JPH04252424A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、オーディオテープ，ビ
デオテープ，フロッピーディスク等の磁気記録媒体の製
造方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】磁気記録媒体は、有機溶剤を用いた磁性
塗料もしくはバックコート塗料をポリエステル等の長尺
の有機支持体上に塗布した後、高温下で有機溶剤を蒸発
，乾燥させ磁性層，バックコート層を形成した後ロール
状に巻き取る工程を経て製造される。

【０００３】近年、磁気記録媒体には高密度化，コンパ
クト化，長時間化の要求が高まっている。これらの要求
を達成する有力な方法として、磁気記録媒体の厚みを減
少させる方法がある。すなわち厚みを減少させることで
、同一容積中に従来より長時間用の磁気記録媒体が収容
できる。厚みを減少させる場合、磁性層もしくはバック
コート層の厚みは、その機能上大幅に薄膜化することは
不可能なため、特に有機支持体を薄膜化する事が一般的
である。この際、厚みの減少により磁気記録媒体の剛性
が低下し耐久性が悪くなる。剛性を向上させ耐久性をよ
くするため、有機支持体の成膜時に特定方向に延伸する
事によって構成分子を配向させ有機支持体のヤング率を
向上させる方法がよく用いられる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら薄膜化さ
れた有機支持体は塗料の塗布，乾燥工程で非常に変形を
受け易く、歩留りが大幅に低下する。さらに延伸してヤ
ング率を向上させた有機支持体も塗布，乾燥工程で熱と
張力を受けることによってヤング率が塗布前より低下し
やすいため耐久性が改善されない。

【０００５】また薄膜化することによって、磁気記録媒
体の製造後有機支持体に残留歪みが発生しやすく、磁気
記録媒体の環境変化に対する寸法安定性が悪くなる。即
ち高温での使用，保管時に残留歪みが緩和され、有機支
持体の寸法が大きく変化するため緩和する前に記録して
いた信号の再生が困難になる。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解決するために、磁気記録媒体の製造工程において、有
機支持体の単位断面積あたりに働く張力を８０ｋｇ／ｃ
ｍ２以上，１２０ｋｇ／ｃｍ２未満とし、乾燥時の最高
温度を９０℃以上，１２０℃未満とする。さらに塗布後
の巻き取り時に接触する有機支持体間の巻き圧力を０．
３ｋｇ／ｃｍ２以上，０．７ｋｇ／ｃｍ２未満とする磁
気記録媒体の製造方法である。

【０００７】

【作用】本発明は、磁気記録媒体の製造時に有機支持体
に働く張力と温度および巻き圧力を特定することにより
、有機支持体の変形を小さくし製造時の歩留りを向上さ
せることができ、さらには有機支持体のヤング率を低下
させることなく磁気記録媒体の環境変化に対する寸法安
定性の向上を可能ならしめるものである。

【０００８】

【実施例】有機支持体に働く張力が８０ｋｇ／ｃｍ２未
満の場合、熱によって有機支持体が収縮する。その際分
子配向が緩和され成膜時に延伸して向上させたヤング率
が低下し耐久性が悪くなる。またでき上がった磁気記録
媒体を高温で使用する場合、一度緩和した有機支持体は
張力と熱によって容易に変形を起こすため耐久性が悪く
なる。

【０００９】有機支持体に働く張力が１２０ｋｇ／ｃｍ
２以上の場合、張力と熱によって有機支持体の塗布方向
に伸びの変形が与えられる。その直後にロール状に巻き
取られるため、巻き取った状態で残留ひずみが発生する
。この状態で温度を上昇させ硬化工程に移ると、有機支
持体が収縮を起こす。この際ロールの芯側と外側では熱
の伝達時間の差、自由端からの距離、隣接する媒体間の
圧力に違いがあるため、不均一に収縮が発生し、有機支
持体が変形し歩留りが低下する。

【００１０】乾燥温度の最高が９０℃未満の場合有機支
持体の変形では問題はなくなるが、塗布した塗料中の有
機溶剤の蒸発が不十分で磁性層、バックコート層中に溶
剤が残り、磁気記録媒体の耐久性が悪くなる。

