JPH04134612U - エンジンの強制潤滑装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エンジンの強制潤滑装置に関し、吐出側潤滑
油路の脈動を抑え、オイルスイッチの誤作動を防止して
円滑にエンジンを潤滑する。 【構成】 吐出側潤滑油路５に上に向けて行き止まり状
のサージ室６を形成することにより、サージ室６にオイ
ル中に含まれる微細な空気泡を溜て、この空気溜まりで
吐出側潤滑油路５の潤滑ポンプ４による脈動を減衰し
て、オイルの吐出圧力を所定圧以上に維持できるので、
オイルスイッチ１０の誤作動をなくして、特に、低速時
でもエンジンを円滑に潤滑できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、エンジンの強制潤滑装置に関し、吐出側潤滑油路の脈動を抑え、オ イルスイッチの誤作動を防止してエンジンを円滑に潤滑できるものを提供する。

【０００２】

【従来の技術】

本考案の対象になるエンジンの強制潤滑装置の基本構造は、図１又は図２に示 すように、エンジンＥのオイルパン３を潤滑油路１で各潤滑部２に連通し、潤滑 油路１に潤滑ポンプ４を介装し、オイルパン３のオイルを潤滑ポンプ４で吐出側 潤滑油路５を通して各潤滑部２に圧送するように構成するとともに、吐出側潤滑 油路５にオイル吐出圧の低下を検知するためのオイルスイッチ１０を付設した形 式のものである。

【０００３】 この形式の従来技術としては、図２に示すように、潤滑ポンプ４が例えばトロ コイドポンプであって、吐出側潤滑油路５をクランク軸１２、動弁カム軸１３、 ロッカアーム軸１５などの潤滑部２に連通し、オイルスイッチ１０をオイルラン プ１１に連動して、吐出側潤滑油路５の吐出圧が異常低下すると、オイルスイッ チ１０の検知によりオイルランプ１１が点灯して警告を発し、エンジンＥの焼き 付きを防止するようにしたものがある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

潤滑ポンプ４のロータの回転に伴い、ポンプの吸入口から吸い込まれたオイル は吐出口から送り出されることを繰り返すので、上記従来技術では吐出側潤滑油 路５に路内オイルの圧力振動、即ち脈動が生じてしまう。 このため、潤滑ポンプ４の吐出口が閉じたのち、吐出側潤滑油路５に残る脈動 波が次のオイルの吐出振動に共鳴すると、吐出圧が所定圧以下に低下し、潤滑異 常発生時以外でもオイルスイッチ１０が誤作動してしまう場合が少なくなく、こ の傾向は、特に吐出圧が相対的に低いエンジンの低速時に多く見られる。 本考案は、強制潤滑装置に付設したオイルスイッチの誤作動をなくすことを技 術的課題とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記課題を達成するための手段を、実施例を示す図面により以下に説明する。 即ち、本考案は、前記基本構造のエンジンの強制潤滑装置において、 吐出側潤滑油路５に上に向けて行き止まり状のサージ室６を形成し、サージ室 ６の空気溜まりで吐出側潤滑油路５の潤滑ポンプ４による脈動を減衰するように 構成したことを特徴とするである。

【０００６】

【作用】

吐出側潤滑油路５に上に向けて行き止まり状のサージ室６を形成するので、当 該サージ室６には吐出側潤滑油路５を流れるオイル中の微細な空気泡が漸次貯留 するとともに、エンジン運転中にも常時補填される。従って、潤滑ポンプ４の吐 出口が閉じたのち、吐出側潤滑油路５に残る脈動波はこのサージ室６の空気溜ま りで様々な干渉などを起こして減衰させられるので、次のオイルの吐出振動に共 鳴することはない。このため、通常の潤滑時にオイルの吐出圧が所定圧以下に低 下することはなく、オイルスイッチ１０の誤作動を防止できる。 しかも、上述のように、サージ室６にはオイル中に含まれる細かい空気泡が継 続的に補填されるので、サージ室６の減衰機能は常に自動的に高く維持される。

【０００７】

【考案の効果】

吐出側潤滑油路の脈動波をサージ室の空気溜まりで減衰して、オイルスイッチ の誤作動を防止するので、特に、従来技術では誤作動を起こし易かった低速時で もエンジンを円滑に潤滑できる。 また、吐出側潤滑油路にサージ室を設けるだけの簡単な構造なので、安価に実 施できる。

