JP2625499B2 - 容器用溶融アルミニウムめっき鋼板、製造方法及び缶体 - Google Patents

容器用溶融アルミニウムめっき鋼板、製造方法及び缶体

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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は加工性、耐食性の優れた容器用溶融アルミニ
ウムめっき鋼板およびその鋼板により成形された缶体さ
らにはその鋼板の製造方法に関するものである。
従来の技術 ビール、炭酸飲料等の飲料缶には、アルミニウム板、
あるいは鋼板に錫めっきを施したぶりきが使用されてい
る。昭和40年代までは、半田付けあるいは接着による製
缶が主体であったが、絞りとしごき加工による缶(以下
業界の慣例に従いDI缶と呼称する)が開発されて以来、
使用される素材はアルミとぶりきの2者となった。これ
は、DI缶の製造には、缶外面における高度な加工潤滑性
と缶内面における優れた耐食性が必要とされるためであ
る。
発明が解決しようとする課題 アルミニウムは優れた加工性と耐食性を有するため、
DI加工して、ビール、炭酸飲料缶用途等に好んで使用さ
れている状況にある。一方、鋼板を基材としたぶりきの
場合、缶外面における加工潤滑性には優れた特性を発揮
するが、缶内面においては、DI成形後に施される内面塗
装が完壁でない場合、塗膜の欠陥部より鉄溶出が起こ
り、味、フレーバーの低下をもたらす問題がある。
従って、DI成形後に行なわれる缶内面塗装として、ア
ルミ缶は1回の塗装ですまされるのに対し、ぶきり缶の
場合、2回の缶内面塗装が必要とされている。
しかし、基材の鋼板そのものは強度が高いため薄いも
のが使用出来る、缶体にへこみ傷が入りにくい、磁力に
よる搬送が可能、コスト的に安い等の幾多の利点を有し
ている。従って、鋼板の良さとアルミニウムの優れた対
内容物特性の両者を併せ有する材料の開発が望まれてい
た。
一方、アルミめっき鋼板は、耐熱性、耐食性が優れて
おり、従来から溶融めっき法によって製造されている。
従来の溶融アルミニウムめっき鋼板は、溶融アルミと基
材鋼板中の鉄とが反応して、かなり厚い鉄−アルミニウ
ム合金層が生成しており、厳しい加工に曝された場合、
合金層よりアルミニウム皮膜が剥離するため、容器用材
料としては使用されなかった。合金層は、光学顕微鏡程
度の倍率(×500)で十分観察できる程の厚さに発達し
ており、完全に基材表面を合金層で被覆してしまってい
る。
合金層成長の抑制方法として、アルミニウムにシリコ
ンを10%程度添加して加工性を向上させる方法がある。
また、溶融めっきを行なう前に予備めっきを行ない、基
材の鋼板とアルミニウムめっき層との間に形成される合
金層量を低減させる方法として、例えば特開昭57−7617
6号公報、特開昭57−140864号公報、特開昭56−33463号
公報、特開昭57−114650号公報、特開昭57−70268号公
報等に記載の方法が提案されている。
しかし、これらの方法ではいずれも合金層の低減は不
十分であり、厚さが薄くとも、未だ完全に基材の全表面
を合金層にて被覆してしまっているため、加工性の良好
なめっき鋼板を得ることは困難であり、容器用として適
用された例はない。
本発明の目的は、従来のアルミニウムめっき鋼板の欠
点を解消して、加工性、耐食性の優れた容器用溶融アル
ミニウムめっき鋼板とその製造方法及び前記鋼板を用い
て製造した耐食性の優れた缶体を提供することにある。
課題を解洪するための手段 本発明は前記の目的を達成するために、従来のアルミ
ニウムめっき鋼板において鉄−アルミニウム合金層が基
材の鋼板表面を完全に被覆している点を改良して鉄−ア
ルミニウム合金層を部分的に破断し、基材表面の一部が
鉄−アルミニウム合金層によって覆われないようにさせ
た缶用鋼板とその製造方法、及びこのような缶用鋼板を
用いて製造された缶体を提供するものである。すなわ
ち、本発明は、 1.基材としての薄鋼板の表面に鉄−アルミニウム合金層
と、その表面にアルミニウム皮膜またはアルミニウム合
金皮膜を有する溶融アルミニウムめっき鋼板において、
