JPH0415952Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、エンジンの運転状態検出手段からの
検出信号に基づきコントローラによりターボ過給
機のタービン入口に設けた可動ベーンの開度を制
御するようにしたエンジン過給装置の改良に関す
る。

［従来技術］ 自動車等の車両において、エンジンの出力特性
の向上を図るため、ターボ過給装置が用いられて
いる。しかし、従来のターボ過給装置が搭載され
た車両においては、エンジンの運転状態に関係な
くブースト圧が一定に制御されていた。これに対
し、ブースト圧をエンジン運転状態に応じて制御
する過給装置として、例えば実開昭58−111324号
公報、実開昭58−176417号公報で開示されたもの
があり、これらの装置は、エンジン回転数または
負荷に応じ可動ベーンの開度を制御してエンジン
回転数に応じた出力トルクを得るようにしてい
る。

また、これらの装置においては、低負荷時にブ
ースト圧を下げて燃費を良くするため、可動ベー
ンの開度を全開に制御するようにしている。しか
し、このようにすると、シフトチエンジ時にはア
クセルペダルが放され低負荷となつて可動ベーン
の開度が全開になりブースト圧が低くなつている
ため、シフトチエンジが完了してアクセルペダル
を踏み込んでも、可動ベーンが閉じブースト圧が
上昇するには時間遅れが生じ、従つて出力が不足
して加速性能が悪いという問題がある。

例えば、実開昭59−19928号公報には、クラツ
チペダルの踏込みによりノズル面積を絞り、ギヤ
シフト時のタービン入口圧力を高めて発進加速特
性を良好にする技術が開示されている。しかしな
がら、かかる公知技術では、前述の如くブースト
圧が低負荷時に低くなるので、加速性が悪い。ま
た不要にブースト圧が高くなると、機器に損傷を
生ずる。

［解決しようとする課題］ したがつて本考案の目的は、シフトチエンジ時
にブースト圧が低い場合はこれを高め、ブースト
圧が高い場合はこれを保持し、常に適正なブース
ト圧で加速性能を向上できるエンジンの過給装置
を提供するにある。

［課題を解決する手段］ 本考案によれば、エンジンの運転状態検出手段
からの検出信号に基づきコントローラによりター
ボ過給機のタービン入口に設けた可動ベーンの開
度を制御するアクチユエータを設けたエンジンの
過給装置において、クラツチの断接状態を検出す
るクラツチ断接検出手段と、コンプレツサのブー
スト圧を検出するブースト圧検出手段とを設け、
前記コントローラにはクラツチ断接検出手段がク
ラツチ接を検出した場合およびクラツチが断でか
つブースト圧検出手段が設定値より大きい値を検
出する場合に可動ベーンの開度をエンジンの運転
状態に応じて制御する通常制御回路と、クラツチ
断接検出手段がクラツチ断を検出し、かつブース
ト圧検出手段が設定値より小さい値を検出したと
きに前記アクチユエータを作動して可動ベーンの
開度を最小に制御する変速制御回路とを備えてい
る。

［作用効果の説明］ したがつて、シフトチエンジ時にはクラツチは
断となるが、その際に、ブースト圧が設定値より
大きい場合は、公知の態様で運転状態に応じて通
常の可動ベーンの開閉制御が行われる。しかしな
がら、ブースト圧が設定値より小さい場合のみ、
可動ベーンの開度を最小にするので、ブースト圧
は高められ、そのためにシフトチエンジ作動が完
了してアクセルペダルを踏む以前からブースト圧
が高くなつており、ブースト圧の立上りが早く、
加速性能が向上される。

このように本考案によれば、ブースト圧を検出
することにより、いたずらにブースト圧を上昇さ
せることがなく、したがつてブースト圧が異常に
高くなることがなく、機器の損傷を防止できる。
すなわち本考案は運転状態によりシフトチエンジ
時にブースト圧が高い場合に極めて良好である。。

［実施例］ 以下図面を参照して本考案の実施例を説明す
る。

第１図において、エンジン１にはエンジン１の
回転数を検出する回転センサ２とブースト圧を検
出するブースト圧センサ３が配設されており、こ
れらセンサ２，３はコントローラ１１に接続され
ている。

