JPH0425339B2 - - Google Patents
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- JPH0425339B2 JPH0425339B2 JP61252642A JP25264286A JPH0425339B2 JP H0425339 B2 JPH0425339 B2 JP H0425339B2 JP 61252642 A JP61252642 A JP 61252642A JP 25264286 A JP25264286 A JP 25264286A JP H0425339 B2 JPH0425339 B2 JP H0425339B2
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Description
〔産業上の利用分野〕
本発明は強度が高く、導電率及び耐熱性が優
れ、かつ加工性やメツキ性が良好で、ハンダとの
界面強度の経時劣化を起さない電子機器用銅合金
とその製造法に関するものである。 〔従来の技術〕 一般に電子機器用材料、例えばコネクター、端
子、半導体機器材、特に半導体機器用リードフレ
ームには下記の特性が要求されている。 (1) 強度が高く、耐熱性が良いこと。 (2) 放熱性、即ち熱伝導性が高いこと。 (3) 電気伝導性が高いこと。 (4) フレーム形成後の曲げ加工性が良いこと。 (5) メツキ密着性及び樹脂とのモールド性が良い
こと。 (6) ハンダとの接合部の経時劣化がないこと。 従来半導体機器用リードフレームには、主とし
て42合金(Fe−42wt%Ni)が用いられている。
この合金は引張強さ63Kg/mm2、耐熱性670℃(30
分間の加熱により初期強度の70%の強度になる温
度)の優れた特性を示すが、導電率は3%IACS
程度と劣るものである。 近年半導体素子は集積度の増大及び小型化と同
時に高信頼性が求められるようになり、半導体素
子の形態も従来のDIP型ICからチツプキヤリアー
型やPGA型へと変化しつつある。このため半導
体素子用のリードフレームも薄肉、小型化され、
同時に42合金を上回る特性が要求されるようにな
つた。即ち薄肉化による構成部品の強度低下を防
ぐための強度の向上と、集積度の増大による放熱
性向上のために熱伝導性と同一特性である導電率
の向上、更に優れた耐熱性と、半導体のフレーム
上の固定及び半導体からリードフレームの足の部
分の配線へのボンデイング前処理としてのリード
フレーム表面へのメツキ性及びメツキ密着性、更
に封止樹脂とのモールド性の向上、更には信頼性
の問題としてフレームと基板との接合におけるハ
ンダ接合強度の経時劣化が無いことが望まれてい
る。 〔発明が解決しようとする問題点〕 上記42合金は導電率が3%IACSと低く、放熱
性が劣る欠点があり、これに代えて銅合金を用い
れば導電率を50〜80%IACSと飛躍的に向上させ
ることができるも、42合金と同等の他の特性を得
ることは困難であつた。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明はこれに鑑み種々検討の結果、42合金と
同等以上の強度及びはるかに優れた導電性を有
し、半導体機器用リードフレームに要求される上
記特性を満足する電子機器用銅合金とその製造法
を開発したものである。 即ち本発明合金の一つは、Ni1.2〜3.5wt%(以
下wt%を%と略記)、Si0.2〜0.8%の範囲内でNi
とSiの比(Ni/Si)が2〜6となるようにNiと
Siを含み、かつZn0.05〜5.0%とSn2.0〜6.0%と
Ag,Nb,Caの何れか1種以上を合計0.0005〜
0.3%とを含み、O2含有量を40ppm以下、析出物
の大きさ10μ以下に制限し、残部Cuと不可避的不
純物からなることを特徴とするものである。 また本発明合金の他の一つは、Ni1.2〜3.5%、
Si0.2〜0.8%の範囲内でNiとSiの比(Ni/Si)が
2〜6となるようにNiとSiを含み、かつZn0.05
