JPH04237520A - リング板の製造方法およびその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、リング板の製造方法
およびその装置に関し、更に詳しくは、比較的大径のリ
ング板を製造するに際し、工程省略による生産効率の向
上と良好な寸法精度とを併せて実現し得るリング板の製
造方法およびこれに使用する装置に関するものである。

【０００２】

【従来技術】例えば図７に示す如く、自動車の駆動伝達
部であるアクスルハウジング１０において、組立て時に
その開口部１０ａは、カップ状のギャキャリア１２によ
り塞がれる。この場合に、前記開口部１０ａとギャキャ
リア１２との間には、平板状のリング板１４が介挿され
るようになっている。また各種プラントにおける配管系
には、パイプを相互に接続するに際し、同じく平板状の
リング板が介挿使用される。これらのリング板は一般に
比較的大径であるので（前記ハウジング用リング板は、
例えば直径４８５ミリで内径３８５ミリである）、その
製造に際し、平坦な板材からプレスによりドーナツ状に
打抜くのは、不用部分が大量に出て無駄となるため極め
て不経済である。そこで従来、前述の如き比較的大径の
リング板は、図８（ａ）〜（ｇ）に示す工程を経て製造
される。すなわち図８（ａ）に示す如く、長尺の板状素
材１６を所望の長さに定尺切断した後、この定尺素材１
６は、図８（ｂ）に示すベンディングロール１８に供給
される。 このベンディングロール１８は、単一の押しロール２０
と、該ロール２０に夫々対向させて設けた一対の受けロ
ール２２，２４とから基本的に構成され、これらロール
群に前記定尺素材１６を通過させることによって、当該
板材１６に所要の巻きが与えられる。

【０００３】しかし、この巻き工程で得られた素材１６
は、図８（ｃ）から判明する如く、その両切断端部が密
着的に対向していないので、このままでは該切断部を接
合することはできない。そこで、巻き工程を経た板状素
材１６の両端部は、プレス等の手段により強制的に端曲
げ加工を施して、図８（ｄ）に示す如く略密着的に向き
合わせた後、フラッシュバット溶接により接合させる（
図８（ｅ）参照）。この溶接により得られたリング板２
６は、前記の如く端部間接合用の端曲げが施されている
ため、平面においてＤ字形状を呈している。従って、図
８（ｆ）に示す如く真円に近付けるための矯正工程を不
可欠としている。また、この段階では最終製品に要求さ
れる平坦度、真円度その他寸法精度は満されていないの
で、図８（ｇ）に示すように、リング板２６を半径方向
外方に拡開させるエキスパンション矯正の工程を更に必
要としている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このように、比較的大
径のリング板を製造するに際し従来は、定尺切断→巻き
工程→端曲げ工程→フラッシュバット溶接→円形矯正→
エキスパンション矯正の如く多数の工程を要し、これら
工程数の増加は生産効率を低下させると共に、煩雑な工
程管理を作業者に強要するものであった。また、素材の
両切断端部を接合させるため端曲げ加工を必須としてい
るが、これにより素材には大きな機械的応力が加わるた
めに、その後の円形矯正やエキスパンション矯正によっ
ても、形状の平坦度や真円度その他寸法は充分な精度が
得られていないのが現状である。

【０００５】

【発明の目的】この発明は、前述した比較的大径のリン
グ板を製造する従来技術に内在している課題に鑑み、こ
れを好適に解決するべく提案されたものであって、工程
省略による生産効率の向上と寸法精度の向上とを併せて
実現し得るリング板の製造方法およびこれを好適に実現
する装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記課題を克服し、所期
の目的を達成するため本発明に係るリング板の製造方法
は、単一の押しロールと一対の受けロールとからなるベ
ンディングロールの間に、長尺の板状素材をその幅方向
の板面が前記各ロールの軸線に対して略交差する姿勢で
挿入して前記押しロールの外周に倣った形状の巻きを与
えると共に、少なくとも１巻きされた後の前記板状素材
の進行方向を若干該押しロールの軸方向に偏倚させるこ
とにより、ロール軸方向に順次積層した連続する平板状
螺旋コイルを得、この平板状螺旋コイルを前記ベンディ
ングロールから取外した後に、該螺旋コイルを一個所に
て軸方向に切断することにより、リング部が一個所で切
断された複数のリング板を得、これら各リング板におけ
る切断端部を相互に突当て溶接することにより最終製品
としてのリング板を製造することを特徴とする。