前記基材表面の10%以上が前記鉄−アルミニウム合金層
によって覆われていないことを特徴とする容器用溶融ア
ルミニウムめっき鋼板、 2.基材としての薄鋼板の表面に鉄−アルミニウム合金層
と、その表面に10μm以上のアルミニウム皮膜またはア
ルミニウム合金皮膜を有する溶融めっき鋼板を、圧下率
50%未満で冷間圧延することによって、前記の鉄−アル
ミニウム合金層を部分的に破断して前記基材表面の10%
以上が鉄−アルミニウム合金層で覆われないようにした
ことを特徴とする容器用溶融アルミニウムめっき鋼板の
製造方法、 3.前記1記載の容器用溶融アルミニウムめっき鋼板から
なる缶体であって、その表面に少くとも最表層にクロム
化合物を有する皮膜若しくは燐酸塩皮膜と、塗料皮膜を
順次有することを特徴とする缶体、である。
作用 以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、缶用鋼板としてアルミニウム系の溶融めっ
き鋼板を用いて、基材とめっき金属であるアルミニウム
またはアルミニウム合金皮膜との結合形態を変えてい
る。前述した如く、従来の溶融アルミニウムめっき鋼板
では、必ず基材の鋼板表面は全面が合金層に覆われてお
り、その厚みにより加工性に若干の差は存在するが、強
度の絞りとしごき加工により成形されるDI缶には適用出
来ない。DI缶等の高度な加工に耐えうる基材とめっき皮
膜の形態につき種々検討を重ねた結果、本発明に至った
ものである。
本発明は、めっき金属の加工密着性を得るため、基材
鋼板表面の10%以上を鉄−アルミニウム合金層で覆われ
ないようにする。つまり、合金層でおおわれないとは基
材の鋼板ととめっき皮膜との界面には実質的に合金層が
存在しない状態を示すものであり、例えば、電気めっき
によって金属をめっきした場合の鋼板とめっき金属との
界面に類似したものである。
本発明における前記の合金層で覆われない割合は、溶
融アルミニウムめっき鋼板の断面を顕微鏡で観察して、
線状に観察される合金層部分の全長(観察視野全長)に
対する破線部(合金層が破壊されている部分)の長さの
合計の百分率をもって表す。
従来の溶融アルミニウムめっき鋼板のように基材の鋼
板とめっき金属との界面の全面が完全に合金層に覆われ
た材料では、DI加工時、特にアイアニング成形時に合金
層が破壊し、アルミめっき層の剥離が生じる。更に激し
い場合には、絞り成形の段階にてアルミめっき層の剥離
が生じることもある。溶融めっき法においては、合金層
の形成は避けえないものであるため、密着性改善の方策
を講じることなしには、缶用材としては適用が困難であ
る。
本発明は、めっき層を剥離させることなく部分的に合
金層を破壊し、基材表面の10%以上を合金層が存在しな
いようにすることにより、DI加工にも耐えうる溶融アル
ミめっき鋼板を見出したものである。めっき層を剥離さ
せることなく合金層を破壊する方法としては冷間圧延法
が最適である。この場合余り強度の加工を行なうと基材
の機械的性質を劣化させ、鋼板そのもののDI加工性に問
題を生じる。めっき皮膜の密着性は、冷間圧延の圧下率
が大きくなるとともに向上するが、基材の機械的性質が
劣化するため適度の圧下率が設定されなければならな
い。冷間圧延のかけ方としては、多パス圧延を行なう場
合、前段にて高圧下率を採用するほうが良好な密着性を
得ることが出来る。
また、アルミめっき時に形成される合金層の量と質も
重要である。合金層の量が少ない時(1〜4ミクロン程
度)には、5〜30%程度の圧下率で基材表面の10%以上
を合金層の存在しない状態とすることが可能であり、合
金層の量が多い時(4〜10ミクロン程度)にはバラツキ
が大きくなるが、20〜70%程度の圧下率が必要である。
但し、50%以上の圧下率で圧延した場合、基材の機械的
性質の劣化が激しいため、DI成形時のフランジ成形性等
に問題が生じるため好ましくない。
以上の如く、本発明の効果を充分に発揮するために
は、優れた機械的性質を期待できるめっき原板と少ない
合金層量、脆く砕け易い性質の合金層が好ましい。
次に、めっき層の厚さについては合金層量と非合金化
アルミニウムまたはアルミニウム合金層の比率は比較的