〜5.0%とSn2.0〜6.0%とAg,Nb,Caの何れか
1種以上を合計0.0005〜0.3%とを含み、更に
Mn,Mg,Sb,Fe,Co,V,Ti,Zr,Cr,Al,
In,Auの何れか1種以上を合計2.0%以下を含
み、O2含有量を40ppm以下、析出物の大きさを
10μ以下に制限し、残部Cuと不可避的不純物から
なることを特徴とするものである。 また本発明製造法は、Ni1.2〜3.5%、Si0.2〜
0.8%の範囲内でNiとSiの比(Ni/Si)が2〜6
となるようにNiとSiを含み、かつZn0.05〜5.0%
とSn2.0〜6.0%とAg,Nb,Caの何れか1種以上
を合計0.0005〜0.3%とを含み、又はこれにMn,
Mg,Sb,Fe,Co,V,Ti,Zr,Cr,Al,In,
Auの何れか1種以上を合計2.0%以下含み、O2含
有量を40ppm以下に制限し、残部Cuと不可避的
不純物からなる合金鋳塊に、熱間加工と冷間加工
を施した後、550〜900℃で5秒〜12時間の条件下
での再結晶組織状態から冷却を行う熱処理を行
い、しかる後冷間加工と250〜850℃で5秒〜12時
間の熱処理を1回以上繰返し行なうことを特徴と
するものである。 〔作用〕 本発明合金は上記組成からなり、Ni含有量を
1.2〜3.5%、Si含有量を0.2〜0.8%の範囲内におい
て、NiとSiの比(Ni/Si)が2〜6となるよう
に含有せしめたのは、十分な強度と導電率を有
し、かつメツキ性、鋳造性及び加工性を良好なも
のとするためで、Ni含有量とSi含有量の何れか
が下限未満ではNiとSiの共存による効果が小さ
く、上限を超えるとハンダ付け性を悪化させると
共に加工性、特に熱間加工性を著しく低下して製
造性を阻害するためである。またNiとSiの比
(Ni/Si)が2〜6より外れると、上記特性やハ
ンダ付け性を大きく低下する。 Zn含有量を0.05〜5.0%と限定したのは、Znは
ハンダ接合の経時劣化を抑制し、Ag,Nb,Ca
(第1副成分)との共存により、その効果をより
大きく、一層ハンダ付け性を良好なものとするた
めで、下限未満ではその効果が得られず、上限を
越えると導電率の低下が著しくなるためである。
Sn含有量を2.0〜6.0%と限定したのは、Snは強度
を向上すると共に、延性を改善し、曲げ加工性を
向上するも下限未満ではその効果が薄く、上限を
越えると鋳造性や熱間加工性を悪くするためであ
る。 第1副成分の何れか1種以上の単独又は合計含
有量を0.0005〜0.3%と限定したのは、これ等は
何れも脱O2作用を有し、健全な鋳塊を得ること
を可能にすると共に、銅合金とハンダとの接合部
におけるCuの拡散を抑制し、ハンダ接合強度の
経時劣化を抑え、電子部品等に用い、その信頼性
を向上する。更に熱間加工等の高温からの冷却時
にNixSiの析出を抑制し、強度に代表される機械
的性質を向上し、製造性を良好なものとする。し
かして単独又は合計含有量が下限未満では効果が
薄く、上限を越えると鋳造性や熱間加工性を悪く
するためである。 Mn,Mg,Sb,Fe,Co,V,Ti,Zr,Cr,
Al,In,An(第2副成分)の何れか1種以上の単
独又は合計含有量を2.0%以下と限定したのは、
これ等は何れも脱O2、脱S作用が大きく、鋳塊
の健全性や熱間加工性を向上し、製造性を良好に
する働きを示し、成型加工性、特に曲げ加工時の
表面性状や寸法精度を良好にする。しかして何れ
も単独又は合計含有量が上限を越えると、鋳造性
や熱間加工性を悪くする。 O2含有量を40ppm以下に制限したのは、O2は
NixSiの均一析出に有害で40ppmを越えると粗大
析出物を形成しやすくなり、そのため強度の向上
を阻害するばかりか、メツキ性、ハンダ付け性及
び曲げ加工性を劣化するためである。また析出物
の大きさを10μ以下と制限したのは、析出物の大
きさは強度、メツキ密着性、ハンダ付け性及び曲
げ加工性を大きく左右し、析出物の大きさが10μ
を越えると前記特性を損ねるためで、望ましくは
