JPH04226949A - グリシンの精製方法 - Google Patents

グリシンの精製方法

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JPH04226949A
JPH04226949A JP3123384A JP12338491A JPH04226949A JP H04226949 A JPH04226949 A JP H04226949A JP 3123384 A JP3123384 A JP 3123384A JP 12338491 A JP12338491 A JP 12338491A JP H04226949 A JPH04226949 A JP H04226949A
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ammonia
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Yuuji Matsuu
松鵜 裕児
Hiroshi Kato
寛 加藤
Atsuhiko Hiai
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はグリシンの精製方法に関
し、詳しくは、グリシン水溶液から実際上無色のグリシ
ンを得る方法に関する。グリシンは加工食品の食品添加
剤や農薬、医薬の原料として広く使用されている有用な
化合物である。
【0002】
【従来の技術】従来、グリシンの製造方法としては、主
として(1)モノクロル酢酸のアミノ化法、(2)スト
レッカー法、(3)ヒダントイン法等が知られている。
【0003】(1)モノクロル酢酸のアミノ化法は原料
が高価である上に、塩化アンモニウムのようなアンモニ
ウムの鉱酸塩およびイミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸が
生成しこれらとグリシンとの分離が複雑である。
【0004】(2)ストレッカー法は青酸、ホルマリン
から合成できるグリコロニトリルとアンモニアを反応さ
せ、さらに水酸化ナトリウム等のアルカリで加水分解し
てグリシンの金属塩をまず製造する方法であり、フリー
のグリシンを直接製造することができない。
【0005】このグリシンの金属塩からフリーのグリシ
ンを製造する方法として(a)酸性陽イオン交換樹脂で
グリシンの金属塩をイオン交換する方法あるいは(b)
硫酸等の鉱酸で中和して脱塩する方法が知られているが
、イオン交換樹脂の使用は膨大な樹脂量を必要とし、一
方、鉱酸としてたとえば硫酸を使用した場合、中和塩で
ある硫酸ナトリウム、副生成物であるイミノジ酢酸等と
グリシンとの分離が複雑となり、また、これらの中和塩
の処理が問題となる。
【0006】(3)ヒダントイン法は青酸とホルムアル
デヒドから合成できるグリコロニトリルとアンモニア、
炭酸ガスを水の存在下に反応させ、ヒダントインを製造
し、その加水分解によりグリシンを製造する方法である
。原料として青酸のかわりに青酸ナトリウムや青酸カリ
ウムを使用した場合、あるいは、加水分解において水酸
化ナトリウム等のアルカリを使用した場合、ストレッカ
ー法と同様にフリーのグリシンを直接製造することがで
きず、その結果、中和塩の処理等の問題も有する。
【0007】このヒダントイン法において、水酸化ナト
リウム等のアルカリを使用しないで直接グリシンを得る
方法(以下、直接ヒダントイン法と言う)は硫酸ナトリ
ウム等の副生を伴わず、公害のない経済的なグリシンの
製造方法である。
【0008】このような直接ヒダントイン法として、例
えば、シアン化水素とアルデヒドとアンモニアおよび二
酸化炭素を水溶媒中 100℃以上で加熱する方法(U
SP3,536,726)が挙げられる。
【0009】上記諸方法で得られる粗グリシンの脱色に
は一般に粗グリシンの水溶液をイオン交換樹脂、活性炭
で処理する方法が知られている。メタノールを使用した
晶析やメタノールによる洗浄も脱色には有効である。
【0010】ストレッカー法ではフリーのグリシンを得
るためにグリシンの金属塩を通常、硫酸等でグリシンの
晶析に都合の良いpH6〜7程度に中和して脱塩する操
作を行い、中和塩を含有したグリシン水溶液の状態で、
あるいは、中和塩の大部分を分離したグリシン水溶液の