重要な要因であり、溶融めっき時点にて非合金化アルミ
ニウムまたはアルミニウム合金は合金層の2倍以上存在
することが望ましい。一方、合金化していないアルミニ
ウムまたはアルミニウム合金層は10μm以上存在するこ
とが必要である。なぜなら、基材表面に合金層の存在し
ない面積が増大することにより、めっき密着性は向上し
ているが、硬い合金層の存在を緩和するためには、軟ら
かい金属層の存在が重要である。DI加工時の缶外面表面
傷の発生を防止するためには、合金層の2倍以上の非合
金化アルミニウムまたはアルミニウム合金層の存在が必
要である。
本発明でいうアルミニウム合金とは、シリコン、マン
ガン、マグネシウム、鉄等をアルミニウムに配合して合
金化させたものをいう。
このような方法で製造された本発明のアルミニウム系
溶融めっき鋼板はめっき密着性と加工性が優れているの
で、DI加工または絞り加工に適し、それによって製品化
された缶体は市販のアルミニウム缶に匹敵する優れた耐
食性が得られる。
DI缶の場合、DI加工後に脱脂を行い、クロメート処理
等により少くとも最表層にクロム化合物を有する皮膜を
形成するか、燐酸塩皮膜を形成した後、内面塗装、外面
印刷が行なわれる。本発明鋼板の場合、加工後の缶体に
おいても表面は完全にアルミニウムまたはアルミニウム
合金に被覆されているため、塗装もアルミ缶と同様に1
回で済ますことが可能である。耐食性は、アルミ缶と同
等、更には鉄の強度を利用して耐食性の良い純アルミ皮
膜を使用することにより、市販のアルミ缶より優れた耐
食性を得ることが出来る。
なぜなら、市販のアルミ缶の場合、缶強度を出すた
め、耐食性を犠牲にしても合金化アルミを使用せざるを
えない状況にあるためである。本発明の鋼板で製造した
缶は、アルミの良好な耐食性、鉄に対する犠牲防食能等
により、ビール、炭酸飲料に対して鉄が内容物中に溶出
することなく、味、フレーバーの低下が起ることなく、
ぶりき缶に比べて、極めて優れた耐食性をうることが出
来る。
また、DRD缶(2〜3回絞りにより成形される缶)の
場合には缶用鋼板を脱脂、酸洗等の表面調整後、少くと
も最表層にクロム化合物を有する皮膜の形成処理、燐酸
塩処理等の下地処理を施し、塗装した後に絞り加工を行
い缶体に仕上げる。この場合にも前記DI缶と同様に極め
て優れた耐食性を得ることができる。
なお、本発明者らの知見した所によれば、前記の少く
とも最表層にクロム化合物を有する皮膜を形成する場合
の例としては、若干の陰イオンを含んだクロム酸液体中
にて陰極電解処理を行なうことにより、金属クロムと水
和酸化クロム度膜の2層構造を有する皮膜を電解で形成
させる方法、あるいは重クロム酸化合物溶液中にて陰極
電解処理を行なうことにより、水和酸化クロムを主体と
する皮膜を電解で形成させる方法等が有効であった。
この際、クロム皮膜量として、クロムに換算して、5m
g/m2未溝では有機塗膜の加工密着性および塗装耐食性に
対する効果が弱く、50mg/m2超では有効性が飽和すると
共にクロム皮膜による着色が起こり好ましくない。特に
望ましいクロム皮膜量としては、15〜30mg/m2である。
クロム化合物皮膜の形成法としては、電解法に限定す
るものではなく、化学反応により形成されるクロム化合
物皮膜にても十分な性能を得ることが出来る。例えば、
クロム酸、リン酸およびフッ酸を主成分とする処理液中
にて、リン酸クロム皮膜を5〜50mg/m2形成させる事に
より、極めて優れた有機塗膜の加工密着性および塗装耐
食性を得る事が出来る。
このようにして得られた缶体はその缶内面と缶外面の
両面に、薄鋼板を素地として、その表面に鉄−アルミニ
ウム合金層の存在部と、部分的にその合金層が存在しな
い部分が形成され、さらにその表面にアルミニウム皮膜
若しくはアルミニウム合金皮膜を有し、缶内面部はさら
に少くとも最表層にクロム化合物を有する皮膜若しくは
燐酸塩皮膜と、その表面に塗料膜を被覆した皮膜構成か
らなる。一方、缶外面部は用途により異り、アルミニウ
ム皮膜若しくはアルミニウム合金皮膜の表面にそのま
ま、あるいは下地処理皮膜を介して、印刷若しくは塗装
した皮膜構成として缶製品とする。
実施例1 板厚0.35mmの冷間圧延後の薄鋼板を、連続溶融アルミ
