JPH0424586B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は自動変速機のエクステンシヨンハウジ
ング軸受部の潤滑装置に関するものである。

（従来技術） 従来、オーバドライブ装置を備えた自動変速機
においては、トランスミツシヨンケースの後方に
エクステンシヨンハウジングを連結したものがあ
り、その場合、該エクステンシヨンハウジング内
に出力軸、車速センサ、ガバナ弁等が収容される
ようになつている。

そして、上記エクステンシヨンハウジング内の
出力軸はベアリング、ブツシユ等の支持手段によ
つて支持され、該支持手段に潤滑油が供給される
ようになつている。

ところが、上記エクステンシヨンハウジングは
自動変速機の後端部に位置するため、被潤滑物へ
の潤滑油の供給が制約されて潤滑油が十分に供給
されないため、出力軸を円滑に回転させることが
できず、出力損失を生じてしまう。また、被潤滑
物への潤滑油の供給が不足すると、摩擦による発
熱量が増大して被潤滑物を劣化させるだけでな
く、被潤滑物の劣化が他の部材の劣化を誘発する
ことがある。

そこで、エクステンシヨンハウジングなどの固
定部分に油受けを取り付けるとともに、出力軸に
半径方向に油穴を形成し、上記出力軸の回転に伴
つて発生する遠心力によつて潤滑油を噴出させ、
それを軸受部に供給むるようにしている。

第１図は従来の自動変速機のエクステンシヨン
ハウジング軸受部の潤滑装置を内蔵した電子制御
式自動変速機の断面図である。

図において、１０１はエクステンシヨンハウジ
ング軸受部の潤滑装置、１２１は遊星歯車変速機
構、クラツチ及びブレーキを備えた変速機構、１
２２は前記変速機構１２１を収容するトランスミ
ツシヨンケースである。該トランスミツシヨンケ
ース１２２の下面には油圧制御装置１２６が締結
され、これらによつて電子制御式自動変速機（以
下、「自動変速機」と言う。）１０２が構成され
る。

上記トランスミツシヨンケース１２２にエクス
テンシヨンハウジング（以下、「ハウジング」と
言う。）１２４が連結され、該ハウジング１２４
内に上記変速機構１２１の出力軸１０３が設けら
れる。

該出力軸１０３の外周には、キー１４１により
固着された電子式センサロータ（以下、「ロータ」
と言う。）１０４が設けられていて、該ロータ１
０４に隣接してスピードメータドライブギア（以
下、「車速センサ」と言う。）１０５が設けられ、
出力軸１０３を包囲している。

前記出力軸１０３の端部の外周にはスリーブヨ
ーク１２３がスプライン嵌合されており、該スリ
ーブヨーク１２３は軸受１８４及びオイルシール
１４４を介して上記ハウジング１２４の軸受部１
４３に挿通されている。

そして、前記出力軸１０３の内部に形成された
軸方向油路１１１と連通して半径方向穴１１３が
形成され、前記ロータ１０４の図示下部の内周に
キー溝１４２が形成される。前記ロータ１０４の
図示上部の内周には潤滑油路溝１１４が形成さ
れ、前記半径方向穴１１３と連結される。前記潤
滑油路溝１１４より半径方向外方（図示上方）に
は上記ロータ１０４の外周に貫通する油噴出穴１
１５が形成される。

また、上記出力軸１０３のロータ１０４付近の
外周１０３ａには、段１１０が形成され、ロータ
１０４側には前記段１１０に対応して段１０４ａ
が形成される。

上記構成の自動変速機のエクステンシヨンハウ
ジング軸受部の潤滑装置１０１においては、潤滑
油は、軸方向油路１１１→半径方向穴１１３→潤
滑油路溝１１４→油噴出穴１１５を通つてハウジ
ング１２４の軸受部１４３に供給される。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、上記従来の自動変速機のエクス
テンシヨンハウジング軸受部の潤滑装置において
は、出力軸１０３に段１１０が形成されていて、
ロータ１０４の内周にも段１０４ａを形成する必
要があり、内周の加工が容易ではなく、また段１
０４ａを形成しているため出力軸１０３との当接
部１０７が小さく、ロータ１０４にガタが発生し
て傾きが起こりやすく、またキー溝１４２と潤滑
油路溝１１４とを別々に形成していたため、加工
工程が多くなつてしまう。

本発明は、上記従来の自動変速機のエクステン
シヨンハウジング軸受部の潤滑装置の問題点を解
決して、加工性、組付性を向上し、軽量化を図
り、ガタによる傾きが発生するのを抑制し、しか
も潤滑油を万滑に供給することができる自動変速
機のエクステンシヨンハウジング軸受部の潤滑装
置を提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） そのために、本発明の自動変速機のエクステン
シヨンハウジング軸受部の潤滑装置においては、
電子制御式自動変速機の変速機構を収容するトラ
ンスミツシヨンケースと、該トランスミツシヨン
ケースに連結されたエクステンシヨンハウジング
と、該エクステンシヨンハウジング内に延在する
前記変速機構の出力軸と、該出力軸に外嵌され、
キーにより固着された電子式センサロータと、前
記出力軸とスプライン嵌合され、軸受及びオイル
シールを介して前記エクステンシヨンハウジング
の軸受部に挿通されたスリーブヨークと、前記出
力軸の周囲に潤滑油を供給する潤滑油路を有して
いる。