【０００７】また、前記製造方法を好適に実施して前記
課題を克服し得る本願の別の発明に係るリング板の製造
装置は、単一の押しロールと、これに夫々対向させて設
けた一対の受けロールとからなるベンディングロールで
あって、前記押しロールは、その円筒状本体の基端部周
辺で半径方向外方に突出するリム部と、このリム部に凹
設されて前記板状素材の挿入を許容する溝部とを有する
と共に、前記一対の受けロールにおける少なくとも前記
板状素材の挿入側に近接したロールに、その円筒状本体
の基端部周辺に半径方向外方に突出して前記板状素材の
挿入を許容する突部を有し、前記板状素材の挿入側付近
に、前記ベンディングロールにより少なくとも１巻きさ
れた後の板状素材の進行方向を若干前記押しロールの軸
方向に偏倚させる偏倚手段を配設したことを特徴とする
。

【０００８】

【実施例】次に、本発明に係るリング板の製造方法およ
びその装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を
参照しながら以下説明する。なお、既出の同一または同
効の部材に関しては、同じ番号を付して指示するものと
し、その詳細な説明は省略する。

【０００９】図１は、好適な実施例に係るリング板の製
造装置を概略的に示す斜視図であって、垂直な軸線を有
する単一の押しロール２０と、これに夫々対向させて所
要間隔で設けた第１受けロール２２および第２受けロー
ル２４とからなるベンディングロール１８が示されてい
る。押しロール２０および受けロール２２，２４におけ
る夫々の軸心は、平面において仮想三角形の各頂点に位
置し、これらロール群の間に供給される長尺の板状素材
１６に押しロール２０の外周に倣った形状の巻きを与え
るようになっている。前記押しロール２０は、図示しな
い回転駆動源に接続して所要方向への回転が付与され、
一対の受けロール２２，２４は、前記ロール群の間に供
給される長尺板状素材１６を介して従動的に回転される
。

【００１０】前記押しロール２０の円筒状本体の下端部
周辺には、半径方向外方に突出するリム部２０ａが一体
的に周設され、このリム部２０ａの中央に、ワークとし
ての板状素材１６の挿入通過を許容する一条の溝部２８
が周方向に穿設されている。また前記一対の受けロール
２２，２４においても、少なくともワーク挿入側に近接
した第１ロール２２には、前記押しロール２０に設けた
と同様のリム部および溝部が形成されている。すなわち
、第１受けロール２２における円筒状本体の下端部周辺
に、半径方向外方に突出するリム部２２ａが一体的に周
設されている。このリム部２２ａの中央に、板状素材１
６の挿入通過を許容する一条の溝部３０が穿設され、該
溝部３０は押しロール２０の溝部２８と所要の間隔を介
して対向している（図２参照）。なお前記受けロール２
２，２４に関しては、前記溝部３０を形成することは必
ずしも要件ではなく、図３に示すように、第１受けロー
ル２２の下端部周辺に、半径方向外方に突出するリム部
２２ａを一体的に周設しただけの構成としてもよい。こ
の場合は、長尺の板状素材１６はこのリム部２２ａの上
面に当接してガイドされることになる。

【００１１】前記ベンディングロール１８における板状
素材１６の挿入側付近には、図１に示すように、緩い傾
斜面からなるジャンプ台状の偏倚手段３２が配設されて
いる。この偏倚手段３２は、ベンディングロール１８に
より巻きを一周り与えた後の板状素材１６に関して、該
素材１６を若干上方にすくい上げるようにして、その進
入方向を偏倚させるべく機能するものである。この機能
を好適に果すために、該偏倚手段３２の高さは、図２か
ら明らかな如く、例えば押しロール２０に形成した溝部
２８の最上面と略一致する程度に設定されているものと
する。そして、前記の如く板状素材１６の進入方向を上
方に偏倚させるべく機能するものである限り、偏倚手段
３２の形態は、図４（ａ）に示す如く、上方に向け反り
返る湾曲面としても、また図４（ｂ）に示すように、上
下に昇降して高さ調節自在に構成したコロ式としてもよ
い。