状態で、活性炭、陰イオン交換樹脂等で脱色が行われる
【0011】特公昭54−1686 ではストレッカー
法、モノクロル酢酸法等で得られるグリシンについて、
pH7以下の粗グリシン水溶液を50℃以下で弱塩基性
陰イオン交換樹脂もしくは中塩基性イオン交換樹脂で処
理するグリシンの精製方法が開示されている。さらに、
脱色に活性炭を使用した場合は粗グリシンは一見脱色さ
れるが濃縮のために加熱すると再び着色し、したがって
、活性炭を使用する場合には再結晶を繰り返す必要があ
るばかりか活性炭の使用量も多大となることが記載され
ている。
【0012】一方、直接ヒダントイン法で得られた着色
グリシンの脱色方法はUSP3,536,726では反
応液をそのまま活性炭で処理し、メタノールによる晶析
を行ってグリシンを取得する方法が、特開昭49−12
7915 では反応液を減圧下に濃縮してグリシンの結
晶を析出させ、それを活性炭で脱色し、水−メタノール
により再結晶して白色のグリシンを取得する方法が開示
されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】特公昭54−1686
 に示されるように、グリシンの脱色に活性炭を使用し
た場合、その使用量は多く、公知の方法は効率的ではな
く不経済的である。
【0014】直接ヒダントイン法で得られる反応液も他
法と同様に黄色〜褐色に着色しており、この反応液につ
いて、本発明者らが上述のUSP3,536,726お
よび特開昭49−127915 の実施例に示された方
法を用いた結果、活性炭の使用量は膨大で工業的には全
く実施不可能であることがわかった。さらに、特公昭5
4−1686 に記載の方法、すなわち、塩酸でpH7
以下に調製した粗グリシン水溶液を用い、弱塩基性陰イ
オン交換樹脂で処理する方法においては、脱色率は60
〜70%程度であり、また弱塩基性陰イオン交換樹脂の
寿命も短く、直接ヒダントイン法のグリシンの脱色には
適用できないこともわかった。
【0015】このように公知の方法を工業的に実施しよ
うとしてもその経済性はまだ充分とはいえない。特に、
直接ヒダントイン法により得られた反応液からの効果的
な脱色方法は全く知られていないのが現状である。
【0016】本発明の目的は着色しているグリシンの、
工業的に経済的な脱色方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らはグリシンの
脱色方法について鋭意検討した結果、グリシン水溶液の
活性炭による脱色能力はpH6〜7では極端に小さく、
また、pH7以上ではむしろ吸着した着色不純物を脱離
することを見い出した。さらに脱色に使用した活性炭は
アルカリ水溶液で容易に再生が可能である事も見い出し
本発明を完成した。すなわち、本発明は、グリシン水溶
液をpH6以下に調整した後、活性炭で処理することを
特徴とするグリシンの精製方法である。また、直接ヒダ
ントイン法で得られるグリシン水溶液に適用した場合に
は、水の存在下、グリコロニトリル、炭酸ガスおよびア
ンモニアを反応させて得られた反応液から炭酸ガスおよ
びアンモニアを除去したグリシン含有水溶液をpH6に
調整し、次いで活性炭で処理することを特徴とするもの
であり、さらに好ましくは、上記グリシン含有水溶液を
晶析によりグリシンと母液とに一旦分離して、該母液を
反応器へリサイクルし、該グリシンを再び水溶液とした
後にpH6に調整し、次いで活性炭で処理することを特
徴とするものである。
【0018】この発明の方法によれば、従来、工業的に
は適用できないと考えられていた活性炭だけの処理で、
殆ど完全に脱色でき、さらに活性炭の使用量が大幅に軽
減でき、またその再生も容易である。
【0019】この発明に適用される水溶液は何れの製法
で得られた粗グリシンの水溶液であってもよい。さらに
はグリシンが製造過程で溶液として存在する場合にも適
用することができる。水溶液中のグリシン濃度は活性炭
処理時点で2〜45wt%、好ましくは5〜35wt%
である。 この濃度が5wt%未満だと脱色後のグリシン水溶液の
濃縮の用役費が増大し、また、35wt%を越えるとグ
リシンが析出してくるため活性炭処理装置は80℃以上
の保温が必要となり、かえって着色の原因となるばかり
か、被処理水溶液のpH調整にイオン交換樹脂を使用し