3μ以下とするとよい。またこれ等析出物の分布
密度は10000個/mm2以内とすることが望ましい。 次に本発明合金の製造において、上記組成の合
金に熱間加工とそれに続く冷間加工を施した後、
550〜900℃で5秒〜12時間の熱処理を行なうこと
により再結晶させ、冷却後冷間加工と250〜850℃
で5秒〜12時間の熱処理を1回以上繰返すことに
より、NixSiを析出させて、その析出効果と加工
硬化により強度、導電性、曲げ加工性等の諸特性
を合せ得たものである。しかして熱間加工とそれ
に続く冷間加工後の熱処理を550〜900℃で5秒〜
12時間と限定したのは、温度が550℃未満でも、
時間が5秒未満でも、再結晶が不十分となり、そ
の後の工程においてバラツキを生じ、製品の不安
定を招き、温度が950℃を越えると結晶粒の成長
が著しく進み、結晶粒が粗大化して曲げ加工性を
大巾に低下し、また12時間を越えて熱処理するこ
とは、より以上の特性の改善が望めないばかり
か、コスト面や生産性を悪化するためである。尚
熱処理後の冷却は導電率を優先する場合には30
℃/sec未満の冷却速度で行ない、強度を優先す
る場合には30℃/sec以上の冷却速度で行なうこ
とが望ましい。 上記熱処理後の冷間加工に続く熱処理を250〜
850℃で5秒〜12時間と限定したのは、温度が250
℃未満でも、時間が5秒未満でも加工性が著しく
悪化し、製造が困難となり、温度が850℃を越え
るとNixSiの析出が不十分となつたり、再固溶を
起し、導電性を回復させることが困難となるため
である。また12時間を越えて熱処理することは、
より以上の特性の改善が望めないばかりか、コス
ト面や生産性を著しく悪化する。尚この熱処理に
おいて、導電性を優先する時には、450〜850℃で
5秒〜12時間、望ましくは600〜850℃で15秒〜5
時間処理し、特に導電性と合せて強度を得ようと
する時には熱処理後の冷間加工率を大きくするの
がよく、加工率40%までは他の諸特性、特に曲げ
加工性を劣化させることなく良好な強度を得るこ
とができる。またより以上の強度を得たい場合に
は前記再結晶させる熱処理後の冷却を30℃/sec
以上した合金を用い、250〜450℃の温度で5秒〜
12時間熱処理するとよい。 尚本発明合金の製造において、熱間加工は700
〜850℃で開始し、終了後NixSi等の析出物を固
溶状態に保つておく点から迅速に冷却することが
望ましいが、徐冷以外の冷却であれば特性にあま
り影響を及ぼさない。また最終の冷間加工後、
200〜550℃の調質焼鈍、テンシヨンレベラー、テ
ンシヨンアニーリング等と組合せることにより、
より高い特性を得ることができる。 〔実施例〕 第1表に示す組成の銅合金を冷却鋳型を用いて
半連続鋳造し、850℃で熱間圧延を施してから面
削して厚さ10mmの板とした。これに加工率96%の
冷間圧延を加えて厚さ0.4mmの板とした後、830℃
で100秒間熱処理して急冷した。しかる後加工率
25%の冷間圧延を施して厚さ0.3mmの板とし、更
に400℃で1時間熱処理した後、加工率16.7%の
冷間圧延を施して厚さ0.25mmの板とし、これに
250℃、30分の調質焼鈍を施した。これ等につい
て析出物粒径及び析出物の分布密度を測定し、そ
の結果を第1表に併記した。また引張強さ、伸
び、導電率、曲げ加工性、ハンダ接合強度、応力
腐食割れ及びメツキ性を試験し、その結果を従来
材である42合金(Fe−42%Ni)、C194(Cu−2.3
%Fe−0.12%Zn−P)及びリン青銅(Cu−6%
Sn−P)と比較して第2表に示す。 引張強さ及び伸びはJIS−Z2241に基づいて測
定し、導電率はJIS−H0505に基づいて測定した。
曲げ加工性はJIS−Z2248のVブロツク法により
試験を行ない、試験片表面に割れを生じさせる最
少曲げ半径(R)を同試験片の厚さ(t)で割つ
た値(R/t)で示した。ハンダ接合強度は25mm
角のサンプルを切り出し、これに直径2mmの無酸
素銅線を60/40共晶ハンダにより直径9mmの部分
