JPH07268470A - 低鉄損方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents

低鉄損方向性けい素鋼板の製造方法

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JPH07268470A
JPH07268470A JP6121094A JP6121094A JPH07268470A JP H07268470 A JPH07268470 A JP H07268470A JP 6121094 A JP6121094 A JP 6121094A JP 6121094 A JP6121094 A JP 6121094A JP H07268470 A JPH07268470 A JP H07268470A
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annealing
silicon steel
oriented silicon
grain oriented
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JP6121094A
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Michiro Komatsubara
道郎 小松原
Kazuhiro Suzuki
一弘 鈴木
Keiji Sato
圭司 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 溝による磁区細分化技術において、AlN を主
インヒビターとする方向性けい素鋼素材を用いた場合に
特有の問題である、2次再結晶不良を回避し、極めて低
い鉄損を有する方向性けい素鋼板を製造する方法につい
て提案する。 【構成】 AlN を主インヒビターとして含有する方向性
けい素鋼素材を熱間圧延した後、1回又は中間焼鈍を挟
む2回以上の冷間圧延を施して最終製品板厚とし、しか
る後脱炭焼鈍、次いで鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布して
から仕上げ焼鈍を施す一連の工程からなる方向性電磁鋼
板の製造方法において、脱炭焼鈍後かつ最終仕上焼鈍前
の鋼板に、その圧延方向とほぼ直交する向きに延びる線
状溝を形成した後、焼鈍分離剤の塗布に先立って線状溝
内にSbまたはSb化合物を付着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、特に変圧器やその他
の電気機器用鉄心素材に有利に適合する、磁気特性の優
れた方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】方向性けい素鋼板は、主として変圧器そ
の他の電気機器の鉄心として利用され、磁気特性に優れ
ること、特に、1.7 Tの最大磁束密度で50Hzの周波数で
交番磁化したときの鉄損であるW17/50 値や1.5 Tの最
大磁束密度で60Hzの周波数で交番磁化したときの鉄損で
あるW15/60 値で代表される、鉄損の低いことが要求さ
れる。
【0003】そこで、第1に鋼板中の2次再結晶粒を、
通常ゴス方位と呼称される、(110)〔001〕方位
に高度に揃えることが必要であり、第2には、最終製品
の鋼板中に存在する不純物や析出物をできるだけ低減す
る必要がある。かかる配慮の下に製造される方向性けい
素鋼板は、今日まで多くの改善努力によって、その鉄損
値も年を追って改善され、最近では板厚0.23mmの製品で
17/50 値が0.83W/kg,W15/60 値が0.35W/1bの低鉄損
のものが得られている。
【0004】ところで、近年、鋼板表面に物理的な手段
で不均一因子を導入し、磁区の幅を細分化し鉄損を低減
する技術が開発された。例えば、特公昭57−2252号公報
には、最終製品板表面に圧延方向にほぼ直角にレーザー
ビームを数mm間隔で照射し、鋼板表面に高転位密度領域
を導入することにより、磁区の幅を微細化し、鉄損を低
減する技術が提案されている。さらに特開昭62−96617
号公報には、プラズマジェットを局部的に鋼板表層に導
入し、磁区幅を微細化し、鉄損を低減する技術が提案さ
れている。
【0005】しかしながら、これらの技術は鋼板の打抜
き加工,せん断加工および巻き加工などの後に施される
歪取焼鈍やコーティングの焼付け処理の如き熱処理によ
って、導入された歪が解放されるため、鉄損低減効果が
消失することが問題になっている。
【0006】これに対して、特開平1−211903号、同2
−294427号および同3−138318号各公報では、最終仕上
焼鈍後の鋼板表面に突起付きロールを押しあてて凹みを
設けたり、凹み加工による歪エネルギーを利用して凹み
の直下に微細結晶粒を形成させ、凹みと微細粒との作用
により、歪取焼鈍によっても鉄損低減効果が消失しな