そして、該潤滑油路は、前記出力軸の内部に形
成された軸方向油路と、該軸方向油路と連通して
形成された半径方向穴とと該半径方向穴と連通
し、前記電子式センサロータの内周に形成された
キー溝と一体的に形成された潤滑油路溝と、該潤
滑油路溝と連結し、前記電子式センサロータの外
周に貫通した油噴出穴とから成る。

（作用及び発明の効果） 本発明によれば、上記のように電子制御式自動
変速機の変速機構を収容するトランスミツシヨン
ケースと、該トランスミツシヨンケースに連結さ
れたエクステンシヨンハウジングと、該エクステ
ンシヨンハウジング内に延在する前記変速機構の
出力軸と、該出力軸に外嵌され、キーにより固着
された電子式センサロータと、前記出力軸とスプ
ライン嵌合され、軸受及びオイルシールを介して
前記エクステンシヨンハウジングの軸受部に挿通
されたスリーブヨークと、前記出力軸の周囲に潤
滑油を供給する潤滑油路を有している。

そして、該潤滑油路は、前記出力軸の内部に形
成された軸方向油路と、該軸方向油路と連通して
形成された半径方向穴と、該半径方向穴と連通
し、前記電子式センサロータの内周に形成された
キー溝と一体的に形成された潤滑油路溝と、該潤
滑油路溝と連結し、前記電子式センサロータの外
周に貫通した油噴出穴とから成る。

潤滑油は、前記軸方向油路、半径方向穴、潤滑
油路溝、油噴出穴を介して供給され、ハウジング
の軸受部に送られて潤滑を行う。

そして、従来は前記電子式センサロータを出力
軸に固定するためのキー溝と、潤滑油路を確保す
るための潤滑油路溝をそれぞれ別々に切削してい
るが、本発明の場合、キー溝を潤滑油路溝と同時
加工して一体的に形成することにより、溝加工を
一つなくすことができる。

また、キー溝を潤滑油路溝と一体的に形成する
ことにより、前記電子式センサロータの内周をス
トレート形状にすることができ、加工性を向上さ
せるだけでなく、出力軸との当接面を大きくとる
ことができ、ロータにガタが発生することによる
傾きを小さくすることができる。

さらに、前記電子式センサロータの内周をスト
レート形状にしているので、軸方向に左右対称形
とすることにより、組付方向性をなくすことがで
きる。

また、軸方向におけるマグネツトの取付位置は
決まつており、左右対称形とすることにより、ロ
ータのシリンダを短くしてロータを軽量化するこ
とができる。

（実施例） 以下、本発明の実施例について図面を参照しな
がら詳細に説明する。

１は潤滑油路、２は該潤滑油路１を内蔵したオ
ーバードライブ（OD）付前進４段変速および後
進１段変速の自動変速機、３は後方３１にアウタ
スプライン３２およびキー溝３３ａ，３３ｂを設
けた変速機の出力軸、４は該出力軸３のストレー
ト状の外周３４に取付けられ、回転防止のための
前記キー溝３３ａに設けられた半月キー４１を取
付けるキー溝４２、該キー溝４２を前記外周３４
に対応したストレート状の内周４３を形成して軸
方向に左右対称形とし、前記出力軸３との当接面
４０を内周４３の軸方向全体とし、外周４４に突
出したマグネツト取付部４５を設け、該マグネツ
ト取付部４５より左右対称形のひさし部４６ａ，
４６ｂを有するシリンダ４７を備えたロータ、５
は該ロータ４と隣接し、外周５１にスプライン５
２を形成し、内周５３は回転防止のための前記出
力軸３のキー溝３３ｂに設けられたボールキー５
４を取付けるキー溝５５を形成し、図示しないリ
ードスイツチによりON、OFFされる車速セン
サ、６ａ，６ｂは前記出力軸３の外周３４に形成
された溝６１ａ，６１ｂに固着され、隣接したロ
ータ４と車速センサ５とを固定するスナツプリン
グである。

潤滑油路１は、前記出力軸３の前方（図示左
方）３５の内部に形成され、前方の油路２０Ａか
らの潤滑油および該油路２０Ａの潤滑油の不足分
を補うために油圧制御装置２６のライン圧供給油
路２６ａより潤滑油を供給する軸方向油路１１
と、該軸方向油路１１の後方１２に連結した半径
方向穴１３と、前記ロータ４のキー溝４２と一体
的に形成された潤滑油路溝１４と、該潤滑油路溝
１４より前記半径方向穴１３と同方向の半径方向
外方（図示下方）にシリンダ４７の外周４４に貫
通して形成された２本の潤滑油噴出穴１５，１６
とからなる。