ニウムめっきラインに通板し、シリコンを10%含む溶融
アルミニウムめっきを行なった。その際、合金層の厚さ
は1.5ミクロン、金属アルミめっきの厚さは20ミクロン
に調整された。めっき後、全板厚0.39mmの鋼板は、2ス
タンドの冷間圧延ミルにて30%の圧下率(1段目20%、
2段目10%)にて0.273mmにまで圧延された。この鋼板
の断面を光学顕微鏡にて観察したところ、合金層が破壊
され基材鋼板上に鉄〜アルミニウム合金層が存在しない
部分の比率は約35%であった。
圧延後約15ミクロンのアルミ皮膜を有する鋼板は、プ
ランク径139mmより2回の絞り加工により内径65mmのカ
ップに成形された。その後、3段に及ぶしごき加工によ
り、缶高さ約130mmになるような成形に使用された。最
終製品における最も厚みの薄い部分は0.085mmであり、
トリミング後のフランジ部分の厚さは0.150mmであっ
た。
DI成形後の缶は、脱脂・洗浄・燐酸塩処理が施された
のち、外面印刷・内面塗装され、ネックドイン・フラン
ジ成形された。ネックドイン加工としては、トリプルネ
ックドイン方式により、蓋巻き締め後の外形が60mmにな
るように成形された。
このような一連の成形加工段階において、溶融アルミ
ニウムめっき皮膜は全く剥離することなく成形に耐え、
最終製品において基材に対する被覆性は完全なものであ
った。
缶内面塗装としては、1缶当たり40mgのエポキシ系塗
料をスプレー塗装、焼付け後、ビールを内容物として充
填し、室温にて6ケ月経過後のAl、Feの溶出量を測定し
た所、0.14ppmのAl溶出が分析されたが、Feについては
分析の検出限界以下(<0.01ppm)であり、実用的に極
めて優れた耐食性を有することが椎認された。
実施例2 板厚0.43mmの冷間圧延後の鋼板を、溶融アルミニウム
めっきラインにおいて、少量の不純物を含む純アルミニ
ウムめっきを70ミクロン(両面合計)の厚さで行なっ
た。この場合、形成された合金層の平均厚みは、片面当
たり約4.7ミクロンであった。
めっき後0.50mmの板厚を有する鋼板は、45.4%の圧下
率で板厚0.273mmにまで圧延されDI成形に供された。こ
の鋼板の断面を光学顕微鏡にて観察したところ、合金層
が破壊され基材鋼板上に鉄〜アルミ合金層が存在しない
部分の比率は約75%であった。
DI成形条件としては実施例1と同様の条件にて行なわ
れ、脱脂、洗浄、燐酸塩処理後の缶体表面における溶融
アルミニウムめっき皮膜の密着性をテープ剥離試験によ
り判定したが、全く剥離は認められず良好な性能を有す
るものであった。
この缶体内面に1缶当たり65mgのエポキシ系塗料をス
プレー塗料、焼付け後、市販のコーラ系飲料を内容物と
する実缶試験を行なった。室温にて12ケ月経過後のAl、
Feの溶出量を測定した所、4.3ppmのAl溶出および0.3ppm
のFe溶出を検出したが、缶内面には特に目立った腐食箇
所はなく、味、フレーバー共に問題なく良好なレベルに
あった。
実施例3 板厚0.25mmの鋼板に両面合計30ミクロンの純アルミニ
ウムめっきを行なった。合金層厚さは平均3.5ミクロン
であり、約35%の圧下率で板厚0.18mmにまで圧延され
た。この基材鋼板上に鉄〜アルミ合金層が存在しない比
率は約40%であった。
圧延後、電解脱脂・酸洗による表面調整を行ない、フ
ッ素イオンを含むクロム酸中にて電解クロメートにて32
mg/m2のクロメート皮膜を形成させた。
この鋼板の片面(缶内面相当面)に塩ビオルガノゾル
系の塗料を約13ミクロン塗布し、缶外面相当面にはエポ
キシ系の塗装を約5ミクロン施した。その後、ブランク
寸法173mmより缶径65mm、缶高さ115mmの缶を合計3回の
絞り加工により行なった。
絞り加工後の缶内外面の皮膜を詳細に観察した結果、
溶融アルミニウムめっき皮膜は全く剥離することなく成
形に耐え、最終製品において基材に対する被覆性は完全
なものであった。また、加工後の有機塗膜の被覆性も従
来製品と大差なく良好であった。
この缶体を用い、魚肉(鮪フレーク味付け)を内容物
とする実缶試験を行なった。55℃にて6ケ月貯蔵後、缶
内面の腐食状態を観察した。外観的には全く異常は認め