い、耐熱型磁区細分化の技術が提案されている。
【0007】しかし、これらの技術は、ロール表面の突
起の摩耗や破損が甚しく、安定して効果を持続させるこ
とが困難であり、かつ突起の押しあて量の制御が難しい
ため、凹み量や付加される歪量の制御が難しいため、微
細結晶粒の発現が安定しないといった問題点があった。
【0008】また、特開平1−252728号公報には、最終
仕上焼鈍後の鋼板の表面被膜を超音波振動で線状に除去
し、その後電解エッチングを施し、溝を形成して磁区細
分化を行う技術が開示されている。この技術は鉄損低減
効果も大きく安定しているが、表面被膜がセラミックか
らなるので、被膜の除去が難しく、超音波加工技術を用
いても能率が悪く、また最終的に余分なコーティング塗
布工程も必要とするところから工業的には実用化される
に至っていない。
【0009】一方、特公平3−69968 号公報には、脱炭
1次再結晶焼鈍の前に線状の刻み目(溝)を鋼板表面に
導入し、脱炭1次再結晶焼鈍および最終仕上焼鈍を行っ
て鈍化を促進する技術が、特開平4−88121 号公報に
は、最終冷間圧延後、印刷によってエッチングレジスト
を線状に塗布した後エッチングで線状の溝を形成し、し
かる後、該レジストを除去し、脱炭焼鈍および最終仕上
焼鈍を行う磁区細分化技術が提案されている。
【0010】これらの技術は最終仕上焼鈍前に溝を形成
させるので歪取焼鈍などの熱処理に対する安定性の面で
は優れており、特に低磁場での鉄損を著しく低減させる
ことが可能となった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところが、AlN を主イ
ンヒビターとする方向性けい素鋼素材に、この技術を適
用すると、最終仕上焼鈍における2次再結晶不良を引き
起こして磁気特性の劣化をもたらし、所期した特性が得
られていないことが、新たな問題として浮上してきた。
【0012】この発明は、上述した最終冷間圧延後に溝
を形成して脱炭焼鈍,焼鈍分離剤塗布および最終仕上焼
鈍を行う磁区細分化技術において、AlN を主インヒビタ
ーとする方向性けい素鋼素材を用いた場合に特有の問
題、すなわち2次再結晶不良を回避し、極めて低い鉄損
を有する方向性けい素鋼板を製造する方法について提案
することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記の目的
を達成するため、AlN を主インヒビターとする方向性け
い素鋼スラブにおける、2次再結晶不良の原因を調査し
た。すなわち、C:0.065 wt%,Si:3.35wt%,Mn:0.
075 wt%,P:0.005 wt%,S:0.006 wt%,Al:0.02
6 wt%,Se:0.017 wt%およびN:0.0085wt%を含有す
る珪素鋼スラブを1400℃で30分間の均熱処理後、粗圧延
と仕上圧延からなる熱間圧延によって1.8 mm厚の熱延コ
イルとした。次いで、熱延コイルを1150℃で30秒間の均
熱後ミストで急冷し、酸洗後にゼンジマー圧延機を用い
て200 ℃の温度で圧延し、0.22mmの最終板厚とした。
【0014】このコイルを2分割し、一方は特開平4−
88121 号公報に記載の方法により、圧延方向と直交する
向きに幅200 μm,深さ20μmの線状溝を、圧延方向で
の繰り返し間隔3mmで設け、露点60℃,50%H2 −N2
バランスの雰囲気下で、850℃で2分間の脱炭焼鈍を施
した。残るコイルは、そのまま同一条件で脱炭焼鈍を施
した。
【0015】次に、両コイルに、TiO2を5wt%含有する
MgO を焼鈍分離剤として塗布した後、コイル状に巻き取
り、最終仕上焼鈍を施した。最終仕上焼鈍は20℃/hの
昇温速度で昇温し、850 ℃まではN2 中で、その後は25
%N2 −75%H2 の雰囲気で980 ℃まで昇温した後、コ
イルを炉から取出して2次再結晶粒に関して調査した。
【0016】その結果、各コイルとも鋼板内の各所で2
次再結晶粒の発生が認められたが、これら発生した2次
再結晶粒の方位のゴス方位からのずれ角を測定したとこ
ろ、溝を設けた鋼板と溝を設けない鋼板とでは、図1に
示すように大きな差が生じ、溝を設けた場合に、ゴス方
位からずれた2次粒の核生成頻度が高まるということが
わかった。これは、2次再結晶挙動に差異が生じたこと
を意味しており、鋼板表層部のインヒビターの抑制力が
変化したものと考えられる。
【0017】また、上記実験の最終仕上焼鈍の途中で取
り出したコイルの窒素含有量を測定したところ、溝を設
けたコイルでは99PPM (窒化量として11PPM )であり、
溝のないコイルでは同様に90PPM (窒化量として2PPM
)であり、溝を設けることにより、最終仕上焼鈍時の
窒化が進行したことがわかった。
【0018】以上の2次再結晶粒方位のずれが確認され
た実験結果は、次のように解釈することができる。すな
わち、鋼板に溝が存在することにより、最終仕上焼鈍に
おける鋼板の窒化量が増加する。これは、溝の増加によ
