JPH04121654U - 有機電解液電池 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 ペレット状正極が電池内ケースの中央に配置
されなかった時、ペレット状正極が縦方向、横方向の不
均一に膨脹し、対極であるリチウムが部分的に消耗し、
放電数期にリチウムの反応面積が減少して、電池電圧が
低下するのを防止する。 【構成】 ペレット状正極４とリチウム負極５と有機電
解液を含浸したセパレータ６とを、封口板１と電池ケー
ス２とガスケット３と電池内ケース７により密封する電
池において、断面逆ハット状の電池内ケース７の側面部
に、１つ以上の穴１２と、３つ以上の内方への突出部１
３をもうけた有機電解液電池である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はペレット状正極の位置決めを正確にし、負極の放電効率を良好とした 有機電解液電池に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来この種の有機電解液電池は、特開平２−１２７６４号、特開平２−４４６ ５０号に示すような構造であった。図５、６において、２１は負極端子を兼ねた 封口板、２２は正極端子を兼ねる電池ケース、２３はポリプロピレンからなるガ スケット、２４は二酸化マンガン等を活物質とする正極２５は負極活物質である リチウム、２６はポリプロピレン等からなるセパレータ、２８は集電体である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

このような従来構造により、電池の厚さが厚い場合の構造は以下の２種類が考 えられた。 （１）図５のように封口板２１の折り返し部（ａ）の寸法を長くする構造。 （２）図６のように封口板２１のＲ部（６）の形状を変化させる構造等がある 。しかし、これら２種類の構造を用いた場合、封口板、電池ケース、ガスケット の３部品の占める体積が大きくなり、電池の外径、高さ寸法が増大する割合に比 較して、電池内容積は増加率が小さい。そこで従来図４に示すような電池内ケー ス２７を使用する構造もあった。しかしこの構造では電池内容積は増大するが、 まったく新しい構造であるため、図３のＢに示すような放電の異常低下が発生し た。

【０００４】 この原因は、図４の電池内ケース２７の内径とペレット状正極２４の外径との 差があるので、組立工程中に偏りを生ずる。このためペレット状正極２４が中心 を外れた状態で組立てられた電池は、大電流で放電した場合、電池内ケース２７ の外面部に接している部分のペレット状正極２４の膨張が縦方向に大きくなる。 その反対側の隙間のある側面は、横方向に膨脹する空隙があるために縦方向の膨 脹が小さくなる。結果的に、ペレット状正極２４の縦方向の膨脹が大きい部分か ら負極活物質であるリチウム２５が消耗する。このため放電末期において、リチ ウム２５の反応面積は放電初期より小さくなり、電圧が低下してしまい放電の異 常低下となる。

【０００５】 木考案は上記のペレット状正極の膨脹によるリチウムの部分的な急消耗を防止 し、放電末期においての電池電圧の低下を防止することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は図１、２のようにペレット状に成形した正極４と軽金属よりなる負極 ５と有機電解液を含浸したセパレータ６とよりなる発電要素を、封口板１と電池 ケース２と、この両者間に介在したガスケット３と該ガスケット３の底部に上部 平坦部９が、該電池ケース２に下部平坦部１０が当接した断面ハット状の電池内 ケース７により密封した有機電解液電池であって、該断面逆ハット状の電池内ケ ースの上部平坦部９と下部平坦部１０の間の側面部１１に、１つ以上の穴１２と 、３つ以上の内方への突出部１３とをもうけたことを特徴とする有機電解液電池 である。

【０００７】 すなわち、本考案は図２の斜視図のように、断面逆ハット状の電池ケース７の 側面部１１に、１ヶ所以上の穴１２と、３ヶ所以上の内側への突出部１３をもう けた構造を特徴としている。

【０００８】

【作用】

本考案の構造により、電池内ケース７の中心にペレット状正極４がおさまるの で、組立工程においてペレット状正極４が偏る事がない。こうして組立てられた 本考案の有機電解液電池は、大電流による放電を行った場合でも、ペレット状正 極４の縦及び横方向への膨脹が均一であり、放電末期において、負極活物質の反 応面積が小さくなり電池電圧が低下してしまう異常はなくなる。また、耐漏液特 性は変わらない。

【０００９】

【実施例】

本考案の実施例を、直径２４ｍｍ、高さ７．７ｍｍの二酸化マンガンリチウム 有機電解液電池を用いて説明する。図１は、本考案の実施例電池の縦断面図であ る。１はステンレススチール製の負極端子をかねる封口板、２は電池ケース、３ はポリプロピレンからなるガスケット、４は二酸化マンガンと導電材と結着剤と からなる正極合剤を、径２０ｍｍ、高さ５ｍｍのペレット状に成形したペレット 状正極である。５は負極活物質であるリチウム負極、６はポリプロピレンからな るセパレータ、７は上部平坦部９と下部平坦部１０をつなぐ側面部１１に、４ヶ 所の穴１２と、４ヶ所の内側への突出部１３とをもうけた断面逆ハット状の電池 内ケース、８は集合体である。電解液には、プロピレンカーボネートと１，２ジ メトキシエタンとの等容積混合溶媒に過塩素酸リチウムを溶解させたものを使用 した。

【００１０】 図２は上部平坦部９と下部平坦部１０をつなぐ側面部１１に４ヶ所の穴１２と ４ヶ所の内側への突出部１３とをもうけた断面逆ハット状の電池内ケース７の斜 視図である。次に図１に示す本考案実施例電池Ａと、図４に示す従来例電池Ｂと を、それぞれ１００コずつ、２．７ＫΩで連続放電した場合の放電曲線の最大値 と最小値を図３に示した。放電曲線から従来構造の電池Ｂは、バラツキ巾が大き くなっていることが判る。

【００１１】

【考案の効果】

以上のように、本考案は大電流放電による放電電気容量のバラツキを非常に小 さくでき、また放電接続時間も長く、高電圧で放電容量も大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の電池内ケースに穴と突出部をもうけ
た有機電解液電池の断面図である。

【図２】 本考案の電池内ケースの穴と突出部を示す斜
視図である。

【図３】 本考案実施例電池Ａと従来品Ｂとを比較した
放電特性図である。

【図４】 従来の電池内ケースを用いた同形の有機電解
液電池の断面図である。

【図５】 従来の封口板の折り返し部の長い電池の断面
図である。

【図６】 従来の封口板のＲ部の形状を変化させた電池
の断面図である。

【符号の説明】

１ 封口板 ２ 電池ケース ４ 正極 ５ 負極 ６ セパレータ ７ 電池内ケース ９ 上部平坦部 １０ 下部平坦部 １１ 側面部 １２ 穴 １３ 突出部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ペレット状に成形した正極（４）と軽金
   属よりなる負極（５）と有機電解液を含浸したセパレー
   タ（６）よりなる発電要素を、封口板（１）と電池ケー
   ス（２）と、この両者間に介在したガスケット（３）と
   該ガスケット（３）の底部に上部平坦部（９）が、該電
   池ケース（２）に下部平坦部（１０）が当接した断面ハ
   ット状の電池内ケース（７）により密封した有機電解液
   電池であって、該断面逆ハット状の電池内ケースの上部
   平坦部（９）と下部平坦部（１０）の間の側面部（１
   １）に、１つ以上の穴（１２）と、３つ以上の内側への
   突出部（１３）とをもうけたことを特徴とする有機電解
   液電池。