【００１２】次に、このように構成した製造装置を使用
して、比較的大径のリング板を製造する際に実施される
リング板の製造方法につき説明する。所望のリング板を
製造するのに適した厚みと板幅とを有する長尺の板状素
材１６を、図１に示す如く、前記ベンディングロール１
８におけるロール群中に略水平方向から供給する。この
とき板状素材１６の一方の長手方向端縁部は、押しロー
ル２０のリム部２０ａに穿設した周方向の溝部２８に嵌
挿されると共に、板状素材１６の他方の長手方向端縁部
は、第１受けロール２２のリム部２２ａに穿設した溝部
３０に嵌挿される。そして図示しない駆動源により、押
しロール２０に所要方向の回転を付与すれば、板状素材
１６はその長手方向の両端縁部を、押しロール２０およ
び第１受けロール２２の各溝部２８，３０に挟持状態で
ガイドされつつ一方向に強制的に移送される。その移送
に伴い板状素材１６における他方の長手方向端縁部は、
第２受けロール２４に接触して偶力が与えられ、押しロ
ール２０の周囲を１周りするに至る。

【００１３】このように１回の巻き加工が施された板状
素材１６は、その先端が前記偏倚手段３２の上面に接触
してすくい上げられることとなり、従って該板状素材１
６は若干上方へ強制的に偏倚させられる。この状態で、
押しロール２０を更に所要方向に回転させれば、板状素
材１６は該押しロール２０の周囲に軸方向に順次積層し
た状態で巻回され、連続する平板状の螺旋コイル３４が
得られる。この巻回をｎ回（通常４〜１０周）実行した
後、長尺板状素材１６の未加工側の端部を所要の手段に
より切断し、次いで得られた平板状螺旋コイル３４を押
しロール２０から上方に抜き取る。

【００１４】前記ベンディングロール１８から取外した
平板状螺旋コイル３４は、図５に示す如く、その一個所
において軸方向に上から下まで全て切断する。これによ
り、一個所で切断された複数枚のリング板３６が得られ
る。そこで、これら各リング板３６における切断端部を
、図６に示すように相互に突当てた後、例えばフラッシ
ュバット溶接することによって、最終製品としてのリン
グ板３６が好適に製造される。なお、１個の螺旋コイル
３４から切断により一挙に得られた多数のリング板３６
は、図示しない手段により自動溶接装置に連続供給し、
まとめて前記のフラッシュバット溶接を自動的に行なう
ようにしてもよい。

【００１５】このように端部溶接が完了したリング板３
６は、前記一連の曲げ加工や切断加工に伴いねじれ等の
歪や溶接歪を内在しているので、該リング板３６を半径
方向外方に拡開させるエキスパンション矯正を施せば更
に好適である。但し、本発明に係る方法によれば、巻き
精度はかなり良好であるので、最終製品に要求されてい
る品質程度によっては、この矯正工程を省略することが
できる。なお実施例では、長尺の板状素材１６として、
アクスルハウジング向けリング板に好適な機械構造用炭
素鋼の使用を想定しているが、その他ステンレス鋼等の
各種金属板材を使用可能である。また各ロールの材質は
、一般に機械構造用炭素鋼の使用が推奨される。

【００１６】更にベンディングロールにおける前記偏倚
手段３２としては、図面に関して説明した「すくい上げ
手段」に限られるものではない。例えば別の偏倚手段３
２として、押しロール２０と受けロール２２，２４とを
上下逆に倒立させた構成にすると共に、前記板状素材１
６の挿入側付近に、該素材１６を押しロール２０の軸方
向に若干押し下げる「押し下げ手段」を設けることとし
てもよい。このとき平板状螺旋コイル３４は、下向きに
積層されることになる。また図示例のベンディングロー
ルでは、各ロールの軸線が垂直になるよう立設したもの
につき説明したが、これ以外に、例えば各ロールの軸線
が水平になるよう横方向に配設したベンディングロール
としてもよい。

【００１７】

【発明の効果】以上説明した如く、本発明に係るリング
板の製造方法およびその装置によれば、比較的大径のリ
ング板を製造するに際し、長尺の板状素材を軸方向に順
次積層する状態で巻回して平板状の螺旋コイルとし、こ
の平板状螺旋コイルを一個所で縦方向に切断することに
より複数のリング板を得た後、これら各リング板の切断
端部を突当て溶接することにより所要のリング板を製造
し得るものであって、従来の多数の工程を要するリング
板製造方法に比し、顕著な工程省略による生産効率の向
上が達成される。