た場合には樹脂の劣化が促進され好ましくない。
【0020】精製に際し、塩化ナトリウム、硫酸ナトリ
ウム、塩化アンモニウムのような中和塩などが含有され
るグリシン水溶液の場合は、これら中和塩が10wt%
以下、実質的に0%であるのが好ましい。したがって、
これらの塩は活性炭処理前に分離することが好ましい。
【0021】グリシン水溶液をpH6以下に調整するに
は、鉱酸、有機酸あるいは酸性陽イオン交換樹脂から選
ばれる少なくとも一種以上を単独でまたは混合物として
あるいは併用して用いることで行なうことができる。た
とえば、硫酸、リン酸、塩酸等の鉱酸、またはギ酸、酢
酸、蓚酸等の有機酸を単独でまたは混合物として添加す
るか、水溶液を酸性陽イオン交換樹脂で処理することに
より行うことができる。さらには、酸性陽イオン交換樹
脂で処理するに際し、上記の鉱酸、有機酸を併用して処
理することもできる。
【0022】本発明の方法で用いる酸性陽イオン交換樹
脂は市販品が利用できる。このようなイオン交換樹脂の
例としては、例えば、商品名でアンバーライトIR−1
16、IR−252、IRC−84(オルガノ(株))
、ダイアイオン SK102、SK110 、PK21
2 、WK10、WK20(三菱化成(株))、レバチ
ットS100、SP112 、CNP80 (三井東圧
ファイン(株))等が挙げられる。陽イオン交換樹脂は
それ自身に脱色能力はほとんどないが、本発明で重要な
グリシン水溶液のpHを調整する方法として好ましい。 この中でも強酸性陽イオン交換樹脂を用いるとpHが4
〜5と低く調製でき、次の活性炭での脱色能力が向上し
、さらには活性炭の寿命をも長くすることができ好まし
い。酸性陽イオン交換樹脂のイオン形は塩型でもよいが
、H型が好ましく用いられる。
【0023】pH調整後のpHの値は低い方が好ましい
が、pH2以下では高価な材質を必要とし、pH 2.
5〜3.5 ではグリシンの水への溶解度が大きくなり
、後の晶析工程に悪影響を及ぼし好ましくない。一方、
pHが6を越えると活性炭による脱色能力は低く、pH
7以上では逆に活性炭に吸着していた着色物質が脱離す
る。したがって、好ましいpHはpH 3.5〜6の範
囲であり、さらに好ましくはpH4〜 5.5の範囲、
最も好ましくはpH 4.5〜 5.3の範囲である。
【0024】本発明の方法で使用される活性炭は、その
原料が椰子殻等の植物であっても、石炭、ピッチ等の鉱
物であってもよい。例えば、椰子殻炭系では商品名が白
鷺C(武田薬品)、ツルミコール HC−30(ツルミ
)等、また、石炭系では商品名が CPG、CAL (
東洋カルゴン)、A−BAG (呉羽化学)等が挙げら
れる。この中でも酸性溶液を通液しても活性炭の微量成
分が溶出しないように酸性処理したCPGのような活性
炭が特に好ましい。
【0025】本発明の方法における酸性陽イオン交換樹
脂によるpH調整、あるいは活性炭による脱色処理は一
般的に行われている充填塔での通液方法が効率的で好ま
しく用いられる。通液方法としては酸性陽イオン交換樹
脂および活性炭とも同様に、充填長さ/直径が2以上2
0以下の範囲で行い、処理速度はSV(液空間速度)で
0.1〜20の範囲である。これらのpH調整温度およ
び活性炭による脱色温度に制限はないが、酸性陽イオン
交換樹脂による前処理で20〜80℃、活性炭で20〜
100 ℃の範囲が好ましい。
【0026】必要に応じて活性炭処理の後に、あるいは
、酸性処理を行う工程の前に陰イオン交換樹脂を併用す
ることにより、陰イオンを除去するとともに、活性炭だ
けでは除去しきれない極めて微量の着色物質をも除くこ
とができ、さらなるグリシンの純度向上が期待できる。
【0027】本発明で脱色に使用した活性炭は水酸化ナ
トリウムのような汎用のアルカリ水溶液で容易に再生す
ることができることを見い出した。さらに、アルカリ水
溶液に塩化ナトリウム等の鉱酸塩を含有させることによ
りさらにその再生効率が向上することも見い出した。活
性炭の再生は再生する活性炭量の2〜30倍の0.1 
〜10当量の水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を液
空間速度0.05〜20(1/H)で通液して活性炭に
吸着した不純物を脱離させ、次いで、再生する活性炭量
