JPH04154986A - Ｄｉ缶用めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、飲料缶などに用いられる缶用材で、製缶に
際して缶胴をＤ＆Ｉ（トロウィング及アイアニング）方
式で加工されるＤＩ缶用のめつき鋼板に関する。

［従来技術］ 食缶には、胴体に天地を付けた３ピースと、地と胴体と
が一体成形されこれに天を付けた２ピ一ス缶とが使われ
ている。２ピ一ス缶には絞り加工によって作られる底の
浅いものと、絞り・しごき加工によって作られる底の深
いいわゆるＤＩ缶とがあり、後者は飲料缶に多く使用さ
れている。特に、内容物が炭酸飲料の場合など、炭酸ガ
スの発生により内圧が大気圧よりも高くなるので、３ピ
一ス缶よりも薄い材料で十分に強度を確保することがで
き、又開缶時に外部からの汚染物の吸い込みが無く衛生
的である等の利点がある。その反面、材料には極めて苛
酷な成形性が要求される。

即ち、ＤＩ加工では先ず平坦な板をカップ状に絞り、そ
の後ダイス径を三段階に少しづつ狭めながらしごき加工
を加える。この結果、成形後の缶胴は元の板の約三分の
−の厚さとなる。このＤＩ缶用の材料としては、アルミ
板と表面処理鋼板とが使われており、後者の場合の表面
処理は、成形後も缶内腐食に対して鋼板を保護する役割
を果たさなければならない。成形後、缶内塗装が施され
るが、スチール缶では鉄溶出が極微量であっても、これ
にともなっていわゆる金物の匂いが発生するので、缶内
塗装も二度がけを施ずなどの対策が採られている。

このため、従来から、ＤＩ缶用表面処理鋼板としてはめ
っき量の多いＳｎめっき鋼板が用いられて来ている。Ｓ
ｎは軟らがい金属で、成形に対して延びも良く又ダイス
噛りなどの事故を起こすことも稀であり、且つ、缶内容
物に対する鋼板の防食性能も優れ、缶内飲料に無害で、
匂いを付けることもなく、その上、歴史の長い半田缶に
おける実績もある。これに加えて、種々の環境に曝され
る缶外面の腐食に対しても、充分な錫めっき量が必要と
されてきた。

しかし、Ｓｎは資源が偏在しており、多量に用いること
には問題があるので、近年ではＳｎの使用量を減らすこ
とが試みられている。例えば、特開昭６２−１４９８９
７号公報では、少量のＣｒその他を含有する冷延鋼板の
片面にＮｉ又はＮｉ合金をめっきし、この処理鋼板の両
面にＳｎをめっきして成形性と耐食性を付与した容器用
鋼板が開示されている。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、缶体からの鉄溶出は、飲料充填後貯蔵中
にその期間が長くなると、と膜を透過しても起こること
があり、上記の開示された容器用鋼板よりも更に鉄溶出
量の少ない材料の開発が課題となっている。

この発明はこの課題に対してなされたもので、少量のＳ
ｎを十分に活用することにより、Ｓｎのめっき量を減じ
ても、鉄の溶出が極めて少く且つ外面耐食性の良いＤＩ
缶用めっき鋼板の提供を目的とするものである。

［課題を解決するための手段］ この目的を達成するための手段は、冷延鋼板の両面にＮ
ｉ量で片面当たり０．０３ｇ／ｍ２以上ｏ、６ｇ／ｍ２
以下のＮｉ拡散層を有し、片面にはこのＮｉ拡散層の上
に０．０１ｇ／ｍ”以上０．２ｇ／ｍ２以下のＮｉめっ
き層とその上に合金化していないＳｎ量で０．２ｇ／ｍ
２以上２．８ｇ／ｍ”以下Ｓｎめつ゛き層を有し、他面
にはＮｉ拡散層の上に合金化していないＳｎ量で０．５
ｇ／ｒｎ”以上２．８ｇ／ｍ２以下のＳｎめっき層を有
し、且つ両面のＳｎめっき層の上にＣｒ量で片面当たり
ｌａｇ／ｍ２以下のクロメート皮膜を有するＤＩ缶用め
つき鋼板、及び、これらのＤＩ缶用めつき鋼板を製造す
る方法であって、その方法は、先ず冷延鋼板の両面に片
面当たり０．０３ｇ／ｍＦ以上０．６ｇ／ｍＦ以下のＮ
ｉめっきを施し、このＮｉめっき鋼板を加熱してＮｉ拡
散層を生成させ、その後、片面にはこのＮｉ拡散層の上
に０．０１ｇ／ｍ２以上０．２ｇ／ｍ”以下のＮｉめっ
きを行ってＮｉめつき層を形成した後、このＮｉめっき
層の上に０．２ｇ／ｉ以上２．８ｇ／ｎ＋”以下のＳｎ
めっきを施し、そして他面には０．５ｇ／ｍ”以上２．
８ｇ／Ｉｎ２以下のＳｎめっきを施しためっき鋼板を作
製し、このめっき鋼板を重クロム酸塩を主体とするクロ
メート液で処理してＣｒ量で片面当たり１ｍｇ／ｎｉ”
以下のクロメート皮膜を形成するＤＩ缶用めつき鋼板の
製造方法であるが、前記冷延鋼板の両面に施すＮｉめつ
きに替えて、Ｎｉ量で片面当たり０．０３ｇ／ｍ”以上
０．６ｇ／ｍ”以下のＮｉ−Ｆｅ合金めつきを施しても
よい。