り、単純に鋼板表面積が増加したことによるところが大
きいと考えられる。そして、Alを含有する方向性けい素
鋼板における窒化は、インヒビターであるAlN の増加を
まねき、その抑制力が増加することを意味する。
【0019】ところで、磁気特性上最も好ましいゴス
粒、つまり(110)〔001〕方位粒の核は鋼板の表
層部に存在しているので、鋼板表層部の抑制力が過剰に
強くなると、ゴス粒の核生成と粒成長をも抑制し、逆に
鋼板板厚方向の内部にある、方位の悪い粒の核生成や粒
成長を促し、2次再結晶粒の方位がばらつくことにな
る。特に、深さが20μm程度の溝は、ゴス粒の核生成層
の近辺にあり、この溝部分が窒化されることは2次再結
晶に決定的な悪影響を及ぼすことになる。
【0020】上記の知見を基に、鋼板の窒化を抑制する
方法について種々検討を重ねた結果、脱炭焼鈍後の鋼板
表面に導入した線状溝に、SbまたはSb化合物を付着する
ことが、窒化の抑制に極めて有効に作用することを見出
した。
【0021】すなわち、上述の実験で溝を形成した後、
脱炭焼鈍した鋼板の溝にSbを0.5 g/m2 で付着し、そ
の後焼鈍分離剤を塗布してから、最終仕上焼鈍を行っ
て、最終仕上焼鈍の途中980 ℃で鋼板を取り出し、その
窒素含有量を調べたところ、91PPM (窒化量として3PP
M )となり、溝を設けない場合と同様に窒化が抑制され
たことがわかった。
【0022】この発明は、上記の知見に基づいて、完成
されたものである。すなわち、この発明は、AlN を主イ
ンヒビターとして含有する方向性けい素鋼素材を熱間圧
延した後、1回又は中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延
を施して最終製品板厚とし、しかる後脱炭焼鈍、次いで
鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布してから仕上げ焼鈍を施す
一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法におい
て、脱炭焼鈍後かつ最終仕上焼鈍前の鋼板に、その圧延
方向とほぼ直交する向きに延びる線状溝を形成した後、
焼鈍分離剤の塗布に先立って線状溝内にSbまたはSb化合
物を付着することを特徴とする低鉄損方向性けい素鋼板
の製造方法である。
【0023】
【作用】次に、この発明に係る方向性けい素鋼板の製造
方法について詳細に説明する。まず、この発明で用いる
素材は、公知の製鋼方法、例えば転炉や電気炉などによ
って製鋼し、さらに造塊一分塊法または連続鋳造法など
によってスラブ(鋼片)としたのち、熱間圧延によって
得られる熱延コイルを用いる。
【0024】この熱延板は、Siを2.0 〜4.5 wt%程度含
有する組成であることが好ましい。なぜなら、Siが2.0
wt%未満では鉄損の劣化が大きく、また4.5 wt%を超え
ると、冷間加工性が劣化するからである。その他の成分
については、方向性けい素鋼板の素材成分であれば、い
ずれも適用可能である。
【0025】次に、冷間圧延により、最終目標板厚とす
るが、冷間圧延は1回もしくは中間焼鈍を挟む2回の冷
間圧延により行われる。このとき、必要に応じて熱延板
焼鈍や、冷間圧延に替わる温間圧延や、圧延パス間での
時効処理を施こすこともできる。
【0026】そして、最終板厚まで圧延された冷間圧延
板の表面に、圧延方向とほぼ直交する向きに延びる線状
溝を形成する。なお、線状溝の形成は、最終冷間圧延に
続く脱炭焼鈍後に行ってもよく、要は仕上げ焼鈍前に線
状溝が導入されていることが肝要である。但し、以下の
説明は、最終冷間圧延後に線状溝を導入した場合を対象
とする。
【0027】この線状溝の形成は、特開平2−294427号
公報に開示された、線状の突起歯をプレスする手法や特
公平3−69968 号公報に開示された、レーザービーム、
放電加工または機械的なけがき等を利用する手法のいず
れでも可能であるが、溝形状を正しく制御するために
は、特開平4−88121 号公報に開示された、エッチング
レジストを印刷し、その非印刷部に電解エッチングで溝
を形成する技術が最も好ましい。
【0028】ここで、冷間圧延板表面に形成する線状溝
は、直線状,波線状,破線状または点線状のいずれであ
ってもかまわない。さらに、線状溝の延びる向きは、圧
延方向の直交軸に対して0〜30°の傾きとすることが有
利で、この傾斜角度が30°を超えると磁区細分化効果が
得られない。
【0029】また、溝は圧延方向に繰返して設けること
が必要で、その間隔の適正値は2〜30mmである。この間
隔が2mm未満の場合は、ヒステリシス損の増加を招いて
鉄損が逆に劣化し、また30mmを超える場合は十分な鉄損
低減効果が得られない。さらに、幅は、 0.010〜0.800m
m および深さは 0.005〜0.100mm 程度とすることが好ま
しい。なぜなら、幅および深さが 0.010mm未満および0.
