JPH0419858B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は医療用超音波診断装置等に用いられる
アレイ型超音波探触子に関する。

〔発明の技術的背景〕

従来のこの種のアレイ型超音波探触子には第１
図および第２図に示す如き構成のものがある。す
なわち、第１図はアレイ型超音波探触の側断面図
であり、第２図は第１図における−線断面図
である。

図において、符号１は接地電極２および正電極
３を有する圧電振動子である。この圧電振動子１
は第２図の如く超音波走査方向（すなわち図中の
矢印ａが示す方向）に並列するように多分割さ
れ、ダンピング層４の図示上部面上に接合されて
いる。また、上記圧電振動子１の超音波送受面側
には圧電振動子１と同様多分割された第１および
第２の音響整合層５，６が積層固着されており、
さらに第２の音響整合層６の図示上部面側には音
響レンズ７が接合されている。ここで、前記接地
電極２および正電極３は、それぞれ接地側フレキ
シブル基板８に並列してプリントされた接地側基
板電極９および正極側フレキシブル基板１０に並
列してプリントされた正極側基板電極１１と、半
田、銀等を含んだ導電性接着材により接着されて
いる。

かかる構成のアレイ型超音波探触子は上述の如
くアレイ状に設けられた圧電振動子１のうちの一
つに電気信号を送ることにより超音波を発生さ
せ、しかるのち順次時間差を設けて隣接する圧電
振動子１から超音波を発生させて行く。このよう
にして発生した超音波は音響レンズ７から体内に
向つて発射され、そして体内で反射して再び音響
レンズ７に受波される。なお、圧電素子１で発生
した超音波のうちダンピング層４側へ伝わつた超
音波は、ダンピング層４にて減衰される。

〔背景技術の問題点〕

上述した如き従来のアレイ型超音波探触子では
次のような問題があつた。すなわち、圧電振動子
１の正電極３と正極側基板電極１１とを接着して
いる導電性接着材がはみ出して、アレイ状に設け
られた圧電振動子１の相互間を電気的に導通させ
てしまうおそれがあつた。このように圧電振動子
１の相互間が導通した超音波探触子では的確な走
査を行ない得ず、したがつてかかるアレイ型超音
波探触子は排棄することになり製造上の歩留りに
悪影響を及ぼしていた。

〔発明の目的〕

本発明は上述した事情にもとづいてなされたも
のであり、その目的はアレイ状に設けられた圧電
振動子の相互間を電気的に導通させるおそれがな
く、圧電振動子の正電極と正極側基板電極とが電
気に導通した状態にて接着されたアレイ型超音波
探触子を提供することにある。

〔発明の概要〕

本発明は上記目的を達成するために次の如く構
成したことを特徴とする。すなわち本発明は、圧
電振動子、音響整合層、音響レンズ、ダンピング
層を基本構成要素とするアレイ型超音波探触子に
おいて、圧電振動子の正電極と正極側基板電極と
を、これらの電極間に絶縁性樹脂接着剤を加圧硬
化した状態に介在して接着した構成となす。かか
る構成の本発明は圧電振動子の正電極と正極側基
板電極とが絶縁性樹脂接着剤で接着されているの
で、かかる接着剤がはみ出して隣接する圧電振動
子に接触しても圧電振動子相互間の絶縁状態は維
持され得、またかる接着剤は圧電振動子の正電極
と正極側基板電極との間に極めて薄い層をなして
介在することとなるので、これら電極間が電気的
に導通することを特徴とする。

〔発明の実施例〕

第３図及び第４図は本発明の第１及び第２の実
施例を示す図である。

第３図において符号１０１はPZT等からなる
圧電振動子であり、前記第２図に示したと同様に
アレイ状に設けられている。この圧電振動子１０
１の超音波送受面側には接地電極１０２が設けら
れており、また超音波送受面の反対側には正電極
１０３が設けられている。上記圧電振動子１０１
の超音波送受面上には第１の音響整合層１０４が
接合されており、この第１の音響整合層１０４上
には第２の音響整合層１０５が接合されている。
これら第１及び第２の音響整合層１０４，１０５
も前記第２図に示したと同様にアレイ状に設けら
れているものである。さらに上記第２の音響整合
層１０５上には音響レンズ１１６が接合されてい
る。

一方、圧電振動子１０１の超音波送受面の反対
側には絶縁層１０６を介してダンピング層１０７
が接合されている。上記ダンピング層１０７は例
えばタングステン粉末をエポキシ樹脂等に分散し
てなるものであり、上記タングステン粉末の分散
量を総重量の90ないし95％とすることにより、音
響インピーダンスを圧電振動子１０１のそれと略
等しくすると共に超音波減衰量が大きくなるよう
調整されている。かかるダンピング層１０７は導
電性を有する。上記絶縁層１０６は結晶化ガラス
からなり、上記圧電振動子１０１とダンピング層
１０７とを電気的に絶縁している。この絶縁層１
０６も音響インピーダンが圧電振動子１０１のそ
れと略等しく調整されている。

