変わりはなく、必要に応
じて実施すれば良い。
【00020】(C)  仕上げ焼鈍前の連続焼鈍一般
に、方向性電磁鋼板の製造工程における仕上げ焼鈍の前
の焼鈍には“連続脱炭焼鈍”が適用されている。これは
、連続焼鈍の急速加熱による一次再結晶が仕上げ焼鈍時
の二次再結晶発生に有効なためで、本発明でも同様の目
的で連続焼鈍によって一次再結晶をさせる必要がある。 但し、脱炭焼鈍を行うと鋼板表層部にSiO2 を含む
酸化膜が形成され、打抜き性を劣化させることになる。 従って、非脱炭雰囲気での連続焼鈍を行うことが必要と
なる。なお、このためには連続焼鈍雰囲気の露点は0℃
以下、好ましくは−20℃以下とするのが良い。
【00021】(D)  焼鈍分離剤 焼鈍分離剤は高温長時間の仕上げ焼鈍においてコイルの
焼付きを防止するために必要であって、仕上げ焼鈍前に
鋼板表面に塗布される。この焼鈍分離剤として、MgO
,Al2O3(アルミナ),  SiO2等のような種
々の耐熱性酸化物が使用されている。これらの焼鈍分離
剤が鋼板表面と反応してグラス被膜等の生成物が出来る
ことは打抜き性の観点から望ましくなく、本発明ではこ
のグラス被膜等の生成を極力防止することに努めている
。特に、MgOは鋼板表面にSiO2 を含む酸化膜が
あるとグラス被膜を生成しやすい物質であるので、焼鈍
分離剤として使用するのが不適当である。
【00022】これに対して、アルミナは極めて安定な
酸化物であって鋼板表面との反応がなく、グラス被膜等
を形成しない焼鈍分離剤として最適である。しかし、例
えアルミナを使用したとしても、水に分散させたスラリ
−状のアルミナを塗布する場合には、アルミナの乾燥時
や仕上げ焼鈍時に水分が鋼板表面と反応して酸化膜が生
成する可能性がある。また、MgOに比べるとアルミナ
はスラリ−状態で鋼板面へ塗布するのは難しい。従って
、乾燥した粉体のアルミナを安定して鋼板面に塗布する
手段が必要となるが、この方法として静電粉体塗装が極
めて効果的である。また、この場合、アルミナ粉として
粒子径3〜100μmのものが80%以上を占める粒度
のものを使用することが重要である。なぜなら、粒子径
が前記範囲よりも小さいものが多くなると、仕上げ焼鈍
時のコイル間隙での雰囲気ガスの流通が悪くなるためで
ある。
【00023】つまり、本発明では、仕上げ焼鈍時に二
次再結晶が完了するまではN2 含有雰囲気で焼鈍する
ことにより脱窒を防止し、更には吸窒により鋼中窒素の
含有量を増やして、インヒビタ−である窒化物を増加さ
せゴス方位の集積度の高い二次再結晶の発生を促進する
ことを狙っている。また、二次再結晶完了後には雰囲気
を100%H2 雰囲気とし、鋼中の窒化物を除去する
“純化”を進行させることが良好な鉄損値を得るために
必要である。このような作用を促進する上では、窒素や
水素のコイル間隙への流入を確保するためアルミナ粒子
径が小さ過ぎるのは不適当である。一方、アルミナ粉の
粒子径が大き過ぎると静電気を帯電させても粒子の鋼板
への付着力が小さくなり、安定した静電粉体塗装ができ
なくなる。
【00024】即ち、本発明者等は多数の実験を通じ、
アルミナを焼鈍分離剤として使用する場合に良好な静電
粉体塗装性と仕上げ焼鈍時の磁気特性を確保するには、
「粒子径3〜100μmのものが80%以上を占めるア
ルミナ粉」を適用することが必須条件であることを見出
したのである。
【00025】なお、特開昭54−106009号公報
を見ると、「方向性電磁鋼板の仕上げ焼鈍に際しアルミ
ナを焼鈍分離剤として静電粉体塗装する」との記述が認
められはするが、単にこの記述に従ったとしても、「特
定の素材を特定の製造条件に従って処理する場合に、 
焼鈍分離剤として“限られた範囲内に特定された粒度の
アルミナ粉”を静電粉体塗装して用いる手法を組み合わ
せた本発明法」にて得られる“打抜き性が飛躍的に改善
された方向性電磁鋼板”を実現できないことは言うまで
もない。
【00026】ところで、本発明において、焼鈍分離剤