の2〜50倍の水で洗浄する方法が好ましい。さらには
、塩化ナトリウムや硫酸ナトリウム等の鉱酸塩を含有し
たアルカリ水溶液が好ましい。これらの塩の含有量はア
ルカリ水溶液中に1〜20wt%の範囲が好ましく、さ
らに5〜10wt%の範囲が好ましい。この結果、他の
ほとんどの製造方法において行われているような再生の
ために活性炭を抜き出す操作が不必要となり、活性炭の
初期充填量をさらに軽減することができる。活性炭の再
生温度は特に制限はなく、通常は20〜90℃である。
【0028】本発明の方法を直接ヒダントイン法で得ら
れる反応液のpH調整を例にとって説明する。
【0029】直接ヒダントイン法とは上述のとおり、水
の存在下、グリコロニトリル、炭酸ガスおよびアンモニ
アを反応させて得られた反応液から炭酸ガスおよびアン
モニアを除去してグリシン含有水溶液を得ることができ
る。
【0030】ここで使用するグリコロニトリルは青酸と
ホルマリンを原料として製造される方法が最も一般的で
経済的な製造方法であり、ホルマリン源としてパラホル
ムアルデヒドを水に溶解しても使用することができる。 なお、グリコロニトリルの生成反応は速く、たとえば、
青酸をガスの形態でホリマリン水溶液に吹き込んだり、
青酸を液の形態でホルマリン水溶液と混合するだけで容
易にグリコロニトリルが生成する。ここでの反応温度は
 0〜80℃、反応時間は2分〜5時間も行えば充分で
ある。また、グリコロニトリルは安定剤として用いられ
ている硫酸やリン酸等を含有していても使用することが
できる。
【0031】アンモニアおよび炭酸ガスはこれらそのも
のを使用してもよいが、反応条件下でこれらの化合物(
アンモニアや炭酸ガス)を生成する当業者間で公知の化
合物、たとえば、炭酸アンモニウムや重炭酸アンモニウ
ムを使用してもよい。また、これらを混合して使用して
も好ましい結果が得られる。
【0032】反応における原料のモル比は、グリコロニ
トリル1モルに対しアンモニアの使用量は1〜12モル
であり、アンモニアの使用量によって炭酸ガスおよび水
の使用量が決定する。したがって、アンモニア1モルに
対する炭酸ガスおよび水の使用量は各々1/3 〜3モ
ル、3〜15モルである。
【0033】反応温度は、低い方がグリシンの収率は向
上するが反応速度が遅くなる。しかし、反応温度が高い
と反応速度は早くなるが、反応液の着色が著しくなるた
め、通常 100〜200 ℃、好ましくは 140〜
 180℃、更に好ましくは 150〜170 ℃であ
る。また、反応時間は通常30分〜20時間、好ましく
は 1〜10時間である。
【0034】反応圧力は、特に制限はなく、反応中に発
生する圧力以上で反応を行うことも、また、反応中に発
生するアンモニア、炭酸ガスあるいは水の蒸気等を適宜
抜き出しても反応を行うことができる。
【0035】これらの条件で行われる反応の終了後のグ
リシンを含有する反応液中には原料のグリコロニトリル
は実質的に残存していないが、グリシンの他にヒダント
イン酸、グリシルグリシン、ヒダントイン酸アミド、ト
リグリシン、ヒダントイン、2,5−ジケトピペラジン
等の副生成物が含有されている。これらの反応液を濃縮
し、後述の晶析法等によりグリシンを分離する。具体的
には反応液を50〜200 ℃程度、10mmHg〜3
0kg/cm2程度でフラッシュおよび/または加熱し
て水を気化させ反応液を濃縮する。この時、通常、アン
モニアおよび炭酸ガスも気化して反応液と分離される。 なお、空気あるいは窒素等の不活性ガスを50〜 20
0℃程度、10mmHg〜30kg/cm2程度で吹き
込み、炭酸ガスおよびアンモニアをストリッピングする
方法で反応液と分離してもよい。反応液の濃縮は10秒
〜20時間、好ましくは 1分〜10時間程度行われる
【0036】本工程において重要なことは炭酸ガスおよ
びアンモニアの反応液からの分離を十分行うことである
。炭酸ガスおよびアンモニアの分離が不十分であると、
濃縮液を晶析してグリシンを分離する工程においてこれ
らが炭酸アンモニウムとして析出してグリシン結晶に付
着する。この結果、着色した母液のグリシン結晶への付
着量は高純度のグリシン結晶の場合よりも多くなる。こ
の結果、多量のリンス水を必要とするだけでなく、pH
調整に鉱酸を使用した場合には鉱酸のアンモニウム塩が
増加し、また、酸性処理に酸性陽イオン交換樹脂を使用