【０００８】

【実施例】 以下、本考案の実施例を図面に基づいて述べる。図１は縦型ディーゼルエンジ ンの潤滑装置の概略系統図であって、縦型ディーゼルエンジンＥの下方に形成し たオイルパン３にオイルストレーナ１６を配置し、オイルストレーナ１６を潤滑 油路１でクランク軸１２、動弁カム軸１３、燃料噴射カム軸１４、或はロッカア ーム軸１５などの各潤滑部２に連通する。

【０００９】 上記潤滑油路１に潤滑ポンプ４(具体的にはトロコイドポンプ)を介装し、潤滑 ポンプ４の吐出側潤滑油路５にオイルフィルタ８を介装し、オイルフィルタ８の 下流側を各潤滑部２に連通して、オイルパン３のオイルを潤滑ポンプ４で吐出側 潤滑油路５を介して各潤滑部２に圧送するとともに、当該オイルフィルタ８の下 流側にオイルスイッチ１０及びオイルランプ１１を付設し、潤滑油路５の吐出圧 が所定圧以下に低下した潤滑異常時に、この低下をオイルスイッチ１０で検知し てオイルランプ１１の点灯で警告するように構成する。 尚、符号１７は吐出側潤滑油路５のオイルフィルタ８の上流側に分岐したリリ ーフ油路、符号７はリリーフ弁である。

【００１０】 また、上記潤滑装置の潤滑油路１のうち、吐出側の潤滑油路５に上に向けて行 き止まり状のサージ室６を形成し、サージ室６の下部の入口６ａを潤滑油路５に 臨ませる。即ち、吐出側潤滑油路５のうち、潤滑ポンプ４の下流側近傍と、 リリーフ油路１７の分岐部とオイルフィルタ８の間と、オイルフィルタ８の下 流側で動弁カム軸１３や燃料噴射カム軸１４などの潤滑部２に達するまでの部位 との３箇所にサージ室６を各々配置する。

【００１１】 この場合、上向きに開口したサージ室６にはオイル中の微細な空気泡が漸次貯 留するとともに、エンジン運転中も常時補填される。従って、トロコイドポンプ ４の吐出口が閉じたのち、吐出側潤滑油路５に残る脈動波はこのサージ室６の空 気溜まりで様々な干渉などを起こして減衰し、次のオイルの吐出振動に共鳴する ことはない。このため、通常の潤滑時にオイルの吐出圧力が所定圧以下に低下し て、オイルスイッチ１０が誤作動することを防止でき、特に、吐出圧が相対的に 低い低速時にもエンジンを円滑に潤滑できる。

【００１２】 但し、上記サージ室６は潤滑装置の吐出側潤滑油路５に少なくとも１箇所以上 配置すれば充分なので、本実施例のように３箇所に亘り設ける替わりに、例えば 、潤滑ポンプ４の下流側近傍、或はリリーフ油路１７の分岐下流部に各々１箇所 だけ設けるようにしても差し支えない。

【図面の簡単な説明】

【図１】縦型ディーゼルエンジンの潤滑装置の概略系統
図である。

【図２】従来技術を示す図１の相当図である。

【符号の説明】

１ 潤滑油路 ２ 潤滑部 ３ オイルパン ４ 潤滑ポンプ ５ 吐出側潤滑油路 ６ サージ室 １０ オイルスイッチ Ｅ エンジン

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジン(Ｅ)のオイルパン(３)を潤滑油
   路(１)で各潤滑部(２)に連通し、潤滑油路(１)に潤滑ポ
   ンプ(４)を介装し、オイルパン(３)のオイルを潤滑ポン
   プ(４)で吐出側潤滑油路(５)を通して各潤滑部(２)に圧
   送するように構成するとともに、吐出側潤滑油路(５)に
   オイル吐出圧の低下を検知するためのオイルスイッチ
   (１０)を付設したエンジンの強制潤滑装置において、吐
   出側潤滑油路(５)に上に向けて行き止まり状のサージ室
   (６)を形成し、サージ室(６)の空気溜まりで吐出側潤滑
   油路(５)の潤滑ポンプ(４)による脈動を減衰するように
   構成したことを特徴とするエンジンの強制潤滑装置。