またエンジン１の吸気系には、ターボ過給機を
構成するコンプレツサ４が配設されており、排気
系にはターボ過給機を構成する排気ガスによつて
駆動されるタービン５が配設されている。このタ
ービン５の入口には、図示されない複数の可動ベ
ーンが配設されており、これら可動ベーンはコン
トローラ１１に接続されたアクチユエータ６によ
り開度が制御され、その開度に応じた排気ガスを
タービン５に供給するようになつている。

他方、コントローラ１１には、エンジン回転セ
ンサ２、ブース圧センサ３と共にエンジンの運転
状態検出手段をなすアクセルペダル７に連動した
負荷センサ８が接続され、またクラツチペダル９
に連動しクラツチが断状態のときに閉じてクラツ
チの断続を検出するクラツチ断続検出手段である
クラツチスイツチ１０が接続されている。そし
て、このコントローラ１１には、クラツチが接続
されているときにエンジン回転センサ２、ブース
ト圧センサ３、負荷センサ８の検出信号に基づい
て可動ベーンの開度を可変に制御する通常制御回
路１２とクラツチスイツチ１０が閉じたときに可
動ベーンの開度を最小に制御する変速制御回路１
３とが設けられている。

次に作用を第２図について説明する。

コントローラ１１はクラツチスイツチ１０の信
号に基づいてクラツチがONか否かを判定し（ス
テツプS1）、YESだつたら、通常制御回路１２よ
り制御信号をアクチユエータ６に出力して可動ベ
ーンの開度をエンジンの運転状態に応じて可変に
通常制御する（ステツプS4）。ステツプS1でON
の場合、すなわちシフトチエンジ時にクラツチが
断状態にあるときは、ブースト圧センサ３の検出
信号に基づいてブースト圧を読み込み（ステツプ
S2）、ブースト圧があらかじめ基準として設定し
ている設定圧より小さいか否かを判定する（ステ
ツプS3）。NOであつたら、すなわちブースト圧
が設定圧より大きい場合は、ステツプS4を行う。

YESの場合は、変速制御回路１３より制御信
号をアクチユエータ６に出力して可動ベーンの開
度を最小に制御する（ステツプS5）。これにより
ブースト圧が高められ、従つてシフトチエンジが
完了してアクセルペダル７を踏み込む以前からブ
ースト圧が高くなつているためブースト圧の立上
りが早く、その結果、加速性能が向上されるので
ある。

［考案の効果］ 以上の如く本考案によれば、下記のすぐれた効
果を奏する。

(a) シフトチエンジ時に運転状態によりブースト
圧が高い場合は、通常の制御を行うので、ブー
スト圧がいたずらに高くなり、機器を損傷する
ことがない。

(b) しかもシフトチエンジ時にブースト圧が高い
ので、加速性能が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す全体構成図、
第２図は制御フローチヤートの図である。 １……エンジン、２……回転センサ ３……ブ
ースト圧センサ、５……タービン、６……アクチ
ユエータ、８……負荷センサ、１０……クラツチ
スイツチ、１１……コントローラ、１２……通常
制御回路、１３……変速制御回路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンの運転状態検出手段からの検出信号に
   基づきコントローラによりターボ過給機のタービ
   ン入口に設けた可動ベーンの開度を制御するアク
   チユエータを設けたエンジンの過給装置におい
   て、クラツチの断接状態を検出するクラツチ断接
   検出手段と、コンプレツサのブースト圧を検出す
   るブースト圧検出手段とを設け、前記コントロー
   ラにはクラツチ断接検出手段がクラツチ接を検出
   した場合およびクラツチが断でかつブースト圧検
   出手段が設定値より大きい値を検出する場合に可
   動ベーンの開度をエンジンの運転状態に応じて制
   御する通常制御回路と、クラツチ断接検出手段が
   クラツチ断を検出し、かつブースト圧検出手段が
   設定値より小さい値を検出したときに前記アクチ
   ユエータを作動して可動ベーンの開度を最小に制
   御する変速制御回路とを備えていることを特徴と
   するエンジンの過給装置。