【００１８】また従来のリング板製造方法では、既に述
べた如く、巻き工程を経た後の板状素材の両切断端部を
接合させるために、端曲げ加工を必要としている。この
とき該素材には大きな機械的応力が加わって、ねじれ等
の歪の程度も大きなものとなっている。従って、その後
の円形矯正やエキスパンション矯正によっても、形状の
平坦度や真円度その他寸法は充分な精度を得るのが困難
であった。しかるに本発明に係るリング板の製造方法に
よれば、巻き工程を経た板状素材に関して前述の如き端
曲げ加工は必要としないので、機械的な歪の程度も軽微
なものとなっており、最終製品に要求される平坦度、真
円度その他寸法精度も略満足が得られる程度となってい
る。従って、品質要求のグレードによっては、リング板
を半径方向外方に拡開させるエキスパンション矯正の工
程も必要としない等の優れた多くの利点が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るリング板の製造方法を好適に実施
し得る一実施例としての製造装置の概略斜視図である。

【図２】押しロールの溝部と受けロールの溝部とが、所
要の間隔を介して対向している状態を示すベンデイング
ロールの側面図である。

【図３】受けロールの下端部周辺に、半径方向外方に突
出するリム部を一体的に周設した構成とし、長尺の板状
素材がこのリム部の上面に当接してガイドされる状態を
示すベンデイングロールの側面図である。

【図４】偏倚手段の内で、板状素材をすくい上げる手段
として機能する型式の２つの実施例を夫々示すものであ
って、図４（ａ）は上方に向け反り返る湾曲面とした形
態に係るすくい上げ手段の概略側面図であり、また図４
（ｂ）は上下に昇降して高さ調節自在に構成したコロ式
に係るすくい上げ手段の概略側面図である。

【図５】ベンディングロールから取外した平板状螺旋コ
イルを、その一個所において軸方向に上から下まで全て
切断した状態で示す斜視図である。

【図６】リング板における切断端部を相互に突当てた後
、フラッシュバット溶接によって最終製品としてのリン
グ板を製造した状態を示す斜視図である。

【図７】比較的大径のリング板が使用される一例を自動
車の駆動伝達部であるアクスルハウジングに関して示す
ものであって、該ハウジングの分解斜視図である。

【図８】比較的大径のリング板を製造する工程を経時的
に示す概略説明図である。

【符号の説明】

１６　　長尺板状素材 １８　　ベンディングロール ２０　　押しロール ２０ａ　　リム部 ２２　　第１受けロール ２２ａ　　リム部 ２４　　第２受けロール ２８　　溝部 ３０　　溝部 ３２　　偏倚手段（すくい上げ手段） ３４　　平板状の螺旋コイル ３６　　リング板

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　単一の押しロールと一対の受けロール
   とからなるベンディングロールの間に、長尺の板状素材
   をその幅方向の板面が前記各ロールの軸線に対して略交
   差する姿勢で挿入して前記押しロールの外周に倣った形
   状の巻きを与えると共に、少なくとも１巻きされた後の
   前記板状素材の進行方向を若干該押しロールの軸方向に
   偏倚させることにより、ロール軸方向に順次積層した連
   続する平板状螺旋コイルを得、この平板状螺旋コイルを
   前記ベンディングロールから取外した後に、該螺旋コイ
   ルを一個所にて軸方向に切断することにより、リング部
   が一個所で切断された複数のリング板を得、これら各リ
   ング板における切断端部を相互に突当て溶接することに
   より最終製品としてのリング板を製造することを特徴と
   するリング板の製造方法。
2. 【請求項２】　　単一の押しロールと、これに夫々対向
   させて設けた一対の受けロールとからなるベンディング
   ロールであって、前記押しロールは、その円筒状本体の
   基端部周辺で半径方向外方に突出するリム部と、このリ
   ム部に凹設されて前記板状素材の挿入を許容する溝部と
   を有すると共に、前記一対の受けロールにおける少なく
   とも前記板状素材の挿入側に近接したロールに、その円
   筒状本体の基端部周辺に半径方向外方に突出して前記板
   状素材の挿入を許容する突部を有し、前記板状素材の挿
   入側付近に、前記ベンディングロールにより少なくとも
   １巻きされた後の板状素材の進行方向を若干前記押しロ
   ールの軸方向に偏倚させる偏倚手段を配設したことを特
   徴とするリング板の製造装置。