に接合した後、150℃で500時間加速試験を施して
から引張試験を行なつて求めた。応力腐食割れは
JIS−C8306に準じ、3vol%NH3上記中の定荷重
法により割れ時間を求めた。荷重は引張強さの50
%とした。メツキ性はホウフツ化物浴を用いて
Sn−5%Pb合金を7.5μの厚さにメツキしてから
105℃で2000時間保持した後、180゜に折曲げ、折
曲げ部のメツキ層の剥離を検鏡した。
れ、かつ加工性やメツキ性が良好で、ハンダとの
界面強度の経時劣化を起さない電子機器用銅合金
とその製造法に関するものである。 〔従来の技術〕 一般に電子機器用材料、例えばコネクター、端
子、半導体機器材、特に半導体機器用リードフレ
ームには下記の特性が要求されている。 (1) 強度が高く、耐熱性が良いこと。 (2) 放熱性、即ち熱伝導性が高いこと。 (3) 電気伝導性が高いこと。 (4) フレーム形成後の曲げ加工性が良いこと。 (5) メツキ密着性及び樹脂とのモールド性が良い
こと。 (6) ハンダとの接合部の経時劣化がないこと。 従来半導体機器用リードフレームには、主とし
て42合金(Fe−42wt%Ni)が用いられている。
この合金は引張強さ63Kg/mm2、耐熱性670℃(30
分間の加熱により初期強度の70%の強度になる温
度)の優れた特性を示すが、導電率は3%IACS
程度と劣るものである。 近年半導体素子は集積度の増大及び小型化と同
時に高信頼性が求められるようになり、半導体素
子の形態も従来のDIP型ICからチツプキヤリアー
型やPGA型へと変化しつつある。このため半導
体素子用のリードフレームも薄肉、小型化され、
同時に42合金を上回る特性が要求されるようにな
つた。即ち薄肉化による構成部品の強度低下を防
ぐための強度の向上と、集積度の増大による放熱
性向上のために熱伝導性と同一特性である導電率
の向上、更に優れた耐熱性と、半導体のフレーム
上の固定及び半導体からリードフレームの足の部
分の配線へのボンデイング前処理としてのリード
フレーム表面へのメツキ性及びメツキ密着性、更
に封止樹脂とのモールド性の向上、更には信頼性
の問題としてフレームと基板との接合におけるハ
ンダ接合強度の経時劣化が無いことが望まれてい
る。 〔発明が解決しようとする問題点〕 上記42合金は導電率が3%IACSと低く、放熱
性が劣る欠点があり、これに代えて銅合金を用い
れば導電率を50〜80%IACSと飛躍的に向上させ
ることができるも、42合金と同等の他の特性を得
ることは困難であつた。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明はこれに鑑み種々検討の結果、42合金と
同等以上の強度及びはるかに優れた導電性を有
し、半導体機器用リードフレームに要求される上
記特性を満足する電子機器用銅合金とその製造法
を開発したものである。 即ち本発明合金の一つは、Ni1.2〜3.5wt%(以
下wt%を%と略記)、Si0.2〜0.8%の範囲内でNi
とSiの比(Ni/Si)が2〜6となるようにNiと
Siを含み、かつZn0.05〜5.0%とSn2.0〜6.0%と
Ag,Nb,Caの何れか1種以上を合計0.0005〜
0.3%とを含み、O2含有量を40ppm以下、析出物
の大きさ10μ以下に制限し、残部Cuと不可避的不
純物からなることを特徴とするものである。 また本発明合金の他の一つは、Ni1.2〜3.5%、
Si0.2〜0.8%の範囲内でNiとSiの比(Ni/Si)が
2〜6となるようにNiとSiを含み、かつZn0.05
〜5.0%とSn2.0〜6.0%とAg,Nb,Caの何れか
1種以上を合計0.0005〜0.3%とを含み、更に
Mn,Mg,Sb,Fe,Co,V,Ti,Zr,Cr,Al,
In,Auの何れか1種以上を合計2.0%以下を含
み、O2含有量を40ppm以下、析出物の大きさを
10μ以下に制限し、残部Cuと不可避的不純物から
なることを特徴とするものである。 また本発明製造法は、Ni1.2〜3.5%、Si0.2〜