した場合にはその寿命が短くなり好ましくない。したが
って、濃縮液中の炭酸ガスおよびアンモニアの残存濃度
は炭酸アンモニウムに換算して10wt%以下になるよ
うにすることが好ましい。この濃縮液をそのままpH調
整して活性炭処理してもよいが、以下に示すようにグリ
シンを分離して水に溶解したグリシン水溶液を使用する
方が好ましい。
【0037】この場合の濃縮液を、例えば、0 〜80
℃程度に冷却してグリシン結晶を析出させる。この濃縮
液からグリシンを析出させる方法は当業者間で公知の方
法で行われ、例えば、冷却晶析法、蒸発晶析法、真空晶
析法等の晶析法が工業的に好ましく使用される。メタノ
ール等の粗溶媒を濃縮液に添加して晶析することも可能
である。
【0038】このような晶析法により得られたスラリー
は、次いで、汎用の分離器を使用してグリシン結晶と母
液とに固液分離され、母液は反応器にもどされる。母液
を循環することにより、母液中の炭酸アンモニウムが有
効に再利用できるだけでなく、グリシン収率を大幅に向
上させることができる。この時の晶析率は40wt%以
上が好ましい。この晶析率が40wt%に満たないと反
応器が大きくなるだけでなく晶析に伴う濃縮コストが増
し経済的でない。しかし、晶析率40wt%以上におい
ても純度95wt%以上のグリシンが得られる。
【0039】該グリシン結晶を水溶液としたときのpH
は、反応液の濃縮割合を調節することによりある程度制
御することができるものの通常の濃縮操作だけではpH
8〜9の範囲でしか得られない。
【0040】遠心分離器等でグリシンを分離するに際し
、グリシン結晶に対して15〜35wt%の水で洗浄あ
るいはグリシンを含有した水で洗浄することはグリシン
純度を向上させるとともにグリシン結晶に付着したアン
モニアがさらに除去される。しかし、得られたグリシン
結晶を水で溶解した溶液のpHは未だ6.5 〜7.5
 程度である。
【0041】このグリシン水溶液をそのまま活性炭で処
理すると完全には脱色できず、さらには活性炭の寿命を
短くし、工業的には使用できない。これらの水溶液は前
述のような操作でpHを6以下に調整する。pH6以下
のグリシン水溶液は次の活性炭処理でほぼ完全に脱色さ
れ、その色戻りはほとんど認められず、活性炭の寿命も
大幅に延長される。
【0042】前述の濃縮液からグリシンを析出分離し、
その母液を反応器に循環させ、析出したグリシンを水に
溶解して脱色する場合のpH調整おいては、母液への蓄
積ああるいはグリシン結晶への混入など考慮して、中で
も酸性陽イオン交換樹脂を使用することが望ましい。酸
性陽イオン交換樹脂には脱色能力は殆どないが、pHを
4〜 5.5に調整でき活性炭処理後のグリシン晶析に
は最適である。
【0043】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
【0044】実施例1 1時間あたり、グリコロニトリル115g(2.01 
mol)、アンモニア206g(12.1 mol)、
炭酸ガス267g(6.1 mol)を含有する水溶液
2220gを内容積が10リットルの管型反応器へ供給
し、反応温度 150℃、反応圧力は32kg/cm2
−G で行った。
【0045】原料組成はH2O/NH3/CO2/グリ
コロニトリル=45/6/3/1モル比であり、平均滞
留時間は5時間に相当する。定常になった時に反応液を
連続的に常圧下 100℃で濃縮し、水、アンモニアお
よび炭酸ガスを合計1830g除去して5℃で晶析を行
った。1時間あたり5℃の純水16gを用いてリンスし
ながら、グリシン0.89 mol(純度98.2wt
%)を分離した。残った母液を分析した結果、グリコロ
ニトリルに換算して合計で0.97mol のヒダント
イン酸、グリシルグリシン、ヒダントイン酸アミド、2
,5−ジケトピペラジン、ヒダントイン、トリグリシン
およびグリシンが検出された。このように初期供給用の
母液を調製した。
【0046】次いで、グリコロニトリルに換算した場合
の供給組成が同じになるようにこの母液と50wt%グ
リコロニトリル水溶液および炭酸アンモニウム水溶液を
反応器へ供給した。すなわち、1時間あたり、この母液
とグリコロニトリル59g(1.04mol) および
炭酸アンモニウムとして6.1molを含む水溶液22