005mm 未満であると、溝によって生成する反磁界による
鉄損低減効果が十分得られず、一方幅および深さが0.80
0mm および0.100mm をこえると、鋼板中に導入される非
磁性体部分が大きくなり、ヒステリシス損失が増加して
鉄損が逆に劣化する。
【0030】かかる線状溝を形成した鋼板は、酸化性雰
囲気で脱炭焼鈍に供されるが、これも通常の脱炭焼鈍の
条件で十分である。次に、焼鈍分離剤を塗布した後、最
終仕上焼鈍に供される。最終仕上焼鈍は2次再結晶とそ
れに続く高温の鈍化焼鈍からなる。かかる一連の工程に
おいて、脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤の塗布に先立って、鋼
板表面の線状溝内にSbもしくはSb化合物を付着すること
が、肝要である。これにより、最終仕上焼鈍途中におけ
る窒化を抑制することが可能になる。このSbもしくはSb
化合物の付着量は、0.1 〜2.0 g/m2 程度が好まし
い。すなわち、0.1 g/m2 未満の付着量では、窒化抑
制作用が乏しく磁気特性が劣化し、一方2.0 g/m2
超えると、被膜形成に悪影響を及ぼす。
【0031】ここで、線状溝にSbもしくはSb化合物を付
着する時期が、脱炭焼鈍前では、脱炭焼鈍において、溝
でのサブスケールの形成が阻害されるため、サブスケー
ルによる窒化抑制作用が劣化し、また、最終仕上焼鈍に
おけるフォルステライト被膜の形成が溝で実現できない
ため、被膜欠陥が発生する。一方、焼鈍分離剤の塗布後
では、溝にSbもしくはSb化合物を付着させることが困難
になる。
【0032】次に、最終仕上焼鈍後の鋼板は、未反応分
離剤を除去した後、必要に応じて平坦化焼鈍を兼ねた絶
縁コーティングを焼付けて製品とすることもあるが、一
般には張力コーティングが使用される。
【0033】
【実施例】
実施例1 C:0.075 wt%,Si:3.30wt%,Mn:0.075 wt%,P:
0.01wt%,S:0.005wt%,Al:0.025 wt%,Se:0.019
wt%およびN:0.0085wt%からなる鋼スラブを、1420
℃で10分間の均熱処理後、熱間圧延により1.8 mmの熱延
コイルとした。この熱延コイルに、1150℃で30秒間の焼
鈍を施した後、ミストを用いて急冷し、酸洗後に0.9 mm
の厚みまで冷間圧延し、300 ℃で2分間の熱処理を行っ
た後、再び180 ℃の温度で0.22mm厚まで圧延した。次い
で、冷間圧延後の鋼板にレジストインキを塗布してから
電解エッチング処理を施して、圧延方向の直交軸に対す
る傾斜角度が10°の向きに延びる、幅200 μm,深さ20
μmの線状溝を圧延方向への繰返し間隔4mmで形成し
た。その後、露点60℃で50%H2 −N2 バランスの雰囲
気下で850 ℃で2分間の脱炭焼鈍を施した後、コイルを
9分割した。
【0034】次に、9分割した各コイルの鋼板表面の溝
内に、Sbをそれぞれ0(付着させない),0.01,0.05,
0.1 ,0.3 ,0.8 ,1.2 ,2.0 および4.5 g/m2 で付
着した。その後、各コイルに、TiO2を5wt%含有しMgO
を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、コイル状に巻き取
った後、最終仕上焼鈍に供した。なお、最終仕上焼鈍
は、17℃/hの昇温速度で1200℃まで昇温し、1200℃で
10時間保持した後徐冷した。焼鈍雰囲気は、850 ℃まで
はN2 中で、850 ℃をこえ1150℃までは25%N2−75%
2 中で、それ以降はH2 中とした。
【0035】最終仕上焼鈍後の鋼板は、未反応分離剤を
除去した後、コロイダルシリカとリン酸マグネシウムを
主剤とする張力コーティングを塗布し、800 ℃で焼付け
て製品とした。このときの各製品の磁気特性および被膜
欠陥率と、溝でのSb付着量との関係を図2に示す。
【0036】実施例2 表1に示す成分組成になる珪素鋼スラブA〜CおよびE
〜Iを1410℃で、また珪素鋼スラブDおよびJを1300℃
で、それぞれ30分間の均熱処理後、熱間圧延により2.0
mm厚の熱延コイルとした。次いで、各熱延コイルに800
℃で20秒間の炭化物調整熱処理を行った後酸洗し、冷間