［作用］ ＤＩ缶では、前述したように加工によって板厚は約三分
の−に減じる。このとき、板の表面はその面積が板厚減
少に応じて拡がるので、表面のめっき皮膜は不均一にな
りがちである。成形された缶の内面は化成処理を施され
た後缶内面塗料が塗布される。この化成処理は塗料の密
着を高めるための塗装前処理であって、欠陥のない均一
な処理皮膜が要求される。

均一な化成処理皮膜を得るには、ＤＩ加工後のめっき皮
膜が均一でなければならないが、Ｓｎめっき層の下にＮ
ｉめつき層が存在すると、成形後のＳｎの分布が均一と
なる。第１図はこのＮｉめっき層の作用を示したもので
、Ｎｉ拡散層の上に種々の付着量でＮｉをめっきし、そ
の上にＳｎめっきを施して試験片とし、この試験片をＤ
Ｉ削加工た後、表面のＳｎの付着量分布をＸ線マイクロ
アナライザーによって測定した結果である。測定条件は
、プローブ電流１．０Ｘ１０−６Ａ、プローブ径は２μ
ｍ、測定面積２００μｍＸ２００μｍで視野的測定点は
１００×１００点、収集時間は各測定点について０，１
秒である。Ｓｎ付着量の多い点は５ｎ−Ｌα線の強度が
大きいことから、各測定点の強度を平均しこの平均値の
１／１０以下の強度を示す点はＳｎ付着量が少ない皮膜
不完全部と判断した。分布はこの皮膜不完全部が少ない
場合が均一分布、多い場合が不均一分布とし、図では、
Ｓｎ被覆不完全部の多さを縦軸に、Ｎｉめつき量を横軸
に表示した。

Ｎｉめっき量の増加と共にＳｎ被覆不完全部は減るが、
Ｎｉめつき量が０．０１ｇ／ｍ”に近ずくと急に減じ、
その後段々に緩やかになり０．２ｇ／ｍ２では減じ切っ
ている。即ち、Ｎ１めつき層のＳｎめっき層を均一に保
つ効果は、Ｎｉめっき量が０．０１ｇ／ｍ２以上０．２
ｇ／ｍ”以下で最も効率良く発揮される。このようにＳ
ｎの分布を均一に保つ効果に加え、Ｎｉめつき層はその
下のＮｉ拡散層を覆ってＳｎめつき層と共に素地を保護
し鉄溶出を防ぐ。

Ｎｉ拡散層は鋼板表層の耐食性を改善し缶内Ｉ＼の鉄溶
出を減少させる。この効果はＮｉ拡散層が増加するにし
たがい大きくなる。この様子を第２図に示す。Ｎｉ拡散
層の量を変えて、その上に一定量のＳｎめつきを行った
試験片を腐食環境に曝して、溶出したＦｅの量を測定し
た結果である。

図で、縦軸は鉄溶出量、横軸はＮｉ拡散層量でＮｉ量で
表示しである。Ｎ１拡散層量が０．０３ｇｅｍ２程度に
なると鉄溶出減少効果は明瞭に現れ、０．６ｇ／ｍ２を
超えて増加させても余り変わらない。

Ｓｎめっき層はＤ’ｌ加工時に一部或いは全部が合金化
するが、このときのＮｉＳｒ＋合金は結晶が緻密で耐食
性があり、ＳｎやＮｉと同様に被覆作用により素地を保
護して鉄溶出を防ぐ。したがって、めっき量が増加する
にしたがい保護作用も大きくなり、鉄溶出を防止する。