20gを反応器へ供給し、得られた反応液は濃縮器を用
い 100℃で連続的に濃縮し、水、アンモニアおよび
炭酸ガスを合計1916g除去して5℃で晶析し、リン
スしながら1時間あたりグリシン68g(純度98.6
%)を分離した。この量はグリシン収率として86%に
相当する。この濃縮工程においてアンモニアおよび炭酸
ガスは実質的に殆ど除かれる。
【0047】このグリシン結晶(純度98.6%)を7
0℃の水で溶解し、20wt%のグリシン水溶液(pH
7.3 ) を調製して脱色用に使用した。このグリシ
ン水溶液の色度はハーゼン色(APHA)で表示すると
162 であった。
【0048】通常の方法で前処理したH型の弱酸性陽イ
オン交換樹脂(レバチットCNP80 )300 ml
および活性炭(CPG) 100mlをそれぞれ直径3
.5 cm、2.5 cmの管型塔へ充填し、グリシン
水溶液を25℃、 200ml/H の速度で50kg
通液した結果、酸性陽イオン交換樹脂塔出口のpHは 
5.5、APHAは148 であり、活性炭塔出口のA
PHAは2〜2.5 であった。また、この時のグリシ
ン回収率は99.8%であった。この結果を表1に示す
。さらに、得られた脱色液を濃縮してもほとんど着色は
増加せず、冷却して得られたグリシン結晶(純度99.
3wt%)1gを10gの水に溶解して吸光度(10m
mセル)を調べた結果、370nm 、430nm の
どちらの波長においても吸光度は0.000 〜0.0
05 であり、これはAPHAで0〜3に相当する。な
お、市販のグリシンを同様の方法で測定した結果、AP
HAは3〜6の範囲であった。
【0049】実施例2 弱酸性陽イオン交換樹脂のかわりに、強酸性陽イオン交
換樹脂(レバチットSP112 )を用い、また活性炭
を白鷺Cに変えた他は実施例1と同様の方法で脱色試験
を行った。この結果、酸性陽イオン交換樹脂塔出口のp
Hは4.5 、APHAは139 であり、活性炭塔出
口のAPHAは50Kgまでの値で1.8 であった。 また、この時のグリシン回収率は99.2%であった。 この結果を表1に示す。
【0050】実施例3 弱酸性陽イオン交換樹脂を使用せずにリン酸でグリシン
水溶液をpH5.0 に調整し、実施例1と同様の方法
で脱色試験を行った。この結果、10kg通液した時点
での活性炭塔出口のAPHAは0.6であった。この時
のグリシン回収率は99.4%であった。
【0051】比較例1 実施例1において得られた20wt%グリシン水溶液(
pH7.3 、APHA162 )を酸性陽イオン交換
樹脂で前処理することなくそのまま活性炭(CPG )
処理したこと以外は実施例1と同様の方法で脱色試験を
行った。グリシン水溶液を10kg通液した時の活性炭
塔出口のAPHAは14であった。この脱色したグリシ
ン水溶液から晶析して得たグリシン結晶のAPHAは6
〜10であった。さらに、合計で50kg通液したが、
活性炭出口の色度はさらに増加した。この結果を表1に
示す。
【0052】比較例2 実施例1において、リンスすることなくグリシン結晶を
取得し、これを60℃の水で溶解して20wt%グリシ
ン水溶液(pH8.1 、APHA193 )を調製し
、脱色用のグリシン水溶液とした。この原料を使用し、
また、酸性陽イオン交換樹脂で前処理することなくその
まま活性炭(CPG )処理したこと以外は実施例1と
同様の方法で行った。グリシン水溶液を10kg通液し
た時、活性炭塔出口のAPHAは20であった。この結
果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】実施例4 1時間あたり、グリコロニトリル115g(2.01 
mol)、アンモニア206g(12.1 mol)、
炭酸ガス267g(6.1 mol)を含有する水溶液
2220gを内容積が10リットルの管型反応器へ供給
し、反応温度 150℃、反応圧力は32kg/cm2
−G で行った。
【0055】原料組成はH2O/NH3/CO2/グリ
コロニトリル=45/6/3/1モル比であり、平均滞
留時間は5時間に相当する。定常になった時に反応液(
APHA720 、グリシン濃度5wt%)を実施例1
と同様に、通常の方法で前処理したH型の強酸性陽イオ
ン交換樹脂(アンバーライト200CT )1000m
lおよび活性炭(CPG) 100mlをそれぞれ直径