【００１１】乾燥温度の最高が１２０℃以上になると、
有機支持体の収縮が非常に大きくなり歩留りが極めて悪
くなる。

【００１２】巻取時の圧力が０．７ｋｇ／ｃｍ２以上に
なると硬化工程の熱による有機支持体の収縮が発生した
とき有機支持体が圧力で固定されるため、収縮できずに
非常に大きな張力が働き有機支持体は大きく変形し歩留
りが低下する。また圧力によって塗布層中に含まれる液
体の潤滑剤が接触面に転写するため磁気記録媒体の摩擦
係数が高くなり耐久性が悪くなる。

【００１３】巻取時の圧力が０．３ｋｇ／ｃｍ２未満で
はロール状に巻き取っても巻き乱れが発生するため後工
程で歩留りが低下する。

【００１４】以下本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。本発明で用いられる塗料の塗布方法としては、
ドクター方式、グラビア方式、リバースロール方式、ダ
イ方式などいずれでもよい。

【００１５】本発明に用いる有機支持体は、ポリエチレ
ンテレフタレート，ポリエチレンナフタレート，ポリイ
ミド，ポリアミド等のいずれでもよい。

【００１６】延伸による強化方向としては、長手方向，
幅方向または長手，幅方向のいずれも強化した有機支持
体、あるいは等方的な有機支持体いずれでもよい。

【００１７】本発明に用いられる磁性塗料は、磁性粉，
結合剤，有機溶剤等によって構成される。

【００１８】磁性粉は、磁性酸化鉄，コバルト含有磁性
酸化鉄，コバルト被着磁性酸化鉄，メタル，バリュウム
フェライト，二酸化クロム，炭化鉄等が用いられる。

【００１９】結合剤としては、繊維素系樹脂，ポリウレ
タン系樹脂，ポリ塩化ビニル系樹脂，ポリエステル系樹
脂，アクリル系樹脂，ゴム系樹脂などの熱可塑性樹脂に
、イソシアネート化合物を組み合わせたものや、放射線
官能性不飽和二重結合を有する樹脂（化合物）を組み合
わせたものなど従来知られているものが広く使用可能で
ある。

【００２０】有機溶剤としてはＭＥＫ，ＭＩＢＫ，トル
エン，シクロヘキサノンなどを単独もしくは混合して用
いることができる。

【００２１】さらに必要に応じて、帯電防止剤，研磨剤
，潤滑剤などを用いてもよい。本発明に用いられるバッ
クコート塗料は、非磁性粉末，結合剤、さらに必要に応
じて加えられる帯電防止剤，研磨剤，潤滑剤などによっ
て構成される。

【００２２】以下、Ｓ−ＶＨＳ用コンパクトビデオカセ
ットテープの３０分用（ＳＴ−Ｃ３０）を例に取りさら
に具体的に説明する。なお本発明はこれらの実施例に限
定されるものではない。

【００２３】（実施例１）均一に混合分散された下記組
成を有する磁性塗料を塗膜の厚さが３．０μｍになるよ
うに下記のＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）フィ
ルムに塗布した後、配向，乾燥，カレンダ処理をおこな
った。

【００２４】 　　磁性塗料 　　　　Ｃｏ被着γ−Ｆｅ２Ｏ３　　　　　　　　　　
　　　　　　　　１００　　重量部　　　　カ−ボンブ
ラック　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　１　　重量部　　　　アルミナ　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　７　　重量部　　　　塩化ビニル酢酸ビニル共重合
体　　　　　　　　　　　　１１　　重量部　　　　ポ
リウレタン　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　１１　　重量部　　　　脂肪酸　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　２　　重量部　　　　脂肪酸エステル
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　１　　重量部　　　　ポリイソシアネ−ト　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　５　　重
量部　　　　ＭＥＫ　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　１２９　　重量部　
　　　トルエン　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　８６　　重量部　　　　
シクロヘキサノン　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　４３　　重量部　　ＰＥＴフィルム 　　　　幅　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　５５０ｍｍ　　
　　フィルム厚み　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　１１．７μｍ　　　　破断伸度　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　タテ　　　
　　　　　９３ｍｍ　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヨコ　　　　　
　１１０％　　　　ヤング率　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　タテ　　　　　　６６０ｋｇ／ｍ
ｍ２　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　ヨコ　　　　　　６３０ｋｇ／
ｍｍ２　　　　熱収縮率（１０５℃　　３０分保持）　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　タテ　　　　　　２．１％　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　ヨコ　　　　　　２．５％磁性塗料塗布時の工
程条件は以下のようにした。