0.8%の範囲内でNiとSiの比(Ni/Si)が2〜6
となるようにNiとSiを含み、かつZn0.05〜5.0%
とSn2.0〜6.0%とAg,Nb,Caの何れか1種以上
を合計0.0005〜0.3%とを含み、又はこれにMn,
Mg,Sb,Fe,Co,V,Ti,Zr,Cr,Al,In,
Auの何れか1種以上を合計2.0%以下含み、O2含
有量を40ppm以下に制限し、残部Cuと不可避的
不純物からなる合金鋳塊に、熱間加工と冷間加工
を施した後、550〜900℃で5秒〜12時間の条件下
での再結晶組織状態から冷却を行う熱処理を行
い、しかる後冷間加工と250〜850℃で5秒〜12時
間の熱処理を1回以上繰返し行なうことを特徴と
するものである。 〔作用〕 本発明合金は上記組成からなり、Ni含有量を
1.2〜3.5%、Si含有量を0.2〜0.8%の範囲内におい
て、NiとSiの比(Ni/Si)が2〜6となるよう
に含有せしめたのは、十分な強度と導電率を有
し、かつメツキ性、鋳造性及び加工性を良好なも
のとするためで、Ni含有量とSi含有量の何れか
が下限未満ではNiとSiの共存による効果が小さ
く、上限を超えるとハンダ付け性を悪化させると
共に加工性、特に熱間加工性を著しく低下して製
造性を阻害するためである。またNiとSiの比
(Ni/Si)が2〜6より外れると、上記特性やハ
ンダ付け性を大きく低下する。 Zn含有量を0.05〜5.0%と限定したのは、Znは
ハンダ接合の経時劣化を抑制し、Ag,Nb,Ca
(第1副成分)との共存により、その効果をより
大きく、一層ハンダ付け性を良好なものとするた
めで、下限未満ではその効果が得られず、上限を
越えると導電率の低下が著しくなるためである。
Sn含有量を2.0〜6.0%と限定したのは、Snは強度
を向上すると共に、延性を改善し、曲げ加工性を
向上するも下限未満ではその効果が薄く、上限を
越えると鋳造性や熱間加工性を悪くするためであ
る。 第1副成分の何れか1種以上の単独又は合計含
有量を0.0005〜0.3%と限定したのは、これ等は
何れも脱O2作用を有し、健全な鋳塊を得ること
を可能にすると共に、銅合金とハンダとの接合部
におけるCuの拡散を抑制し、ハンダ接合強度の
経時劣化を抑え、電子部品等に用い、その信頼性
を向上する。更に熱間加工等の高温からの冷却時
にNixSiの析出を抑制し、強度に代表される機械
的性質を向上し、製造性を良好なものとする。し
かして単独又は合計含有量が下限未満では効果が
薄く、上限を越えると鋳造性や熱間加工性を悪く
するためである。 Mn,Mg,Sb,Fe,Co,V,Ti,Zr,Cr,
Al,In,An(第2副成分)の何れか1種以上の単
独又は合計含有量を2.0%以下と限定したのは、
これ等は何れも脱O2、脱S作用が大きく、鋳塊
の健全性や熱間加工性を向上し、製造性を良好に
する働きを示し、成型加工性、特に曲げ加工時の
表面性状や寸法精度を良好にする。しかして何れ
も単独又は合計含有量が上限を越えると、鋳造性
や熱間加工性を悪くする。 O2含有量を40ppm以下に制限したのは、O2は
NixSiの均一析出に有害で40ppmを越えると粗大
析出物を形成しやすくなり、そのため強度の向上
を阻害するばかりか、メツキ性、ハンダ付け性及
び曲げ加工性を劣化するためである。また析出物
の大きさを10μ以下と制限したのは、析出物の大
きさは強度、メツキ密着性、ハンダ付け性及び曲
げ加工性を大きく左右し、析出物の大きさが10μ
を越えると前記特性を損ねるためで、望ましくは
3μ以下とするとよい。またこれ等析出物の分布
密度は10000個/mm2以内とすることが望ましい。 次に本発明合金の製造において、上記組成の合
金に熱間加工とそれに続く冷間加工を施した後、
550〜900℃で5秒〜12時間の熱処理を行なうこと
により再結晶させ、冷却後冷間加工と250〜850℃
で5秒〜12時間の熱処理を1回以上繰返すことに
より、NixSiを析出させて、その析出効果と加工
硬化により強度、導電性、曲げ加工性等の諸特性