られず、内面塗膜を溶剤にて剥離後、鋼板表面を観察し
た所、数点の腐食点が観察されたが、その腐食はAl層の
みで基材に達するものではなく、実用的に優れた耐食性
を有するものであった。
比較例1 板厚0.26mmの鋼板に両面合計25ミクロンの10%シリコ
ンを含む溶融アルミニウムめっきを行なった。合金層厚
さは平均1.4ミクロンと比較的薄いものであり、1.5%の
調質圧延後(鉄−アルミ合金層の存在しない割合は1
%)、この鋼板を実施例1と同様の方法でDI成形に供し
たところ、2段面の絞り成形後に若干の肌荒れが発生
し、2〜3段目のアイアニングにてアルミ皮膜の剥離が
認められた。缶内面においても、テーピングテストにて
アルミ皮膜の剥離が認められた。
比較例2 板厚0.32mmの鋼板に両面合計30ミクロンの溶融アルミ
ニウムめっきを行なった。合金層厚さは平均7.4ミクロ
ンであり、20%の圧下率で板厚0.280mmにまで圧延され
た。この基材鋼板上の鉄〜アルミ合金層の存在しない比
率は約7%であった。この鋼板を実施例1と同様の方法
でDI成形に供したところ、2段目の絞り成形までは良好
であったが、2〜3段目のアイアニングにてアルミ皮膜
の剥離が認められた。
比較例3 板厚0.60mmの鋼板に両面合計50ミクロンの溶融アルミ
ニウムめっきを行なった。合金層厚さは平均5.3ミクロ
ンであり、57%の圧下率で板厚0.280mmにまで圧延され
た。この基材鋼板上の鉄〜アルミ合金層の存在しない比
率は約85%であった。この鋼板を実施例1と同様の方法
でDI成形に供したところ、アイアニング成形まではアル
ミ皮膜の剥離は全くなく優れた特性を示したが、塗装・
印刷後のフランジ成形時にクラックが発生し、正常な缶
体を得ることが出来なかった。
比較例4 板厚0.32mmの鋼板に両面合計16ミクロンの溶融アルミ
ニウムめっきを行なった。合金層厚さは平均2.8ミクロ
ンであり、17%の圧下率で板厚0.028mmにまで圧延され
た。この基材鋼板上の鉄〜アルミ合金層の存在しない比
率は約13%であった。この鋼板を実施例1と同様の方法
でDI成形に供したところ、アイアニング成形におけるア
ルミ皮膜の剥離は発生しなかったが、缶外面に無数のか
じり傷が発生し、正常な缶体を得ることが出来なかっ
た。
発明の効果 以上説明したように、本発明は加工性、耐食性の優れ
た容器用溶融アルミニウム系めっき鋼板、鋼板により成
形された缶体、鋼板の製造方法であり有用な発明であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−298141(JP,A) 特開 昭58−224159(JP,A) 実開 昭58−83457(JP,U)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材としての薄鋼板の表面に鉄−アルミニ
    ウム合金層と、その表面にアルミニウム皮膜またはアル
    ミニウム合金皮膜を有する溶融アルミニウムめっき鋼板
    において、前記基材表面の10%以上が前記鉄−アルミニ
    ウム合金層によって覆われていないことを特徴とする容
    器用溶融アルミニウムめっき鋼板。
  2. 【請求項2】基材としての薄鋼板の表面に鉄−アルミニ
    ウム合金層と、その表面に10μm以上のアルミニウム皮
    膜またはアルミニウム合金皮膜を有する溶融めっき鋼板
    を、圧下率50%未満で冷間圧延することによって、前記
    の鉄−アルミニウム合金層を部分的に破断して前記基材
    表面の10%以上が鉄−アルミニウム合金層で覆われない
    ようにしたことを特徴とする容器用溶融アルミニウムめ
    っき鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の容器用溶融アルミニウムめ
    っき鋼板からなる缶体であって、その表面に少くとも最
    表層にクロム化合物を有する皮膜若しくは燐酸塩皮膜
    と、塗料皮膜を順次有することを特徴とする缶体。
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