JPH04137872U - 印刷用版胴 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】印刷用版胴本体の両端のインキによる汚染を防
止する。 【構成】円筒形の印刷用版胴本体の両端に磁石よりなる
側板が磁力により固着されてなる印刷用版胴。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、円筒形の印刷用版胴本体の両端に磁石よりなる側板が磁力により固 着されてなる印刷用版胴に関する。

【０００２】

【従来の技術】

円筒形の印刷用版胴は、クロムメッキ等の層がエッチングされて形成された版 を円筒部表面に有しており、その両端面の中心を通る線を軸にして回転させて印 刷に使用されている。印刷用版胴には、その両端面に回転軸が固定されており、 その回転軸を回転装置に掛ける方式のもの、および、両端面に設けられた開口部 に回転装置に付属した回転軸を挿入して回転装置に掛ける方式のものがある。

【０００３】 印刷終了後の印刷用版胴は、次の印刷に使用するときまで保管されるが、保管 前に印刷用版胴を回転装置に取り付けたまま印刷用版胴の円筒部表面に付着した インキの拭き取りが行われる。しかし、印刷用版胴の両端面に付着したインキは 、両端面の拭き取り作業者の手が入るだけの十分なスペースがないため、拭き取 りが行われていないのが現状である。

【０００４】 印刷用版胴の両端面に付着したインキが固結すると、印刷用版胴を次に使用す るときに新しいインキと混合して色調が狂ったり、印刷時に印刷用版胴の表面に 付着した余分なインキを除去するために使用されるドクターが損傷したり、印刷 用版胴の保管時に端面を下にして垂直に立てた場合に安定性に欠ける等の問題が 生じる。

【０００５】 このために、印刷用版胴の両端面に付着したインキを除去しなければならない 。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】 そこで、印刷用版胴を回転装置から取り外してその両端面に付着したインキの 拭き取りを行うことが考えられる。しかし、印刷用版胴は重量があるために、イ ンキの拭き取り作業中に円筒部表面の版を傷つける恐れがあり、拭き取り操作は 容易ではない。

【０００７】 本考案者らは、印刷用版胴の両端面に付着したインキの除去を容易に行うため に種々検討した結果、円筒部表面の版を傷つける恐れがなく、インキの除去が容 易な印刷用版胴を考案するに至った。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

即ち、本考案は、円筒形の印刷用版胴本体の両端に磁石よりなる側板が磁力に より固着されてなる印刷用版胴である。

【０００９】 図１は本考案の印刷用版胴の端部を示す斜視図である。

【００１０】 印刷用版胴本体１の両端には、円筒形の印刷用版胴本体とほぼ同じ直径の磁石 よりなる側板２がその磁力により固着されている。側板２は磁石そのもので構成 されていてもよいが、重量が重くなりすぎると印刷用版胴を印刷に使用中に回転 運動による遠心力その他の力によって印刷用版胴本体の端部から脱落するおそれ がある。このため、磁石は、例えば、プラスチック中に磁石の粉末を分散させた 軽量のいわゆるプラスチック磁石が好適である。

【００１１】 側板の形状は、一般には、回転軸３の部分が切り掛かれたドーナツ状の円板で ある。印刷用版胴本体の端部のインキによる汚染を避けるためには、印刷用版胴 本体の直径とほぼ同じ直径の円板であることが好ましい。

【００１２】 側板２は、軽量とするためには厚みの薄いほうが好ましいが、あまりに薄い場 合には機械的強度が低下し、印刷用版胴本体の端部への着脱時に破損する恐れが ある。したがって、軽量性と機械的強度から適当な厚みを決定すれば良い。通常 は０．５〜１０ｍｍの範囲から選択される。

【００１３】 図２は、本考案の印刷用版胴の端部の他の態様を示す斜視図である。

【００１４】 図２の側板２は、ドーナツ状の円板の内径部において該円板の平面より垂設し た円筒状の凸状部４を有し、しかも該凸状部の外周囲には鍔５が設けられている 。該鍔５は、印刷中に側板に付着したインキが、印刷用版胴本体の軸方向に移動 するのを防止している。

【００１５】 このような側板を使用することにより、印刷用版胴の両端面のみならず、回転 軸のインキによる汚染を効果的に防止することができる。

【００１６】 また、図３に示すように、側板２が一つの直径を通る直線によって２つに分割 されていてもよい。このように分割することによって、印刷用版胴本体を回転装 置に固定した後であっても側板の印刷用版胴本体への着脱が可能となる。

【００１７】 側板は、インキに汚染されるため、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン 、フッ素樹脂、またはシリコーン樹脂等のインキに汚染された場合にも容易に除 去できる材質で表面をコーティングしておくことが好ましい。

【００１８】

【考案の効果】

本考案の印刷用版胴によれば、印刷に使用する前に印刷用版胴本体に磁石より なる側板を取付け、印刷終了後に側板を取り外しすれば、印刷用版胴本体の両端 はインキで汚染されていないために、両端面の拭き取り操作は必要ない。したが って、印刷用版胴を回転装置に固定した状態で円筒部表面のインキを拭き取るだ けでよく、回転装置から外した状態での端部のインキの拭き取り操作は不要であ り、インキの拭き取り操作中に印刷用版胴の円筒部表面を傷つける恐れがない。

【００１９】 磁石よりなる側板は、洗浄後に再使用することができ、また、使い捨てとする こともできる。側板を洗浄する場合、洗浄の対象が印刷用版胴本体そのものでは なく、軽量で取扱いの容易な側板であるために、洗浄作業が容易である。また、 印刷用版胴の端部のインキを直接拭き取る作業は、円筒部表面を傷つけないよう に取扱うことが容易ではないために機械化は困難であるが、側板のみの洗浄であ れば、機械による自動洗浄も可能である。

【００２０】

【実施例】

実施例 直径２９０ｍｍの印刷用版胴本体の両端面に図２に示すプラスチック磁石より なる側板を磁力にて取り付け、次の条件で印刷機の運転を行った。尚、側板の外 径は２９０ｍｍ、内径は１９０ｍｍ、凸状部の高さは３０ｍｍ、鍔の高さは２０ ｍｍ、厚みは３ｍｍである。

【００２１】 ラインスピード ：２００ｍｍ／ｍｉｎ 印刷用版胴回転数：２１９．６ｒｐｍ 印刷時間 ：３０分 インキの種類 ：グラビア印刷用ゴム系インキ 印刷終了後、印刷用版胴本体の両端面の側板を取り外した結果、インキは印刷 用版胴本体の両端面および回転軸には全く付着していなかった。取り外した側板 を塩化メチレン中に浸漬することにより、付着したインキを完全に除去すること ができた。

【００２２】 さらに、インキを除去した後の側板を再び印刷用版胴本体の両端面に取り付け て上記と同じ条件で印刷を行い、印刷終了後に側板を取り外して側板を洗浄する 操作を５０回繰り返したが、側板の磁力の低下および損傷もなく、良好に印刷を 行うことができた。

【図面の簡単な説明】

【図１】 図１は、本考案の印刷用版胴の代表的な態様
を示す斜視図である。

【図２】 図２は、本考案の印刷用版胴の他の態様を示
す斜視図である。

【図３】 図３は、本考案の印刷用版胴の他の態様を示
す斜視図である。

【符号の説明】

１ 印刷用版胴本体 ２ 磁石よりなる側板 ３ 回転軸 ４ 凸状部 ５ 鍔

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 円筒形の印刷用版胴本体の両端に磁石よ
   りなる側板が磁力により固着されてなる印刷用版胴。