を合せ得たものである。しかして熱間加工とそれ
に続く冷間加工後の熱処理を550〜900℃で5秒〜
12時間と限定したのは、温度が550℃未満でも、
時間が5秒未満でも、再結晶が不十分となり、そ
の後の工程においてバラツキを生じ、製品の不安
定を招き、温度が950℃を越えると結晶粒の成長
が著しく進み、結晶粒が粗大化して曲げ加工性を
大巾に低下し、また12時間を越えて熱処理するこ
とは、より以上の特性の改善が望めないばかり
か、コスト面や生産性を悪化するためである。尚
熱処理後の冷却は導電率を優先する場合には30
℃/sec未満の冷却速度で行ない、強度を優先す
る場合には30℃/sec以上の冷却速度で行なうこ
とが望ましい。 上記熱処理後の冷間加工に続く熱処理を250〜
850℃で5秒〜12時間と限定したのは、温度が250
℃未満でも、時間が5秒未満でも加工性が著しく
悪化し、製造が困難となり、温度が850℃を越え
るとNixSiの析出が不十分となつたり、再固溶を
起し、導電性を回復させることが困難となるため
である。また12時間を越えて熱処理することは、
より以上の特性の改善が望めないばかりか、コス
ト面や生産性を著しく悪化する。尚この熱処理に
おいて、導電性を優先する時には、450〜850℃で
5秒〜12時間、望ましくは600〜850℃で15秒〜5
時間処理し、特に導電性と合せて強度を得ようと
する時には熱処理後の冷間加工率を大きくするの
がよく、加工率40%までは他の諸特性、特に曲げ
加工性を劣化させることなく良好な強度を得るこ
とができる。またより以上の強度を得たい場合に
は前記再結晶させる熱処理後の冷却を30℃/sec
以上した合金を用い、250〜450℃の温度で5秒〜
12時間熱処理するとよい。 尚本発明合金の製造において、熱間加工は700
〜850℃で開始し、終了後NixSi等の析出物を固
溶状態に保つておく点から迅速に冷却することが
望ましいが、徐冷以外の冷却であれば特性にあま
り影響を及ぼさない。また最終の冷間加工後、
200〜550℃の調質焼鈍、テンシヨンレベラー、テ
ンシヨンアニーリング等と組合せることにより、
より高い特性を得ることができる。 〔実施例〕 第1表に示す組成の銅合金を冷却鋳型を用いて
半連続鋳造し、850℃で熱間圧延を施してから面
削して厚さ10mmの板とした。これに加工率96%の
冷間圧延を加えて厚さ0.4mmの板とした後、830℃
で100秒間熱処理して急冷した。しかる後加工率
25%の冷間圧延を施して厚さ0.3mmの板とし、更
に400℃で1時間熱処理した後、加工率16.7%の
冷間圧延を施して厚さ0.25mmの板とし、これに
250℃、30分の調質焼鈍を施した。これ等につい
て析出物粒径及び析出物の分布密度を測定し、そ
の結果を第1表に併記した。また引張強さ、伸
び、導電率、曲げ加工性、ハンダ接合強度、応力
腐食割れ及びメツキ性を試験し、その結果を従来
材である42合金(Fe−42%Ni)、C194(Cu−2.3
%Fe−0.12%Zn−P)及びリン青銅(Cu−6%
Sn−P)と比較して第2表に示す。 引張強さ及び伸びはJIS−Z2241に基づいて測
定し、導電率はJIS−H0505に基づいて測定した。
曲げ加工性はJIS−Z2248のVブロツク法により
試験を行ない、試験片表面に割れを生じさせる最
少曲げ半径(R)を同試験片の厚さ(t)で割つ
た値(R/t)で示した。ハンダ接合強度は25mm
角のサンプルを切り出し、これに直径2mmの無酸
素銅線を60/40共晶ハンダにより直径9mmの部分
に接合した後、150℃で500時間加速試験を施して
から引張試験を行なつて求めた。応力腐食割れは
JIS−C8306に準じ、3vol%NH3上記中の定荷重
法により割れ時間を求めた。荷重は引張強さの50
%とした。メツキ性はホウフツ化物浴を用いて
Sn−5%Pb合金を7.5μの厚さにメツキしてから
105℃で2000時間保持した後、180゜に折曲げ、折
曲げ部のメツキ層の剥離を検鏡した。
【表】
【表】
このように本発明によれば優れた導電性と強度