圧延により1.30mmの中間板厚とした。その後、1100℃で
60秒間の均熱処理後、ミストを用い350 ℃まで急冷し、
150 ℃までミストを使って徐冷した後、再びミストで急
冷した。さらに酸洗後、180 ℃の温度でゼンジマー圧延
機を用いて温間圧延し、0.19mmの最終板厚とした。
【0037】次いで、冷間圧延後の鋼板にレジストイン
キを塗布してから電解エッチング処理を施して、圧延方
向の直交軸に対する傾斜角度が15°の向きに延びる、幅
200μm,深さ20μmの線状溝を圧延方向への繰返し間
隔4mmで形成した後、各コイルを3分割した。分割コイ
ルのうちひとつは、Sb2O3 を溝部に0.8 g/m2 で付着
した後、露点60℃で50%H2 −N2 バランスの雰囲気下
で850 ℃で2分間の脱炭焼鈍を施し、比較例とした。残
るコイルは、比較例と同様の脱炭焼鈍を施した後、その
一方のコイルの溝にSb2O3 を溝部に0.8 g/m2 で塗布
して実施例とし、残る他方のコイルはそのまま従来例と
した。
【0038】これらのコイルは、TiO2:8wt%およびSr
(OH)2 ・8H2O :3wt%を含有するMgO を焼鈍分離剤と
して塗布し、その後コイル状に巻き取り、最終仕上焼鈍
に供した。なお、最終仕上焼鈍は、20℃/hの昇温速度
で850 ℃まではN2 中で、次いで12℃/hの昇温速度で
1200℃まで30%N2 −70%H2 中で、それ以降はH2
で1200℃で10時間の保持を行った後冷却した。
【0039】さらに、最終仕上焼鈍後の鋼板に、未反応
分離剤を除去した後、コロイダルシリカとリン酸アルミ
ニウムを主剤とする張力コーティングを塗布し、800 ℃
で焼付けて製品とした。かくして得られた各製品の磁気
特性を、表2に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】この発明によれば、AlN を主インヒビタ
ーとする方向性けい素鋼板においても、線状溝の形成に
よる磁気特性の向上効果を発揮させることができ、極め
て低鉄損の方向性けい素鋼板を製造することが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】2次再結晶のゴス方位からのずれ角の分布に及
ぼす線状溝の影響を示す図である。
【図2】線状溝に付着したSbの量と製品の磁気特性およ
び被膜欠陥率との関係を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 AlN を主インヒビターとして含有する方
    向性けい素鋼素材を熱間圧延した後、1回又は中間焼鈍
    を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終製品板厚とし、
    しかる後脱炭焼鈍、次いで鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布
    してから仕上げ焼鈍を施す一連の工程からなる方向性電
    磁鋼板の製造方法において、脱炭焼鈍後かつ最終仕上焼
    鈍前の鋼板に、その圧延方向とほぼ直交する向きに延び
    る線状溝を形成した後、焼鈍分離剤の塗布に先立って線
    状溝内にSbまたはSb化合物を付着することを特徴とする
    低鉄損方向性けい素鋼板の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008111152A (ja) * 2006-10-30 2008-05-15 Jfe Steel Kk 方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP2012092409A (ja) * 2010-10-28 2012-05-17 Jfe Steel Corp 方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP2021138984A (ja) * 2020-03-03 2021-09-16 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法

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