この様子を第３図に示す。一定量のＮｉ拡散層の上にめ
っき量を変えてＳｎめっきを施した試験片をＤＩ削加工
た後、内面を脱脂し化成処理を行い缶内塗料を塗布し、
腐食環境に曝して溶出したＦｅの量を測定した結果であ
る。図で、縦軸は鉄溶出量、横軸はＳｎめつき量である
。Ｓｎめっき量が０．２ｇ／ｍ”程度になると、鉄溶出
を抑制する効果は明瞭に現れ、２．８ｇ／ｍ”を超えて
増加させても余り変わらない。

Ｎｉがめっきされている場合、Ｎｉめつき層の被覆効果
とＳｎ層の均一性保持効果と相まって、この鉄溶出抑制
効果は一層大きくなる。

以上述べてきた片面は、製缶に際して缶の内面となる側
であり、他面は缶の外面となる。ＤＩ削加工は、外面の
皮膜が硬いとダイスの噛りゃ材料表面の損傷を惹き起こ
す。即ち、外面には加工の容易さが特に要求される。Ｓ
ｎめつき層は軟質で延性にも富み且つ外面の耐食性や印
刷性も良いので、他面にはＳｎめつき層を設ける。この
場合、Ｓｎめっき層の量が０．５ｇ／ｒｎ２程度に増え
ると、ＤＩ加工時の表面損傷は殆ど皆兼となり、２．８
ｇ／ｒｎ２を超えて増やしてもその効果は変わらない。

この加工によりめっき鋼板の温度が上昇する。

このとき、Ｓｎが鋼の一ヒに直接めっきされていると、
硬くて粗い５ｎ−Ｆｅ合金を生成する。しかし、鋼板表
層がＮｉ拡散層であると、この拡散層がＳｎ・Ｐｃ合金
の生成を抑制し加工を容易にする。更に、このＮｉ拡散
層の上に付せられたＳｎめっき層は、加工を受けた後も
比較的均一な皮膜を維持し、缶外面に耐食性を付与する
。第４図にこのＮｉ拡散層の効果を示す。図は、第１図
と同様に、縦軸にＳｎ被覆欠陥部の多さを、横軸にＮｉ
拡散層量をＮｉ量で表示したものである。

Ｓｎ被覆欠陥部はＮｉ拡散層量が増えるにしたがい減少
するが、Ｎｉ拡散層量が０．０２ｇ／ｍ２辺りから急に
減じ、０．０３ｇ／ｍ２からは減じ方は緩やかとなり、
０．０６ｇ／ｍ”では減じ切っている。即ち、Ｎｉ拡散
層が０．０３ｇ／ｍ２以上０．０６ｇ／ｌＴ１２以下で
最も効率良く発揮される。Ｎｉ拡散層のもう一つ作用は
、内面の拡散層と同様、鋼板表層の耐食性改善であって
、上記の均一なＳ　ｎ層と相まって外面の耐食性を向上
させる。特にビール缶や清涼飲料缶の場合、結露した水
分が下に流れ缶底外面が濡れていることかあるが、この
ような場合に効果かある。

クロメ−１〜皮膜は、塗料の付着性を低下さぜるＳｎの
酸化物の生成を抑制する他耐食性にも寄与する。しかし
この皮膜は硬くて加工性を害するのて、その量を限定す
る必要があり、ＣＩ−量で１ｍｇ／ｍ”以下とするとＤ
Ｉ加工時の噛りゃ表面損傷も起こさなくなる。

冷間圧延された鋼板は、一般に７００℃前後の熱処理と
調質圧延とによって、機械的性質が調整される。冷間圧
延された鋼板にＮ１めっきを施き、この熱処理時の加熱
を利用してＮｉ拡散層を形成させることもできる。しか
し、利用する熱処理の処理温度が低い場合、例えば過時
効処理の場合などでは、Ｎｉめっきに替えてＮｉ−Ｆｅ
合金めつきを施すと確実にＮｉ拡ｆＰ１．ｗを得る事が
出来る。

このＮｉめっき、Ｎｉ拡散層の上のＮｉめっき及びその
上のＳｎめっきは、一般に行われている方法で施すこと
ができ、これらの付着量の作用については既述した通り
であるが、限定した範囲内であれば表裏等厚めっきでも
又差厚めつきでもよい。