を合せて有し、同時に良好な曲げ加工性とハンダ
付け性を有し、電子機器用材料、特にリードフレ
ーム、コネクター、スイツチ等に使用し、その薄
肉化及び小型化を可能にする等工業上顕著な効果
を奏するものである。
を合せて有し、同時に良好な曲げ加工性とハンダ
付け性を有し、電子機器用材料、特にリードフレ
ーム、コネクター、スイツチ等に使用し、その薄
肉化及び小型化を可能にする等工業上顕著な効果
を奏するものである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 Ni1.2〜3.5wt%、Si0.2〜0.8wt%の範囲内で
NiとSiの比(Ni/Si)が2〜6となるようにNi
とSiを含み、かつZn0.05〜5.0wt%とSn2.0〜
6.0wt%とAg,Nb,Caの何れか1種以上を合計
0.0005〜0.3wt%とを含み、O2含有量を40ppm以
下、析出物の大きさ10μ以下に制限し、残部Cuと
不可避的不純物からなる電子機器用銅合金。 2 Ni1.2〜3.5wt%、Si0.2〜0.8wt%の範囲内で
NiとSiの比(Ni/Si)が2〜6となるようにNi
とSiを含み、かつZn0.05〜5.0wt%とSn2.0〜
6.0wt%とAg,Nb,Caの何れか1種以上を合計
0.0005〜0.3wt%とを含み、更にMn,Mg,Sb,
Fe,Co,V,Ti,Zr,Cr,Al,In,Auの何れ
か1種以上を合計2.0wt%以下を含み、O2含有量
を40ppm以下、析出物の大きさを10μ以下に制限
し、残部Cuと不可避的不純物からなる電子機器
用銅合金。 3 Ni1.2〜3.5wt%、Si0.2〜0.8wt%の範囲内で
NiとSiの比(Ni/Si)が2〜6となるようにNi
とSiを含み、かつZn0.05〜5.0wt%とSn2.0〜
6.0wt%とAg,Nb,Caの何れか1種以上を合計
0.0005〜0.3%とを含み、又はこれにMn,Mg,
Sb,Fe,Co,V,Ti,Zr,Cr,Al,In,Auの
何れか1種以上を合計2.0wt%以下含み、O2含有
量を40ppm以下に制限し、残部Cuと不可避的不
純物からなる合金鋳塊に、熱間加工と冷間加工を
施した後、550〜900℃で5秒〜12時間の条件下で
の再結晶組織状態から冷却を行う熱処理を行い、
しかる後冷間加工と250〜850℃で5秒〜12時間の
熱処理を1回以上繰返し行なうことを特徴とする
電子機器用銅合金の製造法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25264286A JPS63109133A (ja) | 1986-10-23 | 1986-10-23 | 電子機器用銅合金とその製造法 |
DE3725830A DE3725830C2 (de) | 1986-09-30 | 1987-08-04 | Kupfer-Zinn-Legierung für elektronische Instrumente |
KR1019870008521A KR950004935B1 (ko) | 1986-09-30 | 1987-08-04 | 전자 기기용 구리 합금 |
US07/307,488 US5021105A (en) | 1986-09-30 | 1989-02-08 | Copper alloy for electronic instruments |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25264286A JPS63109133A (ja) | 1986-10-23 | 1986-10-23 | 電子機器用銅合金とその製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63109133A JPS63109133A (ja) | 1988-05-13 |
JPH0425339B2 true JPH0425339B2 (ja) | 1992-04-30 |
Family