自動変速機２は、トルクコンバータを内包する
トルクコンバータハウジング（図示せず）と、オ
ーバードライブ（OD）機構、遊星歯車変速機
構、クラツチおよびブレーキを備えた変速装置２
１を内蔵するトランスミツシヨンケース２２と、
前記出力軸３のアウタスプライン３２とスプライ
ン嵌合部３６をつくるインナスプライン７３を形
成したスリーブヨーク７を軸受部９に挿通された
ハウジング８からなり、トランスミツシヨンケー
ス２２の下面にはオイルパン２５に内蔵された油
圧制御装置２６を有する。

スリーブヨーク７は、軸受部７１とバブ部７２
とからなり、軸受部７１は内周側７１ａに前記イ
ンナスプライン７３を形成し、外周側７１ｂで軸
受（スラストベアリング）７４を介して前記ハウ
ジング８の軸受部９に回転自在に支持され、付根
部７５の外周側７５ａに一端７６ａが固着され、
他端７６ｂは後記する軸受部９に固着されたダス
トカバーの内周側に平行に配されたダストカバー
７６からなり、バブ部７２は内周側７２ａでシー
ル材７７を介して自在継手７８と連結し、自在継
手７８は推進軸７９を連結している。

前記ハウジング８は、前記軸受部９より図示右
方へ突出した突出部９１と、該突出部９１の内周
側９１ａに設けられたオイルシール９２と、突出
部９１の外周９１ｂに一端部９３ａを固着され、
後方へ延長し、オイルシール９２を雨水や粉塵よ
り防ぐダストカバー９３と図示下方の前記軸受部
９には、前記トランスミツシヨンケース２２方向
に突設され、油溜堰９４を、該油溜堰９４の先端
で固着する樋状突出部９５と、前記油溜堰９４、
樋状突出部９５に囲まれた油溜９６と、また軸受
部９の内周側９ａには前記スラストベアリング７
４を装着している。自動変速機の機関の出力およ
び車両の車速に応じて油圧制御装置２６内の複数
のバルブの種々の切換えにより各クラツチおよび
ブレーキの係合または解放を行い、オーバードラ
イブを含む前進４段の変速または手動切換えによ
る後進１段の変速が行われるようになつている。

この構成において出力軸３の軸方向油路１１内
の潤滑油は、半径方向穴１３より油圧および出力
軸３の遠心力によつて噴出されたロータ４の潤滑
油路溝１４に供給され、ロータ４、車速センサ５
およびキー４１を強制潤滑する。潤滑油路溝１４
に供給された潤滑油は、ロータ４の潤滑油噴出穴
１５よりハウジング８の内壁９０へ出力軸３の回
転により拡散して図示上方のスラストベアリング
７４、オイルシール９２、スプライン嵌合部３６
を潤滑する。スプライン嵌合部３６に供給された
潤滑油は、油溜９６へ供給され、油溜９６に供給
された潤滑油はさらに図示下方のオイルシール９
２のスラストベアリング７４を潤滑する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の自動変速機のエクステンシヨン
ハウジング軸受部の潤滑装置を内蔵した電子制御
式自動変速機の断面図、第２図は本発明の自動変
速機のエクステンシヨンハウジング軸受部の潤滑
装置の電子制御式自動変速機の断面図である。 図中、１…潤滑油路、２…車両用電子制御式自
動変速機、３…出力軸、４…電子式センサロー
タ、５…車速センサ（スピードメータドライブギ
ア）、７…スリーブヨーク、８…エクステンシヨ
ンハウジング、９…軸受部、１１…軸方向油路、
１３…半径方向穴、１４…潤滑油路溝、１５，１
６…潤滑油噴出穴、２２…トランスミツシヨンケ
ース、２６…油圧制御装置、７４…軸受（スラス
トベアリング）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 電子制御式自動変速機の変速機構を収容する
   トランスミツシヨンケースと、該トランスミツシ
   ヨンケースに連結されたエクステンシヨンハウジ
   ングと、該エクステンシヨンハウジング内に延在
   する前記変速機構の出力軸と、該出力軸に外嵌さ
   れ、キーにより固着された電子式センサロータ
   と、前記出力軸とスプライン嵌合され、軸受及び
   オイルシールを介して前記エクステンシヨンハウ
   ジングの軸受部に挿通されたスリーブヨークと、
   前記出力軸の周囲に潤滑油を供給する潤滑油路を
   有し、該潤滑油路は、前記出力軸の内部に形成さ
   れた軸方向油路と、該軸方向油路と連通して形成
   された半径方向穴と、該半径方向穴と連通し、前
   記電子式センサロータの内周に形成されたキー溝
   と一体的に形成された潤滑油路溝と、該潤滑油路
   溝と連結し、前記電子式センサロータの外周に貫
   通した油噴出穴とから成ることを特徴とする自動
   変速機のエクステンシヨンハウジング軸受部の潤
   滑装置。 ２ 前記出力軸は、前記電子式センサロータ付近
   の外周をストレート形状としたことを特徴とする
   特許請求の範囲第１項記載の自動変速機のエクス
   テンシヨンハウジング軸受部の潤滑装置。