としてのアルミナの塗布は鋼板の片面或いは両面の何れ
に施しても構わない。ただ、片面塗布の場合には焼きつ
き防止効果を確保するとの観点から塗布量を3g/m2
 以上とするのが望ましく、一方、両面塗布の場合には
片面当り 1.5g/m2 以上とするのが望ましい。
【00027】(E)  仕上げ焼鈍 本発明法の場合、仕上げ焼鈍は二次再結晶が完了するま
での間はN2 を含有する雰囲気とすることが必要であ
る。この理由は、本発明対象材中の“インヒビタ−とな
る窒化物”が脱窒により減少して二次再結晶の発生が不
安定になることを防止するためである。更に、焼鈍雰囲
気からの吸窒によってインヒビタ−となる窒化物を増加
させ、ゴス方位への集積度の高い二次再結晶が生じるこ
とを狙うためでもある。なお、焼鈍雰囲気のN2 含有
量は10%以上であることが望ましい。そして、二次再
結晶が完了した後は、一般的な方向性電磁鋼板の製造工
程で採用されている“100%H2 雰囲気”に切替え
てインヒビタ−となる析出物(本発明材では窒化物)の
除去が図られる。
【00028】(F)  仕上げ焼鈍後の工程仕上げ焼
鈍後は、一般の方向性電磁鋼板製造工程と同様に、焼鈍
分離材を除去し、必要に応じて絶縁コ−ティングを施し
たり平坦化焼鈍を行うことになる。なお、絶縁コ−ティ
ングは一般には無機質のものが用いられるが、一層の打
抜き性改善を目指して無機コ−ティングの上に“有機コ
−ティング”や“無機質と有機質とを混合した複合コ−
ティング”を更に塗布しても良い。また、層間絶縁性が
多少劣ることになるが、下層の無機コ−ティング無しに
上記複合コ−ティングを単層で施しても構わない。
【00029】続いて、本発明を実施例によって更に具
体的に説明する。
【実施例】実施例  1 C:0.005 %,Si:2.4 %,Mn:1.6
 %,S:0.002 %,sol.Al:0.008
 %,N:0.0047%を含有すると共に残部がFe
及び不可避的不純物から成る鋼スラブを板厚2.1mm
 に熱延し、次いで880℃に40秒間均熱の連続焼鈍
方式による熱延板焼鈍を施した後、冷延にて板厚0.3
5mmの冷延板とした。
【00030】次に、この冷延板を880℃で30秒間
均熱の非脱炭雰囲気での連続焼鈍(露点:−25℃)で
一次再結晶させた。なお、一部の冷延板は850℃で3
分間均熱の脱炭雰囲気での連続焼鈍(露点:+40℃)
で一次再結晶させた。次いで、これらの鋼板に表1に示
す条件で焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍を施した。
【表1】
【00031】仕上げ焼鈍は25%H2 と75%N2
 の混合ガス雰囲気中にて890℃で24時間均熱する
条件で実施し、二次再結晶させた後、引続き鋼中窒化物
の除去(焼鈍純化)のため100%H2 ガス雰囲気に
切替えて更に960℃で24時間の焼鈍を実施した。そ
して、仕上げ焼鈍終了後、焼鈍分離剤のアルミナを除去
し、リン酸アルミ系の無機コ−ティング液を塗布して平
坦化焼鈍を実施した。得られた各方向性電磁鋼板(成品
)の特性を表1に併せて示した。
【00032】なお、表1に示す「打抜き回数」は、ダ
イス直径10mmの円形ブランクをスチ−ルダイスで連
続的に打抜き、カエリ高さが50μmに達した回数であ
る。また、比較例で適用した「従来の方向性電磁鋼板」
は市販のSiを約3%含有する一般的な材料で、グラス
被膜を持ち、その上に無機系のコ−ティングを施したも
のである。
【00033】前記表1に示される結果から次のことが
明らかである。即ち、本発明に従って製造された方向性
電磁鋼板(試験番号1)に比べて、脱炭焼鈍を行った試
験番号2のものは打抜き性が目立って劣っている。また
、焼鈍分離剤のアルミナ粒子径が本発明で規定する条件
よりも細かい試験番号3のものでは、仕上げ焼鈍時のN
2 やH2 ガスのコイル間隙への流入が悪いため磁気
特性が劣る結果となっている。焼鈍分離剤のアルミナを