ID=17240189
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25264286A Granted JPS63109133A (ja) | 1986-09-30 | 1986-10-23 | 電子機器用銅合金とその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS63109133A (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63183143A (ja) * | 1987-01-22 | 1988-07-28 | Mitsubishi Shindo Kk | 半導体装置用Cu合金製リ−ドフレ−ム材 |
JPS63274729A (ja) * | 1987-04-30 | 1988-11-11 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 電子・電気機器用銅合金 |
JPS63313844A (ja) * | 1987-06-16 | 1988-12-21 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 電子機器用パッケ−ジのリ−ド材 |
JPH0285330A (ja) * | 1988-09-20 | 1990-03-26 | Mitsui Mining & Smelting Co Ltd | プレス折り曲げ性の良い銅合金およびその製造方法 |
JPH07116536B2 (ja) * | 1989-02-10 | 1995-12-13 | 三菱伸銅株式会社 | 高強度Cu合金 |
JPH0368734A (ja) * | 1989-08-07 | 1991-03-25 | Yazaki Corp | 耐屈曲性に優れた導電用高力銅合金 |
JP2709178B2 (ja) * | 1990-05-10 | 1998-02-04 | 住友電気工業株式会社 | ハーネス用電線導体 |
JP4556842B2 (ja) * | 2005-10-27 | 2010-10-06 | 日立電線株式会社 | 剪断加工性に優れる高強度銅合金材およびその製造方法 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6314832A (ja) * | 1986-07-04 | 1988-01-22 | Furukawa Electric Co Ltd:The | メッキ密着性及びハンダ接合性に優れた電子機器用銅合金とその製造法 |
JPS63105943A (ja) * | 1986-06-26 | 1988-05-11 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 半導体機器用銅合金とその製造法 |
-
1986
- 1986-10-23 JP JP25264286A patent/JPS63109133A/ja active Granted
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63105943A (ja) * | 1986-06-26 | 1988-05-11 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 半導体機器用銅合金とその製造法 |
JPS6314832A (ja) * | 1986-07-04 | 1988-01-22 | Furukawa Electric Co Ltd:The | メッキ密着性及びハンダ接合性に優れた電子機器用銅合金とその製造法 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63109133A (ja) | 1988-05-13 |
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