また、第２図において符号１０８は接地側フレ
キシブル基板である。この接地側フレキシブル基
板１０８には、前記圧電振動子１０１の配列間隔
に略等しい間隔にて複数の接地側基板電極１０９
が整列してプリントされている。この接地側基板
電極１０９は前記圧電振動子１０１の接地電極１
０２と電気的に導通された状態で接着されてい
る。さらに、第２図において符号１１０は正極側
フレキシブル基板である。この正極側フレキシブ
ル基板１１０には、前記圧電振動子１０１の配列
間隔に略等しい間隔にて複数の正極側基板電極１
１１が整列してプリントされている。これらの正
極側基板電極１１１は前記アレイ状に設けられた
複数の圧電振動子１０１の正電極１０３一個々に
それぞれ１本が対応して接着されている。かかる
正極側基板電極１１１と圧電振動子１０１の正電
極１０３との接着はエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂
接着剤によりされている。すなわち、上記両電極
１１１，１０３の間に絶縁性樹脂接着剤を介在さ
せてこれら電極１１１，１０３を接着し、しかる
のち上記絶縁性樹脂接着剤が硬化し始めた際に10
Kg／cm²程度以上の圧力を上記接着面に対し垂直に
加えることにより絶縁性樹脂接着剤の介在する層
が極めて薄いものとされている。

かかる構成のアレイ型超音波探触子は、圧電振
動子１０１の正電極１０３と正極側基板電極１１
１とが絶縁性樹脂接着剤で接着されているので、
かかる接着剤がはみ出して隣接する圧電振動子１
０１に接触しても圧電振動子１０１相互間の絶縁
状態は維持され得る。また、かかる接着剤は上記
電極１０１，１１１間に極めて薄い層で介在して
いるので、これら電極１０１，１１１は電気的に
導通される。したがつて、かかるアレイ型超音波
探触子によれば、圧電振動子１０１の相互間が電
気的に導通するおそれもなく、的確に走査するこ
とができる。

次に第４図に示す第２の実施例について説明す
る。なお、先に示した第３図と同一部分には同一
符号を付し、その部分の詳細な説明は省略する。

すなわち、本実施例のアレイ型超音波探触子は
正極側フレキシブル基板２０１を圧電振動子１０
１とダンピング層１０７との間に層状に介在させ
たものであり、かかる正極側フレキシブル基板２
０１により圧電振動子１０１とダンピング層１０
７とを電気的に絶縁するものである。

このようなアレイ型超音波探触子においても圧
電振動子１０１の正電極１０３と正極側基板電極
２０２とは絶縁性樹脂接着剤で接着され、かつこ
の接着剤が加圧硬化されているので、前記第１の
実施例と同様の作用効果を奏する。また、本実施
例のアレイ型超音波探触子は圧電振動子１０１の
正電極１０３と正極側基板電極２０２との接着面
が前記第１の実施例のときに比べかなり広いもの
であるが、かかる接着面も絶縁性樹脂接着剤によ
り全面均一に接着され得、かつ接着時に圧電振動
子１０１に高温の熱を及ぼすこともないので、高
精度な走査を行なうことができる。

なお、本発明は上述した二つの実施例に限定さ
れるものではない。例えば圧電振動子１０１の接
地電極１０２と接地側基板電極１０９との間も絶
縁性樹脂接着剤を加圧硬化した状態に介在させて
接着した構成にしてもよい。

〔発明の効果〕

本発明によれば圧電振動子の正電極と正極側基
板電極とが絶縁性樹脂接着剤で接着されているの
で、かかる接着剤がはみ出して隣接する圧電振動
子に接触しても圧電振動子相互間の絶縁状態が維
持され得、またかかる接着剤は圧電振動子の正電
極と正極側基板電極との間に極めて薄い層をなし
て介在することになるので、これら電極間が電気
的に導通する。したがつてアレイ状に設けられた
圧電振動子の相互間を電気的に導通させるおそれ
がなく、圧電振動子の正電極と正極側基板電極と
が電気的に導通した状態にて接着されたアレイ型
超音波探触子を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す側断面図、第２図は第１
図における−線断面図、第３図及び第４図は
本発明の第１及び第２の実施例を示す側断面図で
ある。 １０１……圧電振動子、１０２……接地電極、
１０３……正電極、１０４……第１の音響整合
層、１０５……第２の音響整合層、１０６……絶
縁層、１０７……ダンピング層、１０８……接地
側フレキシブル基板、１０９……接地側基板電
極、１１０……正極側フレキシブル基板、１１１
……正極側基板電極、２０１……正極側フレキシ
ブル基板、２０２……正極側基板電極。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 正電極及び接地電極を有する圧電振動子と、
   この圧電振動子の超音波送受面上に接合された音
   響整合層と、この音響整合層上に接合された音響
   レンズと、上記圧電振動子の超音波送受面の反対
   側に接合されたダンピング層と、上記圧電振動子
   の正電極との間に絶縁性樹脂接着剤を加圧硬化し
   た状態に介在して上記圧電振動子と接着された正
   極側基板電極と、上記圧電振動子の接地電極と電
   気的に導通して接着された接地側基板電極とを具
   備したことを特徴とするアレイ型超音波探触子。