クロメート皮膜についても、一般に用いられている浸漬
用クロメート処理液を用いることができ、皮膜量を限定
するには、処理時間を短くすればよい。

［実施例］ 厚さ０．２８ｍｍの冷延鋼板の両面にＮｉをめっきし、
７００℃で２０秒の熱処理を行ってＮｉ拡散層としたも
の、或はＮｉ−Ｆｅ合金めっきを施し５００℃前後で１
時間熱処理を行いＮｉ拡散層としたものについて、調質
圧延を行った後、片面のＮｉ拡散層の上にＮｉをめっき
し、引き続き両面にＳｎのめっきを施し、最後にクロメ
ート処理を行った。これらの処理は、実施例としてこの
発明の範囲内の条件、比較例として範囲外の条件及び従
来例の条件とについて行い、比較できるようにした。処
理した試験片について、ＤＩ前加工行い加工の容易さを
調べ、その後脱脂し、一般に使用される燐酸系処理液を
用いて化成処理を施し、この上にエポキシ系缶内面塗料
を５０　ｍｇ／ｄｍ２塗布し、２０５℃で１０分間焼き
付けた後、Ｆｅ溶出試験を行い品質を評価しな。外面に
ついては、塗装を施さずに湿潤試験を行い評価した。

これらの処理或いは試験の２￥　＋＃は次のようであっ
た。

Ｎｉめっき： ＮｉＳＯ４・６Ｈ２０２４０ｇ／ρ ＮｉＣρ２６Ｈ２０４５ｇ／ＩＩ Ｈ３Ｂ０３　　　　　　　　　３０ｇ／ｆｆ１１：ＩＨ
２，６ 浴温　　　　　　　　　　　　　５０℃Ｎｉ−Ｆｅ合金
めっき： ＮｉＳＯ４６Ｈ２０２４０ｇ／ρ Ｆ　ｃＳ　Ｏ４７Ｈ２０４５ｇ／　１ Ｈ３ＢＯ２３０ｇ／Ｊ ｐＨ３，５ 浴温　　　　　　　　　　　　　４５℃Ｓｎめっき： Ｓｎ”　　　　　　　　　　　３０ｇ／β遊離酸（Ｈ２
ＳＯ４換算）　　１３ｇ／ρ光沢剤　　　　　　　　　
　　５ｇ／（浴温　　　　　　　　　　　　　４０℃ク
ロメート処理： Ｎａ２　Ｃｒ２０７　　　　　　２０ｇ／ｌ浴温　　　
　　　　　　　　　　５０℃ｐＨ５，５ 処理時間　　　　　　　　　　　　１秒ＤＩ加工は、先
ず直径１２３酎のブランクを打抜き、カッピングプレス
で内径７２龍φ、高さ３６關のカップに成形し、次いで
このカップをＤＩマシーンに装入してリドロウ加工及び
三段階のアイアニング加工を行い、最終的に缶内径５２
、Ｏｎｉ、缶高１３０ａｍの缶を成形した。このとき、
ポンチスピードは３０鮎／分、ストローク６００　ｍｍ
、クーラントは４０℃〜１００℃で循環使用した。加工
のし易さは１００缶を連続製缶し不良缶の発生の有無で
評価しな。

鉄溶出試験では、ＤＩ加工後の試験材の中に腐食液２０
０ｍｆｆ１を入れ鉄溶出を強制した。腐食液はクエン酸
１．５％と食塩１．５％含む水溶液で、腐食温度は３８
°Ｃであり、９６時間後にこの腐食液に溶出した鉄の量
を測定した。鉄溶出量が１　ｍｇ　／　１１未満を◎、
１　ｍｇ　／　４以上１．５ｍｇ／ｆｆ１未満をＯｌｌ
　、　５　ｍｇ／　Ｉ以Ｊ二２．Ｏｍｇ／１未満をΔ、
２．０ｍｇ／Ｊ以上を×で各々評価した。

湿潤試験では、湿度８０％、温度５０℃の雰囲気に１０
時間曝した後、缶の底部外面を観察した。その結果を、
全く変化の認められないものを◎、変化が僅かに認めら
れるものを○、小さな赤錆が疎に点在しているものを△
、小さな赤錆が全体に散在しているものを×、として評
価した。