【００２５】 張力　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　９０ｋｇ／ｃｍ２乾燥ゾーンの温度
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１１０℃巻
取圧力　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　０．５５ｋｇ／ｃｍ２６０℃、２４時間の
硬化後、下記のバックコート塗料を乾燥後の膜厚が０．
７μｍになるように磁性層と反対面に塗布した後、６０
℃で２４時間硬化を行なった。

【００２６】 　　　　バックコート塗料 　　　　カーボンブラック　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　１００　　重量部　　　　ニトロセ
ルロース樹脂　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　４０　　重量部　　　　ポリウレタン樹脂　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　４０　　重量
部　　　　ポリイソシアネート　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　２０　　重量部　　　　メチル
エチルケトン　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　６００　　重量部　　　　トルエン　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　４００
　　重量部　　　　シクロヘキサノン　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　２００　　重量部バック
コート塗料塗布時の工程条件は以下のようにした。

【００２７】 張力　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　９０ｋｇ／ｃｍ２ 乾燥ゾーンの温度　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　１１０℃巻取圧力　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　０．５５ｋｇ／ｃｍ２硬
化工程終了後、原反を１／２インチ幅のパンケーキにス
リットする。この際有機支持体の変形によって片伸び，
中伸び，幅精度不良等が発生し、歩留りが低下する。歩
留りを総パンケーキ数に対する良品のパンケーキの割合
で規定する。

【００２８】（実施例２）および（実施例３）（実施例
１）において磁性塗料及びバックコート塗料の塗布条件
を（表１）に示すようにする以外は同様にして磁気記録
媒体を製造した。

【００２９】（比較例１）乃至（比較例５）（実施例１
）において磁性塗料及びバックコート塗料の塗布条件を
（表１）に示すようにする以外は同様にして磁気記録媒
体を製造した。

【００３０】

【表１】

【００３１】良品のテ−プをＳ−ＶＨＳ用コンパクトビ
デオカセットテ−プ（Ｃカセ）に組み立てた。こうして
得られた各Ｃカセについて次の測定評価を行い、結果を
（表２）に歩留りと合わせて示した。

【００３２】（１）　　　スキュ−歪 上記ＶＴＲにて２３℃、５０％ＲＨ環境下でビデオ信号
を記録、その後、Ｃカセを６０℃、９０％ＲＨ環境下に
１０日間放置した後２３℃、５０％ＲＨ環境下に戻して
上記ＶＴＲにて再生し、タイムインタ−バルアナライザ
−（米国ＡＤＣ社製：ＴＩＡ−１７５）を用いてスキュ
−歪を測定した。

【００３３】（２）　　耐久性 上記ＶＴＲにＣカセを装着し、４０℃、８０％ＲＨ環境
下で１００パス走行試験した後、折れ，片伸び等のテー
プの変形と磁性層，バックコート層の塗膜の削れを目視
判定により次ぎの記号を用いて評価した。

【００３４】○：良好　　△：やや不良　　×：不良

【
００３５】

【表２】

【００３６】（表２）から明らかなように、本発明によ
れば磁気記録媒体の製造工程において歩留りが高く、さ
らに優れた耐熱寸法安定性、耐久性の良い磁気記録媒体
が得られることがわかる。

【００３７】

【発明の効果】以上詳述したように磁気記録媒体の製造
工程において、有機支持体の受ける張力，温度および巻
き圧力を特定する事により、歩留りが高く、耐熱寸法安
定性、耐久性が高い磁気記録媒体を提供することができ
る。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　磁性粉末もしくは非磁性粉末を結合在
   中に分散させた塗料を長尺の有機支持体上に塗布，乾燥
   して磁性層もしくはバックコート層を形成させた後、有
   機支持体をロール状に巻き取る磁気記録媒体の製造工程
   において、前記製造工程で有機支持体に働く張力を８０
   ｋｇ／ｃｍ２　以上，１２０ｋｇ／ｃｍ２　未満とし、
   乾燥時の最高温度を９０℃以上，１２０℃未満、さらに
   有機支持体の巻取時の隣接層間の圧力を０．３ｋｇ／ｃ
   ｍ２以上，０．７ｋｇ／ｃｍ２　未満とすることを特徴
   とする磁気記録媒体の製造方法。