3.5 cm、2.5cm の管型塔へ充填し、グリシ
ンを含有した反応液を25℃、 200ml/H の速
度で10kg通液した時点での活性炭塔出口のAPHA
は3.6 であった。さらに、得られた脱色液を濃縮・
晶析して得られたグリシン結晶(純度98.6wt%)
1gを10gの水に溶解したグリシン水溶液のAPHA
は3であり、満足すべき品質であった。
【0056】実施例5 酸性陽イオン交換樹脂を使用しないで酢酸でpH4.7
 に調整した以外は実施例4と同様の方法で脱色試験を
行った。グリシンを含有した反応液を10kg通液した
時点の脱色水を濃縮・晶析で得たグリシン結晶のAPH
Aは3であり、満足すべき品質であった。
【0057】比較例3 酸性陽イオン交換樹脂で反応液のpHを調整しなかった
以外は実施例4と同様の方法で脱色試験を行った。反応
液を5 kg通液した時、活性炭塔出口のAPHAは既
に52であった。さらに、メタノールを添加してグリシ
ンを析出させたが、グリシン結晶のAPHAは12であ
り、満足すべき品質は得られなかった。
【0058】比較例4 酸性陽イオン交換樹脂および活性炭を使用しないで弱塩
基性陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−93、
300 ml)を使用した以外は実施例1と同様の方法
脱色試験を行った。グリシン水溶液を10kg通液した
結果、陰イオン交換樹脂塔出口のAPHAは23であっ
た。この脱色液を濃縮・晶析して得られたグリシン結晶
1gを10gの水に溶解したグリシン水溶液のAPHA
は9であり、満足すべき品質は得られなかった。
【0059】
【発明の効果】グリシン水溶液を酸性域に、特にpH6
以下に調製することで、活性炭処理だけでほぼ完全に脱
色できるだけでなく、活性炭そのものの寿命が飛躍的に
向上した。このように、本発明の方法は直接ヒダントイ
ン法グリシン製造を工業的に有利な方法にまで向上させ
たものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】グリシン水溶液をpH6以下に調整した後
    、活性炭で処理することを特徴とするグリシンの精製方
    法。
  2. 【請求項2】グリシン水溶液が、水の存在下にグリコロ
    ニトリル、炭酸ガスおよびアンモニアを反応させ、次い
    で得られた反応液から炭酸ガスおよびアンモニアの大部
    分を除去したグリシン含有水溶液である請求項1記載の
    方法。
  3. 【請求項3】グリシン水溶液が、水の存在下にグリコロ
    ニトリル、炭酸ガスおよびアンモニアを反応させ、次い
    で得られた反応液から炭酸ガスおよびアンモニアの大部
    分を除去したグリシン含有水溶液を晶析によりグリシン
    と母液とに一旦分離して、該母液を反応器へリサイクル
    し、該グリシンを再び水溶液としたもである請求項1記
    載の方法。
  4. 【請求項4】pHの調整が、鉱酸、有機酸あるいは酸性
    陽イオン交換樹脂から選ばれる少なくとも一種以上を用
    いることを特徴とする請求項1、2または3記載の方法
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005112747A (ja) * 2003-10-06 2005-04-28 Kanebo Ltd ジェル状組成物及びその製造方法
JP2005187434A (ja) * 2003-12-26 2005-07-14 Kanebo Ltd ジェル状組成物及びその製造方法

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JPS52118421A (en) * 1976-03-29 1977-10-04 Grace W R & Co Method of recoverying glycine and iminoodiacetic acid
JPS5331616A (en) * 1976-08-31 1978-03-25 Mitsubishi Chem Ind Ltd Preparation of glycine

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