供試材及び試験の結果を第１表に示す。

第１表 ＊；Ｄ＋加工後ダイスに多くの疵が見られた。

表中、試験片ＮＯ，１乃至２２で、試験片Ｎａ４．５．
６．１０．１１．１２及び１６は、Ｎｉ−Ｆｅ合金めっ
きを施してＮｉ拡散層を形成させたものであり、他は、
Ｎｉめっきを施してＮｉ拡散層を形成させたものである
。何れのＮｉ拡散層の形成条件においても、実施例では
加工性及び耐食性ともに満足な結果が得られた。

しかし比較例では、Ｎｉ拡散層、Ｎｉめっき量、内面の
Ｓｎめっき量の各々少な過ぎる試験片Ｎ［Ｌｌ　７．１
８．１９、及びクロメート皮膜のない試験片Ｎ［Ｌ２１
では鉄溶出試験で劣り、外面Ｓｎめっき量の少な過ぎる
試験片ＮＯ，２０では加工時の不良缶発生があると共に
湿潤試験にも劣り、又、クロメート被膜の多過ぎる試験
片に２２では加工時に不良缶発生とともにダイスも疵付
けた。

従来例では、Ｓｎめっき量が多くないと耐食性に劣る結
果となっている。

［発明の効果］ 以上のように、この発明によればＮｉ拡散層の上に片面
についてはＮｉめっき層と均一な薄いＳｎめっき層が存
在し、他面には加工し易い量のＳｎめっき層が設けられ
ためつき皮膜構造であり、しかも、両面のクロメート層
はＳｎの酸化は防ぐが、加工上は問題の無い量となって
いる。このため、発明のＤＩ缶用めつき鋼板は、Ｓｎ量
は少なくてもＤＩ缶用材として内外面ともに十分な耐食
性を維持しながら、優れたＤＩ成形性を具備している。

このように、表裏で各々に適した性能を発揮し且つ省資
源を実現したこの発明の効果は大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の詳細な説明するためのＮｉめっき量
とＳｎ被覆不完全部との関係を示す図、第２図はＮｉめ
っき量と鉄溶出量との関係を示す図、第３図はＳｎめっ
き量と鉄溶出量との関係を示す図、第４図はＮｉ拡散層
量とＳｎ被覆不完全部との関係を示す図である。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. （１）冷延鋼板の両面にＮｉ量で片面当たり０．０３ｇ
   ／ｍ＾２以上０．６ｇ／ｍ＾２以下のＮｉ拡散層を有し
   、片面にはこの拡散層の上に０．０１ｇ／ｍ＾２以上０
   ．２ｇ／ｍ＾２以下のＮｉめっき層とその上に合金化し
   ていないＳｎ量で０．２ｇ／ｍ＾２以上２．８ｇ／ｍ＾
   ２以下Ｓｎめっき層を有し、他面には合金化していない
   Ｓｎ量で０．５ｇ／ｍ＾２以上２．８ｇ／ｍ＾２以下Ｓ
   ｎめっき層を有し、且つ、両面のＳｎめっき層の上にＣ
   ｒ量で片面当たり１ｍｇ／ｍ＾２以下のクロメート皮膜
   を有することを特徴とするＤＩ缶用めっき鋼板。
2. （２）冷延鋼板の両面に片面当たり０．０３ｇ／ｍ＾２
   以上０．６ｇ／ｍ＾２以下のＮｉめっきを施し、このＮ
   ｉめっき鋼板を加熱してＮｉ拡散層を生成させ、片面に
   はこのＮｉ拡散層の上に０．０１ｇ／ｍ＾２以上０．２
   ｇ／ｍ＾２以下のＮｉめっきを行ってＮｉめっき層を形
   成した後、このＮｉめっき層の上に０．２ｇ／ｍ＾２以
   上２．８ｇ／ｍ＾２以下のＳｎめっきを施し、そして他
   面には０．５ｇ／ｍ＾２以上２．８ｇ／ｍ＾２以下のＳ
   ｎめっきを施しためっき鋼板を作製し、このめっき鋼板
   を重クロム酸塩を主体とするクロメート液で処理してＣ
   ｒ量で片面当たり１ｍｇ／ｍ＾２以下のクロメート皮膜
   を形成することを特徴とするＤＩ缶用めっき鋼板の製造
   方法。
3. （３）冷延鋼板の両面に施すＮｉめつきに替えて、Ｎｉ
   量で片面当たり０．０３ｇ／ｍ＾２以上０．６ｇ／ｍ＾
   ２以下のＮｉ−Ｆｅ合金めっきを施す請求項２記載のＤ
   Ｉ缶用めっき鋼板の製造方法。