スラリ−状にして塗布した試験番号4のものでは、鋼板
表面の酸化のために打抜き性が劣り、また磁気特性も本
発明に従って製造されたものに比べ劣っている。試験番
号5の従来の方向性電磁鋼板は、グラス被膜があるため
格段に劣った打抜き性を示している。
【00034】実施例  2 表2に示す如き各成分組成の鋼スラブを板厚1.8mm
 に熱延し、次いで880℃で30秒間均熱の連続焼鈍
方式による熱延板焼鈍を施した後、冷延にて板厚0.2
7mmの冷延板とした。
【表2】
【00035】次いで、これら冷延板に880℃で30
秒間均熱の被脱炭雰囲気での連続焼鈍(露点:−25℃
)を施して一次再結晶させた。続いて、鋼板表面に粒子
径3〜100μmのものが85%以上存在するアルミナ
粉を静電粉体塗装方式で塗布した後、仕上げ焼鈍を実施
した。仕上げ焼鈍として、40%H2 と60%N2 
の混合ガス雰囲気中にて870℃で24時間均熱し二次
再結晶させた後、引続き鋼中窒化物の除去のため100
%H2 ガス雰囲気に切替えて960℃で24時間均熱
する(純化焼鈍)処理を実施した。次に、焼鈍分離材の
アルミナを除去後、リン酸アルミ系の無機コ−ティング
液を塗布して平坦化焼鈍を実施した。得られた各方向性
電磁鋼板(成品)の特性を表2に併せて示した。
【00036】なお、表2における「打抜き回数」は、
実施例1と同じくダイス直径10mmの円形ブランクを
スチ−ルダイスで連続的に打抜き、カエリ高さが50μ
mに達した回数である。また、比較材たる「従来の方向
性電磁鋼板」も、市販の約3%のSiを含有する一般的
な材料で、グラス被膜を持ち、その上に無機系のコ−テ
ィングを施したものである。
【00037】前記表2に示される結果から次のことが
明らかである。即ち、従来の方向性電磁鋼板(試験番号
9)に比べて、グラス被膜の無い試験番号6〜8に係わ
る方向性電磁鋼板は非常に優れた打抜き性を示している
。しかし、素材スラブのsol.Al含有量が本発明で
規定する範囲から高めに外れた試験番号7に係わる成品
は、二次再結晶が発生しないため著しく劣った磁気特性
となっている。また、素材スラブのS含有量が本発明で
規定する範囲から高めに外れた試験番号8に係わる成品
では、仕上げ焼鈍後も多量の硫化物が残存するため、本
発明に従って製造された方向性電磁鋼板(試験番号6)
に比べて劣った磁気特性となっている。
【00038】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれば
、良好な磁気特性は勿論、非常に優れた打抜き性をも示
す方向性電磁鋼板を能率良く安定して製造することが可
能となるなど、産業上極めて有用な効果がもたらされる

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  重量割合にて C:0.01%以下,    Si:1.5 〜3.0
     %以下,    Mn:1.0 〜3.0 %, S:0.01%以下,    酸可溶性Al:0.00
    3 〜0.015 %,N:0.001 〜0.010
     % を含むと共に残部がFe及び不可避的不純物より成る鋼
    スラブを熱延後、これに熱延のままで或いは熱延板焼鈍
    してから1回又は中間焼鈍を挟んだ2回以上の冷延を施
    し、次いで非脱炭雰囲気での連続焼鈍と焼鈍分離剤を塗
    布してからの仕上げ焼鈍を実施して方向性電磁鋼板を製
    造するに当り、前記仕上げ焼鈍を a) 使用する焼鈍分離剤:80%以上が粒子径3〜1
    00μmの範囲内であるアルミナ粉, b) 焼鈍分離剤の塗布方法:静電的塗布,c) 焼鈍
    雰囲気:少なくとも二次再結晶が完了するまではN2 
    を含有する雰囲気中, なる条件下で行うことを特徴とする、打抜き性の優れた
    方向性電磁鋼板の製造方法。
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